(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電池装置およびフォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
B66F9/075 C
(21)【出願番号】P 2021554369
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2021024552
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】514054937
【氏名又は名称】株式会社テクノスヤシマ
(73)【特許権者】
【識別番号】301049571
【氏名又は名称】八洲電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 大貴
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 賢治郎
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152108(JP,A)
【文献】中国実用新案第207158656(CN,U)
【文献】特開2014-058242(JP,A)
【文献】特開2004-292063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給するための電池部材と、
重量が調節可能であるウェイト部材と、
を備えており、
前記ウェイト部材は、砂を有
し、
前記砂は、燃焼を防止するための防燃性をもち、前記電池部材から所定の距離を隔てて、前記電池部材の上方に保持されていることを特徴とする電池装置。
【請求項2】
前記砂は、バイメタルを利用して、前記電池部材の温度上昇にともなって落下させられるように保持されていることを特徴とする請求項
1に記載の電池装置。
【請求項3】
前記砂は、湿度を調節するための調湿性をもつことを特徴とする請求項1に記載の電池装置。
【請求項4】
荷物を昇降するためのフォーク部と、
前記フォーク部が取付けられている本体部と、
を備えており、
請求項1から
3のいずれかに記載の前記電池装置が、前記本体部へ設けられていることを特徴とするフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池などのための電池装置およびフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
無人探査ヘリコプターなどのUAV(Unmanned Aerial Vehicle)は、米国などで軍事利用を目的として研究されてきた。
【0003】
近年では、リチウムイオン電池技術が急速に発展してきており、LiPo(Lithium Polymer)電池などの二次電池を搭載するUAVが農薬散布作業などの農業利用を目的として実用化されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者は、リチウムイオン電池などのより広範な利用を促進することが望ましいと考えている。
【0006】
より具体的には、本発明者は、鉛電池規制を考慮し、フォークリフトのような電池駆動のリフト機器については、リチウムイオン電池などのような重量が小さい二次電池への転換が望ましいと考えている。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、リチウムイオン電池などのより広範な利用を促進することができる電池装置およびフォークリフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、電力を供給するための電池部材と、
重量が調節可能であるウェイト部材と、
を備えており、
前記ウェイト部材は、砂を有し、
前記砂は、燃焼を防止するための防燃性をもち、前記電池部材から所定の距離を隔てて、前記電池部材の上方に保持されていることを特徴とする電池装置である。
第2の本発明は、前記砂は、バイメタルを利用して、前記電池部材の温度上昇にともなって落下させられるように保持されていることを特徴とする第1の本発明の電池装置である。
第3の本発明は、前記砂は、湿度を調節するための調湿性をもつことを特徴とする第1の本発明の電池装置である。
第4の本発明は、荷物を昇降するためのフォーク部と、
前記フォーク部が取付けられている本体部と、
を備えており、
第1から第3のいずれかの本発明の前記電池装置が、前記本体部へ設けられていることを特徴とするフォークリフトである。
本発明に関連する第1の発明は、電力を供給するための電池部材と、
重量が調節可能であるウェイト部材と、
を備えていることを特徴とする電池装置である。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、前記ウェイト部材は、砂を有することを特徴とする本発明に関連する第1の発明の電池装置である。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、前記砂は、燃焼を防止するための防燃性をもつことを特徴とする本発明に関連する第2の発明の電池装置である。
【0011】
本発明に関連する第4の発明は、前記砂は、前記電池部材から所定の距離を隔てて、前記電池部材の上方に保持されていることを特徴とする本発明に関連する第3の発明の電池装置である。
【0012】
本発明に関連する第5の発明は、前記砂は、バイメタルを利用して、前記電池部材の温度上昇にともなって落下させられるように保持されていることを特徴とする本発明に関連する第4の発明の電池装置である。
【0013】
本発明に関連する第6の発明は、前記砂は、湿度を調節するための調湿性をもつことを特徴とする本発明に関連する第2の発明の電池装置である。
【0014】
本発明に関連する第7の発明は、荷物を昇降するためのフォーク部と、
前記フォーク部が取付けられている本体部と、
を備えており、
本発明に関連する第1の発明の前記電池装置が、前記本体部へ設けられていることを特徴とするフォークリフトである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、リチウムイオン電池などのより広範な利用を促進することが可能な電池装置およびフォークリフトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明における実施の形態の電池装置およびフォークリフトの模式的な左側面図
【
図2】本発明における実施の形態の電池装置の模式的な左側面図
【
図3】本発明における実施の形態の電池装置の模式的な水平断面図
【
図4】本発明における実施の形態の電池装置の模式的な鉛直断面図(その一)
【
図5】本発明における実施の形態の電池装置の模式的な鉛直断面図(その二)
【
図6】本発明における実施の形態の変形例(その一)の電池装置の模式的な左側面図
【
図7】本発明における実施の形態の変形例(その二)の電池装置の模式的な水平断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0019】
はじめに、
図1から3を主として参照しながら、本実施の形態の電池装置100およびフォークリフト200について具体的に説明する。
【0020】
ここに、
図1は本発明における実施の形態の電池装置100およびフォークリフト200の模式的な左側面図であり、
図2は本発明における実施の形態の電池装置100の模式的な左側面図であり、
図3は本発明における実施の形態の電池装置100の模式的なA-A線水平断面図である。
【0021】
図2および3においては、ウェイト部材120の重量を調節するための砂121が示されていない。
【0022】
フォークリフト200は、荷物300を昇降するためのフォーク部220と、フォーク部220が取付けられている本体部210と、を有する。
【0023】
電池装置100が、本体部210へ設けられている。
【0024】
電池装置100は、電力を供給するための電池部材110と、重量が調節可能であるウェイト部材120と、を有する。
【0025】
本発明者は、鉛電池規制を考慮し、フォークリフト200のような電池駆動のリフト機器については、リチウムイオン電池などのような重量が小さい二次電池への転換が望ましいと考えている。
【0026】
しかしながら、本発明者は、リチウムおよびコバルトの原料特性などのために、リチウムイオン電池を利用する電池部材110の自重はあまり大きくないことに気付いた。すなわち、本発明者は、重量が比較的に大きい荷物300を運搬するためフォークリフト200のようなリフト機器は鉛電池の重量に基づいて設計されているので、重量が小さい電池部材110の搭載にともなって、いわゆるカウンターバランスのためのウェイト部材120をフォークリフト200の本体部210へ追加的に搭載する必要があることに気付いた。
【0027】
ウェイト部材120は、砂121を有する。
【0028】
たとえば、砂121の比重はバランスウェイト機能が発揮されるという程度に大きいことが、望ましい。
【0029】
砂121は、燃焼を防止するための防燃性をもつ。
【0030】
発火性をもつ二次電池を利用する電池部材110の内部温度上昇にともなって、電池装置100の燃焼が惹起されることがあるが、砂121はそのように惹起された燃焼を防止することができる。
【0031】
かくして、ウェイト部材120がバランスウェイト機能のみならず燃焼防止機能も発揮する、部品点数が小さい優れた多機能構成が実現される。
【0032】
砂121は、電池部材110から所定の距離Dを隔てて、電池部材110の上方に保持されている。
【0033】
所望のバランスウェイト機能のみならず燃焼防止機能も効果的に発揮されるように、電池装置100の筐体部材130の天井へ設けられた蓋または栓付き孔などを利用することにより注入される、砂121の量は正確に変更可能である。このような変更は、距離Dの調節によるウェイト部材120の占有体積の調節をともなって行われてもよい。
【0034】
つぎに、
図1、4および5を主として参照しながら、本実施の形態の電池装置100およびフォークリフト200についてより具体的に説明する。
【0035】
ここに、
図4および5は、本発明における実施の形態の電池装置100の模式的なB-B線鉛直断面図(その一および二)である。
【0036】
図4および5においては、ウェイト部材120の重量を調節するための砂121が示されている。
図4においては砂121が電池部材110の上方に保持されている状態が示されており、
図5においては砂121が電池部材110の温度上昇にともなって落下させられた状態が示されている。
【0037】
砂121は、バイメタルを利用して、電池部材110の温度上昇にともなって落下させられるように保持されている。
【0038】
電池部材110の上方に保持された砂121を電池部材110の温度上昇にともなって落下させる、二枚のドア120dによる両開きの構成が採用されている。
【0039】
このような両開き位置が電池部材110の温度上昇が顕著である電池高温点Pの上方へ設定されており、砂121が電池高温点Pへ向かって確実に落下させられる寸法設計が採用されてもよい。
【0040】
二枚のドア120dの各々は、矢印Xで示された下向きに開放されるようにヒンジ具120hによりそれぞれ筐体部材130へ取付けられている。
【0041】
ドア120dの枚数は、一枚であってもよいし、三枚以上であってもよい。
【0042】
たとえば、本発明における実施の形態の変形例(その一)の電池装置100の模式的な左側面図である
図6に示されているように、一枚のドア120dによる片開きの構成が採用されてもよい。
【0043】
砂121が電池部材110の上方に保持されるように、二枚のドア120dの各々は筐体部材外部から筐体部材130の孔へ挿通された二個のメタル具120mによりそれぞれ下方から支持されている。
【0044】
メタル具120mは、バイメタルを利用して構成されており、電池部材110の温度上昇にともなって、ドア120dが矢印Xで示された下向きに開放されて砂121が落下させられるように変形する。このような変形の後のメタル具120mは、筐体部材130の孔からほとんどすべての場合において抜落ちるが、孔から抜落ちなくてもよい。
【0045】
メタル具120mは、ピン状であるが、たとえば、閂状であってもよい。
【0046】
ドア120dを下方から支持するためのメタル具120mの個数は、一個であってもよいし、三個以上であってもよい。
【0047】
たとえば、本発明における実施の形態の変形例(その二)の電池装置100の模式的なA-A線水平断面図である
図7に示されているように、三個のメタル具120mによるヒンジ具なしの構成が採用されてもよい。
【0048】
かくして、電源などが不要である、廉価な構成が実現される。
【0049】
つぎに、
図3を主として参照しながら、本実施の形態の電池装置100およびフォークリフト200についてさらにより具体的に説明する。
【0050】
砂121は、湿度を調節するための調湿性をもつ。
【0051】
二枚のドア120dの各々へ設けられた開口窓へは、通気性が良好であるようにメッシュネット120nがそれぞれ取付けられている。
【0052】
たとえば、メッシュネット120nのメッシュサイズは、砂121がこぼれ落ちないという程度に小さいが、通気機能が発揮されるという程度に大きいことが、望ましい。
【0053】
多様な環境における電池部材110の使用にともなって、電池装置100の周辺の湿度が変化することがあるが、砂121はそのように変化する湿度を調節することができる。
【0054】
かくして、ウェイト部材120がバランスウェイト機能のみならず調湿機能も発揮する、部品点数が小さい優れた多機能構成が実現される。
【0055】
所望のバランスウェイト機能のみならず調湿機能も効果的に発揮されるように、電池装置100の筐体部材130の天井へ設けられた蓋または栓付き孔などを利用することにより注入される、砂121の量は正確に変更可能である。このような変更は、距離Dの調節によるウェイト部材120の占有体積の調節をともなって行われてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明における電池装置およびフォークリフトは、リチウムイオン電池などのより広範な利用を促進することができ、リチウムイオン電池などのための電池装置およびフォークリフトに利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0057】
100 電池装置
110 電池部材
120 ウェイト部材
120d ドア
120h ヒンジ具
120m メタル具
120n メッシュネット
121 砂
130 筐体部材
200 フォークリフト
210 本体部
220 フォーク部
300 荷物
D 距離
P 電池高温点
X 矢印
【要約】
本発明者は、リチウムイオン電池などのより広範な利用を促進することが望ましいと考えている。より具体的には、本発明者は、鉛電池規制を考慮し、フォークリフトのような電池駆動のリフト機器については、リチウムイオン電池などのような重量が小さい二次電池への転換が望ましいと考えている。
電力を供給するための電池部材(110)と、重量が調節可能であるウェイト部材(120)と、を備えている電池装置(100)である。