(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/08 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
F04D29/08 B
(21)【出願番号】P 2018023710
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515028492
【氏名又は名称】大訊科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】大槻 登
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-039663(JP,A)
【文献】特表2017-500474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0072414(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/00-15/10
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品に取り付けられるとともに内部を冷却用の液体である冷却媒体が通過する冷却体と、前記冷却体で加熱された前記冷却媒体を冷却するためのラジエータと、前記冷却体と前記ラジエータとの間で前記冷却媒体を循環させるための遠心ポンプとを備え、
前記ラジエータは、前記冷却媒体が通過する複数の冷却管と、前記冷却管の外周面に繋がる複数の放熱用のフィンと、複数の前記冷却管の端部が繋がるタンク室とを備え、
前記遠心ポンプは、ロータおよびステータを有するモータと、前記ロータに固定され前記モータの動力で回転する羽根車と、前記冷却媒体の吸込口および吐出口が形成されるケース体とを備え、
前記モータは、前記ロータおよび前記羽根車の回転中心となる回転中心軸を備え、
前記回転中心軸の軸方向の一方を第1方向とし、第1方向の反対方向を第2方向とすると、
前記ケース体は、筒状に形成される筒部と前記筒部の一端を塞ぐ底部とを有する有底の筒状に形成され、
筒状に形成される前記筒部の軸方向は、前記回転中心軸の軸方向と一致しており、
前記底部は、前記筒部の第1方向端を塞ぎ、
前記ケース体には、前記回転中心軸の第1方向の端部を保持する軸保持部が形成され、
前記底部の中心には、前記回転中心軸の軸方向で前記底部を貫通するとともに前記吸込口から吸い込まれる前記冷却媒体が通過する貫通穴が形成され、
前記軸保持部は、前記底部の第2方向側に配置されるとともに前記底部の中心部に繋がっており、
前記遠心ポンプは、前記底部の第1方向側の面である底面が前記タンク室の第2方向側の側面に対向した状態で前記タンク室に固定され、
前記底部の前記底面と前記タンク室の前記側面との間には、前記遠心ポンプと前記タンク室との間からの前記冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材が前記貫通穴を囲むように配置され、
前記回転中心軸の軸方向から見たときに、前記底部の第2方向側の面に繋がる前記筒部の内周面と前記シール部材とが重なっていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記回転中心軸は、前記ロータおよび前記羽根車を回転可能に支持する固定軸であり、
前記羽根車には、前記回転中心軸が挿通される軸受部が形成され、
前記回転中心軸の軸方向における前記軸受部と前記軸保持部との間には、スラスト軸受が配置されていることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記シール部材は、Oリングであることを特徴とする請求項1または2記載の冷却装置。
【請求項4】
前記底部の第2方向側の面と前記筒部の前記内周面との境界には、前記底部の第2方向側の面と前記筒部の前記内周面とを繋ぐ凹曲面からなる曲面部が形成され、
前記回転中心軸の軸方向から見たときに、前記底部の前記底面と前記Oリングとが接触する接触部は、前記筒部の径方向における前記曲面部の内側端よりも前記筒部の径方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項3記載の冷却装置。
【請求項5】
前記回転中心軸の軸方向から見たときに、前記底部の前記底面と前記Oリングとが接触する接触部と、前記筒部の前記内周面とが重なっていることを特徴とする請求項3または4記載の冷却装置。
【請求項6】
前記回転中心軸の軸方向から見たときに、前記底部の前記底面と前記Oリングとが接触する接触部は、前記筒部の径方向において前記筒部の前記内周面よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項3または4記載の冷却装置。
【請求項7】
前記シール部材の内周側の、前記底部の前記底面と前記タンク室の前記側面との間には、前記遠心ポンプと前記タンク室との間からの前記冷却媒体の漏れを防止するための接着剤が塗布されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記ラジエータは、細長い直方体に形成されるとともに、前記ラジエータの長手方向と水平方向とが一致するように配置され、
前記タンク室は、前記ラジエータの長手方向における前記ラジエータの一端部を構成し、
前記遠心ポンプは、前記ラジエータの長手方向における前記ラジエータの一端に固定され、
前記遠心ポンプには、前記吸込口から吸い込まれた前記冷却媒体が前記吐出口に向かって通過するポンプ室が形成され、
前記ポンプ室の、前記冷却媒体の出口は、前記吸込口よりも上側に配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項9】
前記ラジエータは、細長い直方体に形成されるとともに、前記ラジエータの長手方向と水平方向とが一致するように配置され、
前記タンク室は、前記ラジエータの長手方向における前記ラジエータの一端部を構成し、
前記遠心ポンプは、前記ラジエータの長手方向における前記ラジエータの一端に固定され、
前記遠心ポンプの、前記吸込口が形成された吸込口形成部には、前記タンク室の内部に配置される配管の一端側が接続され、
前記配管の他端は、前記タンク室の内部の下端側に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の発熱部品を冷却するための冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CPU(Central Processing Unit)を冷却するための冷却装置(冷却システム)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷却装置は、CPUが搭載されるとともに内部を冷却媒体が通過する受熱ジャケットと、受熱ジャケットで加熱された冷却媒体を冷却するためのラジエータ部と、受熱ジャケットとラジエータ部との間で冷却媒体を循環させる2個の循環ポンプとを備えている。2個の循環ポンプは、チューブを介して直列に繋がれている。2個の循環ポンプのうちの一方の循環ポンプとラジエータ部とはチューブを介して繋がれ、他方の循環ポンプと受熱ジャケットとはチューブを介して繋がれている。また、受熱ジャケットとラジエータ部とはチューブを介して繋がれている。
【0003】
また、従来、ロータおよびステータを有するモータと、ロータに固定される羽根車とを備える遠心ポンプ(ポンプ装置)が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の遠心ポンプの外郭は、有底の筒状に形成されるとともにステータを覆うハウジングと、ハウジングの開口側を覆うケース体とから構成されている。ハウジングとケース体との間には、流体が通過するポンプ室が形成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の遠心ポンプでは、モータは、ロータを回転可能に支持する固定軸を備えている。固定軸の一端部は、ケース体に保持され、固定軸の他端部は、ハウジングに保持されている。固定軸の両端部には、固定軸の軸方向でロータを支持するスラスト軸受が取り付けられている。2個のスラスト軸受の間には、ロータの一部を構成するスリーブが配置されている。2個のスラスト軸受の少なくともいずれか一方のスラスト軸受とスリーブとの間には、隙間(スラストガタ)が形成されている。
【0005】
また、特許文献2に記載の遠心ポンプでは、ケース体は、ハウジング側が開口する有底の筒状に形成されており、筒状に形成される筒部と、筒部の一端を塞ぐ底部とを備えている。ケース体には、流体が流れ込む導入口部と、流体が排出される排出口部とが形成されている。導入口部の先端は、流体の吸込口となっている。導入口部は、底部の中心に配置されている。また、導入口部は、固定軸と同軸上に配置されている。また、ケース体には、固定軸の一端部を保持する軸保持部が形成されている。軸保持部は、底部と一体で形成されており、底部の中心部に繋がっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-228237号公報
【文献】特開2010-7642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明者は、CPU等の発熱部品を冷却するための冷却装置において、ラジエータの側面に遠心ポンプを直接固定することを検討している。具体的には、遠心ポンプの吸込口がラジエータ側を向くように、ラジエータの側面に遠心ポンプを直接固定することを検討している。また、本願発明者は、たとえば、特許文献2に記載された遠心ポンプのように、吸込口と吐出口とが形成されるとともに有底の筒状に形成されたケース体を備える遠心ポンプをラジエータの側面に固定することを検討している。
【0008】
また、本願発明者は、ラジエータの側面からの遠心ポンプの突出量を抑制するために、固定軸の軸方向で遠心ポンプを薄型化することを検討しており、ケース体の底部を薄くすることを検討している。さらに、本願発明者は、ラジエータと遠心ポンプとの間からの冷却媒体の漏れを防止するため、吸込口が形成される遠心ポンプのケース体の底部とラジエータの側面との間にOリング等の環状のシール部材を配置することを検討している。
【0009】
しかしながら、本願発明者の検討によると、薄くなっているケース体の底部とラジエータの側面との間にシール部材を配置すると、ケース体の底部とラジエータの側面との間で潰れるシール部材の反力によって、底部が遠心ポンプの内側に向かって変形するおそれがあることが明らかになった。また、底部が遠心ポンプの内側に向かって変形すると、底部と一体で形成される軸保持部が遠心ポンプの内側にずれて、スリーブとスラスト軸受との間のスラストガタがなくなり、その結果、ロータおよび羽根車が回転しなくなるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0010】
そこで、本発明の課題は、ラジエータの側面に直接取り付けられる遠心ポンプを備える冷却装置において、有底の筒状に形成される遠心ポンプのケース体の底部とラジエータの側面との間に冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材が配置されていても、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形を抑制することが可能な冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明の冷却装置は、発熱部品に取り付けられるとともに内部を冷却用の液体である冷却媒体が通過する冷却体と、冷却体で加熱された冷却媒体を冷却するためのラジエータと、冷却体とラジエータとの間で冷却媒体を循環させるための遠心ポンプとを備え、ラジエータは、冷却媒体が通過する複数の冷却管と、冷却管の外周面に繋がる複数の放熱用のフィンと、複数の冷却管の端部が繋がるタンク室とを備え、遠心ポンプは、ロータおよびステータを有するモータと、ロータに固定されモータの動力で回転する羽根車と、冷却媒体の吸込口および吐出口が形成されるケース体とを備え、モータは、ロータおよび羽根車の回転中心となる回転中心軸を備え、回転中心軸の軸方向の一方を第1方向とし、第1方向の反対方向を第2方向とすると、ケース体は、筒状に形成される筒部と筒部の一端を塞ぐ底部とを有する有底の筒状に形成され、筒状に形成される筒部の軸方向は、回転中心軸の軸方向と一致しており、底部は、筒部の第1方向端を塞ぎ、ケース体には、回転中心軸の第1方向の端部を保持する軸保持部が形成され、底部の中心には、回転中心軸の軸方向で底部を貫通するとともに吸込口から吸い込まれる冷却媒体が通過する貫通穴が形成され、軸保持部は、底部の第2方向側に配置されるとともに底部の中心部に繋がっており、遠心ポンプは、底部の第1方向側の面である底面がタンク室の第2方向側の側面に対向した状態でタンク室に固定され、底部の底面とタンク室の側面との間には、遠心ポンプとタンク室との間からの冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材が貫通穴を囲むように配置され、回転中心軸の軸方向から見たときに、底部の第2方向側の面に繋がる筒部の内周面とシール部材とが重なっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の冷却装置では、有底の筒状に形成される遠心ポンプのケース体の底部の底面と、ラジエータのタンク室の側面(すなわち、ラジエータの側面)との間に、遠心ポンプとタンク室との間からの冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材が配置されている。また、本発明では、回転中心軸の軸方向から見たときに、ケース体の底部の第2方向側の面に繋がる筒部の内周面と環状のシール部材とが重なっている。
【0013】
そのため、本発明では、ケース体の底部の底面とタンク室の側面との間で潰れるシール部材の反力の少なくとも一部をケース体の筒部で受けることが可能になる。したがって、本発明では、ケース体の底部とラジエータの側面との間にシール部材が配置されていても、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形(具体的には、第2方向への底部の変形)を抑制することが可能になる。
【0014】
また、本発明では、第2方向へのケース体の底部の変形を抑制することが可能になるため、ケース体の底部とラジエータの側面との間にシール部材が配置されていても、底部の中心部に繋がる軸保持部の、第2方向へのずれ量を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、ケース体の底部とラジエータの側面との間にシール部材が配置されていても、ロータおよび羽根車のスラストガタの減少量を抑制することが可能になり、その結果、ロータおよび羽根車が回転しなくなるといった現象が生じにくくなる。
【0015】
また、本発明では、ケース体の底部の変形を抑制しつつ、底部の厚さを薄くすることが可能になるため、回転中心軸の軸方向で遠心ポンプを小型化することが可能になる。したがって、本発明では、ラジエータの側面からの遠心ポンプの突出量を抑制することが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、回転中心軸は、ロータおよび羽根車を回転可能に支持する固定軸であり、羽根車には、回転中心軸が挿通される軸受部が形成され、回転中心軸の軸方向における軸受部と軸保持部との間には、スラスト軸受が配置されている。この場合には、羽根車の軸受部とスラスト軸受との間のスラストガタの減少量を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、シール部材は、たとえば、Oリングである。この場合には、シール部材の全周に亘って、ケース体の底部の底面とシール部材との密着性、および、タンク室の側面とシール部材との密着性を確保しやすくなる。したがって、シール部材の全周に亘って、遠心ポンプとタンク室との間からの冷却媒体の漏れを防止しやすくなる。
【0018】
本発明において、底部の第2方向側の面と筒部の内周面との境界には、底部の第2方向側の面と筒部の内周面とを繋ぐ凹曲面からなる曲面部が形成され、回転中心軸の軸方向から見たときに、底部の底面とOリングとが接触する接触部は、筒部の径方向における曲面部の内側端よりも筒部の径方向の外側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、ケース体の底部の底面とタンク室の側面との間で潰れるシール部材の、より多くの反力をケース体の筒部で受けることが可能になる。したがって、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形を効果的に抑制することが可能になる。
【0019】
本発明において、回転中心軸の軸方向から見たときに、底部の底面とOリングとが接触する接触部と、筒部の内周面とが重なっていることが好ましい。このように構成すると、ケース体の底部の底面とタンク室の側面との間で潰れるシール部材の、より多くの反力をケース体の筒部で受けることが可能になる。したがって、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形を効果的に抑制することが可能になる。
【0020】
本発明において、回転中心軸の軸方向から見たときに、底部の底面とOリングとが接触する接触部は、筒部の径方向において筒部の内周面よりも外側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、ケース体の底部の底面とタンク室の側面との間で潰れるシール部材の反力の全部をケース体の筒部で受けることが可能になる。したがって、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形をより効果的に抑制することが可能になる。
【0021】
本発明において、シール部材の内周側の、底部の底面とタンク室の側面との間には、遠心ポンプとタンク室との間からの冷却媒体の漏れを防止するための接着剤が塗布されていることが好ましい。このように構成すると、遠心ポンプとタンク室との間からの冷却媒体の漏れを効果的に防止することが可能になる。
【0022】
本発明において、ラジエータは、細長い直方体に形成されるとともに、ラジエータの長手方向と水平方向とが一致するように配置され、タンク室は、ラジエータの長手方向におけるラジエータの一端部を構成し、遠心ポンプは、ラジエータの長手方向におけるラジエータの一端に固定され、遠心ポンプには、吸込口から吸い込まれた冷却媒体が吐出口に向かって通過するポンプ室が形成され、ポンプ室の、冷却媒体の出口は、吸込口よりも上側に配置されていることが好ましい。遠心ポンプが停止しているときには、ポンプ室の中の空気は、ポンプ室の上部に溜まるため、このように構成すると、遠心ポンプの起動時に、ポンプ室の中の空気をポンプ室の外部へ排出しやすくなる。したがって、遠心ポンプの起動、停止を繰り返すことで、ポンプ室の中の空気を確実に抜きやすくなる。
【0023】
本発明において、ラジエータは、細長い直方体に形成されるとともに、ラジエータの長手方向と水平方向とが一致するように配置され、タンク室は、ラジエータの長手方向におけるラジエータの一端部を構成し、遠心ポンプは、ラジエータの長手方向におけるラジエータの一端に固定され、遠心ポンプの、吸込口が形成された吸込口形成部には、タンク室の内部に配置される配管の一端側が接続され、配管の他端は、タンク室の内部の下端側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、タンク室の中の上部に空気があっても、遠心ポンプがタンク室の中の空気を吸い込むのを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明では、ラジエータの側面に直接取り付けられる遠心ポンプを備える冷却装置において、有底の筒状に形成される遠心ポンプのケース体の底部とラジエータの側面との間に冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材が配置されていても、厚さが薄くなっているケース体の底部の変形を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる冷却装置の構成を説明するための概略図である。
【
図2】
図1に示すラジエータの構成を説明するための概略図である。
【
図3】
図1に示す遠心ポンプの設置方向を説明するための断面図である。
【
図4】
図1に示す遠心ポンプの構成および遠心ポンプとタンク室との接続部分の構成を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態にかかる遠心ポンプとタンク室との接続部分の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(冷却装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる冷却装置1の構成を説明するための概略図である。
図2は、
図1に示すラジエータ4の構成を説明するための概略図である。
図3は、
図1に示す遠心ポンプ6の設置方向を説明するための断面図である。
図4は、
図1に示す遠心ポンプ6の構成および遠心ポンプ6とタンク室11との接続部分の構成を説明するための断面図である。
図5は、
図4に示すケース体23の斜視図である。なお、
図4では、
図3のE-E断面に相当する断面が図示されている。
【0028】
本形態の冷却装置1は、発熱部品2を冷却するための装置である。具体的には、冷却装置1は、2個の発熱部品2を冷却するための装置である。本形態の発熱部品2は、電子部品である。具体的には、2個の発熱部品2のうちの一方の発熱部品2は、CPUであり、他方の発熱部品2は、GPU(Graphics Processing Unit)である。本形態の冷却装置1は、サーバに取り付けられて使用される。なお、冷却装置1は、パーソナルコンピュータに取り付けられて使用されても良い。
【0029】
冷却装置1は、発熱部品2に取り付けられるとともに内部を冷却用の液体である冷却媒体が通過する2個の冷却体3と、冷却体3で加熱された冷却媒体を冷却するためのラジエータ4と、ラジエータ4に取り付けられる複数の冷却用のファン5と、冷却体3とラジエータ4との間で冷却媒体を循環させるための遠心ポンプ6とを備えている。冷却媒体は、たとえば、冷却水である。ただし、冷却媒体は、冷却水以外の液体であっても良い。
【0030】
冷却体3は、平板状に形成された冷却プレートである。平板状に形成される冷却体3の一方の面は、発熱部品2に接触している。冷却体3の内部には、冷却媒体が通過する流路が形成されている。2個の冷却体3は、ラジエータ4に対して直列に接続されている。具体的には、2個の冷却体3は、樹脂製のチューブ等からなる配管8を介して直列に接続されている。
【0031】
ラジエータ4は、細長い直方体状に形成されている。ラジエータ4は、ラジエータ4の長手方向と水平方向とが一致するように配置されている。すなわち、ラジエータ4の長手方向は、水平方向と一致している。ラジエータ4は、冷却媒体が通過する複数の冷却管9と、冷却管9の外周面に繋がる複数の放熱用のフィン10と、複数の冷却管9の一端部が繋がるタンク室11と、複数の冷却管9の他端部が繋がるタンク室12とを備えている。
【0032】
以下の説明では、ラジエータ4の長手方向(
図1等のX方向)を「左右方向」とする。また、左右方向の一方(
図1等のX1方向)を「右方向」とし、その反対方向である
図1等のX2方向を「左方向」とする。本形態では、複数の冷却管9の左端がタンク室11に繋がり、複数の冷却管9の右端がタンク室12に繋がっている。
【0033】
本形態のラジエータ4は、たとえば、3本の冷却管9を備えている。冷却管9は、細長い直線状に形成されている。冷却管9の長手方向は、左右方向(すなわち、ラジエータ4の長手方向)と一致している。冷却管9の断面形状は、扁平な長円形状となっている。タンク室11は、ラジエータ4の長手方向におけるラジエータ4の一端部を構成し、タンク室12は、ラジエータ4の長手方向におけるラジエータ4の他端部を構成している。すなわち、タンク室11は、ラジエータ4の左端部を構成し、タンク室12は、ラジエータ4の右端部を構成している。
【0034】
タンク室11、12は、中空状に形成されている。冷却管9の内周側は、タンク室11、12の内部に通じている。冷却管9を通過する前の冷却媒体は、タンク室12の内部に溜まっている。また、冷却管9を通過した後の冷却媒体は、タンク室11の内部に溜まっている。複数のファン5は、ラジエータ4に固定されており、複数のフィン10に向かって送風する。
【0035】
遠心ポンプ6は、キャンドポンプ(キャンドモータポンプ)と呼ばれるタイプのポンプである。
図4に示すように、遠心ポンプ6は、モータ15と、モータ15の動力で回転する羽根車16と、モータ15を制御するための回路基板17とを備えている。モータ15は、DCブラシレスモータである。モータ15は、ロータ19とステータ20とを備えている。本形態のモータ15は、アウターロータ型のモータである。羽根車16は、ポンプケース21に収容されている。ポンプケース21は、モータ15の一部を構成するモータケース22と、モータケース22の右端側に固定されるケース体23とから構成されている。
【0036】
ケース体23には、冷却媒体の吸込口23aと、冷却媒体の吐出口23bとが形成されている。ポンプケース21の内部には、吸込口23aから吸い込まれた冷却媒体が吐出口23bに向かって通過するポンプ室24が形成されている。すなわち、遠心ポンプ6には、ポンプ室24が形成されている。モータケース22とケース体23との接合部分には、ポンプ室24の密閉性を確保するための環状のシール部材25が配置されている。シール部材25は、Oリングである。モータケース22とケース体23とは、ネジによって互いに固定されている。
【0037】
ロータ19は、円筒状に形成される駆動用磁石28と、駆動用磁石28が固定される円筒状の磁石保持部材29とを備えている。駆動用磁石28は、磁石保持部材29の内周面に固定されている。駆動用磁石28の内周面には、N極とS極とが周方向において交互に着磁されている。円筒状の磁石保持部材29は、磁石保持部材29の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。磁石保持部材29の右端には、羽根車16が固定されている。すなわち、羽根車16は、ロータ19に固定されている。羽根車16およびロータ19は、ポンプ室24の内部に配置されている。
【0038】
羽根車16およびロータ19は、固定軸30に回転可能に支持されている。すなわち、モータ15は、羽根車16およびロータ19を回転可能に支持する固定軸30を備えている。羽根車16およびロータ19は、固定軸30を回転中心にして回転する。本形態の固定軸30は、羽根車16およびロータ19の回転中心となる回転中心軸である。固定軸30は、固定軸30の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。すなわち、左右方向(X方向)は、固定軸30の軸方向である。また、本形態の右方向(X1方向)は、固定軸30の軸方向の一方である第1方向となっており、左方向(X2方向)は、第1方向の反対方向である第2方向となっている。
【0039】
羽根車16には、固定軸30が挿通される軸受部16aが形成されている。軸受部16aは、円筒状に形成されており、軸受部16aの内周側に固定軸30が挿通されている。固定軸30の右端部は、ケース体23に保持され、固定軸30の左端部は、モータケース22に保持されている。ケース体23と軸受部16aとの間には、スラスト軸受31が配置され、モータケース22と軸受部16aとの間には、スラスト軸受32が配置されている。スラスト軸受31、32は、平板状に形成された滑り軸受である。
【0040】
なお、羽根車16には、複数の羽根が形成される羽根形成部16bが形成されている。羽根形成部16bは、軸受部16aの右端に繋がっている。また、羽根形成部16bは、軸受部16aの右端から径方向の外側に広がっている。磁石保持部材29の右端には、羽根形成部16bの外周側部分が固定されている。
【0041】
ステータ20は、駆動用磁石28の内周側に配置されている。ステータ20は、複数の駆動用コイル34と、ステータコア35とを備えている。駆動用コイル34は、樹脂等の絶縁性材料で形成されたインシュレータ36を介してステータコア35の突極部に巻回されている。また、駆動用コイル34は、回路基板17に電気的に接続されている。回路基板17およびステータコア35は、モータケース22に固定されている。なお、回路基板17およびステータ20は、ポッティング樹脂によって覆われている。
【0042】
モータケース22は、ポンプ室24とステータ20とを隔てるようにポンプ室24とステータ20との間に配置される隔壁22aと、固定軸30の左端部を保持する軸保持部22bとを備えている。隔壁22aは、ステータ20および回路基板17の配置箇所へのポンプ室24内の冷却媒体の流入を防止する機能を果たしている。軸保持部22bは、モータ15の径方向における中心に配置されており、隔壁22aに繋がっている。軸保持部22bの右端面には、固定軸30の左端部が挿入される挿入穴22cと、スラスト軸受32が保持される凹部22dとが形成されている。スラスト軸受32は、左右方向において、羽根車16の軸受部16aと軸保持部22bとの間に配置されている。
【0043】
ケース体23は、筒状に形成される筒部23cと筒部23cの一端を塞ぐ底部23dとを有する有底の筒状に形成されている。筒状に形成される筒部23cの軸方向は、左右方向と一致している。すなわち、筒部23cの軸方向は、固定軸30の軸方向と一致している。底部23dは、筒部23cの右端を塞いでいる。底部23dの厚さ(左右方向の厚さ)は、比較的薄くなっている。筒部23cの内周側および底部23dの左側は、ポンプ室24となっている。ケース体23には、固定軸30の右端部を保持する軸保持部23eと、先端に吸込口23aが形成される円筒状の吸込口形成部23fと、先端に吐出口23bが形成される円筒状の吐出口形成部23gとが形成されている。
【0044】
吐出口形成部23gは、筒部23cの外周面から外周側に向かって突出している。吸込口形成部23fは、底部23dの中心から右側へ突出している。円筒状に形成される吸込口形成部23fの軸心は、固定軸30の軸心と一致している。底部23dの中心には、左右方向で底部23dを貫通する貫通穴23hが形成されている。貫通穴23hは、丸穴状に形成されている。貫通穴23hの軸心は、吸込口形成部23fの軸心と一致している。貫通穴23hの内径は、吸込口形成部23fの内径と同じ大きさとなっている。吸込口23aから吸い込まれる冷却媒体は、吸込口形成部23fの内周側および貫通穴23hを通過する。
【0045】
軸保持部23eは、モータ15の径方向における中心に配置されている。また、軸保持部23eは、底部23dの左側に配置されている。軸保持部23eは、底部23dの中心部に繋がっている。具体的には、軸保持部23eは、3個の連結部23jを介して底部23dの中心部に繋がっている。軸保持部23eの左端面には、固定軸30の右端部が挿入される挿入穴23kと、スラスト軸受31が保持される凹部23nとが形成されている。スラスト軸受31は、左右方向において、羽根車16の軸受部16aと軸保持部23eとの間に配置されている。スラスト軸受31と軸受部16aとの間およびスラスト軸受32と軸受部16aとの間の少なくともいずれか一方には、隙間(スラストガタ)が形成されている。
【0046】
連結部23jは、底部23dの左面から左側に向かって立ち上がっている。軸保持部23eは、3個の連結部23jの左端部に繋がっている。3個の連結部23jは、貫通穴23hを囲むように配置されている。また、3個の連結部23jは、固定軸30の周方向において一定のピッチで配置されている。ポンプ室24に流れ込む冷却媒体は、固定軸30の周方向における連結部23jの間を通過する。
【0047】
筒部23cの内周側には、左側を向く円環状の2個の段差面23p、23qが形成されている。段差面23pには、モータケース22の右端面が接触している。また、段差面23qを利用して、シール部材25が配置されている。段差面23pよりも右側に形成される筒部23cの内周面23rの、左右方向から見たときの形状は、円形状となっている。なお、段差面23pと段差面23qとの間に形成される筒部23cの内周面、および、段差面23qよりも左側に形成される筒部23cの内周面の、左右方向から見たときの形状も円形状となっている。
【0048】
底部23dの左面と筒部23cの内周面23rとの境界には、底部23dの左面と筒部23cの内周面23rとを繋ぐ凹曲面(具体的には、底部23dの左面と筒部23cの内周面23rとを滑らかに繋ぐ凹曲面)からなる曲面部23sが形成されている。すなわち、内周面23rは、曲面部23sを介して底部23dの左面に繋がっている。
【0049】
遠心ポンプ6は、ラジエータ4の長手方向におけるラジエータ4の一端に固定されている。具体的には、遠心ポンプ6は、ラジエータ4の左端面に固定されている。すなわち、遠心ポンプ6は、タンク室11に固定されている。遠心ポンプ6は、ケース体23の底部23dの右側の面である底面23tがタンク室11の左側の側面(左側面)11aに対向した状態でタンク室11に固定されている。また、遠心ポンプ6は、ネジによってタンク室11に固定されている。
【0050】
タンク室11には、遠心ポンプ6の吸込口23aが繋がっている。すなわち、遠心ポンプ6の吸込側は、タンク室11の内部に通じている。側面11aには、
図4に示すように、吸込口形成部23fが挿入される貫通穴11bが形成されている。遠心ポンプ6の吐出口23bは、樹脂製のチューブ等からなる配管37を介して2個の冷却体3のうちの一方の冷却体3に繋がっている。2個の冷却体3のうちの他方の冷却体3は、樹脂製のチューブ等からなる配管40を介してタンク室12に繋がっている。
【0051】
遠心ポンプ6では、
図3に示すように、ポンプ室24の、冷却媒体の出口24aが吸込口23aよりも上側に配置されている。本形態では、遠心ポンプ6が駆動すると、
図1の矢印で示すように、
図1の反時計回りの方向に冷却媒体が流れて、冷却体3とラジエータ4との間で冷却媒体が循環する。
【0052】
図4に示すように、ケース体23の底面23tとタンク室11の側面11aとの間には、遠心ポンプ6とタンク室11との間からの冷却媒体の漏れを防止するための環状のシール部材38が配置されている。シール部材38は、Oリングである。したがって、以下の説明では、シール部材38を「Oリング38」とする。Oリング38は、貫通穴23hおよび吸込口形成部23fを囲むように底面23tの外周側に配置されている。また、ケース体23の底面23tと側面11aとの間に配置されるOリング38は、円環状となっており、Oリング38の軸心は、吸込口形成部23fの軸心と略一致している。側面11aの外周端部分は、Oリング38を位置決めするための円環状の凸部11cとなっている。凸部11cは、左側に向かって突出している。
【0053】
左右方向から見たときに、筒部23cの内周面23rとOリング38とが重なっている。本形態では、左右方向から見たときに、底面23tとOリング38とが接触する接触部CPは、筒部23cの径方向における曲面部23sの内側端よりも筒部23cの径方向の外側に配置されている。具体的には、本形態では、左右方向から見たときに、接触部CPは、内周面23rと重なっている。なお、左右方向から見たときの接触部CPの形状は、略円環状となっている。
【0054】
シール部材38の内周側の、底面23tと側面11aとの間には、遠心ポンプ6とタンク室11との間からの冷却媒体の漏れを防止するための接着剤39が塗布されている。接着剤39は、Oリング38の内周側でOリング38の全周に亘って塗布されている。また、接着剤39は、吸込口形成部23fの外周面とOリング38の内周面との間に塗布されている。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、左右方向から見たときに、ケース体23の筒部23cの内周面23rとOリング38とが重なっている。そのため、本形態では、ケース体23の底部23dとタンク室11との間で潰れるOリング38の反力の少なくとも一部を筒部23cで受けることが可能になる。したがって、本形態では、ケース体23の底面23tとタンク室11の側面11aとの間にOリング38が配置されていても、厚さが比較的薄くなっているケース体23の底部23dの左方向への変形を抑制することが可能になる。
【0056】
特に本形態では、左右方向から見たときに、底面23tとOリング38とが接触する接触部CPは、筒部23cの径方向における曲面部23sの内側端よりも筒部23cの径方向の外側に配置されている。具体的には、左右方向から見たときに、接触部CPは、内周面23rと重なっている。そのため、本形態では、ケース体23の底部23dとタンク室11との間で潰れるOリング38の、より多くの反力を筒部23cで受けることが可能になる。したがって、本形態では、厚さが比較的薄くなっている底部23dの左方向への変形を効果的に抑制することが可能になる。
【0057】
また、本形態では、左方向への底部23dの変形を抑制することが可能になるため、底部23dの中心部に繋がる軸保持部23eの左方向へのずれ量を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ケース体23の底面23tとタンク室11の側面11aとの間にOリング38が配置されていても、軸保持部23eに保持されるスラスト軸受31と軸受部16aとの間および軸保持部22bに保持されるスラスト軸受32と軸受部16aとの間の少なくともいずれか一方に形成されるロータ19および羽根車16のスラストガタの減少量を抑制することが可能になり、その結果、ロータ19および羽根車16が回転しなくなるといった現象が生じにくくなる。
【0058】
また、本形態では、底部23dの変形を抑制しつつ、底部23dの厚さを比較的薄くすることが可能になるため、左右方向で遠心ポンプ6を小型化することが可能になる。したがって、本形態では、ラジエータ4の側面からの遠心ポンプ6の突出量を抑制することが可能になる。
【0059】
本形態では、シール部材38の内周側の、底面23tと側面11aとの間には、遠心ポンプ6とタンク室11との間からの冷却媒体の漏れを防止するための接着剤39が塗布されている。そのため、本形態では、遠心ポンプ6とタンク室11との間からの冷却媒体の漏れを効果的に防止することが可能になる。
【0060】
本形態では、ポンプ室24の、冷却媒体の出口24aは、吸込口23aよりも上側に配置されている。そのため、本形態では、遠心ポンプ6の起動時に、ポンプ室24の中の空気をポンプ室24の外部へ排出しやすくなる。すなわち、遠心ポンプ6が停止しているときには、ポンプ室24の中の空気は、ポンプ室24の上部に溜まるため、ポンプ室24の、冷却媒体の出口24aが吸込口23aよりも上側に配置されていると、遠心ポンプ6の起動時に、ポンプ室24の中の空気をポンプ室24の外部へ排出しやすくなる。したがって、本形態では、遠心ポンプ6の起動、停止を繰り返すことで、ポンプ室24の中の空気を確実に抜きやすくなる。
【0061】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0062】
上述した形態において、
図6に示すように、遠心ポンプ6の吸込口形成部23fに、タンク室11の内部に配置される樹脂製のチューブ等の配管43の一端側が接続され、配管43の他端がタンク室11の内部の下端側に配置されていても良い。この場合には、タンク室11の中の上部に空気があっても、遠心ポンプ6がタンク室11の中の空気を吸い込むのを防止することが可能になる。なお、
図6では、Oリング38および接着剤39等の図示を省略している。
【0063】
上述した形態において、左右方向から見たときに、接触部CPは、筒部23cの径方向における曲面部23sの内側端と重なっていても良いし、筒部23cの径方向における曲面部23sの内側端よりも筒部23cの径方向の内側に配置されていても良い。また、上述した形態において、左右方向から見たときに、接触部CPは、筒部23cの径方向における曲面部23sの内側端よりも筒部23cの径方向の外側であって、かつ、内周面23rよりも筒部23cの径方向の内側に配置されていても良い。
【0064】
また、上述した形態において、左右方向から見たときに、接触部CPは、筒部23cの径方向において筒部23cの内周面23rより外側に配置されていても良い。この場合には、ケース体23の底面23tとタンク室11の側面11aとの間で潰れるOリング38の反力の全部を筒部23cで受けることが可能になる。したがって、底部23dの変形をより効果的に抑制することが可能になる。
【0065】
上述した形態において、シール部材38は、Oリング以外の環状のシール部材であっても良い。また、上述した形態において、シール部材38の内周側の、底面23tと側面11aとの間に接着剤39が塗布されていなくても良い。また、上述した形態において、モータ15は、固定軸30に代えて、羽根車16が固定される回転軸を備えていても良い。この場合の回転軸は、羽根車16およびロータ19の回転中心となる回転中心軸である。
【0066】
上述した形態において、ポンプ室24の、冷却媒体の出口24aは、吸込口23aと同じ高さに配置されていても良いし、吸込口23aより下側に配置されていても良い。また、上述した形態において、2個の冷却体3は、ラジエータ4に対して並列に接続されていても良い。さらに、上述した形態において、冷却装置1が備える冷却体3の数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。また、上述した形態において、ラジエータ4の長手方向は、水平方向に対して傾いていても良い。また、上述した形態において、発熱部品2は、電子部品以外の部品であっても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 冷却装置
2 発熱部品
3 冷却体
4 ラジエータ
6 遠心ポンプ
9 冷却管
10 フィン
11 タンク室
11a 側面(タンク室の第2方向側の側面)
15 モータ
16 羽根車
16a 軸受部
19 ロータ
20 ステータ
23 ケース体
23a 吸込口
23b 吐出口
23c 筒部
23d 底部
23e 軸保持部
23f 吸込口形成部
23h 貫通穴
23r 内周面
23s 曲面部
23t 底面
24 ポンプ室
24a 冷却媒体の出口
30 固定軸(回転中心軸)
31 スラスト軸受
38 Oリング(シール部材)
39 接着剤
43 配管
CP 接触部
X 回転中心軸の軸方向
X1 第1方向
X2 第2方向