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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】サーバ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221124BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20221124BHJP
   E02D 1/00 20060101ALI20221124BHJP
   G16Y 10/30 20200101ALI20221124BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/08
E02D1/00
G16Y10/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020101591
(22)【出願日】2020-06-11
(62)【分割の表示】P 2018171969の分割
【原出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020161161
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】508121728
【氏名又は名称】ジオサイン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】322004843
【氏名又は名称】ジャパンホームシールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 芳文
(72)【発明者】
【氏名】小尾 英彰
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-151610(JP,A)
【文献】特開2002-030808(JP,A)
【文献】特開2007-119108(JP,A)
【文献】特開2006-019926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0003777(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
E02D 1/00
G16Y 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続されるサーバ装置において、
前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと、前記地盤調査の着手前、調査中及び調査完了を区別する調査ステータスデータとを関連つけて記憶する記憶手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記地盤調査データと前記調査終了コードとを受信する受信手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記地盤調査データの受信に基づいて前記地盤調査の開始を判定し、前記調査終了コードの受信に基づいて前記地盤調査の完了を判定する判定手段と、
前記地盤調査の開始が判定されたとき、前記調査ステータスデータを着手前コードから調査中コードに更新し、前記地盤調査の完了が判定されたとき、前記調査ステータスデータを前記調査中コードから調査完了コードに更新する更新手段と、
前記調査地の位置データと、前記調査ステータスデータと、を前記地盤調査会社の情報処理端末に送信する送信手段とを具備し、
前記調査地の位置データに対応する地図が前記地盤調査会社の情報処理端末に表示され、前記調査地の位置データに基づいて前記表示された前記地図に前記地盤調査の進捗状況を表す調査アイコンが重ねられ、前記調査アイコンの表示態様は前記調査ステータスデータの前記着手前コードと前記調査中コードと前記調査完了コードとに応じて切り替えられる、サーバ装置。
【請求項2】
前記記憶手段には、前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと前記調査ステータスデータとに加えて、前記地盤調査の調査開始予定時刻に関するデータが関連つけて記憶され、
前記判定手段は、前記調査開始予定時刻を経過した時点で、前記地盤調査の開始遅延を判定し、
前記更新手段は、前記地盤調査の開始遅延が判定されたとき前記調査ステータスデータを前記着手前コードから開始遅延コードに更新し、前記地盤調査の開始が判定されたとき前記調査ステータスデータを前記着手前コード又は前記開始遅延コードから調査中コードに更新し、
前記地盤調査会社の情報処理端末に表示された前記地図上の前記調査アイコンの表示態様は前記調査ステータスデータの前記着手前コードと前記開始遅延コードと前記調査中コードと前記調査完了コードとに応じて切り替えられる、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記憶手段には、前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと前記調査ステータスデータとに加えて、前記地盤調査の調査完了予定時刻に関するデータが関連つけて記憶され、
前記判定手段は、前記調査完了予定時刻を経過した時点で、前記地盤調査の調査遅延を判定し、
前記更新手段は、前記地盤調査の調査遅延が判定されたとき前記調査ステータスデータを前記調査中コードから調査遅延コードに更新し、前記地盤調査の完了が判定されたとき、前記調査ステータスデータを前記調査中コード又は前記調査遅延コードから調査完了コードに更新し、
前記地盤調査会社の情報処理端末に表示された前記地図上の前記調査アイコンの表示態様は前記調査ステータスデータの前記着手前コードと前記調査中コードと前記調査遅延コードと前記調査完了コードとに応じて切り替えられる、請求項1記載のサーバ装置。
【請求項4】
調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続されるサーバ装置において、
前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと、前記地盤調査の調査開始予定時刻に関するデータとを関連付けて記憶する調査地情報記憶手段と、
前記地盤調査を担当する作業者の作業者IDに対して、前記作業者の調査中及び移動中を区別する作業者ステータスデータを関連付けて記憶する作業者情報記憶手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記携帯型情報処理端末の位置データ及び前記調査終了コードを受信する受信手段と、
前記携帯型情報処理端末の位置データと前記調査地の位置データとに基づいて前記地盤調査の着手を判定し、前記調査終了コードの受信に基づいて前記地盤調査の完了を判定し、前記地盤調査の完了を判定後、前記携帯型情報処理端末の位置データと前記調査地の位置データとに基づいて前記作業者の移動開始を判定する判定手段と、
前記地盤調査の着手が判定されたとき、前記作業者ステータスデータを移動中コードから調査中コードに更新し、前記作業者の移動開始が判定されたとき、前記作業者ステータスデータを前記調査中コードから前記移動中コードに更新する更新手段と、
前記調査地の位置データと、前記作業者の位置データと、前記作業者ステータスデータとを前記地盤調査会社の情報処理端末に送信する送信手段とを具備し、
前記調査地の位置データに対応する地図が前記地盤調査会社の情報処理端末に表示され、前記携帯型情報処理端末の位置データに基づいて前記表示された前記地図に前記作業者の作業状況を表す作業者アイコンが重ねられ、前記作業者アイコンの種類は前記作業者ステータスデータの前記調査中コードと前記移動中コードとに応じて切り替えられる、サーバ装置。
【請求項5】
前記作業者ステータスデータが前記調査中コードであるとき、前記作業者アイコンとしてヘルメットを模したアイコンが前記地図に重ねられ、前記作業者ステータスデータが前記移動中コードであるとき、前記作業者アイコンとして車を模したアイコンが前記地図に重ねられる、請求項4記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記作業者情報記憶手段は、前記地盤調査を担当する作業者の作業者IDに対して、前記作業者の未稼働、調査中及び移動中を区別する作業者ステータスデータと稼動開始時刻に関するデータとを関連付けて記憶し、
前記判定手段は、前記稼動開始時刻を経過した時点で、前記作業者の稼動開始を判定し、
前記更新手段は、前記作業者の稼動開始が判定されたとき、前記作業者ステータスデータを未稼働コードから前記移動中コードに更新し、
前記地盤調査会社の情報処理端末に表示された前記地図上の前記作業者アイコンの態様は、前記作業者ステータスデータの前記未稼働コードと前記調査中コードと前記移動中コードとに応じて切り替えられる、請求項4記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記作業者ステータスデータが前記調査中コードであるとき前記作業者アイコンとしてヘルメットを模したアイコンが前記地図に重ねられ、前記作業者ステータスデータが前記移動中コードであるとき前記作業者アイコンとして車を模したアイコンが前記地図に重ねられ、前記作業者ステータスデータが前記未稼働コードであるとき、前記作業者アイコンは前記地図に表示されない、請求項6記載のサーバ装置。
【請求項8】
調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続されるコンピュータに、
前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと、前記地盤調査の着手前、調査中及び調査完了を区別する調査ステータスデータとを関連つけて記憶する記憶手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記地盤調査データと前記調査終了コードとを受信する受信手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記地盤調査データの受信に基づいて前記地盤調査の開始を判定し、前記調査終了コードの受信に基づいて前記地盤調査の完了を判定する判定手段と、
前記地盤調査の開始が判定されたとき、前記調査ステータスデータを着手前コードから調査中コードに更新し、前記地盤調査の完了が判定されたとき、前記調査ステータスデータを前記調査中コードから調査完了コードに更新する更新手段と、
前記調査地の位置データと、前記調査ステータスデータと、を前記地盤調査会社の情報処理端末に送信する送信手段とを実現させるプログラム。
【請求項9】
調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続されるコンピュータに、
前記調査地の調査IDに対して、前記調査地の位置データと、前記地盤調査の調査開始予定時刻に関するデータとを関連付けて記憶する調査地情報記憶手段と、
前記地盤調査を担当する作業者の作業者IDに対して、前記作業者の調査中及び移動中を区別する作業者ステータスデータを関連付けて記憶する作業者情報記憶手段と、
前記携帯型情報処理端末から前記携帯型情報処理端末の位置データ及び前記調査終了コードを受信する受信手段と、
前記携帯型情報処理端末が前記調査地から第1距離範囲内に配置された時点で前記地盤調査の着手を判定し、前記調査終了コードの受信に基づいて前記地盤調査の完了を判定し、前記地盤調査の完了を判定後、前記携帯型情報処理端末が前記調査地から第2距離範囲外に配置された時点で前記作業者の移動開始を判定する判定手段と、
前記地盤調査の着手が判定されたとき、前記作業者ステータスデータを移動中コードから調査中コードに更新し、前記作業者の移動開始が判定されたとき、前記作業者ステータスデータを前記調査中コードから前記移動中コードに更新する更新手段と、
前記調査地の位置データと、前記作業者の位置データと、前記作業者ステータスデータとを前記地盤調査会社の情報処理端末に送信する送信手段とを実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、サーバ装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地盤調査は、例えばスウェーデン式サウンディング試験機などを用いて原位置における土の貫入抵抗を測定し、その硬軟または締まり具合、さらに土層の構成を測定し、地耐力を推定するものである。この地盤調査の結果に応じて、建物の基礎が選定される。例えば、軟弱な地盤であると判断された場合には、セメント系固化剤をスラリー状態にし、対象となる地盤に注入しながら機械混合攪拌することによって、地盤土を柱状固化して地盤強化を図る地盤改良工事が行なわれている。
【0003】
将来にわたって安全・安心な住まいを実現するために、地盤調査の需要が増加している。そのため、地盤調査会社は、1日に相当数の調査地の地盤調査を行うために、複数の作業者を稼働させている。しかし、それでも、1人の作業者が、1日に何箇所も地盤調査を行わなければならない。もちろん、交通渋滞、天候の急変、試験機の不具合、作業者の熟練度等により、予定通りに作業が進まない事態が発生する。このような事態が発生したとき、地盤調査会社の事務員は、スケジュールの調整、関係各所に連絡しなければならない。そのため、事務員は、予定通りに作業が進んでいるのかを把握するために、その都度、作業者に連絡を取る必要があった。しかしながら、複数の作業者が同時に稼動している状況の中で、作業者毎に連絡をとることは非常に面倒であり、作業者にとっても作業状況の報告のために時間を取られてしまうため、全体の効率が悪化していた。また、調査が完了したこと、調査開始が遅れていること、調査自体が遅れていることなどを、作業者からの連絡がなければ知ることができなかったため、作業者のスケジュール調整が後手に回ってしまい、その結果、予定通りに地盤調査が完了できない状況が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、地盤調査会社などに、地盤調査の進捗状況をリアルタイムに提供することができるサーバ装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係るサーバ装置は、調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続される。サーバ装置の記憶手段は、調査地の調査IDに対して、調査地の位置データと地盤調査の着手前、調査中及び調査完了を区別する調査ステータスデータとを関連つけて記憶する。受信手段は、携帯型情報処理端末から地盤調査データと調査終了コードとを受信する。判定手段は、携帯型情報処理端末から地盤調査データの受信に基づいて地盤調査の開始を判定し、調査終了コードの受信に基づいて地盤調査の完了を判定する。更新手段地盤調査の開始が判定されたとき、調査ステータスデータを着手前コードから調査中コードに更新し、地盤調査の完了が判定されたとき、調査ステータスデータを調査中コードから調査完了コードに更新する。送信手段は、調査地の位置データと、調査ステータスデータとを地盤調査会社の情報処理端末に送信する。調査地の位置データに対応する地図が地盤調査会社の情報処理端末に表示される。調査地の位置データに基づいて地図に地盤調査の進捗状況を表す調査アイコンが重ねられる。調査アイコンの表示態様は調査ステータスデータの着手前コードと調査中コードと調査完了コードとに応じて切り替えられる。
【0006】
本実施形態に係るサーバ装置は、調査地に対して地盤調査を実行し地盤調査データを発生し、調査終了を表す調査終了コードを発生する地盤調査機に接続可能な携帯型情報処理端末と、地盤調査会社の情報処理端末とに対してネットワークを介して接続される。サーバ装置の調査地情報記憶手段は、調査地の調査IDに対して、調査地の位置データと、地盤調査の調査開始予定時刻に関するデータとを関連付けて記憶する。作業者情報記憶手段は地盤調査を担当する作業者の作業者IDに対して、前記作業者の調査中及び移動中を区別する作業者ステータスデータを関連付けて記憶する。受信手段は携帯型情報処理端末から前記携帯型情報処理端末の位置データ及び前記調査終了コードを受信する。判定手段は、携帯型情報処理端末の位置データと調査地の位置データとに基づいて地盤調査の着手を判定し、調査終了コードの受信に基づいて地盤調査の完了を判定し、地盤調査の完了を判定後、携帯型情報処理端末の位置データと調査地の位置データとに基づいて作業者の移動開始を判定する。更新手段は、地盤調査の着手が判定されたとき、作業者ステータスデータを移動中コードから調査中コードに更新し、作業者の移動開始が判定されたとき、作業者ステータスデータを調査中コードから移動中コードに更新する。送信手段は調査地の位置データと、作業者の位置データと、作業者ステータスデータとを地盤調査会社の情報処理端末に送信する。調査地の位置データに対応する地図が地盤調査会社の情報処理端末に表示され、携帯型情報処理端末の位置データに基づいて地図に作業者の作業状況を表す作業者アイコンが重ねられる。作業者アイコンの種類は作業者ステータスデータの調査中コードと移動中コードとに応じて切り替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るサーバ装置を備える進捗情報提供システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るサーバ装置の機能を示すブロック構成図である。
図3図3は、会社端末に表示される進捗確認ページの一例を示す平面図である。
図4図4は、作業者端末に表示される地形チェックリストの一例を示す平面図である。
図5図5は、図2のサーバ装置により管理されている調査ステータス管理テーブルの一例を示す図である。
図6図6は、図2のサーバ装置に登録されている調査ステータス/アイコン対応表の一例を示す図である。
図7図7は、図2のサーバ装置により管理されている作業者ステータス管理テーブルの一例を示す図である。
図8図8は、図2のサーバ装置に登録されている作業者ステータス/アイコン対応表の一例を示す図である。
図9図9は、図2のサーバ装置による調査ステータス更新処理を示すフローチャートである。
図10図10は、図9に示す調査ステータス更新処理の補足説明図である。
図11図11は、図2のサーバ装置による作業者ステータス更新処理を示すフローチャートである。
図12図12は、図11に示す作業者ステータス更新処理の補足説明図である。
図13図13は、図9に示す調査ステータス更新処理の一部分の処理を示すフローチャートである。
図14図14は、図9に示す調査ステータス更新処理の一部分の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るサーバ装置について説明する。
【0009】
図1に示すように、進捗情報提供システムは、本実施形態に係るサーバ装置20と、複数の作業者(調査担当者)が所持する複数の携帯型情報処理端末(以下、作業者端末という)60とを有する。携帯型情報処理端末60は、インターネット等のネットワーク10を介してサーバ装置20に対して通信可能に接続される。このサーバ装置20に対して、ネットワーク10を介して、本システムを利用する地盤調査会社が所有する情報処理端末(以下、会社端末という)40が通信可能に接続される。さらに、作業者端末60は、地盤調査機50に対して通信可能に接続される。
【0010】
進捗情報提供システムは、地盤調査に関連する各種ステータスを利用者に提供するシステムである。サーバ装置20は、調査地の地盤調査の進捗状況を表す調査ステータスと、作業者(調査担当者)の作業状況を表す作業者ステータスとを管理し、会社端末40及び作業者端末60から送られたデータに基づいて、これらのステータスをリアルタイムに更新する。調査地の地盤調査の進捗状況は、地盤調査の未着、開始遅延、調査中、調査遅延及び調査完了を含む。作業者の作業状況は、作業者の未稼働、移動中及び調査中を含む。サーバ装置20によって管理されている調査ステータスと作業者ステータスとは、進捗情報提供システムを利用する地盤調査会社の会社端末40を用いて閲覧、確認することが可能である。地盤調査会社の事務員等は、本システムを利用することで、調査地の地盤調査の進捗状況と作業者の作業状況とをリアルタイムに把握することができる。
【0011】
本実施形態では、地盤調査は、調査地の地盤調査データ、調査地の踏査データ、及び調査地の写真データを取得することを指す。地盤調査において取得されたこれらのデータを用いて、調査地の地盤が評価される。踏査データは、調査地の現在及び過去の地形、地質、地物などに関するデータである。踏査データは、実際に作業者が調査地に赴き、観察して得られるデータと、例えば国土地理院が提供している地盤情報に基づいて得られるデータとを含む。
【0012】
地盤調査機50は、典型的には、いわゆる戸建住宅向けの地盤調査用に広く普及しているスウェーデン式サウンディング試験機を用いることができる。地盤調査機50のシリアルポートの出力端子には、データ通信機能を有する通信モジュール52が接続される。この通信モジュール52を介して、地盤調査機50は作業者端末60に接続される。地盤調査機50は、作業者端末60から受信した各種指示に従って動作する。例えば、地盤調査機50は、作業者端末60から受信した調査開始コードに従って地盤調査を開始し、地盤調査データを発生する。例えば、地盤調査データは、ロッドに荷重をかけたときやロッドを回転させたときに、ロッドが地盤に貫入する量・貫入状況を記録した地盤状況を表すデータである。また、地盤調査機50は、地盤調査の終了を表す調査終了コードを発生する。調査終了コードは、典型的には地盤調査データに含まれる。地盤調査機50は、作業者端末60から受信した地盤調査データの取得リクエストに呼応して、地盤調査データを作業者端末60に送信する。なお、地盤調査機50は、地盤調査データを予め設定されたタイミングで自動的に作業者端末60に送信してもよい。なお、ここでは、調査終了コードを地盤調査機50が発生するとしたが、作業者端末60が発生してもよい。例えば、作業者端末60に表示された調査終了ボタンをタップすることにより、作業者端末60からサーバ装置20に調査終了コードが送信される。
【0013】
作業者端末60は、典型的には、進捗情報提供システムの専用端末であり、進捗情報提供システムを提供するシステム会社から地盤調査会社に貸し出されるものである。作業者端末60には、進捗情報提供システムの作業者端末用アプリケーションがインストールされている。作業者端末用アプリケーションは、地盤調査に関連する各種機能を有する。例えば、作業者端末用アプリケーションは、地盤調査の手順に応じた調査画面を作業者端末60に表示する機能と、地盤調査機50に作業者が調査開始指示、データ取得リクエスト等の指示を入力するためのインターフェースとしての機能と、地盤調査機50から取得した地盤調査データをサーバ装置20に転送する機能とを有する。
【0014】
作業者は、地盤調査の手順に応じた調査画面に従って、地盤調査を実施する。写真データを取得する手順において、作業者端末60には、写真を撮影する位置、方向、枚数などの指示が表示された画面が表示される。作業者は、撮影条件に従って、作業者端末60を用いて撮影する。作業者により撮影された写真データは、自動的又は作業者の指示に従ってサーバ装置20に送信される。地盤調査データを取得する手順において、作業者端末60には、地盤調査機50に調査開始指示を入力するボタンが測点毎に表示される。踏査データを入力する手順において、作業者端末60には、例えば図4に示すように、地形チェックリストが表示される。この地形チェックリストには、調査地の地盤に関する現在の状況を入力するための複数の項目と調査地の地盤に関して過去の状況を入力するための複数の項目とが含まれる。作業者は、チェックリスト上で踏査した結果に該当する項目を選択する。作業者により選択された項目は踏査データとして、作業者端末60からサーバ装置20に送信される。踏査データは、チェックリストが選択される毎に自動的にサーバ装置20に送信するようにしてもよいし、チェックリストに表示された送信ボタンが作業者によりタップされたときに送信するようにしてもよい。このように、作業者は、作業者端末60に表示された調査画面上を手動操作することによって、地盤調査を進めることができる。なお、作業者端末60は、作業者端末用のアプリケーションがインストールされたスマートフォン、タブレット等の汎用的な端末を用いることもできる。
【0015】
会社端末40は、進捗情報提供システムの会社端末用アプリケーションがインストールされたパソコン、スマートフォン、タブレット等の汎用的な情報処理端末を用いることができる。会社端末40は、会社端末用アプリケーションを介して、サーバ装置20と各種データ通信することができる。例えば、会社端末用アプリケーションは、サーバ装置20から受信した進捗データに基づいて、進捗確認ページを会社端末40に表示させる。
【0016】
サーバ装置20は、例えばコンピュータにより実現されるものである。サーバ装置20が備える各種機能は、CPUがRAMに格納された進捗情報提供システムに係るサーバプログラムに従って動作することにより実現される。図2に示すように、サーバ装置20は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、調査ステータス判定処理部24と、作業者ステータス判定処理部25と、調査ステータス管理部26と、作業者ステータス管理部27と、を有する。
【0017】
制御部21は、サーバ装置20の各構成要素を統括的に制御する。通信部22は、制御部21の制御に従って、会社端末40から受信した進捗リクエストに呼応して、進捗データを地図データとともに会社端末40に送信する。この進捗データには、調査地データと作業者データとが含まれる。調査地データには、調査ステータス管理テーブルで管理されている調査地の位置データ、調査ステータスに応じた表示態様コードなどの各種データが含まれる。作業者データには、作業者ステータス管理テーブルで管理されている作業者(作業者端末60)の位置データ、作業者ステータスに応じた表示オブジェクトコードなどの各種データが含まれる。
【0018】
サーバ装置20から進捗データと地図データとを受信した会社端末40には、会社端末用アプリケーションにより、図3に示すような進捗確認ページ290が表示される。図3に示すように、進捗確認ページ290は、地図表示エリアと凡例表示エリアと詳細表示エリアとを有する。地図表示エリアには、地図データに基づいて地図291が表示される。表示される地図291の範囲は、会社端末40上の操作に従って指定された範囲に対応する。この地図291には、調査地の位置データに基づいて、調査アイコン295(295A,295B,295C)が重ねられる。調査アイコン295の表示態様は、表示態様コード、つまり調査ステータスに応じて切り替えられる。同様に、地図291には、作業者端末60の位置データに基づいて、作業者アイコン296(296A,296B,296C、296D)が重ねられる。作業者アイコン296のオブジェクトは、表示オブジェクトコード、つまり作業者ステータスに応じて切り替えられる。凡例表示エリアには、地図291に配置された調査アイコン295の表示態様が何を示しているのかを紹介する凡例292が表形式で表示される。詳細表示エリアには、地図291上で選択された調査地又は作業者に関する詳細情報293が表示される。
【0019】
通信部22は、制御部21の制御に従って、作業者端末60から、作業者端末60の位置データとともに、地盤調査データ、踏査データ、及び写真データ(以下、まとめて調査データという)を受信する。調査データに位置データを付帯させることは、その調査データ、特に写真データや踏査データをきちんと調査地で撮影、入力されたデータであるかを担保する効果を発揮する。
【0020】
記憶部23は、調査の進捗状況を管理するための調査ステータス管理テーブルのデータと、調査ステータスを表す調査アイコン295の表示態様を管理する調査ステータス/調査アイコン対応表のデータと、を記憶する。
【0021】
図5に示すように、調査ステータス管理テーブルにおいて、調査IDに対して、「調査地情報」、「調査データファイル名」、及び「調査ステータスデータ」が関連付けされている。調査地情報は、「調査名称」、「調査地住所」、「調査予定日」、「調査開始予定時刻」、「調査完了予定時刻」、「調査開始時刻」、「調査完了時刻」、「作業者ID」を含む。ここでの「調査開始時刻」は、実際に調査が開始された時刻、「調査完了時刻」は、実際に調査が完了された時刻をそれぞれ指す。調査ステータスデータは、調査地の調査の進捗状況を区別するためのデータである。ここでは、調査ステータスデータは、地盤調査の未着(担当者未設定)、未着(担当者設定済)、開始遅延、調査中、調査遅延、調査完了を区別する。
【0022】
図6に示すように、調査ステータス/調査アイコン対応表において、調査ステータスデータに対して、調査ステータスと表示態様コードとが関連付けされている。表示態様コードは、調査アイコン295の表示態様を特定するためのコードである。調査アイコン295は、視覚を通じてユーザに調査地の位置を知らせるものであり、調査地の位置データに基づいて、図3に示す進捗確認ページ290の地図291上に重ねられる。この調査アイコン295の表示態様を調査ステータスに応じて変化させることで、ユーザは直感的に各地の調査の進捗を確認することができる。例えば、調査アイコン295はバルーンを用いることができる。
【0023】
記憶部23は、作業者の作業状況を管理するための作業者管理テーブルのデータと、作業者ステータスに応じた作業者アイコン296を管理する作業者ステータス/作業者アイコン対応表のデータと、を記憶する。
【0024】
図7に示すように、作業者管理テーブルにおいて、作業者IDに対して、「作業者端末ID」,[位置データ]、「稼動開始時刻」及び「作業者ステータスデータ」が関連付けされている。作業者端末IDは、作業者に付与されている作業者端末60を特定するIDである。位置データは、作業者端末60から受信したGPSセンサデータに基づいて逐次更新される。稼動開始時刻は、作業者の稼動開始時刻を示し、例えば、就業開始時刻に設定されている。作業者ステータスデータは、作業者の作業状況を区別するためのデータである。ここでは、作業者ステータスデータは、作業者の未稼働、調査中及び移動中を区別する。
【0025】
図8に示すように、作業者ステータス/作業者アイコン対応表において、作業者ステータスデータに対して、作業者ステータスと表示オブジェクトコードとが関連付けされている。表示オブジェクトコードは、作業者アイコン296の種類を特定するためのコードである。例えば、作業者ステータス「作業中」には、ヘルメットに対応する表示オブジェクトコードが対応付けられ、作業者ステータス「移動中」には、車に対応する表示オブジェクトコードが対応付けられ、作業者ステータス「未稼働」には、非表示に対応する表示オブジェクトコードが対応付けられている。作業者アイコン296は、視覚を通じてユーザに作業者の位置を知らせるものであり、作業者端末60の位置データに基づいて、図3に示す進捗確認ページ290の地図291上に重ねられる。この作業者アイコン296の表示オブジェクトを作業者のステータスに応じて変化させることで、ユーザは、直感的に作業者の稼働状況、作業状況を確認することができる。
【0026】
(調査ステータス更新処理)
調査ステータス判定処理部24は、作業者端末60及び会社端末40から受信したデータに基づいて、現在の調査ステータスを判定する。調査ステータス管理部26は、調査ステータス判定処理部24による調査ステータスの判定結果に従って、調査ステータス管理テーブルで管理されている調査ステータスデータを更新する。以下、図9図10を参照して、特定の調査地の調査ステータスを例に、調査ステータス判定処理部24及び調査ステータス管理部26による調査ステータス更新処理を説明する。
【0027】
サーバ装置20は、会社端末40から受信した調査地の新規登録データに基づいて、調査ステータス管理テーブルに新規レコードを作成する(S1)。新規レコードの調査ステータスデータには「未着(担当者未設定)」に対応するコードが書き込まれる。調査ステータス「未着(担当者未設定)」は、会社端末40から調査地を担当する作業者に関するデータが受信されるまで維持される(S1;NO)。S1の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上には、調査地の位置データに基づいて、調査アイコン295が重ねられ、調査アイコン295は、図10(a)に示す未着(担当者未設定)コードに応じた表示態様で表示される。
【0028】
サーバ装置20は、会社端末40から調査地の地盤調査を担当する作業者に関するデータを受信したとき(S2;YES)、調査地の地盤調査の担当者の設定完了を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S3)。S3の処理により、調査ステータスデータは「未着(担当者未設定)」に対応するコードから「未着(担当者設定済)」に対応するコードに更新される。S3の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の調査アイコン295の表示態様は、図10(a)に示す未着(担当者未設定)コードに応じた表示態様から図10(b)に示す未着(担当者設定済)コードに応じた表示態様に切り替えられる。
【0029】
調査ステータス「未着(担当者設定済)」は、地盤調査が開始されるまで維持される(S4;NO)。本実施形態において、地盤調査の開始条件は、作業者端末60から調査データの受信開始に設定されている。調査データは、踏査データ、地盤調査データ、及び写真データを含む。すなわち、サーバ装置20は、踏査データ、地盤調査データ、及び写真データのうち少なくとも一のデータの受信を開始したとき(S4;YES)、地盤調査の調査開始を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S5)。S5の処理により、調査ステータスデータが「未着(担当者設定済)」に対応するコードから「調査中」に対応するコードに更新される。S5の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の調査アイコン295の表示態様は、図10(b)に示す未着(担当者設定済)コードに応じた表示態様から図10(c)に示す調査中コードに応じた表示態様に切り替えられる。
【0030】
なお、サーバ装置20が作業者端末60から受信する調査データには作業者端末60の位置データが関連付けされている。サーバ装置20は、作業者端末60の位置データに基づいて、調査地の調査データが、調査対象の調査地周辺に配置された作業者端末60から送られたデータであるかを判定する。特に、踏査データは、作業者が作調査対象の調査地に赴かなくても、作業者端末60上の手動操作によってサーバ装置20に入力することができてしまう。上記のように、調査地の調査データが、調査対象の調査地周辺に配置された作業者端末60から送られたデータであるかを判定することで、実際に調査地に赴いた作業者により入力された踏査データと調査地とは異なる場所で事前に入力された踏査データとを区別することができる。調査ステータス判定処理において、調査地とは異なる場所で事前に入力された踏査データは調査ステータスの判定処理の処理対象外に設定されている。これにより、地盤調査の開始の判定精度を向上させることができる。もちろん、調査地で入力した踏査データと事前に入力した踏査データとを区別するのではなく、作業者端末60が調査地周辺に配置されなければ、サーバ装置20が作業者端末60から調査データを受信する機能又は作業者端末60がサーバ装置20に調査データを送信する機能が有効にならないように構成してもよい。
【0031】
調査ステータス「調査中」は、地盤調査が完了されるまで維持される。ここでは、地盤調査の完了条件は、地盤調査データに含まれる調査終了コードを受信してから所定時間の経過に設定されている。所定時間は、例えば、作業者による調査データの確認作業、地盤調査機50の撤収作業にかかる平均的な時間に設定されている。上記の地盤調査の完了条件によれば、作業者による調査データの確認作業が完了して、地盤調査機50の撤収作業が完了して、作業者が移動を開始するまでの調査ステータスを「調査中」で維持させることができる。調査データの確認作業、地盤調査機50の撤収作業などを含めた、調査地の地盤調査に係る各種作業の全てが完了した時点を調査完了とすることで、地盤調査データの再取得、地盤調査データの追加取得などの事態を考慮することができ、地盤調査の完了の判定精度を向上させることができる。なお、上の記載は、地盤調査の完了条件が規定の調査データの取得完了に設定されることを否定するものではない。さらに、調査終了コードを受信した時点で地盤調査の終了を判定し、調査ステータスデータを調査終了コードに設定し、調査終了コードを受信してから所定時間経過した時点で地盤調査の完了を判定し、調査ステータスデータを調査完了コードに設定するようにして、調査終了と調査完了とを区別してもよい。
【0032】
サーバ装置20は、調査終了コードを受信してから(S6;YES)、所定時間が経過したとき(S7;YES)、地盤調査の調査完了を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S8)。S8の処理により、調査ステータスデータが「調査中」に対応するコードから「調査完了」に対応するコードに更新される。一方、サーバ装置20は、調査終了コードを受信するまで調査ステータス管理テーブルを更新しない(S6;NO)。また、サーバ装置20は、調査終了コードを受信してから所定時間経過するまで、調査ステータス管理テーブルを更新しない(S7;NO)。調査終了コードを受信してから所定経過するまでに、調査データの受信を開始したとき、調査ステータスを「調査中」で維持した状態で、S6の処理に戻るようにしてもよい。S8の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の調査アイコン295の表示態様は、図10(c)に示す調査中コードに応じた表示態様から図10(d)に示す調査完了コードに応じた表示態様に切り替えられる。
【0033】
以上説明した調査ステータス更新処理により、刻々と変化する調査地の調査進捗に応じて、調査ステータスデータを更新することができる。サーバ装置20で管理されている調査ステータスデータは、会社端末40からの進捗リクエストに呼応して、又は予め決められた周期若しくは調査ステータスデータが更新されたとき、会社端末40に送信される。その結果、会社端末40に表示された地図291上の調査アイコン295の表示態様を、調査ステータスデータ、具体的には、地盤調査の未着(担当者未設定)コード、未着(担当者設定済)コード、調査中コード及び調査完了コードに応じてリアルタイムに切り替えることができる。地盤調査会社の事務員は、地図291上の調査アイコン295を閲覧するだけで、登録した調査地の担当者がきちんと設定されているか、調査が順調に進んでいるのか、未調査の調査地がどれくらい残っているのかなどの地盤調査の進捗をリアルタイムに確認することができる。これにより、事務員は作業者のフォロー、例えばスケジュール調整などを行うことができ、地盤調査会社による地盤調査の全体を効率化することができる。
【0034】
図9に示す調査ステータス更新処理は、地盤調査が予定通り実施された場合に対応する。しかしながら、実際には、渋滞、道路工事などの移動中のトラブルにより、調査開始が遅れてしまう場合がある。以下、調査開始が遅れてしまう場合を考慮した調査ステータス更新処理について図13を参照して説明する。図13は、図9に示すフローチャートの点線枠Aのフロー部分に対応している。
【0035】
S3の処理により、調査ステータスデータは未着(担当者未設定)コードから未着(担当者設定済)コードに更新される。調査ステータス「未着(担当者設定済)」は、地盤調査が開始されるまで、又は開始遅延が発生するまで維持される。ここでは、地盤調査の開始遅延条件は、調査開始予定時刻の経過に設定されている。サーバ装置20は、現在時刻が調査開始予定時刻を経過したことに基づいて(S31;YES)、地盤調査の開始遅延を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S32)。S32の処理により、調査ステータスデータが移動中コードから開始遅延コードに更新される。S32の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の調査アイコン295の表示態様は、図10(b)に示す未着(担当者設定済)コードに応じた表示態様から開始遅延コードに応じた表示態様に切り替えられる。調査ステータス「開始遅延」は、地盤調査が開始されるまで維持される。もちろん、開始遅延の発生は、調査が開始されるまで監視される(S31;NO、S4;NO)。
【0036】
サーバ装置20は、地盤調査データ、踏査データ、及び写真データのうち少なくとも一のデータの受信を開始したとき(S4;YES)、地盤調査の調査開始を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S5)。S5の処理により、調査ステータスが「未着(担当者設定済)」又は「開始遅延」から「調査中」に更新される。
【0037】
上記のように、調査地に向かって作業者が移動中であるものの、地盤調査の開始遅延が発生している調査地の調査ステータスを、調査ステータス「移動中」と区別することで、進捗確認ページ290上で、調査開始が遅れている調査地の調査アイコン295を、他の調査地の調査アイコン295に対して区別して表示させることができる。地盤調査会社の事務員は、進捗確認ページ290上でリアルタイムに開始遅延を把握することができる。これにより、事務員は、その調査地の調査の立ち会い担当者に遅延している旨のお詫びを入れることができ、会社としての信頼性の低下を抑制することができる。また、事務員は、その調査地の調査を担当する作業者のその後のスケジュールを調整する又は調整を想定しておくことができ、会社全体の地盤調査を効率化することができる。
【0038】
上記では調査開始が遅延する例であったが、調査自体が何らかの理由により遅延する場合がある。遅延理由としては以下のようなものがある。すなわち、調査地の測点数は通常5点であるが、調査中の作業者の判断により、測点数を増やす場合がある。また、地盤調査機50の不具合、天気の急変などにより、予定通りに調査が進まない場合がある。以下、調査が遅れてしまう場合を考慮した調査ステータス更新処理について図14を参照して説明する。図14は、図9に示すフローチャートの点線枠Bのフロー部分に対応している。
【0039】
S5の処理により、調査ステータスデータが未着(担当者設定済)コードから調査中コードに更新される。調査ステータス「調査中」は、調査が終了されるまで、又は調査遅延が発生するまで維持される。ここでは、地盤調査の調査遅延条件は、調査完了予定時刻の経過に設定されている。すなわち、サーバ装置20は、現在時刻が調査完了予定時刻を経過したとき(S51;YES)、地盤調査の終了遅延を判定し、調査ステータス管理テーブルを更新する(S52)。S52の処理により、調査ステータスデータが調査中コードから調査遅延コードに更新される。S52の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の調査アイコン295の表示態様は、図10(c)に示す調査中コードに応じた表示態様から調査遅延コードに応じた表示態様に切り替えられる。調査ステータス「終了遅延」は、調査が終了されるまで維持される。もちろん、終了遅延の発生は、調査が終了されるまで監視される(S51;NO、S6;NO)。
【0040】
上記のように、調査中ではあるものの、調査遅延が発生している調査地の調査ステータスを、調査ステータス「調査中」と区別することで、進捗確認ページ290上で、調査が遅れている調査地の調査アイコン295を、他の調査地の調査アイコン295に対して区別して表示させることができる。地盤調査会社の事務員は、進捗確認ページ290上でリアルタイムに調査遅延を把握することができる。これにより、事務員は、その調査地の調査を担当する作業者が次に調査を行う予定であった調査案件を、他の作業者に担当させたりなどのスケジュール調整を行うことができ、会社全体の地盤調査を効率化することができる。
【0041】
(作業者ステータス更新処理)
作業者ステータス判定処理部25は、作業者端末60から受信したデータに従って、現在の作業者ステータスを判定する。作業者ステータス管理部27は、作業者ステータス判定処理部25による作業者ステータスの判定結果に従って、作業者ステータス管理テーブルで管理されている作業者ステータスデータを更新する。以下、図11図12を参照して、複数の調査地の調査を予定している作業者の作業者ステータスを例に、作業者ステータス判定処理部25及び作業者ステータス管理部27による作業者ステータス更新処理を説明する。なお、サーバ装置20は、作業者端末60から位置データを繰り返し受信しているものとする。
【0042】
作業者ステータス管理テーブルにおいて、その作業者の作業者ステータスデータは「未稼働」に対応するコードが書き込まれている(T1)。作業者ステータス「未稼働」は、作業者が1件目の調査地に向けて移動を開始するまで維持される(T2;NO)。ここでは、1件目の調査地に向けての移動開始条件(移動開始条件(1件目))は、作業者の稼働開始時刻の経過に設定されている。すなわち、サーバ装置20は、現在時刻が稼働開始時刻、例えば午前7時になったとき(T2;YES)、作業者の1件目の調査地に向けての移動開始を判定し、作業者ステータス管理テーブルを更新する(T3)。T3の処理により、作業者ステータスデータは未稼働コードから移動中コードに更新される。T3の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上には、作業者端末60の位置データに基づいて作業者アイコン296が重ねられ、その作業者アイコン296は、移動中コードに応じたオブジェクト、ここでは図13(a)に示すように、車を模したオブジェクトで表示される。作業者アイコン296は、作業者端末60の移動に連動して、その表示位置を変化させる。稼働開始時刻前までは、作業者ステータスは未稼働であるため、地図291上に作業者アイコン296は表示されない。これにより、稼働開始時刻前の作業者のプライバシーを保護することができる。
【0043】
作業者ステータス「移動中」は、作業者が調査に着手するまで維持される。ここでは、調査着手条件は、調査開始予定時刻の所定時間前に作業者が調査地周辺に配置されていることに設定されている。調査着手条件における所定時間は例えば10分に設定されている。実際の地盤調査において、調査地に到着してから、実際に調査データを受信開始するまでには、地盤調査機50の設置作業などの準備作業がある。準備作業中に、地盤調査会社の事務員からの急なスケジュール変更がされると、その準備作業に要した時間が無駄となってしまい非常に効率が悪い。地盤調査の準備を開始した段階で、調査ステータスを「移動中」から「調査中」に更新することで、事務員はその作業者の作業者ステータスが調査中であると認識するため、上記のような急なスケジュール変更を作業者に要請することは減るはずである。また、調査地から少し離れた位置に地盤調査機50を積んだ車を駐車して、準備作業を行わなければならない場合がある。このような場合であっても、上記の調査着手条件によれば、所定時間前に調査地周辺に到着していれば、その作業者の作業者ステータスを「調査中」に設定することができる。
【0044】
サーバ装置20は、現在時刻が調査開始予定時刻の所定時間前に(T4;YES)、作業者端末60が調査地から第1距離以内に配置されたとき(T5;YES)、地盤調査の調査着手を判定し、作業者ステータス管理テーブルを更新する(T6)。調査着手条件における第1距離は例えば、300mに設定されている。T6の処理により、作業者ステータスデータが移動中コードから調査中コードに更新される。T6の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の作業者アイコン296の表示オブジェクトは、図13(a)に示す移動中コードに応じたオブジェクトから図13(b)に示す調査中コードに応じたオブジェクト、ここではヘルメットを模したオブジェクトに切り替えられる。
【0045】
作業者ステータス「調査中」は、地盤調査が完了され、作業者が次の調査地に向けて移動を開始するまで維持される。作業者ステータス更新処理における地盤調査の完了条件は、調査ステータス更新処理における地盤調査の完了条件と同様である。すなわち、地盤調査の完了条件は、地盤調査データに含まれる調査終了コードを受信してから所定時間の経過に設定されている。地盤調査の完了条件における所定時間は、例えば30分に設定されている。作業者が2件目以降の調査地に向けての移動開始条件(移動開始条件(2件目以降))は、地盤調査の完了後、作業者が直前の調査地から離れたことに設定されている。上記のように、移動開始条件(2件目以降)と地盤調査の完了条件との両方を満たしたときに調査ステータスを更新することは、利便性の向上と、作業者ステータス更新処理の精度向上とを実現する。具体的には、移動開始条件(2件目以降)だけでは、作業者が調査中に休憩などの理由により調査地を離れたときも調査ステータスが更新されてしまう事態を排除できない。移動開始条件(2件目)に地盤調査の完了条件を組み合わせることで上記の事態を排除できる。一方、地盤調査の完了条件だけで調査ステータスが更新されたとき、地盤調査が完了した時点で、会社端末40に表示された地図291の作業者アイコン296がヘルメットから車に切り替わってしまう。実際の地盤調査において、多くの作業員は地盤調査が完了した時点で休憩する。すると、地図291上の車アイコンは調査地周辺で静止したまま維持されてしまう。基本的には、車のアイコンは移動中を示すものであるから、静止した状態の車アイコンを見た事務員は、実際には、作業員が休憩中にもかかわらず、移動中にトラブルが発生したものと勘違いしてしまう。そのため、地盤調査の完了条件に移動開始条件(2件目)を組み合わせることで、作業員が次の調査地に向けて移動を開始したことを明確にすることができる。これにより、進捗確認ページを閲覧する事務員による勘違いを減らせることができ、利便性が向上する。移動開始条件(2件目)で設定される距離を遠くする程、作業員の休憩と移動開始との区別の精度は向上するが、進捗確認ページ290上で作業員の移動開始が反映されるまでの時間が遅くなる。一方で、移動開始条件(2件目)で設定される距離を短くする程、作業員の休憩と移動開始との区別の精度は低下するが、進捗確認ページ290上で作業員の移動開始が反映されるまでの時間が早くなる。作業員によって、地盤調査完了後にすぐ休憩するのか、次の調査地に到着してから休憩するのかなどが異なる。そのため、上記の条件を作業員毎に設定することで、作業者ステータス更新処理の精度が向上する。
【0046】
サーバ装置20は、調査終了コードを受信してから(T7;YES)、所定時間が経過したとき(T8;YES)、地盤調査の調査完了を判定する。サーバ装置20は、地盤調査の完了が判定された後、作業者端末60が調査地から第2距離離れたとき(T9;YES)、作業者の2件目の調査地に向けての移動開始を判定する。移動開始条件(2件目)における第2距離は、例えば300mに設定されている。処理T3乃至処理T9は、その日に作業者が担当する地盤調査の全てが完了するまで繰り返される(T10;NO)。次の調査が残っている場合では、サーバ装置20は、作業者が次の調査地に向けて移動を開始したとき(T9;YES)、処理T3に戻り、作業者ステータス管理テーブルを更新する(T3)。T3の処理により、作業者ステータスデータが調査中コードから移動中コードに更新される。T3の処理の結果、会社端末40に表示された進捗確認ページ290の地図291上の作業者アイコン296の表示オブジェクトは、図13(b)に示す調査中コードに応じたオブジェクトから図13(a)に示す移動中コードに応じたオブジェクトに切り替えられる。
【0047】
一方、サーバ装置20は、その日に作業者が担当する地盤調査の全てが完了したとき(T10;YES)、作業者ステータス管理テーブルを更新する(T11)。T11の処理により、作業者ステータスデータが調査中コードから未稼働コードに更新される。T11の処理の結果、会社端末40に表示された地図291上から作業者アイコン296が消去(非表示)される。これにより、地盤調査の全てが完了後に作業員がそのまま帰宅するような場合であっても、作業員のプライバシーを保護することができる。
【0048】
以上説明した作業者ステータス更新処理により、刻々と変化する作業者の作業状況に応じて、作業者ステータスデータを更新することができる。サーバ装置20で管理されている作業者ステータスデータは、会社端末40からの進捗リクエストに呼応して、又は予め決められた周期若しくは作業者ステータスデータが更新されたとき、会社端末40に送信される。その結果、会社端末40に表示された地図291上の作業者アイコン296の表示オブジェクトを作業者ステータスデータ、具体的には、未稼働コード、移動中コード及び調査中コードに応じてリアルタイムに切り替えることができる。地盤調査会社の事務員は、地図291上の作業者アイコン296を閲覧するだけで、作業者の作業状況、作業者の現在位置などをリアルタイムに確認することができる。これにより、事務員は作業者のフォロー、例えばスケジュール調整などを行うことができ、地盤調査会社による地盤調査の全体を効率化することができる。また、1人の作業者に対して1つの作業者アイコン296が必ず対応するため、事務員は、進捗確認ページ290を閲覧するだけで稼働中の作業者の数を簡単に把握することができる。
【0049】
なお、本実施形態では、サーバ装置20から会社端末40に進捗データが送信され、会社端末40には、会社端末用アプリケーションにより、受信した進捗データに基づいて進捗確認ページ290が表示される。しかしながら、サーバ装置20で進捗確認ページ290のデータが発生され、進捗確認ページ290のデータを会社端末40に送信することで、会社端末40に進捗確認ページ290を表示させるように構成することもできる。また、サーバ装置20は、他のサーバ装置に進捗確認ページ290又は進捗データを送信し、会社端末40は、他のサーバ装置にアクセスして、進捗確認ページ290を閲覧するように構成することもできる。このように、会社端末40で進捗確認ページ290を閲覧できるのであれば、そのシステムの構成は限定されない。また、サーバ装置20は、会社端末40に表示された調査アイコン295を切り替えるために表示態様コードではなく、調査ステータスデータを会社端末40に送信するようにしてもよい。同様に、サーバ装置20は、、会社端末40に表示された作業者アイコン296を切り替えるために表示オブジェクトコードではなく、作業者ステータスデータを会社端末40に送信するようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態に係るサーバ装置20は、作業者の状況、作業の進捗状況をリアルタイムに提供する。本実施形態では、作業対象を地盤調査を例に説明したが、サーバ装置20の適用はこれに限定されない。例えば、サーバ装置20は、表層改良工事、柱状改良工事などを含む地盤補強工事や、新築物件、中古物件などの建物を対象とした品質検査、定期検査などの建物検査などにも適用することができる。例えば、本実施形態に係るサーバ装置20を地盤補強工事に適用する場合、「調査地」を「地盤補強工事地点」、「調査中」を「地盤補強工事中」、「調査完了」を「地盤補強工事完了」、「地盤調査データ」を「施工データ」に置き換えられる。同様に、実施形態に係るサーバ装置20を建物検査に適用する場合、「調査地」を「建物検査地」、「調査中」を「建物検査中」、「調査完了」を「建物検査完了」、「地盤調査データ」を「検査データ」に置き換えられる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…インターネット、20…サーバ装置、21…制御部、22…通信部、23…記憶部、24…調査ステータス判定処理部、25…作業者ステータス判定処理部、26…調査ステータス管理部、27…作業者ステータス管理部。
図1
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