(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】路面設置型蓄光性表示板及び同製造方法
(51)【国際特許分類】
E01F 9/559 20160101AFI20221124BHJP
E01F 9/512 20160101ALI20221124BHJP
G09F 7/06 20060101ALI20221124BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
E01F9/559
E01F9/512
G09F7/06 G
G09F13/20 D
(21)【出願番号】P 2018190319
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】508361690
【氏名又は名称】株式会社イージーサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078497(JP,A)
【文献】特開2016-014765(JP,A)
【文献】特開2014-134081(JP,A)
【文献】特開2007-126927(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137425(JP,U)
【文献】特開2001-054533(JP,A)
【文献】特開2008-069627(JP,A)
【文献】登録実用新案第3010807(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/559
E01F 9/512
G09F 7/06
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板と、
ベース板の周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンと、
周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックと、
周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックと、
からなる
路面設置型蓄光性表示板であって、
ずれ防止ピンの頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位であるように構成されており、
ずれ防止ピンの頂上部が丸みを帯びた形状をしている、路面設置型蓄光性表示板。
【請求項2】
表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板と、
ベース板の周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンと、
周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックと、
周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックと、
からなる
路面設置型蓄光性表示板であって、
蓄光性蛍光体ブロックの上面とずれ防止ピンの頂上部が面一に構成されており、
蓄光性蛍光体ブロックの底面と側面の角部が丸みを帯びた形状をしている、路面設置型蓄光性表示板。
【請求項3】
ずれ防止ピンの頂上部の位置は、非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である請求項1又は請求項2に記載の路面設置型蓄光性表示板。
【請求項4】
蓄光性蛍光体ブロックは、母材がプラスティックである請求項1から請求項3のいずれか一に記載の路面設置型蓄光性表示板。
【請求項5】
非蓄光性蛍光体ブロックは、母材がプラスティックである請求項1から請求項4のいずれか一に記載の路面設置型蓄光性表示板。
【請求項6】
表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板であって周壁で囲まれた領域に突出する複数の
ずれ防止ピンであって、頂上部が丸みを帯びた形状をしているずれ防止ピンを有するベース板を準備するベース板準備工程と、
前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む蓄光性蛍光体ブロックはめ込む
工程であって、ずれ防止ピンの頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位であるようにはめ込む工程である蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、
前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む非蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、
からなる路面設置型蓄光性表示板の製造方法。
【請求項7】
表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板であって周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンを有するベース板を準備するベース板準備工程と、
前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する
蓄光性蛍光体ブロックであって、底面と側面の角部が丸みを帯びた形状をしている蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む
工程であって、蓄光性蛍光体ブロックの上面とずれ防止ピンの頂上部が面一になるようにはめ込む工程である蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、
前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む非蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、
からなる路面設置型蓄光性表示板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面や床面などに設置して使用する蓄光性表示板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
路面や床面などに設置して使用する蓄光性表示板(以下「路面設置型蓄光性表示板」という。)に関しては、壁面や天井面などに設置して使用するものとは異なり、その上を歩行者や車両などが通行することにより摩耗し、案内表示の内容を認識することが困難になるという問題がある。
【0003】
蓄光性表示板を含む安全標識の耐摩耗性能については、日本工業規格で試験方法及び性能基準が定められている。具体的には、日本工業規格「安全標識-性能の分類、性能基準及び試験方法」(JIS Z 9170)及び同規格が引用する日本工業規格「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第10節:耐摩耗性(試験片往復法)」(JIS K 5600-5-10)において、試験方法として「静止した回転輪の外周に取り付けられた研磨紙(シリコンカーバイド紙のP180級が推奨される)に対して、蓄光材の試験片を600回の往復運動によって摩擦させた後、試験片の摩耗原料を対照見本と目視検査で比較する」ことが定められ、その結果「構造材及びデザイン要素に、凹凸、はがれ、割れ、ひび、破れ、チョーキング、ゆがみ、大きなかききず、変退色などの目立つ変化があってはならない。」という性能基準が定められている(これら規格は、そのほか試験装置、試験条件等についても詳細に規定している)。したがって、路面設置型蓄光性表示板についても、上記の耐摩耗性能試験の結果性能基準を満たすことが求められている。
【0004】
特許文献1には、路面等に設置される発光ブロックを用いた誘導装置であって、樹脂モルタル等の複合材に発光体をその発光面が表面に現れるように埋設して発光ブロックを形成し、これを用いて誘導場所の方向を案内するようにしたものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている誘導装置は、横ずれを防止することへの配慮がなされておらず、その上を車両や歩行者が通行することにより発光ブロックの複合体と発光ブロックに横ずれを生じ、発光体に凹凸、はがれ、割れ等が生じてしまうおそれがある。このため、発光機能が阻害され、看者が案内表示の内容を理解できないおそれを回避することが困難である。
【0007】
本発明は以上のような問題点に鑑みたものである。即ち、本発明の解決すべき課題は、歩行者や車両などが通行することにより摩擦力(特に、特に日本工業規格で定める耐摩耗性能試験における摩擦力)が加わっても、横ずれや摩耗により案内表示部分の形状や模様が損なわれることがなく、案内表示の内容を認識し続けることができる路面設置型蓄光性表示板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、本発明のうち、第一の発明は、表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板と、ベース板の周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンと、周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックと、周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態であり、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックとからなる路面設置型蓄光性表示板を提供する。
【0009】
また、第二の発明は、第一の発明を基礎として、ずれ防止ピンの頂上部の位置は、蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である路面設置型蓄光性表示板を提供する。
【0010】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明を基礎として、ずれ防止ピンの頂上部の位置は、非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である路面設置型蓄光性表示板を提供する。
【0011】
また、第四の発明は、第一から第三のいずれか一の発明を基礎として、蓄光性蛍光体ブロックは、母材がプラスティックである路面設置型蓄光性表示板を提供する。
【0012】
また、第五の発明は、第一から第四のいずれか一の発明を基礎として、非蓄光性蛍光体ブロックは、母材がプラスティックである路面設置型蓄光性表示板を提供する。
【0013】
また、第六の発明は、表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板であって周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンを有するベース板を準備するベース板準備工程と、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、後記非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、前記ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、前記蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む非蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と、からなる路面設置型蓄光性表示板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、歩行者や車両などが通行することにより摩擦力(特に、特に日本工業規格で定める耐摩耗性能試験における摩擦力)が加わっても、横ずれや摩耗により案内表示部分の形状や模様が損なわれることがなく、案内表示の内容を認識し続けることができる路面設置型蓄光性表示板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の路面設置型蓄光性表示板の構成の一例について示す図
【
図2】実施例1の路面設置型蓄光性表示板の蛍光体ブロックの形状の一例を示す斜視図
【
図3】挿通穴とずれ防止ピンの形状の関係の一例を示す図挿通穴とずれ防止ピンの形状の関係の一例を示す図
【
図4】実施例1の路面設置型蓄光性表示板の製造方法の一例を示すフロー図
【
図5】実施例2におけるずれ防止ピンの構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0016】
0100 路面設置型蓄光性表示板
0110 ベース板
0111 周壁
0120 ずれ防止ピン
0130 蓄光性蛍光体ブロック
0140 非蓄光性蛍光体ブロック
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施例1は主に請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7などに関し、実施例2は主に請求項1などに関し、実施例3は主に請求項3などに関する。なお、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【実施例1】
【0018】
<概要>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板は、表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板と、ベース板の周壁で囲まれた領域(以下、単に「領域」ということがある。)に突出する複数のずれ防止ピンと、その囲まれた領域に密接してはめ込まれた状態の蓄光性蛍光体ブロック及び非蓄光性蛍光体ブロック(以下、両者をまとめて「蛍光体ブロック」ということがある。)を有するものである。蛍光体ブロックには挿通する穴(以下「挿通穴」ということがある。)が設けられ、この挿通穴に防止ピンに挿通させて蛍光体ブロックを上記の領域にはめ込むようにしている。さらに蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックを互いに密接した状態ではめ込むようにしている。このような構成により、蛍光体ブロックが横ずれしにくく、案内表示部分の形状や模様が変化してしまい表示内容の認識が困難になることがないようにした点に本発明の特徴がある。また、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックを互いに密接した状態で領域にぴったりとはめ込むことで、万一これら蛍光体ブロックが摩耗した場合でも、同じ表示内容がいわば組み飴(金太郎飴(登録商標))のように現れ続けるため、視認性を損なうことがないようにした点にも本発明の特徴がある。
【0019】
<構成>
(全般)
図1は、本実施例の路面設置型蓄光性表示板の構成の一例について示す図である。このうち(a)は路面設置型蓄光性表示板の平面図であり、(b)は(a)のX-X線断面図である。
図1(a)に示すように、本実施例の路面設置型蓄光性表示板0100は、ベース板0110と、ずれ防止ピン0120と、蓄光性蛍光体ブロック0130と、非蓄光性蛍光体ブロック0140とを有する。
【0020】
(ベース板)
ベース板は、蓄光性及び非蓄光性の蛍光体ブロックを載置し、支持するための板状の部材であり、表面が周壁0111で囲まれたお盆状の形状を有する。表面に周壁を設けることで、部材の強度を増すとともに、載置された蛍光体ブロックが表面上から横にずれて逸脱することがないようにしている。
【0021】
ベース板の材料は、車両や歩行者に踏まれても変形したり損傷したりすることがない程度の強度を有するものであることが求められる。また、加工しやすい材料であることが望ましい。かかる観点から、例えば、ステンレス、銅合金、チタン合金、セラミックス、繊維強化セラミックス、ガラス強化セラミックス、炭素繊維複合体、炭素繊維強化プラスティック等の硬い材料のものが好適である。また、ベース板の形状や寸法は、案内の内容や設置場所などに照らして適切に設計されるべき事項であるが、例えば、非常口の方向・位置を案内するための表示板の場合、平面形状が縦100~300mm程度、横100~300mm程度の正方形又は長方形のもので、高さが5mm程度のものが考えられる。
図1に示したものもこのような案内内容の例であり、寸法としては縦100mm×横300mm×高さ5mmのものを想定したものである。なお、周壁部分に歩行者がつまずいたり、物が当たって損傷したりすることがないように、周壁が外側に向かって傾斜面を有する形状としてもよい。
図1に示したものもこのような形状を有する例である。
【0022】
(ずれ防止ピン)
ずれ防止ピン0120は、ベース板の周壁で囲まれた領域に設けられる突出する複数のピン状の部材である(煩雑を避けるため左上の2個にのみ符号を付したが、本図の例では全部で435(=29×15)個の円筒形状のずれ防止ピンが設けられている。)。後述のように蛍光体ブロックには挿通穴が設けられ、防止ピンをこの挿通穴に通す形で、蛍光体ブロックをベース板の周壁で囲まれた領域に配置固定する。即ち、ずれ防止ピンは、蛍光体ブロックがベース板上で横ずれしないようにする役目を有する。
【0023】
防止ピンの材料も、ベース板と同様の観点から、ステンレス、銅合金、チタン合金、セラミックス、繊維強化セラミックス、ガラス強化セラミックス、炭素繊維複合体、炭素繊維強化プラスティック等の硬い材料のものが好適である。防止ピンの形状、寸法、設置数(あるいは設置間隔)は、ベース板の寸法、形状や蛍光体ブロックの挿通穴の寸法、形状との整合などに照らして適切に設計されるべき事柄であるが、例えば、
図1(a)に示したようなベース板の形状、寸法やずれ防止ピンの形状、個数の場合、防止ピンの直径が2.5~4.0mm程度、設置間隔が4.0~2.5mm程度、より好適には防止ピンの直径が約3.0mmであり、設置間隔が3.5mm程度のものが考えられる。なお、ピンに対して加えられる力は360度あらゆる方向から加えられることを想定しなければならないので、断面は円形であることが好ましい。ただし、一方通行である場所など、ある特定の方向からの力が優先的であると考えられる場合には、その方向のピンの表面積が他の方向のピンの表面積よりも大きくなるように設計することができる。例えば楕円状にして長径側の面の方向を力を受けやすい方向にすることが考えられる。
【0024】
また、ずれ防止ピンは、その頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロック及び非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位であることが望ましい。かかる例については別の実施例にて後述する。
【0025】
ずれ防止ピンはベース板と一体に成形されたものであってもよく、このような構造のものは、例えば溶かした金属材料を鋳型に流し込んで鋳造することで得ることができる。また、鍛造加工によってずれ防止ピンを形成することができる。鍛造加工の場合にはピン形成予定側を表とすると、表側からピン部分を凹とした型によって鍛造する場合と、裏側からピン部分を凸とする型によって鍛造する場合とがあり得る。前者の方がピンの鍛造精度は高いので好ましい。
【0026】
なお、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックが接する周縁付近では、相対的に横ずれが生じやすいことから、この部分にずれ防止ピンをより密集して配置するようにしてもよい。
【0027】
(蓄光性蛍光体ブロック)
(蓄光性蛍光体ブロック:全般)
蓄光性蛍光体ブロックは、蓄光材料を含み、ベース板の周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態で保持されているブロック状の部材であり、ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有する。ここで「人に情報を伝えるための形」とは、例えば災害時における避難誘導場所や方向など、表示板の看者に対して一定の案内内容についての情報を伝えるための形状を言い、
図1の例では、非常口の場所や方向に関する案内を表示するためのピクトグラム及び図形が示されている。
【0028】
蓄光材料としては、例えばアルミン酸ストロンチウム原料(アルミン酸ストロンチウムを母結晶とし、これにケイ素、リン、カルシウム、セリウム、ユーロピウム、ディスプロシウムなどを添加したもの)が用いられる。
【0029】
蓄光性蛍光体ブロックの母材の材料に特に限定はなく、ゴムなどの天然樹脂や、プラスティック(本発明においては、合成樹脂を意味する)のほか、天然樹脂やプラスティックを母材とする複合材料であってもよく、この場合、これらの母材にナイロン繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の強化材料を加えたものであってもよい(母材がプラステッィクであるものについては後述参照)。
【0030】
また、蓄光性蛍光体ブロックは、次に説明する非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接した状態で配置される。蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックが互いに周縁で密接する形でベース板の周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態とは、当該領域に蛍光体ブロックが隙間なく配置されている状態を意味する。「互いに周縁で密接」とは、例えば
図1(a)の例でも示しているように、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックの周縁のうち、互いに接している部分の形状が対応しており、互いの周縁間に隙間が生じないようになっているという意味である。同様に、蓄光性蛍光体ブロックと周壁とが接する部分や非蓄光性蛍光体ブロックと周壁とが接する部分も互いに密接した状態、すなわち蛍光体ブロックと周壁の間に隙間が生じない状態となっている。
【0031】
このように、(1)ベース板の周壁で囲まれた領域に蛍光体ブロックが隙間なく配置され、かつ、(2)蛍光体ブロックに設けられている挿通穴にずれ防止ピンが挿通されていることで、蛍光体ブロックがベース板の周壁で囲まれた領域内において横ずれすることなく配置位置が完全に固定された状態を保つことができる。なお、温度変化があった場合でも蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックの周縁の密接状態をより好適に保つため、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックは熱膨張率が同じであることが望ましく、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックの材料は同一ないしは近似の熱膨張物性を有していると、この点で有利である。
【0032】
また、蓄光性蛍光体ブロックは、できるだけすべての側面が上面に対して垂直であり、したがってあらゆる水平断面が同一に現れるものであることが望ましい。このように構成することで、蓄光性蛍光体ブロックが摩耗しても、いわば組み飴のように、常に同じ形状、模様が現れ、もって案内表示の内容が変化することなく常に同じように認識できるようにすることが可能となる。
【0033】
図2は、本実施例の路面設置型蓄光性表示板の蛍光体ブロックの形状の一例を示す斜視図であり、(a)は、このようにすべての側面が上面に対して垂直である蓄光性蛍光体ブロック0230の形状の一例を示している。
【0034】
また、蓄光性蛍光体ブロックは、できるだけ均質な構成、即ち、ブロック内に蓄光材料ができるだけ均一に分布しているように構成されていることが望ましい。このような蓄光性蛍光体ブロックは、例えば、液体樹脂などのバインダーに蓄光粉末を投入して静置し、蓄光粉末が完全に沈殿した状態で当該樹脂を硬化して得られたものから、蓄光粉末の沈殿部分だけを用いて成形することで得ることができる。このように構成することで、蓄光性蛍光体ブロックが摩耗しても、常に同じ輝度で発光するようにすることができるので、次に述べる非蓄光性蛍光体ブロックを均質なものとする構成と相まって、看者にとって、常に同じ状態で表示内容を認識することが可能となる。
【0035】
(蓄光性蛍光体ブロック:母材がプラスティックである構成)
蓄光性蛍光体ブロックの材料については、すでに述べたとおりであるが、特に、母材がプラスティックであるものは、蓄光性蛍光体ブロックの構成として好適である。これは、プラスティックが軽量で様々な形状への加工が容易であり、製造コストも安いといった長所があるためである。具体的なプラスティック材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが考えられる。強度の観点からはフェノール樹脂やフェノール樹脂複合体が適している。透明性の観点からはアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂が適している。従って蓄光性蛍光体ブロックの母材としてはアクリル樹脂やポリカーボネイト樹脂が適している。後述するが、非蓄光性蛍光体ブロックについてはフェノール樹脂又はフェノール樹脂複合体で構成することが考えられる。特に、屋外の路面で使用する表示板の場合には、耐候性に優れたポリカーボネイト樹脂などが好適である。なお、プラスティックは、比較的強度が弱いという短所があるため、上述のようにガラス繊維、炭素繊維などを加えた繊維強化プラステッィクなどを用いてもよい。
【0036】
(蓄光性蛍光体ブロック:挿通穴)
既述のように、蓄光性蛍光体ブロックにはずれ防止ピンを挿通する穴が設けられるが、その寸法、位置は、ずれ防止ピンの寸法、位置に対応したものとなるように設計される。挿通穴の寸法は、横ずれ防止の観点から、ずれ防止ピンがぴったりと嵌る大きさであることが望ましい。例えば
図1、
図2に示すような円筒形状のずれ防止ピン及び挿通穴の場合であれば、ずれ防止ピンの外径と挿通穴の内径がほぼ同一の寸法(防止ピンがぴったりと嵌るのに必要最小限の長さだけ挿通穴の内径の方が長い)であることが望ましい。具体的な寸法の一例は、例えば、
図1を用いて説明したずれ防止ピンの寸法例に対応して、挿通穴の内径が1.0~3.0mm程度、より好適には約2.0mmのものが考えられる。また、挿通穴の位置は、ベース板の周壁で囲まれた領域に蛍光体ブロックを配置したときにずれ防止ピンの位置に重なる位置になるように設計される。
【0037】
その際、
図2にも現れているように、挿通穴の中には、その一部0201が蓄光性蛍光体ブロックの周縁部と重なり、これと接する非蓄光性蛍光体ブロックの周縁部に設けられる挿通穴の一部0202と合わさることで完全な挿通穴が形成されるようになっていてもよい。
【0038】
なお、蓄光性蛍光体ブロックの挿通穴とずれ防止ピンの形状の関係については、はめ込み作業の容易性の観点から、少なくとも一方の形状が丸みを帯びていてもよい。
図3は、挿通穴とずれ防止ピンの形状の関係の一例を示す図であり、
図1(b)と同様の断面形状を示したものである。このうち(a)は、ずれ防止ピン0320の頂上部0321が丸みを帯びた形状の例、(b)は蓄光性蛍光体ブロック0330の底面と側面の角部0331が丸みを帯びた形状の例を示す。蓄光性蛍光体ブロックの上面とずれ防止ピンの頂上部が面一に構成されている場合には、ずれ防止ピンの頂上部が丸みを帯びた形状とすると、参考として示した(c)のように挿通穴に生じた窪みに埃等がたまるおそれがあることから、(b)のように構成することが望ましい。一方、別の実施例で後述するずれ防止ピンの頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である構成の場合には、歩行の際の安全などに配慮して(a)のように構成することが望ましい。以上の点は、非蓄光性蛍光体ブロックの挿通穴とずれ防止ピンの形状の関係についても同様である。
【0039】
(非蓄光性蛍光体ブロック)
(非蓄光性蛍光体ブロック:全般)
非蓄光性蛍光体ブロックは、周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態で保持されているブロック状の部材であり、ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有する。「人に情報を伝えるための形」の意味は、蓄光性蛍光体ブロックについて上述したところと同様であり、蓄光性蛍光体ブロックとの組み合わせやコントラストによって表示板の看者に対して一定の案内内容についての情報を伝えるものである。
【0040】
非蓄光性蛍光体ブロックの材料にも特に限定はなく、すでに述べた蓄光性蛍光体ブロックと同様、例えば天然樹脂、プラスティックや、これらに強化材料を加えたものが用いられる。具体的には、蓄光性蛍光体ブロックほどには透明性に対する強い要請はないことから、強度の点をより優先して例えばフェノール樹脂又はフェノール樹脂複合体で構成することが考えられる。
【0041】
また、非蓄光性蛍光体ブロックは、既述のように蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接するように配置される。「蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックが互いに周縁で密接する形でベース板の周壁で囲まれた領域にはめ込まれている状態」の意味については、蓄光性蛍光体ブロックについての説明中で述べたとおりである。また、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックは熱膨張率が同じであることが望ましく、蓄光性蛍光体ブロックと非蓄光性蛍光体ブロックの材料は同一ないしは近似の熱膨張物性を有しているとこの点で有利であることは、既に述べたとおりである。
【0042】
また、非蓄光性蛍光体ブロックは、できるだけすべての側面が上面に対して垂直であり、したがってあらゆる水平断面が同一に現れるものであることが望ましい。その理由は、蓄光性蛍光体ブロックについて述べたところと同様である。
図2(b)は、このようにすべての側面が上面に対して垂直である非蓄光性蛍光体ブロック0240の形状の一例を示している。
【0043】
(非蓄光性蛍光体ブロック:母材がプラスティックである構成)
非蓄光性蛍光体ブロックの材料については、すでに述べたとおりであるが、特に、母材がプラスティックであるものは、非蓄光性蛍光体ブロックの構成としても好適である。その理由や具体的な材料の例は、蓄光性蛍光体ブロックについて述べたところと同様である。
【0044】
(非蓄光性蛍光体ブロック:挿通穴)
非蓄光性蛍光体ブロックにもずれ防止ピンを挿通する穴が設けられるが、その寸法、位置がずれ防止ピンの寸法、位置に対応したものとなるように設計されることは、蓄光性蛍光体ブロックについて述べたところと同様である。
【0045】
(その他:非蓄光性蛍光体ブロックに代えて非発光体ブロックを有する構成)
なお、本発明の構成とは異なるが、上述の非蓄光性蛍光体ブロックに代えて、非発光物質からなるブロック(以下、「非発光体ブロック」という。)を有する構成も考えられる。即ち、ブロックが横ずれしにくく、案内表示部分の形状や模様が変化してしまい表示内容の認識が困難になることがないようにするという特徴については、非蓄光性蛍光体ブロックと非発光体ブロックとでその効果に違いが生じることはない。また、蛍光体ブロックが摩耗した場合でも、いわば組み飴のように蛍光体が同じ表示内容を表し続けることで、視認性を損なうことがないようにするという特徴についても、非蓄光性蛍光体ブロックに代えて非発光体ブロックを用いたた場合でも、蓄光性蛍光体ブロックとの組合せやコントラストによって表示内容を表し、ブロックが摩耗しても同じ表示内容を維持できるようにすることは可能である。ただし、この場合、夜間において非発光体ブロックと周壁の境界が視認しづらいため、この境界の形状が表示内容の認識にとって重要な場合には、かかる構成は不向きである。
【0046】
非発光体ブロックの材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などのプラスティックが考えられる。そのほか、非発光体ブロックの具体的な構成は、蛍光材料を含まない点を除き、上で非蓄光性蛍光体ブロックについて述べたところと同様である。次に述べる製造方法においても同様である。
【0047】
<製造方法>
(全般)
次に、本実施例の路面設置型蓄光性表示板の製造方法について説明する。
【0048】
図4は、本実施例の路面設置型蓄光性表示板の製造方法の一例を示すフロー図である。以下、同図を参照して説明する。
【0049】
(ベース板準備工程)
まず、ベース板準備工程S0401における処理を行う。この工程は、表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板であって周壁で囲まれた領域に突出する複数のずれ防止ピンを有するベース板を準備する工程である。表面が周壁で囲まれたお盆状のベース板は、例えばステンレス、アルミニウムなどの金属製の平板をプレス加工することにより、あるいは溶かした金属材料を鋳型に流し込んで硬化することにより得ることができる。なお、防止ピンは、後からベース板に溶接などにより取り付けてもよいし、プレス加工や鋳造の際にベース板と一体成形してもよい。いずれの方法も大量生産が可能であり、大規模災害時における路面設置型蓄光性表示板の重要性が近年改めて認識され、その設置ニーズが高まっていることに照らせば、いずれの方法も本実施例の路面設置型蓄光性表示板の製造方法として好適なものである。
【0050】
(蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程)
次に、蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程S0402における処理を行う。この工程は、ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、非蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む工程である。蓄光性蛍光体ブロックは、予め製造したものを準備しておけばよい。
【0051】
蓄光性蛍光体ブロックの製造方法としては、例えば、液体樹脂などのバインダーに蓄光粉末を投入して静置し、蓄光粉末が完全に沈殿した状態で当該樹脂を硬化して得られたものから、蓄光粉末の沈殿部分だけを用いて成形する方法を用いることができる。さらに、液体樹脂を収容する容器を蓄光性蛍光体ブロックの完成時の形状に合わせたものとし、また、蓄光粉末が完全に沈殿し、樹脂が硬化したときに蓄光粉末が均一に分布した状態となるようにあらかじめ液体樹脂及び蓄光粉末の量を調整しておけば、硬化したものを容器から取り出しそのまま本実施例における蓄光性蛍光体ブロックと用いることができる。かかる方法も大量生産を行う上で好適なものである。
【0052】
(非蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程)
次に、蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程S0403における処理を行う。この工程は、ずれ防止ピンを挿通する穴を有して人に情報を伝えるための形を有し、蓄光性蛍光体ブロックと周縁で密接する蓄光性蛍光体でない非蓄光性蛍光体ブロックを準備されたベース板にはめ込む工程である。非蓄光性蛍光体ブロックは、予め製造したものを準備しておけばよい。なお、前述の蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程と本工程は、逆順に処理されてもよく、あるいは同時に処理されてもよい。
【0053】
非蓄光性蛍光体ブロックの製造方法としては、例えば、上述した蓄光性蛍光体ブロックの製造方法と同様に液体樹脂及び非蓄光性蛍光体ブロックの形状に合わせた容器を用いて鋳造すればよい。したがって、非蓄光性蛍光体ブロックについても蓄光性蛍光体ブロックと同様大量生産をすることができる。
【0054】
以上のように、蓄光性蛍光体ブロックはめ込み工程及び本工程を用いることで、本実施例の路面設置型蓄光性表示板を製造するためには、単に蓄光性蛍光体ブロック及び非蓄光性蛍光体ブロックをあらかじめ準備したベース板にはめ込むだけでよく、しかも、これらをはめ込む位置を、ベース板の周壁、ずれ防止ピン及び蛍光体ブロックに設けられた挿通穴の位置によって位置決めをしておくことができるので、誰でも簡単に路面設置型蓄光性表示板を製造することができ、さらに設置の現場においてこの製造を行い、あるいは蓄光性蛍光体ブロックを交換することも可能となる。
【0055】
<効果>
本実施例の発明によれば、歩行者や車両などが通行することにより摩擦力(特に、日本工業規格で定める耐摩耗性能試験における摩擦力)が加わっても、横ずれや摩耗により案内表示部分の形状や模様が損なわれることがなく、案内表示の内容を認識し続けることができる路面設置型蓄光性表示板を提供することが可能となる。また、このような路面設置型蓄光性表示板を簡単に製造することができる。
【実施例2】
【0056】
<概要>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板は、ずれ防止ピンの頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である点に特徴を有するものである。
【0057】
<構成>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板の構成は、基本的に実施例1の路面設置型蓄光性表示板と共通する。ただし、本実施例の路面設置型蓄光性表示板は、実施例1の構成に加え、ずれ防止ピンの頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位であるように構成されている点に特徴を有する。以下、本実施例のずれ防止ピンの構成について説明する。その余の構成は実施例1で説明したところと同様であるので、説明を省略する。
【0058】
(ずれ防止ピン:頂上部の位置が蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である構成)
図5は、本実施例におけるずれ防止ピンの構成の一例を示す図であり、
図1(b)と同様の断面図で示したものである。本図に示すように、本実施例のずれ防止ピン0520の頂上部0521の位置は、蓄光性蛍光体ブロック0530の最上面0531よりも高位であるように構成されている。
【0059】
このように構成することで、車両の車輪や歩行者の足が直接蓄光性蛍光体ブロックに触れることがないようにすることができるので、蓄光性蛍光体ブロックが摩耗する可能性をより減らすことができ、また、物が蓄光性蛍光体ブロックにぶつかってこれを損傷するおそれを減らすことができる。
【0060】
さらに、このように構成することで、ずれ防止ピンが滑り止めの役目を果たし、歩行者の転倒などを防ぐことができる。
【0061】
ずれ防止ピンの頂上部の位置を蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりもどの程度高位にするかは、車両の車輪や歩行者の足が直接蓄光性蛍光体ブロックに触れることがなく、かつこれらの車両の通行や歩行者の歩行を妨げることがないように適切に設計される。一例として、前出の
図1に示した表示板で想定されている縦100mm×横300mmのものの場合、ずれ防止ピンの頂上部の位置を蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも1~5mm程度、より好適には3mm程度高位であるものが考えられる。なお、本実施例においては、防止ピンの形状、寸法(直径など)、設置数(あるいは設置間隔)についても、実施例1で挙げた考慮要素に加え、車両の車輪や歩行者の足が直接蓄光性蛍光体ブロックに触れることがなく、かつこれらの車両の通行や歩行者の歩行を妨げることがないようするといった点を考慮して設計される。具体的なずれ防止ピンの寸法、設置数(あるいは設置間隔)は実施例1で述べたところと基本的に同様である。なお、ずれ防止ピンの頂上部の形状は、歩行の際の安全などに配慮して丸みを帯びていることが望ましい。その具体的形状の一例は、前出の
図3(a)に示したとおりである。
【0062】
<製造方法>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板も、実施例1で説明した製造方法と同様の方法で製造することが可能である。その際、蛍光体ブロックの挿通穴にずれ防止ピンを挿通させる形で蛍光体ブロックをベース板の領域にはめ込んだときにずれ防止ピ頂上部分が所定の長さだけ突出するようにあらかじめ蛍光体ブロックの高さ及びずれ防止ピンの長さを設計しておくことで、実施例1の表示板と同様に、簡単に製造、交換を行うことができるという効果を奏することができる。
【0063】
<効果>
本実施例の発明によれば、横ずれや摩耗により蓄光性蛍光体ブロックの案内表示部分の形状や模様が損なわれることがなく、案内表示の内容を認識し続けることができるという効果をさらに確実にすることができるとともに、ずれ防止ピンが滑り止めの役目を果たし、歩行者の転倒などを防ぐことができる。
【実施例3】
【0064】
<概要>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板は、ずれ防止ピンの頂上部の位置が非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である点に特徴を有するものである。
【0065】
<構成>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板の構成は、基本的に実施例1又は実施例2の路面設置型蓄光性表示板と共通する。ただし、本実施例の路面設置型蓄光性表示板は、実施例1又は実施例2の構成に加え、ずれ防止ピンの頂上部の位置が非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位であるように構成されている点に特徴を有する。以下、本実施例のずれ防止ピンの構成について説明する。その余の構成は実施例1、実施例2で説明したところと同様であるので、説明を省略する。
【0066】
(ずれ防止ピン:頂上部の位置が非蓄光性蛍光体ブロックの最上面よりも高位である構成)
【0067】
前出の
図5において示すように、本実施例のずれ防止ピン0520の頂上部0521の位置は、非蓄光性蛍光体ブロック0540の最上面0541よりも高位であるように構成されている。
【0068】
このように構成することの効果は、実施例2におけるずれ防止ピンの構成について述べたところと同様である。
【0069】
<製造方法>
本実施例の路面設置型蓄光性表示板も、実施例1、実施例2で説明した製造方法と同様の方法で製造することが可能であり、実施例1、実施例2の表示板と同様に、簡単に製造、交換を行うことができるという効果を奏することができる。
【0070】
<効果>
本実施例の発明によれば、横ずれや摩耗により蓄光性蛍光体ブロックの案内表示部分の形状や模様が損なわれることがなく、案内表示の内容を認識し続けることができるという効果をさらに確実にすることができるとともに、ずれ防止ピンが滑り止めの役目を果たし、歩行者の転倒などを防ぐことができる。