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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】毛髪洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20221124BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20221124BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/39
A61K8/42
A61K8/44
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/86
A61Q5/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018106816
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019210241
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 光
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02090291(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0258807(US,A1)
【文献】特開2005-272364(JP,A)
【文献】特開2017-036261(JP,A)
【文献】特開2010-138083(JP,A)
【文献】特開2016-006129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/46
A61K 8/39
A61K 8/42
A61K 8/44
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/86
A61Q 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤(A)1~20質量%と、両性界面活性剤(B)1~10質量%と、カチオン化ポリマー(C)0.1~1質量%と、ポリプロピレングリコール(D)0.3~2質量%と、ピログルタミン酸エステル(E)0.1~5質量%とを含み、
前記両性界面活性剤(B)が、コカミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、およびラウリルベタインから選択される少なくとも1種であり、
前記ポリプロピレングリコール(D)が、ポリプロピレングリコール-7(PPG-7)、ポリプロピレングリコール-16(PPG-16)、およびポリプロピレングリコール-17(PPG-17)から選択される少なくとも1種であり、
前記ピログルタミン酸エステル(E)が、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルから選択される少なくとも1種である、毛髪洗浄用組成物。
【請求項2】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を含む、請求項1に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項3】
前記アニオン界面活性剤(A)が、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス酢酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、およびラウロイルメチルアラニンナトリウムから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項4】
前記カチオン化ポリマー(C)が、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-47、およびポリクオタニウム-52から選択される少なくとも1種である、請求項1~のいずれか一項に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)が、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルである、請求項2~のいずれか一項に記載の毛髪洗浄用組成物。
【請求項6】
前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)がヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルである、請求項2~のいずれか一項に記載の毛髪洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、質感のよいシャンプーが求められている。特に、消費者に求められているシャンプーの質感として、シャンプーをすすいだ時に毛髪がきしまず、滑らかな指通りであることや、乾燥後の毛髪の手触りがごわつかず柔らかで、滑らかな指通りに仕上がることが挙げられる。
【0003】
これまでに、シャンプーをすすいだ時に生じる髪のきしみを改善する方法として、例えば、カチオン界面活性剤を配合する技術(特許文献1)、シリコーンを配合する技術(特許文献2)、カチオン化ポリマーを配合する技術(特許文献3)が開発されている。また、乾燥後の指通りを改善する方法として、例えば、ポリプロピレングリコールを配合する技術が開発されている。(特許文献4)
【0004】
特許文献1では、洗浄性界面活性剤と、カチオン界面活性剤と、前記カチオン界面活性剤と単独で液晶構造体を形成する油分とを含有するシャンプー組成物が開示されている。特許文献2では、アニオン性界面活性剤(A)、カチオン性界面活性剤(B)、ジメチルジアリルアンモニウム塩・アクリルアミド共重合体(C)、ベタイン型(メタ)アクリル酸系両性樹脂(D)、及びシリコーン油を含み、(A)/(B)の質量比が13~150であり、(C)/(D)の質量比が0.5~10である毛髪洗浄剤組成物が開示されている。特許文献3では、エーテル硫酸塩型界面活性剤と、エーテルカルボン酸塩型界面活性剤と、カチオン性架橋ビニル共重合体と、ポリプロピレングリコールと、カチオン化多糖類と、水とを含有する毛髪洗浄剤組成物が開示されている。特許文献4では、(A)アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上、(B)ポリオキシエチレンアルキルジエーテル、および(C)カチオン化ポリマーを含有するシャンプー組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-292387号公報
【文献】特開2013-136565号公報
【文献】特開2002-029939号公報
【文献】特開2015-224198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、シャンプーの洗浄成分として一般的に用いられているアニオン界面活性剤を配合すると沈殿物を生じやすいことから、アニオン界面活性剤を少量しか配合できず、洗浄力が弱いという問題があった。特許文献2の技術は、すすいだ時の毛髪のきしみが改善され、乾燥後の毛髪の質感と指通りも向上するが、泡立ちが低下するという問題があった。特許文献3の技術では、すすいだ時の毛髪のきしみは改善するが、乾燥後の毛髪の手触りにごわつきや硬さがあり、指通りも悪いという問題があった。特許文献4の技術では、乾燥後の毛髪の指通りは向上するが、すすいだ時の毛髪のきしみが強くなってしまうという問題があった。
【0007】
このようなことから、本発明は、泡立ちに優れ、すすいだ時に毛髪がきしまず、滑らかな指通りであり、乾燥後の毛髪の手触りがごわつかず柔らかで、滑らかな指通りに仕上がる毛髪洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する毛髪洗浄用組成物は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[8]である。
【0009】
[1]アニオン界面活性剤(A)1~20質量%と、両性界面活性剤(B)1~10質量%と、カチオン化ポリマー(C)0.1~1質量%と、ポリプロピレングリコール(D)0.1~5質量%と、ピログルタミン酸エステル(E)0.1~5質量%とを含む、毛髪洗浄用組成物。
[2]ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を含む、[1]に記載の毛髪洗浄用組成物。
[3]前記アニオン界面活性剤(A)が、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス酢酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、およびラウロイルメチルアラニンナトリウムから選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の毛髪洗浄用組成物。
[4]前記両性界面活性剤(B)が、コカミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、およびラウリルベタインから選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
[5]前記カチオン化ポリマー(C)が、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-47、およびポリクオタニウム-52から選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
[6]前記ポリプロピレングリコール(D)を構成する、プロピレングリコールの単位数が、平均3~80である、[1]~[5]のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
[7]前記ピログルタミン酸エステル(E)が、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルから選択される少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
[8]前記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)が、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルである、[1]~[7]のいずれかに記載の毛髪洗浄用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、泡立ちに優れ、すすいだ時に毛髪がきしまず、滑らかな指通りであり、乾燥後の毛髪の手触りがごわつかず柔らかで、滑らかな指通りに仕上がる毛髪洗浄用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の毛髪洗浄用組成物について具体的に説明する。
<毛髪洗浄用組成物>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)1~20質量%と、両性界面活性剤(B)1~10質量%と、カチオン化ポリマー(C)0.1~1質量%と、ポリプロピレングリコール(D)0.1~5質量%と、ピログルタミン酸エステル(E)0.1~5質量%とを含む。
【0012】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を含むことが好ましい。また、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
なお、上記の各成分の含有量は、毛髪洗浄用組成物を100質量%とした場合の含有量を示している。
【0013】
<アニオン界面活性剤(A)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)を1~20質量%含む。また、本発明の毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)を2~17質量%含むことが好ましく、7~14質量%含むことがより好ましい。
【0014】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)を上記の量含むことによって、泡立ち、汚れ落ちに優れ、弾力のある泡質を得ることができる。アニオン界面活性剤(A)が、前記上限量より多いと、すすぎ時や乾燥後の毛髪の指通り、柔らかさが低下する。
【0015】
アニオン界面活性剤(A)として、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルタウリン塩、が挙げられる。具体的には、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス-6酢酸ナトリウムなどのラウレス酢酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、アルケニル硫酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウム、およびスルホコハク酸アルキルエステル塩が挙げられ、この中でも、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス酢酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウムが好ましく、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス-6酢酸ナトリウムがより好ましく、ラウレス硫酸ナトリウムが最も好ましい。
アニオン界面活性剤(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
<両性界面活性剤(B)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、両性界面活性剤(B)を1~10質量%含む。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、両性界面活性剤(B)を上記の量含むことによって、泡立ち、弾力のある泡質を得ることができる。また、両性界面活性剤(B)は、剤の粘度を高めることにも寄与している。両性界面活性(B)が、前記上限量より多いと、すすぎ時や乾燥後の毛髪の指通り、柔らかさ、潤いが低下する。
【0017】
両性界面活性剤(B)として、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルベタイン、リノレイン酸アミドプロピル、ラウリルヒドロキシスルタインなどのアミドスルホベタイン型の両性界面活性剤、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタインなどのアミドプロピルベタイン型両性界面活性剤を含むアミドアルキルベタイン型両性界面活性剤;N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシル-N-ヒドロキシエチル-N-カルボキシメチルイミダゾリニウムベタインなどのイミダゾリン型両性界面活性剤;N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホン酸ナトリウム、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸ナトリウム、N-脂肪酸アミドプロピル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホン酸ナトリウムなどのスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどのアミドアミンオキシド型両性界面活性剤;ラウリルベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤;およびイソステアライドプロピルベタインが挙げられ、この中でも、コカミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルベタインが好ましく、コカミドプロピルベタインがより好ましい。
両性界面活性剤(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
<カチオン化ポリマー(C)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、カチオン化ポリマー(C)を0.1~1質量%含む。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、カチオン化ポリマー(C)を上記の量含むことによって、すすぎ時の毛髪の指通りのよさ、柔らかさを得ることができる。カチオン化ポリマー(C)が、前記上限量より多いと、乾燥後の毛髪の柔らかさ、潤い、指通りが低下する。
【0019】
カチオン化ポリマー(C)として、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化キサンタンガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガムが挙げられる。具体的には、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、およびグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられ、その中でも、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-52が好ましく、ポリクオタニウム-10がより好ましい。
カチオン化ポリマー(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
<ポリプロピレングリコール(D)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリプロピレングリコール(D)を0.1~5質量%含む。また、本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリプロピレングリコール(D)を0.2~3質量%含むことが好ましく、0.3~2質量%含むことがより好ましい。
【0021】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリプロピレングリコール(D)を構成する、プロピレングリコールの単位数が、平均3~80であることが好ましく、平均7~70であることがより好ましく、平均7~17であることが最も好ましい。
【0022】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリプロピレングリコール(D)を上記の量含むことによって、乾燥後の毛髪がべたつかず、軽い質感となり、指通りのよさを得ることができる。ポリプロピレングリコール(D)が、前記上限量より多いと、すすいだ時の毛髪のきしみが強くなり、指通りが悪くなる。また、ポリプロピレングリコール(D)は剤の粘度を下げることに寄与しているため、前記上限量より多いと、剤の粘度が低下し、泡立ちも低下する。
【0023】
ポリプロピレングリコール(D)としては、具体的には、ポリプロピレングリコール-3(PPG-3)、ポリプロピレングリコール-7(PPG-7)、ポリプロピレングリコール-16(PPG-16)、ポリプロピレングリコール-17(PPG-17)、ポリプロピレングリコール-20(PPG-20)、ポリプロピレングリコール-34(PPG-34)、およびポリプロピレングリコール-69(PPG-69)が挙げられ、その中でも、PPG-7、PPG-16、PPG-17が好ましい。なお、ポリプロピレングリコールの後ろに記載している数字は、プロピレングリコールの平均単位数を意味する。
ポリプロピレングリコール(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
<ピログルタミン酸エステル(E)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ピログルタミン酸エステル(E)を0.1~5質量%含む。また、本発明の毛髪洗浄用組成物は、ピログルタミン酸エステル(E)を0.2~3質量%含むことが好ましく、0.3~2質量%含むことがより好ましい。
【0025】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ピログルタミン酸エステル(E)を上記の量含むことによって、弾力のある泡質を得ることができ、すすぎ時の毛髪のきしみを低減させ指通りのよさを得ることができる。また、乾燥後の毛髪の柔らかさが得られる。ピログルタミン酸エステル(E)は、剤の粘度を高めることにも寄与している。前記上限量より多いと、泡立ちが低下し、すすぎ時の毛髪のぬるつきが強くなる。また、乾燥後の毛髪がべたついてしまう。
【0026】
ピログルタミン酸エステル(E)として、例えば、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが挙げられる。具体的には、PCAイソステアリン酸PEG30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG60水添ヒマシ油、およびPCAイソステアリン酸グリセレス-25が挙げられ、その中でも、PCAイソステアリン酸PEG30水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG40水添ヒマシ油、PCAイソステアリン酸PEG60水添ヒマシ油が好ましく、PCAイソステアリン酸PEG40水添ヒマシ油がより好ましい。
ピログルタミン酸エステル(E)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
<ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を任意で含むことが好ましい。本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を0.2~3質量%含むことがより好ましく、0.3~2質量%含むことが最も好ましい。
【0028】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)を任意で含むことによって、さらに、毛髪に柔らかさと潤いを付与することができる。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)としては、例えば、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルが挙げられる。具体的には、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルが挙げられ、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルが好ましい。
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(F)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<その他成分>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、水を50~97質量%含むことが好ましい。
水として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、および色素等の添加剤をそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
【0030】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、防腐剤として、例えば、フェノキシエタノールを用いることができる。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、pH調整剤として、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムを用いることができる。
【0031】
<毛髪洗浄用組成物の製造等>
本発明の毛髪洗浄用組成物は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。加熱条件下で製造する場合の温度としては、例えば75~85℃が挙げられる。
【0032】
本発明の毛髪洗浄用組成物の状態としては、例えば、液状、ミルク状、クリーム状、泡状などが挙げられる。
本発明の毛髪洗浄用組成物の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、皮膚への刺激を軽減できることから、25℃におけるpHが、pH4.0~8.0であることが好ましく、pH5.0~6.5であることがより好ましい。なお、pHの測定方法は特に限定されるものではなく、一般的なpHの測定法(例えばガラス電極法)を用いて、適切な測定条件において測定すればよい。
【0033】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、水で湿らせた毛髪全体に塗布し、任意で泡立てた後、洗い流して使用するものである。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、シャンプー(後工程にリンス、コンディショナー、トリートメント等を用いる)、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプー(後工程にリンス、コンディショナー、トリートメント等を用いない)として利用することができる。特に、簡便であることや、乾燥後の毛髪の手触りがごわつかず、柔らかで滑らかな指通りに仕上がることから、リンスインシャンプー、コンディショニングシャンプー、トリートメントインシャンプーとして用いることが好ましい。
【0034】
本発明の毛髪洗浄用組成物は、泡立ちに優れ、すすいだ時に毛髪がきしまず、滑らかな指通りであり、乾燥後の毛髪の手触りがごわつかず柔らかで、滑らかな指通りに仕上がる。
【実施例
【0035】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1~37、比較例1~10〕
表1~7に示す処方で各成分を混合することにより毛髪洗浄用組成物を製造し、試料として以下の方法で評価した。表中の処方の数値は、毛髪洗浄用組成物を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表している。結果を表1~7に示す。なお、表1~7に記載の各成分は以下の市販品を用いた。
なお、表1~7において、クエン酸Naまたはクエン酸の量として「適量」と記載した箇所は、pHが5.5になる量を用いたことを意味する。
【0036】
ラウレス硫酸Na(エマール227HP:花王株式会社製)
ラウレス-6酢酸Na(カオーアキポRLM-45NV:花王株式会社製)
ラウロイルメチルアラニンNa(アラノンALE:川研ファインケミカル株式会社製)
ココイルメチルタウリンNa(ダイヤポンK-SF:日油株式会社製)
PPG-7(ニューポールPP-400:三洋化成工業株式会社製)
PPG-17(ニューポールPP-1000:三洋化成工業株式会社製)
PPG-69(ニューポールPP-4000:三洋化成工業株式会社製)
PCAイソステアリン酸PEG-40水添ヒマシ油(ピロテルCPI-40:日本エマルジョン株式会社製)
PCAイソステアリン酸グリセレス-25(ピロテルGPI-25:日本エマルジョン株式会社製)
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル(Mファインオイル COG-7M:ミヨシ油脂株式会社製)
コカミドプロピルベタイン(レボン2000:三洋化成工業株式会社製)
ラウリルベタイン(NIKKOL AM-301:日光ケミカルズ株式会社製)
ラウリルヒドロキシスルタイン(アンヒトール20HD:花王株式会社製)
ポリクオタニウム-10(ポイズC-60H:花王株式会社製)
ポリクオタニウム-7(マーコート2200:日本ルーブリゾール株式会社製)
ポリクオタニウム-47(マーコート2001:日本ルーブリゾール株式会社製)
ポリクオタニウム-52(ソフケアKG-301W:花王株式会社製)
クエン酸(クエン酸:磐田化学工業株式会社製)
クエン酸Na(クエン酸Na:磐田化学工業株式会社製)
フェノキシエタノール(NeolonePH100:ダウケミカル日本株式会社製)
【0037】
〔官能評価〕
専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ官能評価を行った。
室温(20~25℃)の条件下、各専門パネラーが、トップ40cm、ネープ25cmにカットにした東京チャーム社製No.55デザインカットモデルの毛髪を40℃前後の温水でよくすすいだ後、試料3gを手のひらに伸ばしてから毛髪に塗布し、後述する(1)~(8)に記載した評価項目および評価基準に従って官能評価を行った。
【0038】
各評価項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
〔評価項目および評価基準〕
(1)洗髪時の泡立ち
試料を毛髪に塗布し泡立てた際の泡立ちの良さを目視で評価した。
4点:非常に良い
3点:良い
2点:少し泡立つが、すぐ消えてしまう
1点:全く泡立たない
(2)洗髪時の泡質
試料を毛髪に塗布し泡立てた際の泡の弾力を触感で評価した。
4点:非常に弾力がある
3点:弾力がある
2点:やや弾力がない
1点:全く弾力がない
(3)すすぎ時の毛髪の指通り
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ際の毛髪の指通りの良さを触感で評価した。
4点:非常に良い
3点:良い
2点:悪い
1点:非常に悪い
(4)すすぎ時の毛髪の柔らかさ
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ際の毛髪の柔らかさを触感で評価した。
4点:非常に柔らかい
3点:柔らかい
2点:硬い
1点:非常に硬い
(5)乾燥後の毛髪の指通り
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ。その後、濡れた毛髪をドライヤーで乾燥させ、毛髪の指通りを触感で評価した。
4点:非常に良い
3点:良い
2点:悪い
1点:非常に悪い
(6)乾燥後の毛髪の柔らかさ
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ。その後、濡れた毛髪をドライヤーで乾燥させ、毛髪の柔らかさを触感で評価した。
4点:非常に柔らかい
3点:柔らかい
2点:硬い
1点:非常に硬い
(7)乾燥後の毛髪の潤い
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ。その後、濡れた毛髪をドライヤーで乾燥させ、毛髪の潤いを触感で評価した。
4点:非常に潤いがある
3点:潤いがある
2点:やや潤いがない
1点:全く潤いがない
(8)乾燥後の毛髪のべたつき
試料を塗布し泡立てた後、40℃前後の温水ですすいだ。その後、濡れた毛髪をドライヤーで乾燥させ、毛髪のべたつきを触感で評価した。
4点:全くべたつきが無い
3点:ほとんどべたつきが無い
2点:ややべたつきがある
1点:非常にべたつきがある
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
実施例1~37で製造した毛髪洗浄用組成物は、(1)~(8)の評価項目において良好な結果となった。また、実施例29および30は、特に良好な結果となった。
本発明の毛髪洗浄用組成物は、泡立ちがよく、弾力のある泡質であり、すすいだ時に毛髪がきしまず、滑らかな指通りであり、毛髪の柔らかさに優れていることがわかる。また、乾燥後は、毛髪の手触りがごわつかず、べたつきもなく、柔らかで潤いのある質感と滑らかな指通りに仕上がることがわかる。
【0047】
比較例1で製造した毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)の配合量が少ないため、洗髪時の泡立ちが悪く、全く泡立たなかった。また、乾燥後の毛髪が非常にべたつき、指通りが悪く、硬さがあった。
【0048】
比較例2で製造した毛髪洗浄用組成物は、アニオン界面活性剤(A)の配合量が多いため、すすぎ時および乾燥後の毛髪が非常に硬く、指通りも悪かった。また、乾燥後の毛髪に全く潤いが無かった。
【0049】
比較例3で製造した毛髪洗浄用組成物は、両性界面活性剤(B)の配合量が少ないため、洗髪時の泡立ちが悪く、全く泡立たなかった。また、乾燥後の毛髪が非常にべたつき、指通りが悪く、硬さがあった。
【0050】
比較例4で製造した毛髪洗浄用組成物は、両性界面活性剤(B)の配合量が多いため、すすぎ時および乾燥後の毛髪が非常に硬く、指通りも悪かった。また、乾燥後の毛髪に全く潤いが無かった。
【0051】
比較例5で製造した毛髪洗浄用組成物は、カチオン化ポリマー(C)の配合量が少ないため、洗髪時の泡にあまり弾力がなかった。また、すすぎ時の毛髪が非常に硬く、指通りが悪かった。乾燥後の毛髪は、硬さが感じられ、指通りが悪く、やや潤いが無かった。
【0052】
比較例6で製造した毛髪洗浄用組成物は、カチオン化ポリマー(C)の配合量が多いため、乾燥後の毛髪が非常にべたつき、硬さがあり、指通りが悪かった。また、潤いも全く無かった。
【0053】
比較例7で製造した毛髪洗浄用組成物はポリプロピレングリコール(D)の配合量が少ないため、すすぎ時および乾燥後の毛髪が非常に硬く、指通りも悪かった。また、乾燥後の毛髪に全く潤いが無かった。
【0054】
比較例8で製造した毛髪洗浄用組成物は、ポリプロピレングリコール(D)の配合量が多いため、洗髪時の泡立ちが悪く、全く泡立たなかった。また、すすぎ時の毛髪が硬く、指通りが悪かった。
【0055】
比較例9で製造した毛髪洗浄用組成物はピログルタミン酸エステル(E)の配合量が少ないため、洗髪時の泡に全く弾力がなかった。また、すすぎ時および乾燥後の毛髪が非常に硬く、指通りも悪かった。乾燥後の毛髪はやや潤いが無かった。
【0056】
比較例10で製造した毛髪洗浄用組成物は、ピログルタミン酸エステル(E)の配合量が多いため、洗髪時の泡立ちが悪く、全く泡立たなかった。また、乾燥後の毛髪に硬さがあり、非常にべたついていた。指通りが悪く、やや潤いが無かった。