(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】チューブ構成要素
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20221124BHJP
A61M 25/01 20060101ALI20221124BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20221124BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A61M25/00 620
A61M25/01 510
A61M25/06 550
A61M25/14 512
(21)【出願番号】P 2020516955
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2018064451
(87)【国際公開番号】W WO2018220170
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-31
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519428133
【氏名又は名称】ソフトレイル メディカル エイジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン ヴァイマルン-シェルリ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゲリグ,トーマス
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0040282(US,A1)
【文献】特表平05-503434(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0271363(US,A1)
【文献】特開平07-079909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/01
A61M 25/06
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチューブ構成要素端(11)と第2のチューブ構成要素端(12)とを具備し、長手方向寸法(13)が、前記第1および第2のチューブ構成要素端(11,12)の間に形成され、
チューブ構成要素(1)が、外壁(3)と内壁(4)を具備する鞘(2)を有し、前記鞘(2)が外径(6)を有し、前記長手方向寸法(13)が前記外径(6)の少なくとも10倍に達し、
前記鞘(2)の断面構成要素(5)が、前記第1のチューブ構成要素端(11)と前記第2のチューブ構成要素端(12)との間のいずれかの位置に配置され、前記断面構成要素(5)が、複数の開口部配置(8,9,10,16)を含み、前記開口部配置(8,9,10,16)が、第1のチューブ構成要素端(11)から第2のチューブ構成要素端(12)まで、前記長手方向寸法(13)に沿って延在することができる、身体通路内に導入する装置(100)用のチューブ構成要素(1)であって、前記開口部配置(8,9,10,16)の
いずれもが、挿入体構成要素(38,39,40)を含む第1の開口部(18,19,20)と、第2の開口部(28,29,30)とを具備することを特徴とし、前記第2の開口部(28)は
、環状開口部として構成される断面
をもつものであり得、
その内圧を圧力変更手段によって
変更することができる、チューブ構成要素(1)。
【請求項2】
前記圧力変更手段により、前記第1の開口部(18,19,20)における内圧に対して相対的に、過剰圧または負圧を前記第2の開口部(28,29,30)内に生成することができる、請求項1に記載のチューブ構成要素(1)。
【請求項3】
前記開口部配置(8,9,10)が中間壁(48,49,50)を有し、前記中間壁の壁厚が、前記外壁(3)または前記内壁(4)からの前記開口部配置(8,9,10,16)の距離よりも
小さく、前記中間壁(48,49,50)が、前記第1または第2の開口部(18,19,20,28,29,30)の一つの内圧を変更することによって変位可能であり、これが、前記第1の開口部(18,19,20)における挿入体構成要素(38,39,40)
を止まらせることまたは解放することが可能であるような形でなされる、請求項1
に記載のチューブ構成要素(1)。
【請求項4】
複数のチューブ構成要素部分(60,70,80)を含み、少なくとも前記チューブ構成要素部分(80)が前記鞘(82)内に少なくとも一つの凹部(81)を含み得、前記凹部(81)の領域における前記チューブ構成要素部分(80)の壁厚が、前記鞘(82)の壁厚より小さくてもよいか、または前記凹部(81)がスロット孔として構成されてもよく、前記鞘(2)および/または前記チューブ構成要素部分(60,70,80)の一つが、少なくとも二つの異なる材料を含む複合構成要素として形成され得る、請求項1
に記載のチューブ構成要素(1)。
【請求項5】
前記第2の開口部(28)が、環状開口部として構成される断面を有する、請求項1
に記載のチューブ構成要素(1)。
【請求項6】
前記鞘(2)の内壁に隣接してチューブ構成要素部分(70,80)が延在しており、これが内側チューブ(25)として、または補剛要素(35)として設計され、前記内側チューブ(25)が、プラスチック材料を含み得るか、またはプラスチック材料からなり得る、または前記内側チューブ(25)が補剛要素(35)を含み得るか、または前記補剛要素(35)が前記内側チューブ(25)の内側に配置され得、前記補剛要素(35)が、渦巻き状に配置されたワイヤー構成要素、または帯構成要素、またはメッシュとして構成され得る、請求項1
に記載のチューブ構成要素(1)。
【請求項7】
前記チューブ構成要素(1)が流体を受け取る中心空洞を含み、前記空洞の外壁が、前記鞘(2)の内壁、または前記チューブ構成要素部分(70、80)の一つによって形成され得る、または前記空洞の外壁が、前記内側チューブ(25)または前記補剛要素(35)の内壁によって形成される、または前記鞘(2)の内壁、前記チューブ構成要素部分(70,80)、前記内側チューブ(25)、または前記補剛要素(35)の一つが塗膜を含む、請求項1
に記載のチューブ構成要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体通路内に導入する装置用のチューブ構成要素、例えば、カテーテル、または身体通路または体血管内にカテーテルを導入する役割をする樋管構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
多様なそうした樋管が当技術分野で公知である。しかしながら、長く角度のついた身体の中にそうした樋管を導入するのは、主治医にとっては依然として困難であることが実際に繰り返し示されている。そうした樋管が、患者の鼠径部から血管を通じて頭部にまで敷設される場合には、一方で医師の技術に、他方で樋管の材料に高い要求が課される。この樋管は、血管内壁を傷つけないようにするよう、身体通路のきつい曲線部において血管内壁に適合する必要がある。樋管は、いかなる場所でも座屈してはならないが、これは、よじれが、流体、例えば、すすぎ液または医薬品の通過をじゃまする、または阻止さえするからである。
【0003】
本出願人はそれゆえ、欧州特許第1551490B1号明細書において、一方で充分に可撓性であり、他方で充分に剛性である案内装置を開示している。欧州特許第1551490B1号明細書では、この目的のために、第1のワイヤーストランドに沿って、そして第2のワイヤーストランドに沿って、これらのストランドどうしの相互引力を選択的に誘起させるために、異なる極性の磁場を生成することが提案されている。案内装置は、磁場が生成される場合には剛性になり、磁場が生成されない場合には可撓性を維持し、その結果として、身体通路内に案内装置を挿入する場合にはその装置が充分に可撓性となるが、しかしながら、特に曲線領域において、例えば血管の分岐点においてカテーテルを案内するよう備える場合には、充分に剛性となるようになっている。
【0004】
欧州特許第1551490B1号明細書によれば、非伸縮性のチューブ内に環状に配置された複数のワイヤーを、それらのワイヤーの環状の配置の内部に位置する膨張可能な経路により硬化させることもまた公知である。この配置の欠点は、中心経路に、案内装置の硬化のための(空気)圧が供給されるという事実である。しかしながら、圧力の印加で、案内装置内のカテーテルの導入が阻害されてはならない。したがって、精巧な封止システムには、そうした解決策が必要である。
【0005】
国際特許出願公開第2005042078A1号明細書には、長く延びた外側の殻体と、殻体の中に配置された長く延びた内体とを有する樋管が示されており、この場合には、殻体および内体は、制御装置により互いに対して回転可能であるが、これは、内体が殻体に接して少なくとも部分的に静止するような形でなされる、または異なる極性の磁場が殻体および内体の長さに沿って位置する結果、殻体および内体が互いに引き合うような形でなされる。
【0006】
中心管腔を取り巻く内側チューブと、内側チューブを取り巻く外側チューブと、鞘本体とからなる欧州特許第1917061B1号明細書には樋管が示されており、この場合には、複数の金属ストラップが、外側チューブと鞘本体の間に配置される。外側チューブは、内側チューブより弾性がある。内側チューブと外側チューブとの間の内部空間が加圧されるならば、外側チューブは鞘本体の方向に膨張する。結果として、金属帯は鞘本体に押圧され、このことが樋管の硬化につながる。同様の解決策が、米国特許第20110040282A1号明細書または独国特許第102006007974A1号明細書にも示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、5mm未満の外径を有するものとされる樋管の鞘本体内に金属帯を配置する、そして決められた距離をとって外側チューブと内側チューブを配置するには、複雑な製造技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、剛性にまたは柔軟となるように可逆的に構成することができる、そして大量生産により安価に製造することができる樋管を開発することである。
【0009】
本発明の目的の解決策は、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。装置のさらなる有利な実施形態が、請求項2から20の主題である。
【0010】
用語「例えば」が以下の記載において使用される場合、この用語は実施形態および/または変形例を指すが、これらは、本発明の教示のさらに好ましい適用例として必ずしも理解されるわけではない。同様に、用語「好ましくは」または「好ましい」は、実施形態および/または変形例の組の例を指すと理解されるが、これらは、本発明の教示の好ましい適用例として必ずしも理解されるわけではない。したがって、用語「例えば」、「好ましくは」、または「好ましい」は、複数の実施形態および/または変形例を指していてもよい。
【0011】
以下の詳細な説明は、本発明による装置のさまざまな実施形態を含む。特定の装置の記載は、例示にすぎないと見なされるものである。本明細書および特許請求の範囲では、用語「含む(including)」、「具備する(comprising)」、「有する(having)」は、「それを含むがそれには限定されない」と解釈される。
【0012】
身体通路内に導入する装置用のチューブ構成要素は、第1のチューブ構成要素端と第2のチューブ構成要素端とを具備する。長手方向寸法は、第1および第2のチューブ構成要素端の間に形成される。チューブ構成要素は、外壁および内壁を具備する鞘を有する。鞘は外径を有し、長手方向寸法は、外径の少なくとも10倍に達する。第1のチューブ構成要素端は、第1の先頭部構成要素を具備し、第2のチューブ構成要素端は、第2の先頭部構成要素を具備しており、断面構成要素は、第1のチューブ構成要素端と第2のチューブ構成要素端との間に配置される。断面構成要素は、複数の開口部配置を含み、開口部配置は、長手方向寸法に沿って延在する。開口部配置のそれぞれ一つは、挿入体構成要素を含む第1の開口部と、第2の開口部とを具備しており、それらの内圧は、圧力変更手段によって変更することができる。具体的には、開口部配置は、第1の先頭部構成要素から第2の先頭部構成要素まで延在することができる。
【0013】
断面構成要素は、長手方向寸法のいずれの場所にも配置することができる。断面構成要素のそれぞれは開口部配置を含むが、しかしながら開口部配置の開口部のサイズは、長手方向の寸法のいずれの場所で変動していてもよい。さらには、開口部配置の位置は、長手方向寸法のいずれの場所で変動していてもよい。よって開口部配置の開口部は、経路を形成することができる。具体的には、長手方向軸の方向に開口部により形成された経路は、らせん状、波状、渦巻き状とすることができ、その結果として、開口部配置は、異なる断面構成要素内の異なる位置にあるようになっている。ある実施形態によれば、開口部の経路は、チューブ構成要素の長手方向軸に平行に延在してもよい。経路は、具体的には、第1のチューブ構成要素端から第2のチューブ構成要素端まで延在する。ある実施形態によれば、第1のチューブ構成要素端から始まる経路は、第2のチューブ構成要素端の前で偏向を有しており、これは、第1のチューブ構成要素端での圧力変更手段を、経路中に、そして開口部のチャネルを通って第2のチューブ構成要素端まで達する流れの中に導入することができるような、または偏向により第1のチューブ構成要素端まで戻すことができることで、チューブ構成要素内に圧力変更手段の閉回路を実現することができるようなものである。
【0014】
ある実施形態によれば、挿入体構成要素は、ガラス繊維、炭素繊維、ワイヤー、または織物フィラメントからなる群の少なくとも一つの構成要素を含むものとすることができる。挿入体構成要素は、ワイヤー、ロープ、フィラメント、または帯として形成することができる。挿入体構成要素は、メッシュを具備していてもよい、またはメッシュとして形成されてもよい。
【0015】
ある実施形態によれば、圧力変更手段により、第1の開口部における圧力に対して相対的に、過剰圧または負圧を第2の開口部内に生成することができる。したがって、圧力変更手段は、圧力源または真空源を具備していてもよく、圧力源は、圧縮性媒体を含んでいてもよい。例えば、空気圧源が提供されてもよい。変形例によれば、圧力源は、非圧縮性媒体を含むものとすることができる。非圧縮性媒体は、圧力流体、具体的には加圧された液体を含んでいてもよい。水または油を、加圧された液体の例として使用することができる。
【0016】
ある実施形態によれば、開口部配置は共通の壁を有しており、その壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離よりも実質的に小さい。ある実施形態によれば、共通の壁の壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離の半分未満とすることができる。ある実施形態によれば、共通の壁の壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離の3分の1未満とすることができる。ある実施形態によれば、共通の壁の壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離の4分の1未満とすることができる。
【0017】
ある実施形態によれば、共通の壁の壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離の5分の1未満とすることができる。ある実施形態によれば、共通の壁の壁厚は、チューブ構成要素の外壁または内壁からの開口部配置の距離の10分の1未満とすることができる。よって、開口部配置における圧力変更は主に、具体的には排他的に、第1および第2の開口部に影響を及ぼすが、しかし外壁または内壁にはそうでない。中間壁は、内圧の変更によって変位させることができるが、これは、第1の開口部内の挿入体構成要素を選択的に遮断可能または取り外し可能となるような形でなされる。よって中間壁は、その壁厚が小さいことに起因して変形可能であり、これは、挿入体構成要素が中間壁または開口部のもう一方の壁上で静止するまで、中間壁を挿入体構成要素の方向に元の位置から移動させることができるような形でなされる。中間壁の移動により、開口部は、挿入体構成要素が開口部内でクランプされるような形で変形する。
【0018】
挿入体構成要素の遮断により、挿入体構成要素と第1の開口部の内壁との間の摩擦の増加が生じ、それにより、チューブ構成要素の硬化が実現する。第1の開口部の内壁からの挿入体構成要素の解放により、内壁上に作用する摩擦力の低減が生じ、その結果として、チューブ構成要素の可撓性が増加するようになっている。具体的には、挿入体構成要素は曲げることが可能であり、この場合、チューブ構成要素の座屈は、第1のチューブ構成要素端と第2のチューブ構成要素端との間のいずれの場所でも防止される。
【0019】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素は、少なくとも三つの開口部配置を含む。三つ以上の開口部配置を使用することにより、少数の開口部配置であってさえチューブ構成要素の硬化を実現することが可能である。三つの開口部配置が提供される場合、チューブ構成要素の良好な安定性が保証される。
【0020】
具体的には、開口部は、円形の、楕円形の、弓状の、C字形状の、スロット孔状の、三日月形状の、ダンベル形状の断面からなる群からの構成要素を含む断面を有することができる。
【0021】
開口部のそれぞれは開口部中心を有し、開口部中心は、開口部の重心によって形成される。ある実施形態によれば、開口部配置の開口部中心は、実質的にチューブ構成要素の共通の周線上に配置される。具体的には、チューブ構成要素の周線は、外壁および内壁からある距離をとって配置されてもよい。その距離は、具体的には、外壁と内壁との間で中心軸に沿って測定された中心距離に相当していてもよく、距離は、その中心距離から最大25%だけ逸脱する。
【0022】
環状領域における開口部配置の配置は、外壁と内壁との間の中央で実行され、この配置により、開口部配置における圧力変更は、最高でもチューブ構成要素の外壁または内壁への取るに足らない効果しか与えないように保証することができる。外壁が体内で血管の内壁に接して静止する場合には、この構成により、血管の内壁の刺激が圧力変動から生じないように保証することができるが、この圧力変動は、チューブ構成要素の膨らみを生じる可能性があり、これにより今度は、血管の内壁にかかる許容できない圧力を生じる結果になる場合があるものである。
【0023】
開口部配置の開口部中心点は、本質的にチューブ構成要素の共通の直径線上に配置することができる。例えば、第1の開口部の開口部中心は、第2の開口部の開口部中心の場合よりも小さい、中心軸からの半径方向距離を有する場合がある。
【0024】
ある実施形態によれば、挿入体構成要素は、第1の開口部内で偏心して配置することができる。さらなる実施形態によれば、第2の開口部は、第1の開口部を少なくとも部分的に取り囲むものとすることができる。第2の開口部が過剰圧にさらされる場合には、中間壁は、第1の開口部上にさらに大きな表面にわたって押圧され、その結果として、挿入体構成要素に作用する摩擦力をこの配置によって増加させることができる。
【0025】
ある実施形態によれば、開口部配置は、二つより多い開口部を具備していてもよい。例えば、挿入体構成要素を含む第1の開口部は、圧力変更に個別にまたは共同でさらされる二つ以上の開口部によって取り囲まれていてもよい。この変形例によれば、開口部のただ一つを圧力変更にさらすことによって、または同時に二つ以上の開口部を圧力変更にさらすことによって剛性チューブ構成要素から柔らかいチューブ構成要素までのさまざまな段階の選択肢を選択することにより、チューブ構成要素の剛性を制御することが可能になる。
【0026】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素は、複数のチューブ構成要素部分からなる。チューブ構成要素部分は、同軸配置を有することができる。チューブ構成要素部分は定義により、チューブ構成要素の長手方向軸と一致する共通の長手方向軸を有する。よって、チューブ構成要素部分は入れ子状チューブである。換言すれば、チューブ構成要素部分の総和の結果がチューブ構成要素になる。チューブ構成要素部分は、固体、液体、もしくは気体状物質、または、構成部分、例えば測定装置を、内壁により形成された管腔を通じて運搬することを容易にする、または可能にする役割をする。そうしたチューブ構成要素部分は、例えば拡散バリアとして作用する塗膜を、例えば具備していてもよい。内壁をさらに硬化する役割をするようにチューブ構成要素部分を形成して、チューブ構成要素を湾曲した身体通路に通す必要がある場合にいかなるよじれ形成も回避できるようにしてもよい。複数の同軸に配置された入れ子状のチューブ構成要素部分を提供して、この機能を満足させるようにすることもできる。
【0027】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素部分は、鞘の中に配置される少なくとも一つの凹部を有する。凹部は、その凹部の領域におけるチューブ構成要素部分の壁厚が鞘の壁厚より小さいことを特徴としている。具体的には、チューブ構成要素部分の壁厚は、凹部の領域でゼロとすることができる。凹部は、具体的には溝を具備していてもよい。
【0028】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素部分は、スロット孔付き鞘を有していてもよい。スロット孔付き鞘は、具体的には半径方向スロット孔を具備していてもよい。いくつかの半径方向スロット孔は、互いに平行に配置することができる。そうしたスロット孔は、鞘の周の少なくとも3分の1にわたって延在してもよい。ある実施形態によれば、らせん状のスロット孔を含む鞘を有するチューブ構成要素部分が提供されてもよい。
【0029】
チューブ構成要素部分は、複数の凹部、具体的にはスロット孔を有することができ、それらの端は、鞘の横方向の周上に互いにずらして形成される。スロット孔は、1ミリメートルの最大スロット孔幅を有していてもよく、鞘の一部分にわたって延在してもよい。
【0030】
ある実施形態によれば、凹部は、らせん状の切断部として形成されてもよい。それらのスロット孔配置のそれぞれは、良好な可撓性を維持しつつ高いねじり剛性を保証し、これにより、壁の薄い従来のチューブと比較してさらに高い、半径方向の変位に対する許容度を提供する。
【0031】
可撓性によりよじれ形成も防止されるが、これは、内体が、曲げに対するいかなる顕著な抵抗力も与えることができないからであり、これは、スロット孔が、チューブ構成要素部分の引張り側での広がり、および圧力側での狭窄を生じるからである。よって、角度方向の変位、軸方向の変位、また三つすべてのタイプの変位の組み合わせは、可撓性チューブ構成要素部分により効果的に補償される。
【0032】
そうしたスロット孔付きチューブ構成要素部分は、具体的には、もっと小さい力が伝達されることになる用途に使用することができる。チューブ構成要素部分は、変位を補償するにもかかわらす高いトルク許容度を有する。特に、経路内で前後に移動させる必要がある装置であって、再現性の良い位置決め精度が重要な役割を果たす装置を用いると、スロット孔付きチューブ構成要素部分のねじり剛性および回転の自由に関して、適用することの利点がある。
【0033】
したがってスロット孔付きチューブ構成要素部分は、極めて繊細な線細工を施した構成部分、例えばカテーテルまたは樋管を用いた精密な適用に適している。半径方向の横向きの大きな力は、例えば、血管壁に影響を及ぼす、または傷つける可能性がある。
【0034】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素の外径は、1から10mmまで両限値を含めた範囲内にある。ある実施形態によれば、チューブ構成要素の外径は具体的には3.3mmである。管腔を形成することができるチューブ構成要素の内径は、0.5から2.5mmの範囲とすることができる。
【0035】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素は、外壁と内壁とを具備する断面構成要素を形成する鞘を有する。鞘は外径を有し、チューブ構成要素の長手方向寸法は、外径の少なくとも10倍に相当する。鞘の内径は、鞘の内壁に隣接する環状開口部の外径に相当する。よって、第2の開口部は、断面における環状開口部として形成される。断面は、チューブ構成要素の長手方向軸に関して垂直方向に配置される。
【0036】
内側チューブは、例えばプラスチックを含む、またはプラスチックからなる開口部の内側に配置される。内側チューブの外径は、開口部の内径に相当する。有利には、内側チューブは、鞘に関して同心円状に配置される。
【0037】
内側チューブは補剛要素を含むことができる、または補剛要素は内側チューブの内側に載置することができる。補剛要素は、渦巻き状に配置されたワイヤー構成要素または帯構成要素として構成することができる。補剛要素は、メッシュとして設計することもできる。補剛要素が提供されていない、または補剛要素が内側チューブの内部に配置されている場合には、補剛要素および/または内側チューブの内側に、中心の空洞または管腔が位置する。補剛要素は、例えば、内側チューブの中に積層することができる。補剛要素は、中心空洞と内側チューブとの間に位置させることができる、または補剛要素は、内側チューブと断面構成要素との間に位置させることができる。
【0038】
中心空洞を取り囲むチューブ構成要素部分、すなわち具体的には、内側チューブまたは補剛要素は、例示的な実施形態のそれぞれによる塗膜を備えることができ、その結果として、中心空洞内に位置する流体、特に液体が、内側チューブまたは補剛要素と相互作用しないようになっている。
【0039】
断面構成要素は、複数の開口部配置を含むことができる。開口部配置は、第1の先頭部構成要素から第2の先頭部構成要素まで、または第1のチューブ構成要素端から第2のチューブ構成要素端まで、長手方向寸法の方向に延在する。例示的な実施形態によれば、各開口部配置は、それぞれ挿入体構成要素を含む第1の開口部と、圧力変更手段によって内圧を変更することができる第2の開口部とを具備する。圧力変更手段によれば、第1の開口部における内圧に対して相対的に、第2の開口部における過剰圧または負圧を生成することができる。
【0040】
ある実施形態によれば、挿入体構成要素を含む第1の開口部のそれぞれは、付随する第2の開口部を含む。チューブ構成要素は、この実施形態による少なくとも三つの開口部配置を含む。第1の開口部は、経路または狭窄部を介して、対応する第2の開口部に接続させることができる。随意に、仕切りが提供されてもよい。仕切りは、フィルムまたはメンブレンとして形成されてもよい。
【0041】
第1または第2の開口部のそれぞれにおける内圧を変更することにより開口部壁を変位させることができ、その結果として、第1の開口部内の挿入体構成要素は、選択的に遮断可能または取り外し可能となっている。具体的には、第1または第2の開口部の一つを真空引きすることができ、その結果として、開口部壁が挿入体構成要素と接触するようになっている。あるいは、第1または第2の開口部の一つに過剰圧をかけることができ、その結果として、付随する開口部内の挿入体構成要素の位置が固定されるようになっている。
【0042】
ある実施形態によれば、チューブ構成要素は、少なくとも二つの異なる材料を含む複合構成要素として形成することができる。具体的には、複合構成要素は、第1のプラスチックと、プラスチックまたは金属製材料からなる群から選択された少なくとも一つの構成要素とを含むことができる。具体的には、鞘、および/またはチューブ構成要素部分の一つは、複合構成要素として形成されてもよい。
【0043】
先の実施形態の一つによるチューブ構成要素は、断面が環状開口部として構成される第2の開口部を含むことができる。
【0044】
先の実施形態の一つによるチューブ構成要素の鞘の内壁の隣にチューブ構成要素部分が配置され、これは、内側チューブとして、または補剛要素として構成される。先の実施形態の一つによる内側チューブは、プラスチックを含むことができる、またはプラスチックからなるものとすることができる。
【0045】
先の実施形態の一つによる内側チューブは、補剛要素を含むことができる、または補剛要素は、内側チューブの内側に載置することができる。先の実施形態の一つによる補剛要素は、渦巻き状に配置されたワイヤー構成要素として、または帯構成要素として、またはメッシュとして、形成することができる。
【0046】
先の実施形態の一つによるチューブ構成要素は、流体を受け取る中心空洞を含むことができる。空洞の外壁は、鞘の、またはチューブ構成要素部分の一つの内壁によって形成されてもよい。
【0047】
空洞の外壁は、先の実施形態の一つによる内側チューブまたは補剛要素の内壁によって形成することができる。鞘、チューブ構成要素部分の、または内側チューブの、または補剛要素の一つの内壁は、先の実施形態の一つによる塗膜を含むことができる。塗膜は具体的には、防流体塗膜として形成することができる。
【0048】
先の実施形態の一つによるチューブ構成要素を製造する方法は、チューブ構成要素本体と、開口部配置と、挿入体構成要素との共押出のステップを含む。
【0049】
チューブ構成要素は、熱可塑性ポリマー類の群の少なくとも一つの構成要素を含むことができる。例えば、プラスチックは、ポリプロピレン、またはポリアミドを含むことができる、またはポリプロピレン類またはポリアミド類の群から選択されたプラスチックの少なくとも一つからなるものとすることができる。
【0050】
他の適切な熱可塑性ポリマーの例は、ポリエチレン(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、概してポリアミド類(PA)、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド6,6(PA 66)、ポリアミド11(PA 11)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド61(PA610)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリウレタン(PU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル(PES)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフタルイミド(PPA)、スチレンブタジエン(SB)、アクリルスチレンアクリルエステル(ASA)、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、エチレンブチルアクリレートコポリマー(EBA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン(PIP)、ポリクロロプレンおよび/またはポリアルキルビニルエーテル、ポリラクチド類(PLA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、および/または熱可塑性エラストマー類である。
【0051】
エラストマー類のさらなる例は、例えば、スチレンポリマー類(TPE-S)、ポリエーテルアミド類(TPE-A)、ポリエーテルエステル類(TPE-E)、熱可塑性ポリウレタン類(TPE-U)を基にした高分子のブロックコポリマー類であり、他方では、熱可塑性で、未架橋の、そして部分的におよび/または完全に架橋した段階、例えばポリオレフィンブレンド類(TPE-V)を基にした熱可塑性エラストマー類として共存するエラストマーブレンド類である。
【0052】
加えて、異なる熱可塑性プラスチックのあらゆる考えられるブレンド類またはコポリマー類を使用することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明による装置は、特に、既知の解決策に勝る以下に列挙する利点を有する。装置は、押出工程によって連続的に製造することができる。具体的には、複数の管状層を同時に製造することができ、具体的には、複数の経路を有する鞘本体を製造することができ、そして経路は、異なる材料からなるものとすることができる。
本発明による装置を、いくつかの実施形態を参照しつつ以下に記載する。それは、以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明によるチューブ構成要素の第1の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図2】本発明によるチューブ構成要素の第2の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図3】本発明によるチューブ構成要素の第3の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図4】本発明によるチューブ構成要素の第4の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図5】本発明によるチューブ構成要素の第5の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図6】本発明によるチューブ構成要素の第6の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図7】本発明によるチューブ構成要素の第7の例示的な実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図8】実施形態の一つによるチューブ構成要素の使用についての実施例であり、
【
図9】身体通路内にチューブ構成要素を導入する装置の詳細であり、
【
図10】本発明によるチューブ構成要素の第8の実施形態を通過する長手方向断面であり、
【
図11】本発明によるチューブ構成要素の第9の実施形態を通過する長手方向断面および半径方向断面であり、
【
図12】本発明によるチューブ構成要素部分の例示的な実施形態の長手方向断面であり、
【
図13】本発明によるチューブ構成要素部分の例示的な実施形態の半径方向断面であり、
【
図14】本発明によるチューブ構成要素の第8の実施形態を通過する半径方向断面であり、
【
図15】本発明によるチューブ構成要素の第9の実施形態を通過する半径方向断面である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1に、身体通路内に挿入する装置100用のチューブ構成要素1を示すが、チューブ構成要素1は、第1のチューブ構成要素端11と第2のチューブ構成要素端12とを有しており、このことは
図10に示されている。
図1では、表現をより分かりやすくするためにハッチングは付けなかった。
図1は、長手方向軸に対し垂直な半径方向断面における断面構成要素5を示している。長手方向寸法13は、第1および第2のチューブ構成要素端11、12の間に形成され、この寸法は、チューブ構成要素1が回転対称な形状を有する場合には長手方向軸と一致する。チューブ構成要素は、外壁3と内壁4とを具備する鞘2を有する。鞘2は外径6を有し、長手方向寸法13は、外径6の少なくとも10倍である。第1のチューブ構成要素端11は、第1の先頭部構成要素14を有し、第2のチューブ構成要素端12は、
図10による第2の先頭部構成要素15を有する。断面構成要素5は、第1の先頭部構成要素14と第2の先頭部構成要素15と間に配置される。断面構成要素5は、第1のチューブ構成要素端11と第2のチューブ構成要素端12との間のいずれの位置にあってもよい。
【0056】
断面構成要素5は、複数の開口部配置8、9、10を含む。開口部配置8、9、10は、第1の先頭部構成要素14から第2の先頭部構成要素15まで、そして第1のチューブ構成要素端11から第2のチューブ構成要素端12まで、長手方向寸法13の方向に延在する。開口部配置8、9、10のそれぞれは、挿入体構成要素38、39、40を含む第1の開口部18、19、20と、圧力変更手段によって内圧が調整可能である第2の開口部28、29、30とを具備する。圧力変更手段により、第1の開口部18、19、20における内圧に対して相対的に、過剰圧または負圧を第2の開口部28、29、30内に生成することができる。チューブ構成要素1は、三つの開口部配置8、9、10を含む。
【0057】
開口部配置8、9、10のそれぞれは、中間壁48、49、50を有しており、それらの壁厚は、外壁3または内壁4からの開口部配置8、9、10の距離よりも実質的に小さい。
【0058】
中間壁48、49、50は、第1または第2の開口部18、19、20、28、29、30の一つの内圧を変更することにより変位させることができ、これは、第1の開口部18、19、20における挿入体構成要素38、39、40が随意に遮断可能または取り外し可能となるような形でなされる。
【0059】
図2に、本発明によるチューブ構成要素1の第2の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図2によるチューブ構成要素は、
図1によるチューブ構成要素とは異るが、それは、チューブ構成要素が、複数のチューブ構成要素部分60、70、80からなる点である。開口部配置8、9、10は、
図1による配置とは異なる配置を有する。三つの開口部配置8、9、10は、
図1のとおりに提供されるものの、第1の開口部18、19、20は、それぞれ第2の開口部28、29、30に隣接して配置されてはいない。第1の開口部の開口部中心は、第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合よりも長手方向軸にさらに近い。第2の開口部28、29、30は、ここでは湾曲した細長い穴の形状を有する。第2の開口部28、29、30の凹状に湾曲した側は、第1の開口部18、19、20に面し、第2の開口部28、29、30の凸状に湾曲した側は、第2の開口部28、29、30の凹状に湾曲した側に対して実質的に反対に配置されて、第1の開口部18、19、20に背を向けている。
【0060】
図3に、本発明によるチューブ構成要素1の第3の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図3によるチューブ構成要素は、
図1によるチューブ構成要素とは異るが、それは、チューブ構成要素が複数のチューブ構成要素部分60、70、80からなる点である。開口部配置8、9、10は、
図1または
図2による配置とは異なる配置を有する。三つの開口部配置8、9、10は、
図1および2のとおりに提供されるものの、第1の開口部18、19、20は、付随する第2の開口部28、29、30の実質的に範囲内に位置する。第1の開口部の開口部中心は、この実施形態による第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合よりも長手方向軸にさらに近い。第2の開口部28、29、30は、この実施形態によるC字形状を有する。内部領域は、C字形状の第2の開口部28、29、30の足どうしの間の領域であり、少なくとも部分的に第1の開口部18、19、20と、第1の開口部18、19、20内に位置している挿入体構成要素38、39、40とを含む。C字形状の足は、この実施形態による長手方向軸の方向に開いている。第2の開口部28、29、30は、第1の開口部18、19、20をほぼ完全に取り囲んでいるので、挿入体構成要素38、39、40のほぼ全周に圧縮力を作用させることができる。したがってこの場合には、挿入体構成要素38、39、40のほぼ全周に摩擦力を作用させることができる。
【0061】
図4に、本発明によるチューブ構成要素の第4の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図4によるチューブ構成要素1は、
図1によるチューブ構成要素とは異るが、それは、チューブ構成要素が、複数のチューブ構成要素部分60、70、80からなる点である。三つの開口部配置8、9、10は、先の実施形態のとおりに提供されるものの、第1の開口部18、19、20は、付随する第2の開口部28、29、30の完全に範囲内に位置する。第1の開口部の開口部中心は、この実施形態における第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合よりも長手方向軸のさらに近くに位置する。ここでは、第2の開口部28、29、30は楕円の形状を有する。
【0062】
よって、第2の開口部28、29、30は、第1の開口部18、19、20を含み、第1の開口部は、共通の中間壁48、49、50により第2の開口部から分離されており、それらの共通の中間壁は、第1の開口部18、19、20の外側境界を表している。第2の開口部28、29、30は、第1の開口部18、19、20を完全に取り囲んでいるので、挿入体構成要素の全周38、39、40に圧縮力を作用させることができる。したがってこの場合には、挿入体構成要素の全周に摩擦力を作用させることができ、その結果として、最大の硬化効果を達成することが可能となっている。
【0063】
図5に、本発明によるチューブ構成要素1の第5の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図5によるチューブ構成要素は、
図3によるチューブ構成要素とは異るが、それは、第1の開口部18、19、20が、付随する第2の開口部28、29、30の本質的に範囲内に位置し、そしてこの実施形態における第1の開口部18、19、20の開口部中心が、第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合と実質的に同じ、長手方向軸からの垂直距離を有することである。第2の開口部28、29、30は、
図3と類似しているC字形状を有するが、しかしこのC字は、
図3の配置に対して実質的に90度の角度だけ回転されている。内側領域、すなわち第2の開口部28、29、30のC字形状の足どうしの間の領域は、少なくとも部分的に第1の開口部18、19、20と、第1の開口部18、19、20の中に位置する挿入体構成要素38、39、40とを含む。この実施形態によれば、C字形状の足は、共通の周の方向に開いており、その周は、第1および第2の開口部の開口部中心を含む円により形成されている。第2の開口部28、29、30は、第1の開口部18、19、20をほぼ完全に取り囲んでいるので、挿入体構成要素のほぼ全周38、39、40に圧縮力を作用させることができる。したがってこの場合には、挿入体構成要素のほぼ全周に摩擦力を作用させることができる。
【0064】
図5では、三つの開口部の配置の代わりに八つの開口部配置が提供され、それらの開口部配置の三つだけが指定されている。開口部配置の数は任意に選択できるが、しかし少なくとも三つの開口部配置が提供される場合には、安定性という理由から有利である。
【0065】
図6に、本発明によるチューブ構成要素の第6の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図6によるチューブ構成要素は、
図3によるチューブ構成要素とは異るが、それは、開口部配置8、9、10が、付随する第2の開口部28、29、30の本質的に範囲内に配置される第1の開口部を有するのに対し、第2の開口部29、29、30のそれぞれが、二つの部分的な開口部からなっている点である。この実施形態における第1の開口部の開口部中心は、第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合よりも長手方向軸にさらに近く、両方の部分的な開口部が共に追加されることで、開口部中心が決まる。部分的な開口部は、互いに鏡像対称に配置される断面を有していてもよい。
【0066】
一つの開口部配置に属する部分的な開口部の断面積は、具体的には実質的に同じサイズとすることができる。ここでは、第2の開口部28、29、30はC字形状を有していて、C字形状はその対称面に沿って分割されている。内部領域、すなわち第2の開口部28、29、30の区分されたC字形状の足どうしの間の領域は、少なくとも部分的に第1の開口部18、19、20と、第1の開口部18、19、20内に位置している挿入体構成要素38、39、40とを含む。C字形状の足は、この実施形態によれば、長手方向軸の方向に延在しており、外壁3の方向に開いている。第2の開口部28、29、30の部分的な開口部は、第1の開口部18、19、20をほぼ完全に取り囲んでいるので、挿入体構成要素のほぼ全周38、39、40に圧縮力を作用させることができる。したがってこの場合には、挿入体構成要素のほぼ全周に摩擦力を作用させることができる。加えて、部分的な開口部のそれぞれにおける圧力を調整することができる手段を提供することができる。したがって、この実施形態によれば、圧力依存性で調整可能な剛性をチューブ構成要素1に与えるために、利用できる調整の選択肢が改善される。
【0067】
図7に、本発明によるチューブ構成要素1の第7の例示的な実施形態を通過する半径方向断面を示す。
図7によるチューブ構成要素は、先の実施形態のチューブ構成要素とは異るが、それは、複数の開口部配置8、9、10が、チューブ構成要素1の、またはチューブ構成要素部分60の鞘2の中に環状に配置されている点である。任意に、開口部配置の三つを指定してあるが、これにより、等しい構成要素にはそれらの同一参照番号が付く。開口部配置は、第1の開口部18、19、20を有しており、これらは本質的に、付随する第2の開口部28、29、30に隣接する。
【0068】
この結果、開口部配置の鎖状構造が得られるが、その理由は、第2の開口部が常に、ここでは開口部28、29、30により例示的に示される隣接する開口部配置に隣接し、よって、圧力作用が、すべての第1の開口部18、19、20に均一に、そして速やかに影響するからである。やはり、図表示の負担になり過ぎないようにするために、これらの第1の開口部18、19、20から開口部を三つだけ例示的に選んである。第1の開口部18、19、20の開口部中心は、この実施形態では、実質的にダンベル形状の開口部として構成される第2の開口部28、29、30の開口部中心の場合と同じ、長手方向軸からの半径方向距離に位置している。この実施形態によれば、異なる剛性状態の間の特に速やかな変更が可能である。
【0069】
図8に、実施形態の一つによるチューブ構成要素1の使用例を示すが、装置は樋管として使用され、この樋管が身体通路に部分的に挿入される。チューブ構成要素1は、カテーテル内で使用することもできる。身体通路は、例えば動脈または静脈を含む血管の一部分として形成されてもよい。樋管は、高い失血を避けつつ身体に出し入れすることを可能にする。血管は、異なる患者および年齢群の間で様々である。したがって、血管のあらゆる曲がった場所に装置が追随するよう充分な可撓性と、血管内でよじれのできない装置を挿入することができるよう充分な剛性とが必要である。変位の経路は、患者の鼠径部から頭部へ装置を案内しなければならない場合には、50cm以上に達することもときにはあり得る。
【0070】
図9に樋管の詳細を示すが、この樋管は、その中に拡張器を挿入することができて、樋管を身体通路内に配置するようになっているものである。樋管の血管側の端は、例えば、先の実施形態の一つによるチューブ構成要素により形成することができる。止血弁および側部ポートは、樋管の使用者側の端に設けられ、これは従来技術に類似している。側部ポートは、例えば、チューブ構成要素の管腔を洗浄するためのすすぎ液を供給するのに使用することができる経路を含む。管腔内に拡張器を挿入することができ、その結果として、チューブ構成要素は、血管壁を通して血管内にそれを挿入する必要がある場合にさらに硬化するようになっている。樋管は、案内ワイヤーを含むことができ、これを管腔内に案内することもできる。
【0071】
図10に、チューブ構成要素のさらなる例示的な実施形態1を示す。
図10によるチューブ構成要素1は、長手方向断面で示されている。長手方向断面は、チューブ構成要素1の一部分のみを示しているが、チューブ構成要素1の一部分は、チューブ構成要素1の構造をよりわかりやすく例示するために省略してある。チューブ構成要素1は、
図1による配置に相当しているが、その違いは、開口部配置8が図面の上半分に切り開かれているのが示されており、開口部配置10が図面の下半分に切り開かれているのが示されていることである。
図10に、長手方向寸法13の行路を示すが、これは、長手方向軸に相当する。チューブ構成要素1は、第1のチューブ構成要素端11から第2のチューブ構成要素端12まで延在する。第1のチューブ構成要素端11は、第1の先頭部構成要素14を有する。第2のチューブ構成要素端12は、第2の先頭部構成要素15を有する。チューブ構成要素1の鞘2は、各場合で、外壁3から内壁4まで延在する。
図11にはまた、チューブ構成要素の外径6および内径7を示す。内壁4は、空洞または管腔の境界を限定し、その空洞または管腔の中に、例えば
図9に示す通りの拡張器を導入することができる。
【0072】
図11に、チューブ構成要素のさらなる例示的な実施形態1を示す。
図11によるチューブ構成要素1は、長手方向断面で示されるとともに、半径方向断面としても示される。長手方向断面は、チューブ構成要素1の一部分のみ、すなわち、断面構成要素5までの部分を示すが、この断面構成要素はここでは断面領域として示され、この断面領域は、チューブ構成要素部分60の一部分である。チューブ構成要素部分60は、外壁3と内壁4とを具備する鞘2を有する。鞘2は外径6を有し、長手方向寸法13は、少なくとも外径6の10倍である。したがって
図11の右手部分は、断面構成要素5の平面図を示す。
図11によれば、四つの開口部配置8、9、10、16が提供される。
【0073】
図11によるチューブ構成要素は、
図2から8の一つによるチューブ構成要素とは異るが、それは、チューブ構成要素が複数のチューブ構成要素部分60、70、80からなり、チューブ構成要素部分80が鞘82内に少なくとも一つの凹部81を有する点である。チューブ構成要素部分80の壁厚は、凹部81の領域では、鞘の壁厚82より小さい。凹部81は、
図11によるスロット孔として構成される。
図11においては、三つの半径方向スロット孔が視認できる。これらのスロット孔は、鞘82の異なる区分を含んでいてもよく、その結果として、チューブ構成要素1は、空間におけるいかなる方向への長手方向寸法13の偏向も可能となっている。
【0074】
図12に、チューブ構成要素部分80の実施形態を示す。チューブ構成要素部分80は、鞘82内に複数の凹部81を含む。凹部81は、スロット孔として形成される。スロット孔は、最大1mmのスロット孔幅を有する。スロット孔は、縦の直線として簡略化された形態で示されている。スロット孔は、鞘周辺の部分にわたって延在する。
【0075】
本実施形態によれば、スロット孔は、チューブ構成要素部分80の長手方向軸85に対して近似的に90度の傾斜角を有する。スロット孔は、長手方向軸85との90度未満の傾斜角を含むことができる。この実施形態によれば、図面には示されていないが、スロット孔は、渦巻きの部分的な区画を形成する。隣接スロットは、互いに対してずらして配置することができる。スロット孔は断面領域内に延在しており、この実施形態によれば、鞘の周の10%から境界値を含め90%までの割合を含んでいてもよい。具体的には、スロット孔は、鞘の周の20%から境界値を含め75%までの割合を含むことができる。
【0076】
断面領域のスロット孔区分のそれぞれは、接続構成要素83によって中断され、隣接する断面領域のスロット孔区分のそれぞれは、接続構成要素84によって中断される。具体的には、各断面領域に対して、複数の接続構成要素83、84が提供されてもよい。第1の断面領域における第1のスロットの接続構成要素は、参照番号83により指定されている。第2の断面領域における隣接スロットの接続構成要素は、参照番号84により指定されている。接続構成要素83、84の間に延在しているスロット孔の区分長さだけでなく接続構成要素83、84の区分長さは、各断面領域において異なっていてもよい。接続構成要素の間に延在しているスロット孔の区分長さだけでなく接続構成要素83、84の区分長さは、各隣接する断面領域において異なっていてもよい。
【0077】
図13に、
図12のチューブ構成要素部分80を通過する断面を示す。
図13による例示は、そのような五つの凹部81を示し、それらは、スロット孔として形成される。チューブ構成要素部分80がチューブ構成要素1の一部分である場合には、チューブ構成要素部分80の内径は、チューブ構成要素1の内径7に相当しており、前述の実施形態の一つに示されるとおりである。
【0078】
図12および13に示された実施形態によるスロット孔または切断部は、チューブ構成要素部分80の座屈安定性を増加させ可撓性を増加させる役割をする。具体的には、スロット孔が渦巻き形状に巻回されている場合には、いかなるねじり力も排除することができる。チューブ構成要素部分は鞘82を有しており、この鞘は、一方ではスロット孔の互いに千鳥配置により、そして他方では、長手方向軸に対するスロット孔の傾斜に起因して、接続構成要素83、84を介して部分的に接続されている。
【0079】
図13に、第1の断面領域における鞘の周上での、接続構成要素83の考えられる例示的な配置を示す。接続構成要素83の数は、図面に示された数とは異なっていてもよい。本実施形態による接続構成要素83は、実質的に同じ区分長さを有する。接続構成要素83のそれぞれの区分の長さは、別の接続構成要素83の別の区分のそれぞれの長さとは異なっていてもよい。接続構成要素83は、具体的には同じ区分長さを有していてもよい。接続構成要素83の間に延在しているスロット孔は、同じスロット孔区分長さを有していてもよい。
【0080】
図14に、身体通路内に挿入する装置100の第8の例示的な実施形態によるチューブ構成要素1を示すが、チューブ構成要素1は、第1のチューブ構成要素端11と、第2のチューブ構成要素端12とを有しており、このことは
図10に示されている。
図14では、表現をより分かりやすくするためにハッチングは付けなかった。
図14は、断面構成要素5、すなわち、チューブ構成要素1の長手方向軸に対して垂直な半径方向断面を示している。この例示によれば、チューブ構成要素1の長手方向軸は、図面の平面に対して垂直に延びている。第1および第2のチューブ構成要素端11、12の間に長手方向寸法13が形成され、これは、もしチューブ構成要素1が回転対称な形状を有するならば、長手方向軸と一致する。
【0081】
チューブ構成要素1は鞘2を有し、この鞘は断面構成要素5を形成し、この断面構成要素は外壁3と内壁4とを具備する。鞘2は外径6を有し、長手方向寸法13は外径6の少なくとも10倍に達する。鞘2の内径7は、内壁4に隣接する環状開口部28の外径に相当する。開口部28の内側には、内側チューブ25が延在しており、これは、例えばプラスチックを含む、またはプラスチックからなる。内側チューブ25は、ここではチューブ構成要素部分70の例示的な実施形態として見なされることになり、この実施形態は、
図2~7、10、11の一つに示されているものである。内側チューブ25の外径は、開口部28の内径に相当する。有利には、内側チューブ25は、鞘2に関して同心円状に配置される。
【0082】
内側チューブ25は、補剛要素35含んでいてもよい、または補剛要素35は、内側チューブ25の内側に載置してもよい。補剛要素35は、ここではチューブ構成要素部分80の例示的な実施形態として見なされることになり、この実施形態は、
図2~7、10、11の一つに示されているものである。補剛要素35は、渦巻き状に配置されたワイヤー構成要素または帯構成要素として構成することができる。ある実施形態によれば、図示しないが、補剛要素はメッシュとして構成することができる。補剛要素が提供されていない場合、または補剛要素が内側チューブ25の内部に配置されている場合、補剛要素35および/または内側チューブ25の内側には中心空洞または管腔が提供されるが、これは図面には示されていない。内側チューブ25または補剛要素35は塗膜を備えることができ、その結果として、中心空洞内に位置する液体は、内側チューブ25または補剛要素35とのいかなる相互作用も受けないようになっている。補剛要素35は、例えば内側チューブ25内に積層することができる。補剛要素35は、中心空洞と内側チューブ25との間に位置させることができる、または補剛要素は、内側チューブ25と断面構成要素5と間に位置させることができるが、これは図面には示されていない。
【0083】
図10による第1のチューブ構成要素端11は第1の先頭部構成要素14を有し、第2のチューブ構成要素端12は第2の先頭部構成要素15を有する。第1の先頭部構成要素14と第2の先頭部構成要素15との間には、断面構成要素5が配置される。断面構成要素5は、第1のチューブ構成要素端11と第2のチューブ構成要素端12との間のいかなる位置に位置していてもよい。
【0084】
断面構成要素5は、複数の開口部配置8、9、10を含む。開口部配置8、9、10は、第1の先頭部構成要素14から第2の先頭部構成要素15まで、そして第1のチューブ構成要素端11から第2のチューブ構成要素端12まで、長手方向寸法13の方向に延在する。開口部配置8、9、10のそれぞれは、挿入体構成要素38、39、40を含む第1の開口部18、19、20と、圧力変更手段によって内圧が調整可能である第2の開口部28とを具備する。圧力変更手段により、第1の開口部18、19、20における内圧に対して相対的に、過剰圧または負圧を第2の開口部28内に生成することができる。この実施形態によるチューブ構成要素1は、三つの開口部配置8、9、10を含んでいるが、このチューブ構成要素は、例示的な実施形態としてしか見なされないものとする。したがってチューブ構成要素1は、具体的には三つより多い開口部配置を含む。
【0085】
開口部配置8、9、10のそれぞれは、中間壁48、49、50を有しており、それらの壁厚は、外壁3からのそれぞれの開口部の配置8、9、10の距離よりも実質的に小さい。
【0086】
中間壁48、49、50は、第1または第2の開口部18、19、20、28の一つの内圧の変更によって変位させることができ、これは、選択的に遮断可能なまたは取り外し可能なそれぞれの第1の開口部18、19、20の中に挿入体構成要素38、39、40があるようにしてなされる。
【0087】
図15に、身体通路内に挿入する装置100の第9の例示的な実施形態によるチューブ構成要素1を示すが、チューブ構成要素1は、第1のチューブ構成要素端11と、第2のチューブ構成要素端12とを有しており、このことは
図10に示されている。
図15では、表現をより分かりやすくするためにハッチングは付けなかった。
図15は、断面構成要素5、すなわち、チューブ構成要素1の長手方向軸に対して垂直な半径方向断面を示している。第1および第2のチューブ構成要素端11、12の間には、チューブ構成要素1が回転対称な形状を有する場合に、長手方向軸と一致する長手方向寸法13が形成される。チューブ構成要素1は、外壁3と内壁4とを具備する鞘2を有する。鞘2は外径6を有し、長手方向寸法13は、外径6の少なくとも10倍に達する。鞘2の内径7は、内壁4に隣接する内側チューブ25の外径に相当する。内側チューブ25は、ここではチューブ構成要素部分70の例示的な実施形態として見なされるものとし、この実施形態は、
図2~7、10、11の一つに示されている。内側チューブ25は、例えば、プラスチックを含む、またはプラスチックからなる。内側チューブ25の外径は、鞘の内径7に相当する。有利には、内側チューブ25は、鞘2に関して同心円状に配置される。
【0088】
内側チューブ25は、補剛要素35を含んでいてもよい、または補剛要素35は、内側チューブ25の内側に載置してもよい。補剛要素35は、ここではチューブ構成要素部分80の例示的な実施形態として見なされることになり、この実施形態は、
図2~7、10、11の一つに示されているものである。補剛要素35は、渦巻き状に配置されたワイヤー構成要素または帯構成要素として構成することができる。補剛要素が提供されていない場合、または補剛要素が内側チューブ25の内部に配置されている場合、補剛要素35および/または内側チューブ25の内側には中心空洞または管腔が提供されるが、これは図面には示されていない。補剛要素35は、例えば、内側チューブ25内に積層することができる。補剛要素35は、中心空洞と内側チューブ25との間に位置させることができる、または補剛要素は、内側チューブ25と断面構成要素5と間に位置させることができるが、これは図面には示されていない。内側チューブ25または補剛要素35は塗膜を備えることができ、その結果として、中心空洞内に位置する液体は、内側チューブ25または補剛要素35とのいかなる相互作用も受けないようになっている。
【0089】
図10による第1のチューブ構成要素端11は第1の先頭部構成要素14を有し、第2のチューブ構成要素端12は第2の先頭部構成要素15を有する。第1の先頭部構成要素14と第2の先頭部構成要素15との間には、断面構成要素5が配置される。断面構成要素5は、第1のチューブ構成要素端11と第2のチューブ構成要素端12との間のいかなる位置に位置していてもよい。
【0090】
断面構成要素5は、複数の開口部配置8、9、10を含む。開口部配置8、9、10は、第1の先頭部構成要素14から第2の先頭部構成要素15まで、そして第1のチューブ構成要素端11から第2のチューブ構成要素端12まで、長手方向寸法13の方向に延在する。開口部配置8、9、10のそれぞれは、挿入体構成要素38、39、40を含む第1の開口部18、19、20と、圧力変更手段によって内圧が調整可能である第2の開口部28、29、30とを具備する。圧力変更手段の手段により、第2の開口部28、29、30、および/または第1の開口部18、19、20内に過剰圧または負圧を生成することができる。この実施形態によるチューブ構成要素1は、三つの開口部配置8、9、10を含む。第1の開口部18、19、20は、経路または狭窄部を介して、対応する第2の開口部28、29、30に接続されてもよい。随意に、仕切りが、
図1~6による実施形態の一つにおけるとおりに提供されてもよい。仕切りは、フィルムまたはメンブレンとして形成されてもよいが、これは、図面には示されていない。
【0091】
開口部壁が変位可能である第1または第2の開口部18、19、20、28、29、30のそれぞれにおける内圧を変更することにより、第1の開口部18、19、20における挿入体構成要素38、39、40が遮断可能または解放可能のいずれかとなる。具体的には、第1または第2の開口部18、19、20、28、29、30の一つを真空引きすることができ、その結果として、開口部壁は挿入体構成要素38、39、40と接触するようになっている。あるいは、第1または第2の開口部18、19、20、28、29、30のそれぞれ一つに過剰圧をかけることができ、その結果として、付随する開口部18、19、20における挿入体構成要素38、39、40の位置が固定されるようになっている。
【0092】
先の実施形態の一つによるチューブ構成要素は、少なくとも二つの異なる材料を含む複合構成要素として構成することができる。
【0093】
すでに記載されたもの以外にもさらに多くの修正例が、本明細書における新規性のある概念から逸脱せずに可能であることは、当業者には明らかであるものとする。もちろん、具体的には、対応する適用にかなうチューブ構成要素の最適な特性を得るために、実施形態のいかなる開口部の形状および開口部配置も互いに任意に組み合わせることが可能である。したがって、新規性のある本主題は、添付の特許請求の範囲内に制限される以外には制限されないことになる。さらには、明細書および請求項の範囲の両方を解釈するうえで、すべての用語は、文脈と整合する範囲内で可能な限り広く解釈されるものとする。具体的には、用語「具備する(comprises)」および「具備している(comprising)」は、構成要素、構成部分、またはステップを非排他的に指していると解釈されるものとされ、参照されているそれらの構成要素、構成部分、またはステップは、存在してもよい、または利用されてもよい、または明示的には参照されていない他の構成要素、構成部分、またはステップと組み合わされてもよいことを示している。明細書の請求項が、A、B、C....およびNからなる群から選択された少なくとも一つの構成要素または化合物を指す場合、その本文が要求するのは、その群からの一つの構成要素のみであり、Aに加えてN、またはBに加えてN等ではないと解釈されるものとする。