(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】最安輸送ルート判断システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20221122BHJP
G06Q 10/08 20120101ALI20221122BHJP
【FI】
B65G61/00 530
G06Q10/08 300
(21)【出願番号】P 2021548062
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2019037717
(87)【国際公開番号】W WO2021059415
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直人
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 浩
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-286502(JP,A)
【文献】特開平10-171895(JP,A)
【文献】特開2008-83999(JP,A)
【文献】特開2012-14372(JP,A)
【文献】特開2016-24737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断システムであって、
倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得する取得手段と、
前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測する予測手段と、
前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定する決定手段と、
前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断する判断手段と、
を備える最安輸送ルート判断システム。
【請求項2】
前記取得手段は、景気情報を取得し、
前記予測手段は、取得された輸送情報と保管情報と景気情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測する、請求項1記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項3】
前記予測手段は、例外の発生率を考慮して、前記輸送情報に含まれる輸送数から販売数を推測して、前記商品の需給を予測する請求項1又は2記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項4】
前記予測手段は、例外の発生率を考慮して、前記保管情報に含まれる保管数から売れ残り数を推測して、前記商品の需給を予測する請求項1又は2記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項5】
前記判断手段による判断結果を、前記商品の売主、輸送会社、拠点管理者の少なくともいずれかの端末に出力させて提供する提供手段、を備える請求項1~4のいずれか一項に記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項6】
前記取得手段は、輸送手段の積載空き状況を取得し、
前記判断手段は、前記取得された輸送手段の積載空き状況を最安料金の輸送ルートの判断に加える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項7】
前記予測手段による需給の予測結果が変更されるたびに、前記判断手段により得られる最安料金の輸送ルートを更新する更新手段、を備える請求項1~6のいずれか一項に記載の最安輸送ルート判断システム。
【請求項8】
倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断方法であって、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得するステップと、前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測するステップと、前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定するステップと、前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断するステップと、を備える最安輸送ルート判断方法。
【請求項9】
コンピュータに、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断処理を実行させるプログラムであって、
倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得するステップと、
前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測するステップと、
前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定するステップと、
前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安輸送ルートを作成する最安輸送ルート判断コンピュータ、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流のIoT化が進んできている。例えば、製品を複数の生産拠点で生産して複数の在庫拠点へ輸送する場合に、倉庫拠点に求められる基準在庫を充足し、かつ生産コスト、倉庫拠点の保管コスト、および輸送コストを全体で最小にすることを目的として輸送計画を立案する技術が提供されている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流のIoT化においては、需要と供給の状況を分析して料金の最適化を予測する技術の適用が考えられる。例えば、輸送ルートの最安料金の予測への適用がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断することができない。
【0005】
本発明は、以上の点に課題に鑑み、倉庫から買主に向けて輸送している輸送情報と、倉庫に保管している保管情報と、から商品の需給を予測して、拠点と期日と個数とに応じて最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断コンピュータであって、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得する取得手段と、前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測する予測手段と、前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定する決定手段と、前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断する判断手段と、を備える最安輸送ルート判断システムを提供する。
【0007】
また、本発明は、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断方法であって、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得するステップと、前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測するステップと、前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定するステップと、前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断するステップと、を備える最安輸送ルート判断方法を提供する。
【0008】
更に、本発明は、コンピュータに、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断する最安輸送ルート判断処理を実行させるプログラムであって、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報と、倉庫に保管している当該商品の保管情報と、を取得するステップと、前記取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データを学習して、前記商品の需給を予測するステップと、前記予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための拠点と期日と個数とを決定するステップと、前記決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断するステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、倉庫から買主に向けて輸送している輸送情報と、倉庫に保管している保管情報と、から商品の需給を予測して、拠点と期日と個数とに応じて最安料金の輸送ルートを判断することとした。このため、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断し、ユーザの利益率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の最安輸送ルート判断全体システムの概要を示す概念図である。
【
図2】前記実施形態のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】前記実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】前記実施形態の最安輸送ルート判断処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、倉庫から買主に向けて輸送している輸送情報と、倉庫に保管している保管情報と、から商品の需給を予測して、拠点と期日と個数とに応じて最安料金の輸送ルートを判断する技術であり、ユーザの利益率を上げるものである。
【0012】
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る最安輸送ルート判断全体システム(以下「全体システム」とする)100の概要を示す図である。全体システム100は、サーバ30を中心に構成されており、サーバ30と、輸送車両10の端末、倉庫20の端末、売主80の端末、輸送会社82の端末、拠点管理者84の端末は、インターネットなどの図示しないネットワークによって相互にデータ通信可能に接続されている。このほか、買主の端末とデータ通信可能に接続されていてもよい。サーバ30は、単体のコンピュータであってよく、例えば、端末であってもよい。また、各構成がそれぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってよい。
【0013】
サーバ30は、倉庫20から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報12が、例えば、輸送車両10から送信されると、当該輸送情報12を受信することで、輸送情報12を取得する(ステップSA)。輸送情報12は、例えば、空輸、海運、陸運における輸送手段から、輸送中に提供される輸送情報であり、商品名、輸送数、輸送地域、輸送期日などを含むものである。輸送情報12は、輸送会社82から送信された伝票情報から把握してもよいが、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、輸送会社82の端末が受け付けた入力内容(伝票情報など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が輸送情報12を取得する。あるいは、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から輸送情報12を取得する。
【0014】
また、サーバ30は、倉庫に保管している商品の保管情報22が、倉庫20などから送信されると、当該保管情報22を受信することで、保管情報22を取得する(ステップSB)。保管情報22は、例えば、商品名や保管数を含む。保管情報22は、拠点管理者84から送信される伝票番号から把握してもよいが、倉庫20に保管中の商品に取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、保管情報22は、拠点管理者84の端末が受け付けた入力内容(伝票番号など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が保管情報22を取得する。あるいは、倉庫20に保管中の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から保管情報22を取得する。
【0015】
サーバ30は、取得された輸送情報12と保管情報22とを関連付けた関連データを学習して、商品の需給を予測する(ステップS1)。例えば、どの商品が、どの地域で、どの期日で、何個売れたか、などを学習して、月次単位の商品需給を予測するなどである。
【0016】
次に、サーバ30は、予測の結果に応じて、買主に向けて商品を効率的に輸送するための、拠点と期日と個数とを決定する(ステップS2)。例えば、1ヶ月後に沖縄で100個売れると予測し、かつ、現時点で沖縄拠点に在庫50個があって、1ヶ月後に在庫10個になると予測されれば、予め沖縄に近い拠点に3週間以内に90個を輸送しておく、すなわち、1ヶ月後の合計を100個にできればよい、という具合に決定する。
【0017】
サーバ30は、決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断する(ステップS3)。例えば、沖縄に3週間以内に100個を輸送するならば、飛行機ではなく、トラックでもなく、船を利用するのが最安であると判断するという具合である。
【0018】
サーバ30は、判断した結果を、売主80、輸送会社82、拠点管理者84などにネットワークを介して送信することで、判断結果を提供する(ステップS4)。そして、受信した売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に、受信した判断結果を表示させることで確認させる。
【0019】
なお、サーバ30は、景気情報も取得して、輸送情報と保管情報と景気情報とを関連付けた関連データを学習して、今後の需給を予測するようにしてもよい。景気情報とは、例えば、株価情報やアナリスト情報などであって、これらの景気情報の提供元から送信されたデータをサーバ30が受信することで、景気情報を取得する。
【0020】
また、例外の発生率を考慮して、輸送数から販売数を推測して需給を予測してもよい。基本的には、販売されたら倉庫から輸送になるため、例外の発生率を考慮して輸送数から販売数を推測できる。あるいは、例外の発生率を考慮して、保管数から売れ残り数を推測して、需給を予測してもよい。基本的には、売れ残りは倉庫に保管されたままになるため、例外の発生率を考慮して保管数から売れ残り数を推測できる。
【0021】
更に、サーバ30は、輸送手段の積載空き状況を取得して、最安料金の輸送ルートの判断に加えるようにしてもよい。輸送手段とは、例えば、トラック、飛行機、船、鉄道などである。積載空き状況は、輸送車両10や、輸送会社82から送信されたデータをサーバ30が受信することで取得される。このような積載空き状況を取得して判断に加味することで、例えば、混載した方が料金が安くなる、という具合に、より適切な最安料金の輸送ルート判断を行うことができる。
【0022】
なお、このような最安料金の輸送ルートの判断は、需給の予測結果が変更される度に最新の情報に更新される。更新された最安料金の輸送ルートは、ネットワークを介して売主80、輸送会社82、拠点管理者84に送信することで提供される。そして、更新された輸送ルートを受信した売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に、更新された最安料金の輸送ルートを表示させることで確認させる。
【0023】
<サーバのハードウェア構成>
次に、
図2を参照して、サーバ30のハードウェア構成を説明する。サーバ30は、プロセッサ32、メモリ34、ストレージ36、通信部50を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ34に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ34は、プロセッサ32により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、
図3に示す各種手段が記憶されている。
【0024】
ストレージ36は、取得データ38、関連データ40、予測データ42、決定データ44、輸送ルート46などを記憶するものである。前記取得データ38には、輸送情報38A、保管情報38B、景気情報38C、積載空き状況38Dなどが含まれる。
【0025】
通信部50は、ネットワークを介して、輸送車両10や輸送会社82の端末から送信された輸送情報12を受信して取得し、倉庫20や拠点管理者84の端末から送信された保管情報22を受信して取得するものである。むろん、必要に応じて、他の提供元から送信される他の情報(例えば、景気情報や積載空き状況など)を受信して取得してもよい。
【0026】
<サーバの機能構成>
次に、
図3を参照して、サーバ30の機能構成を説明する。サーバ30は、取得手段60と、予測手段62と、決定手段64と、判断手段66と、提供手段68と、更新手段70を備えている。
【0027】
取得手段60は、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報12や、倉庫に保管している当該商品の保管情報22を取得するものである。取得手段60は、例えば、輸送車両10や輸送会社82から送信された輸送情報12を受信することで取得する。輸送情報12は、例えば、商品名、輸送数、輸送地域、輸送期日などを含むものである。輸送情報12は、輸送会社82から送信され伝票情報から把握してもよいが、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、輸送会社82の端末が受け付けた入力内容(伝票情報など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が輸送情報12を取得する。あるいは、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から輸送情報12を取得する。取得した輸送情報12は、ストレージ36の取得データ38に輸送情報38Aとして記憶される。
【0028】
また、取得手段60は、倉庫に保管している商品の保管情報22が、倉庫20などから送信されると、当該保管情報22を受信することで、保管情報22を取得する。保管情報22は、例えば、商品名や保管数を含む。保管情報22は、拠点管理者84から送信される伝票番号から把握してもよいが、倉庫20に保管中の商品に取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、保管情報22は、拠点管理者84の端末が受け付けた入力内容(伝票番号など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が保管情報22を取得する。あるいは、倉庫20に保管中の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から保管情報22を取得する。
【0029】
このほか、取得手段60は、景気情報を取得してもよい。景気情報とは、例えば、株価情報やアナリスト情報などであって、これらの景気情報の提供元から送信されたデータを受信し、景気情報を取得する。取得した景気情報は、ストレージ36の取得データ38に、景気情報38Cとして記憶される。
【0030】
さらに、取得手段60は、輸送手段の積載空き状況を取得してもよい。輸送手段とは、例えば、トラック、飛行機、船、鉄道などである。積載空き状況は、輸送車両10や輸送会社82の端末から送信されたデータを受信することで取得される。取得した積載空き状況は、ストレージ36の取得データ38に積載空き状況38Dとして記憶される。
【0031】
予測手段62は、取得手段60によって取得された輸送情報38Aと保管情報38Bとを関連付けた関連データ40を学習して、商品の需給を予測するものである。例えば、どの商品が、どの地域で、どの期日で、何個売れたか、などを学習して、月次単位の商品需給を予測する。また、取得手段60によって景気情報を取得した場合には、輸送情報と保管情報と景気情報とを関連付けた関連データ40を学習して、今後の需給を予測するようにしてもよい。予測手段62によって生成された予測データ42は、ストレージ36に記憶される。
【0032】
また、予測手段62は、例外の発生率を考慮して、輸送数から販売数を推測して需給を予測してもよい。基本的には、販売されたら倉庫から輸送になるため、例外の発生率を考慮して輸送数から販売数を推測できる。あるいは、予測手段62は、例外の発生率を考慮して、保管数から売れ残り数を推測して、需給を予測してもよい。基本的には、売れ残りは倉庫に保管されたままになるため、例外の発生率を考慮して保管数から売れ残り数を推測できる。
【0033】
決定手段64は、前記予測手段62により得られた予測の結果に応じて、買主に向けて商品を効率的に輸送するための、拠点と期日と個数とを決定するものである。例えば、1ヶ月後に沖縄で100個売れると予測し、かつ、現時点で沖縄拠点に在庫50個があって、1ヶ月後に在庫10個になると予測されれば、予め沖縄に近い拠点に3週間以内に90個を輸送しておく、すなわち、1ヶ月後の合計を100個にできればよい、という具合である。決定手段64により生成された決定データ44は、ストレージ36に記憶される。
【0034】
判断手段66は、前記決定手段64によって決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断するものである。例えば、沖縄に3週間以内に100個を輸送するならば、飛行機ではなく、トラックでもなく、船を利用するのが最安であると判断するという具合である。
【0035】
また、判断手段66は、前記取得手段60によって輸送手段の積載空き状況38Dを取得した場合には、積載空き状況38Dを最安料金の輸送ルートの判断に加えるようにしてもよい。積載空き状況38Dを取得して判断に加味することで、例えば、混載した方が料金が安くなる、という具合に、より適切な最安料金の輸送ルート判断を行うことができる。判断手段66により生成された最安料金の輸送ルート46は、ストレージ36に記憶される。
【0036】
提供手段68は、判断手段66により判断された最安料金の輸送ルート46を、売主80、輸送会社82、拠点管理者84などの端末にネットワークを介して送信することで、判断結果を提供するものである。判断結果を受信した売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に、受信した判断結果を表示させることで確認させる。後述する更新手段70によって、最安料金の輸送ルートが更新された場合にも、同様に判断結果を提供する。
【0037】
更新手段70は、前記予測手段62による需給の予測結果が変更される度に、最安料金の輸送ルートの判断を更新するものである。更新された最安料金の輸送ルートは、前記提供手段68によって、ネットワークを介して売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に送信することで提供される。そして、更新された輸送ルートを受信した売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に、更新された最安料金の輸送ルートを表示させることで確認させる。
【0038】
<最安輸送ルート判断処理>
次に、本全体システム100の最安輸送ルート判断処理の一例について、
図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態の最安輸送ルート判断処理の一例を示すフローチャートである。なお、サーバ30と、輸送車両10、倉庫20、売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末は、インターネットなどを含むネットワークによって互いにデータ通信可能に接続されている。
【0039】
サーバ30の取得手段60は、倉庫から買主に向けて輸送中の商品の輸送情報12が、輸送車両10から送信されると、当該輸送情報12を受信することで、輸送情報12を取得するとともに、倉庫に保管している商品の保管情報22が、倉庫20などから送信されると、当該保管情報22を受信することで、保管情報22を取得する(ステップS10)。
【0040】
輸送情報12は、例えば、商品名、輸送数、輸送地域、輸送期日などを含むものである。輸送情報12は、輸送会社82から送信され伝票情報から把握してもよいが、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、輸送会社82の端末が受け付けた入力内容(伝票情報など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が輸送情報12を取得する。あるいは、輸送車両10の荷台の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から輸送情報12を取得する。取得された輸送情報は、ストレージ36の取得データ38に、輸送情報38Aとして記憶される。
【0041】
保管情報22は、例えば、商品名や保管数を含む。保管情報22は、例えば、拠点管理者84から送信される伝票番号から把握してもよいが、倉庫20に保管中の商品の取り付けられた識別情報を取得して把握してもよい。具体的には、保管情報22は、拠点管理者84の端末が受け付けた入力内容(伝票番号など)が送信され、当該入力内容を受信することで、サーバ30が保管情報22を取得する。あるいは、倉庫20に保管中の商品に取り付けられた識別情報を端末が取得して当該識別情報を送信し、識別情報をサーバ30が受信することで識別情報から保管情報22を取得する。取得された保管情報は、ストレージ36の取得データ38に、保管情報38Bとして記憶される。
【0042】
次に、サーバ30の予測手段62は、取得された輸送情報38Aと保管情報38Bとを関連付けた関連データ40を学習して、商品の需給を予測する(ステップS12)。例えば、どの商品が、どの地域で、どの期日で、何個売れたか、などを学習して、月次単位の商品需給を予測するなどである。予測手段62により生成された予測データ42は、ストレージ36に記憶される。
【0043】
次に、サーバ30の決定手段64は、予測の結果に応じて、買主に向けて商品を効率的に輸送するための、拠点と期日と個数とを決定する(ステップS14)。例えば、1ヶ月後に沖縄で100個売れると予測し、かつ、現時点で沖縄拠点に在庫50個があって、1ヶ月後に在庫10個になると予測されれば、予め沖縄に近い拠点に3週間以内に90個を輸送しておく、すなわち、1ヶ月後の合計を100個にできればよい、という具合に決定する。決定手段64により生成された決定データ44は、ストレージ36に記憶される。
【0044】
サーバ30の判断手段66は、決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルートを判断する(ステップS16)。例えば、沖縄に3週間以内に100個を輸送するならば、飛行機ではなく、トラックでもなく、船を利用するのが最安であると判断するという具合である。判断手段66により判断された最安料金の輸送ルート46は、ストレージ36に記憶される。
【0045】
サーバ30の提供手段68は、判断手段66により判断された最安料金の輸送ルート46を、売主80、輸送会社82、拠点管理者84などにネットワークを介して送信することで、判断結果を提供する(ステップS18)。そして、受信した判断結果を、売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に表示させることで確認させる。
【0046】
なお、上述した実施形態において、サーバ30の取得手段60は、景気情報も取得して、取得した輸送情報38Aと保管情報38Bと景気情報38Cとを関連付けた関連データ40を学習して、今後の需給を予測するようにしてもよい。景気情報とは、例えば、株価情報やアナリスト情報などであって、これらの景気情報の提供元から送信されたデータを受信し、景気情報を取得する。取得した景気情報は、ストレージ36に景気情報38Cとして記憶される。
【0047】
また、上述した実施形態において、サーバ30の予測手段62は、例外の発生率を考慮して、輸送数から販売数を推測して需給を予測してもよい。基本的には、販売されたら倉庫から輸送になるため、例外の発生率を考慮して輸送数から販売数を推測できる。あるいは、予測手段62は、例外の発生率を考慮して、保管数から売れ残り数を推測して、需給を予測してもよい。基本的には、売れ残りは倉庫に保管されたままになるため、例外の発生率を考慮して保管数から売れ残り数を推測できる。
【0048】
更に、上述した実施形態において、サーバ30の取得手段60は、輸送手段の積載空き状況38Dを取得して、最安料金の輸送ルートの判断に加えるようにしてもよい。輸送手段とは、例えば、トラック、飛行機、船、鉄道などである。積載空き状況は、輸送手段や、輸送会社82の端末から送信されたデータを受信することで取得され、ストレージ36に積載空き状況38Dとして記憶される。積載空き状況38Dを取得して判断に加味することで、例えば、混載した方が料金が安くなる、という具合に、より適切な最安料金の輸送ルート判断を行うことができる。
【0049】
また、上述した最安料金の輸送ルートの判断は、サーバ30の更新手段70により、需給の予測結果が変更される度に最新の情報に更新され、ストレージ36に記憶される。更新された最安料金の輸送ルートは、ネットワークを介して売主、80、輸送会社82、拠点管理者84に送信することで、提供される。更新された輸送ルートを受信した売主80、輸送会社82、拠点管理者84の端末に、更新された最安料金の輸送ルートを表示させることで確認させる。
【0050】
<効果>
以上説明した実施形態によれば、サーバ30が、輸送情報12と保管情報22とを取得し、取得された輸送情報と保管情報とを関連付けた関連データ40を学習して、商品の需給を予測し、予測の結果に応じて、買主に向けて前記商品を効率的に輸送するための、拠点と期日と個数とを決定し、決定された拠点と期日と個数とに応じて、最安料金の輸送ルート46を判断することとした。このため、倉庫に保管している商品の需給を予測して、最安料金の輸送ルートを判断し、ユーザの利益率を上げることができる。
【0051】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、本発明は、サーバ30で実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、倉庫から買主に向けて輸送している輸送情報と、倉庫に保管している保管情報と、から商品の需給を予測して、拠点と期日と個数とに応じて最安料金の輸送ルートを判断することとしたので、最安輸送ルート判断システムとして好適である。
【符号の説明】
【0053】
10:輸送車両
12:輸送情報
20:倉庫
22:保管情報
30:サーバ
32:プロセッサ
34:メモリ
36:ストレージ
38:取得データ
38A:輸送情報
38B:保管情報
38C:景気情報
38D:積載空き状況
40:関連データ
42:予測データ
44:決定データ
50:通信部
60:取得手段
62:予測手段
64:決定手段
66:判断手段
68:提供手段
70:更新手段
80:売主
82:輸送会社
84:拠点管理者
100:最安輸送ルート判断全体システム