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特許7181409燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0271 20160101AFI20221122BHJP
   H01M 8/0286 20160101ALI20221122BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20221122BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20221122BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
H01M8/0271
H01M8/0286
H01M8/0276
H01M8/10
F16J15/06 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021536840
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2020024777
(87)【国際公開番号】W WO2021019974
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2019139383
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】由井 元
(72)【発明者】
【氏名】渡部 茂
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-005210(JP,A)
【文献】特開2018-125258(JP,A)
【文献】特開2007-035296(JP,A)
【文献】実公平06-015402(JP,Y2)
【文献】特開2006-156216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、
配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、
前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとの間にそれぞれ前記シール部材を介して配置された膜電極複合体と、を有し、
前記膜電極複合体の本体部が反応流路部同士に挟持されることにより反応領域が形成されているとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムが前記シール部材同士に挟持されることによりシール領域が形成され、
前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面は、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定されており、
前記シール領域における前記一方側セパレータの前記シール部材のつぶし代及び前記一方側セパレータのつぶし代の和は、前記他方側セパレータに配置されるシール部材のつぶし代及び前記他方側セパレータのつぶし代の和よりも小さいことを特徴とする燃料電池セル。
【請求項2】
平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、
配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、
前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとの間にそれぞれ前記シール部材を介して配置された膜電極複合体と、を有し、
前記膜電極複合体の本体部が反応流路部同士に挟持されることにより反応領域が形成されているとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムが前記シール部材同士に挟持されることによりシール領域が形成され、
前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面は、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定されており、
前記一方側セパレータに設けられた前記シール部材の幅方向の一方側又は両側に受け部を有し、組付け前の前記受け部の高さは、前記一方側セパレータに配置される前記シール部材の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする燃料電池セル。
【請求項3】
平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、
配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、
前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとの間にそれぞれ前記シール部材を介して配置された膜電極複合体と、を有し、
前記膜電極複合体の本体部が反応流路部同士に挟持されることにより反応領域が形成されているとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムが前記シール部材同士に挟持されることによりシール領域が形成され、
前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面は、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定されており、
前記膜電極複合体の本体部から張り出した前記電解質膜又はフィルムに形成された受け部を有し、
前記受け部は、前記一方側セパレータに配置される前記シール部材の幅方向の一方側又は両側に配置され、
組付け前の前記受け部の高さは、前記一方側セパレータに配置される前記シール部材の厚さよりも大きくなっていることを特徴とする燃料電池セル。
【請求項4】
平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、膜電極複合体と、を準備する準備工程と、
前記一方側セパレータの上に前記膜電極複合体を配置し、前記膜電極複合体の本体部を前記一方側セパレータの前記反応流路部の上に配置するとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムを前記一方側セパレータの前記シール部材の上に配置する膜電極複合体配置工程と、
前記膜電極複合体の上に前記他方側セパレータを配置し、前記反応流路部同士で前記膜電極複合体の本体部を挟持して反応領域を形成するとともに、前記シール部材同士で前記電解質膜又はフィルムを挟持してシール領域を形成する他方側セパレータ配置工程と、
前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとを近接させる方向に力を付与する圧縮工程と、を含み、
前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面を、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定し、
前記シール領域における前記一方側セパレータの前記シール部材のつぶし代及び前記一方側セパレータのつぶし代の和を、前記他方側セパレータに配置されるシール部材のつぶし代及び前記他方側セパレータのつぶし代の和よりも小さく設定することを特徴とする燃料電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池セルは、例えば、特許文献1に示すように、膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極複合体を挟持する一対のセパレータと、一対のセパレータと膜電極複合体との間にそれぞれ介設されるシール部材と、を備えている。膜電極複合体は、電解質膜、一対の触媒電極層及び一対のガス拡散層を備えている。ここで、膜電極複合体のうち、触媒電極層及びガス拡散層が形成されている部位を「本体部」とし、当該本体部から外側に張り出す電解質膜又はフィルムを「張出部」とする。シール部材は、例えば、弾性体やガスケット等である。
【0003】
膜電極複合体の本体部は、一対のセパレータに設けられた反応流路部同士に挟持されて反応領域を形成する。膜電極複合体の張出部は、一対のセパレータに設けられたシール部材同士に挟持されてシール領域を形成する。燃料電池スタックは、燃料電池セルを複数個積層させ、燃料電池セル間で所定のクリアランス又は荷重で圧縮して構成される。燃料電池セルが圧縮される際、膜電極複合体もシール部材を介して圧縮されるが、シール領域と反応領域の間の張出部にしわが発生しないことが望ましい。
【0004】
図10Aは、従来の燃料電池セルの組付け時を示す要部断面図である。図10Bは、図10Aの圧縮時を示す要部断面図である。図11Aは、従来の他の燃料電池セルの組付け時を示す要部断面図である。図11Bは、図11Aの圧縮時を示す要部断面図である。
【0005】
図10Aに示すように、従来の燃料電池セル100は、セパレータ101と、セパレータ102と、膜電極複合体103と、を備えている。下側に配置されるセパレータ101は、反応流体が流通する反応流路部106と、シール部材104が配置される凸ビード108とを備えている。上側に配置されるセパレータ102は、反応流体が流通する反応流路部107と、シール部材105が配置される凸ビード109とを備えている。
【0006】
燃料電池セル100を組み付ける際は、まず、下側のセパレータ101の上に、膜電極複合体103を配置する。膜電極複合体103の本体部111を反応流路部106の上に配置し、張出部(電解質膜又はフィルム)112をシール部材104の上に配置する。張出部112は、本体部111よりも外側に張り出す部位である。このとき、シール部材104と反応流路部106との間において、張出部112にはその自重によりたわみ120が形成される。
【0007】
図10Bに示すように、セパレータ101,102同士を近接させる方向に力を付与すると、シール領域では凸ビード108,109がそれぞれ高さ方向に収縮するとともに、シール部材104,105も収縮する。また、反応領域では、膜電極複合体103の本体部111のガス拡散層が収縮する。これにより、シール領域の張出部112の高さ位置と、反応領域での電解質膜の高さ位置は概ね同一となる。一方、張出部112においては、シール領域と反応領域の間にしわ120Aが発生するおそれがある。
【0008】
図11Aに示すように、従来の他の燃料電池セル200は、セパレータ201と、セパレータ202と、膜電極複合体203と、を備えている。下側に配置されるセパレータ201は、シール部材204及び反応流体が流通する反応流路部206を備えている。シール部材204は、先端に向かうにつれて縮径するリップガスケットである。上側に配置されるセパレータ202は、シール部材205及び反応流体が流通する反応流路部207を備えている。
【0009】
燃料電池セル200を組み付ける際には、まず、セパレータ201の上に、膜電極複合体203を配置する。膜電極複合体203の本体部211は反応流路部206の上に配置し、張出部(電解質膜又はフィルム)212はシール部材204の上に配置する。このとき、シール部材204と反応流路部206との間において、張出部212にはその自重によりたわみ220が形成されている。
【0010】
図11Bに示すように、セパレータ201,202同士を近接させる方向に力を付与すると、シール領域ではシール部材204及びシール部材205は高さ方向に収縮する。また、反応領域では、膜電極複合体203の本体部211のガス拡散層が収縮する。一方、張出部212においては、シール領域と反応領域の間にしわ220Aが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2009-37960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
膜電極複合体103,203の外側に張り出す張出部(本体部の外側に張り出す電解質膜又はフィルム)112,212にはしわが発生しないことが望ましい。しかしながら、燃料電池セル100,200は、いずれも組付け時に膜電極複合体103,203にたわみ120,220が発生しており、当該たわみ120,220に起因して圧縮時にしわ120A,220Aが発生すると推察される。
【0013】
また、膜電極複合体103,203の外側に張り出す張出部112,212は、薄くかつ柔らかい材料で形成されているため、たわみやしわが発生しやすい。さらに、シール部材204のように高さの大きいリップガスケットを用いる場合、つぶし代分高く設定されていることも張出部112,212のたわみの要因となる。
【0014】
本発明はかかる課題を解決するために発明されたものであり、膜電極複合体の外側に張り出す電解質膜又はフィルムのしわを無くすか、小さくことができる燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための本発明は、平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとの間にそれぞれ前記シール部材を介して配置された膜電極複合体と、を有し、前記膜電極複合体の本体部が反応流路部同士に挟持されることにより反応領域が形成されているとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムが前記シール部材同士に挟持されることによりシール領域が形成され、前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面は、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、平坦に形成された配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた一方側セパレータと、配置部に配置されたシール部材及び反応ガスが流通する反応流路部を備えた他方側セパレータと、膜電極複合体と、を準備する準備工程と、前記一方側セパレータの上に前記膜電極複合体を配置し、前記膜電極複合体の本体部を前記一方側セパレータの前記反応流路部の上に配置するとともに、前記本体部から張り出した電解質膜又はフィルムを前記一方側セパレータの前記シール部材の上に配置する膜電極複合体配置工程と、前記膜電極複合体の上に前記他方側セパレータを配置し、前記反応流路部同士で前記膜電極複合体の本体部を挟持して反応領域を形成するとともに、前記シール部材同士で前記電解質膜又はフィルムを挟持してシール領域を形成する他方側セパレータ配置工程と、前記一方側セパレータと前記他方側セパレータとを近接させる方向に力を付与する圧縮工程と、を含み、前記一方側セパレータの前記反応流路部のうち前記膜電極複合体の前記本体部が当接する当接面を、前記一方側セパレータの前記配置部の配置面よりも前記膜電極複合体から離間する側に設定することを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、シール領域と反応領域の間において、組付け時の張出部(電解質膜又はフィルム)の高さの差を小さくすることができる。これにより、組付け時に張出部のたわみを無くすか、小さくすることができ、圧縮後においても膜電極複合体の張出部のしわを無くすか、小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法によれば、膜電極複合体の外側に張り出す電解質膜又はフィルムのしわを無くすか、小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1に係る燃料電池セルを示す要部断面図である。
図2】実施例1に係る燃料電池セルを示す要部分解断面図である。
図3】実施例1に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。
図4】実施例1の変形例1に係る燃料電池セルの要部分解断面図である。
図5】実施例1の変形例1に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。
図6】実施例1の変形例2に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。
図7】実施例2に係る燃料電池セルを示す要部断面図である。
図8】実施例2に係る燃料電池セルを示す要部分解断面図である。
図9】実施例2に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。
図10A】従来の燃料電池セルの組付け時を示す要部断面図である。
図10B図10Aの圧縮時を示す要部断面図である。
図11A】従来の他の燃料電池セルの組付け時を示す要部断面図である。
図11B図11Aの圧縮時を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池セル1は、一方側セパレータ2と、他方側セパレータ3と、膜電極複合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)4とを備えている。一方側セパレータ2は、平坦に形成された配置部5に配置されたシール部材6及び反応ガスが流通する反応流路部7を備えている。他方側セパレータ3は、配置部8に配置されたシール部材9及び反応ガスが流通する反応流路部10を備えている。
【0021】
膜電極複合体4は、一方側セパレータ2と他方側セパレータ3との間にそれぞれシール部材6,9を介して配置されている。膜電極複合体4は、電解質膜11、一対の触媒電極層(図示省略)及び一対のガス拡散層12,12で構成されている。電解質膜11、一対の触媒電極層及び一対のガス拡散層12,12で構成される厚い部位を「本体部13」とし、本体部13から外側に張り出す電解質膜11を「張出部14」とする。張出部14は、フィルムで形成されている場合もある。
【0022】
膜電極複合体4の本体部13が反応流路部7,10同士に挟持されて反応領域21を形成するとともに、張出部14がシール部材6,9同士に挟持されてシール領域22を形成している。一方側セパレータ2の反応流路部7のうち膜電極複合体4の本体部13に当接する当接面17bは、一方側セパレータ2の配置部5の配置面5aよりも低い位置に設定されている。つまり、当接面17bは、一方側セパレータ2の配置面5aよりも膜電極複合体4から離間する側に設定されている。
【0023】
図3に示すように、本実施形態の燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法では、膜電極複合体4の本体部13に当接する当接面17bを、一方側セパレータ2の配置部5の配置面5aよりも低い位置に設定している。これにより、一方側セパレータ2の上に膜電極複合体4を配置したときに、張出部14(電解質膜11又はフィルム)を概ね平坦にすることができる。また、圧縮時においても張出部14の高さ方向の変位を少なくすることができる。これにより、燃料電池セル1を組み付ける際に、反応領域21とシール領域22との間の張出部14のたわみを無くすか、小さくすることができ、圧縮後においても、張出部14のしわを無くすか、小さくすることができる。以下、実施例について詳細に説明する。
【0024】
[実施例1]
図1に示すように、燃料電池セル1は、アノード側より供給される水素(燃料ガス)、カソード側より供給される酸素(酸化ガス)との化学反応により発電する部材である。前記燃料ガス及び酸化ガスを総称して「反応ガス」とも言う。燃料電池スタックは、燃料電池セル1を複数個積層させ、隣り合う燃料電池セル1,1間で所定のクリアランス又は荷重で圧縮することで形成される。
【0025】
一方側セパレータ2は、本実施例では膜電極複合体4の下側に配置される板状部材である。一方側セパレータ2は、配置部5と、反応流路部7とを有する。配置部5は、シール部材6が配置される部位であり、凸ビードが無く平坦に形成されている。配置部5は、一方側セパレータ2のうち膜電極複合体4に対向する面に形成されている。配置部5は、本実施例では凸ビード等が無い平坦な形状になっているが、シール部材6を平坦に配置できる範囲で配置部5の一部に溝等が形成されていてもよい。
【0026】
シール部材6は、弾性材料で形成されており、本実施例では断面矩形のフラットガスケットである。シール部材6は、弾性を有する材料で形成すればよく、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ポリイソブチレン(PIB)等を用いることができる。
【0027】
シール部材6は、一方側セパレータ2に一体成形されるか、又は、シール部材6を成形した後、当該シール部材6を一方側セパレータ2に貼り付けて形成することができる。また、粘着剤付きの樹脂補強体にシール部材6を一体成形して一方側セパレータ2に貼り付けることもできる。シール部材6の形状は、適宜設定すればよいが、本実施例では張出部14(電解質膜11又はフィルム)が当接する当接面6aが平坦であることが好ましい。
【0028】
反応流路部7には、反応ガスを反応領域に広く拡散させるために複数の流路溝17が形成されている。隣り合う流路溝17,17の間には、膜電極複合体4の本体部13に当接する複数の当接面17bが形成されている。当接面17bは、それぞれ同じ高さ位置に形成されており、配置部5の配置面5aと平行になっている。当接面17bは、電解質膜11の厚さ方向において配置部5の配置面5aよりも低くなる(電解質膜11から離間する側)ように設定されている。
【0029】
他方側セパレータ3は、本実施例では膜電極複合体4の上側に配置される板状部材である。他方側セパレータ3は、配置部8と、反応流路部10とを有する。配置部8は、シール部材9が配置される部位であり、凸ビードが無く平坦に形成されている。配置部8は、膜電極複合体4に対向する面に形成されている。配置部8は、本実施例では平坦になっているが、配置部8の一部に溝等が形成されていてもよい。
【0030】
シール部材9は、弾性材料で形成されており、本実施例では先端に向けて縮径するリップガスケットである。シール部材9の弾性材料はシール部材6と同じである。また、シール部材9と他方側セパレータ3との成形方法もシール部材6と同じである。シール部材9の形状は、反応ガスが遺漏しないようにシール可能であれば特に制限されない。
【0031】
反応流路部10には、反応ガスを反応領域に広く拡散させるための複数の流路溝18が形成されている。隣り合う流路溝18,18の間には、膜電極複合体4の本体部13に当接する複数の当接面18bが形成されている。当接面18bは、それぞれ同じ高さ位置に形成されており、配置部8の配置面8aと平行になっている。当接面18bは、電解質膜11の厚さ方向において配置部8の配置面8aよりも低い位置(電解質膜11に近接する側)となるように設定されている。また、流路溝18の底面18aは、本実施例では、配置面8aと当接面18bの間に形成されている。
【0032】
膜電極複合体4の本体部13の厚さは、張出部14の厚さに対して十分に大きくなっている。張出部14は、電解質膜11又はフィルムで形成されている。
【0033】
膜電極複合体4の本体部13は、反応流路部7の当接面17bと、反応流路部10の当接面18bとで挟持される。これにより、反応ガスの化学反応が促進される反応領域21が形成される。また、膜電極複合体4の張出部14は、シール部材6,9で挟持される。これにより、反応ガスがシールされるシール領域22が形成される。張出部14(電解質膜11又はフィルム)の位置は、反応領域21とシール領域22との間で概ね同じ高さ位置になっている。つまり、張出部14は、反応領域21とシール領域22との間で、一方側セパレータ2の配置部5と概ね平行になっている。
【0034】
図2に示すように、組付け前の一方側セパレータ2に配置されるシール部材6の厚さをt1とし、一方側セパレータ2に配置されるシール部材6のつぶし代をt1Cとする。また、一方側セパレータ2の反応流路部7の当接面17bから一方側セパレータ2の配置部5の配置面5aまでの高さをt2とする。
【0035】
また、一方側セパレータ2側に配置されたガス拡散層12の組付け前の厚さ寸法をTGDLとし、当該ガス拡散層12のつぶし代寸法をTCとする。また、流路溝17の底面17aから当接面17bまでの高さ寸法をt3とする。また、流路溝17の底面17aから、配置部5の配置面5aまでの高さ寸法をt4とする。このとき、本実施例では、下記の式(1)を満たすように各寸法が設定されている。
【0036】
(t1-t1C)+t2=(TGDL-TC) 式(1)
【0037】
なお、張出部14を平坦に設計することは困難であるため、反応ガスの化学反応が促進される範囲で下記の式(2)を満たすように各寸法を設定してもよい。
【0038】
(t1-t1C)+t2=(TGDL-TC)×α 式(2)
α=0.8~1.2
【0039】
また、他方側セパレータ3の流路溝18の底面18aから当接面18bまでの高さ寸法をt6とし、配置部8の配置面8aから底面18aまでの高さ寸法をt7とし、配置部8の配置面8aから当接面18bまでの高さ寸法をt8とする。また、組付け前の他方側セパレータ3に配置されるシール部材9の厚さ寸法をt10とし、他方側セパレータ3に配置されるシール部材9のつぶし代をt10cとする。このとき、本実施例では下記の式(3)、式(4)を満たすように各寸法が設定されている。
【0040】
t2≦t4<t8 式(3)
t2<t7≦t8 式(4)
【0041】
前記した式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)は、例示であって各部位の寸法は適宜設計が可能である。例えば、流路溝17,18の高さt3,t6は、反応ガス(水素、酸素)及び冷却水の流動性やガス拡散層12の圧縮率から適宜設定すればよい。
【0042】
次に、本実施例に係る燃料電池セルの製造方法について説明する。本実施例に係る燃料電池セルの製造方法では、準備工程と、膜電極複合体配置工程と、他方側セパレータ配置工程と、圧縮工程とを行う。
【0043】
図2に示すように、準備工程は、前記した一方側セパレータ2、他方側セパレータ3及び膜電極複合体4を準備する工程である。図3に示すように、膜電極複合体配置工程は、一方側セパレータ2の上に、膜電極複合体4を配置する工程である。膜電極複合体配置工程では、膜電極複合体4の本体部13を反応流路部7の当接面17bに配置するとともに、張出部14をシール部材6の当接面6aに配置する。このとき、張出部14(電解質膜11又はフィルム)の高さ位置は概ね一定とすることができる。
【0044】
他方側セパレータ配置工程は、膜電極複合体4の上に他方側セパレータ3を配置する工程である。他方側セパレータ配置工程では、膜電極複合体4の本体部13の上に反応流路部10の当接面18bを当接させるとともに、シール部材9をシール部材6に対向させつつ張出部14に当接させる。
【0045】
圧縮工程は、組付けられた燃料電池セル1を複数個積層させ、所定のクリアランス又は荷重で一方側セパレータ2と他方側セパレータ3とを近接させる方向に力を付与して圧縮する。これにより、図1に示すように、シール部材6,9が収縮されるとともに、ガス拡散層12,12も収縮される。圧縮後、張出部14(電解質膜11又はフィルム)は、しわがなく、一方側セパレータ2の配置部5と概ね平行になっている。
【0046】
次に、本実施例の作用効果について説明する。本実施例に係る燃料電池セル1及び燃料電池セルの製造方法では、図2に示すように、反応流路部7の当接面17bが、一方側セパレータ2の配置部5の配置面5aよりも低い位置(電解質膜11から離間した位置)に設定されている。換言すると、シール部材6の当接面6aと、流路溝17の当接面17bとで、膜電極複合体4のガス拡散層12の厚さを吸収するための段差を設けている。これにより、膜電極複合体配置工程において、膜電極複合体4を一方側セパレータ2に配置した際、張出部14のたわみを無くすか、小さくすることができる。換言すると、膜電極複合体配置工程において、一方側セパレータ2の配置部5と概ね平行となるように張出部14を平坦に配置することができる。
【0047】
図10A及び図11Aで示したように、組付け時に張出部112,212にたわみが発生していると圧縮時に張出部112,212にしわが発生やすくなるが、本実施例では、膜電極複合体配置工程でたわみを無くすか、小さくすることができるため、圧縮工程後の燃料電池セル1において、張出部14のしわを無くすか、小さくすることができる。
【0048】
ここで、例えば、図10Aの凸ビード108及び図11Aのシール部材204のように、セパレータ101,201側のつぶし代を大きく設定すると圧縮工程の際に張出部112,212の高さ方向(電解質膜の厚さ方向)の変位が大きくなり、しわの発生の要因となる。また、この形態であると、各部位の寸法設計、つぶし代の設計が困難になる。
【0049】
この点、本実施例によれば、シール領域22における一方側セパレータ2のシール部材6のつぶし代t1c及び一方側セパレータ2のつぶし代(凸ビードが無いため実質ゼロ)の和を、他方側セパレータ3のシール部材9のつぶし代t10c及び他方側セパレータ3のつぶし代(凸ビードが無いため実質ゼロ)の和よりも小さく設定している。
【0050】
つまり、圧縮工程において、一方側セパレータ2のシール部材6のつぶし代t1cを、他方側セパレータ3のシール部材9のつぶし代t10cよりも小さく設定することにより、圧縮工程時のシール領域22における張出部14の高さ方向(電解質膜11の厚さ方向)の変位を小さくすることができる。これにより、圧縮工程時においても、張出部14のしわを無くすか、小さくすることができる。また、本実施例によれば、各部位の寸法設計、つぶし代の設計を容易に行うことができる。
【0051】
また、各部材の高さ寸法、厚さ寸法は適宜設定すればよいが、前記した式(1)のように条件を設定すれば、圧縮後の反応領域21側の電解質膜11の高さ位置と、シール領域22側の張出部14(電解質膜11又はフィルム)の高さ位置を概ね同一にすることができる。これにより、張出部14のしわを無くすか、より小さくすることができる。
【0052】
また、他方側セパレータ3のシール部材9にリップガスケットを用いることで、配置部8を平坦にしつつ、反応流路部10側との高さ位置を容易に調節することができる。
【0053】
また、シール部材6の当接面6aを平坦にすることで、各部材の組付け時に張出部14にたわみが発生するのを防ぐことができ、ひいては張出部14にしわが発生するのを防ぐことができる。また、平坦に形成されている一方側セパレータ2の配置部5の上に、膜電極複合体4を配置することで、簡単な作業で各部材の組付け時に張出部14にたわみが発生するのを防ぐことができ、ひいては張出部14にしわが発生するのを防ぐことができる。
【0054】
[変形例1]
次に、実施例1の変形例1について説明する。図4は、実施例1の変形例1に係る燃料電池セルの要部分解断面図である。図5は、実施例1の変形例1に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。当該変形例1では、図4に示すように、一方側セパレータ2に受け部31,31が形成されている点で実施例1と相違する。変形例1では、実施例1と相違する部分を中心に説明する。
【0055】
受け部31は、一方側セパレータ2の配置部5において、シール部材6の両側に形成されている。受け部31は、シール部材6の延長方向に対して断続的に形成されていてもよいし、連続的に形成されていてもよい。また、受け部31は、シール部材6の片側のみに形成されていてもよい。
【0056】
受け部31の形状は、特に制限されないが、本変形例では先端に向けて縮径するように形成されている。受け部31の高さ寸法は、組付け前においてシール部材6の厚さよりも大きくなるように設定されている。受け部31の材料は特に制限されないが、例えば、シリコーンゴム(VMQ)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリイソブチレン(PIB)、樹脂等を用いることができる。
【0057】
図5に示すように、変形例1に係る膜電極複合体配置工程では、一方側セパレータ2の上に、膜電極複合体4を配置する。膜電極複合体4の本体部13を反応流路部7の当接面17b,17bに配置するとともに、張出部14を受け部31,31の上に配置する。このとき、張出部14は受け部31,31の先端に当接するが、シール部材6の当接面6aとは離間している。離間寸法は適宜設定すればよいが、例えば、0.1mmに設定する。なお、説明の便宜上、図5ではシール部材6の当接面6aから張出部14までの隙間を実際よりも大きく描画している。
【0058】
圧縮工程では、一方側セパレータ2と他方側セパレータ3とが互いに近接する方向に荷重が作用するため、前記した実施例1と同様に、張出部14はシール部材6,9とそれぞれ接触し、挟持される。したがって、受け部31は、当該シール機構に影響の無い材料、形状等に設定することが好ましい。
【0059】
ここで、シール部材6に粘着性(タック性)がある場合に、膜電極複合体配置工程及び他方側セパレータ配置工程を行うと、張出部14とシール部材6とが貼り付いてしまい、作業時間が増大したり、たわみ、しわ等の原因になったりするおそれがある。
【0060】
これに対し、変形例1によれば、一方側セパレータ2の配置部5に受け部31,31を有しているため、圧縮工程を行う前に、張出部14とシール部材6とが貼り付くのを防ぐことができる。これにより、シール部材6のタック性が高い場合でも張出部14がシール部材6に貼り付きにくく、組付けが容易となり、作業時間を短縮することができる。さらに、たわみがある状態でシール部材6に張出部14が貼り付くことを防ぐことができる。また、受け部31が、低タック性の材料であればより作業性を高めることができる。
【0061】
[変形例2]
図6は、実施例1の変形例2に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。図6に示すように、受け部31,31は、張出部14(電解質膜11又はフィルム)に設けてもよい。
【0062】
変形例2に係る受け部31,31は、張出部14のうち一方側セパレータ2に対向する面に形成されている。受け部31,31は、張出部14において、シール部材6の両側に配置されるように形成されている。受け部31は、シール部材6の延長方向に対して断続的に形成されていてもよいし、連続的に形成されていてもよい。また、受け部31は、シール部材6の片側のみに配置されるように形成してもよい。
【0063】
膜電極複合体配置工程では、図6に示すように、一方側セパレータ2の上に膜電極複合体4を配置する。膜電極複合体4の本体部13を反応流路部7の当接面17b,17bに配置するとともに、受け部31,31の先端を一方側セパレータ2の配置部5に当接させる。このとき、張出部14とシール部材6とは離間している。変形例2のように、受け部31,31は、張出部14に設けてもよい。変形例2の構成であっても、変形例1と同等の効果を奏することができる。
【0064】
[実施例2]
次に、実施例2に係る燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法について説明する。図7は、実施例2に係る燃料電池セルを示す要部断面図である。実施例2に係る燃料電池セル1Aは、図7に示すように、他方側セパレータ3Aに凸ビード41を設けている点と、シール部材42を用いている点で主に相違する。実施例2では実施例1と相違する部分を中心に説明する。
【0065】
図7に示すように、一方側セパレータ2及び膜電極複合体4は、実施例1と同一である。他方側セパレータ3Aは、凸ビード41と、シール部材42と、反応流路部10とを備えている。凸ビード41は、一方側セパレータ2側に向けて突出する部位である。凸ビード41の先端には、シール部材42を配置する平坦な配置部43が形成されている。
【0066】
シール部材42は、配置部43に設けられている。シール部材42は、本実施例では断面矩形のフラットガスケットを用いている。
【0067】
図8は、実施例2に係る燃料電池セルを示す要部分解断面図である。図8に示すように、各部材の寸法及び条件は、実施例1と概ね同一である。なお、組付け前の凸ビード41の高さ寸法をt11とし、凸ビード41のつぶし代をt11cとする。また、組付け前の他方側セパレータ3Aに配置されるシール部材42の厚さ寸法をt12とし、シール部材42のつぶし代をt12cとする。
【0068】
次に、実施例2に係る燃料電池セルの製造方法について説明する。当該実施例2では、準備工工程と、膜電極複合体配置工程と、他方側セパレータ配置工程と、圧縮工程とを行う。準備工程では、一方側セパレータ2、他方側セパレータ3A及び膜電極複合体4を準備する。
【0069】
図9は、実施例2に係る燃料電池セルの製造方法を示す要部断面図である。図9に示すように、膜電極複合体配置工程では、実施例1と同じ要領で一方側セパレータ2の上に膜電極複合体4を配置する。他方側セパレータ配置工程では、膜電極複合体4の上に他方側セパレータ3Aを配置する。他方側セパレータ配置工程では、反応流路部7,10の間に膜電極複合体4の本体部13を挟持して反応領域21を形成するとともに、シール部材6,42で張出部14を挟持してシール領域22を形成する。
【0070】
圧縮工程では、図7に示すように、一方側セパレータ2と他方側セパレータ3Aとが近接する方向に圧縮する。これにより、シール部材6,42が圧縮されるとともに、凸ビード41及びガス拡散層12,12も圧縮される。張出部14は、一方側セパレータ2の配置部5と概ね平行になっている。
【0071】
このように、実施例2に係る燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法によっても、実施例1と略同等の効果を奏することができる。また、他方側セパレータ3Aに凸ビード41を設け、当該凸ビード41にシール部材42を設けることで、反応流路部10側との高さ位置を容易に調節することができる。
【0072】
また、シール領域22における一方側セパレータ2のシール部材6のつぶし代t1c及び一方側セパレータ2のつぶし代(凸ビードが無いため実質ゼロ)の和を、他方側セパレータ3Aの凸ビード41のつぶし代t11c及びシール部材42のつぶし代t12cの和よりも小さく設定している(t1c<(t11c+t12c))。
【0073】
つまり、圧縮工程において、一方側セパレータ2のシール部材6のつぶし代t1cを他方側セパレータ3Aの凸ビード41のつぶし代t11c及びシール部材42のつぶし代t12cの和よりも小さく設定することにより、圧縮工程時のシール領域22における張出部14の高さ方向(電解質膜11の厚さ方向)の変位を小さくすることができる。これにより、圧縮工程時においても、張出部14のしわを無くすか、小さくことができる。また、本実施例によれば、各部位の寸法設計、つぶし代の設計を容易に行うことができる。
【0074】
以上本発明の実施例を説明したが、前記した構成に限定されることなく適宜設計変形が可能である。例えば、実施例2の形態でも受け部31を設けることもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 燃料電池セル
2 一方側セパレータ
3 他方側セパレータ
4 膜電極複合体
5 配置部
6 シール部材
7 反応流路部
8 配置部
9 シール部材
10 反応流路部
11 電解質膜
12 ガス拡散層
13 本体部
14 張出部
17b 当接面
18b 当接面
31 受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B