(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ツインビット
(51)【国際特許分類】
E21B 10/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
E21B10/00 Z
(21)【出願番号】P 2022144461
(22)【出願日】2022-09-12
【審査請求日】2022-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518227164
【氏名又は名称】金属工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 剛巳
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-223196(JP,A)
【文献】特開平4-319195(JP,A)
【文献】特開2015-1112(JP,A)
【文献】特開昭59-228587(JP,A)
【文献】特開2022-64272(JP,A)
【文献】特開平11-311082(JP,A)
【文献】特開2011-236644(JP,A)
【文献】特開2022-47086(JP,A)
【文献】特許第6472150(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインビットと補助ビットを備え、
前記メインビットと前記補助ビットは、いずれも基部の先端の少なくとも上下部に、掘削方向に突出した山形形状の超硬チップが配設されており、
前記補助ビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部は、前記メインビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部よりも掘削方向後方に位置する
ツインビット。
【請求項2】
前記メインビットの前記山形形状の頂部は、前記掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置する
請求項1に記載のツインビット。
【請求項3】
前記補助ビットの前記山形形状の頂部は、前記掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置する
請求項1又は請求項2に記載のツインビット。
【請求項4】
前記メインビットは、前記基部に連続する2つの脚部を更に備え、
前記補助ビットが併設されていない側の脚部は外面が所定の傾斜を有している
請求項3に記載のツインビット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングの先端に取付けて使用する掘削工具に係り、特にメインビットと補助ビットが一体となったツインビットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中にコンクリートを打設し、杭を形成する杭工法として、ケーシングチューブを地中に圧入し、孔壁を保護しながら、グラブバケットで掘削及び土砂の排出を行い、掘削によりできた孔にコンクリートを打設する所謂オールケーシング工法が一般に知られている。このオールケーシング工法では、ケーシングチューブの先端にビット取付ホルダーを介して内刃、中刃、外刃用のカッタービットを取付け、ケーシングチューブを回転させることで、カッタービットによる掘削を行う。
【0003】
ここで、このようなカッタービットとしては、ケ-シングパイプの先端部に該ケ-シングパイプの円周方向に沿って取り付けられる掘削用カッタービットであって、先端部に超硬チップの刃体が固着された頭部と、ケ-シングパイプに固着したホルダーに対する固定手段が設けられた脚部とを備えたカッタービットがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、掘削を目的としたカッタービットを開示しているにすぎず、メインビットと補助ビットが一体となり、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整することで、これら2つの刃先の幅と掘削位置の角度を多様なものとする点は開示されていない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メインビットと補助ビットが一体となり、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整することで、これら2つの刃先の幅と掘削位置の角度を多様なものとするツインビットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るツインビットは、メインビットと補助ビットを備え、前記メインビットと前記補助ビットは、いずれも基部の先端の少なくとも上下部に、掘削方向に突出した山形形状の超硬チップが配設されており、前記補助ビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部は、前記メインビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部よりも掘削方向後方に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メインビットと補助ビットが一体となり、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整することで、これら2つの刃先の幅と掘削位置の角度を多様なものとするツインビットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)から
図1(d)は、本発明の第1実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図2】
図2(a)から
図2(d)は、本発明の第2実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(d)は、本発明の第3実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(d)は、本発明の第4実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(d)は、本発明の第5実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図6】
図6(a)から
図6(d)は、本発明の第6実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図7】
図7(a)から
図7(d)は、本発明の第7実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(d)は、本発明の第8実施形態に係るツインビットの構成図である。
【
図9】
図9(a)、
図9(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図10】
図10(a)、
図10(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図11】
図11(a)、
図11(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図12】
図12(a)、
図12(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図13】
図13(a)、
図13(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図14】
図14(a)、
図14(b)は、ケーシングにツインビットを装着した様子を示す図である。
【
図15】
図15(a)乃至
図15(d)は、本発明の第1実施形態に係るツインビットの改良例の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係るツインビットは、以下の特徴を有する。
【0012】
(1)掘削方向に対して垂直な方向にメインビットと補助ビットが併設されており、メインビットの刃先に対して、補助ビットの刃先が、掘削方向後方に位置する、所謂段違いの構成となっている。従って、ケーシングの内板(もしくは外板)に掛かる負荷を軽減して掘削効率を上げると共に、単一の刃先での掘削時に発生する掘削土(もしくは切粉)の滞留を防ぎ、掘削効率を上げることが可能となる。
【0013】
(2)メインビットの刃先の母材形状を、ストレート形状、あるいは母材に角度を持たせた傾斜形状のいずれかより選択できる。更に、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整することで、両刃先の幅と掘削位置の角度を設定することができる。従って、刃先の掘削位置が広がり、ケーシングの内板(もしくは外板)に掛かる負荷が更に軽減され、また、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することが可能となる。
【0014】
(3)刃先の母材部分には、補助超硬チップを配設している。したがって、耐摩耗性を高めることが可能となる。尚、超硬チップの硬度は、掘削対象に合わせて自由に選択することが可能である。
【0015】
(4)本実施形態に係るツインビットは、両回転用である。従って、正転掘削と逆転掘削の両方向掘削が可能となる。
【0016】
<第1実施形態>
【0017】
図1(a)乃至
図1(d)には、本発明の第1実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図1(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図1(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図1(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図1(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状で外刃、補助ビットが内側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図1(a)でのみ硬質肉盛を示している。
【0018】
これらの図に示されるように、ツインビット1は、メインビット2と補助ビット3とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0019】
メインビット2は、基部4と基部4から延びた2本の脚部5,6で構成されている。以下、基部4側を、ツインビット1の先端とも称し、脚部5,6側を、ケーシングへの装着側又はツインビット1の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット1の厚み方向とも称する)。これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット1の幅方向と称する。
【0020】
ここで、杭芯方向とは、基礎工事に使用する既成杭、場所打ち杭、鋼管杭等のあらゆる杭工事における「杭の中心」であり、種々の杭の引抜き工事、障害物撤去工事等に使用するケーシング及び掘削翼の中心部を意味する。一方、孔壁方向とは、基礎工事に使用する既成杭、場所打ち杭、鋼管杭等のあらゆる杭工事における杭の外周側及び、種々の杭の引抜き工事、障害物撤去工事に使用するケーシング及び掘削翼の外周側、すなわち、地盤もしくは障害物を掘削して構築した地中孔の孔壁を意味する。
【0021】
基部4は、掘削方向、即ちツインビット1の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。そして、この基部4の先端、上下2カ所の山型形状部分には、超硬チップ7,8が、それぞれ配設されている。
【0022】
より具体的には、超硬チップ7は、基部4の先端の上部において、基部4の第1平面部9から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部7aと、基部4の第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部7bと、を備えている。傾斜部7aの長さは、傾斜部7bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部9寄りの位置となっている。一方、超硬チップ8は、基部4の先端の下部において、基部4の第1平面部9から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部8aと、基部4の第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部8bと、を備えている。傾斜部8aの長さは、傾斜部8bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部9寄りの位置となっている。
【0023】
図1(c)に示されるように、超硬チップ7の傾斜部7a,7bが連続する頂部、及び超硬チップ8の傾斜部8a,8bが連続する頂部は、それぞれ基部4の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部4の先端において、超硬チップ7,8の間には窪み部11が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0024】
脚部5、6は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部4から後端側に向けて延びている。この脚部5,6には、ケーシングにツインビット1をボルト等で装着するための、孔部12が設けられている。
【0025】
一方、補助ビット3は、基部13を備える。この基部13は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット1の後端に向けて傾斜した傾斜部13aとなっており、傾斜部13aの傾斜面には、超硬チップ13bが配設されている。傾斜部13aには、脚部5,6の孔部12と連通する孔部が設けられている。
【0026】
基部13は、掘削方向、即ちツインビット1の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部13の先端、上下2カ所の山型形状部分には、超硬チップ14,15が、それぞれ配設されている。
【0027】
より具体的には、超硬チップ14は、基部13の先端の上部において、基部13の第3平面部17から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部14aと、前述した第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部14bとを備えている。傾斜部14aの長さは傾斜部14bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット3の掘削方向又は孔壁方向の中間に位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット3の厚み方向の中央に位置する。一方、超硬チップ15は、基部13の先端の下部において、基部13の前述した第3平面部17から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部15aと、基部13の第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部15bとを備えている。傾斜部14aの長さは傾斜部14bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット3の掘削方向又は孔壁方向の中間に位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット3の厚み方向の中央に位置する。
【0028】
図1(c)に示されるように、超硬チップ14の傾斜部14a,14bが連続する頂部と、超硬チップ15の傾斜部15a,15bが連続する頂部は、それぞれ基部14の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部13の先端において、超硬チップ14,15の間には、窪み部16が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0029】
ここで、各部の材質について言及すると、基部4、脚部5,6の母材は、SCM440(クロモリ鋼)等を採用することができる。そして、超硬チップ7,8,14,15としては、JIS使用分類記号でいうE3(材質名MG30)、E4(材質名MG40)、E5(材質名MG50)、E6(材質名MG60)等やCIS規格のG4(CIS材種記号VC-40)、G5(CIS材種記号VC-50)等を採用できる。但し、これには限定されない。このほか、基4、13には、硬質肉盛18が配設されている。
【0030】
<第2実施形態>
【0031】
図2(a)乃至
図2(d)には、本発明の第2実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図2(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図2(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図2(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図2(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状の外刃、補助ビットが外側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図2(a)、
図2(c)でのみ硬質肉盛を示している。
【0032】
これらの図に示されるように、ツインビット21は、メインビット22と補助ビット23とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0033】
メインビット22は、基部24と基部24から延びた2本の脚部25,26で構成されている。以下、基部24側を、ツインビット21の先端とも称し、脚部25,26側を、ケーシングへの装着側又はツインビット21の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット21の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット21の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0034】
基部24は、掘削方向、即ちツインビット21の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部24の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ27,28が、それぞれ配設されている。
【0035】
より具体的には、超硬チップ27は、基部24の先端の上部において、基部24の第1平面部29から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部27aと、基部24の第2平面部30から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部27bと、を備えている。傾斜部27aの長さは、傾斜部27bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部29寄りの位置となっている。一方、超硬チップ28は、基部24の先端の下部において、基部24の第1平面部29から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部28aと、基部24の第2平面部30から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部28bと、を備えている。傾斜部28aの長さは、傾斜部28bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部29寄りの位置となっている。
【0036】
図2(c)に示されるように、超硬チップ27の傾斜部27a,27bが連続する頂部、及び超硬チップ28の傾斜部28a,28bが連続する頂部は、それぞれ基部24の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部24の先端において、超硬チップ27,28の間には窪み部31が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0037】
脚部25、26は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部24から後端側に向けて延びている。この脚部25,26には、ケーシングにツインビット21をボルト等で装着するための、孔部32が設けられている。
【0038】
一方、補助ビット23は、基部33を備える。この基部33は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット21の後端に向けて傾斜した傾斜部33aとなっており、傾斜部33aの傾斜面には、超硬チップ33bが配設されている。傾斜部33aには、脚部25,26の孔部32と連通する孔部が設けられている。
【0039】
基部33は、掘削方向、即ちツインビット21の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部33の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ34,35が、それぞれ配設されている。
【0040】
より具体的には、超硬チップ34は、基部33の先端の上部において、基部33の第3平面部37から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部34aと、前述した第1平面部29から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部34bとを備えている。傾斜部34aの長さは傾斜部34bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット23の掘削方向又は孔壁方向の中間に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット23の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ35は、基部33の先端の下部において、基部33の第3平面部37から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部35aと、基部33の第1平面部29から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部35bと、を備えている。傾斜部34aの長さは傾斜部34bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット23の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット23の厚み方向の中間に位置する。
【0041】
図2(c)に示されるように、超硬チップ34の傾斜部34a,34bが連続する頂部と、超硬チップ35の傾斜部35a,35bが連続する頂部は、それぞれ基部33の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部33の先端において、超硬チップ34,35の間には、窪み部36が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0042】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部24、33には、硬質肉盛38が配設されている。
【0043】
<第3実施形態>
【0044】
図3(a)乃至
図3(d)には、本発明の第3実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図3(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図3(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図3(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図3(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状の内刃、補助ビットが内側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図3(a)、
図3(c)でのみ硬質肉盛を示している。
【0045】
これらの図に示されるように、ツインビット41は、メインビット42と補助ビット43とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0046】
メインビット42は、基部44と基部44から延びた2本の脚部45,46で構成されている。以下、基部44側を、ツインビット41の先端とも称し、脚部45,46側を、ケーシングへの装着側又はツインビット41の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット41の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット41の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0047】
基部44は、掘削方向、即ちツインビット41の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部44の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ47,48が、それぞれ配設されている。
【0048】
より具体的には、超硬チップ47は、基部44の先端の上部において、基部44の第1平面部49から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部47aと、基部44の第2平面部50から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部47bとを備えている。傾斜部47aの長さは、傾斜部7bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部50寄りの位置となっている。一方、超硬チップ48は、基部44の先端の下部において、基部44の第1平面部49から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部48aと、基部44の第2平面部50から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部48bとを備えている。傾斜部48aの長さは、傾斜部48bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部50寄りの位置となっている。
【0049】
図3(c)に示されるように、超硬チップ47の傾斜部47a,47bが連続する頂部、及び超硬チップ48の傾斜部48a,48bが連続する頂部は、それぞれ基部44の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部44の先端において、超硬チップ47,48の間には窪み部51が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0050】
脚部45、46は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部44から後端側に向けて延びている。この脚部45,46には、ケーシングにツインビット41をボルト等で装着するための、孔部52が設けられている。
【0051】
一方、補助ビット43は、基部53を備える。この基部53は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット41の後端に向けて傾斜した傾斜部53aとなっており、傾斜部53aの傾斜面には、超硬チップ53bが配設されている。傾斜部53aには、脚部45,46の孔部52と連通する孔部が設けられている。
【0052】
基部53は、掘削方向、即ちツインビット41の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部53の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ54,55が、それぞれ配設されている。
【0053】
より具体的には、超硬チップ54は、基部53の先端の上部において、基部53の第3平面部57から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部54aと、前述した第2平面部50から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部54bとを備えている。傾斜部54aの長さは傾斜部54bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット43の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット431の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ55は、基部53の先端の下部において、基部53の前述した第3平面部57から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部55aと、基部53の第2平面部50から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部55bとを備えている。傾斜部54aの長さは傾斜部54bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット43の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット43の厚み方向の中間に位置する。
【0054】
図3(c)に示されるように、超硬チップ54の傾斜部54a,54bが連続する頂部と、超硬チップ55の傾斜部55a,55bが連続する頂部は、それぞれ基部53の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部53の先端において、超硬チップ54,55の間には、窪み部56が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0055】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部44、53には、硬質肉盛58が配設されている。
【0056】
<第4実施形態>
【0057】
図4(a)乃至
図4(d)には、本発明の第4実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図4(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図4(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図4(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図4(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状の内刃、補助ビットが外側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図4(a)でのみ硬質肉盛を示している。
【0058】
これらの図に示されるように、ツインビット61は、メインビット62と補助ビット63とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0059】
メインビット62は、基部64と基部64から延びた2本の脚部65,66で構成されている。以下、基部64側を、ツインビット61の先端とも称し、脚部65,66側を、ケーシングへの装着側又はツインビット61の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット61の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット61の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0060】
基部64は、掘削方向、即ちツインビット61の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部64の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ67,68が、それぞれ配設されている。
【0061】
より具体的には、超硬チップ67は、基部64の先端の上部において、基部64の第1平面部69から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部67aと、基部64の第2平面部70から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部67bとを備えている。傾斜部67aの長さは、傾斜部67bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部70寄りの位置となっている。一方、超硬チップ68は、基部64の先端の下部において、基部64の第1平面部69から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部68aと、基部64の第2平面部70から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部68bとを備えている。傾斜部68aの長さは、傾斜部68bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部70寄りの位置となっている。
【0062】
図4(c)に示されるように、超硬チップ67の傾斜部67a,67bが連続する頂部、及び超硬チップ68の傾斜部68a,68bが連続する頂部は、それぞれ基部64の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部64の先端において、超硬チップ67,68の間には窪み部71が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0063】
脚部65、66は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部64から後端側に向けて延びている。この脚部65,66には、ケーシングにツインビット61をボルト等で装着するための、孔部72が設けられている。
【0064】
一方、補助ビット63は、基部73を備える。この基部73は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット61の後端に向けて傾斜した傾斜部73aとなっており、傾斜部73aの傾斜面には、超硬チップ73bが配設されている。傾斜部73aには、脚部65,66の孔部72と連通する孔部が設けられている。
【0065】
基部73は、掘削方向、即ちツインビット61の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部73の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ74,75が、それぞれ配設されている。
【0066】
より具体的には、超硬チップ74は、基部73の先端の上部において、基部73の第3平面部77から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部74aと、前述した第1平面部69から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部74bとを備えている。傾斜部74aの長さは傾斜部74bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット63の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット63の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ75は、基部73の先端の下部において、基部73の第3平面部77から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部75aと、基部73の第1平面部69から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部75bとを備えている。傾斜部74aの長さは傾斜部74bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット63の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット63の厚み方向の中間に位置する。
【0067】
図4(c)に示されるように、超硬チップ74の傾斜部74a,74bが連続する頂部と、超硬チップ75の傾斜部75a,75bが連続する頂部は、それぞれ基部73の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部73の先端において、超硬チップ74,75の間には、窪み部76が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0068】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部64,73には、硬質肉盛78が配設されている。
【0069】
<第5実施形態>
【0070】
図5(a)乃至
図5(d)には、本発明の第5実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図5(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図5(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図5(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図5(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状の中刃、補助ビットが内側付の中刃となっている。メインビットと補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図5(a)、
図5(c)でのみ硬質肉盛を示している。
【0071】
これらの図に示されるように、ツインビット81は、メインビット82と補助ビット83とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0072】
メインビット82は、基部84と基部84から延びた2本の脚部85,86で構成されている。以下、基部84側を、ツインビット81の先端とも称し、脚部85,86側を、ケーシングへの装着側又はツインビット81の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット81の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット81の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0073】
基部84は、掘削方向、即ちツインビット81の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部84の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ87,88が、それぞれ配設されている。
【0074】
より具体的には、超硬チップ87は、基部84の先端の上部において、基部84の第1平面部89から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部87aと、基部84の第2平面部90から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部87bとを備えている。傾斜部87aの長さは傾斜部87bの長さと同じであり、頂部は第1平面部89と第2平面部90の中央に位置する。換言すれば、頂部はツインビット81の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ88は、基部84の先端の下部において、基部84の第1平面部89から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部88aと、基部84の第2平面部90から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部88bと、を備えている。傾斜部88aの長さは傾斜部88bの長さと同じであり、頂部は第1平面部89と第2平面部90の中央に位置する。換言すれば、頂部はツインビット81の厚み方向の中間に位置する。
【0075】
図5(c)に示されるように、超硬チップ87の傾斜部87a,87bが連続する頂部、及び超硬チップ88の傾斜部88a,88bが連続する頂部は、それぞれ基部84の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部84の先端において、超硬チップ87,88の間には窪み部91が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0076】
脚部85、86は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部84から後端側に向けて延びている。この脚部85,86には、ケーシングにツインビット81をボルト等で装着するための、孔部92が設けられている。
【0077】
一方、補助ビット83は、基部93を備える。この基部93は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット81の後端に向けて傾斜した傾斜部93aとなっており、傾斜部93aの傾斜面には、超硬チップ93bが配設されている。傾斜部93aには、脚部85,86の孔部92と連通する孔部が設けられている。
【0078】
基部93は、掘削方向、即ちツインビット81の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部93の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ94,95が、それぞれ配設されている。
【0079】
より具体的には、超硬チップ94は、基部93の先端の上部において、基部93の第3平面部97から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部94aと、前述した第2平面部90から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部94bとを備えている。傾斜部94aの長さは傾斜部94bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット83の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部はツインビット81の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ95は、基部93の先端の下部において、基部93の前述した第3平面部97から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部95aと、基部93の第2平面部90から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部95bとを備えている。傾斜部95aの長さは傾斜部95bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット83の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部はツインビット81の厚み方向の中間に位置する。
【0080】
図5(c)に示されるように、超硬チップ94の傾斜部94a,94bが連続する頂部と、超硬チップ95の傾斜部95a,95bが連続する頂部は、それぞれ基部93の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部93の先端において、超硬チップ94,95の間には、窪み部96が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0081】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部84,93には、硬質肉盛98が配設されている。
【0082】
<第6実施形態>
【0083】
図6(a)乃至
図6(d)には、本発明の第6実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図6(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図6(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図6(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図6(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットがストレート形状の中刃、補助ビットが外側付の中刃となっている。メインビットと補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。尚、各部の構成を明確に示すために、
図6(a)、
図6(c)でのみ硬質肉盛を示している。
【0084】
これらの図に示されるように、ツインビット101は、メインビット102と補助ビット103とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0085】
メインビット102は、基部104と基部104から延びた2本の脚部105,106で構成されている。以下、基部104側を、ツインビット101の先端とも称し、脚部105,106側を、ケーシングへの装着側又はツインビット101の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット101の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット101の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0086】
基部104は、掘削方向、即ちツインビット101の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部104の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ107,108が、それぞれ配設されている。
【0087】
より具体的には、超硬チップ107は、基部104の先端の上部において、基部104の第1平面部109から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部107aと、基部102の第2平面部110から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部107bとを備えている。傾斜部107aの長さは、傾斜部107bの長さと同じであり、頂部は第1平面部109と第2平面部110の中央に位置する。換言すれば、頂部はメインビット102の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ108は、基部104の先端の下部において、基部104の第1平面部109から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部108aと、基部104の第2平面部110から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部108bと、を備えている。傾斜部108aの長さは、傾斜部108bの長さと同じであり、頂部は第1平面部109と第2平面部110の中央に位置する。換言すれば、頂部はメインビット102の厚み方向の中間に位置する。
【0088】
図6(c)に示されるように、超硬チップ107の傾斜部107a,107bが連続する頂部、及び超硬チップ108の傾斜部108a,108bが連続する頂部は、それぞれ基部104の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部104の先端において、超硬チップ107,108の間には窪み部111が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0089】
脚部105、106は、所定間隔を隔てて平行に、且つ平面から見た様子がコの字状となるように、基部104から後端側に向けて延びている。この脚部105,106には、ケーシングにツインビット101をボルト等で装着するための、孔部112が設けられている。
【0090】
一方、補助ビット103は、基部113を備える。この基部113は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット101の後端に向けて傾斜した傾斜部113aとなっており、傾斜部113aの傾斜面には、超硬チップ113bが配設されている。傾斜部113aには、脚部105,106の孔部112と連通する孔部が設けられている。
【0091】
基部113は、掘削方向、即ちツインビット101の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部113の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ114,115が、それぞれ配設されている。
【0092】
より具体的には、超硬チップ114は、基部113の先端の上部において、基部113の第3平面部117から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部114aと、前述した第1平面部109から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部114bとを備えている。傾斜部114aの長さは傾斜部114bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット103の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット103の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ115は、基部113の先端の下部において、基部113の第3平面部117から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部115aと、基部113の第1平面部109から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部115bとを備えている。傾斜部114aの長さは傾斜部114bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット103の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット103の厚み方向の中間に位置する。
【0093】
図6(c)に示されるように、超硬チップ114の傾斜部114a,114bが連続する頂部と、超硬チップ115の傾斜部115a,115bが連続する頂部は、それぞれ基部113の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部113の先端において、超硬チップ114,115の間には、窪み部116が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0094】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部104、113には、硬質肉盛118が配設されている。
【0095】
<第7実施形態>
【0096】
図7(a)乃至
図7(d)には、本発明の第7実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図7(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図7(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図7(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図7(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットが角度付形状の外刃、補助ビットが内側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。各部の構成を明確に示すために、
図7(a)でのみ硬質肉盛を示している。
【0097】
これらの図に示されるように、ツインビット121は、メインビット122と補助ビット123とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように構成されている。
【0098】
メインビット122は、基部124と基部124から延びた2本の脚部125,126で構成されている。以下、基部124側を、ツインビット121の先端とも称し、脚部125,126側を、ケーシングへの装着側又はツインビット121の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット121の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット121の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0099】
基部124は、掘削方向、即ちツインビット121の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部124の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ127,128が、それぞれ配設されている。
【0100】
より具体的には、超硬チップ127は、基部124の先端の上部において、基部124の第1平面部129から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部127aと、基部124の第2平面部130から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部127bとを備えている。傾斜部127aの長さは、傾斜部127bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部129寄りの位置となっている。一方、超硬チップ128は、基部124の先端の下部において、基部124の第1平面部129から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部128aと、基部124の第2平面部130から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部128bとを備えている。傾斜部128aの長さは、傾斜部128bの長さより短くなっているので、頂部は第1平面部129寄りの位置となっている。
【0101】
図7(c)に示されるように、超硬チップ127の傾斜部127a,127bが連続する頂部、及び超硬チップ128の傾斜部128a,128bが連続する頂部は、それぞれ基部124の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部124の先端において、超硬チップ127,128の間には窪み部131が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0102】
脚部125、126は、所定間隔を隔てて内側平面が平行となるように、且つ平面から見た様子が略コの字状となるように、基部124から後端側に向けて延びている。ここで第1実施形態と異なる点は、脚部126の外面が所定の傾斜を有する点である。この脚部125,126には、ケーシングにツインビット121をボルト等で装着するための、孔部132が設けられている。
【0103】
一方、補助ビット123は、基部133を備える。この基部133は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット121の後端に向けて傾斜した傾斜部133aとなっており、傾斜部133aの傾斜面には、超硬チップ133bが配設されている。傾斜部133aには、脚部125,126の孔部132と連通する孔部が設けられている。
【0104】
基部133は、掘削方向、即ちツインビット121の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部133の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ134,135が、それぞれ配設されている。
【0105】
より具体的には、超硬チップ134は、基部133の先端の上部において、基部133の第3平面部137から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部134aと、前述した第2平面部130から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部134bとを備えている。傾斜部134aの長さは傾斜部134bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット123の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット123の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ135は、基部133の先端の下部において、基部133の前述した第3平面部137から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部135aと、基部133の第2平面部130から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部135bとを備えている。傾斜部135aの長さは傾斜部135bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット123の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット123の厚み方向の中間に位置する。
【0106】
図7(c)に示されるように、超硬チップ134の傾斜部134a,134bが連続する頂部と、超硬チップ135の傾斜部135a,135bが連続する頂部は、それぞれ基部133の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部133の先端において、超硬チップ134,135の間には、窪み部136が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0107】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部124、133には、硬質肉盛138が配設されている。
【0108】
<第8実施形態>
【0109】
図8(a)乃至
図8(d)には、本発明の第8実施形態に係るツインビットの構成を示し説明する。より詳細には、
図8(a)には、同ツインビットの平面図を示し、
図8(b)には同ツインビットの斜視図を示し、
図8(c)には同ツインビットの側面図を示し、
図8(d)には同ツインビットの正面図を示し、説明する。同ツインビットは、メインビットが角度付形状の内刃、補助ビットが外側付の中刃となっている。補助ビットを中刃とすることで、外刃と内刃の刃先位置の中間位置を掘削可能となり、掘削効率が上がるだけでなく、掘削対象の掻き出しがよりスムーズになる。各部の構成を明確に示すために、
図8(a)でのみ硬質肉盛を示している。
【0110】
これらの図に示されるように、ツインビット141は、メインビット142と補助ビット143とが先端の刃部が掘削方向後方に向けて段違いとなるように一体に成形されている。
【0111】
メインビット142は、基部144と基部144から延びた2本の脚部145,146で構成されている。以下、基部144側を、ツインビット141の先端とも称し、脚部145,146側を、ケーシングへの装着側又はツインビット141の後端とも称する。先端が向いている方向が掘削方向であり、当該掘削方向に垂直な方向が孔壁方向又は杭芯方向となる(ツインビット141の厚み方向とも称する)。そして、これら掘削方向と孔壁方向又は杭芯方向に垂直な方向は、ツインビット141の幅方向と称する。杭芯方向及び孔壁方向の定義は、第1実施形態で前述した通りである。
【0112】
基部144は、掘削方向、即ちツインビット141の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部144の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ147,148が、それぞれ配設されている。
【0113】
より具体的には、超硬チップ147は、基部144の先端の上部において、基部1442の第1平面部149から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部147aと、基部144の第2平面部150から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部147bとを備えている。傾斜部147aの長さは、傾斜部147bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部150寄りの位置となっている。一方、超硬チップ148は、基部144の先端の下部において、基部144の第1平面部149から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部148aと、基部144の第2平面部150から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部148bとを備えている。傾斜部148aの長さは、傾斜部148bの長さより長くなっているので、頂部は第2平面部150寄りの位置となっている。
【0114】
図8(c)に示されるように、超硬チップ147の傾斜部147a,147bが連続する頂部、及び超硬チップ148の傾斜部148a,148bが連続する頂部は、それぞれ基部144の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部144の先端において、超硬チップ147,148の間には窪み部151が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0115】
脚部145、146は、所定間隔を隔てて内側平面が平行に、且つ平面から見た様子が略コの字状となるように、基部64から後端側に向けて延びている。前述した第4実施形態と異なる点は、脚部145の外面が所定の傾斜を有する点にある。この脚部145,146には、ケーシングにツインビット141をボルト等で装着するための、孔部152が設けられている。
【0116】
一方、補助ビット143は、基部153を備える。この基部153は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット141の後端に向けて傾斜した傾斜部153aとなっており、傾斜部153aの傾斜面には、超硬チップ153bが配設されている。傾斜部153aには、脚部145,146の孔部152と連通する孔部が設けられている。
【0117】
基部153は、掘削方向、即ちツインビット141の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部153の先端、上下2か所の山型形状部分には、超硬チップ154,155が、それぞれ配設されている。
【0118】
より具体的には、超硬チップ154は、基部153の先端の上部において、基部153の第3平面部157から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部154aと、前述した第1平面部149から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部144bとを備えている。傾斜部154aの長さは傾斜部154bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット143の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット143の厚み方向の中間に位置する。一方、超硬チップ155は、基部153の先端の下部において、基部153の第3平面部157から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部155aと、基部153の第1平面部149から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部155bとを備えている。傾斜部155aの長さは傾斜部155bの長さと同じになっているので、頂部は補助ビット143の掘削方向又は孔壁方向の中央に位置する。換言すれば、頂部は補助ビット143の厚み方向の中間に位置する。
【0119】
図8(c)に示されるように、超硬チップ154の傾斜部154a,154bが連続する頂部と、超硬チップ155の傾斜部155a,155bが連続する頂部は、それぞれ基部153の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部153の先端において、超硬チップ154,155の間には、窪み部156が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0120】
各部の材質については、第1実施形態で前述した通りである。基部144,153には、硬質肉盛158が配設されている。
【0121】
以上説明した第1乃至第8実施形態では、補助ビットの上下2か所の超硬チップがいずれも中刃である例を示したが、外刃、内刃とすることも可能である。
【0122】
すなわち、第1実施形態を例に挙げて説明すると、第1実施形態では、補助ビット3の超硬チップ14の頂部は補助ビット3の掘削方向又は孔壁方向の中間に位置していた。換言すれば、頂部は、ツインビット1の厚み方向の中央に位置していた(中刃)。同様に、超硬チップ15の頂部は補助ビット3の掘削方向又は孔壁方向の中間に位置していた。換言すれば、頂部は、ツインビット1の厚み方向の中央に位置していた(中刃)。これを掘削方向又は孔壁方向のいずれかに寄せて、外刃、内刃とすることも可能である。
【0123】
以下、
図15(a)乃至
図15(d)を参照して、本発明の第1実施形態に係るツインビットの補助ビットをそれぞれ内刃、外刃とする例を示し説明する。
【0124】
先ず、
図15(a)及び
図15(b)は、補助ビットを内刃とした場合の構成例を示している。ここでは、説明を簡略化するために、第1実施形態と同一の構成については、
図1(a)乃至
図1(d)と同一符号を付して、説明を省略する。
【0125】
図15(a)、
図15(b)に示されるように、補助ビット303は、基部313を備える。この基部313は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット301の後端に向けて傾斜した傾斜部313aとなっており、傾斜部313aの傾斜面には、超硬チップ313bが配設されている。傾斜部313aには、脚部5,6の孔部12と連通する孔部が設けられている。
【0126】
基部313は、掘削方向、即ちツインビット301の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部313の先端、上下2カ所の山型形状部分には、超硬チップ314,315が、それぞれ配設されている。
【0127】
より具体的には、超硬チップ314は、基部313の先端の上部において、基部313の第3平面部317から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部314aと、前述した第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部314bとを備えている。傾斜部314aの長さは傾斜部314bの長さよりも長くなっているので、頂部は補助ビット303の第2平面10寄りに位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット303の厚み方向のメインビット302寄りに位置する。一方、超硬チップ315は、基部313の先端の下部において、基部313の前述した第3平面部317から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部315aと、基部313の第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部315bとを備えている。傾斜部315aの長さは傾斜部315bの長さよりも長くなっているので、頂部は補助ビット303の掘削方向又は孔壁方向の第2平面10寄りに位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット303の厚み方向のメインビット302寄りに位置する。
【0128】
超硬チップ314の傾斜部314a,314bが連続する頂部と、超硬チップ315の傾斜部315a,315bが連続する頂部は、それぞれ基部314の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部313の先端において、超硬チップ314,315の間には、窪み部316が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0129】
次に、
図15(c)及び
図15(d)は、補助ビットを外刃とした場合の構成例を示している。ここでは、説明を簡略化するために、第1実施形態と同一の構成については、
図1(a)乃至
図1(d)と同一符号を付して、説明を省略する。
【0130】
図15(c)、
図15(d)に示されるように、補助ビット403は、基部413を備える。この基部413は、後端部分が、掘削方向後方に向けて、即ちツインビット401の後端に向けて傾斜した傾斜部413aとなっており、傾斜部413aの傾斜面には、超硬チップ413bが配設されている。傾斜部413aには、脚部5,6の孔部12と連通する孔部が設けられている。
【0131】
基部413は、掘削方向、即ちツインビット401の先端側に向けて、上下部の2カ所の頂部が突出した所謂山型形状となっている。この基部413の先端、上下2カ所の山型形状部分には、超硬チップ414,415が、それぞれ配設されている。
【0132】
より具体的には、超硬チップ414は、基部413の先端の上部において、基部413の第3平面部417から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部414aと、前述した第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部414bとを備えている。傾斜部414aの長さは傾斜部414bの長さよりも短くなっているので、頂部は補助ビット403の第3平面417寄りに位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット403の厚み方向のメインビット402側とは反対側に寄った位置となる。一方、超硬チップ415は、基部413の先端の下部において、基部413の前述した第3平面部417から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部415aと、基部413の第2平面部10から掘削方向、頂部に向けて所定角度で立ち上がる傾斜部415bとを備えている。傾斜部414aの長さは傾斜部414bの長さよりも短くなっているので、頂部は補助ビット403の掘削方向又は孔壁方向の第3平面417寄りに位置する。換言すれば、頂部は、補助ビット403の厚み方向のメインビット402側とは反対側に寄った位置となる。
【0133】
超硬チップ414の傾斜部414a,414bが連続する頂部と、超硬チップ415の傾斜部415a,415bが連続する頂部は、それぞれ基部414の上下において掘削用のエッジを形成している。このほか、基部413の先端において、超硬チップ414,415の間には、窪み部416が形成されており、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することで、掘削効率を高めるのに寄与している。
【0134】
ここで、
図9(a)、
図9(b)から
図13(a)、
図13(b)には、本発明の実施形態に係るツインビットのケーシングへの取り付け例を示し説明する。
【0135】
図9(a)、
図9(b)には、メインビットがストレート形状且つ角度付形状であり、補助ビットが内側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが内刃で補助ビットが外刃のツインビット201と、メインビットが中刃で補助ビットも中刃のツインビット202と、メインビットが角度付の外刃で補助ビットが内刃のツインビット203と、メインビットが外刃で補助ビットが内刃のツインビット204とが、それぞれ装着されている。
【0136】
図10(a)、
図10(b)には、メインビットがストレート形状且つ角度付形状であり、補助ビットが外側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが角度付の外刃で補助ビットが内刃のツインビット205と、メインビットが外刃で補助ビットが内刃のツインビット206と、メインビットが中刃で補助ビットも中刃のツインビット207と、メインビットが内刃で補助ビットが外刃のツインビット208とが、それぞれ装着されている。
【0137】
図11(a)、
図11(b)には、メインビットがストレート形状で補助ビット外側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが外刃で補助ビットが外刃のツインビット209と、メインビットが外刃で補助ビットが中刃のツインビット210と、メインビットがストレート形状の内刃で補助ビットが内刃のツインビット211とが、それぞれ装着されている。
【0138】
図12(a)、
図12(b)には、メインビットがストレート形状で補助ビットが内側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが内刃で補助ビットが外刃のツインビット212と、メインビットが外刃で補助ビットが中刃のツインビット213と、メインビットがストレート形状の外刃で補助ビットが補助ビット内刃のツインビット214とが、それぞれ装着されている。
【0139】
図13(a)、
図13(b)には、メインビットがストレート形状又は角度付形状で補助ビットが外側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが内刃で補助ビットが外刃のツインビット215と、メインビットが角度付中刃で補助ビットも中刃のツインビット216と、メインビットが外刃で補助ビットが内刃のツインビット217が、それぞれ装着されている。
【0140】
図14(a)、
図14(b)には、メインビットがストレート形状又は角度付形状で補助ビットが内側付けである場合の取り付け例を示している。同図では、ケーシング200に、メインビットが外刃で補助ビットが内刃のツインビット218と、メインビットが角度付中刃で補助ビットも中刃のツインビット219と、メインビットが内刃で補助ビットが外刃のツインビット220が、それぞれ装着されている。
【0141】
最後に、前述した第1乃至第8実施形態のツインビットにおいて、下記のような設計を行うことも可能である。
【0142】
(a)メインビットと補助ビットの刃先位置について
全ての形状において、メインビットの刃先から25mm下に補助ビットの刃先が位置するように段違いの構成としてよい。メインビットの刃先の25mm下に補助ビットの刃先がある理由は、メインビットの刃先位置とケーシングの先端距離が50mmあり、ちょうどその中間位置(25mm下)に補助ビットの刃先が位置することで、メインビットでは掘削できない位置を補助ビットが掘削することを目的としていている為である。
【0143】
(b)インビットと補助ビットの幅設定について
メインビットの刃先幅80mmは、刃先部分の顎がホルダーに前後10mmずつ掛かるようにし、補助ビットの全幅60mmは、ちょうどホルダーの内部寸法に収まるようにしてもよい。掘削時に受ける1次の衝撃をメインビットで受けている為、補助ビットが受ける衝撃はおよそ30%程度軽減すると想定されることから、メインビットと補助ビットの幅比率を4:3に設定してよい。但し、この幅比率は掘削対象により変更可能である。
【0144】
(c)メインビットと補助ビットの厚さ設定について
メインビットストレート形状の厚さ40mmは最も一般的なビットの厚さである為、汎用性を鑑みて40mmとし、補助ビットの厚さ30mmは、幅設定と同様の理由により4:3の比率で設定してよい。但し、この厚さ比率は掘削対象により変更可能である。
メインビット角度付形状の厚さ50mmは、ストレート形状の刃先位置よりも10mm外側もしくは内側を掘削する事を目的としているため、補助ビットとの厚さ比率は5:3となっているが、この角度付形状は、ストレート形状と併用することでその効果を最大限発揮し、掘削時に受ける1次衝撃は単純に25%増という訳ではない。このメインビット角度付形状の厚さは掘削対象により変更可能である。
【0145】
(d)補助ビットのテーパー部について
補助ビットは、メインビットの内側もしくは外側に装着されているため、掘削対象にまともに接することになる。その為、補助ビットのテーパー部分には耐衝撃、耐摩耗のための超硬チップが取付けられている。尚、テーパー部分の角度に付いては、補助ビット厚みによって変わることは勿論である。
【0146】
(e)超硬チップ硬度について
メインビット、補助ビット共に、超硬チップの硬度は掘削対象に応じて変更可能であることは勿論である。前述したように、超硬チップ硬度は一般的なE種(JIS規格;粗粒種)のE7~E2と、G種(JIS規格;中粒種)のG5~G2を装着可能で、メインビットと補助ビットの超硬チップ硬度は同じでなくても良い。
例:掘削対象~超硬岩;メインビットE2+補助ビットE3
例:障害撤去~梁、柱、床等の鉄筋コンクリート;メインビットE6+補助ビットE5
【0147】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0148】
すなわち、本発明の実施形態によれば、メインビットと補助ビットを備え、前記メインビットと前記補助ビットは、いずれも基部の先端の少なくとも上下部に、掘削方向に突出した山形形状の超硬チップが配設されており、前記補助ビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部は、前記メインビットの前記超硬チップの前記山形形状の頂部よりも掘削方向後方に位置するツインビットが提供される。ここで、前記メインビットの前記山形形状の頂部は、前記掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置してよい。前記補助ビットの前記山形形状の頂部は、前記掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置してよい。前記メインビットは、前記基部に連続する2つの脚部を更に備え、前記補助ビットが併設されていない側の脚部は外面が所定の傾斜を有してよい。
【0149】
従って、第1に、掘削方向に対して垂直な方向にメインビットと補助ビットを併設し、メインビットの刃先に対して、補助ビットの刃先が、掘削方向後方に位置する、所謂段違いの構成とすることで、ケーシングの内板(もしくは外板)に掛かる負荷を軽減し、且つ単一の刃先での掘削時に発生する掘削土(もしくは切粉)の滞留を防ぎ、掘削効率を上げることが可能となる。
【0150】
第2に、メインビットの刃先の母材形状を、ストレート形状、あるいは母材に角度を持たせた傾斜形状のいずれかより選択可能とし、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整可能とすることで、両刃先の幅と掘削位置の角度が設定できるので、刃先の掘削位置が広がり、ケーシングの内板(もしくは外板)に掛かる負荷が更に軽減され、また、掘削土(もしくは切粉)の滞留がより軽減されるだけでなく、掘削土(もしくは切粉)の流れが上方に向かうように制御することが可能となる。
【0151】
第3に、刃先の基部(母材部分)に超硬チップを配設することで、耐摩耗性を高めることが可能となる。
【0152】
第4に、ツインビットは、両回転用であるので、正転掘削と逆転掘削の両方向掘削が可能となる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0154】
1…ツインビット、2…メインビット、3…補助ビット、4…基部、5,6…脚部、7,8…超硬ビット、9…第1平面部、10…第2平面部、11…窪み部、12…孔部、13…基部、14,15…超硬ビット、16…窪み部、17,18…硬質肉盛。
【要約】
【課題】メインビットと補助ビットからなり、メインビットの刃先位置と補助ビットの刃先位置を調整することで、これら2つの刃先の幅と掘削位置の角度を設定可能とする。
【解決手段】本発明のツインビット1は、メインビット2と補助ビット3を備え、メインビットと補助ビットは、いずれも基部4,13の先端の少なくとも上下部に、掘削方向に突出した山形形状の超硬チップ7,9,14,15が配設されており、補助ビットの超硬チップの山形形状の頂部は、メインビットの超硬チップの前記山形形状の頂部よりも掘削方向後方に位置する。メインビット2の山形形状の頂部は、掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置する。補助ビット3の山形形状の頂部は、掘削方向に垂直な方向である孔壁方向寄り、杭芯方向寄り、又は中央に位置する。
【選択図】
図1