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  • 特許-学習展開支援シート 図1
  • 特許-学習展開支援シート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】学習展開支援シート
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/00 20060101AFI20221124BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B42D15/00 301J
G09B19/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018230250
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020090073
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】516095372
【氏名又は名称】株式会社ヒューマンハーバー
(73)【特許権者】
【識別番号】518436700
【氏名又は名称】一般社団法人ヒューマンハーバーそんとく塾
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】原田 公裕
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】国語科授業展開モデル作成の勧め,[online],大分県教育委員会,2018年10月29日,https://www.pref.oita.jp/site/kyoiku/kokugokajugyou.html,[検索日 2022.6.17]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/00
G09B 19/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習者を指導する指導者が、単位時間の学習の展開を記入するための学習展開支援シートであって、
前記学習の単位時間の導入時の学習内容が記入される導入欄と、
前記学習の理解を更に進めることが記入される理解欄と、
前記学習での考え方を自分自身の言動に置き換えて考察させることが記入される振り返り欄と、
前記学習のまとめが記入される定着欄とを備え
前記振り返り欄は、学習内容を用いて生活および仕事上のトラブルを想起させることで、自分自身を振り返させることが記入される置換記入欄と、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせ、変容を促すことが記入される重畳記入欄とを備えた学習展開支援シート。
【請求項2】
前記理解欄は、前記導入欄での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えることが記入される困難記入欄と、前記困難記入欄での難易度が高い例題の解法が理解できることで、更に新しいものの見方や考え方への理解が高まったことを学習者に認識させることが記入される理解深化記入欄とを備えた請求項1記載の学習展開支援シート。
【請求項3】
学習のテーマに沿った学習内容の目標が第1目標として記入され、学習内容に関連させて学習させる、新しい視点による気づきとなる目標が第2目標として記入される目標欄を備えた請求項1または2記載の学習展開支援シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位時間の学習の展開を支援する学習展開支援シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
学校や塾での教育、研修における教育などでは、学習者が学習内容を理解できるよう、指導者は授業や講座の流れ、いわゆる学習の展開を事前に考慮して行っている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、国語科の授業改善のために「授業展開モデル」を作成することが有効であり、指導上の留意点を明確にして単元を構築することが記載されている。
そして「授業展開モデル」の一例として、「導入」、「展開」、「終末」のそれぞれの項目に「指導上の留意点」と「ねらい」とを対応させたシート(学習展開支援シート)を作成し、このシートに基づいて授業の展開を記入することにより授業の展開を明確にすることが記載されている。
【0004】
また、非特許文献2には、基本的な1単位時間の授業展開として、「導入」、「展開」、「終末」のそれぞれの項目に対応させて、「教師の働きかけ」と「チェックポイント」を対応させたシート(学習展開支援シート)を作成し、このシートに基づいて授業の展開を記入することにより、目標を実現するためにふさわしい展開を明確にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大分県教育委員会、”国語科授業展開モデル作成の勧め”、[online]、2018年10月29日、[平成30年11月13日検索]、インターネット〈URL:https://www.pref.oita.jp/site/gakkokyoiku/jugyou-kokugo.html>
【文献】北海道教育委員会、"わかる喜び できる楽しさを 実感できる授業を目指して”、[online]、2011年3月12日、[平成30年11月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/wakaru.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの従来の学習展開支援シートでは、学習の展開として、単に学習目標に向かって、「導入」、「展開」、「終末」の各項目の順番に教えるだけのことが記入されるため、このシートを使用して指導を行う指導者は、学習者に対して、なんら新しい視点からの気づきを与えることができない。
【0007】
学習者に、学習の目標の他に、新しい視点からの気づきを得ることを目標に加えれば、相乗効果により、更に学習効果を高めることができ、指導者の指導力を全体的に高めることができる。
【0008】
そこで本発明は、学習者に新しい視点からの気づきが与えられる指導ができ、指導者の指導力を全体的に高めることが可能な学習展開支援シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の学習展開支援シートは、学習者を指導する指導者が、単位時間の学習の展開を記入するためのものであって、前記学習の単位時間の導入時の学習内容が記入される導入欄と、前記学習の理解を更に進めることが記入される理解欄と、前記学習での考え方を自分自身の言動に置き換えて考察させることが記入される振り返り欄と、前記学習のまとめが記入される定着欄とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の学習展開支援シートによれば、指導者が、導入欄、理解欄、振り返り欄、定着欄の順番に記入することにより、振り返り欄に記入された内容に基づいて、学習者は、学習での考え方を自分自身の言動に置き換えて考察することができる。そのため、学習者は、自分自身の言動について、新しい視点からの気づきを得ることができる。
従って、第1目標として学習内容を理解できるだけでなく、第2目標である自分自身の言動についての問題点も学習者に認識させ、学習させることができる。
【0011】
前記振り返り欄は、学習内容を用いて生活および仕事上のトラブルを想起させることで、自分自身を振り返させることが記載される置換記入欄と、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせ、変容を促すことが記入される重畳記入欄とを備えたものとすることができる。
【0012】
指導者は、置換記入欄に記入された内容より、学習者に、生活および仕事上のトラブルを想起してさせ、自分自身を振り返らせるだけでなく、重畳記入欄に記入された内容より、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせることで、変容を促すことができる。
【0013】
前記理解欄は、前記導入欄での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えることが記入される困難記入欄と、前記困難記入欄での難易度が高い例題の解法が理解できることで、更に新しいものの見方や考え方への理解が高まったことを学習者に認識させることが記入される理解深化記入欄とを備えたものとすることができる。
【0014】
指導者は、困難記入欄に記入された内容より、導入欄での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えるが、理解深化記入欄に記入された内容より、難易度が高い例題を理解させ、更に学習を拡げることで、更に理解が深まったことを学習者に認識させることできる。
【0015】
学習のテーマに沿った学習内容の目標が第1目標として記入され、学習内容に関連させて学習させる、新しい視点による気づきとなる目標が第2目標として記入される目標欄を備えることができる。
第1目標とした、学習のテーマに沿った学習内容の目標だけでなく、第2目標として、学習内容に関連させて学習させる、新しい視点による気づきとなる目標が、目標欄に記入されるので、新しい視点からの気づきを与えるという学習の目標が明確になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の学習展開支援シートによれば、学習内容を理解できるだけでなく、自分自身の言動についての問題点も学習者に認識させ、学習させることができるので、学習者に新しい視点からの気づきが与えられる指導ができ、指導者の指導力を全体的に高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る学習展開支援シートを示す図である。
図2図1に示す学習展開支援シートを算数に用いた場合の記入例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る学習展開支援シートを図面に基づいて説明する。
図1に示す学習展開支援シート1は、タイトル2と、教材名欄3と、目標欄4と、学習展開欄5とを備えている。
【0019】
タイトル2は、学習の表題が記載される。教材名欄3には、学習のテーマが記載される。目標欄4には、1単位時間における目標が記載される。
学習展開欄5は、1単位時間における学習の展開が記載される。
【0020】
学習展開欄5は、「AP(アプローチ)」と印刷されたアプローチ欄50の縦列欄に、「導入へのアプローチ」と印刷された導入欄51と、「理解へのアプローチ」と印刷された理解欄52と、「振り返りへのアプローチ」と印刷された振り返り欄53と、「定着へのアプローチ」と印刷された定着欄54とを備えている。
【0021】
導入欄51は、導入時の学習内容が記入される欄である。理解欄52は、学習の理解を更に進めることが記入される欄である。振り返り欄53は、学習での考え方を自分自身の言動に置き換えて考察させることが記入される欄である。定着欄54は、学習のまとめが記入される欄である。
【0022】
学習展開欄5は、「段階」と印刷された縦列欄であり、導入欄51に対応した「できる」と印刷された導入理解記入欄511と、理解欄52に対応した「困難」と印刷された困難記入欄521および「よりできる」と印刷された理解深化記入欄522と、振り返り欄53に対応した「置き換える」と印刷された置換記入欄531および「重ねる」と印刷された重畳記入欄532と、定着欄54に対応した「活用する」と印刷された活用記入欄541とを備えている。
【0023】
導入理解記入欄511は、導入時のステップであり、導入時に、学習者に、学習が理解できることを基本的な例題により確認させる内容が記入される。
困難記入欄521は、導入理解記入欄511での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えることが記入される。
理解深化記入欄522は、困難記入欄521での難易度が高い例題の解法が理解できることで、更に、新しいものの見方や考え方への理解が高まったことを学習者に認識させることが記入される。
置換記入欄531は、導入理解記入欄511~理解深化記入欄522における学習内容を用いて生活および仕事上のトラブルを想起させることで、自分自身を振り返ることが記入される。
重畳記入欄532は、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせ、変容を促すことが記入される。
活用記入欄541は、学習の締めとなる留意事項や学習者に意欲を喚起させることが記入される。
【0024】
また、学習展開欄5は、この導入理解記入欄511~活用記入欄541ごとに、「学習活動」と印刷された学習活動欄511a,521a,522a,531a,532a,541aと「指導上の留意点」と印刷された留意欄511b,521b,522b,531b,532b,541bと、「備考」と印刷された備考欄511c,521c,522c,531c,532c,541cとが縦列に形成されている。
【0025】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る学習展開支援シート1を図面に基づいて説明する。
なお、図2に示す本実施の形態に係る学習展開支援シート1は、学習を通して元受刑者の更生を促し、再犯を防止するための授業に使用される。
図2に示す学習展開支援シート1は、タイトル2に、「算数科 学習指導案」と記載されている。つまり、この学習展開支援シート1は、算数の授業に使用されるものである。
【0026】
指導者は、まず、教材名欄3に学習のテーマを記入する。例えば、「三角形の面積の求め方と平行四辺形の面積の求め方」とすることができる。
【0027】
次に、目標欄4に、目標を記入する。
指導者は、目標欄4に、第1目標として、教材名欄3に記入された学習のテーマに沿った算数の学習内容の目標を決めて記入し、第2目標として、学習内容に関連させて学習させる、新しい視点による気づきとなる目標を決めて記入する。
例えば、指導者は、目標欄4に、第1目標として、「長方形の面積の公式と平行四辺形の面積の公式を理解する」と記入し、第2目標として、「自分の思い込みが失敗につながること事が多いことに気づくと共に、確かな情報や客観的事実を根拠に物事を考える事の大切さに気づく。」と記入する。このように算数の学習としての第1目標と、新しい視点による気づきを第2目標として揚げることができる。
【0028】
学習の目標が立てられると、指導者は、次に、具体的な学習の展開となる学習展開欄5を立案して記入する。
まず、指導者は、導入時の学習内容を記入するための導入欄51における導入理解記入欄511の学習活動欄511aを記入する。
学習活動欄511aには、導入時に、学習者に、学習が理解できることを基本的な例題により確認させる内容が記入される。従って、長方形の面積であれば簡単に発表できると想定されるため、例えば、「1.たてが5cm、よこが10cmの長方形の面積を求める。」とすることができる。また、指導者は、学習者がどの程度の知識を有しているかを、例題を数問回答させることにより把握するため、「2.例題を解く(2~3問)」と記入することができる。
【0029】
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄511bに記入する。例えば、例題の回答を記入したり、学習者に、例題の回答方法だけでなく、一緒に理解して欲しいことを記入したりすることができる。
そこで指導者は、例題の回答として、「長方形の面積=たて×よこの公式を使って面積を求めさせる。答え50cm2」と記入したり、「公式を思い出せない場合は提示する」と記入したり、一緒に学習させる内容として「1cm2が50個あつまった面積であることを押さえる」と記入したり、「cm2の2の意味についても考えさせ補足する」と記入したりすることができる。
【0030】
次に、指導者は、学習の理解を更に進めることを記入するための理解欄52における困難記入欄521の学習活動欄521aを記入する。
学習活動欄521aには、導入理解記入欄511での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えることを目的とした学習内容が記入される。従って、例えば、長方形の面積の算出の応用となる例題とするため、「3.平行四辺形の面積を求める」とすることができる。また、指導者は、学習者が適当に回答したものでなく理解した上での回答である把握するために、「4.なぜ、よこ×斜辺ではなく、底辺×高さなのかの理由を考え発表する」と記入することができる。
【0031】
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄521bに記入する。
留意欄521bには、問題の難易度が上がっているため、問題を解く手掛かりを記入することができる。
例えば、「底辺と斜辺の長さだけを提示し考えさせる」や「高さの長さが必要だと気づいた場合は、高さを提示する」、「高さの長さが必要だと気づかない場合は、公式を提示する」、「長方形の箱を使い、ゆがめたり戻したりしながら見かけと実測の違いについて考えさせる」とすることにより、学習者に難易度が高いが解けない問題ではないことを理解させる。
【0032】
次に、指導者は、理解欄52における理解深化記入欄522の学習活動欄522aを記入する。
学習活動欄522aには、困難記入欄521での難易度が高い例題の解法が理解できることが記入される。従って、平行四辺形の面積の公式である底辺×高さがより深く理解できたか否かを確認するために、例えば、「5.底辺が同じでも、高さが変わる事で面積が変わる事を理解する」とすることができる。
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄522bに記入する。
留意欄522bには、学習者が新しいものの見方や考え方への深い理解を得るための具体的な手法として、「見かけや思い込みと実測が違うことを理解させる」と記入することができる。
【0033】
次に、指導者は、振り返り欄53における置換記入欄531の学習活動欄531aを記入する。
学習活動欄531aには、導入理解記入欄511~理解深化記入欄522における学習内容を用いて生活および仕事上のトラブルを想起させることで、自分自身を振り返ることが記入される。
導入理解記入欄511の学習活動欄511aでは長方形の面積を、また、困難記入欄521の学習活動欄521aでは平行四辺形の面積を算出する例題を回答させる。そして、理解深化記入欄522の学習活動欄522aでは、形状の異なる長方形と平行四辺形ではあるが、面積の算出に、短辺(高さ)×底辺(長辺)であることを学習させる。このことから、学習者に見た目には違うが、同様の手法により結果が得られることを想起させる。
従って、置換記入欄531の学習活動欄531aには、「6.自分の生活や仕事の中で、思っていたことや考えていたこと、見た目が実際と違っていたことを想起させ発表する」とすることができる。
【0034】
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄531bに記入する。
例えば、指導者は、留意欄531bを、「「仕事」や「生活」でトラブルを起こすときは、多くの場合、自分の思い込みや勘違い、自分勝手な判断に起因していることが多くある事に気づかせる」とすることで、学習者を、算数から新たな観点での考察に誘導するよう記入する。
【0035】
次に、指導者は、振り返り欄53における重畳記入欄532の学習活動欄532aを記入する。
学習活動欄532aには、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせ、変容を促すことが記入される。
例えば、図形の面積は公式から算出されることで誰が算出しても正しい答えが導き出せることと同様に、学習者の言動も正しい根拠に基づくことが重要である。
従って、重畳記入欄532の学習活動欄532aには、「7.面積の公式は論理的・客観的根拠に基づいてできていることを元に、自己の言動も正確な根拠に基づいて行うことが大切である事を理解する」とすることができる。
【0036】
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄532bに記入する。
例えば、指導者は、留意欄532bを、「自己中心的な考え方や思い込みなどによってトラブルや失敗、諦めなどが起こっていることを気づかせ、情報の収集や理解できないことは、進んで聞くこと調べることの大切さを分からせる。」とすることで、学習者に変容を促すことに留意するよう記入する。
【0037】
次に、指導者は、定着欄54における活用記入欄541の学習活動欄541aを記入する。
活用記入欄541は、学習の締めとなる留意事項や学習者に意欲を喚起させることが記入される。
従って、指導者は、健全な社会復帰に向けるための内容とするために、「8.今後生活や仕事をしていく上で留意することをまとめる。」とすることができる。
【0038】
そして、このときに指導時に注意すべき点を、留意欄541bに記入する。
例えば、指導者は、留意欄541bを、「自己の日常の言動を振り返らせ、よりよい生活や仕事ができるための情報収集方法やスキルを身につける方法について具体的指針を見つけさせ、実行できるように意欲喚起を図る」とすることで、今後の社会復帰に向けた目標設定と意欲喚起に留意するよう記入する。
【0039】
このように、指導者は、学習展開支援シート1に、導入欄51、理解欄52、振り返り欄53、定着欄54の各学習活動欄511a~541aと留意欄511b~541bの順番に記入して指導を行うことにより、振り返り欄53に記入された内容に基づいて、学習者は、学習での考え方を自分自身の言動に置き換えて考察することができる。そのため、学習者は、自分自身の言動について、新しい視点からの気づきを得ることができる。
従って、第1目標としての「長方形の面積の公式と平行四辺形の面積の公式を理解する」だけでなく、第2目標である「自分の思い込みが失敗につながる事が多いことに気づかせ、確かな情報や客観的事実を根拠に物事を考える事の大切さに気付かせる」ことを学習者に学習させることができる。
よって、学習展開支援シート1は、学習者に、新しい視点からの気づきが与えられる指導ができる。また、指導者の指導力を全体的に高めることが可能である。
【0040】
また、振り返り欄53が、置換記入欄531と、重畳記入欄532とを備えている。
そのため、指導者は、置換記入欄531に記入された内容より、学習者に、生活および仕事上のトラブルを想起してさせ、自分自身を振り返らせるだけでなく、重畳記入欄532に記入された内容より、学習した内容を、自分自身のものの見方や考え方、価値観に重ね合わせて、自分自身を振り返らせることで、変容を促すことができる。
【0041】
更に、理解欄52が、困難記入欄521と、理解深化記入欄522とを備えている。
そのため、指導者は、困難記入欄521に記入された内容より、導入欄51での例題より難易度が高い例題により、学習者に困難な状況を与えるが、理解深化記入欄522に記入された内容より、難易度が高い例題を理解させ、更に学習を拡げることで、更に理解が深まったことを学習者に認識させることできる。
【0042】
また、目標欄4に、第1目標として学習のテーマに沿った学習内容の目標が記入されるだけでなく、学習内容に関連して「自分の思い込みが失敗につながる事が多いことに気づかせ、確かな情報や客観的事実を根拠に物事を考える事の大切さに気付かせる」が第2目標として、記入されている。
従って、「自分の思い込みが失敗につながる事が多いこと」という新しい視点を気が付かせ、「確かな情報や客観的事実を根拠に物事を考えることが大切であること」を気が付かせる、という学習の目標が明確になる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の学習展開支援シートは、指導者が学習者に学習させる教育機関に好適であり、特に、自分自身を振り返させることができるため、自宅から出掛けることができないひきこもり者や万引きを繰り返してしまう者、盗撮を繰り返して者の更生や、元受刑者の再犯を防止するための授業に最適である。
【符号の説明】
【0044】
1 学習展開支援シート
2 タイトル
3 教材名欄
4 目標欄
5 学習展開欄
50 アプローチ欄
51 導入欄
511 導入理解記入欄
511a 学習活動欄
511b 留意欄
511c 備考欄
52 理解欄
521 困難記入欄
521a 学習活動欄
521b 留意欄
521c 備考欄
522 理解深化記入欄
522a 学習活動欄
522b 留意欄
522c 備考欄
53 振り返り欄
531 置換記入欄
531a 学習活動欄
531b 留意欄
531c 備考欄
532 重畳記入欄
532a 学習活動欄
532b 留意欄
532c 備考欄
54 定着欄
541 活用記入欄
541a 学習活動欄
541b 留意欄
541c 備考欄
図1
図2