(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-21
(45)【発行日】2022-11-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、制御プログラム、情報処理システムの制御方法、情報処理装置、および入力デバイス
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20221122BHJP
C08J 11/10 20060101ALI20221122BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221122BHJP
【FI】
G06Q10/00 400
C08J11/10
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022102183
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2022-07-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】寺元 義純
(72)【発明者】
【氏名】松田 博行
(72)【発明者】
【氏名】阿久根 康博
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-96523(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0011362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
C08J 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
上記入力デバイスは、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、
上記情報処理装置は、
上記入力デバイスから上記注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、
上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、
少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、
上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている、情報処理システム。
【請求項2】
上記分配量決定部は、
上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量に対する、上記注目プラスチック廃棄物に含まれる上記所定の種類のプラスチック廃棄物の重量の割合を示す種類別廃棄物割合を算出し、
上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記燃料油還元割合予測値と上記種類別廃棄物割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、上記注目ユーザへの分配量を決定し、
上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記非燃料油還元割合予測値と上記種類別廃棄物割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、上記注目ユーザへの分配量を決定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
CO
2クレジット算出部をさらに備えており、
上記情報取得部は、上記樹脂原料の種類、および、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油の使用割合を示す樹脂原料リサイクル情報を取得し、
上記CO
2クレジット算出部は、
上記樹脂原料リサイクル情報に基づき、上記注目ユーザについて、上記樹脂原料の単位重量当たりのCO
2クレジットを算出し、
上記樹脂原料の単位重量当たりのCO
2クレジットに基づき、上記注目ユーザに分配される上記プラスチック製品の単位重量当たりのCO
2クレジットを算出する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
上記注目廃棄物情報は、
上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油について、上記注目ユーザが分配を希望する割合を示す燃料油希望分配割合と、
上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油から得られる樹脂原料から製造されるプラスチック製品について、上記注目ユーザが分配を希望する割合を示すプラスチック製品希望分配割合と、を示す希望分配情報をさらに含んでおり、
上記分配量決定部は、
上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記燃料油還元割合予測値と上記燃料油希望分配割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、上記注目ユーザへの分配量を決定し、
上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記非燃料油還元割合予測値と上記プラスチック製品希望分配割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、上記注目ユーザへの分配量を決定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
上記少なくとも1つのユーザは、複数のユーザであり、
上記希望分配情報に基づいて、複数の上記ユーザの内、上記注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO
2クレジットを算出するCO
2クレジット算出部をさらに備えている、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記情報取得部、上記還元割合算出部、および上記分配量決定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、
入力少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記入力デバイスから上記情報処理装置に供給する供給ステップと、
上記情報処理装置において、上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得する情報取得ステップと、
上記情報処理装置において、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出ステップと、
上記情報処理装置において、(i)少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、(ii)上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定ステップと、を含んでいる、情報処理システムの制御方法。
【請求項8】
少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、
上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、
少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、
上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている、情報処理装置。
【請求項9】
情報処理装置と通信可能に接続された入力デバイスであって、
上記入力デバイスは、上記入力デバイスのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、
上記情報処理装置は、
上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得し、
上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出し、
上記注目ユーザを含む少なくとも1つのユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、
上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定し、
上記入力デバイスは、上記注目ユーザへの燃料油の分配量およびプラスチック製品の分配量を示す注目分配量情報を、上記情報処理装置から取得する、入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、プラスチック廃棄物のリサイクルに関する各情報を処理する情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1には、有機性廃棄物(例:プラスチック廃棄物)のリサイクルを促進することを一目的とした情報処理システム(リサイクル処理促進管理システム)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様の目的は、少なくとも1つのユーザから排出されたプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを、各ユーザに適切に分配することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理システムは、入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、上記入力デバイスは、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、上記情報処理装置は、上記入力デバイスから上記注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている。
【0006】
また、本発明の一態様に係る情報処理システムの制御方法は、入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、入力少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記入力デバイスから上記情報処理装置に供給する供給ステップと、上記情報処理装置において、上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得する情報取得ステップと、上記情報処理装置において、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出ステップと、上記情報処理装置において、(i)少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、(ii)上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定ステップと、を含んでいる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る情報処理装置は、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている。
【0008】
また、本発明の一態様に係る入力デバイスは、情報処理装置と通信可能に接続された入力デバイスであって、上記入力デバイスは、上記入力デバイスのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、上記情報処理装置は、上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得し、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出し、上記注目ユーザを含む少なくとも1つのユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定し、上記入力デバイスは、上記注目ユーザへの燃料油の分配量およびプラスチック製品の分配量を示す注目分配量情報を、上記情報処理装置から取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのユーザから排出されたプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを、各ユーザに適切に分配することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における情報処理システムの一構成例を示す図である。
【
図2】本件ビジネスモデルの全体の流れを概略的に示す図である。
【
図3】実施形態1の情報処理システムにおける処理の流れを例示する図である。
【
図4】実施形態1における各分配量の計算例を説明するための図である。
【
図5】実施形態2における情報処理システムの一構成例を示す図である。
【
図6】実施形態2における各分配量の計算例を説明するための図である。
【
図7】実施形態2における各分配量の計算例を説明するための図である。
【
図8】実施形態2における各分配量の計算例を説明するための図である。
【
図9】実施形態2における各分配量の別の計算例を説明するための図である。
【
図10】実施形態2における各分配量の別の計算例を説明するための図である。
【
図11】実施形態2における各分配量の別の計算例を説明するための図である。
【
図12】実施形態3における情報処理システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
実施形態1の情報処理システム100について、以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明したコンポーネント(構成要素)と同じ機能を有する各コンポーネントについては、以降の各実施形態では同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。簡潔化のため、公知の技術事項についても説明を適宜省略する。
【0012】
本明細書において述べる各コンポーネントについての説明は、特に矛盾のない限り、いずれも単なる一例である。それゆえ、例えば、本明細書において述べる各材料および各数値についての説明は、特に矛盾のない限り、いずれも単なる一例である。また、特に矛盾のない限り、各コンポーネントの位置関係および各コンポーネント間の接続態様も、特に限定されない。したがって、各コンポーネント間の接続は、任意の通信規格に基づく有線接続または無線接続によって実現されてよい。
【0013】
(情報処理システム100の一構成例)
図1は、情報処理システム100の一構成例を示す。情報処理システム100は、情報処理装置1と入力デバイス80とを備えていてよい。情報処理装置1は、例えば、本発明の一態様に係るプラスチック廃棄物ビジネスモデル(サーキューラーエコノミービジネスモデル)の管理者が有するサーバ装置であってよい。以下では、本発明の一態様に係るプラスチック廃棄物ビジネスモデルを、本件ビジネスモデルと称する。
【0014】
実施形態1における入力デバイス80は、管理者が有する入力端末装置(例:PCまたはタブレット端末)であってよい。情報処理装置1は、任意の通信ネットワークを介して、入力デバイス80と接続されていてよい。以下に述べる通り、情報処理システム100は、本件ビジネスモデルに適するように構成されている。したがって、情報処理装置1は、情報取得部11と還元割合算出部12と分配量決定部13を備えていてよい。情報処理装置1は、CO2クレジット算出部14をさらに備えていてもよい。
【0015】
(本件ビジネスモデルの全体の流れ)
図2は、本件ビジネスモデルの全体の流れを概略的に示す。情報処理システム100の各部の詳細な説明に先立ち、
図2を参照し、本件ビジネスモデルの全体の流れについて概説する。
【0016】
本件ビジネスモデルでは、少なくとも1つのユーザ(例:事業者)から排出されたプラスチック廃棄物がリサイクルに供される。実施形態1では、ユーザ数が3である場合を例示する。本明細書では、3つのユーザを区別する場合には、これらのユーザを、ユーザA、ユーザB、およびユーザCとそれぞれ称する。
【0017】
本明細書では、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザを、注目ユーザと称する。以下では、注目ユーザに関する説明を主に行う。ユーザ数が複数である場合、注目ユーザに関する各説明は、特に矛盾のない限り、その他のユーザにも同様に当てはまる。また、本件ビジネスモデルにおけるユーザ数は1であってもよい。この場合、本明細書における注目ユーザは、単一のユーザと読み替えられてよい。
【0018】
まず、プラスチック廃棄物回収業者(例:産業廃棄物回収業者)によって、各ユーザから排出されたプラスチック廃棄物が回収される。次いで、プラスチック廃棄物回収業者は、回収した全てのプラスチック廃棄物を、油化リサイクルメーカに納入する。後述する通り、本件ビジネスモデルでは、管理者は、各ユーザから廃棄物情報を取得してよい。本明細書において、あるユーザに対応する廃棄物情報は、同ユーザから排出されたプラスチック廃棄物の種類および重量を示す情報を含んでいるものとする。
【0019】
油化リサイクルメーカは、プラスチック廃棄物回収業者から納入されたプラスチック廃棄物を油化することにより、生成油を得る(油化工程)。当該プラスチック廃棄物のうち油化されなかった成分は、残渣(ロス)として排出される。
【0020】
次いで、油化リサイクルメーカは、油化工程によって得られた生成油を分溜(精製)することにより、非燃料油および燃料油を得る(分溜工程)。当該生成油のうち分溜されなかった成分は、残渣として排出される。
【0021】
以上の通り、本件ビジネスモデルでは、各ユーザから排出されたプラスチック廃棄物から、燃料油および非燃料油が還元される。本明細書における燃料油とは、液体燃料として一般的に用いられる油を意味する。燃料油の例としては、軽油、灯油、重油、およびワックスを挙げることができる。これに対し、本明細書における非燃料油とは、分溜工程によって得られた油のうち、燃料油を除いた油を指す。本明細書における非燃料油は、以下に述べる樹脂工程に供される油と言い換えられてもよい。非燃料油の例としては、ナフサを挙げることができる。
【0022】
本件ビジネスモデルでは、油化リサイクルメーカにおける分溜工程によって得られた燃料油(言い換えれば、各ユーザから排出されたプラスチック廃棄物から還元された燃料油)が、各ユーザに分配されてよい。後述する通り、情報処理システム100によれば、各ユーザへの燃料油の分配量を適切に決定できる。
【0023】
したがって、管理者は、情報処理システム100によって決定された各ユーザへの燃料油の分配量を、油化リサイクルメーカに通知してよい。これにより、油化リサイクルメーカは、通知された分配量の燃料油を各ユーザへと納入できる。その結果、各ユーザは、適切な分配量の燃料油を受け取ることができる。
【0024】
そして、本件ビジネスモデルでは、油化リサイクルメーカは、分溜工程によって得られた非燃料油を、樹脂原料メーカに納入してよい。なお、非燃料油がナフサの場合、油化リサイクルメーカは、熱分解工程を経てガス化されたナフサを樹脂原料メーカに納入してよい。樹脂原料メーカは、油化リサイクルメーカから納入された非燃料油を樹脂化し、樹脂原料を得る(樹脂工程)。当該非燃料油のうち樹脂化されなかった成分は、残渣として排出される。本明細書における樹脂原料とは、以下に述べるプラスチック製品の原料として使用可能な任意の樹脂材料(樹脂素材)を意味する。樹脂原料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状オレフィンなどを挙げることができる。
【0025】
次いで、樹脂原料メーカは、樹脂工程によって得られた樹脂原料を、加工メーカ(プラスチック製品メーカ)に納入する。加工メーカは、樹脂原料メーカから納入された樹脂原料を加工し、プラスチック製品を得る(製造工程)。当該樹脂原料のうち、プラスチック製品へと変換されなかった成分は、残渣として排出される。
【0026】
以上の通り、本件ビジネスモデルでは、各ユーザから排出されたプラスチック廃棄物から得られた非燃料油から、樹脂原料が得られる。次いで、当該樹脂原料からプラスチック製品が製造される。本明細書におけるプラスチック製品は、加工メーカが樹脂原料を原料として用いて製造可能な任意のプラスチック製品であってよい。プラスチック製品の例としては、樹脂フィルムまたは樹脂ペレットを挙げることができる。プラスチック製品の別の例としては、樹脂ペレットを用いた射出成型品を挙げることができる。
【0027】
図2に示す通り、本件ビジネスモデルでは、加工メーカにおける製造工程によって得られたプラスチック製品(言い換えれば、各ユーザから排出されたプラスチック廃棄物から還元された非燃料油に由来するプラスチック製品)が、各ユーザに分配されてよい。後述する通り、情報処理システム100によれば、各ユーザへのプラスチック製品の分配量を適切に決定することもできる。
【0028】
したがって、管理者は、情報処理システム100によって決定された各ユーザへのプラスチック製品の分配量を、加工メーカに通知してよい。これにより、加工メーカは、通知された分配量のプラスチック製品を各ユーザへと納入できる。その結果、各ユーザは、適切な分配量のプラスチック製品を受け取ることができる。
【0029】
本件ビジネスモデルにおける管理者は、油化リサイクルメーカ、原料メーカ、および加工メーカのいずれとも異なる事業者であってよい。ただし、本件ビジネスモデルにおける管理者は、例えば、上述の各メーカのうちの少なくともいずれかであってもよい。また、上述の各メーカのうちの少なくとも1つは、同一の事業者であってもよい。
【0030】
(情報処理システム100における処理の流れの一例)
図3は、情報処理システム100における処理の流れを例示する。本明細書では、注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物を、注目プラスチック廃棄物と称する。そして、注目ユーザの廃棄物情報を、注目廃棄物情報と称する。注目廃棄物情報は、注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す情報を含んでいる。
【0031】
S1において、入力デバイス80は、注目廃棄物情報を情報処理装置1に供給(例:送信)する。S1は、供給ステップと称されてもよい。
【0032】
本件ビジネスモデルでは、注目ユーザへの燃料油およびプラスチック製品のそれぞれの分配量の決定に先立ち、管理者が注目ユーザから注目廃棄物情報を取得しているものとする。一例として、管理者は、注目プラスチック廃棄物の回収に先立ち、注目ユーザに注目廃棄物情報を記入した紙面を管理者に郵送させてよい。管理者は、当該紙面を受け付けた場合に、注目プラスチック廃棄物の回収をプラスチック廃棄物回収業者に依頼してよい。これにより、注目ユーザから注目廃棄物情報を確実に取得できる。
【0033】
管理者の指示を受けた入力者は、入力デバイス80を用いて、紙面に記載されている注目廃棄物情報を電子化(データ化)してよい。例えば、入力者は、紙面に記載されている注目廃棄物情報の内容を、入力デバイス80を用いた入力操作を介して、所定のデータフォーマットによって保存してよい。これにより、入力デバイス80は、電子データ(コンピュータ可読データ)としての廃棄物情報を情報処理装置1に供給できる。
【0034】
S2以降は、情報処理装置1の処理である。S2において、情報取得部11は、入力デバイス80から供給された注目廃棄物情報を取得(例:受信)する。S2は、情報取得ステップと称されてもよい。
【0035】
本明細書では、注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合(燃料油還元割合)の予測値を、燃料油還元割合予測値と称する。また、注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合(非燃料油還元割合)の予測値を、非燃料油還元割合予測値と称する。本明細書では、燃料油還元割合予測値をα_fと表記する。また、非燃料油還元割合予測値をα_nfと表記する。
【0036】
S3において、還元割合算出部12は、注目廃棄物情報に基づき、α_f(燃料油還元割合予測)およびα_nf(非燃料油還元割合予測値)を算出する。S3は、還元割合算出ステップと称されてもよい。
【0037】
一例として、還元割合算出部12は、燃料油還元割合および非燃料油還元割合のそれぞれの実績値がプラスチック廃棄物の種類ごとに記録されたテーブルを予め含んでいてよい。この場合、還元割合算出部12は、注目廃棄物情報に示されている注目プラスチック廃棄物の種類に応じて当該テーブルを参照することにより、α_fおよびα_nfを算出(導出)してよい。
【0038】
本明細書では、注目ユーザを含む全てのユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量を、燃料油総量と称する。また、全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量を、プラスチック製品総量と称する。
【0039】
S4において、分配量決定部13は、燃料油総量の内、注目ユーザへの燃料油の分配量を、α_f(燃料油還元割合予測値)に基づき決定する。そして、S5において、分配量決定部13は、プラスチック製品総量の内、注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、α_nf(非燃料油還元割合予測値)に基づき決定する。
【0040】
S4は、燃料油分配量決定ステップと称されてもよい。S5は、プラスチック製品分配量ステップと称されてもよい。そして、S4およびS5は総称的に、分配量ステップと称されてもよい。当業者であれば明らかである通り、S4およびS5の順序は、
図3の例に限定されない。このため、S4に先立ってS5が実行されてもよい。
【0041】
(実施形態1における各分配量の計算例)
図3についての上記説明から理解される通り、情報処理装置1によれば、各ユーザへの燃料油の分配量およびプラスチック製品の分配量を決定できる。以下、
図4を参照し、実施形態1における各分配量の計算例について述べる。
図4は、実施形態1における各分配量の計算例を説明するための図である。以下では、全てのプラスチック廃棄物に、複数の種類のプラスチック廃棄物が含まれている場合を例示する。
【0042】
図4では、全てのプラスチック廃棄物に、PE(ポリエチレン)樹脂廃棄物およびPP(ポリプロピレン)樹脂廃棄物という2種類のプラスチック廃棄物が含まれている場合が例示されている。
図4の符号400Aに示されている表(便宜上、第1表と称する)は、PE樹脂廃棄物についての計算例を示す。
図4の符号400Bに示されている表(便宜上、第2表と称する)は、PE樹脂廃棄物についての計算例を示す。
図4の符号400Cに示されている表(便宜上、第3表と称する)は、全てのプラスチック廃棄物についての計算例を示す。
【0043】
以下の説明では、全てのプラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量を、wtotalと表記する。また、注目プラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の重量を、wsと表記する。
【0044】
一例として、分配量決定部13は、wtotalに対するwsの割合を示す廃棄物割合(種類別廃棄物割合)wrを算出してよい。例えば、分配量決定部13は、注目廃棄物情報を参照してwsを取得してよい。そして、分配量決定部13は、全ての注目廃棄物情報を参照してwtotalを導出してよい。
【0045】
次いで、分配量決定部13は、
wr=ws/wtotal …(1)
としてwrを算出してよい。以下に述べる通り、分配量決定部13は、wrに基づき各分配量を決定してよい。このことから、実施形態1における各分配量の決定手法は、「廃棄物割合に基づく分配量決定法」とも称される。
【0046】
例えば、分配量決定部13は、wtotalと所定の種類のプラスチック廃棄物のα_nfとwrとに基づき、同種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、注目ユーザへの分配量を決定してよい。本明細書では、廃棄物割合に基づく分配量決定法によって決定された、上記プラスチック製品についての注目ユーザへの分配量をDist_nf1と表記する。
【0047】
また、分配量決定部13は、wtotalと所定の種類のプラスチック廃棄物のα_fとwrとに基づき、同種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、注目ユーザへの分配量を決定してよい。本明細書では、廃棄物割合に基づく分配量決定法によって決定された、上記燃料油についての注目ユーザへの分配量をDist_f1と表記する。
【0048】
(第1表の例)
まず、第1表を参照し、具体的な数値例について説明する。第1表の例では、所定の種類のプラスチック廃棄物は、PE樹脂廃棄物である。以下では、例えば、ユーザAにおけるwrを、wr(A)と表記する。その他の記号についても同様の表記を適宜用いる。
図4では、各割合を%表記している。ただし、本明細書では、説明の便宜上、各割合を小数点表記する場合がある。
【0049】
第1表の例では、ws(A)=200t(トン)、ws(B)=50t、ws(C)=0tである。すなわち、第1表の例では、ユーザCは、所定の種類のプラスチック廃棄物(第1表の例では、PE樹脂廃棄物)を排出していない。分配量決定部13は、ws(A)とws(B)とws(C)との和を、wtotalとして算出する。第1表の例では、分配量決定部13によって、wtotal=250tと算出される。
【0050】
続いて、分配量決定部13は、上述の式(1)に従って、wr(A)~wr(C)を算出する。第1表の例では、分配量決定部13は、
wr(A)=ws(A)/wtotal=0.8
wr(B)=ws(B)/wtotal=0.2
wr(C)=ws(C)/wtotal=0
として、wr(A)~wr(C)を算出する。
【0051】
次いで、分配量決定部13は、wtotalおよび所定の種類のプラスチック廃棄物α_nfに基づき、wtotalから還元される非燃料油の還元重量予測値Re_nfを算出してよい。一例として、分配量決定部13は、wtotalとα_nfとの積を、Re_nfとして算出してよい。すなわち、分配量決定部13は、
Re_nf=wtotal×α_nf …(2)
としてRe_nfを算出してよい。
【0052】
第1表の例では、PE樹脂廃棄物について、α_nf=0.2という値が、還元割合算出部12によって予め算出されているものとする。そこで、第1表の例では、分配量決定部13は、
Re_nf=250t×0.2=50t
として、Re_nfを算出する。
【0053】
分配量決定部13は、wtotalおよび所定の種類のプラスチック廃棄物のα_fに基づき、wtotalから還元される燃料油の還元重量予測値Re_fを算出してよい。一例として、分配量決定部13は、wtotalとα_fとの積を、Re_fとして算出してよい。すなわち、分配量決定部13は、
Re_f=wtotal×α_f …(3)
としてRe_fを算出してよい。
【0054】
第1表の例では、PE樹脂廃棄物について、α_f=0.6という値が、還元割合算出部12によって予め算出されているものとする。そこで、第1表の例では、分配量決定部13は、
Re_f=250t×0.6=150t
として、Re_fを算出する。
【0055】
還元割合算出部12は、注目プラスチック廃棄物から排出される残渣の割合(残渣排出割合)をさらに算出してもよい。一例として、還元割合算出部12は、
α_loss=1-(α_f+α_nf) …(4)
として残渣排出割合α_lossを算出してよい。第1表の例では、式(4)に従って、PE樹脂廃棄物についてα_loss=0.2という値が、還元割合算出部12によって予め算出されているものとする。
【0056】
分配量決定部13は、wtotalおよび所定の種類のプラスチック廃棄物のα_lossに基づき、wtotalから排出される残渣の重量予測値Re_lossをさらに算出してもよい。
【0057】
一例として、分配量決定部13は、wtotalとα_lossとの積を、Re_lossとして算出してよい。すなわち、分配量決定部13は、
Re_loss=wtotal×α_loss …(5)
としてRe_lossを算出してよい。
【0058】
第1表の例では、分配量決定部13は、
Re_loss=250t×0.2=50t
として、Re_lossを算出する。
【0059】
次いで、分配量決定部13は、Re_nfとwrとに基づき、Dist_nf1を決定してよい。一例として、分配量決定部13は、Re_nfとwrとの積を、Dist_nf1として算出してよい。すなわち、分配量決定部13は、
Dist_nf1=Re_nf×wr …(6)
としてDist_nf1を算出してよい。これにより、非燃料油換算量としてのDist_nf1を算出できる。
【0060】
第1表の例では、分配量決定部13は、
Dist_nf1(A)=Re_nf×wr(A)=40t
Dist_nf1(B)=Re_nf×wr(B)=10t
Dist_nf1(C)=Re_nf×wr(C)=0t
として、Dist_nf1(A)~Dist_nf1(C)を算出する。上記の例から理解できる通り、Dist_nf1(A)+Dist_nf1(B)+Dist_nf1(C)=Re_nfである。
【0061】
ところで、上述の式(2)によれば、式(6)は、
Dist_nf1=wtotal×α_nf×wr …(6’)
と書き換えることができる。このように、Dist_nf1は、wtotalとα_nfとwrとの積と表現することもできる。
【0062】
同様に、分配量決定部13は、Re_fとwrとに基づき、Dist_fを決定してよい。一例として、分配量決定部13は、Re_fとwrとの積を、Dist_f1として算出してよい。すなわち、分配量決定部13は、
Dist_f1=Re_f×wr …(7)
としてDist_f1を算出してよい。
【0063】
第1表の例では、分配量決定部13は、
Dist_f1(A)=Re_f×wr(A)=120t
Dist_f1(B)=Re_f×wr(B)=30t
Dist_f1(C)=Re_f×wr(C)=0t
として、Dist_f1(A)~Dist_f1(C)を算出する。上記の例から理解できる通り、Dist_f1(A)+Dist_f1(B)+Dist_f1(C)=Re_fである。
【0064】
ところで、上述の式(3)によれば、式(7)は、
Dist_f1=wtotal×α_f×wr …(7’)
と書き換えることができる。このように、Dist_f1は、wtotalとα_fとwrとの積と表現することもできる。
【0065】
以上の通り、廃棄物割合に基づく分配量決定法によれば、例えば、上述の式(6’)および(7’)に示す通り、wrに比例するようにDist_f1およびDist_nf1を決定できる。この場合、大きいwrを有するユーザに、多くのDist_f1およびDist_nf1を割り当てることができる。このように、廃棄物割合に基づく分配量決定法によれば、燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを各ユーザに適切に分配できる。
【0066】
(第2表の例)
続いて、第2表を参照する。第2表の例では、所定の種類のプラスチック廃棄物がPP樹脂廃棄物である。第2表の例では、ws(A)=100t、ws(B)=50t、ws(C)=200tである。第2表の例では、第1表の例と異なり、全てのユーザが所定の種類のプラスチック廃棄物(第2表の例では、PP樹脂廃棄物)を排出している。
【0067】
第2表の例では、PP樹脂廃棄物について、α_nf=0.3、α_f=0.5、α_loss=0.2という値が、還元割合算出部12によって予め算出されているものとする。このように、α_nfおよびα_fは、プラスチック廃棄物の種類に応じて異なりうる。分配量決定部13によれば、プラスチック廃棄物の種類に応じた各還元割合を考慮してDist_nf1およびDist_f1を決定できる。すなわち、各還元割合を考慮して燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを各ユーザに適切に分配できる。
【0068】
第2表の例においても、分配量決定部13は、第1表の例と同様に各数値を算出する。第2表の例では、wtotal=350tである。したがって、第2表の例では、各ユーザのwrは、
wr(A)=ws(A)/wtotal=2/7≒0.29
wr(B)=ws(B)/wtotal=1/7≒0.14
wr(C)=ws(C)/wtotal=4/7≒0.57
である。
【0069】
そして、第2表の例では、
Re_nf=wtotal×α_nf=350t×0.3=105t
Re_f=wtotal×α_f=350t×0.5=175t
Re_loss=wtotal×α_loss=350t×0.2=70t
である。
【0070】
このため、第2表の例では、各ユーザのDist_nf1について、
Dist_nf1(A)=Re_nf×wr(A)=105t×2/7=30t
Dist_nf1(B)=Re_nf×wr(B)=105t×2/7=15t
Dist_nf1(C)=Re_nf×wr(C)=105t×4/7=60t
という結果が得られる。
【0071】
また、第2表の例では、各ユーザのDist_f1について、
Dist_f1(A)=Re_f×wr(A)=175t×2/7=50t
Dist_f1(B)=Re_f×wr(B)=175t×1/7=25t
Dist_f1(C)=Re_f×wr(C)=175t×4/7=100t
という結果が得られる。
【0072】
(第3表の例)
続いて、第3表を参照する。第3表には、全てのプラスチック廃棄物についてのDist_nf1およびDist_f1が示されている。第3表のDist_nf1は、全てのプラスチック廃棄物に含まれる各種類のプラスチック廃棄物のDist_nf1の総和を、ユーザごとに算出することによって得られてよい。
【0073】
したがって、例えば、分配量決定部13は、第1表のDist_nf1(A)と第2表のDist_f1(A)との和を、第3表のDist_nf1(A)として算出する。第3表のDist_nf1(A)は、上述のプラスチック製品総量の内、ユーザA(注目ユーザの一例)へのプラスチック製品の分配量を表す。
【0074】
第3表の例では、各ユーザのDist_nf1について、
Dist_nf1(A)=40t+30t=70t
Dist_nf1(B)=10t+15t=25t
Dist_nf1(C)=0t+60t=60t
という結果が得られる。
【0075】
また、第3表のDist_f1は、全てのプラスチック廃棄物に含まれる各種類のプラスチック廃棄物のDist_f1の総和を、ユーザごとに算出することによって得られてよい。したがって、例えば、分配量決定部13は、第1表のDist_f1(A)と第2表のDist_f1(A)との和を、第3表のDist_f1(A)として算出する。第3表のDist_f1(A)は、上述の燃料油総量の内、ユーザA(注目ユーザの一例)への燃料油の分配量を表す。
【0076】
第3表の例では、各ユーザのDist_f1について、
Dist_f1(A)=120t+50t=170t
Dist_f1(B)=30t+25t=55t
Dist_f1(C)=0t+100t=100t
という結果が得られる。
【0077】
以上の通り、情報処理システム100によれば、プラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを、各ユーザに適切に分配できる。それゆえ、情報処理システム100は、より多くのユーザにプラスチック廃棄物のリサイクルを行わせる動機付けを与える。
【0078】
このように、情報処理システム100は、プラスチック廃棄物のリサイクルの促進にも有益である。したがって、情報処理システム100は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」などの達成にも貢献する。
【0079】
(CO2クレジット算出部14の動作の一例)
情報処理装置1では、CO2クレジット算出部14によって、本件ビジネスモデルに関するCO2クレジット(CO2削減クレジットとも称される)を算出することもできる。本明細書の文脈において、CO2クレジットは、本件ビジネスモデルにおけるプラスチック廃棄物のリサイクルに由来する各ユーザのCO2削減量を示す指標値であると理解されてよい。
【0080】
一例として、情報取得部11は、樹脂原料の種類、および、全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油の使用割合を示す情報(樹脂原料リサイクル情報)を取得してよい。例えば、情報取得部11は、樹脂原料メーカから樹脂原料リサイクル情報を取得してよい。
【0081】
CO2クレジット算出部14は、樹脂原料リサイクル情報に基づき、注目ユーザについて、樹脂原料の単位重量当たりのCO2クレジットを算出してよい。
【0082】
次いで、CO2クレジット算出部14は、樹脂原料の単位重量当たりのCO2クレジットに基づき、注目ユーザに分配されるプラスチック製品の単位重量当たりのCO2クレジットを算出してよい。
【0083】
以上の通り、CO2クレジット算出部14によれば、各ユーザに分配されるプラスチック製品の単位重量当たりのCO2クレジットを算出できる。そこで、一例として、管理者は、CO2クレジット算出部14によって算出されたCO2クレジットを、加工メーカに通知してよい。加えて、管理者は、各ユーザへのプラスチック製品の納入時に上記CO2クレジットを示す記載事項を含んだ納品書を添付するよう、加工メーカに依頼してもよい。このように、本件ビジネスモデルによれば、CO2クレジット算出部14によって、各ユーザに割り当てるべきCO2クレジットを算出できる。また、算出されたCO2クレジットを各ユーザに知らせるように、本件ビジネスモデルを設計することもできる。
【0084】
(補足)
本発明の一態様に係る情報処理装置は、プラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油およびプラスチック製品のそれぞれについて、各ユーザへの分配量を決定できればよい。このため、当該情報処理装置は、必ずしもCO2クレジット算出部を有していなくともよい。このとき、情報処理装置は、プラスチック製品に使用されたプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料の重量を、各ユーザへ通知してもよい。情報処理装置は、当該樹脂原料の割合を各ユーザへ通知してもよい。
【0085】
〔変形例〕
本発明の一態様に係る情報処理システムは、例えば単一のコンピュータによって具現化されてもよい。この場合、情報処理装置は、上記コンピュータが備えるプロセッサ(例:CPU)によって具現化されてよい。入力デバイスは、上記コンピュータが備えるコンポーネント(例:キーボードなど)であってよい。
【0086】
〔実施形態2〕
図5は、実施形態2における情報処理システム100Aの一構成例を示す。情報処理システム100Aの情報処理装置を、情報処理装置1Aと称する。そして、情報処理装置1Aにおける分配量決定部を、分配量決定部13Aと称する。以下に述べる通り、実施形態2では、実施形態1とは異なる手法によって各分配量が決定される。
【0087】
また、情報処理装置1AにおけるCO2クレジット算出部を、CO2クレジット算出部14Aと称する。以下に述べる通り、CO2クレジット算出部14Aは、複数のユーザ間において譲渡可能なCO2クレジットが算出する機能をさらに有していてよい。
【0088】
(実施形態2における各分配量の計算例)
図6~
図8は、実施形態2における各分配量の計算例を説明するための一連の図である。
図6~
図8の例における各廃棄物重量、各廃棄物割合、および各還元割合予測値は、
図4の例と同等である。
図6は実施形態2における第1表を示し、
図7は実施形態2における第2表を示し、
図8は実施形態2における第3表を示す。
【0089】
実施形態2では、実施形態1とは異なり、注目廃棄物情報は、希望分配情報をさらに含んでいるものとする。希望分配情報とは、(i)注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油について、注目ユーザが分配を希望する割合を示す燃料油希望分配割合wh_fと、(ii)注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油から得られる樹脂原料から製造されるプラスチック製品について、注目ユーザが分配を希望する割合を示すプラスチック製品希望分配割合wh_nfと、を示す情報である。
【0090】
そこで、実施形態2では、管理者が希望分配情報を各ユーザから取得できるように本件ビジネスモデルが設計されているものとする。例えば、実施形態2では、上述の紙面に希望分配情報の記入欄が設けられているものとする。実施形態2では、情報取得部11は、希望分配情報を含む注目廃棄物情報を入力デバイス80から取得する。
【0091】
このため、分配量決定部13Aは、wh_fおよびwh_nfにさらに基づいて各分配量を決定できる。実施形態2における各分配量の決定手法は、「希望分配割合に基づく分配量決定法」と称されてもよい。wh_fおよびwh_nfは、全ての種類のプラスチック廃棄物について共通であってよい(
図6および
図7を参照)。
【0092】
例えば、分配量決定部13Aは、wtotalと所定の種類のプラスチック廃棄物のα_nfとwh_nfとに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、注目ユーザへの分配量を決定してよい。本明細書では、希望分配割合に基づく分配量決定法によって決定された、上記プラスチック製品についての注目ユーザへの分配量をDist_nf2と表記する。
【0093】
また、分配量決定部13Aは、wtotalと所定の種類のプラスチック廃棄物のα_fとwh_fとに基づき、所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、注目ユーザへの分配量を決定してよい。本明細書では、希望分配割合に基づく分配量決定法によって決定された、上記燃料油についての注目ユーザへの分配量をDist_f2と表記する。
【0094】
(実施形態2における第1表の例)
まず、第1表を参照する。以下では、例えば、ユーザAにおけるwh_fおよびwh_nfをそれぞれ、wh_f(A)およびwh_nf(A)と表記する。実施形態2の例では、
図4の例において述べた各量が、分配量決定部13Aによって予め算出されているものとする。
【0095】
実施形態2の例では、
wh_nf(A)=0.5
wh_nf(B)=0
wh_nf(C)=1
wh_f(A)=0.5
wh_f(B)=1
wh_f(C)=0
として、各ユーザの希望分配割合が与えられているものとする。このように、実施形態2の例では、ユーザBはプラスチック製品の分配を希望しておらず、かつ、ユーザCは燃料油の分配を希望していない。これに対し、ユーザAは、プラスチック製品と燃料油との両方の分配を希望している。
【0096】
上記の例の通り、実施形態2では、注目ユーザにおけるwh_nfとwh_fとの和が1(すなわち100%)となるように、wh_nfとwh_fとが設定されているものとする。したがって、全てのユーザについてのwh_nfの総和sum1nfは、1を超えていてよい。同様に、全てのユーザについてのwh_fの総和sum1fも、1を超えていてよい。
【0097】
実施形態2の例では、分配量決定部13Aは、
sum1nf=wh_nf(A)+wh_nf(B)+wh_nf(C)=1.50
sum1f=wh_f(A)+wh_f(B)+wh_f(C)=1.50
として、sum1nfおよびsum1fを算出する。
【0098】
分配量決定部13Aは、Re_nfとwh_nfとsum1nfとに基づき、Dist_nf2を決定してよい。一例として、分配量決定部13Aは、
Dist_nf2=Re_nf×wh_nf/sum1nf …(8)
としてDist_nf2を算出してよい。このように、分配量決定部13Aは、wh_nfをsum1nfによって正規化した値をRe_nfに乗算することによって、Dist_nf2を算出してよい。
【0099】
第1表の例では、分配量決定部13Aは、
Dist_nf2(A)=Re_nf×wh_nf(A)/sum1nf
=50t×0.5/1.5=50/3t≒16.7t
Dist_nf2(B)=Re_nf×wh_nf(B)/sum1nf=0t
Dist_nf2(C)=Re_nf×wh_nf(C)/sum1nf
=50t×1/1.5=100/3t≒33.3t
として、Dist_nf2(A)~Dist_nf2(C)を算出する。上記の例から理解できる通り、Dist_nf2(A)+Dist_nf2(B)+Dist_nf2(C)=Re_nfである。
【0100】
分配量決定部13Aは、Re_fとwh_fとsum1fとに基づき、Dist_f2を決定してよい。一例として、分配量決定部13Aは、
Dist_f2=Re_f×wh_f/sum1f …(9)
としてDist_f2を算出してよい。このように、分配量決定部13Aは、wh_fをsum1fによって正規化した値をRe_fに乗算することによって、Dist_f2を算出してよい。
【0101】
第1表の例では、分配量決定部13Aは、
Dist_f2(A)=Re_f×wh_f(A)/sum1f
=150t×0.5/1.5=50t
Dist_f2(B)=Re_f×wh_f(B)/sum1f
=150t×1/1.5==100t
Dist_f2(C)=Re_f×wh_f(C)/sum1f=0t
として、Dist_f2(A)~Dist_f2(C)を算出する。上記の例から理解できる通り、Dist_f2(A)+Dist_f2(B)+Dist_f2(C)=Re_fである。
【0102】
以上の通り、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、例えば、wh_fをsum1fによって正規化した値に比例するようにDist_fを決定し、かつ、wh_nfをsum1nfによって正規化した値に比例するようにDist_nfを決定できる。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によっても、燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを各ユーザに適切に分配できる。
【0103】
さらに、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、廃棄物割合に基づく分配量決定法とは異なり、各ユーザの希望(ニーズ)に沿うように各分配量を決定できる。例えば、プラスチック製品の分配を希望しないユーザ(
図6の例では、ユーザB)について、プラスチック製品の分配量を最小化する(0に設定する)とともに、燃料油の分配量を最大化できる。また、燃料油の分配を希望しないユーザ(
図6の例では、ユーザC)について、燃料油の分配量を最小化する(0に設定する)とともに、プラスチック製品の分配量を最大化できる。
【0104】
上述の式(8)から理解される通り、希望分配割合に基づく分配量決定法では、wrを考慮せずにDist_nf2が決定されてよい。また、上述の式(9)から理解される通り、希望分配割合に基づく分配量決定法では、wrを考慮せずにDist_f2が決定されてよい。この利点については後述する。
【0105】
(実施形態2における第2表の例)
図7に示す通り、第2表の例においても、分配量決定部13Aは、第1表の例と同様に各数値を算出する。このため、第2表の例では、各ユーザのDist_nf2について、
Dist_nf2(A)=Re_nf×wh_nf(A)/sum1nf
=105t×0.5/1.5=35t
Dist_nf2(B)=Re_nf×wh_nf(B)/sum1nf=0t
Dist_nf2(C)=Re_nf×wh_nf(C)/sum1nf
=105t×1/1.5=70t
という結果が得られる。
【0106】
また、第2表の例では、各ユーザのDist_f2について、
Dist_f2(A)=Re_f×wh_f(A)/sum1f
=175t×0.5/1.5=175/3t≒58.3t
Dist_f2(B)=Re_f×wh_f(B)/sum1f
=175t×1/1.5=350/3t≒116.7t
Dist_f2(C)=Re_f×wh_f(C)/sum1f=0t
という結果が得られる。
【0107】
(実施形態2における第3表の例)
図8に示す通り、第3表の例においても、分配量決定部13Aは、実施形態1における例と同様に各数値を算出する。したがって、分配量決定部13Aは、第1表のDist_nf2と第2表のDist_nf2との和を、第3表のDist_nf2として算出してよい。
【0108】
第3表の例では、各ユーザのDist_nf2について、
Dist_nf2(A)=16.7t+35t=51.7t
Dist_nf2(B)=0t+0t=0t
Dist_nf2(C)=33.3t+70t=103.3t
という結果が得られる。
【0109】
同様に、第3表の例では、各ユーザのDist_f2について、
Dist_f2(A)=50t+58.3t=108.3t
Dist_f2(B)=100t+116.7t=216.7t
Dist_f2(C)=0t+0t=0t
という結果が得られる。
【0110】
(CO2クレジット算出部14Aの動作の一例)
上記の例の通り、各分配量についてのユーザの希望は、ユーザごとに異なりうる。したがって、CO2クレジットについてのユーザの希望も、ユーザごとに異なりうる。この点を踏まえ、本件ビジネスモデルは、複数のユーザ間においてCO2クレジットを譲渡可能であるように設計されていてもよい。
【0111】
そこで、CO2クレジット算出部14Aは、注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO2クレジットを算出してよい。例えば、CO2クレジット算出部14Aは、希望分配情報に基づいて、譲渡可能なCO2クレジットを算出してよい。一例として、CO2クレジット算出部14Aは、以下に述べるΔnfという重量に相当するCO2クレジットを、譲渡可能なCO2クレジットとして算出してよい。
【0112】
以下、
図6~
図8を再び参照し、譲渡可能なCO
2クレジットの算出方法の一例について述べる。以下の例では、譲渡可能なCO
2クレジットの算出に先立ち、廃棄物割合に基づく各分配量(すなわち、上述のDist_f1およびDist_nf1)が分配量決定部13Aによって予め算出されているものとする。
【0113】
一例として、CO2クレジット算出部14Aは、Dist_nf2とDist_nf1との差Δnfを、注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO2クレジットの指標値として算出してよい。すなわち、CO2クレジット算出部14Aは、
Δnf=Dist_nf2-Dist_nf1 …(10)
として、Δnfを算出してよい。
【0114】
図6に示す通り、第1表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δnf(A)=Dist_nf2(A)-Dist_nf1(A)=-23.3t
Δnf(B)=Dist_nf2(B)-Dist_nf1(B)=-10t
Δnf(C)=Dist_nf2(C)-Dist_nf1(C)=33.3t
として、Δnf(A)~Δnf(C)を算出する。
【0115】
図7に示す通り、第2表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δnf(A)=Dist_nf2(A)-Dist_nf1(A)=5t
Δnf(B)=Dist_nf2(B)-Dist_nf1(B)=-15t
Δnf(C)=Dist_nf2(C)-Dist_nf1(C)=10t
として、Δnf(A)~Δnf(C)を算出する。
【0116】
図8に示す通り、CO
2クレジット算出部14Aは、第1表のΔnfと第2表のΔnfとの和を、第3表のΔnfとして算出してよい。したがって、第3表の例では、各ユーザのΔnfについて、
Δnf(A)=-18.3t
Δnf(B)=-25t
Δnf(C)=43.3t
という結果が得られる。
【0117】
上記の各例から理解できる通り、実施形態2における第1表~第3表のいずれにおいても、Δnf(A)+Δnf(B)+Δnf(C)=0の関係が成立する。第3表においてΔnf>0であることは、注目ユーザが別のユーザへCO
2クレジットを譲渡可能であることを意味する。
図8の例では、ユーザCのみが、別のユーザへCO
2クレジットを譲渡可能である。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、譲渡可能なCO
2クレジットを各ユーザの希望に沿って設定できる。
【0118】
また、本件ビジネスモデルは、複数のユーザ間においてCO2排出控除量を譲渡可能であるように設計されてもよい。CO2クレジット算出部14Aは、注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO2排出控除量を算出してもよい。例えば、CO2クレジット算出部14Aは、希望分配情報に基づいて、譲渡可能なCO2排出控除量を算出してもよい。一例として、CO2クレジット算出部14Aは、以下に述べるΔfという重量に相当するCO2排出控除量を、譲渡可能なCO2排出控除量として算出してよい。
【0119】
一例として、CO2クレジット算出部14Aは、Dist_f2とDist_f1との差Δfを、注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO2排出控除量の指標値として算出してよい。すなわち、CO2クレジット算出部14Aは、
Δf=Dist_f2-Dist_f1 …(11)
として、Δfを算出してよい。
【0120】
図6に示す通り、第1表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δf(A)=Dist_f2(A)-Dist_f1(A)=-70t
Δf(B)=Dist_f2(B)-Dist_f1(B)=70t
Δf(C)=Dist_f2(C)-Dist_f1(C)=0t
として、Δf(A)~Δf(C)を算出する。
【0121】
図7に示す通り、第2表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δf(A)=Dist_f2(A)-Dist_f1(A)=8.3t
Δf(B)=Dist_f2(B)-Dist_f1(B)=91.7t
Δf(C)=Dist_f2(C)-Dist_f1(C)=-100t
として、Δf(A)~Δf(C)を算出する。
【0122】
図8に示す通り、CO
2クレジット算出部14Aは、第1表のΔfと第2表のΔfとの和を、第3表のΔfとして算出してよい。したがって、第3表の例では、各ユーザのΔfについて、
Δf(A)=-61.7t
Δf(B)=161.7t
Δf(C)=-100t
という結果が得られる。
【0123】
上記の各例から理解できる通り、実施形態2の第1表~第3表のいずれにおいても、Δf(A)+Δf(B)+Δf(C)=0の関係が成立する。第3表においてΔf>0であることは、注目ユーザが別のユーザへCO
2排出控除量を譲渡可能であることを意味する。
図8の例では、ユーザBのみが、別のユーザへCO
2排出控除量を譲渡可能である。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、譲渡可能なCO
2排出控除量を各ユーザの希望に沿って設定することもできる。
【0124】
(実施形態2における各分配量の別の計算例)
図9~
図11は、実施形態2における各分配量の別の計算例(便宜上、第2例と称する)を説明するための一連の図である。
図9~
図11はそれぞれ、
図6~
図8と対になる。
図9は第2例における第1表を示し、
図10は第2例における第2表を示し、
図11は第2例における第3表を示す。第2例における各ユーザの希望分配割合は、実施形態2における上述の例と同等である。したがって、第2例におけるsum1fおよびsum1nfも、実施形態2における上述の例と同等である。
【0125】
(第2例における第1表)
図9に示す通り、第2例における第1表では、ws(A)=200t、ws(B)=0t、ws(C)=0tである。このように、第2例における第1表では、ユーザAのみが所定の種類のプラスチック廃棄物(第1表の例では、PE樹脂廃棄物)を排出している。
【0126】
したがって、第2例における第1表では、wtotal=200tである。そして、第2例における第1表の例では、
Re_nf=wtotal×α_nf=40t
Re_f=wtotal×α_f=120t
Re_loss=wtotal×α_loss=40t
である。
【0127】
第2例においても、分配量決定部13Aは、上述の式(8)に従ってDist_nf2を決定してよい。このため、第2例における第1表では、分配量決定部13Aは、
Dist_nf2(A)=Re_nf×wh_nf(A)/sum1nf
=40t×0.5/1.5=40/3t≒13.3t
Dist_nf2(B)=Re_nf×wh_nf(B)/sum1nf=0t
Dist_nf2(C)=Re_nf×wh_nf(C)/sum1nf
=40t×1/1.5=40/3t≒26.7t
として、Dist_nf2(A)~Dist_nf2(C)を算出する。
【0128】
そして、第2例においても、分配量決定部13Aは、上述の式(9)に従ってDist_f2を決定してよい。このため、第2例における第1表では、分配量決定部13Aは、
Dist_f2(A)=Re_f×wh_f(A)/sum1f
=120t×0.5/1.5=40t
Dist_f2(B)=Re_f×wh_f(B)/sum1f
=120t×1/1.5=80t
Dist_f2(C)=Re_f×wh_f(C)/sum1f=0t
として、Dist_f2(A)~Dist_f2(C)を算出する。
【0129】
(第2例における第2表)
図10に示す通り、第2例における第2表においても、分配量決定部13Aは、
図9における第1表の例と同様に各数値を算出する。第2例における第2表では、ws(A)=100t、ws(B)=0t、ws(C)=0tである。このように、第2表の例においても、ユーザAのみが所定の種類のプラスチック廃棄物(第2表の例では、PE樹脂廃棄物)を排出している。
【0130】
したがって、本変形例における第2表の例では、wtotal=100tである。そして、第2例における第2表ででは、
Re_nf=wtotal×α_nf=30t
Re_f=wtotal×α_f=50t
Re_loss=wtotal×α_loss=20t
である。
【0131】
このため、各ユーザのDist_nf2について、
Dist_nf2(A)=Re_nf×wh_nf(A)/sum1f
=30t×0.5/1.5=10t
Dist_nf2(B)=Re_nf×wh_nf(B)/sum1f=0t
Dist_nf2(C)=Re_nf×wh_nf(C)/sum1f
=30t×1/1.5=20t
という結果が得られる。
【0132】
また、各ユーザのDist_f2について、
Dist_f2(A)=Re_f×wh_f(A)/sum1f
=50t×0.5/1.5=50/3t≒16.7t
Dist_f2(B)=Re_f×wh_f(B)/sum1f
=50t×1/1.5=100/3t≒33.3t
Dist_f2(C)=Re_f×wh_f(C)/sum1f=0t
という結果が得られる。
【0133】
(第2例における第3表)
図11に示す通り、分配量決定部13Aは、第1表のDist_nf2と第2表のDist_nf2との和を、第3表のDist_nf2として算出してよい。
【0134】
このため、各ユーザのDist_nf2について、
Dist_nf2(A)=23.3t
Dist_nf2(B)=0t
Dist_nf2(C)=46.7t
という結果が得られる。
【0135】
また、各ユーザのDist_f2について、
Dist_f2(A)=56.7t
Dist_f2(B)=113.3t
Dist_f2(C)=0t
という結果が得られる。
【0136】
上述の式(8)に示す通り、希望分配割合に基づく分配量決定法では、wrを考慮せずにDist_nf2が決定されてよい。このようにDist_nf2を決定することにより、例えば注目ユーザ以外のあるユーザがプラスチック廃棄物を全く排出していない場合であっても、同ユーザの希望に応じて同ユーザにプラスチック製品を分配できる(第2例におけるユーザCを参照)。
【0137】
また、上述の式(9)に示す通り、希望分配割合に基づく分配量決定法では、wrを考慮せずにDist_f2が決定されてよい。このようにDist_f2を決定することにより、例えば注目ユーザ以外のあるユーザがプラスチック廃棄物を全く排出していない場合であっても、同ユーザの希望に応じて同ユーザに燃料油を分配できる(第2例におけるユーザBを参照)。
【0138】
以上の通り、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、例えば注目ユーザ以外のあるユーザがプラスチック廃棄物を全く排出していない場合であっても、同ユーザの希望分配割合に応じて、プラスチック製品および燃料油の少なくとも一方を同ユーザに分配することも可能となる。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、各ユーザの希望に沿って各分配量を柔軟に設定できる。
【0139】
(第2例におけるCO
2クレジット算出部14Aの動作)
第2例においても、CO
2クレジット算出部14Aは、上述の式(10)に従ってΔnfを算出してよい。
図9に示す通り、第2例における第1表では、
Dist_nf1(A)=40t
Dist_nf1(B)=0t
Dist_nf1(C)=0t
である。したがって、第1表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δnf(A)=Dist_nf2(A)-Dist_nf1(A)=-26.7t
Δnf(B)=Dist_nf2(B)-Dist_nf1(B)=0t
Δnf(C)=Dist_nf2(C)-Dist_nf1(C)=26.7t
として、Δnf(A)~Δnf(C)を算出する。
【0140】
図10に示す通り、第2例における第2表では、
Dist_nf1(A)=30t
Dist_nf1(B)=0t
Dist_nf1(C)=0t
である。したがって、第2表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δnf(A)=Dist_nf2(A)-Dist_nf1(A)=-20t
Δnf(B)=Dist_nf2(B)-Dist_nf1(B)=0t
Δnf(C)=Dist_nf2(C)-Dist_nf1(C)=20t
として、Δnf(A)~Δnf(C)を算出する。
【0141】
図11に示す通り、第2例における第3表では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δnf(A)=-46.7t
Δnf(B)=0t
Δnf(C)=46.7t
として、Δnf(A)~Δnf(C)を算出する。
【0142】
以上の通り、第2例においても、ユーザCのみが、別のユーザへCO2クレジットを譲渡可能である。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、例えば注目ユーザ以外のあるユーザがプラスチック廃棄物を全く排出していない場合であっても、同ユーザの分配希望割合に応じて、譲渡可能なCO2クレジットを同ユーザに対して割り当てることもできる。
【0143】
第2例においても、CO
2クレジット算出部14Aは、上述の式(10)に従ってΔfを算出してよい。
図9に示す通り、第2例における第1表では、
Dist_f1(A)=120t
Dist_f1(B)=0t
Dist_f1(C)=0t
である。したがって、第1表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δf(A)=Dist_f2(A)-Dist_f1(A)=-80t
Δf(B)=Dist_f2(B)-Dist_f1(B)=80t
Δf(C)=Dist_f2(C)-Dist_f1(C)=0t
として、Δf(A)~Δf(C)を算出する。
【0144】
図10に示す通り、第2例における第2表では、
Dist_f1(A)=50t
Dist_f1(B)=0t
Dist_f1(C)=0t
である。したがって、第2表の例では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δf(A)=Dist_f2(A)-Dist_f1(A)=-33.3t
Δf(B)=Dist_f2(B)-Dist_f1(B)=33.3t
Δf(C)=Dist_f2(C)-Dist_f1(C)=0t
として、Δf(A)~Δf(C)を算出する。
【0145】
図11に示す通り、第2例における第3表では、CO
2クレジット算出部14Aは、
Δf(A)=-113.3t
Δf(B)=113.3t
Δf(C)=0t
として、Δf(A)~Δf(C)を算出する。
【0146】
以上の通り、第2例においても、ユーザBのみが、別のユーザへCO2排出控除量を譲渡可能である。このように、希望分配割合に基づく分配量決定法によれば、例えば注目ユーザ以外のあるユーザがプラスチック廃棄物を全く排出していない場合であっても、同ユーザの分配希望割合に応じて、譲渡可能なCO2排出控除量を同ユーザに対して割り当てることもできる。
【0147】
〔実施形態3〕
図12は、実施形態3における情報処理システム100Bの一構成例を示す。情報処理システム100Bの情報処理装置を、情報処理装置1Bと称する。そして、情報処理装置1Bにおける情報取得部を、情報取得部11Bと称する。
【0148】
情報処理システム100Bは、入力デバイス80に替えて、少なくとも1つの端末装置90を備えている。端末装置90は、本発明の一態様に係る入力デバイスの別の例である。
図12の例では、情報処理システム100Bは、3つの端末装置90を備えている。本明細書では、3つの端末装置90を区別する場合には、各端末装置を、端末装置90A、端末装置90B、および端末装置90Cとそれぞれ称する。
【0149】
図12に示す通り、端末装置90Aは、ユーザAの設備(例:工場)内に配置されていてよい。同様に、端末装置90BはユーザBの設備内に、端末装置90CはユーザCの設備内に配置されていてよい。このように、少なくとも1つの端末装置90のそれぞれは、少なくとも1つのユーザと1対1に対応付けられていてよい。
図12に示す通り、少なくとも1つの端末装置90のそれぞれは、任意の通信ネットワークを介して、情報処理装置1Bと通信可能に接続されていればよい。以上の通り、本発明の一態様に係る入力デバイスは、必ずしも管理者側に位置していなくともよい。
【0150】
本明細書では、注目ユーザに対応付けられている端末装置90を、注目端末装置と称する。以下では、便宜上、端末装置90Aが注目端末装置である場合を例示する。端末装置90が複数である場合、注目端末装置に関する各説明は、特に矛盾のない限り、他の端末装置90にも同様に当てはまる。
【0151】
情報処理システム100Bにおいて、端末装置90Aは、通信ネットワークを介して、注目廃棄物情報を情報処理装置1Bに供給する(上述のS1)。本例における注目ユーザは、ユーザA(端末装置90Aに対応するユーザ)である。したがって、情報取得部11Bは、通信ネットワークを介して、端末装置90Aから注目廃棄物情報を取得できる(上述のS2)。一例として、端末装置90Aは、端末装置90Aに対するユーザAの入力操作に従ってS1を実行してよい。
【0152】
次いで、情報処理装置1Bは、上述のS3~S5を実行する。S5の後、情報処理装置1Bは、注目ユーザへの燃料油の分配量およびプラスチック製品の分配量を示す注目分配量情報を生成してよい。そして、情報処理装置1Bは、通信ネットワークを介して、注目分配量情報を端末装置90Aに供給してよい。したがって、端末装置90Aは、通信ネットワークを介して、情報処理装置1Bから注目分配量情報を取得できる。
【0153】
情報処理システム100Bによれば、ユーザ側に位置する端末装置90から、管理者の情報処理装置1Bへと注目廃棄物情報を供給できる。次いで、端末装置90は、情報処理装置1Bから注目分配量情報を情報処理装置1Bから取得できる。それゆえ、情報処理システム100Bによれば、管理者およびユーザの両方の利便性を向上させることができる。
【0154】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理システム100~100B(以下では、便宜上、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に、情報処理装置1~1Bに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0155】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0156】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0157】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0158】
なお、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0159】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る情報処理システムは、入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、上記入力デバイスは、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、上記情報処理装置は、上記入力デバイスから上記注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている。
【0160】
本発明の態様2に係る情報処理システムでは、上記態様1において、上記分配量決定部は、上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量に対する、上記注目プラスチック廃棄物に含まれる上記所定の種類のプラスチック廃棄物の重量の割合を示す種類別廃棄物割合を算出し、上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記燃料油還元割合予測値と上記種類別廃棄物割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、上記注目ユーザへの分配量を決定し、上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記非燃料油還元割合予測値と上記種類別廃棄物割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、上記注目ユーザへの分配量を決定してよい。
【0161】
本発明の態様3に係る情報処理システムは、上記態様1または2において、CO2クレジット算出部をさらに備えており、上記情報取得部は、上記樹脂原料の種類、および、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油の使用割合を示す樹脂原料リサイクル情報を取得し、上記CO2クレジット算出部は、上記樹脂原料リサイクル情報に基づき、上記注目ユーザについて、上記樹脂原料の単位重量当たりのCO2クレジットを算出し、上記樹脂原料の単位重量当たりのCO2クレジットに基づき、上記注目ユーザに分配される上記プラスチック製品の単位重量当たりのCO2クレジットを算出してよい。
【0162】
本発明の態様4に係る情報処理システムでは、上記態様1において、上記注目廃棄物情報は、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油について、上記注目ユーザが分配を希望する割合を示す燃料油希望分配割合と、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油から得られる樹脂原料から製造されるプラスチック製品について、上記注目ユーザが分配を希望する割合を示すプラスチック製品希望分配割合と、を示す希望分配情報をさらに含んでおり、上記分配量決定部は、上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記燃料油還元割合予測値と上記燃料油希望分配割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油について、上記注目ユーザへの分配量を決定し、上記全てのプラスチック廃棄物に含まれる上記所定の種類のプラスチック廃棄物の総重量と上記所定の種類のプラスチック廃棄物の上記非燃料油還元割合予測値と上記プラスチック製品希望分配割合とに基づき、上記所定の種類のプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品について、上記注目ユーザへの分配量を決定してよい。
【0163】
本発明の態様5に係る情報処理システムでは、上記態様4において、上記少なくとも1つのユーザは、複数のユーザであり、上記情報処理システムは、上記希望分配情報に基づいて、複数の上記ユーザの内、上記注目ユーザから別のユーザへ譲渡可能なCO2クレジットを算出するCO2クレジット算出部をさらに備えていてよい。
【0164】
本発明の態様6に係る制御プログラムは、上記態様1から5のいずれか1つに係る情報処理システムとしてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記情報取得部、上記還元割合算出部、および上記分配量決定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであってよい。
【0165】
本発明の態様7に係る情報処理システムの制御方法は、入力デバイスと情報処理装置とを備えた情報処理システムの制御方法であって、入力少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記入力デバイスから上記情報処理装置に供給する供給ステップと、上記情報処理装置において、上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得する情報取得ステップと、上記情報処理装置において、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出ステップと、上記情報処理装置において、(i)少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、(ii)上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定ステップと、を含んでいる。
【0166】
本発明の態様8に係る情報処理装置は、少なくとも1つのユーザの内の任意の1つのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を取得する情報取得部と、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出する還元割合算出部と、少なくとも1つの上記ユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定する分配量決定部と、を備えている。
【0167】
本発明の態様9に係る入力デバイスは、情報処理装置と通信可能に接続された入力デバイスであって、上記入力デバイスは、上記入力デバイスのユーザである注目ユーザから排出されたプラスチック廃棄物である注目プラスチック廃棄物の種類および重量を示す注目廃棄物情報を、上記情報処理装置に供給し、上記情報処理装置は、上記入力デバイスから供給された上記注目廃棄物情報を取得し、上記注目プラスチック廃棄物から還元される燃料油の割合の予測値である燃料油還元割合予測値、および、上記注目プラスチック廃棄物から還元される非燃料油の割合の予測値である非燃料油還元割合予測値を、上記注目廃棄物情報に基づき算出し、上記注目ユーザを含む少なくとも1つのユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油の総量の内、上記注目ユーザへの燃料油の分配量を、上記燃料油還元割合予測値に基づき決定するとともに、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、上記注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、上記非燃料油還元割合予測値に基づき決定し、上記入力デバイスは、上記注目ユーザへの燃料油の分配量およびプラスチック製品の分配量を示す注目分配量情報を、上記情報処理装置から取得する。
【0168】
〔付記事項〕
本発明の一態様は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の一態様の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0169】
1、1A、1B 情報処理装置
11、11B 情報取得部
12 還元割合算出部
13、13A 分配量決定部
14、14A CO2クレジット算出部
80 入力デバイス
90、90A、90A、90C 端末装置(入力デバイス)
100、100A、100B 情報処理システム
【要約】
【課題】少なくとも1つのユーザから排出されたプラスチック廃棄物のリサイクルによって得られた燃料油およびプラスチック製品のそれぞれを、各ユーザに適切に分配する。
【解決手段】情報処理システム(100)において、情報処理装置(1)の情報取得部(11)は、入力デバイス(80)から注目廃棄物情報を取得する。還元割合算出部(12)は、注目プラスチック廃棄物における燃料油還元割合予測値と非燃料油還元割合予測値とを、注目廃棄物情報に基づき算出する。分配量決定部(13)は、少なくとも1つのユーザから排出された全てのプラスチック廃棄物のリサイクルにより得られた燃料油の総量の内、注目ユーザへの燃料油の分配量を、燃料油還元割合予測値に基づき決定し、上記全てのプラスチック廃棄物のリサイクルにより得られた非燃料油から得られた樹脂原料から製造されたプラスチック製品の総量の内、注目ユーザへのプラスチック製品の分配量を、非燃料油還元割合予測値に基づき決定する。
【選択図】
図1