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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】眼科用レーザー装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20221124BHJP
   A61B 90/14 20160101ALI20221124BHJP
【FI】
A61F9/008 120E
A61B90/14
A61F9/008 140
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020191415
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080389
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520452552
【氏名又は名称】艾克夏醫療儀器股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】黄 承好
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-081792(JP,A)
【文献】特表2021-535762(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008323(WO,A1)
【文献】特開平01-232959(JP,A)
【文献】特表2017-527320(JP,A)
【文献】特表2011-526167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61B 90/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LASIK手術を行う眼科用レーザー装置であって、
レーザービームを生成するレーザー光源と、
前記レーザー光源から生成された前記レーザービームをガイドするライトガイド装置と、
眼の露出表面が水平面に対して垂直に保たれるように患者の頭部を支えるサポートブラケットと、
前記サポートブラケット上に支持された患者の眼の位置を決める位置決め装置と、
前記位置決め装置の位置決め結果に基づき、前記サポートブラケット上に支持された患者の眼に照準を合わせるために移動し、患者の眼に前記ライトガイド装置からの前記レーザービームを印加するレーザープロジェクタと、
前記位置決め装置および前記レーザープロジェクタが台上に設置され、前記位置決め装置および前記レーザープロジェクタを、それぞれ独立して、水平面で相互に直交するX方向、Y方向、および/または、水平面に垂直の方向であるZ方向に沿って移動させる移動台と、
前記レーザービームを発射するために前記レーザー光源を制御し、患者の眼に前記レーザービームを印加するために前記レーザープロジェクタを制御するコントローラと、
を備え
前記レーザープロジェクタは、更に、
患者の眼の位置を再度位置決めする眼追跡システムと、
前記眼追跡システムの再位置決め結果にもとづいて前記レーザープロジェクタの位置を微調整し、患者の眼に正確に照準を合わせる微調整装置と、
を含むことを特徴とする眼科用レーザー装置。
【請求項2】
前記コントローラは、更に前記眼追跡システムおよび前記微調整装置を制御し、前記微調整装置を前記眼追跡システムの前記再位置決め結果に基づいて前記レーザープロジェクタの位置を自動で微調整することを特徴とする請求項記載の眼科用レーザー装置。
【請求項3】
前記レーザー光源および前記コントローラが設置され、且つ地面上で移動可能な機台と、
前記機台と別々に設置され、前記サポートブラケット、前記移動台、前記位置決め装置、および前記レーザープロジェクタを卓上に設置し、且つ地面上で移動可能な操作台と、
を更に備え、
前記ライトガイド装置は、
前記機台に設置されたライトガイドモジュールと、
前記機台に設置された前記ライトガイドモジュール、および、前記操作台上に設置された前記レーザープロジェクタを接続するライトガイドアームと、
を含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項4】
前記位置決め装置は、前記レーザープロジェクタで患者の眼に照準を合わせると同時に、患者の眼の位置および前記レーザープロジェクタの位置を継続して位置決めすることを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項5】
前記サポートブラケットは、Z方向に沿って高さを調整することを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項6】
前記移動台は、手動で操作され、前記位置決め装置および前記レーザープロジェクタをX方向、Y方向および/またはZ方向に沿って移動させることを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項7】
前記位置決め装置はビデオカメラであることを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項8】
前記レーザープロジェクタを患者の眼の側に対面させて設置される集束レンズを更に備えることを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項9】
前記コントローラに接続されたユーザーインターフェイスと、
前記レーザー光源に前記レーザービームを発するように伝送するスイッチと、
を更に備え、
ユーザーは前記ユーザーインターフェイスを介して当該眼科用レーザー装置の操作パラメータを前記コントローラに入力し、当該眼科用レーザー装置の操作を監視し、
前記スイッチは、前記操作パラメータが前記コントローラに入力された後、ユーザーの操作に反応して前記レーザービームを発するコマンドを、前記コントローラを介して前記レーザー光源へ伝送し、前記レーザー光源から前記操作パラメータに基づいて前記レーザービームを発するようにすることを特徴とする請求項1記載の眼科用レーザー装置。
【請求項10】
前記スイッチは、足踏式スイッチであることを特徴とする請求項記載の眼科用レーザー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用レーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の構造において、およそ三分の二の光の屈折率は角膜前表面の曲率によって決定する。そのため角膜の形状を変更することによって、眼の光屈折異常を改善または解消できる。
角膜は多層構造の薄膜であり、その前表面および後表面は、ほとんど同心であり、中心の厚みが約0.5から0.6ミリメートルであり、辺縁の厚みは約0.6から0.8ミリメートルを有する。角膜の多層構造は前表面から後表面の順に上皮組織層(Epithelium)、ボーマン層(Bowman)、間質層(Stroma)、デスメ層(Descemet)、および内皮組織層(Endothelium)で構成される。上皮組織層の中心の厚みは約70μmであり、且つボーマン層の厚みは約12μmである。間質層の厚みは、角膜の厚み全体のおよそ90%(約500μm)を占め、且つ主に規則的に配列したコラーゲン繊維と相互連接した角膜細胞から構成される。内皮組織層は一層が六角形扁平細胞で構成される。
【0003】
上述で説明した角膜構造に依ると、角膜の間質層には十分な厚みがあるため、矯正を目的として、間質層の前部分を切除し、その輪郭を変更することができ、更に眼の光の屈折率を変えながら、同時に間質組織の大部分を残すことができる。
【0004】
各種のレーザーは例として緑内障、白内障、屈折手術等の眼科手術に広く応用されている。例えば、紫外線(UV)レーザーは屈折手術(または角膜再建術)で使用され、そのうち、紫外線レーザーの例には193nmのエキシマレーザー、ネオジウムヤグ(213nm)レーザー(Neodymium-Yttrium Aluminum Garnet; Nd-YAG laser)等が含まれる。具体的には、これら紫外線レーザーはPRK術、およびレーシック術(LASIK)等に広く応用されている。それらはどちらもレーザー光で角膜組織を削りその曲率を変更し、更に眼の光の屈折率(視力矯正)を変更する効果を達成する。
【0005】
現在、市場において、LASIK術を行うための眼科用レーザー装置はすべて類似の設計であり、それはすべて患者がいる手術台を移動させることによって患者の眼の視軸にレーザービームを合わせる。具体的には、患者はXYZ軸に沿い精密に移動する手術台上に横になる。その手術台によって角膜の表面に眼科用レーザー装置の顕微鏡の焦点が集まるまで患者(即ち、その角膜の表面)を移動させ、レーザービームの伝送ルートを設定する。眼科用レーザー装置において、レーザー光源を発射するホスト機器の体積はかなり巨大で異動が不便であるため、通常光学システムでレーザービームを伝送するには、レーザービームを光学システムの後にある顕微鏡の下方を経て下向きに方向転換させ、顕微鏡の光軸を揃える。この種の眼科用レーザー装置の使用過程は、患者の眼の視軸をレーザービームに合わせるため、患者を載せた手術台を動かし続けなければならず、このような状況において、手術台の体積も非常に大きく、操作者(例として医師または手術助手)は使用上の不便を感じやすい。
【0006】
他に、既知のレーザーを使用する眼科手術において、患者は先ず、一連の手術前の関連検査を座って受け、続いて手術台に移動し、横になって眼科手術を受ける。この状況において、患者の眼の各種パラメータは、座位と臥位ではわずかに異なる。例えば、眼球の座位と臥位下での回転角度は異なるため、非点収差が発生する。この種の差異の存在によって手術時の操作の精度が不足し、高精確度を必要とする手術に深刻な問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、患者が座位で眼科用レーザー装置からのレーザービームを受けてレーザー眼科手術を行うことができ、且つ眼科用レーザー装置と患者の眼の間の照準を合わせるために、眼科用レーザー装置を動かすことで実行でき、患者の位置を動かして眼科用レーザー装置に合わせる必要がない眼科用レーザー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が提供する眼科用レーザー装置は、LASIK手術を行う眼科用レーザー装置であって、レーザー光源と、ライトガイド装置と、サポートブラケットと、位置決め装置と、レーザープロジェクタと、移動台と、コントローラと、を備える。
レーザー光源は、レーザービームを生成する。
ライトガイド装置は、レーザー光源から生成されたレーザービームをガイドする。
サポートブラケットは、眼の露出表面が水平面に対して垂直に保たれるように患者の頭部を支える。
位置決め装置は、サポートブラケット上に支持された患者の眼の位置を決める。
レーザープロジェクタは、位置決め装置の位置決め結果に基づき、サポートブラケット上に支持された患者の眼に照準を合わせるために移動し、患者の眼にライトガイド装置からのレーザービームを印加する。
移動台は、位置決め装置およびレーザープロジェクタが台上に設置され、位置決め装置およびレーザープロジェクタを、それぞれ独立して、水平面で相互に直交するX方向、Y方向、および/または、水平面に垂直の方向であるZ方向に沿って移動させる。
コントローラは、レーザービームを発するためにレーザー光源を制御し、患者の眼にレーザービームを印加するためにレーザープロジェクタを制御する。
レーザープロジェクタは、更に、患者の眼の位置を再度位置決めする眼追跡システムと、眼追跡システムの再位置決め結果にもとづいてレーザープロジェクタの位置を微調整し、患者の眼に正確に照準を合わせる微調整装置と、を含む。
【0009】
本発明の眼科用レーザー装置によって、サポートブラケットは患者の眼の露出表面を水平面に対して垂直に保ち、患者は手術前の関連検査を座位で受けられることに加えて、レーザープロジェクタから印加するレーザービームを座位で受け、レーザー眼科手術を行うことができる。このようにして、手術前に関連手術を受ける時、およびレーザービームが印加されてレーザー眼科手術を行う時、患者の眼の状態に大きな差異はなく、レーザー眼科手術の操作が更に精密に行え、且つ正確度の高さを必要とする各種レーザー眼科手術に適用する。
【0010】
他に、本発明の眼科用レーザー装置において、患者の眼と眼科用レーザー装置の間の照準を合わせるのに、眼科用レーザー装置を移動することに拠って行い、眼科用レーザー装置に相対して患者の位置(即ち、患者が手術台に横になって移動させる必要がない)を移動させる必要がなく、発明の眼科用レーザー装置は操作が非常に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の眼科用レーザー装置の斜視図である。
図2】本発明の実施例の眼科用レーザー装置の平面図(図では一部の部材を省略)である。
図3】本発明にもとづく実施例で、眼科用レーザー装置のブロックダイアグラムである。
図4A】本発明にもとづく実施例で、眼科用レーザー装置の位置決め装置およびレーザープロジェクタを患者の眼に相対して移動させる動作を示す模式図一である。
図4B】本発明にもとづく実施例で、眼科用レーザー装置の位置決め装置およびレーザープロジェクタを患者の眼に相対して移動させる操作を示す模式図二である。
図5】本発明にもとづく実施例で、眼科用レーザー装置の使用状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(一実施形態)
図1から図3に示すのは、本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1である。図1は本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1の斜視図であり、図中のX方向とY方向は水平面で相互に直交する二方向であり、Z方向は水平面に対して垂直の方向である。図2は本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1の平面図(図では一部の部材を省略)であり、且つ図3は本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1のブロックダイアグラムである。
【0013】
本発明の眼科用レーザー装置1はレーザー光源2、ライトガイドモジュール30およびライトガイドアーム31を有するライトガイド装置3、サポートブラケット4、移動台7、移動台7上に設置する位置決め装置5とレーザープロジェクタ6およびコントローラ8を含む。
【0014】
レーザー光源2は、エキシマレーザービームのようなレーザービームLを生成するように配備され、このエキシマレーザービームによって、患者の眼EにLASIK手術のようなレーザー眼科手術を行う。
【0015】
ライトガイド装置3のライトガイドモジュール30およびライトガイドアーム31が共同で配備されることによってレーザー光源2から生成されたレーザービームをレーザープロジェクタ6へ導き、続いて患者の眼Eにむかって進むようにガイドされる。
【0016】
サポートブラケット4は、患者の眼Eの露出表面が水平面に対して垂直になり患者の頭部を支えるために設置される。言い換えると、図5に示すように、患者は座位でレーザープロジェクタ6からのレーザービームLによってレーザー眼科手術を受ける。良好なものとして、サポートブラケット4はZ方向に沿ってその高度を調整し、異なる患者のニーズに合致するように配置される。
【0017】
移動台7はX方向、Y方向および/またはZ方向に沿って移動する位置決め装置5およびレーザープロジェクタ6を設置するために配置される。
【0018】
移動台7によって、位置決め装置5が移動され、サポートブラケット4上に支えられている患者の眼E、例として患者の左眼または右眼の位置を定める。本発明の実施例では、位置決め装置5はビデオカメラであり、且つユーザーが移動台7を手動で操作することによってX方向、Y方向および/またはZ方向に沿って移動させるように配置されている。ただし、これに限らない。例として手術ごとに異なる正確さの要求度にもとづき、位置決め装置5は顕微鏡等でもよく、且つ移動台7は電動移動台でもよく、その電動移動台はコントローラの制御のもと、位置決め装置を電動で移動させる。
【0019】
同様に、位置決め装置5の位置決め結果にもとづき、移動台7を移動することで、レーザープロジェクタ6は、サポートブラケット4上で支えられている患者の眼E(例として、患者の左眼または右眼)に照準させることができる。この位置決めは、レーザープロジェクタ6の粗位置決めと呼ぶ。
【0020】
注意すべき点として、本発明の眼科用レーザー装置1において、レーザープロジェクタ6は眼追跡システム9および微調整装置10を含むのが良い。眼追跡システム9は患者の眼Eの位置を再位置決め(追跡)でき、且つ微調整装置10は眼追跡システム9の再位置決め結果に基づき、レーザープロジェクタ6の位置を微調整し、患者の眼Eに対する照準を更に正確にする。この位置決めはレーザープロジェクタ6細位置決めと呼ぶ。続いて、レーザープロジェクタ6を経てライトガイド装置3からのレーザービームLを患者の眼Eに印加し、レーザー眼科手術、例として、LASIK手術を行う。
【0021】
位置決め装置5およびレーザープロジェクタ6は患者の眼Eに相対して移動する。以下に詳述する。
【0022】
良好なものとして、発明の眼科用レーザー装置1は、更に集束レンズ20を含み、それはレーザープロジェクタ6の患者の眼Eに面する側に設置され、レーザープロジェクタ6によって患者の眼Eに向かって発射されるレーザービームLを患者の眼Eの目標位置に照準させる。
【0023】
コントローラ8は眼科用レーザー装置1の各部材を制御するために配置する。具体的には、コントローラ8はレーザー光源2を制御してレーザービームLを発射させ、レーザープロジェクタ6を制御してレーザービームLを患者の眼Eに印加する。
【0024】
このほか、眼科用レーザー装置1は更に機台100および操作台200を含む。レーザー光源2、ライトガイド装置3のライトガイドモジュール30、およびコントローラ8は機台100に設置され、且つサポートブラケット4、移動台7、および移動台7に設置された位置決め装置5とレーザープロジェクタ6は、操作台200上に設置される。ライトガイドアーム31は機台100のライトガイドモジュール30と操作台200上のレーザープロジェクタ6の間で接続する。言い換えると、機台100と操作台200は、ライトガイドアーム31(機台100のライトガイドモジュール30と操作台200のレーザープロジェクタ6が接続される)によって相互に接続される。
【0025】
眼科用レーザー装置1の位置を調整しやすくして操作者のニーズに更に合わせるため、機台100および操作台200はどちらも地面上で移動できるようにする。例として、機台100および操作台200にそれぞれ各自の車輪を設置することで、地面上で移動しやすくなる。他に、機台100の最大長さ(または幅)は僅か70センチメートルであるため、殆どのエレベータにスムーズに入れることができ、発明の眼科用レーザー装置1の運送に有利である。
【0026】
図4Aおよび図4Bは、本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1のうちの位置決め装置5およびレーザープロジェクタ6を患者の眼Eに相対して移動させる動作を示す模式図である。
【0027】
図4Aに示すとおり、患者の頭部(眼E)がサポートブラケット4上で支持された後、操作者は先ず、移動台7を操作して位置決め装置5を移動させることによって、サポートブラケット4上で支持された患者の眼E(例として、左眼または右眼)の位置を定める。続いて、位置決め装置5で患者の眼Eの位置を位置決めした後、位置決め装置5の位置決め結果に基づき、図4Bに示すとおり、操作者は移動台7を操作してレーザープロジェクタ6を患者の眼Eに照準させた位置(粗位置決めされた位置)に移動させる。レーザープロジェクタ6は移動台7の操作によって患者の眼Eに照準された位置に移動した後、レーザープロジェクタ6の眼追跡システム9が再度、患者の眼Eの位置を位置決めし、且つ眼追跡システム9の再位置決め結果に基づき、微調整装置10でレーザープロジェクタ6の位置を微調整し、患者の眼Eに更に照準を合わせる(細位置決め)。
【0028】
上述の粗位置決めと細位置決めを経た後、レーザープロジェクタ6と患者の眼Eは精密に照準され、この状況において、レーザープロジェクタ6から患者の眼EにレーザービームLを印加する。
【0029】
注意すべきこととして、レーザープロジェクタ6が位置決め装置5の位置決め結果に基づいて患者の眼Eと照準を合わせるために移動する過程において、位置決め装置5は患者の眼Eの位置およびレーザープロジェクタ6の位置を継続して位置決めする。
【0030】
更に図1および図3に示すとおり、発明の眼科用レーザー装置1は、更にコントローラ8と相互接続するユーザーインターフェイス300およびスイッチ400を含む。移動台7と、レーザープロジェクタ6の微調整装置10を操作してレーザープロジェクタ6を眼Eと精密に照準された位置に移動させた後、操作者はユーザーインターフェイス300で眼科用レーザー装置1の操作パラメータ(例としてレーザー眼科手術に必要な操作パラメータを実行)をコントローラ8に入力し、スイッチ400でコマンドを発する。そのコマンドがコントローラ8を通してレーザー光源2へ伝達し、レーザー光源2からユーザーインターフェイス300が入力した操作パラメータに基づき相互に対応したレーザービームLを発し、且つそのレーザービームLはライトガイドモジュール30、ライトガイドアーム31を経てレーザープロジェクタ6へ伝送し、続いて患者の眼Eに印加する。
【0031】
本発明にもとづく実施例において、図1に示すとおり、ユーザーインターフェイス300は、モニターおよびキーボードを含み、ユーザーによって操作パラメータを入力し眼科用レーザー装置1の操作、例としてレーザープロジェクタ6の粗位置決めおよび細位置決め結果等を監視するのに用いる。この他、図1に示すとおり、スイッチ400は足踏式スイッチが良く、ユーザーは移動台7を操作してレーザープロジェクタ6を患者の眼Eに移動させた後、足踏によりこの足踏式スイッチを操作してコマンドを発し、患者の眼Eに向けてレーザー光源2からライトガイドモジュール30、ライトガイドアーム31およびレーザープロジェクタ6を経由したレーザービームLを発する。しかしながら、本発明は上述タイプのユーザーインターフェイス300およびスイッチ400に制限されない。その他タイプのユーザーインターフェイスおよびスイッチでも使用することができ、上述の機能が達成できるのならば良いということを当領域に習熟する技術者は理解すべきである。
【0032】
図5に示すのは、本発明にもとづく実施例の眼科用レーザー装置1の使用状態を示す模式図である。図5においてはっきりとわかるとおり、患者の頭部は眼Eの露出表面が水平面(XY平面)に対して垂直になるように、サポートブラケット4上で支持される。且つレーザープロジェクタ6は位置決め装置5およびその本体の微調整装置10によって正確に患者の眼Eと照準が合う。この状況において、患者の眼Eはレーザープロジェクタ6からのレーザービームLを受けることができ、レーザー眼科手術が実施できる。言い換えると、図5に示すとおり、患者は座位状態でレーザー眼科手術を受ける。
【0033】
上述のとおり、本発明の眼科用レーザー装置1において、サポートブラケット4は患者の眼Eの露出表面を水平面(XY平面)で垂直に保つために配置される。即ち、患者は座位の状態を保つ。そのため、患者は手術前の関連検査を座位で受けられることに加え、更に座位でレーザープロジェクタ6から印加したレーザービームLを受け、レーザー眼科手術を実施できる。このような状態において、手術前に関連手術を受ける時、およびレーザービームが印加されてレーザー眼科手術を行う時、患者の眼の状態(例として、眼の回転角度等)に大きな差異はなく、レーザー眼科手術の操作を更に正確に実施できる。拠って、発明の眼科用レーザー装置1は更に正確な条件下でレーザー眼科手術が完成し、且つ各種の精密度の高いレーザー眼科手術に特に適用する。
【0034】
この他、本発明の上述の眼科用レーザー装置1において、患者の眼Eと眼科用レーザー装置1の間の照準は、眼科用レーザー装置1のレーザープロジェクタ6を移動することに拠って実施し、患者を眼科用レーザー装置1に合わせて移動させて照準を合わせるのではない。拠って操作者(即ち、医師または手術助手)は手術中、患者を載せた手術台を移動させる必要がなく、移動台7を操作してレーザープロジェクタ6を患者の眼Eと照準の合う位置へ移動させれば良い。故に、発明の眼科用レーザー装置1は操作上、便利に使用できる。
【0035】
その他、患者が座位または臥位でレーザー眼科手術を受けることについて、心理面での影響がある。具体的には、従来、患者は手術台で臥位で眼科手術を受けるため、心理的な圧迫があった。発明の眼科用レーザー装置1によって患者は眼の検査と同じ座位で眼科手術を受けることができることから、患者の心理的圧迫は小さくなった。言い換えると、発明の眼科用レーザー装置1によって、患者はリラックスした心理状態で、眼科手術を受けられる。
【0036】
本文において、表した実施例の図面は本発明を理解するために提供されたものである。言い換えると、図面は代表的なものであり、且つ元のサイズに比例して描かれたものではない。図面の中のある部材が拡大され、その他の部材が縮小されることはある。拠って、図面は例示したものであり、それに制限されない。
【0037】
上述実施例中において、図面とともに本発明の各種実施例を説明したが、上述実施例は本発明の良好な実施例に過ぎず、本発明は上文の描写および図式に示す特徴および構造に制限されることを意図しない。本発明の範囲から離れない状況において、本領域に習熟した者が考えた各種その他の省略、置換、変化および修正もまた、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 眼科用レーザー装置
2 レーザー光源
3 ライトガイド装置
4 サポートブラケット
5 位置決め装置
6 レーザープロジェクタ
7 移動台
8 コントローラ
9 眼追跡システム
10 微調整装置
20 集束レンズ
30 ライトガイドモジュール
31 ライトガイドアーム
100 機台
200 操作台
300 ユーザーインターフェイス
400 スイッチ
E 眼
L レーザービーム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5