(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】冷蔵庫の製造方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
F25D23/02 304Z
F25D23/02 306D
(21)【出願番号】P 2018142699
(22)【出願日】2018-07-30
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】木部 宏
(72)【発明者】
【氏名】望月 修
(72)【発明者】
【氏名】千田 勇介
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132533(JP,A)
【文献】実開昭55-098980(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側板材、内側板材、下部キャップ部材および上部キャップ部材を組み合わせることで断熱扉を構成し、前記断熱扉に内部空間を形成する工程と、
前記断熱扉の前記内部空間に発泡断熱材を発泡充填する工程と、
前記断熱扉の前記上部キャップ部材に形成したヒンジ孔に、ヒンジ機構のヒンジシャフトを挿入し、前記断熱扉を断熱箱体に回転可能に組み込む工程と、を具備し、
前記上部キャップ部材、前記ヒンジ孔、蓋部材、および、前記ヒンジ孔と前記蓋部材とを繋ぐ連結部は、一体に成形された合成樹脂から成り、
前記内部空間を形成する工程では、前記蓋部材は、前記連結部を介して前記上部キャップ部材と連結された状態のまま、前記内部空間の内部において、前記ヒンジ孔の開口部を塞ぐことを特徴とする冷蔵庫の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵室内に食品等を冷却保存する冷蔵庫およびその製造方法に関し、特に、上部にキャップ部材を有する断熱扉を備えた冷蔵庫およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、冷蔵庫は、断熱箱体の内部に冷蔵室等の貯蔵室が形成され、この冷蔵室は断熱扉により前方から塞がれている。また、断熱扉は幅方向に於ける一端側が、ヒンジ機構を介して、断熱箱体に対して回転自在に取り付けられている。
【0003】
特許文献1に、冷蔵庫の扉を断熱箱体に回転可能に取り付ける構成が記載されている。この文献を参照して、扉の上端にはヒンジ孔が形成され、冷蔵庫本体に接続された座金板がヒンジ孔の上方に配設されている。また、座金板の孔部とヒンジ孔を、筒状の支持部材が貫通している。係る構成により、扉は冷蔵庫本体に回転可能に取り付けられている。また、通常、扉のヒンジ孔と本体のヒンジシャフトとの間には、ヒンジカラーが配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した構成の冷蔵庫では、扉内部から断熱材が外部に漏れることを防止するためにヒンジカラーを採用しているが、ヒンジカラーの採用がコストの増加を招く課題があった。
【0006】
また、ヒンジ孔から断熱材が外部に漏出することを防止するために、ヒンジ孔を接着テープで塞ぐことも考えられる。しかしながら、ヒンジ孔を接着テープで塞ぐ構成では、断熱材を発泡させる工程に於ける圧力で接着テープが破損する場合があり、ヒンジ孔からの断熱材の漏れを充分に防止できない恐れがある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒンジカラーを排除して断熱扉が断熱箱体に取り付けられた冷蔵庫およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷蔵庫の製造方法は、外側板材、内側板材、下部キャップ部材および上部キャップ部材を組み合わせることで断熱扉を構成し、前記断熱扉に内部空間を形成する工程と、前記断熱扉の前記内部空間に発泡断熱材を発泡充填する工程と、前記断熱扉の前記上部キャップ部材に形成したヒンジ孔に、ヒンジ機構のヒンジシャフトを挿入し、前記断熱扉を断熱箱体に回転可能に組み込む工程と、を具備し、前記上部キャップ部材、前記ヒンジ孔、蓋部材、および、前記ヒンジ孔と前記蓋部材とを繋ぐ連結部は、一体に成形された合成樹脂から成り、前記内部空間を形成する工程では、前記蓋部材は、前記連結部を介して前記上部キャップ部材と連結された状態のまま、前記内部空間の内部において、前記ヒンジ孔の開口部を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷蔵庫の製造方法は、外側板材、内側板材、下部キャップ部材および上部キャップ部材を組み合わせることで断熱扉を構成し、前記断熱扉に内部空間を形成する工程と、前記断熱扉の前記内部空間に発泡断熱材を発泡充填する工程と、前記断熱扉の前記上部キャップ部材に形成したヒンジ孔に、ヒンジ機構のヒンジシャフトを挿入し、前記断熱扉を断熱箱体に回転可能に組み込む工程と、を具備し、前記上部キャップ部材、前記ヒンジ孔、蓋部材、および、前記ヒンジ孔と前記蓋部材とを繋ぐ連結部は、一体に成形された合成樹脂から成り、前記内部空間を形成する工程では、前記蓋部材は、前記連結部を介して前記上部キャップ部材と連結された状態のまま、前記内部空間の内部において、前記ヒンジ孔の開口部を塞ぐことを特徴とする。これにより、断熱扉の上端側に上部キャップ部材が取り付けられる構成に於いて、上部キャップ部材のヒンジ孔を蓋部材で塞ぐことで、断熱扉の内部を強固に密閉することができる。よって、ヒンジカラーを廃して断熱扉を構成することができる。更に、蓋部材を別途に成型する場合と比較して、蓋部材の製造にかかるコストを低減することができる。更に、断熱扉の上端側に上部キャップ部材が取り付けられる構成に於いて、上部キャップ部材のヒンジ孔を蓋部材で塞ぐことで、断熱扉の内部に充填される発泡断熱材がヒンジ孔から外部に流出することを確実に防止することができる。更に、蓋部材が連結部で上部キャップ部材と連結されていることから、冷蔵庫の組立工程に於いて、蓋部材でヒンジ孔を塞ぐ工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は冷蔵庫を前方から見た斜視図であり、(B)は冷蔵庫の側面断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉を、前方から見た分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱扉を、後方から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は断熱扉の右端部分およびヒンジ機構を後方上側から見た斜視図であり、(B)は断熱扉とヒンジ機構とを離した場合を後方上側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、(A)は上部キャップ部材の右端部分を後方下側から見た斜視図であり、(B)はヒンジ孔および蓋部材を後方下側から見た斜視図であり、(C)は(A)の切断面線A-Aに於ける断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、(A)は上部キャップ部材を後方下側から見た斜視図であり、(B)は(A)の切断面線B-Bに於ける断面図であり、(C)はヒンジ孔を蓋部材で閉鎖した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、断熱扉を構成する各部材を離間した状態で前方から示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の製造方法を示す図であり、断熱扉の内部に断熱発泡材を充填する工程を前方から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た場合を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。
【0018】
図1を参照して、冷蔵庫10の概略構成を説明する。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を前側左方側から見た斜視図であり、
図1(B)は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10の概略構造を示す側方断面図である。
【0019】
図1(A)に示すように、冷蔵庫10は、本体としての断熱箱体11を備え、この断熱箱体11の内部に食品等を貯蔵する貯蔵室が形成されている。また、貯蔵室として、上段から、冷凍室15(
図1(B)参照)および冷蔵室16(
図1(B)参照)が形成されている。
【0020】
断熱箱体11の各貯蔵室の前面は開口し、上記開口には、断熱扉17および断熱扉18が開閉自在に設けられている。断熱扉17は、前方から見て右端の上下端部が回動自在に断熱箱体11により支持され、冷凍室15の開口を前方から開閉自在に塞ぐ扉である。同様に、断熱扉18は、前方から見て右端の上下端部が回動自在に断熱箱体11により支持され、冷蔵室16の開口を前方から開閉自在に塞ぐ扉である。
【0021】
図1(B)に示すように、冷蔵庫10の本体である断熱箱体11は、前面が開口する鋼板製の外箱12と、この外箱12の内部に間隙を持たせて配設され、前面が開口する合成樹脂製の内箱13と、を有する。外箱12と内箱13との間隙には、発泡ポリウレタン製の断熱材14が充填発泡されている。尚、冷凍室15および冷蔵室16を塞ぐ断熱扉17および断熱扉18も、断熱箱体11と同様に、断熱構造を有している。
【0022】
冷凍室15と、その下段に位置する冷蔵室16とは、断熱仕切壁23によって仕切られている。断熱仕切壁23も、上記した断熱箱体11と同様に、断熱構造を有している。
【0023】
内箱13の内部であって冷凍室15の後方には、合成樹脂板等からなる仕切壁29で区画された冷却室19が形成されている。冷却室19の内部には、冷蔵庫10内を循環する空気を冷却するための蒸発器である冷却器21が配設されている。冷却器21は、圧縮機22、放熱器(図示せず)及びキャピラリーチューブ(図示せず)に、冷媒配管(図示せず)を介して接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル回路を構成するものである。冷却器21で冷却された冷気が、送風機20で冷凍室15および冷蔵室16に送風されることで、冷凍室15は冷凍温度帯域に冷却され、冷蔵室16は冷蔵温度帯域に冷却される。
【0024】
図2および
図3を参照して、上記した冷蔵庫10に取り付けられる断熱扉17の構成を説明する。
図2は断熱扉17を前方上方から見た場合の分解斜視図であり、
図3は、断熱扉17を後方上方から見た場合の分解斜視図である。
【0025】
図2および
図3に示すように、断熱扉18は、外側板材26と、外側板材26に後方から組み付けられる内側板材25と、内側板材25の庫内側の面に枠状に取り付けられるガスケット24と、内側板材25および外側板材26に下方から組み込まれる下部キャップ部材28と、内側板材25および外側板材26に上方から組み込まれる上部キャップ部材27と、を有している。
【0026】
外側板材26は、例えば、鋼板製の板材であり、断熱扉18の外観意匠面を形成している。また、外側板材26の左右方向両端部は、後方に向かって略曲折されることで、断熱扉18の側面部を構成している。
【0027】
内側板材25は、射出成形された合成樹脂から成り、断熱扉17の内側面を構成している。
図3に示すように、内側板材25の内部には、飲料容器などを収納することができる収納容器43が取り付けられている。
【0028】
下部キャップ部材28は、射出成形された合成樹脂から成り、外側板材26および内側板材25で形成される内部空間を下方から密閉している。即ち、下部キャップ部材28は、断熱扉18の下面を構成している。
【0029】
上部キャップ部材27は、射出成形された合成樹脂から成り、外側板材26および内側板材25で形成される内部空間を上方から密閉している。即ち、上部キャップ部材27は、断熱扉18の上面を構成している。
【0030】
図2を再び参照して、上記した構成の断熱扉17の上方右端部は、ヒンジ機構32を介して、天板部材37に回転可能に取り付けられている。また、断熱扉17の下方右端部は、ここでは図示しないヒンジ機構を介して、
図1に示した断熱箱体11に回転可能に取り付けられている。
【0031】
ここで、図示はしていないが、内側板材25、外側板材26、上部キャップ部材27、下部キャップ部材28で囲まれる内部空間には、例えば発泡ウレタンから成る断熱材が充填されている。
【0032】
図4を参照して、上部キャップ部材27とヒンジ機構32との関連構成を説明する。
図4(A)は、上部キャップ部材27の右端部とヒンジ機構32とを後側上方から見た斜視図である。
図4(B)は、上部キャップ部材27とヒンジ機構32とを離した状態を後側上方から見た斜視図である。
【0033】
図4(A)を参照して、上部キャップ部材27の右端部には、後面を前方に向かって窪ませた凹状の収納部30が形成されている。収納部30は、ヒンジ機構32の前方部分を収納することができる容積を有している。更に、収納部30は、略直方体形状に形成されている。
【0034】
図4(B)を参照して、ヒンジ機構32は、ヒンジ板33と、ヒンジシャフト34と、ネジ38と、を有する。ヒンジ機構32は、断熱扉17の上方右端部分を、
図1に示した断熱箱体11に、回転可能に取り付けるための機構である。
【0035】
ヒンジ板33は、例えば、厚さが2mmから3mm程度の鋼板から成る。ヒンジ板33を上方から見た場合、ヒンジ機構32の前方部分は右方に向かって湾曲している。
【0036】
ヒンジシャフト34は、ヒンジ板33の前方右方側の端部において、ヒンジ板33の下面に配設された鋼棒から成る。ヒンジシャフト34の外径は、上部キャップ部材27のヒンジ孔31の内径と同程度とされている。
【0037】
ネジ38は、ヒンジ板33の後方側の左右両端部において、ヒンジ板33を下方から貫通している。
【0038】
ヒンジ機構32のヒンジシャフト34は、上部キャップ部材27の収納部30の内部に形成されたヒンジ孔31に、回転可能な状態で挿入される。また、ネジ38は、
図2に示した天板部材37の下面に挿入される。係る構成により、ヒンジ板33は、
図1に示した断熱箱体11に固定される。
【0039】
断熱扉17が
図1に示した冷凍室15を閉鎖する状況に於いて、ヒンジ機構32の前方部分は、上部キャップ部材27の収納部30に収納される。係る構成により、ヒンジ機構32が冷蔵庫10の外観に現れず、冷蔵庫10全体の外観意匠性を向上することができる。
【0040】
図5を参照して、上部キャップ部材27の構成を詳述する。
図5(A)は上部キャップ部材27の右端部を下側後方から見た斜視図であり、
図5(B)はヒンジ孔31および蓋部材35を下側後方から見た斜視図である。
図5(C)は、
図5(A)の切断面線A-Aに於ける断面図である。
【0041】
図5(A)を参照して、収納部30の下面を、下方に向かって円筒状に突出させることでヒンジ孔31が形成されている。ヒンジ孔31の下端には、連結部36を介して蓋部材35が連続している。蓋部材35は、ヒンジ孔31の左方側に形成されている。
【0042】
図5(B)を参照して、ヒンジ孔31は円筒形状を呈しているので、ヒンジ孔31の下端に形成される開口部40は円形に形成されている。
【0043】
蓋部材35は、全体として略円盤形状を呈している。蓋部材35の下面中央部を下方に向かって扁平円柱状に突出させることで、突出部39が形成されている。ここで、ヒンジ孔31の開口部40の直径L10と、蓋部材35の突出部39の直径L11は、略同一とされている。
【0044】
ヒンジ孔31の下端と蓋部材35とは、連結部36で連結されている。連結部36は、蓋部材35よりも薄く形成されている。
【0045】
図5(C)を参照して、ヒンジ孔31の下端に形成された開口部40は、蓋部材35で覆われている。具体的には、蓋部材35の突出部39が、開口部40に隙間無く嵌め込まれることで、蓋部材35はヒンジ孔31の開口部40を塞いでいる。また、ヒンジ孔31の開口部40を蓋部材35で塞ぐ状態に於いても、ヒンジ孔31と蓋部材35とは、曲折状態の連結部36で連続している。
【0046】
本実施形態に於いては、上部キャップ部材27とヒンジ孔31とを一体の樹脂成形体とすることで、従来に於いて使用されていたヒンジカラーを排除することができる。これにより、断熱扉17を構成する部品点数を削減することができる。
【0047】
更に、ヒンジ孔31の開口部40を、合成樹脂から成る蓋部材35で塞いでいるので、ヒンジ孔31の開口部40を確実に閉鎖することができる。よって、後述する、断熱扉17の内部に断熱材42を発泡充填する工程に於いて、ヒンジ孔31を経由して断熱材42が断熱扉17の外部に漏出してしまうことを防止することができる。
【0048】
また、
図5(A)に示したように、ヒンジ孔31の左方側に連結部36を介して蓋部材35が連続している。即ち、金型を用いた射出成形で、上部キャップ部材27本体、ヒンジ孔31および蓋部材35を一括して製造することができる。よって、
図4(B)に示したヒンジシャフト34を挿入するためのヒンジ孔31、および、ヒンジ孔31の開口を塞ぐための蓋部材35を、別々に用意する必要が無いので、製造コストを低減することができる。
【0049】
更にまた、ヒンジ孔31と蓋部材35とは、薄い連結部36を介して連結されている。連結部36が薄く形成されていることで、
図5(C)に示すように、連結部36を容易に曲折させることで、ヒンジ孔31の開口部40を蓋部材35で塞ぐことができる。
【0050】
図6から
図8を参照して、冷蔵庫10の製造方法を説明する。本実施形態に係る冷蔵庫10の製造方法は、内部空間41を有する断熱扉17を組み立てる工程と、断熱扉17の内部空間41に断熱材42を発泡充填する工程と、断熱扉17を断熱箱体11に回転可能に組み込む工程と、を具備している。
【0051】
図6を参照して、先ず、断熱扉17の一部分を構成する上部キャップ部材27を用意する。
図6(A)は上部キャップ部材27を下方後側から見た斜視図である。
図6(B)は、
図6(A)の切断面線B-Bに於ける断面図である。
図6(C)は
図6(A)の切断面線B-Bに於ける断面図であり、蓋部材35でヒンジ孔31を蓋部材35で塞いだ状況を示している。
【0052】
図6(A)を参照して、上部キャップ部材27は左右方向に細長く形成された長尺部材であり、射出成形により形成された合成樹脂から成る。上部キャップ部材27の右端側の後面を、前方に向かって窪ませることで、収納部30が形成されている。また、収納部30の下方部分には、略円筒形状のヒンジ孔31が形成されている。
【0053】
図6(B)を参照して、ヒンジ孔31の下端側方には、薄い連結部36を介して、円板状の蓋部材35が連続している。また、蓋部材35の下面には、扁平円柱状の突出部39が形成されている。連結部36を支点として、蓋部材35を紙面上で時計回りに回転させることで、ヒンジ孔31の開口部40を蓋部材35で塞ぐ。ここでは、蓋部材35を回転させる方向を矢印で示している。
【0054】
図6(C)を参照して、蓋部材35の突出部39を、ヒンジ孔31の開口部40に挿入嵌合することで、ヒンジ孔31を連結部36で隙間無く塞いでいる。
【0055】
図7を参照して、次に、断熱扉17を構成する各部材を組み合わせる。
図7は、断熱扉17を構成する各部材を前方から見た分解図である。
【0056】
具体的には、内側板材25と外側板材26とを組み合わせることで、その内部に内部空間41を形成する。また、内側板材25および外側板材26の上端開口を、上部キャップ部材27で塞ぐ。更に、内側板材25および外側板材26の下端開口を、下部キャップ部材28で塞ぐ。断熱扉17を構成する各部材どうしの接合は、接着、ネジ等による締結、嵌め込み等を採用することができる。
【0057】
図8を参照して、次に、断熱扉17の内部空間41に断熱材42を発泡充填する。
図8は、本工程における断熱扉17を前方から見た図である。
【0058】
本工程では、断熱扉17の内部空間41に注入法により発泡ウレタンを充填する。具体的には、例えばウレタンフォームを構成する原液を内部空間41に注入する。その後、内部空間41で、その原液を発泡および硬化させることで、内部空間41の全域に断熱材42を充填する。
【0059】
上記工程により、断熱扉17が製造される。その後、断熱扉17は、
図4(B)に示したヒンジ機構32を介して、
図1に示した断熱箱体11に回転可能に取り付けられる。具体的には、
図4(B)に示した、ヒンジ機構32のヒンジシャフト34を、上部キャップ部材27のヒンジ孔31に挿入する。更に、断熱箱体11には、断熱扉18等の他の部材も取り付けられる。このような工程を経て、
図1に示す冷蔵庫10が製造される。
【0060】
本実施の形態に係る冷蔵庫の製造方法によれば、
図6(C)に示したように、合成樹脂から成る蓋部材35でヒンジ孔31の開口部40を塞ぐことで、開口部40を強固に閉鎖することができる。よって、
図8に示した断熱材42を充填工程において、断熱材42がヒンジ孔31を経由して断熱扉17の外部に漏出することを防止することができる。
【0061】
また、
図6(B)を参照して、蓋部材35は、上部キャップ部材27の本体部と一体に成形されることから、ヒンジ孔31の閉鎖のために別部材を用意する必要が無く、製造コストを低減することができる。
【0062】
更に、
図6(B)を参照して、ヒンジ孔31の下端と蓋部材35とは、連結部36を介して連続しているので、製造工程の途中段階で、蓋部材35が紛失することがない。よって、冷蔵庫の生産工程を効率化することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 外箱
13 内箱
14 断熱材
15 冷凍室
16 冷蔵室
17 断熱扉
18 断熱扉
19 冷却室
20 送風機
21 冷却器
22 圧縮機
23 断熱仕切壁
24 ガスケット
25 内側板材
26 外側板材
27 上部キャップ部材
28 下部キャップ部材
29 仕切壁
30 収納部
31 ヒンジ孔
32 ヒンジ機構
33 ヒンジ板
34 ヒンジシャフト
35 蓋部材
36 連結部
37 天板部材
38 ネジ
39 突出部
40 開口部
41 内部空間
42 断熱材
43 収納容器