(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20221124BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20221124BHJP
【FI】
G06F1/20 D
H05K7/20 B
(21)【出願番号】P 2022072560
(22)【出願日】2022-04-26
【審査請求日】2022-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】槻 学
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-177348(JP,A)
【文献】特開2014-139731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
G06F 1/04
H05K 7/20
H04L 23/34 - 23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを冷却する冷却装置を設置可能な冷却装置設置箇所と、
前記ハードウェアの近傍に設置され、周辺温度に応じて抵抗値が変化する第1サーミスタと、
前記第1サーミスタの抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する信号回路と、
前記温度信号の強度に基づいて、前記ハードウェアのパフォーマンスを制御するコントローラと、
前記冷却装置設置箇所への前記冷却装置の設置状況が所定の状況の場合、前記周辺温度が現在の前記周辺温度よりも高いときの前記第1サーミスタの抵抗値
に応じた強度の前記温度信号となるよう前記温度信号を調節する疑似高温回路と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記温度信号の強度と、第2サーミスタの抵抗値に応じた強度で出力される信号に基づいて、前記ハードウェアのパフォーマンスを制御し、
前記第1サーミスタは、前記第2サーミスタよりも前記ハードウェアに近い位置に設置される、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記疑似高温回路は、前記冷却装置の設置状況に応じて接続されるか否かが決定される第1接点と第2接点とを含み、前記第1接点と前記第2接点とが接続されているか否かに応じた検知信号を出力する検知回路を含む、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1接点と前記第2接点とは、前記冷却装置が前記冷却装置設置箇所に設置されている場合、前記冷却装置の少なくとも一部を電流が流れることで接続される、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1サーミスタは、前記周辺温度が高いほど抵抗値が小さくなり、
前記疑似高温回路は、前記所定の状況の場合、前記第1サーミスタと抵抗とを並列接続させ、
前記信号回路は、前記所定の状況以外の場合、前記第1サーミスタの抵抗値に応じた強度の前記温度信号を出力し、前記所定の状況の場合、前記第1サーミスタと前記抵抗との合成抵抗の抵抗値に応じた強度の前記温度信号を出力する、
請求項1記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)は、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを冷却する冷却装置を搭載していることがある。冷却装置を搭載することで、ハードウェアを高いパフォーマンスで作動させた場合に発生する熱の影響を軽減できる。
【0003】
ハードウェアの冷却に関する技術としては、例えば、電子部品に対してベースを押し付ける力を大きくしやすいヒートシンクが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
冷却装置を搭載せずに軽量化した軽量化モデルのPCと、冷却装置を搭載してハードウェアを高いパフォーマンスで作動させる高パフォーマンスモデルのPCとで、同じ基板を搭載できることが好ましい。しかし、軽量化モデルにおいて、高パフォーマンスモデルと同様にハードウェアの制御をすると、過剰に熱が発生してしまうことがある。
【0006】
1つの側面では、本件は、ハードウェアの制御を適切に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、冷却装置設置箇所と、第1サーミスタと、信号回路と、コントローラと、疑似高温回路と、を有する情報処理装置が提供される。冷却装置設置箇所は、ハードウェアを冷却する冷却装置を設置可能である。第1サーミスタは、ハードウェアの近傍に設置され、周辺温度に応じて抵抗値が変化する。信号回路は、第1サーミスタの抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。コントローラは、温度信号の強度に基づいて、ハードウェアのパフォーマンスを制御する。疑似高温回路は、冷却装置設置箇所への冷却装置の設置状況が所定の状況の場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときの第1サーミスタの抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、ハードウェアの制御を適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。
【
図3】PCのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図6】サーミスタと疑似高温回路との合成抵抗の抵抗値の一例を示す図である。
【
図9】冷却装置が設置されていない場合のPC基板の一例を示す図である。
【
図10】冷却装置が設置されている場合のPC基板の一例を示す図である。
【
図12】冷却装置を設置したPCの動作の一例を示す図である。
【
図13】冷却装置を設置していないPCの動作の一例を示す図である。
【
図15】信号回路の一例を示す図(その2)である。
【
図17】信号回路の一例を示す図(その3)である。
【
図18】信号回路の一例を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、冷却装置の設置状況に応じたハードウェア制御をするものである。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。情報処理装置10は、冷却装置1を搭載可能なコンピュータである。情報処理装置10は、例えば、ノートPCである。
【0012】
まず、情報処理装置10内部の配置について説明する。情報処理装置10は、冷却装置設置箇所1a、ハードウェア2および第1サーミスタ14を有する。冷却装置設置箇所1aは、ハードウェア2を冷却する冷却装置1を設置可能な箇所である。冷却装置設置箇所1aには、冷却装置1が設置されていてもよいし、冷却装置1が設置されていなくてもよい。冷却装置1は、例えば、ヒートシンクである。
【0013】
ハードウェア2は、冷却装置1によって冷却されるハードウェアである。ハードウェア2は、例えば、CPU電源等の電源装置、CPU等のプロセッサ、SSD(Solid State Drive)等のストレージ装置である。第1サーミスタ14は、周辺温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタである。例えば、第1サーミスタ14は、周辺温度が高いほど抵抗値が小さくなる。第1サーミスタ14は、ハードウェア2の近傍に設置される。例えば、第1サーミスタ14は、ハードウェア2の表面温度や、ハードウェア2の周囲の温度によって抵抗値が変化する位置に設置される。
【0014】
次に、ハードウェア2を制御する制御回路について説明する。情報処理装置10は、コントローラ11および信号回路12を有する。コントローラ11は、ハードウェア2を制御する。コントローラ11は、例えば、マイクロコントローラである。信号回路12は、第1サーミスタ14の抵抗値に応じた強度の温度信号をコントローラ11に出力する。コントローラ11は、温度信号の強度に基づいて、ハードウェア2のパフォーマンスを制御する。例えば、コントローラ11は、温度信号の強度に基づいて、CPU電源であるハードウェア2のCPUへの電源供給量を制御する。また、例えば、コントローラ11は、温度信号の強度に基づいて、CPUやSSDであるハードウェア2の動作速度を制御する。
【0015】
信号回路12は、電源13、第1サーミスタ14および疑似高温回路15を有する。電源13は、信号回路12が温度信号を出力するための電源である。電源13から発生する電圧は、プルアップ抵抗を介して温度信号としてコントローラ11に供給される。また、電源13から発生する電圧は、プルアップ抵抗を介して第1サーミスタ14および疑似高温回路15に供給される。つまり、温度信号は、第1サーミスタ14および疑似高温回路15の抵抗に応じて強度が変化する。
【0016】
第1サーミスタ14は、GNDに接続される。信号回路12の例では、第1サーミスタ14の抵抗値が小さくなる(周辺温度が高くなる)と、電源13から発生する電流は第1サーミスタ14側に流れやすくなり、温度信号の強度は低くなる。また、信号回路12の例では、第1サーミスタ14の抵抗値が大きくなる(周辺温度が低くなる)と、電源13から発生する電流は第1サーミスタ14側に流れづらくなり、温度信号の強度は高くなる。例えば、コントローラ11は、温度信号の強度が閾値未満の場合に、ハードウェア2のパフォーマンスを抑える制御をする。
【0017】
疑似高温回路15は、冷却装置設置箇所1aへの冷却装置1の設置状況が所定の状況の場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときの第1サーミスタ14の抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。信号回路12の例では、疑似高温回路15は、所定の状況の場合、温度信号の強度が低くなるよう調節する。
【0018】
所定の状況は、所定の状況以外よりもハードウェア2を冷却する度合いが低い状況である。例えば、所定の状況は、冷却装置1が冷却装置設置箇所1aに設置されていない状況であり、所定の状況以外は、冷却装置1が冷却装置設置箇所1aに設置されている状況である。また、例えば、所定の状況は、特定の種類(性能の良い種類)以外の冷却装置1が設置されているまたは冷却装置1が設置されていない状況であり、所定の状況以外は、特定の種類の冷却装置1が設置されている状況である。
【0019】
疑似高温回路15は、検知回路15a、FET(Field Effect Transistor)15bおよび抵抗15cを有する。検知回路15aは、冷却装置1の設置状況に応じた検知信号をFET15bに出力する。検知回路15aは、電源15d、第1接点15eおよび第2接点15fを有する。電源15dは、検知回路15aが検知信号を出力するための電源である。電源15dから発生する電圧は、プルアップ抵抗を介して検知信号としてFET15bのゲートに供給される。FET15bのドレインは、コントローラ11の温度信号の入力端子に接続されている。FET15bのソースは、抵抗15cを介してGNDに接続されている。また、電源15dは、プルアップ抵抗を介して第1接点15eに接続されている。
【0020】
第1接点15eは、冷却装置1の設置状況に応じて第2接点15fに接続されるか否かが決定される。
図1の例では、冷却装置1の設置状況が所定の状況の場合、第1接点15eと第2接点15fとは接続されず、所定の状況以外の場合、第1接点15eと第2接点15fとは接続される。第2接点15fは、GNDに接続されている。
【0021】
例えば、第1接点15eと第2接点15fとは、冷却装置1を固定するスタッドを取り付けるための穴で実現される。第1接点15eと第2接点15fとは、冷却装置1が冷却装置設置箇所1aに設置されていない場合、接続されない。また、第1接点15eと第2接点15fとは、冷却装置1が冷却装置設置箇所1aに設置されている場合、冷却装置1の少なくとも一部を電流が流れることで接続される。
【0022】
第1接点15eと第2接点15fとが接続されている場合、電源15dからFET15bのゲートに、検知信号として供給される電圧が低下する。また、第1接点15eと第2接点15fとが接続されていない場合、電源15dの出力電圧がそのまま検知信号としてFET15bのゲートに供給される。つまり、検知回路15aは、第1接点15eと第2接点15fとが接続されていない場合(所定の状況の場合)、第1接点15eと第2接点15fとが接続されている場合(所定の状況以外の場合)よりも強度の高い検知信号を出力する。このようにして、検知回路15aは、第1接点15eと第2接点15fとが接続されているか否かに応じた検知信号をFET15bに出力する。
【0023】
FET15bは、検知回路15aからの検知信号の強度に基づいて、電源13から発生する電流を抵抗15cに流すか否かを制御する。抵抗15cは、GNDに接続されている抵抗である。例えば、FET15bは、検知信号が所定の強度未満の場合(所定の状況以外の場合)、電源13から発生する電流が抵抗15cに流れないようにする。これにより、信号回路12は、所定の状況以外の場合、第1サーミスタ14の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。
【0024】
また、例えば、FET15bは、検知信号が所定の強度以上の場合(所定の状況の場合)、電源13から発生する電流が抵抗15cに流れるようにする。つまり、疑似高温回路15は、所定の状況の場合、第1サーミスタ14と抵抗15cとを並列接続させる。これにより、信号回路12は、所定の状況の場合、第1サーミスタと抵抗との合成抵抗の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。
【0025】
第1の実施の形態によれば、冷却装置設置箇所1aは、ハードウェア2を冷却する冷却装置1を設置可能である。第1サーミスタ14は、ハードウェア2の近傍に設置され、周辺温度に応じて抵抗値が変化する。信号回路12は、第1サーミスタ14の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。コントローラ11は、温度信号の強度に基づいて、ハードウェア2のパフォーマンスを制御する。疑似高温回路15は、冷却装置設置箇所1aへの冷却装置1の設置状況が所定の状況の場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときの第1サーミスタ14の抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。
【0026】
このようにして、情報処理装置10は、所定の状況の場合、ハードウェア2が高温であるときと同様にハードウェア2のパフォーマンスを制御する。これにより、情報処理装置10は、ハードウェア2の冷却の度合いが低い場合に、発生する熱を抑制できる。よって、情報処理装置10は、ハードウェア2の制御を適切に実行することができる。
【0027】
また、疑似高温回路15は、冷却装置1の設置状況に応じて接続されるか否かが決定される第1接点15eと第2接点15fとを含み、第1接点15eと第2接点15fとが接続されているか否かに応じた検知信号を出力する検知回路15aを含む。これにより、情報処理装置10は、所定の状況であるか否かを適切に検知できる。
【0028】
また、第1接点15eと第2接点15fとは、冷却装置1が冷却装置設置箇所1aに設置されている場合、冷却装置1の少なくとも一部を電流が流れることで接続される。これにより、情報処理装置10は、冷却装置1を適切に検知できる。
【0029】
また、第1サーミスタ14は、周辺温度が高いほど抵抗値が小さくなる。疑似高温回路15は、所定の状況の場合、第1サーミスタ14と抵抗15cとを並列接続させる。信号回路12は、所定の状況以外の場合、第1サーミスタ14の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力し、所定の状況の場合、第1サーミスタ14と抵抗15cとの合成抵抗の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。これにより、情報処理装置10は、所定の状況の場合、信号回路12からハードウェア2が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。
【0030】
なお、コントローラ11は、温度信号の強度と、第2サーミスタの抵抗値に応じた強度で出力される信号に基づいて、ハードウェア2のパフォーマンスを制御してもよい。第1サーミスタ14は、第2サーミスタよりもハードウェア2に近い位置に設置される。これにより、情報処理装置10は、ハードウェア2以外の温度を踏まえつつ、ハードウェア2の温度を重視してハードウェア2の制御をすることができる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、冷却装置を搭載しているか否かに応じたハードウェア制御をするものである。
【0032】
図2は、第2の実施の形態の概要を示す図である。第2の実施の形態では、PC100がCPU電源の制御をする。PC100は、冷却装置140を搭載可能なノートPCである。冷却装置140は、CPU電源を冷却するヒートシンクを含む。
【0033】
PC100は、コントローラ108、サーミスタ116、抵抗121および電源131を有する。コントローラ108は、PC100に搭載されているハードウェアを制御する。例えば、コントローラ108は、サーミスタ116の抵抗値に応じた温度信号の強度(信号電圧)に基づいて、CPU電源のパフォーマンスを制御する。サーミスタ116は、PC100に搭載されたCPU電源の近傍に設置される。サーミスタ116は、周辺温度が高いほど抵抗値が小さくなる。なお、サーミスタ116は、第1の実施の形態に示した第1サーミスタ14の一例である。抵抗121は、温度信号を調節するための抵抗である。抵抗121は、第1の実施の形態に示した抵抗15cの一例である。電源131は、温度信号を出力するための電源である。
【0034】
電源131で発生した電圧は、プルアップ抵抗を介して温度信号としてコントローラ108に供給される。また、電源131で発生した電圧は、プルアップ抵抗を介してサーミスタ116に供給される。つまり、サーミスタ116の抵抗値が小さい(周辺温度が高い)と、電流がサーミスタ116側に流れやすくなるため信号電圧は小さくなる。また、サーミスタ116の抵抗値が大きい(周辺温度が低い)と、電流がサーミスタ116側に流れにくいため、信号電圧は大きくなる。
【0035】
コントローラ108は、信号電圧をサーミスタ116の周辺温度に換算した換算温度に基づいて、CPU電源のパフォーマンスを制御する。例えば、コントローラ108は、換算温度が閾値以上の場合、CPU電源のパフォーマンスを抑える制御をする。
【0036】
ここで、PC100が冷却装置140を搭載していない場合(冷却装置なしの場合)、抵抗121がサーミスタ116に並列に接続される。すると、電源131で発生した電流は、サーミスタ116と抵抗121との合成抵抗に流れる。並列に接続された抵抗121とサーミスタ116との合成抵抗は、サーミスタ116の抵抗値より小さくなるため、信号電圧が小さくなり換算温度は高くなる。これにより、コントローラ108は、サーミスタ116の周囲が低温の場合でも、サーミスタ116の周囲が高温と認識してCPU電源のパフォーマンスを抑える制御をする。
【0037】
また、PC100が冷却装置140を搭載している場合(冷却装置ありの場合)、抵抗121とサーミスタ116とが回路的に分断される。これにより、コントローラ108は、サーミスタ116の周囲が低温の場合、サーミスタ116の周囲が低温と認識してCPU電源のパフォーマンスを抑える制御をする。
【0038】
図3は、PCのハードウェアの一構成例を示す図である。PC100は、CPU101によって装置全体が制御されている。CPU101は、プログラムの命令を実行するプロセッサである。なお、CPU101は複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、CPU101は、複数のプロセッサであってもよく、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)等であってもよい。また、CPU101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。CPU101には、バス110を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0039】
RAM102は、PC100の主記憶装置である。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に利用する各種データが格納される。なお、PC100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0040】
バス110に接続されている周辺機器としては、SSD103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106および機器接続インタフェース107がある。また、バス110に接続されている周辺機器としては、コントローラ108およびネットワークインタフェース109がある。
【0041】
SSD103は、PC100の補助記憶装置である。SSD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、PC100は、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等の他の種類の補助記憶装置を備えてもよく、複数の補助記憶装置を備えてもよい。
【0042】
GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0043】
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0044】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0045】
機器接続インタフェース107は、PC100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
【0046】
コントローラ108は、プロセッサ108a、RAM108bおよびROM108cを有する。プロセッサ108aは、ROM108cに格納されたファームウェア(制御用のソフトウェア)をRAM108bに読み込み、ファームウェアに従った処理を実行する。プロセッサ108aは、例えばCPU、MPU、またはDSPである。プロセッサ108aがプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC、PLD等の電子回路で実現してもよい。
【0047】
RAM108bは、コントローラ108の主記憶装置として使用される、揮発性の半導体記憶装置である。RAM108bには、プロセッサ108aに実行させるプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM108bには、プロセッサ108aによる処理に利用する各種データが格納される。
【0048】
ROM108cは、ファームウェアを記憶する不揮発性の半導体記憶装置である。ROM108cとしては、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を用いることができる。
【0049】
ネットワークインタフェース109は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース109は、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0050】
PC100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した情報処理装置10も、
図3に示したPC100と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0051】
PC100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。PC100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、PC100に実行させるプログラムをROM108cに格納しておくことができる。プロセッサ108aは、ROM108c内のプログラムの少なくとも一部をRAM108bにロードし、プログラムを実行する。また、PC100に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、CPU101からの制御により、ROM108cにインストールされた後、実行可能となる。また、プロセッサ108aが、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0052】
次に、コントローラ108によるハードウェア制御について説明する。
図4は、ハードウェア制御の一例を示す図である。コントローラ108は、電源情報および温度情報を取得し、ハードウェアの速度制御および冷却制御をする。コントローラ108は、バッテリ111、ACアダプタ112、CPU温度計113およびサーミスタ114,115,116に関する情報を取得する。コントローラ108は、バッテリ111およびACアダプタ112から電源に関する情報を取得する。バッテリ111は、PC100に電源供給をする。コントローラ108は、バッテリ111がPC100に供給するW(ワット)数を取得する。ACアダプタ112は、バッテリ111に電力を供給する。コントローラ108は、ACアダプタ112の接続有無およびACアダプタ112がバッテリ111に供給するW数を取得する。
【0053】
コントローラ108は、CPU温度計113およびサーミスタ114,115,116を含む回路から温度に関する情報を取得する。CPU温度計113は、CPU101の温度を測定する温度計である。コントローラ108は、CPU温度計113からCPU101の温度を取得する。
【0054】
サーミスタ114は、CPU101の裏面に設置されたサーミスタである。コントローラ108は、サーミスタ114を含む回路から、サーミスタ114の抵抗値に応じた強度で出力される信号を取得し、取得した信号の強度をサーミスタ114の周辺温度に換算する。サーミスタ115は、PC100が有するVGA(Video Graphics Array)電源の近傍に設置されたサーミスタである。コントローラ108は、サーミスタ115を含む回路から、サーミスタ115の抵抗値に応じた強度で出力される信号を取得し、取得した信号の強度をサーミスタ115の周辺温度に換算する。なお、サーミスタ114,115は、第1の実施の形態に示した第2サーミスタの一例である。
【0055】
コントローラ108は、サーミスタ116と疑似高温回路120とを含む回路から、温度信号を取得し、温度信号の強度をサーミスタ115の周辺温度に換算する。疑似高温回路120は、冷却装置140が設置されていない場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときのサーミスタ116の抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。なお、冷却装置140が設置されていない場合は、第1の実施の形態に示した所定の状況の場合の一例である。また、冷却装置140が設置されている場合は、第1の実施の形態に示した所定の状況以外の場合の一例である。
【0056】
コントローラ108は、電源情報および温度情報に基づいて、CPU101、SSD103、ネットワークインタフェース109、充電IC(Integrated Circuit)117およびファン118を制御する。コントローラ108は、CPU101、SSD103、ネットワークインタフェース109および充電IC117の動作速度を制御する。例えば、コントローラ108は、CPU電源からCPU101に供給する電力を制御することで、CPU101の動作速度を制御する。充電IC117は、バッテリ111の充電を制御するための回路である。
【0057】
また、コントローラ108は、ファン118によるPC100内の冷却を制御する。ファン118は、羽を回転させることでPC100内の冷却をする。コントローラ108は、ファン118の回転数を制御する。
【0058】
次に、サーミスタ116と疑似高温回路120とを含む信号回路について説明する。
図5は、信号回路の一例を示す図(その1)である。コントローラ108は、信号回路30から温度信号を取得し、温度信号に基づいてCPU電源を制御する。信号回路30は、サーミスタ116、疑似高温回路120、電源131および抵抗132を有する。
【0059】
電源131は、信号回路30が温度信号を出力するための電源である。電源131の電圧は、3Vである。抵抗132は、電源131のプルアップ抵抗である。抵抗132の抵抗値は、10kΩである。
【0060】
電源131から発生する電流は、抵抗132を介して温度信号としてコントローラ108に流れる。また、電源131から発生する電流は、抵抗132を介してサーミスタ116および疑似高温回路120に流れる。サーミスタ116は、GNDに接続される。
【0061】
疑似高温回路120は、検知回路120a、抵抗121およびFET122を有する。検知回路120aは、冷却装置140の有無に応じた検知信号をFET122に出力する。検知回路120aは、電源123、抵抗124,125および接点126,127を有する。電源123は、検知回路120aが検知信号を出力するための電源である。電源123の電圧は、3Vである。抵抗124は、電源123のプルアップ抵抗である。抵抗124の抵抗値は、100kΩである。
【0062】
電源123の電圧は、抵抗124を介して検知信号としてFET122のゲートに供給される。また、電源123は、抵抗124,125を介して接点126に接続されている。抵抗125は、接点126に流れる電流を調整するための抵抗である。抵抗125の抵抗値は、100Ωである。
【0063】
接点126は、冷却装置140の有無に応じて接点127に接続されるか否かが決定される。冷却装置140が設置されている場合、接点126と接点127とは接続され、冷却装置140が設置されていない場合、接点126と接点127とは接続されない。接点127は、GNDに接続されている。接点126は、第1の実施の形態に示した第1接点15eの一例であり、接点127は、第1の実施の形態に示した第2接点15fの一例である。
【0064】
抵抗121は、GNDに接続されている抵抗である。抵抗121の抵抗値は、2.2kΩである。FET122は、検知回路120aからの検知信号の強度に基づいて、電源131から発生する電流を抵抗121に流すか否かを制御する。FET122のドレインは、コントローラ108の温度信号入力用の端子に接続されている。FET122のソースは、抵抗121を介してGNDに接続されている。FET122は、検知信号が所定の強度未満の場合、電源131から発生する電流が抵抗121に流れないようにする。また、FET122は、検知信号が所定の強度以上の場合、電源131から発生する電流が抵抗121に流れるようにする。
【0065】
信号回路30において、冷却装置140が設置されている場合、接点126と接点127とは接続される。接点126と接点127とが接続されている場合、電源123の電圧は抵抗124,125によって分圧され、FET122のゲートに供給される。抵抗124の抵抗値は抵抗125の抵抗値よりも十分に大きいため、分圧されたFET122のゲート電圧はほぼ0Vとなる。これにより、検知信号の強度は、所定の強度未満となり、FET122によって、電源131から発生する電流が抵抗121に流れないようになる。
【0066】
また、信号回路30において、冷却装置140が設置されていない場合、接点126と接点127とは接続されない。接点126と接点127とが接続されていない場合、電源123の3Vの電圧は、そのままFET122のゲートに供給される。これにより、検知信号の強度は、所定の強度以上となり、FET122によって、電源131から発生する電流が抵抗121に流れるようになる。
【0067】
なお、信号回路30に含まれる電源123,131の電圧や抵抗121,124,125の抵抗値は一例であり、他の値であってもよい。次に、冷却装置140の有無に応じた信号回路30の動作について説明する。
【0068】
図6は、サーミスタと疑似高温回路との合成抵抗の抵抗値の一例を示す図である。グラフ31は、冷却装置140の有無に応じたサーミスタ116と疑似高温回路120との合成抵抗値の温度変化を示す。グラフ31の縦軸は、抵抗値を示す。また、グラフ31の横軸は、サーミスタ116の周辺温度を示す。
【0069】
グラフ31は、冷却装置140が設置されている場合のサーミスタ116と疑似高温回路120との合成抵抗の抵抗値が、温度が高くなると減少することを示す。冷却装置140が設置されている場合、電源131から発生する電流が抵抗121に流れないため、サーミスタ116と疑似高温回路120との合成抵抗の抵抗値は、サーミスタ116の抵抗値となる。
【0070】
グラフ31は、冷却装置140が設置されていない場合のサーミスタ116と疑似高温回路120との合成抵抗の抵抗値が、冷却装置140が設置されている場合よりも小さくなることを示す。冷却装置140が設置されていない場合、電源131から発生する電流が抵抗121に流れるため、サーミスタ116と疑似高温回路120との合成抵抗の抵抗値は、並列に接続されたサーミスタ116と抵抗121との合成抵抗の抵抗値となる。並列に接続されたサーミスタ116と抵抗121との合成抵抗の抵抗値は、サーミスタ116の抵抗値よりも小さくなる。
【0071】
図7は、信号電圧の一例を示す図である。グラフ32は、冷却装置140の有無に応じた信号電圧の温度変化を示す。グラフ32の縦軸は、信号電圧を示す。また、グラフ32の横軸は、サーミスタ116の周辺温度を示す。
【0072】
グラフ32は、冷却装置140が設置されている場合の信号電圧が、温度が高くなると低下することを示す。信号回路30では、サーミスタ116の抵抗値が小さくなると、電源131から発生する電流はサーミスタ116側に流れやすくなり、信号電圧は低くなる。
【0073】
グラフ32は、冷却装置140が設置されていない場合の信号電圧が、冷却装置140が設置されている場合よりも小さくなることを示す。信号回路30では、並列に接続されたサーミスタ116と抵抗121との合成抵抗の抵抗値は、サーミスタ116の抵抗値より小さくなる。よって、冷却装置140が設置されていない場合、電源131から発生する電流はサーミスタ116と抵抗121との合成抵抗側に流れやすくなり、冷却装置140が設置されている場合よりも信号電圧は低くなる。
【0074】
このように、冷却装置140が設置されていない場合、信号回路30は、サーミスタ116と抵抗121とを並列に接続させることで、CPU電源が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。
【0075】
図8は、換算温度の一例を示す図である。グラフ33は、冷却装置140の有無に応じた換算温度の温度変化を示す。グラフ33の縦軸は、換算温度を示す。また、グラフ33の横軸は、サーミスタ116の周辺温度を示す。
【0076】
グラフ33は、冷却装置140が設置されている場合、サーミスタ116の周辺温度と換算温度とが一致していることを示す。つまり、コントローラ108は、グラフ32に示される冷却装置140が設置されている場合の信号電圧と周辺温度との関係に基づいて、信号電圧から換算温度を算出する。
【0077】
グラフ33は、冷却装置140が設置されていない場合の換算温度が、PC100使用時の温度範囲である5℃~100℃において、冷却装置140が設置されている場合よりも高くなることを示す。コントローラ108は、冷却装置140が設置されていない場合に、グラフ32に示される冷却装置140が設置されている場合の信号電圧と周辺温度との関係に基づいて換算温度を算出すると、換算温度を実際の温度よりも高く算出する。
【0078】
次に、PC100の各ハードウェアの基板上の配置について説明する。
図9は、冷却装置が設置されていない場合のPC基板の一例を示す図である。基板150は、PC100のハードウェアを設置するための基板である。基板150には、CPU101、コントローラ108、サーミスタ116、抵抗121、FET122、抵抗124,125,132およびCPU電源151が配置されている。
【0079】
CPU電源151は、CPU101に電力を供給する。CPU電源151は、CPU101の近傍に設置されている。なお、CPU電源151は、第1の実施の形態に示したハードウェア2の一例である。サーミスタ116は、CPU電源151の近傍に設置されている。これにより、サーミスタ116は、CPU電源151の周囲の温度に応じて抵抗値が変化する。
【0080】
また、基板150には、冷却装置設置箇所140aが設けられている。冷却装置設置箇所140aは、2つのヒートシンクを含む冷却装置140を設置可能な箇所である。冷却装置設置箇所140aは、CPU電源151の上部を含む。CPU電源151の上部には、冷却装置140に含まれるCPU電源151を冷却するヒートシンクを設置可能である。
【0081】
基板150には、CPU電源151を冷却するヒートシンクとは別のヒートシンクを固定するスタッドを取り付けるための穴が2つ設けられている。スタッドを取り付けるための穴の一方は抵抗125に接続され、他方はGNDに接続されている。抵抗125に接続されている穴は、接点126に対応する。また、GNDに接続されている穴は、接点127に対応する。
図9の例では、冷却装置140が設置されていないため、抵抗125とGNDは接続されない。
【0082】
図10は、冷却装置が設置されている場合のPC基板の一例を示す図である。
図10の例では、冷却装置140が冷却装置設置箇所140aに設置されている。冷却装置140は、ヒートシンク141,142および接続部材143を含む。ヒートシンク141は、CPU電源151を冷却する。ヒートシンク141は、CPU電源151の上部に設置される。ヒートシンク142は、CPU電源151以外のハードウェアを冷却する。接続部材143は、ヒートシンク141,142を接続する部材である。
【0083】
ヒートシンク142は、スタッドで固定されている。ヒートシンク142が設置されていることで、ヒートシンク142を固定するスタッドを取り付けるための2つの穴(接点126,127に対応)は、スタッドおよびヒートシンク142を介して接続される。そして、ヒートシンク142の少なくとも一部を電流が流れることで、接点126,127に対応する2つの穴は電気的に接続される。
【0084】
このようにして、検知回路120aが基板150に実現される。これにより、コントローラ108は、冷却装置140の有無を検知し、冷却装置140の有無に応じたハードウェア制御ができる。
【0085】
なお、冷却装置140の有無に応じたハードウェア制御をする他の方法として、コントローラ108にあらかじめ冷却装置140の有無を示すデータを書き込んでおき、コントローラ108が当該データに基づいて、ハードウェアを制御することが考えられる。しかし、冷却装置140の有無を示すデータを書き込む方法では、冷却装置140が外れてしまった場合にも冷却装置140が設置されているものとしてハードウェア制御をしてしまう。一方、第2の実施の形態では、冷却装置140が外れてしまった場合、接点126,127が接続されなくなるため、コントローラ108は、冷却装置140が設置されていないものとしてハードウェア制御できる。
【0086】
また、冷却装置140の有無に応じたハードウェア制御をする他の方法として、GPIO(General Purpose Input Output)等の信号線を用いて冷却装置140の有無を検知することも考えられる。しかし、信号線を用いた冷却装置140の有無の検知では、検知信号配線や信号ピン等を追加することとなる。一方、第2の実施の形態では、基板150に検知回路120aを実現することで、コントローラ108は、冷却装置140を容易に検知できる。
【0087】
次に、コントローラ108によるCPU電源151の制御に用いられる情報について説明する。
図11は、制御情報の一例を示す図である。制御情報41は、コントローラ108がCPU電源151を制御するために用いる情報である。制御情報41は、サーミスタ番号、設置箇所、閾値およびパフォーマンスの項目を有する。サーミスタ番号の項目には、サーミスタを識別する番号が設定される。設置箇所の項目には、サーミスタの設置箇所が設定される。閾値の項目には、換算温度の閾値が設定される。パフォーマンスの項目には、対応する閾値以上の場合または対応する閾値以下の場合に、CPU電源151を作動させるパフォーマンスが設定される。
【0088】
例えば、制御情報41は、CPU電源151の近傍に設置されている3番のサーミスタ(サーミスタ116)を含む信号回路30からの温度信号の換算温度が80℃以下の場合、コントローラ108がCPU電源151を最大パフォーマンスで作動させることを示す。また、制御情報41は、信号回路30からの温度信号の換算温度が85℃以上の場合、コントローラ108がCPU電源151を最小パフォーマンスで作動させることを示す。
【0089】
次に、コントローラ108が制御情報41に基づいた制御をした場合の動作について説明する。
図12は、冷却装置を設置したPCの動作の一例を示す図である。グラフ51は、冷却装置140を設置したPC100で、CPU101に高負荷をかけるソフトウェアを実行した場合の動作を示す。グラフ51の縦軸は、電力または換算温度を示す。グラフ51の横軸は、時間を示す。
【0090】
グラフ51は、サーミスタ114,115,116それぞれの周囲の換算温度が77℃程度であることを示す。また、グラフ51は、CPU101の温度が97℃程度であることを示す。また、グラフ51は、サーミスタ116の周囲の換算温度が80℃以下であるため、コントローラ108がCPU電源151のパフォーマンスの上限(電力制限)を最大パフォーマンスである25Wに設定していることを示す。また、グラフ51は、CPU電源151がCPU101に供給する電力(CPU101の消費電力)が22W程度であることを示す。このように、PC100は、冷却装置140が設置されている場合、CPU電源151を高いパフォーマンスで作動させることができる。
【0091】
図13は、冷却装置を設置していないPCの動作の一例を示す図である。グラフ52は、冷却装置140を設置していないPC100で、CPU101に高負荷をかけるソフトウェアを実行した場合の動作を示す。グラフ52の縦軸は、電力または換算温度を示す。グラフ52の横軸は、時間を示す。
【0092】
グラフ52は、サーミスタ114,115それぞれの周囲の換算温度が74℃程度であることを示す。また、グラフ52は、サーミスタ116の周囲の換算温度が120℃程度であることを示す。なお、実際のサーミスタ116の周囲の温度は、74℃程度である。また、グラフ52は、CPU101の温度が86~89℃程度であることを示す。また、グラフ52は、サーミスタ116の周囲の換算温度が85℃以上であるため、コントローラ108が電力制限を最小パフォーマンスである15Wに設定していることを示す。また、グラフ52は、CPU101の消費電力が15W程度であることを示す。
【0093】
このように、冷却装置140を設置していない場合、疑似高温回路120は、サーミスタ116の周囲の換算温度が120℃程度となるように温度信号の強度を調節する。これにより、疑似高温回路120は、コントローラ108にサーミスタ116の周囲が高温であるものとしてCPU電源151を制御させることができる。
【0094】
疑似高温回路120の効果の説明のため、疑似高温回路120および冷却装置140を搭載していないPC(比較PC)が制御情報41に基づいて比較PCのCPU電源を制御した場合の動作を以下に示す。
【0095】
図14は、比較PCの動作の一例を示す図である。グラフ53は、比較PCのCPUに高負荷をかけるソフトウェアを実行した場合の動作を示す。グラフ53の縦軸は、電力または換算温度を示す。グラフ53の横軸は、時間を示す。
【0096】
グラフ53は、比較PCのサーミスタ114,115,116に対応するサーミスタそれぞれの周囲の換算温度が83℃程度であることを示す。また、グラフ53は、比較PCのCPUの温度が97℃程度であることを示す。また、グラフ53は、サーミスタ116に対応するサーミスタの周囲の換算温度が80℃より高く85℃未満であるため、比較PCが電力制限を最大パフォーマンスと最小パフォーマンスの間の19~20W程度に設定していることを示す。また、グラフ53は、比較PCのCPUの消費電力が19~20W程度であることを示す。
【0097】
このように、冷却装置140が設置されていないPC100は、比較PCよりも、CPU101やCPU電源151の周囲の温度を低くすることができる。なお、冷却装置140が設置されていない場合、CPU101やCPU電源151の周囲の温度は、上がりすぎないことが好ましい。例えば、CPU101の周囲の温度は、89℃以下であることが好ましい。また、例えば、CPU電源151の周囲の温度は、74℃以下であることが好ましい。PC100は、冷却装置140が設置されていない場合、CPU電源151のパフォーマンスを抑えるよう制御することで、CPU101およびCPU電源151の温度上昇を抑えることができる。よって、PC100は、ハードウェアの制御を適切に実行することができる。
【0098】
第2の実施の形態によれば、冷却装置設置箇所140aは、CPU電源151を冷却する冷却装置140を設置可能である。サーミスタ116は、CPU電源151の近傍に設置され、周辺温度に応じて抵抗値が変化する。信号回路30は、サーミスタ116の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。コントローラ108は、温度信号の強度に基づいて、CPU電源151のパフォーマンスを制御する。疑似高温回路120は、冷却装置140が設置されていない場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときのサーミスタ116の抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。これにより、PC100は、ハードウェアの制御を適切に実行することができる。
【0099】
また、コントローラ108は、温度信号の強度と、サーミスタ114,115の抵抗値に応じた強度で出力される信号に基づいて、CPU電源151のパフォーマンスを制御する。サーミスタ116は、サーミスタ114,115よりもCPU電源151に近い位置に設置される。これにより、PC100は、CPU電源151の周囲以外の温度を踏まえつつ、CPU電源151の温度を重視してCPU電源151の制御をすることができる。
【0100】
また、疑似高温回路120は、冷却装置140の設置状況に応じて接続されるか否かが決定される接点126と接点127とを含み、接点126と接点127とが接続されているか否かに応じた検知信号を出力する検知回路120aを含む。これにより、PC100は、冷却装置140の設置状況を適切に検知できる。
【0101】
また、接点126と接点127とは、冷却装置140が冷却装置設置箇所140aに設置されている場合、冷却装置140の少なくとも一部を電流が流れることで接続される。これにより、PC100は、冷却装置140を適切に検知できる。
【0102】
また、サーミスタ116は、周辺温度が高いほど抵抗値が小さくなる。疑似高温回路120は、冷却装置140が設置されていない場合、サーミスタ116と抵抗121とを並列接続させる。信号回路30は、冷却装置140が設置されている場合、サーミスタ116の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力し、冷却装置140が設置されていない場合、サーミスタ116と抵抗121との合成抵抗の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。これにより、PC100は、冷却装置140が設置されていない場合、信号回路30からCPU電源151が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。
【0103】
〔その他の実施の形態〕
第2の実施の形態では、コントローラ108は、冷却装置140の有無に応じてCPU電源151を制御するが、PC100に設置された冷却装置の種類に応じてCPU電源151を制御してもよい。例えば、冷却装置140とは異なる種類の冷却装置をスタッドで固定するための、接点126と接点127とに対応する穴とは別の穴が、基板150に設けられていてもよい。すると、冷却装置140が設置された場合、接点126と接点127とは接続され、冷却装置140とは異なる種類の冷却装置が設置された場合、接点126と接点127とは接続されない。これにより、コントローラ108は、PC100に設置された冷却装置の種類に応じてCPU電源151を制御できる。
【0104】
また、第2の実施の形態で示した信号回路30以外の信号回路が用いられてもよい。以下に、信号回路の他の例を示す。
図15は、信号回路の一例を示す図(その2)である。信号回路60は、サーミスタ116、疑似高温回路160、電源131aおよび抵抗132aを有する。電源131aは、信号回路60が温度信号を出力するための電源である。電源131aの電圧は、3Vである。抵抗132aは、プルダウン抵抗である。抵抗132aの抵抗値は、10kΩである。抵抗132aは、GNDに接続されている。
【0105】
電源131aの電圧は、サーミスタ116を介して温度信号としてコントローラ108に供給される。また、電源131の電圧は、疑似高温回路160を介して温度信号としてコントローラ108に供給される。
【0106】
疑似高温回路160は、検知回路120a、抵抗121aおよびFET122aを有する。抵抗121aは、信号電圧を調節するための抵抗である。抵抗121aの抵抗値は、2.2kΩである。FET122aは、検知回路120aからゲートに入力される検知信号の強度に基づいて、電源131aから発生する電流を抵抗121aに流すか否かを決定する。FET122aのソースは、電源131aに接続されている。FET122aのドレインは、抵抗121aを介して、コントローラ108の温度信号入力用の端子に接続されている。FET122aのドレインは、抵抗121aと抵抗132aとを介して、GNDにも接続されている。FET122aは、検知信号が所定の強度未満の場合、電源131aから発生する電流が抵抗121aに流れないようにする。また、FET122aは、検知信号が所定の強度以上の場合、電源131aから発生する電流が抵抗121aに流れるようにする。
【0107】
信号回路60において、冷却装置140が設置されている場合、検知信号の強度は、所定の強度未満となり、FET122aは、電源131aから発生する電流が抵抗121aに流れないようにする。また、信号回路60において、冷却装置140が設置されていない場合、検知信号の強度は、所定の強度以上となり、FET122aは、電源131aから発生する電流が抵抗121aに流れるようにする。
【0108】
図16は、信号電圧の他の一例を示す図である。グラフ61は、冷却装置140の有無に応じた、信号回路60が出力する温度信号の信号電圧の温度変化を示す。グラフ61の縦軸は、信号電圧を示す。また、グラフ61の横軸は、サーミスタ116の周辺温度を示す。
【0109】
グラフ61は、冷却装置140が設置されている場合の信号電圧が、温度が高くなると上昇することを示す。電源131aから発生する電流はサーミスタ116を介してコントローラ108に流れるため、サーミスタ116の抵抗値が小さくなると、コントローラ108にも電流が流れやすくなり、信号電圧は高くなる。
【0110】
グラフ61は、冷却装置140が設置されていない場合の信号電圧が、冷却装置140が設置されている場合よりも高くなることを示す。電源131aから発生する電流は、冷却装置140が設置されていない場合、サーミスタ116と抵抗121aとの合成抵抗を介してコントローラ108に流れる。並列に接続されたサーミスタ116と抵抗121aとの合成抵抗の抵抗値は、サーミスタ116の抵抗値より小さくなる。よって、冷却装置140が設置されていない場合、電源131から発生する電流はコントローラ108に流れやすくなり、冷却装置140が設置されている場合よりも信号電圧は高くなる。
【0111】
このように、冷却装置140が設置されていない場合、信号回路60は、サーミスタ116と抵抗121aとを並列に接続させることで、CPU電源151が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。
【0112】
図17は、信号回路の一例を示す図(その3)である。信号回路70は、サーミスタ116、検知回路120a、Pチャネル型FET(P-chFET)122b、電源131bおよび抵抗132bを有する。P-chFET122bのソースは、電源131bに接続されている。P-chFET122bのドレインは、抵抗132bを介して、コントローラ108の温度信号入力用の端子に接続されている。P-chFET122bのドレインは、抵抗132bとサーミスタ116とを介して、GNDにも接続されている。P-chFET122bは、検知回路120aからゲートに入力される検知信号の強度に基づいて、電源131bから発生する電流を抵抗132b、コントローラ108およびサーミスタ116に流すか否かを制御する。
【0113】
P-chFET122bは、検知信号が所定の強度以上の場合、電源131bから発生する電流が抵抗132b、コントローラ108およびサーミスタ116に流れないようにする。また、P-chFET122bは、検知信号が所定の強度未満の場合、電源131bから発生する電流が抵抗132b、コントローラ108およびサーミスタ116に流れるようにする。
【0114】
電源131bは、信号回路70が温度信号を出力するための電源である。電源131bの電圧は、3Vである。抵抗132bは、電源131bのプルアップ抵抗である。抵抗132bの抵抗値は、10kΩである。
【0115】
電源131bの電圧は、P-chFET122bおよび抵抗132bを介して温度信号としてコントローラ108に供給される。また、電源131bの電圧は、P-chFET122bおよび抵抗132bを介してサーミスタ116に供給される。サーミスタ116は、GNDに接続される。
【0116】
信号回路70において、冷却装置140が設置されている場合、検知信号の強度は、所定の強度未満となり、P-chFET122bは、電源131bから発生する電流がコントローラ108およびサーミスタ116に流れるようにする。また、信号回路70において、冷却装置140が設置されていない場合、検知信号の強度は、所定の強度以上となり、FET122aは、電源131bから発生する電流がコントローラ108およびサーミスタ116に流れないようにする。
【0117】
ここで、信号回路70が出力する信号電圧は、サーミスタ116の抵抗値が小さい(つまり、サーミスタ116の周辺温度が高い)ほど低くなる。冷却装置140が設置されていない場合、P-chFET122bは、電源131bから発生する電流がコントローラ108に流れないようにするため、信号電圧が0Vになる。このようにして、冷却装置140が設置されていない場合、信号回路70は、CPU電源151が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。なお、
図17の例では、検知回路120aおよびP-chFET122bが第1の実施の形態に示した疑似高温回路15の一例である。
【0118】
図18は、信号回路の一例を示す図(その4)である。信号回路80は、サーミスタ116、接点126a,127a、電源131cおよび抵抗132cを有する。接点126aは、冷却装置140の有無に応じて接点127aに接続されるか否かが決定される。冷却装置140が設置されている場合、接点126aと接点127aとは接続され、冷却装置140が設置されていない場合、接点126aと接点127aとは接続される。なお、接点126a,127aは、接点126,127と同様に実現される。
【0119】
電源131cは、信号回路80が温度信号を出力するための電源である。電源131cの電圧は、3Vである。抵抗132cは、電源131cのプルアップ抵抗である。抵抗132cの抵抗値は、10kΩである。
【0120】
電源131cの電圧は、接点126a,127aおよび抵抗132cを介して温度信号としてコントローラ108に供給される。また、電源131bから発生する電流は、接点126a,127aおよび抵抗132cを介してサーミスタ116に流れる。サーミスタ116は、GNDに接続される。
【0121】
ここで、信号回路80が出力する信号電圧は、サーミスタ116の抵抗値が小さい(つまり、サーミスタ116の周辺温度が高い)ほど低くなる。冷却装置140が設置されていない場合、接点126aと127aとが接続されず、電源131cから発生する電流がコントローラ108に流れないようになるため、信号電圧が0Vになる。このようにして、冷却装置140が設置されていない場合、信号回路80は、CPU電源151が高温であるときと同様の温度信号を出力できる。なお、
図18の例では、接点126a,127aが第1の実施の形態に示した疑似高温回路15の一例である。
【0122】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0123】
1 冷却装置
1a 冷却装置設置箇所
2 ハードウェア
10 情報処理装置
11 コントローラ
12 信号回路
13,15d 電源
14 第1サーミスタ
15 疑似高温回路
15a 検知回路
15b FET
15c 抵抗
15e 第1接点
15f 第2接点
【要約】
【課題】ハードウェアの制御を適切に実行することができる。
【解決手段】情報処理装置10は、冷却装置設置箇所1aと、第1サーミスタ14と、信号回路12と、コントローラ11と、疑似高温回路15とを有する。冷却装置設置箇所1aは、ハードウェア2を冷却する冷却装置1を設置可能である。第1サーミスタ14は、ハードウェア2の近傍に設置され、周辺温度に応じて抵抗値が変化する。信号回路12は、第1サーミスタ14の抵抗値に応じた強度の温度信号を出力する。コントローラ11は、温度信号の強度に基づいて、ハードウェア2のパフォーマンスを制御する。疑似高温回路15は、冷却装置設置箇所1aへの冷却装置1の設置状況が所定の状況の場合、周辺温度が現在の周辺温度よりも高いときの第1サーミスタ14の抵抗値で出力される温度信号の強度となるよう温度信号を調節する。
【選択図】
図1