IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サクサ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-非常電話装置 図1
  • 特許-非常電話装置 図2
  • 特許-非常電話装置 図3
  • 特許-非常電話装置 図4
  • 特許-非常電話装置 図5
  • 特許-非常電話装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】非常電話装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 19/08 20060101AFI20221124BHJP
   G05F 1/10 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H04M19/08
G05F1/10 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018181112
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020053825
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕司
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-200953(JP,A)
【文献】特開平07-058885(JP,A)
【文献】特開昭62-175816(JP,A)
【文献】特開2006-197189(JP,A)
【文献】特開昭60-150364(JP,A)
【文献】特公平7-108001(JP,B2)
【文献】特開昭58-64857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F1/10
H02J1/00-1/16
H04M3/00-3/06
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
19/00-19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給局より電話回線を通じて給電電圧が印加される両端のそれぞれに設けられ、所定の制御信号に応じて、抵抗値を変化させることにより目的とする電圧値の駆動電圧を出力する可変抵抗回路と、
前記可変抵抗回路からの出力電圧の供給を受けて、当該出力電圧の電圧値に応じて、前記目的とする電圧値の前記駆動電圧を出力するように、前記可変抵抗回路に供給する前記制御信号を生成して、前記可変抵抗回路に供給する電圧検出回路と、
前記給電電圧が印加される両端のそれぞれに設けられる前記可変抵抗回路の前段に設けられ、前記給電電圧の供給を受けて、当該給電電圧の電圧値が、前記目的とする電圧値未満の場合には、前記給電電圧を前記目的とする電圧値以上に昇圧し、前記可変抵抗回路に供給する昇圧回路と、
前記電話回線が接続されると共に、受話器と送話器とが接続され、前記可変抵抗回路からの駆動電圧の供給を受けて、前記電話回線を通じた音声通話を可能にする通話回路と
を備えることを特徴とする非常電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の非常電話装置であって、
前記可変抵抗回路は、前記電圧検出回路からの前記制御信号に応じて抵抗値を変化させるデジタルポテンショメータである
ことを特徴とする非常電話装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の非常電話装置であって、
前記可変抵抗回路の前段に設けられ、前記供給局より電話回線を通じて前記給電電圧の供給を受けて、当該給電電圧の電圧値が所定値より大きい場合には、当該所定値の給電電圧を形成して前記可変抵抗回路に供給し、当該給電電圧の電圧値が所定値以下の場合には、当該給電電圧を前記可変抵抗回路に供給する定電圧回路を
備えることを特徴とする非常電話装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、高速道路、幹線道路、トンネル内などに設置され、故障、事故、救急、火災などの非常の事態を通報するための非常電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、後に記す特許文献1にも開示されているように、高速道路、幹線道路、トンネル内などには、事故や車両トラブルなどが発生した場合に非常通報を行えるように、道路脇に決められた距離毎に非常電話装置が設置されている。非常電話装置は、例えば、高速道路の左路肩には、1km間隔で設置され、トンネル内には約200m間隔で設置される。この他にも、高速道路の場合には、インターチェンジ、サービスエリア、パーキングエリア、バスストップ、非常駐車帯にも非常電話装置が設置される。このような非常電話装置は、受話器を外すと(オフフックすると)、例えば道路管理センタとの間に通話回線を接続して通話を可能にし、事故や車両トラブルなどの緊急の事態を迅速に通報できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-250392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常電話装置は、電話回線(電話線)を通じて給電電圧の供給を受けて動作するものであり、いわゆる局給電によって動作する電話装置である。給電電圧の供給は、電話回線が接続された電話会社の交換局や中継局などが行うことになる。この明細書では説明を簡単にするため、給電電圧の供給元となる交換局や中継局を供給局と記載する。通常、給電電圧の供給局からは、例えばオンフック時は48Vの直流電圧が供給され、オフフック時は線路抵抗や非常電話装置の直流抵抗により電圧降下が発生する。非常電話装置においては、供給局からの給電電圧をDC/DCコンバータを用いて降圧し、例えば5Vの駆動電圧を形成して動作する。
【0005】
供給局から近距離に設置される非常電話装置は、十分な電圧値の給電電圧の供給を受けることができるので、DC/DCコンバータを用いて降圧し、安定して5Vの駆動電圧を形成できる。しかし、供給局から遠距離に設置される非常電話装置は、供給局から遠ければ遠いほど電話回線の線路長が長くなり、線路抵抗も大きくなるため、十分な電圧値の給電電圧の供給が受けられなくなる。この場合、安定して5Vの駆動電圧を形成できなくなる場合があると考えられる。
【0006】
例えば、供給局から2km程度離れた場所に非常電話装置を設置すると、+(プラス)端側の線路(上り線路)と-(マイナス)端側の線路(下り線路)とのそれぞれで2000Ω程度の線路抵抗となる。このため、当該非常電話装置には、5Vよりやや大きな給電電圧が供給される状態となる。この場合に、DC/DCコンバータを用いて5Vの駆動電圧を形成しようとすると、DC/DCコンバータの変換効率が90%であれば、10%の変換ロスが生じ、5Vより小さな駆動電圧しか形成できない場合があると考えられる。
【0007】
DC/DCコンバータでは、例えば、FETスイッチでのスイッチング損失、FETやインダクタやパターン配線の持つ抵抗に流れる電流によるI2R抵抗損など様々な損失が発生し、比較的に変換効率が高いものでも80%~90%程度である。このため、非常電話装置に供給される給電電圧の電圧値が低いと、DC/DCコンバータでの変換ロスが影響し、目的とする電圧値の駆動電圧を安定して形成できなる場合があると考えられるのである。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、給電電圧を供給する供給局からの距離に左右されることなく、安定して適切な駆動電圧を形成して、常時適切に動作する信頼性の高い非常電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の非常電話装置は、
供給局より電話回線を通じて給電電圧が印加される両端のそれぞれに設けられ、所定の制御信号に応じて、抵抗値を変化させることにより目的とする電圧値の駆動電圧を出力する可変抵抗回路と、
前記可変抵抗回路からの出力電圧の供給を受けて、当該出力電圧の電圧値に応じて、前記目的とする電圧値の前記駆動電圧を出力するように、前記可変抵抗回路に供給する前記制御信号を生成して、前記可変抵抗回路に供給する電圧検出回路と、
前記給電電圧が印加される両端のそれぞれに設けられる前記可変抵抗回路の前段に設けられ、前記給電電圧の供給を受けて、当該給電電圧の電圧値が、前記目的とする電圧値未満の場合には、前記給電電圧を前記目的とする電圧値以上に昇圧し、前記可変抵抗回路に供給する昇圧回路と、
前記電話回線が接続されると共に、受話器と送話器とが接続され、前記可変抵抗回路からの駆動電圧の供給を受けて、前記電話回線を通じた音声通話を可能にする通話回路と
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明の非常電話装置によれば、供給局より電話回線を通じて給電電圧が印加される両端の一方または両方に、可変抵抗回路が設けられる。当該可変抵抗回路は、自回路からの出力電圧に応じて抵抗値を変化させることにより、所定の電圧値の駆動電圧を出力するものである。通話回路は、当該可変抵抗回路からの駆動電圧により駆動され、給電電圧の供給媒体でもある電話回線と、受話器及び送話器とを通じて音声通話を可能にする。
【発明の効果】
【0012】
この発明の非常電話装置によれば、可変抵抗回路を用いて駆動電圧を形成する構成を備えることにより、供給局からの距離に左右されることなく、安定して所定の電圧値の駆動電圧を形成して、常時適切に動作する非常電話装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態の非常電話装置についての接続経路について説明するための図である。
図2】実施の形態の非常電話装置の概略構成を説明するためのブロック図である。
図3】実施の形態の非常電話装置の駆動電圧回路の具体的な構成例を説明するためのブロック図である。
図4】給電電圧の供給局からの距離に応じた駆動電圧回路の動作を説明するためのブロック図である。
図5】給電電圧の供給局からの距離に応じた駆動電圧回路の動作を説明するためのブロック図である。
図6】給電電圧を供給する1つの供給局からの1の電話回線に、複数の非常電話装置が接続される場合の例について説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明による非常電話装置の一実施の形態について説明する。この発明による非常電話装置は、高速道路、幹線道路、トンネル内などの道路脇(路肩)、高速道路のインターチェンジやサービスエリアやパーキングエリアやバスストップや非常駐車帯など、種々の場所に広く設置可能なものである。以下の説明においては、説明を簡単にするため、例えば、高速道路、幹線道路、トンネル内などの道路脇に設置する場合として説明する。
【0015】
[非常電話装置の接続経路]
図1は、実施の形態の非常電話装置1についての接続経路について説明するための図である。図1に示すように、非常電話装置1は、電話回線4を通じて、電話会社の交換局や中継局である給電電圧の供給局2に接続される。供給局2は、電話回線の交換や中継を行う機能を備えると共に、電話回線を通じて例えば48Vの給電電圧の供給を行う機能を備えている。なお、この出願の図1などにおける「地気」との文言は、大地との短絡を意味している。そして、供給局2では、+(プラス)端側と-(マイナス)端側とで、48V(ボルト)の電位差を設けることで、電話回線4などを通じて、48Vの給電電圧を供給できるようにしている。
【0016】
また、道路管理センタ3が、電話回線5を通じて供給局2に接続されている。図1では省略しているが、道路管理センタ3には、非常電話装置1との間で通信を可能にする電話装置が設置されており、この電話装置と供給局2とが接続されている。電話回線4、5は、電話装置と交換局や中継局とを接続する伝送路であり、上述したように給電電圧の供給路であると共に、通話を可能にする通話路でもある。このように、非常電話装置1と道路管理センタ3とは、交換局や中継局である供給局2を介して電話回線4、5によって接続されている。
【0017】
非常電話装置1は、給電設備のある屋内に設置されるものではなく、上述もしたように、高速道路、幹線道路、トンネル内などの道路脇といった、主に屋外に設置されるものである。トンネル内も基本的には屋外である。このため、非常電話装置1は、供給局2からの給電電圧の供給を受けて、いつでも動作することができる、いわゆる局給電の電話装置である。従って、非常電話装置1ごとに電源コンセントを設けるなどといった電源の確保については考慮する必要はない。
【0018】
非常電話装置1は、図1に示すように、受話器(スピーカ)210と送話器(マイクロフォン)220とを有するハンドセット230を備えている。非常電話装置1の本体からハンドセット230を取り上げると、非常電話装置1はオフフック状態となり、電話回線4と供給局2と電話回線5とを通じて、道路管理センタ3との間に通話路を接続し、通話を行うことができるようになる。また、道路管理センタ3では、非常電話装置1から送信されて来る信号に基づいて、その非常電話装置1の位置も把握できるようになっている。
【0019】
また、非常電話装置1は、通話をしなくても(音声によらなくても)、例えば、故障、事故、救急、火災といった4つ状態の内のどの状態が発生しているのかを通知するための状態通知ボタン群BTを備えている。状態通知ボタン群BTの横には、各ボタンがどの状態に対応しているのかを分かり易く表示したメッセージボードMBが設けられている。そして、発生している状態に応じたボタンを押下することにより、その状態を通知する信号が道路管理センタ3に通知される。道路管理センタ3においては、発生している状態と当該非常電話装置1の位置を特定し、警察、消防、修理業者などの手配を行うなど、適切な対応を迅速に行える。
【0020】
そして、この実施の形態の非常電話装置1は、内部に駆動電圧を形成するための可変抵抗回路101が設けられている。可変抵抗回路101には、図1に示したように、供給局2から電話回線4の+(プラス)端側と-(マイナス)端側の両端が接続され、給電電圧が供給される。可変抵抗回路101は、詳しくは後述するが、入力端子と出力端子との間に接続する抵抗の抵抗値を変化させることにより、出力電圧の電圧値を変化させ、目的とする電圧値である例えば5Vの駆動電圧を形成して出力する。
【0021】
このように可変抵抗回路101は、抵抗値を変化されることにより、供給される給電電圧から目的とする電圧値の駆動電圧を形成するものである。従って、可変抵抗回路101は、入力端子と出力端子との間にある抵抗の抵抗値が小さくなればなるほど、変換効率は良くなるものである。従って、可変抵抗回路101は、入力端子と出力端子との間にある抵抗値が小さい場合には、従来用いられていたDC/DCコンバータに比べ、変換ロスを大幅に低減でき、給電電圧から効率よく駆動電圧を形成することができる。
【0022】
したがって、供給局2から非常電話装置1までの距離が遠くなると、電話回線4の長さも長くなるため線路抵抗が大きくなって、供給局2から非常電話装置1への給電電圧が低下する。しかし、供給される給電電圧が低い場合、非常電話装置1の可変抵抗回路101において、抵抗値を低くすることにより、電圧値が低い当該給電電圧からでも効率よく駆動電圧を形成することができるのである。
【0023】
なお、非常電話装置1に供給される給電電圧の電圧値が高い場合には、可変抵抗回路101の抵抗値も大きなものとなる。この場合、当該抵抗による抵抗損も大きくなる。すなわち、可変抵抗回路101での変換ロスも大きくなる。しかし、この場合には、供給された給電電圧の電圧値が大きいので、可変抵抗回路101での変換ロスが大きくても、問題なく、所定の電圧値の駆動電圧が形成できる。
【0024】
また、この明細書では、「給電電圧」との文言は、供給局2から非常電話装置1に供給される電圧を意味するものとして使用している。また、「駆動電圧」との文言は、給電電圧から非常電話装置1において形成され、非常電話装置1が駆動するために用いられる電圧を意味するものとして使用している。
【0025】
[非常電話装置1の概略構成]
図2は、非常電話装置1の概略構成を説明するためのブロック図である。図2に示すように、非常電話装置1は、駆動電圧回路100と、通話回路200と、操作部300とを備える。駆動電圧回路100は、可変抵抗回路101と制御回路102とからなる。また、通話回路200には、受話器210及び送話器220と、操作部300が接続されている。
【0026】
駆動電圧回路100の可変抵抗回路101は、制御回路102からの制御信号に応じて、入力端子と出力端子との間に接続する抵抗の抵抗値を変化させることにより、供給局2からの給電電圧を分圧して、目的とする電圧値の駆動電圧を出力する。抵抗の両端に生じる電位差(電圧降下)は、抵抗値に比例することを利用している。
【0027】
可変抵抗回路には、回転式ボリュームにより接点の変わる抵抗やスライド式ボリュームにより接点の変わる抵抗を備えたアナログ式のものがある。また、可変抵抗回路には、複数の抵抗からなる抵抗アレイと複数の半導体スイッチとを備え、オンにする半導体スイッチに応じて抵抗値を変化させるデジタル式のものがある。可変抵抗回路101は、アナログ式とデジタル式のいずれを用いても構成可能である。
【0028】
制御回路102は、可変抵抗回路101からの出力電圧の供給を受けて、供給された電圧の電圧値を検出する。当該検出した電圧値が、目的とする駆動電圧の電圧値より大きかった場合には、制御回路102は、可変抵抗回路101の入力端子と出力端子との間に接続する抵抗の抵抗値を大きくするように制御する制御信号を形成し、これを可変抵抗回路101に提供する。当該検出した電圧値が、目的とする駆動電圧の電圧値に近づいていけば、制御回路102は、可変抵抗回路101の入力端子と出力端子との間に接続する抵抗の抵抗値を小さくするように制御する制御信号を形成することになる。
【0029】
このように、制御回路102が、可変抵抗回路101からの出力電圧の電圧値に応じて形成する抵抗値の制御のための制御信号を、可変抵抗回路101に供給することによって、可変抵抗回路101の抵抗値を調整する。これにより、可変抵抗回路101からは、非常電話装置1を駆動するための所定の電圧値(例えば5V)の駆動電圧が出力される。なお、供給局2から供給される給電電圧は、図1図2に示すように、48Vの比較的に大きな電圧である。このため、可変抵抗回路101は、抵抗値を変えて降圧処理を行う機能と、抵抗値を0(ゼロ)にして、給電電圧をそのまま駆動電圧として出力する機能とを有するものである。
【0030】
そして、通話回路200や操作部300などの駆動電圧の必要な回路部に対して、駆動電圧回路100からの駆動電圧が供給されて機能することができるようにされる。すなわち、通話回路200は、受話器210及び送話器220を備えたハンドセット230が非常電話装置1の本体から取り上げられると、非常電話装置1はオフフック状態となり、道路管理センタ3との間に通話路が接続されて、通話が可能にされる。
【0031】
また、操作部300の状態通知ボタン群BTのいずれかのボタンキーが押下操作された場合には、当該押下されたボタンキーに対応する情報が通話回路において形成され、これが道路管理センタ3に通知される。これにより、道路管理センタ3において、どの場所でどのような状態(トラブル)が発生しているのかを知り、道路管理センタ3の担当者は、発生した状態(トラブル)に応じた適切な対応を取ることができる。
【0032】
[非常電話装置1の駆動電圧回路部分の構成例]
図3は、この実施の形態の非常電話装置1に搭載される駆動電圧回路100のより具体的な構成例である駆動電圧回路100Aについて説明するためのブロック図である。図3に示すように、この例の駆動電圧回路100Aは、可変抵抗回路101として、インクリメント/デクリメントデジタルポテンショメータ(以下、単にデジタルポテンショメータと記載する。)101A、101Bを用いたものである。
【0033】
デジタルポテンショメータ(digital potentiometer)101A、101Bは、供給局2からの給電電圧が供給される両端のそれぞれの側に設けられている。すなわち、デジタルポテンショメータ101Aは、給電電圧の+(プラス)端側に接続され、デジタルポテンショメータ101Bは、給電電圧の-(マイナス)端側に接続される。デジタルポテンショメータ101A、101Bからの出力は、駆動電圧として用いられると共に、電圧検出IC102Aに供給される。すなわち、デジタルポテンショメータ101Aの出力は、非常電話装置1の電源とされると共に、電圧検出IC102Aに接続される。また、デジタルポテンショメータ101Bの出力は、接地されると共に、電圧検出IC102Aに接続される。
【0034】
電圧検出IC102Aは、デジタルポテンショメータ101A、101Bからの出力電圧の電圧値を検出する。そして、電圧検出IC102Aは、検出した電圧値に基づいて、デジタルポテンショメータ101A、101Bからの出力電圧が目的とする電圧値になるように、デジタルポテンショメータ101A、101Bを制御する制御信号を形成する。電圧検出IC102Aにおいて形成された制御信号は、デジタルポテンショメータ101A、101Bのアップ/ダウン端子T1に供給される。
【0035】
また、この例の駆動電圧回路100Aには、クロック生成回路103が設けられている。クロック生成回路103は、例えば水晶発振器や分周回路を備え、デジタルポテンショメータ101A、101Bが動作するタイミングを示す所定の周波数のクロック信号を形成する。クロック生成回路103で形成されたクロック信号は、デジタルポテンショメータ101A、101Bのクロック端子T2に供給される。
【0036】
これにより、デジタルポテンショメータ101A、101Bは、クロック生成回路103からのクロック信号で示されるタイミングごとに、電圧検出IC102Aからの制御信号に基づいて、抵抗値を変えるように機能する。そして、デジタルポテンショメータ101A、101Bからは、所定の電圧値の駆動電圧が出力するようにされる。なお、この実施の形態において、所定の電圧値は5Vである。また、デジタルポテンショメータ101A、101Bからの出力電圧が5Vになっている時には、電圧検出IC102Aからの制御信号は、当該出力電圧の電圧値を維持するものとなる。
【0037】
そして、供給局2から例えば2km程度離れた位置に非常電話装置1が設置された場合には、供給局2と当該非常電話装置1とを接続する電話回線の長さが長くなることにより線路抵抗が大きくなり、供給される給電電圧の電圧値が小さくなる。しかし、この場合、デジタルポテンショメータ101A、101Bにおいて抵抗値を小さくし、目的とする5Vの電圧値の駆動電圧を形成する。
【0038】
このように、供給される給電電圧の電圧値が小さくなると、デジタルポテンショメータ101A、101Bにおける抵抗値も小さくするようにして、目的とする電圧値の駆動電圧を形成する。そして、デジタルポテンショメータ101A、101Bにおける抵抗値が小さくなればなるほど、変換ロスも少なくなり、供給された給電電圧から効率よく所定の電圧値の駆動電圧が形成できる。従って、供給局2から例えば2km(キロメートル)程度離れた位置に設置された非常電話装置1であっても、供給局2からの給電電圧に基づいて、適切に目的とする電圧値(この例では5V)の駆動電圧を形成し、適切に動作することができるようにしている。
【0039】
<定電圧回路104の利用>
上述したように、供給局2から遠方に設置される非常電話装置1については、線路抵抗などの影響により給電電圧の電圧値が低くなっても、変換ロスの少ない可変抵抗回路101を用いることによって、適切に5Vの駆動電圧を形成できることを説明した。逆に、供給局2から近い位置に設置される非常電話装置1の場合には、線路抵抗も小さいため、大きな電圧値の給電電圧がデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給されることになる。この場合には、デジタルポテンショメータ101A、101Bで制御する抵抗値も大きくなってしまう。
【0040】
しかし、電気通信事業法に基づく端末設備等規則では、端末である非常電話装置1内においては大きな抵抗を用いることができないことが規定されている。そこで、この例の駆動電圧回路100Aにおいては、デジタルポテンショメータ101A、101Bの前段に定電圧回路104を設けている。この定電圧回路104によって、デジタルポテンショメータ101A、101Bに供給される給電電圧を17V以下にすることによって、デジタルポテンショメータ101A、101Bで600Ωよりも大きな抵抗を用いなくても済むようにしている。
【0041】
定電圧回路104は、図3に示すように、ツェナーダイオード41と、抵抗42と、トランジスタ43とからなる。定電圧回路104は、印加される給電電圧が17Vまでは、そのままの電圧値の給電電圧をデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給する。そして、定電圧回路104は、印加される給電電圧が17Vを越えると、点線矢印で示したように、電流を+(プラス)端側から-(マイナス)端側へ流すように機能する。これにより、定電圧回路104は、電圧値が17Vを越える給電電圧が印加されても、電流を-(マイナス)端子側に流すことによって電圧値を下げて、17Vの給電電圧をデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給するように機能する。
【0042】
このように、定電圧回路104は、これに供給される給電電圧が、17Vより大きいときには、17Vに制限した給電電圧を後段のデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給する。これにより、供給局2から近い位置に設置される非常電話装置1に対して適切な電圧値の給電電圧を供給できる。また、定電圧回路104は、これに供給される給電電圧が、17V以下のときには、そのままの給電電圧を後段のデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給する。従って、定電圧回路104が、必要以上に給電電圧を制限してしまうこともない。
【0043】
そして、この実施の形態の駆動電圧回路100Aは、図3にも示したように、内部抵抗が500Ωであり、5Vの駆動電圧で、10mAの駆動電流を、非常電話装置1の各部に供給できるものである。
【0044】
[供給局からの距離に応じた駆動電圧回路の動作]
図4図5は、供給局2からの距離に応じた駆動電圧回路100Aの動作を説明するためのブロック図である。図4図5において、定電圧回路104、デジタルポテンショメータ101A、101B、電圧検出IC102A、クロック生成回路103からなる部分が、図3を用いて説明した駆動電圧回路100Aを構成している。また、図4図5において、左側のブロックが、48Vの給電電圧を供給する供給局2であり、その内部抵抗は、+(プラス)端側と-(マイナス)端側のそれぞれにおいて、220Ω(オーム)であることを示している。
【0045】
そして、図4(A)は、供給局2のごく近くに非常電話装置1が設置された場合(近端時)の供給局2と駆動電圧回路100Aとを示している。「供給局2のごく近く」は、供給局2からの距離が、ほぼ0(ゼロ)kmと見做せる、例えば数百m(メートル)以下の場合である。この場合、図4(A)に示すように、線路抵抗は、+(プラス)端側も-(マイナス)端側もほぼ0(ゼロ)と見做すことができる。このため、供給局2からの給電電圧は大きく減衰することはなく、供給局2の+(プラス)端側と-(マイナス)端側のそれぞれの内部抵抗220Ωを考慮しても、17V以上の給電電圧が駆動電圧回路100Aの定電圧回路104に供給される。
【0046】
この場合、定電圧回路104は、+(プラス)端側から-(マイナス)端側に電流を流すことにより、電圧値が17V以上の給電電圧を減衰させて、電圧値が17Vの給電電圧を形成し、これをデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給する。そして、図4(A)に示したように、デジタルポテンショメータ101A、101Bのそれぞれでは、電圧検出IC102Aからの制御信号に応じて可変抵抗の抵抗値を制御し、当該抵抗値を600Ωとして入力電圧を6V減衰させる。これにより、デジタルポテンショメータ101A、101Bに印加された17Vの給電電圧は、デジタルポテンショメータ101A、101Bの双方の機能によって12V(6V+6V)減衰させて、5Vの駆動電圧を形成して出力できる。
【0047】
図4(B)は、供給局2から約1km離れた位置に非常電話装置1が設置された場合(中間距離1の場合)の供給局2と駆動電圧回路100Aとを示している。従って、供給局2と非常電話装置1とを接続する電話回線の長さは、+(プラス)端側が1km、-(マイナス)端側が1kmとなり、合計で2kmの給電電圧の供給ラインが形成されている。この場合、図4(B)に示すように、一般的な電話回線の線路抵抗は、+(プラス)端側も-(マイナス)端側も約1330Ωとなる。このため、供給局2からの48Vの給電電圧は供給局2の内部抵抗と線路抵抗とを考慮すると、駆動電圧回路100Aの定電圧回路104には、ほぼ17Vの給電電圧が供給される。
【0048】
この場合、定電圧回路104における入力電圧の電圧値と出力電圧の電圧値とは釣り合っている(バランスが取れている)ので、+(プラス)端側から-(マイナス)端側には電流が流れることはない。このため、定電圧回路104に供給された17Vの給電電圧が、そのままデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給される。この後の駆動電圧回路100Aの動作は、図4(A)に示した場合と同様である。すなわち、図4(B)に示すように、デジタルポテンショメータ101A、101Bのそれぞれでは、電圧検出IC102Aからの制御信号に応じて可変抵抗の抵抗値を600Ωとして入力電圧を6V減衰させる。これにより、デジタルポテンショメータ101A、101Bに印加された17Vの給電電圧は、デジタルポテンショメータ101A、101Bの双方の機能によって12V(6V+6V)減衰させて、5Vの駆動電圧を形成して出力できる。
【0049】
図5(A)は、供給局2から約1.5km離れた位置に非常電話装置1が設置された場合(中間距離2の場合)の供給局2と駆動電圧回路100Aとを示している。従って、供給局2と非常電話装置1とを接続する電話回線の長さは、+(プラス)端側が1.5km、-(マイナス)端側が1.5kmとなり、合計で3kmの給電電圧の供給ラインが形成されている。この場合、図5(A)に示すように、一般的な電話回線の線路抵抗は、+(プラス)端側も-(マイナス)端側も約1430Ωとなる。このため、供給局2からの48Vの給電電圧は供給局2の内部抵抗と線路抵抗とを考慮すると、駆動電圧回路100Aの定電圧回路104には、ほぼ15Vの給電電圧が供給される。
【0050】
この場合、定電圧回路104に印加された給電電圧は、定電圧回路104で作るべき17Vより低い15Vであるので、+(プラス)端側から-(マイナス)端側には電流が流れることはない。このため、定電圧回路104に供給された15Vの給電電圧が、そのままデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給される。そして、図5(A)に示すように、デジタルポテンショメータ101A、101Bのそれぞれでは、電圧検出IC102Aからの制御信号に応じて可変抵抗の抵抗値を500Ωとして入力電圧を5V減衰させる。これにより、デジタルポテンショメータ101A、101Bに印加された15Vの給電電圧は、デジタルポテンショメータ101A、101Bの双方の機能によって10V(5V+5V)減衰させて、5Vの駆動電圧を形成して出力できる。
【0051】
図5(B)は、供給局2から約2km離れた位置に非常電話装置1が設置された場合(遠端時)の供給局2と駆動電圧回路100Aとを示している。従って、供給局2と非常電話装置1とを接続する電話回線の長さは、+(プラス)端側が2km、-(マイナス)端側が2kmとなり、合計で4kmの給電電圧の供給ラインが形成されている。この場合、図5(B)に示すように、一般的な電話回線の線路抵抗は、+(プラス)端側も-(マイナス)端側も約1930Ωとなる。このため、供給局2からの48Vの給電電圧は供給局2の内部抵抗と線路抵抗とを考慮すると、駆動電圧回路100Aの定電圧回路104には、ほぼ5Vの給電電圧が供給される。
【0052】
この場合、定電圧回路104に印加された給電電圧は、定電圧回路104で作るべき17Vより低い5Vであるので、+(プラス)端側から-(マイナス)端側には電流が流れることはない。このため、定電圧回路104に供給された5Vの給電電圧が、そのままデジタルポテンショメータ101A、101Bに供給(印加)される。しかし、5Vの給電電圧は、非常電話装置1における駆動電圧の電圧値と同じであり、降圧する必要はない。
【0053】
このため、図5(B)に示すように、デジタルポテンショメータ101A、101Bのそれぞれでは、電圧検出IC102Aからの制御信号に応じて可変抵抗の抵抗値を0(ゼロ)Ωとして、入力電圧を減衰させることなく(減衰電圧は0(ゼロ)V)、そのまま出力電圧とする。これにより、デジタルポテンショメータ101A、101Bに印加された5Vの給電電圧は、デジタルポテンショメータ101A、101Bの双方からそのまま出力され、5Vの駆動電圧を形成できる。
【0054】
そして、図5(B)を用いて説明したように、デジタルポテンショメータ101A、101Bを通じて5Vの給電電圧から5Vの駆動電圧を形成する場合でも、デジタルポテンショメータ101A、101Bは抵抗を0(ゼロ)にして出力するだけである。このため、DC/DCコンバータを用いる場合のように、供給される給電電圧を不必要に減衰させることがない。従って、目的とする5Vの駆動電圧を形成する場合に、供給される供給局2からの給電電圧が5Vであっても、これを効率よく用いて、5Vの駆動電圧を形成できるようにしている。
【0055】
このように、図3図5を用いて説明した駆動電圧回路100Aを備える非常電話装置1では、給電電圧の供給局2から近い位置に設置されても、また、遠い位置に設置されても、無理なく、効率よく、安定に、目的とする5Vの駆動電圧を形成することができる。これにより、供給局2からの距離に左右されることなく、安定に動作する信頼性の高い非常電話装置1を、安価に実現することができる。
【0056】
[複数の非常電話装置の設置]
図6は、供給局2からの1の電話回線に、複数の非常電話装置が接続される場合の例について説明するためのブロック図である。図6に示すように、供給局2を起点として、1の電話回線に対して、非常電話装置1(1)、1(2)、1(3)、…というように、複数の非常電話装置1が接続される場合が考えられる。例えば、高速道路などのトンネル内には、200m間隔で路肩に非常電話装置を設置するように定められている。そして、高速道路などのトンネルは、数キロメートルに及ぶような長いトンネルも数多く存在する。
【0057】
例えば、全長が2km以上のトンネルの場合、図6に示した態様で、10台以上の非常電話装置1が供給局2に対して接続される場合もある。このように、供給局2に複数の非常電話装置1を接続する場合であっても、供給局2から設置位置までの距離に影響を受けることなく、各非常電話装置1において、効率良く、かつ、適切に、5Vの駆動電圧を形成することができる。従って、図4図5を用いて説明したように、供給局2の近端に設置されても、また、供給局2から中間距離1、2の位置に設置されても、また、供給局2の遠端に設置されても、供給局2からの給電電圧により適切に機能する非常電話装置が実現できる。
【0058】
[実施の形態の効果]
上述したように、供給局2から非常電話装置1の設置位置までの距離に応じて、線路抵抗などの影響により、供給局2から非常電話装置1に供給される給電電圧の電圧値は変化する。しかし、上述した実施の形態の非常電話装置1の場合には、設置位置が供給局2から近いか、遠いかにかかわらず、適切に所定の電圧値の駆動電圧を形成して、適切に駆動する(機能する)ことができるようにしている。
【0059】
すなわち、上述した実施の形態の非常電話装置1においては、従来用いられていたDC/DCコンバータに替えて、可変抵抗回路101を用いて、給電電圧から所定の電圧値の駆動電圧を形成する構成とした。可変抵抗回路101は、線路抵抗が少ない(距離が近い)ときは抵抗を追加し、線路抵抗が多い(距離が遠い)ときは抵抗をほぼ0(ゼロ)Ωまで減らすことを、ダイナミックに制御することができるものである。
【0060】
これにより、線路抵抗が多く、電圧値の低い給電電圧しか供給できない場合において、当該給電電圧から駆動電圧を形成する場合の変換効率を大きく改善し、DC/DCコンバータにおけるロス分も有効に活用することができるようになる。したがって、供給局2から例えば2km程度離れた遠方に設置する非常電話装置においても、所定の電圧値の駆動電圧を安定して形成することができる。つまり、給電局を基準にして遠方に設置可能な局給電の非常電話装置が実現できる。
【0061】
また、可変抵抗回路101として、インクリメント/デクリメントデジタルポテンショメータ101A、101Bを用いた場合には、構成が簡単で、かつ、簡単な制御で適切に抵抗値を変化させ、目的とする電圧値の駆動電圧を形成できる非常電話装置が実現できる。
【0062】
また、可変抵抗回路101の前段に定電圧回路を設けることにより、必要以上に大きな電圧値の給電電圧の供給(印加)を抑制することができる。これにより、供給局の近端に設置される非常電話装置1の場合にも、可変抵抗回路101に大きな電圧値の給電電圧が供給されないようにできるので、大きな抵抗値の抵抗を用いることなく、目的とする電圧値の駆動電圧を適切に形成することができる。また、大きな抵抗値の抵抗を用いる必要がないので、電気的にも安全な非常電話装置が実現できる。
【0063】
[変形例]
上述した実施の形態の非常電話装置1では、デジタルポテンショメータ101A、101Bの前段に定電圧回路104を設けるようにしたが、これに限るものではない。定電圧回路104は、供給局2の近端に設置される非常電話装置1において給電電圧を制限する機能を実現するものである。このため、供給局2との距離関係が例えば1km以上離れる位置に設置される非常電話装置1の場合には、駆動電圧回路に定電圧回路104を設けなくてもよい。
【0064】
しかし、供給局2の近端に設置される非常電話装置と、それ以外の位置に設置される非常電話装置とを区別して管理することは面倒である。このため、全ての非常電話装置1に図3図5を用いて説明したように、定電圧回路104を設けおくことにより、どの非常電話装置をどこに設置するようにしても問題がないようにすることができる。
【0065】
また、上述した実施の形態では、+(プラス)端側と-(マイナス)端側との双方に、デジタルポテンショメータ101A、101Bなどの可変抵抗回路を設けるものとして説明したが、これに限るものではない。供給される給電電圧の電圧値と、可変抵抗回路で制御可能な抵抗値の範囲に基づき、1つの可変抵抗回路で目的とする電圧値の駆動電圧が形成可能な場合には、+(プラス)端側と-(マイナス)端側とのいずれか一方に可変抵抗回路を設ければよい。
【0066】
また、非常電話装置1に供給される給電電圧が5V未満になってしまう場合には、別途、中継局を設けるようにすればよい。また、無理なく昇圧が可能な場合には、非常電話装置1において、供給された給電電圧を昇圧し、5V以上の給電電圧を形成して可変抵抗回路101、101A、101Bに供給するようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施の形態では、非常電話装置1の駆動電圧回路100、100Aでは、電圧値が5Vの駆動電圧を形成するものとして説明したが、これに限るものではない。可変抵抗回路101、101A、101Bで制御可能な抵抗値の範囲を変えることで、5V以外の電圧値の駆動電圧を形成することももちろん可能である。
【0068】
また、定電圧回路104で形成する給電電圧もまた、用いる回路素子を変えたり、回路の構成を変えたりすることにより、目的とする電圧値の電圧を出力するようにできる。
【符号の説明】
【0069】
1…非常電話装置、BT…状態通知ボタン群、MB…メッセージボード、100、100A…駆動電圧回路、101…可変抵抗回路、101A、101B…デジタルポテンショメータ、T1…アップ/ダウン端子、T2…クロック端子、102…制御回路、102A…電圧検出IC、103…クロック生成回路、104…定電圧回路、200…通話回路、210…受話器(スピーカ)、220…送話器(マイクロフォン)、230…ハンドセット、300…操作部、2…供給局、3…道路管理センタ、4、5…電話回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6