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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】格納コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/06 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
B65D19/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018218981
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020083366
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-162551(JP,A)
【文献】特開2007-099325(JP,A)
【文献】特開2008-114883(JP,A)
【文献】実開平01-032331(JP,U)
【文献】実開昭51-022941(JP,U)
【文献】特開2000-043867(JP,A)
【文献】特開2002-029542(JP,A)
【文献】特開2001-270524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/00-19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形環状に形成された上端部フレームを有する金属製のメッシュパレットの上に載設される格納コンテナであって、
中空をなす前の板材、後の板材、及び、左右の板材により構成されこれら各板材間に形成される稜線部に金属製のフレーム材を設けたスリーブと、このスリーブの下部を閉塞する下のパレットと、この下のパレットに装着された脚と、前記スリーブの上部を閉塞し得る蓋体とを備えたものであり、
前記下のパレットが、平面視略矩形状をなす底壁と、この底壁の周縁から上方に延設された外側壁とを備えたものであり、
前記蓋体が、前記下のパレットと同一形状をなし当該下のパレットの姿勢から水平軸まわりに180度回転させた姿勢のものであり、
前記脚が、前後方向に延びたブロック状をなし左右に対をなして配された左右の側脚部材を備えたものであり、これら左右の側脚部材は止着具を介して前記下のパレットに対して取り付けられるものであり、
前記左右の側部材の底面に、前記上端部フレームの左右両側部が配設され得る少なくとも下方に開放した凹部を備えたものであり、
前記凹部を前記上端部フレームに係り合わせた状態で前記メッシュパレット上に載設可能に構成されている格納コンテナ。
【請求項2】
前記スリーブにおける上の開口縁及び下の開口縁がそれぞれ金属製のフレーム材により補強されたものである請求項1記載の格納コンテナ。
【請求項3】
前記中空をなす前の板材、後の板材、及び、左右の板材が、それぞれプラスチック中空板である請求項1又は2記載の格納コンテナ。
【請求項4】
前記プラスチック中空板が、一枚ないし二枚のシート材を凹凸形状に成形してなる中間シートと、この中間シートを挟むように設けられた二枚の表層シートとによって構成されたものである請求項3記載の格納コンテナ。
【請求項5】
前記凹部が、前記上端部フレームを配設し得る底面視略直線状の部分を有したものである請求項1、2、3又は4記載の格納コンテナ。
【請求項6】
前記凹部が、前記上端部フレームの角部分を配設し得る底面視略L字状の部分を有したものである請求項1、2、3、4又は5記載の格納コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の物品を収容可能な格納コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の再利用が各業界で進むに伴い、資源の回収・保管用容器のニーズが拡大してきている。従来から工場や倉庫等において種々の物品の回収・保管用容器として使用される金属製のメッシュパレットが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
メッシュパレットは金属製のものであるため丈夫で壊れにくいという点で好適なものであるが、金属製であるが故に一定の重量があるため、移動する際や段重ねを行う際の作業者の負担が大きいものとなっている。
【0004】
また、メッシュパレットにおける底壁や周壁は、基本的に網状をなしているため、内部に収容された物品が底壁や周壁の網目から外部に出てしまったり、雨天等により内部に収容された物品が濡れてしまったりするということが問題になる場合がある。かかる問題に対処する場合には、底壁や周壁にボードやパネル等の板状部材を組み付けなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】”第一合成株式会社ウェブサイト”、〔online〕、〔平成30年10月19日検索〕、インターネット(URL:http://www.daiichigosei.co.jp/archives/products/mesh-palette-box-palette)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、軽量化を実現し易く、一定の強度を有しつつ既存のメッシュパレットに対する段重ねも無理なく実現可能な格納コンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、矩形環状に形成された上端部フレームを有する金属製のメッシュパレットの上に載設される格納コンテナであって、中空をなす前の板材、後の板材、及び、左右の板材により構成されこれら各板材間に形成される稜線部に金属製のフレーム材を設けたスリーブと、このスリーブの下部を閉塞する下のパレットと、この下のパレットに装着された脚と、前記スリーブの上部を閉塞し得る蓋体とを備えたものであり、前記下のパレットが、平面視略矩形状をなす底壁と、この底壁の周縁から上方に延設された外側壁とを備えたものであり、前記蓋体が、前記下のパレットと同一形状をなし当該下のパレットの姿勢から水平軸まわりに180度回転させた姿勢のものであり、前記脚が、前後方向に延びたブロック状をなし左右に対をなして配された左右の側脚部材を備えたものであり、これら左右の側脚部材は止着具を介して前記下のパレットに対して取り付けられるものであり、前記左右の側部材の底面に、前記上端部フレームの左右両側部が配設され得る少なくとも下方に開放した凹部を備えたものであり、前記凹部を前記上端部フレームに係り合わせた状態で前記メッシュパレット上に載設可能に構成されている格納コンテナである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記スリーブにおける上の開口縁及び下の開口縁がそれぞれ金属製のフレーム材により補強されたものである請求項1記載の格納コンテナである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記中空をなす前の板材、後の板材、及び、左右の板材が、それぞれプラスチック中空板である請求項1又は2記載の格納コンテナである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記プラスチック中空板が、一枚ないし二枚のシート材を凹凸形状に成形してなる中間シートと、この中間シートを挟むように設けられた二枚の表層シートとによって構成されたものである請求項3記載の格納コンテナである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記凹部が、前記メッシュパレットにおける上端部フレームを配設し得る底面視略直線状の部分を有したものである請求項1、2、3又は4記載の格納コンテナである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記凹部が、前記メッシュパレットにおける上端部フレームの角部分を配設し得る底面視略L字状の部分を有したものである請求項1、2、3、4又は5記載の格納コンテナである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、軽量化を実現し易く、一定の強度を有しつつ既存のメッシュパレットに対する段重ねも無理なく実現可能な格納コンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示す正面図。
図2】同実施形態における分解斜視図。
図3】同実施形態における斜視図。
図4】同実施形態における分解正面図。
図5】同実施形態における下のパレット及び脚の正面図。
図6】同実施形態における下のパレット及び脚の概略底面図。
図7】同実施形態における下のパレット及び脚の概略外側面図。
図8】同実施形態における脚の概略斜視図。
図9】板材の一例を示す概略的な端面図。
図10】板材の一例を示す概略的な端面図。
図11】他の実施形態を示す下のパレット及び脚の正面図。
図12】同実施形態における下のパレット及び脚の概略底面図。
図13】同実施形態における脚の概略斜視図。
図14】他の同実施形態における下のパレット及び脚の概略底面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図1~8を参照して説明する。なお、図9図10に示すものは、スリーブ1の板材11、12、13として適用されるプラスチック中空板Pを例示したものである。また、図11~14は、他の実施形態を示している。図1~14の各図に示したものは、あくまでも本発明の実施形態を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形され得るものであることは言うまでもない。
【0018】
この実施形態は、本発明を、種々の物品を収容し得る格納コンテナAに適用したものである。格納コンテナAは、既存のメッシュパレットBの上に安定した姿勢で段積み可能に構成されている。
【0019】
格納コンテナAは、プラスチック中空板Pである前の板材11、後の板材12、及び、左右の板材13を有したスリーブ1を備えている。スリーブ1は、各板材11、12、13の側端部間すなわち前の板材11と左右の板材13との間、及び、後の板材12と左右の板材13との間に形成される稜線部に、上下方向に延びた金属製のフレーム材たる稜線部フレーム材14を設けている。
【0020】
また、格納コンテナAは、スリーブ1の下部を閉塞する下のパレット2と、下のパレット2に装着された脚3と、スリーブ1の上部を閉塞し得る蓋体4を備えている。
【0021】
格納コンテナAは、既知の構成をなす金属製のメッシュパレットBの上に安定した状態つまりメッシュパレットBに対してずれ動き難い状態で載設され得るように構成されている。
【0022】
メッシュパレットBは、比較的細径をなす金属フレームを用いて網状に作られた前後の網壁51、52、及び、左右の網壁53を有してなる四角筒状の周壁5と、周壁5の下部を閉塞する底網壁6と、底網壁6の角部に設けられた支持脚7を有してなる既知の構成のものである。メッシュパレットBにおいて矩形環状に形成された上端部フレームFすなわち周壁5の上縁部は、種々の物品を収容し得る内部空間と外部空間とを連通し得る開口縁を構成したものとなっている。
【0023】
本実施形態における格納コンテナAは、脚3の底面に、メッシュパレットBの上端部フレームFが配設され得る形態をなし下方に開放した凹部H、Jを備えている。格納コンテナAは、人力やフォークリフト等の搬送手段により搬送されるものである。そして、格納コンテナAの脚3に設けた凹部H、JをメッシュパレットBの上端部フレームFに係り合わせることにより、当該格納コンテナAをメッシュパレットBに対してずれ動かないように位置決めすることができるようになっている。
【0024】
以下、格納コンテナAの各構成について詳述する。
【0025】
スリーブ1は、全体として上下に開放された四角筒状に構成されている。スリーブ1は、前の板材11と、前の板材11と平行に配された後の板材12と、前の板材11、及び、後の板材12の側端縁間に配された左右の板材13と、各板材11、12、13の側端縁間に介在し各板材11、12、13同士を連結する金属製の稜線部フレーム材14とを備えている。
【0026】
前の板材11、後の板材12、及び、左右の板材13は、それぞれ中空をなしたものである。この実施形態の各板材11、12、13は、合成樹脂製のプラスチック中空板Pを適用したものとなっている。
【0027】
プラスチック中空板Pは、例えば図9において一例を示すように、一枚のシート材を凹凸形状に成形してなる中間シート81と、当該中間シート81を挟むように設けられた二枚の表層シート82とによって構成されたものである。また、プラスチック中空板Pは、例えば図10において一例を示すように、二枚の中間シート81を積層してなる中間シート積層体83と、当該中間シート積層体83を挟むように設けられた二枚の表層シート82とによって構成されたものである。
【0028】
稜線部フレーム材14は、上下方向に延びてなる金属製(例えば、アルミ製)のものである。稜線部フレーム材14は、スリーブ1における四つの稜線部たるコーナー部分に位置しスリーブ1全体の剛性を高める役割を担う。稜線部フレーム材14は、四角筒状をなすスリーブ1の四つ角に設けられるものである。稜線部フレーム材14は、各板材11、12、13間に介設され、各板材11、12、13同士を連結する役割を担っている。
【0029】
なお、稜線部フレーム材14と各板材11、12、13とは適宜の方法で連結されるものである。例えば、稜線部フレーム材14に内嵌した各板材11、12、13の端部を、リベット等の止着部を使用して稜線部フレーム材14に固定することにより、稜線部フレーム材14と各板材11、12、13とを連結する態様が挙げられる。
【0030】
スリーブ1における上の開口縁eu及び下の開口縁esは、それぞれ金属製(例えば、アルミ製やスチール製)のフレーム材たる水平フレーム材15により補強されている。水平フレーム材15は、各板材11、12、13の上端縁及び下端縁に外嵌し得る略コ字状の形状をなしている。水平フレーム材15は、図4に示すように、止着具であるリベットv1により各板材11、12、13に取り付けられている。
【0031】
以上の構成をなすスリーブ1は、その下端縁が下のパレット2の周縁部に設けられた図示しないスリーブ受溝と係り合い、下のパレット2に保持されるようになっている。
【0032】
下のパレット2は、スリーブ1における下開口部分を閉塞する閉塞部材の役割を担っている。下のパレット2は、例えば、ブロー成形により作られたものである。この実施形態では、下のパレット2は、蓋体4と互いに同一の形状をなしている。下のパレット2は、平面視略矩形状をなす底壁21と、底壁21の周縁から上方に延設された外側壁22とを備えたものである。
【0033】
底壁21の内面には、スリーブ1の下端縁を支持するための図示しないスリーブ受溝が形成されている。スリーブ1と下のパレット2とは、種々の方法で連結されるが例えば図示しないロック機構により着脱可能に連結することも可能である。
【0034】
脚3は、合成樹脂製のものである。脚3は、下のパレット2の下面に取り付けられるブロック状のものである。この実施形態では、脚3は、正面視において、左右に対をなして配された左右の側脚部材31と、左右の側脚部材31間に配された中間脚部材32とを備えてなるものである。
【0035】
脚3の底面すなわち左右の側脚部材31及び中間脚部材32の底面には、メッシュパレットBの上端部フレームFが配設され得る下方に開放した凹部H、Jを備えている。しかして、格納コンテナAは、左右の側脚部材31及び中間脚部材32に設けられた凹部H、JをメッシュパレットBにおける上端部フレームFに係り合わせた状態で当該メッシュパレットB上に載設可能に構成されている。
【0036】
左右の側脚部材31と中間脚部材32は、下のパレット2に互いに間隔を空けて取り付けられている。そして、左右の側脚部材31と中間脚部材32との間には、フォークリフトのフォークが通過し得る空間spが形成されている。
【0037】
左右の側脚部材31は、前後方向に延びたブロック状のものである。左右の側脚部材31は、下方に開放された凹部Hを有するベース部31aと、ベース部31aの上に前後方向に間隔を空けて突設されたパレット接続部31bとを備えている。左の側脚部材31と右の側脚部材31とは対称形状をなしている。
【0038】
ベース部31aは、底面視においてコ字状をなす凹部Hが設けられている。すなわち、ベース部31aに設けられた凹部Hは、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状の部分h1を有したものであるとともに、メッシュパレットBにおける上端部フレームFの角部分Fcを配設し得る底面視略L字状の部分を有したものであり、全体としてコ字状をなしている。
【0039】
パレット接続部31bは、下のパレット2の下面に添接する上向面m1と、上向面m1の略中央部に穿設され連結部材v2の先端部が挿入される挿入孔n1を有している。
【0040】
下のパレット2と左右の側脚部材31とは、例えば、止着具を介して連結される。より具体的な一例を挙げれば、下のパレット2と左右の側脚部材31とは、下のパレット2の底壁21に配した連結部材挿入孔21aに挿通された止着具たる連結部材を、パレット接続部31bの挿入孔n1に挿入した状態で回転溶着(スピンウェルド)することにより、相互に連結されるものとなっている。なお、下のパレット2と脚3(左右の側脚部材31や中間脚部材32)とを連結する方法や連結に使用される止着具は種々適用し得るものである。例えば、止着具はねじやリベットであってもよい。
【0041】
中間脚部材32は、下方に開放された凹部Jを有するベース部32aと、このベース部32aの上に前後方向に間隔を空けて突設されたパレット接続部32bとを備えている。中間脚部材32のベース部32aに形成された凹部Jは、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状の部分j1を有したものとなっている。パレット接続部32bは、下のパレット2の下面に添接する上向面m2と、上向面m2の略中央部に穿設され連結部材v2の先端部が挿入される挿入孔n2を有している。
【0042】
蓋体4は、必要に応じてスリーブ1の開口部を閉塞し得るものである。蓋体4は、下のパレット2と互いに同一の形状をなしている。本実施形態では、下のパレット2と同一形状をなすものを下のパレット2の姿勢から水平軸まわりに180度回転させた姿勢のものを用いている。蓋体4は、天壁41と、天壁41の周縁から垂下した外側壁42とを備えている。
【0043】
なお、蓋体4は、雨水等を避ける必要がある場合にのみ適宜使用されるものであり、格納コンテナAにおいて必須の構成ではない。また、蓋体4は、下のパレット2と同一形状に構成したものでなくてもよいのはもちろんのことである。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る格納コンテナAは、中空をなす前の板材11、後の板材12、及び、左右の板材13により構成され各板材11、12、13間に形成される稜線部に金属製のフレーム材たる稜線部フレーム材14を設けたスリーブ1と、スリーブ1の下部を閉塞する下のパレット2と、下のパレット2に装着された脚3とを備えたものである。そして、脚3の底面に、金属により構成されたメッシュパレットBにおける上端部フレームFが配設され得る少なくとも下方に開放した凹部H、Jを備えたものであり、凹部H、JをメッシュパレットBにおける上端部フレームFに係り合わせた状態で当該メッシュパレットB上に載設可能に構成されている。
【0045】
このため、少なくとも、軽量化を実現し易く、一定の強度を有しつつ既存のメッシュパレットBに対する段重ねも無理なく実現可能な格納コンテナAを提供することができる。
【0046】
すなわち、各板材11、12、13は中空をなすものであるため格納コンテナA全体の軽量化に資するものとなっている。しかも、稜線部に金属製のフレーム材たる稜線部フレーム材14を設けているので格納コンテナA全体として一定の強度を確保し易いものとなっている。また、格納コンテナAは、脚3の底面に既存のメッシュパレットBにおける上端部フレームFに係わり合う凹部H、Jを設けているため、段重ねも好適に実施し得るものとなっている。
【0047】
スリーブ1における上の開口縁eu及び下の開口縁esがそれぞれ金属製のフレーム材たる水平フレーム材15により補強されたものである。このため、各板材11、12、13の周縁部は、水平フレーム材15及び稜線部フレーム材14により好適に補強され、格納コンテナA全体の強度の向上に資するものとなっている。
【0048】
中空をなす前の板材11、後の板材12、及び、左右の板材13が、それぞれプラスチック中空板Pである。このため、軽量且つ剛性に優れた素材を板材11、12、13として適用したものとなっている。しかも、板金製のものとは異なり、微細な寸法調整も行い易いものとなっているため仕様の多様化や製造の合理化に資するものとなっている。
【0049】
プラスチック中空板Pが、一枚ないし二枚のシート材を凹凸形状に成形してなる中間シート81と、中間シート81を挟むように設けられた二枚の表層シート82とによって構成されたものである。このため、プラスチック中空板Pにより作られた各板材11、12、13は、中空をなして軽量化に優れたものとなり、且つ、強度に優れたものとなり、軽量化された格納コンテナAの実現に寄与し得るものとなっている。
【0050】
凹部H、Jが、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状の部分h1、j1を有したものである。このため、メッシュパレットBに対する格納コンテナAの位置決めを好適に行い得るものとなっている。
【0051】
凹部Hが、メッシュパレットBにおける上端部フレームFの角部分Fcを配設し得る底面視略L字状の部分を有したものである。このため、格納コンテナAが、メッシュパレットBに対して殆どずれ動かない態様で段積みされ得るものとなっている。
【0052】
スリーブ1の上部を閉塞し得る蓋体4を備えている。このため、雨水等により収容された物品が濡れてしまわないよう好適に遮ることができるだけでなく収容された物品を外部から視認されないように覆い隠すことができるものとなっている。
【0053】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0054】
脚に設けた凹部の形態は種々設定可能であり、上述した実施形態に示したものに限定されるものではない。
【0055】
例えば、図11~13に示すようなものは、脚3における左右の側脚部材31にのみ、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状部分h1のみを有した凹部Hを備えている。このようなものであっても、メッシュパレットBの上端部フレームFにおける左右の開口縁Fsに凹部Hが係わり合うことになり、格納コンテナAをメッシュパレットBに対して好適に位置決めし得るものとなっている。また、この実施形態では、メッシュパレットBの上端部フレームFにおける前後の開口縁Fzが左右の側脚部材31及び中間脚部材32の外側に位置することになるので、格納コンテナAを搬送して当該格納コンテナAをメッシュパレットB上に位置決めし易いものとなっている。
【0056】
また、図14に示すようなものも考えられる。この実施形態のものでは、左右の側脚部材31に設けられた凹部Hは、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状の部分h1を有したものであるとともに、メッシュパレットBにおける上端部フレームFの角部分Fcを配設し得る底面視略L字状の部分h2を有したものであり、全体としてコ字状をなしている。また、中間脚部材32に設けられた凹部Jは、メッシュパレットBにおける上端部フレームFを配設し得る底面視略直線状の部分j1を有したものとなっている。左右の側脚部材31における凹部Hの前端部及び後端部に位置する直線状部分、及び、中間脚部材32の前端部及び後端部に配された凹部Jは、それぞれ下方に開放されたものであるとともに外側方にも開放された形状をなしている。このため、図14に示す実施形態のものであれば、格納コンテナAを搬送してメッシュパレットB上に位置決めし易いものとなっているだけでなく、中間脚部材32もメッシュパレットBと係り合い荷重を受け止める機能を好適に発揮し得るものとなる。
【0057】
その他、本発明の各構成は種々の形態を採り得るものである。
【0058】
スリーブは、板材間に形成される稜線部に金属製のフレーム材を設けたものであればよい。つまり、金属製のフレーム材は、板材間に介在したものに限られるものではない。例えば、板材により形成された角部分の外面に金属製のフレーム材を添着させたものであってもよい。より具体的な例を挙げれば、プラスチック中空板等を用いて四角筒状に形成されたスリーブ本体における四箇所の角部分の外面や内面に、平面視ないし断面視L字状をなす金属製のフレーム材を添着させたものであってもよい。
【0059】
金属製のフレーム材は、種々の構成のものを適用することができるものである。例えば、板材の両端部に金属製のフレーム材構成要素を止着させたものであってもよい。このようなものであれば、一方の板材に設けたフレーム材構成要素を他の板材に設けたフレーム材構成要素に係合させることにより、一方及び他方の板材同士を剛性に優れたフレーム材構成要素を利用して連結することができるものとなる。
【0060】
脚に設けられた凹部は、メッシュパレットの上端部フレームが配設され得るように少なくとも下方に開放したものであればよい。換言すれば、凹部は、メッシュパレットの上端部フレームと係合し得る凹みをなしたものであればよく、外側方に開放されたものであってもよい。また、凹部は連続的に設けられているものでなくてもよく、間欠的に設けられたものであってもよい。
【0061】
脚の形態についても、上述したものに限られず、種々設定可能であることは言うまでもない。脚は、上述した実施形態のように側脚部材と中間脚部材とに分離したものでなくてもよく、フォークリフトにより搬送され得る好適な形態を有しているものであれば、左右の側脚部材のみを採用したものであってもよい。
【0062】
スリーブを構成する板材は、種々のものを適用することができる。例えば、板材として異形押出によるプラスチック段ボールを用いてもよい。
【0063】
また、板材の表面に、例えば、使用者名や収納される物品名や意匠性を高めるための模様等の表示物を印刷やステンシルや手書きによりを表示させてもよいのはもちろんのことである。ここで、印刷やステンシルによる表示物の表示を行う場合には、プラスチック中空板等の中空の軽量合成板を用いることが望ましい。すなわち、一定以上の厚みを有する異形押出によるプラスチック段ボールでは、表層の外面側に生ずるヒケ(凹み)が大きくなりやすい。このため、厚み寸法が大きいほど表面の平滑性が失われ、印刷やステンシルによる表示物がかすれたりにじんだりしやすく美観を損ねる原因になる。
【0064】
下のパレットは、完全に閉塞したものに限られず、外部に埃や水を排出し得るような連通孔を設けたものであってもよい。
【0065】
スリーブを構成する各板材の寸法、すなわち、前の板材、後の板材、及び、左右の板材の寸法を、下のパレットの寸法よりも小さく設定し、格納コンテナを使用しない場合等に、各板材を、下のパレットに収納させて(例えば、下のパレットの底壁と外側壁とによって形成される凹部内に収納させて)コンパクトな形態を採り得るようにしてもよい。より具体的な構成の一例としては、下のパレットの上に水平板状のベース板を設け、当該ベース板の周端縁と各板材の下端縁とを回転可能に接続したものが考えられる。この場合、各板材の下端縁近傍には、各板材の重なり合いを考慮して水平方向に配された複数のヒンジを上下方向に複数設けておくことが望ましい。
【0066】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0067】
A…格納コンテナ
B…メッシュパレット
F…上端部フレーム
H…凹部
J…凹部
1…スリーブ
2…下のパレット
3…脚
11…前の板材
12…後の板材
13…左右の板材
14…フレーム材
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