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特許7181689ハードウェア拘束リモートセンタロボットマニピュレータのための冗長な軸及び自由度
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ハードウェア拘束リモートセンタロボットマニピュレータのための冗長な軸及び自由度
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20221124BHJP
【FI】
A61B34/35
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018000124
(22)【出願日】2018-01-04
(62)【分割の表示】P 2015515234の分割
【原出願日】2013-05-31
(65)【公開番号】P2018061853
(43)【公開日】2018-04-19
【審査請求日】2018-01-30
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】61/654,414
(32)【優先日】2012-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シェナ,ブルース マイケル
(72)【発明者】
【氏名】デヴェンジェンゾ,ローマン エル
(72)【発明者】
【氏名】エティンガー,ギャリー シー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥヴァル,ユージーン エフ
(72)【発明者】
【氏名】ディオライティ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメズ,ダニエル エイチ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】平瀬 知明
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2007/136090(JP,A1)
【文献】特開平6-261911(JP,A)
【文献】特開平7-136173(JP,A)
【文献】特開2009-106738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具を保持し、操作のリモートセンタを通って延びる挿入軸に沿って前記手術器具を挿入する手段と、
前記挿入軸とは異なるピッチ軸周りに前記手術器具を回転させる第1の手段と、
前記挿入軸及び前記ピッチ軸とは異なるヨー軸周りに前記手術器具を回転させる第2の手段と、
前記挿入軸、前記ピッチ軸、及び前記ヨー軸とは異なる冗長軸周りに前記手術器具を回転させる第3の手段と、
を有し、
前記ピッチ軸、前記ヨー軸、及び前記冗長軸のそれぞれは、前記操作のリモートセンタを通って延び、
前記の前記手術器具を保持し、前記手術器具を挿入する手段、前記第1の手段、前記第2の手段、及び前記第3の手段は、遠位から近位の方向に直列に配置される、
手術マニピュレータシステム。
【請求項2】
手術器具を保持し、操作のリモートセンタを通って延びる挿入軸に沿って前記手術器具を挿入する手段と、
前記挿入軸とは異なる冗長軸周りに前記手術器具を回転させる第1の手段と、
前記挿入軸及び前記冗長のそれぞれとは異なるピッチ軸周りに前記手術器具を回転させる第2の手段と、
前記挿入軸、前記冗長軸、及び前記ピッチのそれぞれとは異なるヨー軸周りに前記手術器具を回転させる第3の手段と、
を有し、
前記冗長軸、前記ピッチ軸、及び前記ヨー軸のそれぞれは、前記操作のリモートセンタを通って延び、
前記の前記手術器具を保持し、前記手術器具を挿入する手段、前記第1の手段、前記第2の手段、及び前記第3の手段は、遠位から近位の方向に直列に配置される、
手術マニピュレータシステム。
【請求項3】
前記ピッチ軸、前記ヨー軸、及び前記冗長のそれぞれとは異なるさらなる冗長軸周りに前記手術器具を回転させる第4の手段をさらに有し、前記さらなる冗長軸は前記操作のリモートセンタを通って延びる、
請求項1又は2に記載の手術マニピュレータシステム。
【請求項4】
前記ピッチ軸と前記ヨー軸は垂直である、
請求項1又は2に記載の手術マニピュレータシステム。
【請求項5】
前記挿入軸、前記ピッチ軸、前記ヨー軸、前記冗長軸、及び前記さらなる冗長軸のそれぞれとは異なる再配向軸周りに前記手術器具を回転させる第5の手段をさらに有し、
前記再配向軸は、前記操作のリモートセンタを通って延びる、
請求項3に記載の手術マニピュレータシステム。
【請求項6】
前記ヨー軸及び前記冗長軸は、垂直ではない、
請求項1又は2に記載の手術マニピュレータシステム。
【請求項7】
ベースを支持する手段をさらに有し、
前記の前記手術器具を保持し、前記手術器具を挿入する手段、前記第1の手段、前記第2の手段、及び前記第3の手段は、前記ベースによって支持される、
請求項1又は2に記載の手術マニピュレータシステム。
【請求項8】
手術器具を保持し、操作のリモートセンタを通って延びる挿入軸に沿って前記手術器具を挿入する手段と、
前記挿入軸とは異なるピッチ軸周りに前記手術器具を回転させる第1の手段と、
ヨー軸周りに前記第1の手段を回転させる第2の手段と、
冗長軸周りに前記第2の手段を回転させる第3の手段と、
を有し、
前記ピッチ軸、前記ヨー軸、及び前記冗長軸のそれぞれは、前記操作のリモートセンタを通って延びる、
手術マニピュレータ。
【請求項9】
前記ピッチ軸と前記ヨー軸は垂直である、
請求項8に記載の手術マニピュレータ。
【請求項10】
前記ヨー軸及び前記冗長軸は、垂直ではない、
請求項8に記載の手術マニピュレータ。
【請求項11】
前記ヨー軸は、前記ピッチ軸及び前記挿入軸のそれぞれとは異なる、
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の手術マニピュレータ。
【請求項12】
前記冗長軸は、前記ピッチ軸、前記ヨー軸、及び前記挿入軸のそれぞれとは異なる、
請求項8乃至11のいずれか1項に記載の手術マニピュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願第61/654,414号(2012年6月1日出願)の優先権を主張し、その全体は参照により本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
低侵襲医療技術は、診断又は外科手術中に損傷を受ける無関係な組織の量を低減することを目的としており、それによって患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を低減させる。例えば、低侵襲手術の1つの効果は、低減した手術後病院回復時間である。標準的な観血外科手術に対する平均入院期間は、類似の低侵襲手術に対する平均入院期間より長いので、低侵襲技術の利用増加は、毎年の病院費を何百万ドル節約することができる。米国で毎年行われる手術の多くが潜在的に低侵襲な方法で実行されることができるが、低侵襲手術器具の及びそれらを使いこなすことに関わる追加的な手術トレーニングの制限ために、現在の手術の一部しかこれらの有利な技術を使用していない。
【0003】
低侵襲ロボット手術又は遠隔手術システムは、外科医の器用さを増大させるように及び従来の低侵襲技術の制限の幾つかを避けるように、開発されている。遠隔手術では、外科医は、手で手術器具を直接握るとともに動かすのではなく、手術器具の動きを操作するために何らかの遠隔制御(例えば、サーボ機構等)を使用する。遠隔手術では、外科医は、手術ワークステーションにおいて手術部位の画像を提供され得る。ディスプレイで手術部位の2又は3次元画像を見ながら、外科医は、マスタ制御デバイスを操作することによって、患者に外科手術を行い、このマスタ制御デバイスは、サーボ機構的に操作されるスレーブ器具の動きを制御する。
【0004】
遠隔手術に使用されるサーボ機構はしばしば、(外科医の手のそれぞれに対する)2つのマスタコントローラからの入力を受け取るとともに、手術器具が取付けられる2以上のロボットアームを含み得る。マスタコントローラと、関連付けられるロボットアーム及び器具組立体との間の動作通信は、典型的には、制御システムによって達成される。制御システムは典型的には、少なくとも1つのプロセッサを含み、このプロセッサは、入力コマンドを、マスタコントローラから関連付けられるロボットアーム及び器具組立体に、並びに、例えば、フォースフィードバック等の場合に、器具及びアーム組立体から関連付けられるマスタコントローラに戻って中継する。ロボット手術システムの一例は、California州SunnyvaleのIntuitive Surgical, Inc.によって商品化されているDA VINCI(登録商標)システムである。
【0005】
種々の構造配置が、ロボット手術の間に手術部位で手術器具を支持するために使用されている。駆動されるリンク機構又は「スレーブ」は、しばしば、ロボット手術マニピュレータと呼ばれ、低侵襲ロボット手術の間にロボット手術マニピュレータとして使用するための例示のリンク機構配置は、特許文献1(2004年9月30日出願)、特許文献2(2002年4月26日出願)、特許文献3(1999年8月3日出願)及び特許文献4(1995年7月20日出願)に記載され、これらの全体の開示は本出願に参照によって援用される。これらのリンク機構はしばしば、シャフトを有する器具が取付けられる器具ホルダを操作する。このようなマニピュレータ構造は、器具シャフトの長さに沿って置かれる操作のリモートセンタ(遠隔中心)と交差するピッチ軸の周りの回転に制限される器具ホルダの動きを発生させる平行四辺形リンク部分を含むことができる。このようなマニピュレータ構造はまた、ピッチ軸と垂直であるとともに操作のリモートセンタとも交差するヨー軸周りの回転に制限される器具ホルダの動きを発生させるヨージョイントを含むことができる。操作のリモートセンタを、内部手術部位への切開点(例えば、腹腔鏡手術の間の腹壁でのトロカールまたはカニューレを用いて)と位置合わせすることにより、手術器具のエンドエフェクタが、腹壁に対して潜在的に危険な力をかけることなしに、マニピュレータリンク機構を用いてシャフトの近位端部を移動することによって安全に位置決めされることができる。代替のマニピュレータ構造は、例えば、特許文献5(2000年11月9日出願)、特許文献6(2002年1月16日出願)、特許文献7(1996年11月22日出願)、特許文献8(1996年9月9日出願)、特許文献9(1994年4月6日出願)及び特許文献10(1991年8月5日出願)に記載され、これらの全体の開示は本出願に参照によって援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,594,912号
【文献】米国特許第6,758,843号
【文献】米国特許第6,246,200号
【文献】米国特許第5,800,423号
【文献】米国特許第6,702,805号
【文献】米国特許第6,676,669号
【文献】米国特許第5,855,583号
【文献】米国特許第5,808,665号
【文献】米国特許第5,445,166号
【文献】米国特許第5,184,601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
新しい遠隔手術システム及び装置は非常に効果的且つ有利であることが証明されているが、なお更なる改良が望ましい。一般に、低侵襲ロボット手術を行うための改良された構造及びシステムを提供することが望ましい。より具体的には、これらのシステムの効率及び使いやすさを高めることが有益である。例えば、腹壁に対して潜在的に危険な力をかけることなしに、ロボット手術マニピュレータによって提供される動作の範囲を増大させることは特に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下は、本発明の基本的な理解を提供するために本発明の幾つかの実施形態の簡略化された概要を提供する。この概要は、本発明の広範囲にわたる概要ではない。本発明の鍵となる/重要な要素を識別することを又は本発明の範囲を説明することを意図するものではない。その唯一の目的は、本発明の幾つかの実施形態を、後述されるより詳細な説明への前置きとして簡略化された形態で提供することである。
【0009】
手術器具を支持するとともに、低侵襲ロボット手術の間に器具の所望の位置において、如何なるベアリング又は機械的な支持部からも離れて、操作の中心(センタ)を提供する、改良されたリモートセンタ(遠隔中心)マニピュレータが開示される。リモートセンタマニピュレータは、器具が操作のリモートセンタの周りで動くように拘束し、このリモートセンタは好ましくは、例えば患者の腹壁等、患者の入口切開部と一致する。多くの実施形態では、マニピュレータリンク機構は、(1)操作のリモートセンタを通過する第1の軸周りに手術器具をピッチ回転させる(pitch)ために使われる平行四辺形運動を発生させる回転結合されるジョイント、(2)操作のリモートセンタを通過する第2の軸周りに手術器具をロール回転させる(roll)ために使われる運動を発生させる回転結合されるリンク、及び(3)操作のリモートセンタを通過する関連する追加的な軸周りに回転するように結合された少なくとも1つの追加的なペアのリンク、を含む。操作のリモートセンタを通過することに加えて、関連する追加的な軸は、第1の軸にも第2の軸にも一致せず、したがって、1又は複数の追加的な軸周りの回転が、腹壁に対して潜在的に危険な力をかけることなしに、ロボット手術マニピュレータによって提供される動作の範囲を増大させるように使用されることを可能にする。
【0010】
したがって、1つの態様では、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータが開示される。手術器具は、細長いシャフトを含む。シャフトは、挿入軸に沿った患者の体腔への操作のリモートセンタを通る挿入用に構成される遠位作業端部構造を有する。リモートセンタマニピュレータは、患者に対して固定位置に保持されるように構成されるベースリンク、手術器具と結合するように構成される器具ホルダ、及び器具ホルダをベースリンクに結合するリンク機構、を含む。リンク機構の第1及び第2のリンクは、第1のリンクに対する第2のリンクの運動を操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転に制限するように、結合される。リンク機構はさらに、リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される3つの回転結合される回転ジョイントを含み、この平行四辺形運動によって器具ホルダの運動は、操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転に制限される。第2の軸は第1の軸と一致しない。リンク機構の第3及び第4のリンクは、第3のリンクに対する第4のリンクの運動を操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限するように、結合される。第3の軸は第1及び第2の軸のいずれとも一致しない。
【0011】
多くの実施形態では、第3と第4リンクとの間の結合部は、ベースリンクと、第1と第2のリンクとの間の結合部との間に配置される。このような実施形態では、第4のリンクの動きは、患者に対する操作のリモートセンタを動かすことなしに、リンク機構の大部分を再位置決めするように機能する。例えば、第3のリンクは、ベースリンクであり得る又は少なくともベースリンクに対して固定され得る。第4のリンクは、第1のリンクであり得る又は少なくとも第1のリンクに対して固定され得る。多くの実施形態では、第1の軸と第3の軸との間の角度は、10度から30度の間である。例えば、第1の軸と第3の軸との間の角度は、約15度である。多くの実施形態では、第1の軸及び第3の軸は、垂直又は実質的に(すなわち、許容可能な公差内で)垂直である。
【0012】
多くの実施形態では、第1の軸及び第2の軸は、垂直又は実質的に垂直である。このような構成は、器具ホルダの運動に対する、良い状態にある制御を提供する。
【0013】
多くの実施形態では、リンク機構は、中間円錐スイープ(sweep)ジョイントを含む。例えば、多くの実施形態では、リンク機構のリンクは、リンクの連続的に接続された組立体を形成する。第3のリンクは、第2のリンクと、リンクの連続的に接続された組立体の器具ホルダとの間に配置されることができる。そして、第4のリンクは、器具ホルダに対して固定されるものの少なくとも1つ又は器具ホルダであり得る。多くの実施形態では、リンク機構は、手術器具細長シャフトが第1の軸及び第3の軸によって定められる平面内にあるように、第3のリンクに対して第4のリンクを配向するように動作可能である。
【0014】
多くの実施形態では、リモートセンタマニピュレータは、リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される3つの回転結合される回転ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクを含む。そして、多くの実施形態では、方向付けされた湾曲部(oriented flexures)を持つサイン/コサインリンクは、リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される3つの回転結合される回転ジョイントの少なくとも1対を駆動結合する。
【0015】
他の態様では、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータが開示される。手術器具は、細長いシャフトを含む。シャフトは、操作のリモートセンタを通る患者の体腔への挿入用に構成される遠位作業端部を有する。リモートセンタマニピュレータは、取付ベース、円錐スイープリンク、及び第1乃至第4のリンクを含む。円錐スイープリンクは、円錐スイープリンク近位端部及び円錐スイープリンク遠位端部を有する。円錐スイープリンク近位端部は、操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転のために、取付ベースに結合される。第1のリンクは、第1のリンク近位端部及び第1のリンク遠位端部を有する。第1のリンク近位端部は、操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転のために、円錐スイープリンク遠位端部と結合される。第2の軸は第1の軸と一致しない。第2のリンクは、第2のリンク近位端部及び第2のリンク遠位端部を有する。第2のリンク近位端部は、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて第1のリンク遠位端部に回転結合される。第3のリンクは、第3のリンク近位端部及び第3のリンク遠位端部を有する。第3のリンク近位端部は、第2の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて第2のリンク遠位端部に回転結合される。第4のリンクは、手術器具を支持するように構成される。第4のリンクは、第3の平行四辺形リンク機構ジョイントによって第3のリンク遠位端部に回転結合される。第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントは、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントの回転が、操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限される第4のリンクの運動を発生させるように、回転結合される。第3の軸は、第1及び第3の軸のいずれとも一致しない。
【0016】
多くの実施形態では、第1の軸と第2の軸との間の角度は、10度から30度の間である。例えば、第1の軸と第2の軸との間の角度は、約15度であることができる。
【0017】
多くの実施形態では、円錐スイープリンクは、過度な重量なしに、ねじり及び曲げ負荷に対して剛となるように構成される。例えば、多くの実施形態では、円錐スイープリンクは、円錐スイープリンク第1端部を円錐スイープリンク第2端部に接続する円錐スイープリンク本体部分を有する。多くの実施形態では、円錐スイープリンク本体部分は、ボックス断面構造又はチューブ状構造を有する。
【0018】
多くの実施形態では、マニピュレータはさらに、操作のリモートセンタと交差する第4の軸周りの回転のために、第4のリンクを第3のリンク遠位端部に回転結合する円錐スイープジョイントを含む。第4の軸は、第1の軸、第2の軸、又は第3の軸のいずれとも一致しない。多くの実施形態では、円錐スイープジョイントは、手術器具細長シャフトが第2の軸及び第4の軸によって定められる平面内にあるように、第3のリンクに対して第4のリンクを配向するよう動作可能である。
【0019】
多くの実施形態では、マニピュレータは、第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクを含む。そして、多くの実施形態では、方向付けされた湾曲部を持つサイン/コサインリンクは、第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合する。
【0020】
他の態様では、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータが開示される。手術器具は、細長いシャフトを含む。シャフトは、操作のリモートセンタを通る患者の体腔への挿入用に構成される遠位作業端部を有する。リモートセンタマニピュレータは、取付ベース、及び第1乃至第5のリンクを含む。第1のリンクは、取付ベースに対して選択的に再位置決め可能となるように、取付ベースと結合される。第2のリンクに対する第1のリンクの運動は、操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転に制限される。第2のリンクは、第2のリンク近位端部及び第2のリンク遠位端部を有する。第2のリンク近位端部は、操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転のために、第1のリンクに結合される。第2の軸は第1の軸と一致しない。第3のリンクは、第3のリンク近位端部及び第3のリンク遠位端部を有する。第3のリンク近位端部は、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて第2のリンク遠位端部に回転結合される。第4のリンクは、第4のリンク近位端部及び第4のリンク遠位端部を有する。第4のリンク近位端部は、第2の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて第2のリンク遠位端部に回転結合される。第5のリンクは、手術器具を支持するように構成される。第5のリンクは、第3の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて第4のリンク遠位端部に回転結合される。第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントは、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントの回転が、操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限される第5のリンクの運動を発生させるように、回転結合される。第3の軸は、第1又は第2の軸のいずれとも一致しない。
【0021】
多くの実施形態では、取付ベースは、湾曲特徴部を含み、そこに第1のリンクは、第1のリンクが湾曲特徴部に沿って動くよう拘束されるように、連結される。湾曲特徴部は、操作のリモートセンタに対して一定の曲率半径を有する。
【0022】
多くの実施形態では、取付ベースは、そこに第1のリンクが連結される閉ループ湾曲特徴部を含む。第1のリンクは、閉ループ湾曲特徴部に沿って動くように拘束される。
【0023】
多くの実施形態では、マニピュレータは、第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクを含む。そして、多くの実施形態では、方向付けされた湾曲部を持つサイン/コサインリンクは、第1、第2、及び第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合する。
【0024】
本発明の性質及び利点のより完全な理解のために、次の説明及び添付の図面への参照がなされるべきである。本発明の他の態様、目的及び利点は、以下の図面及び詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】多くの実施形態による、手術を行うために使用される低侵襲性ロボット手術システムの平面図である。
図2】多くの実施形態による、ロボット手術システムのための外科医用制御コンソールの斜視図である。
図3】多くの実施形態による、ロボット手術システム電子装置カートの斜視図である。
図4】多くの実施形態による、ロボット手術システムを概略的に描く。
図5A】多くの実施形態による、ロボット手術システムの患者側カート(手術ロボット)の正面図である。
図5B】多くの実施形態による、ロボット手術ツールの正面図である。
図6】操作のリモートセンタを動かすことなしに器具ホルダを再配向するように動作可能である円錐スイープジョイントを含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図である。
図7】操作のリモートセンタを動かすことなしにマニピュレータの中心線を外れた部分を再配向するように動作可能である円錐スイープリンクを含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図である。
図8図6の円錐スイープジョイント及び図7の円錐スイープリンクを含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図である。
図9】操作のリモートセンタを動かすことなしにマニピュレータの中心線を外れた部分を再配向するように動作可能であるピッチリンク機構を含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図である。
図10図6の円錐スイープジョイント、図7の円錐スイープリンク、及び図9のピッチリンク機構を含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図である。
図11】操作のリモートセンタを動かすことなしにマニピュレータのリンク機構組立体を再配向するように動作可能である円錐スイープリンクを含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータを示す。
図12】操作のリモートセンタを動かすことなしに器具ホルダを再配向するように動作可能である円錐スイープジョイントを含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータを示す。
図13A】器具ホルダが異なる向きにある図8のリモートセンタマニピュレータを示す。
図13B】器具ホルダが異なる向きにある図8のリモートセンタマニピュレータを示す。
図13C】器具ホルダが異なる向きにある図8のリモートセンタマニピュレータを示す。
図14A】多くの実施形態による、図8のリモートセンタマニピュレータの2つの平行四辺形ジョイントを回転結合するために使用されることができるサイン/コサインリンクを示す。
図14B】多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの2つの平行四辺形ジョイントを回転結合するように使用されるリンクにおいて力に対抗して誘起される荷重を軽減するように働く方向付けされた湾曲部を示す。
図15】操作のリモートセンタに対して一定の曲率半径を有するとともに、それに沿って中心線を外れたリンク機構のベースリンクが再配向されることができる、湾曲特徴部を含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータを示す。
図16】ベースリンクが閉ループ湾曲特徴部に沿って動くよう拘束されるように中心線を外れたリンク機構のベースリンクが連結される閉ループ湾曲特徴部を含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータを示す。
図17】多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図であり、器具ホルダはリモートセンタを通るピッチ軸周りに回転されるとともにリモートセンタを通るヨー軸周りに回転され、ピッチ軸はヨー軸に対して非垂直である。
図18】多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図であり、図17のリモートセンタマニピュレータはさらに図9のピッチリンク機構を含む。
図19】多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの斜視概略図であり、図18のリモートセンタマニピュレータはさらに図6の円錐スイープジョイントを含む。
図20】多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータの側面図である。
図21図20のリモートセンタマニピュレータの上面図である。
図22】ピッチ軸を傾斜させることによって達成される図20のリモートセンタマニピュレータの作動空間包絡線の減少を示す。
図23】多くの実施形態による、操作のリモートセンタに対する器具ホルダの最大ピッチバックの形態の図20のリモートセンタマニピュレータの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態が説明される。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成及び詳細が記載される。しかし、本発明が特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者にもまた明白となるであろう。さらに、記載されている実施形態を曖昧にしないために、良く知られた特徴は省略又は簡略化され得る。
【0027】
低侵襲ロボット手術
ここで図面を参照すると、図1は、典型的には手術台14に横たわっている患者12に低侵襲診断又は外科手術を行うために使用される、低侵襲ロボット手術(MIRS)システム10の平面図である。図面において、同様の参照番号は同様の部分を表す。システムは、手術中に外科医18による使用のための外科医用コンソール16を含む。1人又は複数の助手20も手術に参加し得る。MIRSシステム10は、患者側カート22(手術ロボット)及び電子装置カート24をさらに含み得る。患者側カート22は、外科医18がコンソール16を通して手術部位を視認している間、患者12の身体の低侵襲性切開部を通る少なくとも1つの取り外し可能に結合されたツール組立体26(以降、単に「ツール」と呼ばれる)を操作することができる。手術部位の画像は、内視鏡28を位置決めするとともに方向付けするように患者側カート22によって操作され得る、立体内視鏡等の内視鏡28によって取得されることができる。電子装置カート24は、外科医用コンソール16を通じた外科医18への続く表示のために手術部位の画像を処理するために、使用され得る。一度に使用される手術ツール26の数は、概して、診断又は外科手術及び他要因の中でも手術室内の空間的制約に依存する。手術中に使用されているツール26の1又は複数を交換することが必要な場合、助手20は、患者側カート22からツール26を取外し、それを手術室のトレイ30からの別のツール26に交換し得る。
【0028】
図2は、外科医用コンソール16の斜視図である。この外科医用コンソール16は、奥行き知覚を可能にする手術部位の協調立体視を外科医18に提示するために左眼用ディスプレイ32及び右眼用ディスプレイ34を含む。コンソール16は、1又は複数の入力制御装置36をさらに含み、この装置36は、患者側カート22(図1に示される)に1又は複数のツールを操作させる。入力制御装置36は、テレプレゼンス(telepresence)を外科医に提供するために、それらの関連ツール26(図1に示される)と同じ自由度を提供することができる、又は外科医がツール26を直接制御する強い感覚を有するように、入力制御装置36がツール26と一体となる知覚を提供することができる。この目的のために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)が、ツール26からの位置、力、及び触感を、入力制御装置36を通じて外科医の手に返送するために使用され得る。各個別の入力制御装置36は、遠隔操作を可能にするよう対応するスレーブ手術ツールを制御するための人間によって制御されるマスタとして機能する。テレプレゼンス知覚は、この遠隔操作が、3次元で知覚される手術部位及び手術部位において見られるツールの画像と一致する位置でマスタに位置する外科医の手の表示と組み合わされるとき、可能になる。
【0029】
外科医用コンソール16は通常、外科医が、手術を直接監視し得るように、必要であれば物理的に存在し得るように、及び電話又は他の通信媒体ではなく直接助手に話し掛け得るように、患者と同じ部屋の中に配置される。しかし、外科医は、患者とは異なる部屋、全く異なる建物、又は遠隔手術を可能にする患者から離れた他の場所にいることができる。
【0030】
図3は、電子装置カート24の斜視図である。電子装置カート24は、内視鏡28と結合されることができ、外科医用コンソールで、或いは局所的に及び/又は遠隔に位置する別の適切なディスプレイで、外科医に等、その後の表示のために取り込まれた画像を処理するためのプロセッサを含み得る。例えば、立体内視鏡が使用される場合、電子装置カート24は、手術部位の協調立体画像を外科医に提示するために、取り込まれた画像を処理することができる。このような協調は、対向画像間の位置合わせを含み得るとともに、立体内視鏡の立体作動距離を調整することを含み得る。別の例として、画像処理は、光学収差等、画像取込装置の結像誤差を補償するために、以前に決定されたカメラ較正パラメータの使用を含み得る。
【0031】
図4は、ロボット手術システム50(図1のMIRSシステム10等)を図式的に示す。上述のように、外科医用コンソール52(図1の外科医用コンソール16等)が、低侵襲手術中に患者側カート(手術ロボット)54(図1の患者側カート22等)を制御するために外科医によって使用され得る。患者側カート54は、手術部位の画像を取込むとともに取込まれた画像を電子装置カート56(図1の電子装置カート24等)に出力するために、立体内視鏡等の撮像装置を使用することができる。上述のように、電子装置カート56は、後に続く表示の前に、種々の方法で取込まれた画像を処理することができる。例えば、電子装置カート56は、外科医用コンソール52を介して組み合わされた画像を外科医に表示する前に、取込まれた画像を仮想制御インターフェースと重ね合わせることができる。患者側カート54は、電子装置カート56の外部で処理するために取込まれた画像を出力することができる。例えば、患者側カート54は、取込まれた画像を処理するために使用され得る、プロセッサ58に取込まれた画像を出力することができる。画像はまた、共同して、連続して、及び/又はそれらの組み合わせで、取込まれた画像を処理するために一緒に結合され得る、電子装置カート56及びプロセッサ58の組み合わせによって処理されることもできる。1又は複数の別個のディスプレイ60も、手術部位の画像、又は他の関連画像等、画像の局所及び/又は遠隔表示のために、プロセッサ58及び/又は電子装置カート56と結合され得る。
【0032】
図5A及び5Bは、それぞれ、患者側カート22及び手術ツール62を示す。手術ツール62は、手術ツール26の例である。図示された患者側カート22は、3つの手術ツール26、及び手術の部位の画像の取込みに使用される立体内視鏡等の撮像装置28の操作を提供する。操作は、幾つかのロボットジョイントを有するロボット機構によって提供される。撮像装置28及び手術ツール26は、切開部のサイズを最小化するよう、運動学的リモートセンタ(遠隔中心)が切開部において保持されるように、患者の切開部を通って位置決めされ得るとともに操作され得る。手術部位の画像は、手術ツール26の遠位端部が撮像デバイス28の視野内に位置決めされるとき、手術ツール26の遠位端部の画像を含み得る。診断又は治療エンドエフェクタ63が典型的には手術器具長手シャフトの遠位端部にある。
【0033】
ハードウェア拘束リモートセンタマニピュレータ
図6は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ70の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ70は、取付ベース72から支持される。リモートセンタマニピュレータ70は、取付ベース72によって支持されるベースリンク74、ヨージョイント76、延長リンク78、ベース平行四辺形ジョイント80、第1の平行四辺形リンク82、第1の平行四辺形ジョイント84、第2の平行四辺形リンク86、第2の平行四辺形ジョイント88、円錐スイープ(sweep)機構90、及び器具ホルダ92を含む。器具ホルダ92は、挿入軸96に沿って手術器具94を支持するとともに並進移動させる(すなわち、器具ホルダ92は、手術器具94を挿入軸96に沿って患者の体壁の又は患者の自然の開口部の切開部で出入りさせる少なくとも1つの直進(直動)ジョイントを含む)。手術エンドエフェクタ95が手術器具94の遠位端部にある。エンドエフェクタは、治療の、診断の、又はイメージング手術装置を含む、任意の手術機能のためのものであり得る。エンドエフェクタのロールは、様々な既知の方法で行われ得る。例えば、器具ホルダ92又は器具94自体が、挿入軸96周りに器具シャフトがロールすることを可能にする器具シャフトロール能力を含み得る。代替例として、シャフトは、ロールにおいて静止したままであり得るとともに、エンドエフェクタが器具シャフトの端部においてロールする。
【0034】
取付ベース72は、ベースが(地面記号によって示されるような)地面基準フレームで事実上動かないままであるように、リモートセンタマニピュレータ70がカートマウント、天井マウント、床/固定マウント、又は他の取り付け面のセットアップアームによって取付けられるとともに支持されることを可能にする。リモートセンタマニピュレータ70は、手術器具94が操作されるとき、操作のリモートセンタ(RC)が取付ベース72に対して動かないように構成される。取付ベース72を患者に対して固定位置及び配向で支持することによって、操作のリモートセンタ(RC)は、患者に対して固定されて保持され、それによって、手術器具94のためのエントリポイントを提供する。患者に対して固定された操作のリモートセンタ(RC)を用いて、手術器具94の操作が、手術器具94のエントリ位置において患者の組織に潜在的に危険な力をかけるリスクなしで達成されることができる。手術器具がカニューレを通過する実施形態では、操作のリモートセンタは、典型的には、カニューレの中心線に沿ったポイントに定められるが、幾つかの実施形態では、カニューレは任意選択であり得る。
【0035】
ヨージョイント76は、延長リンク78の近位端部をベースリンク74の遠位端部に回転結合する。ヨージョイント76は、操作のリモートセンタ(RC)を通って延びるヨー軸98周りの延長リンク78の制御された回転(ロール)を発生させるように動作可能である。器具ホルダ92は延長リンク78にリモートセンタマニピュレータ70の間にあるリンク機構構成要素を介して結合されるので、ヨー軸98周りの延長リンク78の回転(ロール)は、ヨー軸98周りの器具ホルダ92の対応する回転を発生させ、それによって、ヨージョイント76の全ての角度配向に対して、取付ベース72に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置及び配向を維持する。用語「ヨー」は任意であり、この用語の下では、操作のリモートセンタ(RC)を静止させるために、ヨー軸98周りの回転は、手術器具94の遠位先端を、ヨーとして定義された方法で動かすことが分かる。
【0036】
リモートセンタマニピュレータ70の平行四辺形リンク機構部分100は、操作のリモートセンタ(RC)と交差するピッチ軸102周りの回転に制限される器具ホルダ92の運動を発生させるように構成される。器具ホルダ92の対応する運動をピッチ軸102周りの回転(ピッチ)に制限することによって、挿入軸96は操作のリモートセンタ(RC)と絶えず交差するとともに、器具ホルダ92と操作のリモートセンタ(RC)との間の距離は維持される。用語「ピッチ」は任意であり、この用語の下では、操作のリモートセンタ(RC)を静止させるために、ピッチ軸102周りの回転は、手術器具94の遠位先端をピッチとして定義された方法で動かすことが分かる。
【0037】
平行四辺形リンク機構部分100は、平行四辺形ベースジョイント80、第1の平行四辺形リンク82、第1の平行四辺形ジョイント84、第2の平行四辺形リンク86、第2の平行四辺形ジョイント88、円錐スイープ機構90、及び器具ホルダ92を含む。ベース平行四辺形ジョイント80は、第1の平行四辺形リンク82の近位端部を延長リンク78の遠位端部に回転結合する。ベース平行四辺形ジョイント80は、ピッチ軸102と平行であるベースジョイント軸104周りの第1の平行四辺形リンク82の制御された回転を発生させるように動作可能である。ベースジョイント軸104の位置及び配向は、延長リンク78に対して固定される。第1の平行四辺形ジョイント84は、ピッチ軸102と平行である第1のジョイント軸106周りの第2の平行四辺形リンク86の回転のために、第2の平行四辺形リンク86の近位端部を第1の平行四辺形リンク82の遠位端部に回転結合する。第1のジョイント軸106の位置及び配向は、第1の平行四辺形リンク82に対して固定される。第2の平行四辺形ジョイント88は、ピッチ軸102と平行である第2のジョイント軸108周りの円錐スイープ機構90の回転のために、円錐スイープ機構90の近位端部を第2の平行四辺形リンク86の遠位端部に回転結合する。第2のジョイント軸108の位置及び配向は、第2の平行四辺形リンク86に対して固定される。器具ホルダ92は円錐スイープ機構90の遠位端部に結合されるため、器具ホルダ92は、第2のジョイント軸108周りに回転するように拘束される。
【0038】
第1及び第2の平行四辺形ジョイント84、88は、ベース平行四辺形ジョイント80に回転結合されるので、ベース平行四辺形ジョイント80の作動は、平行四辺形リンク機構部分100を作動させ、それによってピッチ軸102周りの回転に制限される器具ホルダ92の対応する運動を発生させる。任意の適切なアプローチが、ベース平行四辺形ジョイント80、第1の平行四辺形ジョイント84、及び第2の平行四辺形ジョイント88を回転結合するために使用されることができる。例えば、ベース平行四辺形ジョイント80は、延長リンク78に回転固定されるとともにベースジョイント軸104周りに第1の平行四辺形リンク82に対して回転するように取り付けられるベースプーリを含むことができる。第1の平行四辺形ジョイント84は、第2の平行四辺形リンク86に回転固定されるとともに第1のジョイント軸106周りに第1の平行四辺形リンク82に対して回転するように取り付けられる第1のプーリを含むことができる。例えば1又は複数の駆動ベルト或いは1又は複数のリンクにより、第1のプーリの回転を第2のプーリの回転と結び付けることによって、第1の平行四辺形リンク82に対する第2の平行四辺形リンク86の回転は、第2の平行四辺形リンク86と延長リンク78との間の同じ相対配向が、延長リンク78に対する第1の平行四辺形リンク82の全ての角度配向に対して維持されるように、延長リンク78に対する第1の平行四辺形リンク82の回転によって駆動されることができる。同様の方法で、第1の平行四辺形ジョイント84は、第1の平行四辺形リンク82に回転固定されるとともに第1のジョイント軸106周りに第2の平行四辺形リンク86に対して回転するように取り付けられる第3のプーリを含むことができる。第2の平行四辺形ジョイント88は、円錐スイープ機構90の近位端部に回転固定されるとともに第2のジョイント軸108周りに第2の平行四辺形リンク86に対して回転するように取り付けられる第4のプーリを含むことができる。例えば1又は複数の駆動ベルト或いは1又は複数のリンクにより、第3のプーリの回転を第4のプーリの回転と結び付けることによって、第2の平行四辺形リンク86に対する円錐スイープ機構90の回転は、挿入軸96と第1の平行四辺形リンク82との間の同じ相対配向が、第1の平行四辺形リンク82に対する第2の平行四辺形リンク86の全ての角度配向に対して維持されるように、第1の平行四辺形リンク82に対する第2の平行四辺形リンク86の回転によって駆動されることができる。
【0039】
円錐スイープ機構90は、近位円錐スイープリンク110及び円錐スイープジョイント112を含む。円錐スイープジョイント112は、円錐スイープジョイント112の作動が、操作のリモートセンタ(RC)と交差する円錐スイープ軸114周りに近位円錐スイープリンク110に対して器具ホルダ92を再配向するように、器具ホルダ92を近位円錐スイープリンク110に回転結合する。円錐スイープジョイント112の回転は、手術器具のシャフト94を、円錐スイープ軸114に中心を置かれるとともに操作のリモートセンタ(RC)に頂点を有する円錐の表面に沿って動かす。円錐スイープ軸114周りの器具ホルダ92の再配向は、隣接する手術マニピュレータ及び/又は患者との衝突回避のため、又は外科の職員が無菌の手術野にアクセスすることを可能にするよう体壁において増加したスペースを提供するため等、任意の適切な目的のために使用されることができる。円錐スイープ軸114周りの器具ホルダ92の再配向はまた、患者に対する器具ホルダ92の利用可能な運動範囲を広げるために使用されることができる。円錐スイープ軸114は、その周りで器具ホルダ92が操作のリモートセンタ(RC)の周りを回転することができる1つの冗長軸を提供する。円錐スイープ軸114は、ヨー軸98、ピッチ軸102、又は挿入軸96のいずれとも一致しない。しかし、動作中、円錐スイープ軸114とヨー軸98との間の角度は、リモートセンタマニピュレータ70が関節接合されるので、変化することができる。円錐スイープ機構90は、オプションであり、ここに記載された様々なマニピュレータの実施形態に含まれ得る又は同マニピュレータとともに無くてもよい。この説明のために、円錐スイープ機構90は、マニピュレータのより近位に位置する他の円錐スイープ機構(例えば、他の「近位」円錐スイープ機構が示される図8参照)と区別するために、遠位円錐スイープ機構とみなされ得る。
【0040】
図7は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ120の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ120は、図6のリモートセンタマニピュレータ70と同じ構成要素の幾つかを含む。共有の構成要素は、取付ベース72、ベースリンク74、ヨージョイント76、延長リンク78、ベース平行四辺形ジョイント80、第1の平行四辺形リンク82、第1の平行四辺形ジョイント84、第2の平行四辺形リンク86、第2の平行四辺形ジョイント88、及び器具ホルダ92を含む。リモートセンタマニピュレータ120は、円錐スイープ機構90を含まない。代わりに、第2の平行四辺形ジョイント88は、第2のジョイント軸108周りの第2の平行四辺形リンク86に対する器具ホルダ92の回転のために、器具ホルダ92を第2の平行四辺形リンク86に回転結合する。
【0041】
リモートセンタマニピュレータ120は、円錐スイープ機構122をさらに含む。円錐スイープ機構122は、円錐スイープジョイント124及び円錐スイープジョイント124によってベースリンク74に回転結合される円錐スイープリンク126を含む。円錐スイープジョイント124は、操作のリモートセンタ(RC)と交差する円錐スイープ軸128周りに円錐スイープリンク126を選択的に回転させるように動作可能である。円錐スイープリンク126の遠位端部はヨージョイント76を支持する。円錐スイープリンク126は、ヨー軸98が円錐スイープ軸128周りの円錐スイープリンク126の全ての配向に対して、操作のリモートセンタ(RC)と交差するよう、ヨージョイント76を位置決め及び配向するように構成される。円錐スイープ機構122は、取付ベース72に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置を維持しながら、取付ベース72に対するリモートセンタマニピュレータ120の中心線を外れた(outboard)リンク機構を再配向するよう動作可能である。円錐スイープジョイント124の回転は、手術器具のシャフト94を、円錐スイープ軸128に中心を置かれるとともに操作のリモートセンタ(RC)に頂点を有する円錐の表面に沿って動かす。円錐スイープ機構122は、例えば、手術に先立ってリモートセンタマニピュレータ120の中心線を外れた部分を位置決め/配向するために使用される及び/又は手術中に能動的にリモートセンタマニピュレータ120の中心線を外れた部分を位置決め/配向するために使用されるセットアップジョイントとして等、任意の適切な方法で使用されることができる。円錐スイープ軸128は、その周りで器具ホルダ92が操作のリモートセンタ(RC)の周りを回転することができる冗長自由度の軸を提供する。円錐スイープ軸128は、ヨー軸98、ピッチ軸102、又は挿入軸96のいずれとも一致しない。円錐スイープ軸128は、任意の適切な角度(例えば1実施形態では15度)だけヨー軸98からオフセットされる(ずらされる)ことができる。再び図6を参照すると、円錐スイープ機構122は、オプションであり、ここに記載された様々なマニピュレータの実施形態に含まれ得る又は同マニピュレータとともに無くてもよい。この説明のために、円錐スイープ機構122は、マニピュレータのより遠位に位置する他の円錐スイープ機構(例えば、他の「遠位」円錐スイープ機構が示される図8参照)と区別するために、近位円錐スイープ機構とみなされ得る。
【0042】
円錐スイープ機構122に付随するジョイントは、動力式又は非動力式であることができ、動力式の場合、遠隔操作機能の一部として能動外科医制御の下にあることができる又は手術室の他の人によって受動的に制御されることができる。外科医以外の人によって受動的に制御される場合、円錐スイープ機構は、手術前及び/又は手術中に手術のためにリモートセンタマニピュレータを適切に位置決めするためのセットアップ構造の一部として使用されることができる。幾つかの実施形態では、スイッチ(押しボタン、ロッカ等)が、マニピュレータのより遠位の部分を所望の位置に動かすよう、円錐スイープ機構122の運動を制御する。そして、円錐スイープ機構122は、まるまる360度以上回転し得る、又はその回転は360度未満に制限され得る。例えば、一実施形態では、回転は、真っ直ぐ上の(12時の)位置と真っ直ぐ下の(6時の)位置との間で、約180度の範囲内に制限される。2つ以上の同様に構成されたリモートセンタマニピュレータが互いに隣り合って配置される場合、それぞれの円錐スイープ機構122は、衝突を排除するのを助けるために、同様の弧を通って回転するように拘束され得る。例えば、それぞれの円錐スイープ機構122は、12時から3時を通って6時に移動する弧のいずれかの位置に回転するように拘束される。他の実施形態では、円錐スイープ機構122は、(例えば、機械的負荷位置に応じてモータトルクを制御するよう電流を制御することによる、機械的負荷をバランスさせるようスプリングを使用することによる等)重力補償バランス機能を備え、この重力補償バランス機能は、簡単な手での位置決めのために、機械的な負荷を事実上重量無しに又は低重量にする。重力補償バランスの実施形態では、ブレーキが、典型的は、開放されるまで所定位置にマニピュレータを保持し、開放されるまでの時に、人がマニピュレータを所望の位置に動かし、そして、その後、マニピュレータを新しい位置に保持するためにブレーキを再び用いる。
【0043】
セットアップ作業のための使用に加えて、円錐スイープ機構122はまた、手術器具94の外科医の能動遠隔操作制御に結び付けられ得る。したがって、円錐スイープ機構の運動は、外科医の制御入力の結果として又は、例えば、第2のマニピュレータ、患者、又は他の手術室設備等の近くのものとの衝突回避の結果として、自動的に生じ得る。
【0044】
本願に開示されるリモートセンタマニピュレータの様々な態様は、任意の適切な方法で組み合わされることができる。例えば、図8は、図6のリモートセンタマニピュレータ70及び図7のリモートセンタマニピュレータ120両方の態様を含む、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ130の斜視概略図である。具体的には、リモートセンタマニピュレータ130は、円錐スイープ機構122、円錐スイープ機構90、及び平行四辺形リンク機構部分100を含む。結果として、リモートセンタマニピュレータ130は、2つの冗長自由度軸、具体的には円錐スイープ軸144及び円錐スイープ軸128を有し、それらの周りで、器具ホルダ92は操作のリモートセンタ(RC)周りに回転することができる。円錐スイープ軸144及び円錐スイープ軸128のそれぞれは、ヨー軸98、ピッチ軸102、又は挿入軸96のいずれとも一致しない。
【0045】
図6-8に示されたリモートセンタマニピュレータの実施形態は、ヨー軸及び付随する円錐スイープ軸をそれぞれ持つ1又は複数の円錐スイープ機構を含み、これらの回転軸は全て操作のリモートセンタと位置合わせされるので、結果として得られる冗長自由度は、リモートセンタマニピュレータが様々な異なる形態に置かれるとき、器具シャフトが空間内に(すなわち、ベース72に関連付けられる地面基準フレーム内に)静止したままでいることを可能にする。さらに、上述の器具エンドエフェクタロールにより、エンドエフェクタ配向が挿入軸96と一致しない場合、エンドエフェクタ配向もまた、リモートセンタマニピュレータが様々な形態に置かれるとき、空間内に静止して保たれることができる。このようなリモートセンタマニピュレータは、ハードウェア構成が、患者に対して操作のリモートセンタが動くことを防ぐハードウェア拘束されるロボット手術マニピュレータの患者の安全性に関する利益を維持し、このようなマニピュレータは、個別の器具位置に対する様々な形態を可能にする、隣接マニピュレータ、患者、他の設備、及び外科の人員との衝突を避けるのに有用である機能の、マニピュレータと患者との間の増大した間隔を提供する、及び器具が患者に入る手術野への増大したアクセスを提供する利点を加える。
【0046】
平行四辺形リンク機構部分100が挿入軸96を軸98に対して垂直でなく位置決めする場合、ジョイント76が回転するとき、器具94もまた、円錐スイープ機構が上述のように回転するような器具94の運動と同様の方法で、操作のリモートセンタに頂点を持つ軸96に中心が置かれた円錐の表面に沿って動く。したがって、これらの特徴は、冗長「ヨータイプ」自由度、-回転軸が操作のリモートセンタと交差するので、任意にそのように呼ばれる-、を提供する。しかし、本発明の態様によるハードウェア拘束されるリモートセンタマニピュレータは、ヨータイプの冗長自由度に限定されるものではない。
【0047】
図9は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ140の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ140は、図6のリモートセンタマニピュレータ70と同じ構成要素の幾つかを含む。共有の構成要素は、取付ベース72、ベースリンク74、ヨージョイント76、延長リンク78、ベース平行四辺形ジョイント80、第1の平行四辺形リンク82、第1の平行四辺形ジョイント84、第2の平行四辺形リンク86、第2の平行四辺形ジョイント88、及び器具ホルダ92を含む。描かれるリモートセンタマニピュレータ140は、円錐スイープ機構90を含まない。代わりに、第2の平行四辺形ジョイント88は、第2のジョイント軸108周りの第2の平行四辺形リンク86に対する器具ホルダ92の回転のために、器具ホルダ92を第2の平行四辺形リンク86に回転結合する。リモートセンタマニピュレータ140はさらに、操作のリモートセンタ(RC)と交差する軸144周りにリモートセンタマニピュレータ140の中心線を外れた部分を再配向するように動作可能である再配向機構142を含む。再配向機構142は、ベース146及び操作のリモートセンタ(RC)に対して一定の半径を有する湾曲経路に沿ってベース146に対して結合されるとともに再配向可能である可動リンク148を含み、それによって、器具ホルダ92の対応する運動を操作のリモートセンタ(RC)周りの回転に制限する。図示された実施形態では、軸144は、ピッチ軸102と一致する。したがって、図示されたように、平行四辺形リンク機構部分及び再配向機構142はそれぞれ独立して、冗長自由度を提供するように、器具94を一致する軸102、144周りに操作のリモートセンタ(RC)で回転させる。そして、リモートセンタマニピュレータ140のハードウェア設計は、器具を操作のリモートセンタ(RC)で回転するよう物理的に拘束する。当業者は、他の機械的な構造が再配向機構142のために概略的に図示されるとともに説明された機能を提供するために使用され得ることを、理解するであろう。さらに、リモートセンタマニピュレータ140が追加的な冗長自由度を有するように、再配向機構142と同様の機能を有する1又は複数の追加的な再配向機構が、ベース72と器具ホルダ92との間の機構の中に挿入されてもよい。
【0048】
再配向機構142はまた、軸144が、ピッチ軸102と揃わない(一致しない)ように構成されることができる。例えば、再配向機構142は、軸144が挿入軸96と一致するように構成されることができる、及び軸144がピッチ軸102及び/又は挿入軸96のいずれかに対して任意の適切な角度になるように構成されることができる。
【0049】
再配向機構142に付随するジョイントは、動力式又は非動力式であることができ、動力式の場合、能動外科医制御又は手術室の人員による受動制御の下にあることができる。受動制御下の場合、再配向機構142は、手術のためにリモートセンタマニピュレータを適切に位置決めするために手術前のセットアップジョイントとして使用されることができる、及び/又は取付ベース72に対して、したがって患者及びそこで器具94が患者に入る切開部に対して、操作のリモートセンタ(RC)の位置を維持しながら中心線を外れたリンク機構を能動的に再配向するように手術中に使用されることができる。幾つかの受動制御の実施形態では、スイッチ(例えば、オン/オフ押しボタン、スプリングロッカ等)が再配向機構142の運動を制御するので、人はリモートセンタマニピュレータを所望の位置に動かすように制御を操作する。他の受動制御の実施形態では、再配向機構は、重力補償バランス機能(例えば、機械的負荷位置に応じてモータ電流を制御することによる補償)を備えるので、マニピュレータは、事実上重量無しであるように感じ、手で容易に動かすことができる。例えば、ブレーキが、開放されるまで所定位置に再配向機構142を保持することができ、この開放されるまでのポイントにおいて、人が再配向機構を容易に再配向することができ、そして、その後、マニピュレータを所定位置に保つためにブレーキを再び用いる。
【0050】
図10は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ150の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ150は、図8のリモートセンタマニピュレータ130及び図9のリモートセンタマニピュレータ140の両方の態様を含む。具体的には、リモートセンタマニピュレータ150は、再配向機構142、円錐スイープ機構122(これは任意選択で含まれなくてもよい)、円錐スイープ機構90(これは任意選択で含まれなくてもよい)、及び平行四辺形リンク機構部分100を含む。結果として、リモートセンタマニピュレータ150は、3つの冗長自由度(円錐スイープ機構の1つが取り除かれる場合より少ない;追加的な円錐スイープ機構又は再配向機構が加えられる場合より多い)を有し、これらの自由度は、(再配向機構142によって駆動される)軸144、(円錐スイープ機構90によって駆動される)円錐スイープ軸114、及び(円錐スイープ機構122によって駆動される)円錐スイープ軸128周りに回転する能力によってもたらされる。軸144は、リモートセンタマニピュレータ150のピッチ軸102と一致しないが、軸144は、代替実施形態においてピッチ軸102と一致することができる。
【0051】
再配向機構142及び円錐スイープ機構122のそれぞれは、手術に先立ってセットアップジョイントとして使用されることができる及び/又は取付ベース72に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置を物理的に拘束しながら、したがって、患者に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置を保ちながら、手術中に中心線を外れたリンク機構を能動的に再配向するために使用されることができる。セットアップ構造の一部としての再配向機構142の使用は上述され、円錐スイープ機構122は同様に使用されることができる。
【0052】
リモートセンタマニピュレータの様々な実施形態は、それぞれ少し狭いので、これらのマニピュレータの2以上が、手術ロボットに互いに隣り合って配置されることができ、隣接するマニピュレータ間の間隔は、効果的な手術器具配置のためにそれぞれのマニピュレータが他の器具の近くで器具を制御することを可能にするよう減少されることができる。
【0053】
図11は、多くの実施形態による、ハードウェア拘束されるリモートセンタマニピュレータ160を示す。リモートセンタマニピュレータ160は、ベースリンク162、円錐スイープリンク164、平行四辺形ベースリンク166、平行四辺形第1リンク168、平行四辺形第2リンク170、取外し可能な手術器具(図示せず;器具シャフトは、器具ホルダ172の遠位端部に結合されて示されるカニューレ173を貫通する)を支持するように構成される器具ホルダ172、及び円錐スイープジョイント174を含む。多くの実施形態では、ベースリンク162は、リモートセンタマニピュレータ160によって手術を受けている患者に対して固定位置に保持される。円錐スイープリンク164は、円錐スイープリンク近位端部176を有し、この近位端部176は、器具シャフトが通過するカニューレの中心線に沿って定められる操作のリモートセンタ(RC)と交差する第1の軸178周りのベースリンク162に対する円錐スイープリンク164の回転のために、ベースリンク162に取り付けられる。円錐スイープリンク164は、第1の軸178からオフセットされる円錐スイープリンク遠位端部180及び円錐スイープリンク近位端部176を円錐スイープリンク遠位端部180に接続する円錐スイープリンクボディ部分182を有する。
【0054】
円錐スイープリンク164の中心線を外れた(遠位の)マニピュレータ160のリンク機構は、リモートセンタ(RC)周りの器具ホルダ172の2次元回転に制限される器具ホルダ172の選択的に運動を提供するように構成される(手術器具は図示されていない)。ここではヨーと呼ばれる、リモートセンタ(RC)周りの器具ホルダ172の第1の方向の回転に関して、平行四辺形ベースリンク166は、これもまたリモートセンタ(RC)と交差する第2の軸186周りの円錐スイープリンク遠位端部180に対する回転のために、円錐スイープリンク遠位端部180に取り付けられる近位端部184を有する。円錐スイープリンク遠位端部180に対して平行四辺形ベースリンク166を選択的に回転させることによって、平行四辺形ベースリンク166の中心線を外れたマニピュレータ160のリンク機構もまた第2の軸186周りに選択的に回転させられ、それによって第2の軸186周りに器具ホルダ172を選択的に回転させる。
【0055】
ここではピッチと呼ばれる、リモートセンタ(RC)周りの器具ホルダ172の第2の方向の回転に関して、器具ホルダ172並びに平行四辺形第1及び第2リンク168、170は、第2の軸186に対して及び平行四辺形リンク機構の運動面に対して実質的に垂直である軸周りのリモートセンタ(RC)周りの回転に制限する器具ホルダ172の運動を提供する平行四辺形リンク機構を形成するように、結合される。平行四辺形第1リンク168は、第1の平行四辺形ジョイント192を介して平行四辺形ベースリンク166の遠位端部190と回転結合される近位端部188を有する。平行四辺形第2リンク170は、第2の平行四辺形ジョイント198を介して平行四辺形第1リンク168の遠位端部196と回転結合される近位端部194を有する。器具ホルダ172は、第3の平行四辺形ジョイント202を介して平行四辺形第2リンク170の遠位端部200と結合される。第2及び第3の平行四辺形ジョイント198、202は、第1の平行四辺形リンク168、第2の平行四辺形リンク170、及び器具ホルダ172が平行四辺形リンク機構を形成するように、第1の平行四辺形ジョイント192の回転によって回転駆動される。図示された位置では、第1の平行四辺形リンク168は、第1と第2の平行四辺形ジョイント192、198との間に延びる第1の平行四辺形の辺204を定め;第2の平行四辺形リンク170は、第2と第3の平行四辺形ジョイント198、202との間に延びる第2の平行四辺形の辺206を定め;器具ホルダ172は、第3の平行四辺形ジョイント202とリモートセンタ(RC)との間に延びる第3の平行四辺形の辺208を定める。平行四辺形リンク機構の運動を説明するために、回転した第1の平行四辺形の辺204Rが示され、これは平行四辺形ベースリンク166に対する第1の平行四辺形リンク168の対応する回転した位置を示し、再位置決めされた第2及び第3の平行四辺形の辺206R、208Rが示され、これらはそれぞれ、第1の平行四辺形リンク168の回転した位置に対応する、第2の平行四辺形リンク170及び器具ホルダ172の位置を示す。図示されるように、平行四辺形ベースリンク166に対する第1の平行四辺形リンク168の回転は、第3の平行四辺形の辺208の遠位端部が操作のリモートセンタ(RC)と一致したままであるように、器具ホルダ172を動かす働きをし、それによって、器具ホルダ172を第2の軸186に対して実質的に垂直な軸周りにピッチ回転させる。
【0056】
円錐スイープリンク164の中心線を外れたマニピュレータ160のリンク機構は、操作される手術器具のシャフトが第2の軸186(ヨー軸)と一致するとき、固有の特異点を有する。手術器具シャフトが第2の軸186と一致しないときでさえ、手術器具シャフトと第2の軸186との間の角度が小さい(例えば、15度以下)とき、運動学的な調整は乏しい。手術器具シャフト及び第2の軸186をそろえるのに必要な程度に平行四辺形リンク機構を延ばすことに対する他の実際的な制限は、マニピュレータ160の結果として得られる長さが手術室環境での使用に対して不必要に長くなり得ることである。
【0057】
前述の問題に対処するために、平行四辺形リンク機構の運動は、例えば、第2の軸186に対する手術器具シャフトの角度が少なくとも適切な角度(例えば、約15度)と等しくなるよう拘束されるように、制限されることができる。しかし、このような角度制限を用いると、第2の軸186の任意の特定の位置及び配向に関して、手術器具の先端が到達できない円錐体積がある。したがって、円錐スイープ機構122は、アクセスできない円錐体積を外科医が作業するのに興味がない患者の中の場所に配置するように、第2の軸186の再位置決めする及び再配向する方法を提供する。円錐スイープ機構122はまた、第2の軸186周りの器具ホルダ172の回転の代替として、器具ホルダ172を第1の軸178周りに回転させるために使用されることができる。
【0058】
ハードウェア拘束されるリモートセンタマニピュレータの冗長軸及び付随する冗長自由度は、マニピュレータが手術器具を、ジョイント角度の1より多い可能な組み合わせのいずれか1つを使って別個の位置に位置決めすることを可能にする。冗長軸(冗長自由度を提供するジョイントの軸)はしたがって、隣接するマニピュレータ、患者の解剖学的構造、又は設備(手術台等)との衝突を避けるために使用されることができる。冗長軸が操作のリモートセンタ(RC)を通過するよう機械的に拘束されるとき、冗長軸は、手術中、患者に対して操作のリモートセンタ(RC)を動かすリスクなしに再配向されることができる。
【0059】
円錐スイープジョイント174は、第2の平行四辺形リンク170の遠位端部200を器具ホルダ172に結合する。円錐スイープジョイント174は、リモートセンタ(RC)と交差する第3の軸210周りに第2の平行四辺形リンク170に対して器具ホルダ172の配向を選択的に変更するように動作可能である。第2の平行四辺形リンク170に対して器具ホルダ172の配向を変化させる能力は、器具ホルダ172と隣接するマニピュレータとの間の干渉を避けるために、器具ホルダ172と患者との間の干渉を避けるために、及び器具ホルダ172の運動範囲を増大させるために、使用されることができる。図示された実施形態では、第3の軸210は、第3の平行四辺形の辺208と一致し、それによって、第3の平行四辺形の辺208は第3の軸210周りの器具ホルダ172の回転に応じて長さが変化しないことを確実にする。
【0060】
図12はさらに、円錐スイープジョイント174を示す。図示されるように、第3の軸210は、器具ホルダ172によって支持される手術器具(図示せず)の中心線228と一致せず、この中心線228に沿って手術器具は挿入されるとともに引き抜かれ、この中心線228の周りで手術器具シャフトはロールする。第3の軸210と中心線228との間の角度オフセットは、リモートセンタ(RC)に対して手術器具を再配向するよう円錐スイープジョイント174の回転を可能にし、それによって、手術器具が患者内の異なる領域に到達することを可能にする。そして、上述のように、平行四辺形機構のピッチ運動機能の組み合わせで、円錐スイープジョイント174の回転は、運動のリモートセンタ(RC)に関して手術器具の位置及び配向を保持し、隣接する器具ホルダ/手術器具との干渉を避けるよう器具ホルダ172の再位置決めを可能にする。
【0061】
図13A図13B、及び図13Cは、円錐スイープジョイント174が提供する運動の範囲を示す。図13Aでは、円錐スイープジョイント174は、器具ホルダ172が第2の平行四辺形リンク170と整列する、中心に位置合わせされた形態にある。図13Bでは、円錐スイープジョイント174は、一方向に完全に回転されて示され、それによって器具ホルダ172は図示された方向に配向している。そして、図13Cでは、円錐スイープジョイント174は、反対方向に完全に回転されて示され、それによって器具ホルダ172を図示された反対方向に配向している。図示されるように、円錐スイープジョイント174によって提供される器具ホルダ172の異なる可能な配向は、器具ホルダ172によって支持される手術器具(図示せず)のための対応する異なる挿入方向を提供するのに役立つ。同様に、円錐スイープジョイント174が提供する冗長自由度は、各個別の器具位置に対するマニピュレータのある範囲のジョイント位置を可能にする。図示されていないが、図11に示された近位円錐スイープジョイントが同様の機能を提供することを理解することができる。加えて、共に機能する2つの円錐スイープジョイントは、器具を静止したままにしながら、ヨージョイント及び平行四辺形機構を一方の側又は他方にオフセットさせることができる。器具ボディに対してエンドエフェクタをロールさせること(例えば、シャフトのエンドエフェクタをロールさせること、又は取り付けられたエンドエフェクタとともにシャフト全体をロールさせること)は、マニピュレータが動くとき、エンドエフェクタを空間内で静止させたままにすることを可能にする。したがって、遠隔手術中、冗長自由度の利点を利用するマニピュレータの動きは、外科医に透明であり、この外科医は、如何なる対応する手術エンドエフェクタの動きも知覚しない。
【0062】
図14Aは、幾つかの実施形態のマニピュレータ160の第2の平行四辺形ジョイント198及び第3の平行四辺形ジョイント200を回転結合する第1のサイン/コサインリンク228及び第2のサイン/コサインリンク230を示す。第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230は、リンク228、230が平行四辺形ジョイント198、200に結合される方法を反映するように名づけられる。第2の平行四辺形ジョイント198において示されるように、第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230と第2の平行四辺形ジョイント198との間の接続は、90度だけオフセットされ、第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230と第3の平行四辺形ジョイント200との間の接続は同様に構成される。90度の接続オフセットが好ましいが、他のオフセット角度もまた使用されることができる。接続オフセットは、第2と第3の平行四辺形ジョイント228、230との間にトルクを伝達するのに必要なオフセットを常に有するように、リンク228、230の少なくとも一方が、第1及び第2の平行四辺形ジョイント198、200の両方を通過する中心線232から常にオフセットされることを確実にする。第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230のそれぞれの各端部を平行四辺形ジョイント198、200に同じ角度配向及び半径方向距離で接続することによって、第2と第3の平行四辺形ジョイント198、200との間の移動又は回転運動が、確実且つ滑らかな方法で達成されることができる。
【0063】
多くの実施形態では、第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230の長さは、第2及び第3の平行四辺形ジョイント198、200との結合ポイントの間の長さにより良く適合するように調整可能である。リンク機構は運動学的に過度に拘束されるので、長さ、角度、又は作業半径のような機械的な構成要素の幾何学的な偏差は、高い力及び/又は幾つか又は全ての構成要素に抵抗する力の発生をもたらし得る。第1のサイン/コサインリンク228は、第1の近位部分234及び第1の遠位部分236を含み、これらは第1のリンクジョイント238において一緒に留められる。同様に、第2のサイン/コサインリンク230は、第2の近位部分240及び第2の遠位部分242を含み、これらは第2のリンクジョイント244において一緒に留められる。第1のリンク及び第2のリンクジョイント238、244は、第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230のそれぞれの長さがそれらが設置される第2の平行四辺形リンク170の特有の長さに適合するよう変化できるように構成される。例えば、第1のリンク近位部分234及び第1のリンク遠位部分236は、最初に、第2の平行四辺形ジョイント198及び第3の平行四辺形ジョイント200に、それぞれ接続されることができ、次に、それらが設置される第2の平行四辺形リンク170の特有の長さに適合するよう互いに第1のリンクジョイント238を介して結合されることができる。
【0064】
図14Bは、マニピュレータ160の第1の平行四辺形ジョイント192及び第2の平行四辺形ジョイント198を回転結合する第3のサイン/コサインリンク246及び第4のサイン/コサインリンク248を示す。第3及び第4のサイン/コサインリンク246、248は、第1及び第2のサインコサインリンク228、230と同様に構成されるとともに平行四辺形ジョイント192、198に結合されるので、同じ説明が当てはまり、ここでは繰り返さない。図14Bは、方向付けされた湾曲部250、252を示し、これらは、第3及び第4のサイン/コサインリンク246、248における動作可能な力-抵抗レベルを減らすように構成される(及びまた、第1及び第2のサイン/コサインリンク228、230における動作可能な力-抵抗レベルを減らすように使用されることができる)。方向付けされた湾曲部250、252のそれぞれは、方向付けされた湾曲部が取り付けられたサイン/コサインリンクと整列する(第2の平行四辺形ジョイント198への第4のサイン/コサインリンク248の接続において示されるように)硬い配向及び方向付けされた湾曲部が取り付けられたサイン/コサインリンクに垂直に配向される(第1の平行四辺形ジョイント192への第3のサイン/コサインリンク246の接続において示されるように)柔軟な配向を有する片持ち梁として構成される。方向付けされた湾曲部250、252は、取り付けられたサイン/コサインリンクが、トルクの伝達のための最大の機械的利点を提供するとき、提供される荷重経路の剛性が最大化されるように、及び取り付けられたサイン/コサインリンクが、トルクの伝達のための最小の機械的利点を提供するとき、提供される荷重経路の剛性が最小化されるように構成される。
【0065】
図14A及び14Bに示されたようなサイン/コサインリンクの使用は、オプションであり、上述のように他の良く知られた方法(例えば、歯車、ベルト等)が、平行四辺形機構を適切に機能させるように、平行四辺形リンクを結合するために存在する。
【0066】
図15は、操作のリモートセンタ(RC)を通る冗長軸及び付随する冗長な機械的な自由度の実装のための他のアプローチを示す。図15は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ260を示し、このリモートセンタマニピュレータは、操作のリモートセンタ(RC)に対して一定の曲率半径を有する湾曲特徴部264を含む取付ベース262を含み、この湾曲特徴部に沿ってマニピュレータ260の中心線を外れた(近位の)リンク機構のベースリンク266が再位置決めされることができる。中心線を外れたリンク機構はベースリンク266に取り付けられ、このベースリンク266は、操作のリモートセンタ(RC)と交差する第1の軸268周りの回転のための「ヨー」ジョイント特徴部を含む。ベースリンク266は、ベースリンク266が湾曲特徴部264に沿って選択的に再位置決めされるように拘束され、したがって、患者に対して固定位置で保持される取付ベース262に対して操作のリモートセンタ(RC)の位置を保持するように、湾曲特徴部264と連結される。湾曲特徴部264は、ベースリンク266の運動が操作のリモートセンタ(RC)と交差する第2の軸270周りの回転に制限されるように構成される。湾曲特徴部264に沿ってベースリンク266の位置を変化させることによって、患者に対するマニピュレータ260の中心線を外れるリンク機構の配向は変更されることができ、それによって、リモートセンタマニピュレータ260によって操作される手術器具の増大した運動範囲を提供する。平行四辺形機構272は、軸274周りの回転を提供する。平行四辺形機構全体が軸268周りに回転するとき、軸270及び軸274は一致させられることができることが分かる。さらに、図15に示された実施形態は、図9に示された実施形態の構成と同様であることが分かり、平行四辺形機構140及び272は類似し、ヨージョイント76及び266は同様である。
【0067】
図16は、操作のリモートセンタ(RC)を通る冗長軸の実装のための他のアプローチを示し、付随する冗長な機械的な自由度を提供する。図16は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ280を示し、このリモートセンタマニピュレータは、内部でマニピュレータ280の中心線を外れた(遠位)リンク機構のベースリンク286が再位置決めされることができる、閉ループ湾曲特徴部284を含む取付ベース282を含む。図示されるように、中心取付要素285は閉ループ湾曲特徴部284の内部で回転する。ベースリンク286は、操作のリモートセンタに向かって少し内側へ配向されるように、中心取付要素285に取り付けられる。中心線を外れたリンク機構は、操作のリモートセンタ(RC)と交差する第1の軸288周りの回転のためにベースリンク286に取り付けられる。閉ループ湾曲特徴部284は、湾曲特徴部284の周りのベースリンク286の全ての位置に対して、操作のリモートセンタ(RC)の位置は、患者に対して固定されて保持される取付ベース282に対して固定されたままであるように、構成される。閉ループ湾曲特徴部284は、円形且つ操作のリモートセンタ(RC)と交差する第2の軸290周りに軸対称である。閉ループ湾曲特徴部284周りにベースリンク286の位置を変更することによって、患者に対するマニピュレータ280の中心線を外れたリンク機構の配向は変更されることができ、それによって、増大した運動範囲、アームとアーム又はアームと周囲の衝突回避、及び/又はリモートセンタマニピュレータ280のための運動学的な特異点回避を提供する。「部分円」特徴部又は取付ベースが円の一部を移動するのみである完全円形特徴部も使用されることができる。湾曲特徴部284及びその付随する中心取付特徴部285は、円錐スイープジョイントとして機能することがわかる。したがって、図16に示された実施形態は、図7に示された実施形態と同様であり、円錐スイープジョイント122及び284は類似し、ヨージョイント76及び286は類似する。
【0068】
図17は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ300の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ300は、図6のリモートセンタマニピュレータ70と同じ構成要素の幾つかを含む。共有の構成要素は、取付ベース72、ベースリンク74、ヨージョイント76、ベース平行四辺形ジョイント80、第1の平行四辺形リンク82、第1の平行四辺形ジョイント84、第2の平行四辺形リンク86、第2の平行四辺形ジョイント88、及び器具ホルダ92を含む。リモートセンタマニピュレータ300はまた、円錐スイープ組立体90(図示せず)を含むことができる。リモートセンタマニピュレータ300は、平行四辺形リンク機構部分100をヨー軸98からオフセットするオフセット延長リンク302を含み、それによって、ピッチ軸102をヨー軸98に対して非垂直に配向する。ヨー軸98から平行四辺形リンク機構部分100をオフセットすることは、リモートセンタマニピュレータ300がヨージョイント76の配向によってヨー軸98周りに回転するとき、リモートセンタマニピュレータ300によってスイープされる体積を減らすために使用されることができ、それによって、患者に対する隙間を増大させる及び/又は隣接するリモートセンタマニピュレータに対する隙間を増大させる。限定しない例として、オフセット角度は、幾つかの実施形態において2.7度である。オフセットによって提供される追加的な隙間は小さいように見えるが、幾つかのこのようなマニピュレータが典型的には、患者に挿入される器具を制御するために接近して位置するので、その隙間は手術中にかなり大きくなることができる。さらにいっそう大きいと、患者から増大した隙間は、患者内の器具エンドエフェクタに関する増大した運動範囲を可能にすることができ、これは、治療目的で組織に到達することが必要である場合、外科医が、ほんの少しだけ遠くに到達することを可能にする。
【0069】
図18は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ310の斜視概略図である。リモートセンタマニピュレータ310は、図17のリモートセンタマニピュレータ300及び図9のリモートセンタマニピュレータ140両方の態様を含む。具体的には、リモートセンタマニピュレータ310は、再配向機構142、オフセット延長リンク302、及び平行四辺形リンク機構部分100を含む。結果として、リモートセンタマニピュレータ310は、1つの冗長軸及び付随する自由度、具体的には、その周りで器具ホルダ92が操作のリモートセンタ(RC)の周りに回転させられることができる軸144(図示された実施形態では、ピッチ軸102と整列していない)を有する。再配向機構142は、手術の前のセットアップジョイントとして使用されることができる及び/又は取付ベース72に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置を保持しながら、したがって、患者に対する操作のリモートセンタ(RC)の位置を保持しながら、手術中に中心線を外れた(遠位の)リンク機構を能動的に再位置決めするために使用されることができる。
【0070】
ここに開示されるリモートセンタマニピュレータの態様の任意の適切な組み合わせが用いられることができる。例えば、リモートセンタマニピュレータは、再配向機構142、円錐スイープ機構122、オフセット延長リンク302、及び円錐スイープ機構90の任意の適切な組み合わせを含むことができる。図19は、再配向機構142、オフセット延長リンク302、平行四辺形リンク機構部分100、及び円錐スイープ機構90を含むリモートセンタマニピュレータ312を示す。
【0071】
図20は、多くの実施形態による、リモートセンタマニピュレータ320を示す。マニピュレータ320は、現場で交換可能であるように構成される5つのユニットを含む。5つの現場交換可能ユニット(FRU)は、ヨー/ピッチ駆動組立体322、延長部近位端部326及び延長部遠位端部328を有する延長部324、第1のリンク近位端部332及び第1のリンク遠位端部334を有する第1の平行四辺形リンク330、第2のリンク近位端部338及び第2のリンク遠位端部340を有する第2の平行四辺形リンク336、並びに器具ホルダ342を含む。
【0072】
ヨー/ピッチ駆動組立体322は、取付ベース344、及び取付ベース344に対して固定位置を有する操作のリモートセンタ(RC)と交差するヨー軸348周りに回転するように取付ベース344に結合されるヨー/ピッチハウジング346を含む。取付ベース344は、リモートセンタマニピュレータ320が、カートマウント、天井マウント、フロア/固定マウント、又は他の取り付け面のセットアップアーム/ジョイントによって取付けられるとともに支持されることを可能にする。取付ベース344を患者に対する固定位置及び配向で支持することによって、操作のリモートセンタ(RC)は患者に対して固定して保持され、それよって、手術器具のエントリ位置において患者の組織に潜在的に危険な力を及ぼすことなしに操作されることになる器具ホルダ342によって保持される手術器具のためのエントリポイントを提供する。ヨー/ピッチ駆動組立体322は、取付ベース344に対してヨー/ピッチジョイント346を選択的に回転させるように動作可能であり、それによって、器具ホルダ342が、取付ベース344に対して操作のリモートセンタ(RC)を動かすことなしにヨー軸周り348に回転される(ヨー回転される)ように、リモートセンタマニピュレータ320の中心線を外れた部分を回転させる。
【0073】
延長部324は、リモートセンタマニピュレータ320の平行四辺形リンク機構部分のベースジョイント350に対する支持を提供する。延長部近位端部326は、ヨー/ピッチハウジング346に固定して取付けられる。第1のリンク近位端部332は、第1の平行四辺形リンク330が延長部324に対して第1のオフセットピッチ軸352周りに回転するように、ベースジョイント350を介して延長部遠位端部328と結合される。第1の平行四辺形リンク330は、第1の平行四辺形リンク330が延長部324からオフセットされた運動平面内を動くように、延長部324の一側にオフセットされ、したがって、延長部324と干渉することなしに、延長部324と整列するように回転するとともに延長部324を超えることができる。
【0074】
リモートセンタマニピュレータ320の平行四辺形リンク機構部分は、第1の平行四辺形リンク330、第2の平行四辺形リンク336、及び器具ホルダ342を含む。第2のリンク近位端部338は、第2の平行四辺形リンク336が、第1のオフセットピッチ軸352に対して平行であるとともに第1のリンク遠位端部334に対して固定される第2のオフセットピッチ軸356周りに第1の平行四辺形リンク330に対して回転するように、第1の中間ジョイント354を介して第1のリンク遠位端部334に結合される。第2の平行四辺形リンク336は、第2の平行四辺形リンク336が第1の平行四辺形リンク330からオフセットされた運動平面内を動くように、第1の平行四辺形リンク330の一側にオフセットされ、したがって、第1の平行四辺形リンク330と干渉することなしに、第1の平行四辺形リンク330と整列するように回転するとともに第1の平行四辺形リンク330を超えることができる。器具ホルダ342は、器具ホルダ342が、第1のオフセットピッチ軸352に対して平行であるとともに第2のリンク遠位端部340に対して固定される第3のオフセットピッチ軸360周りに第2の平行四辺形リンク336に対して回転するように、第2の中間ジョイント358を介して第2のリンク遠位端部340に結合される。第1及び第2の中間ジョイント354、358のそれぞれの回転は、第1の平行四辺形リンク330、第2の平行四辺形リンク336、及び器具ホルダ342が平行四辺形リンク機構として動くように拘束されるように、ベースジョイント350の回転と結び付けられ、それによって、操作のリモートセンタ(RC)と交差するピッチ軸362周りに器具ホルダを回転(ピッチ回転)させる。
【0075】
器具ホルダ342は、手術器具が取付けられるキャリッジ組立体364を含む。器具ホルダ342は、挿入軸366に沿ってキャリッジ組立体364を平行移動させるように動作可能である挿入駆動機構を含み、それによって、操作のリモートセンタ(RC)を通る手術器具の挿入を制御する。手術器具は典型的にはカニューレ368を通過し、このカニューレは、器具ホルダ342の遠位端部に取り付けられ、このカニューレに関して、操作のリモートセンタ(RC)は軸366と一致する中心線に沿って定められる。
【0076】
図21は、リモートセンタマニピュレータ320の上面図を示す。図示されるように、ヨー軸348及びピッチ軸366は、90度以外の角度で角度オフセットされる。図示された実施形態では、ヨー軸348及びピッチ軸366は、87.3度で角度オフセットされる。ヨー軸348及びピッチ軸366を90度以外の角度でオフセットすることによって、ヨー軸348周りの回転に関するリモートセンタマニピュレータ320の動作空間包絡線(スイープされる体積)は、ヨー軸348とピッチ軸366との間の90度角度オフセットの使用に対して、減少する。ヨー軸348周りの回転に関するリモートセンタマニピュレータ320のスイープされる体積の減少は、図22に示される。図示された実施形態に関して、87.3度の角度オフセットは、7.95インチのベースジョイント350における直径を有する比較的小さいスイープされる体積368を生じさせる。比較すると、ピッチ軸366から90度の角度オフセットを有するヨー軸370が使用されるとき、それは、8.98インチのベースジョイント350における直径を有する比較的大きいスイープされる体積372を生じさせる。したがって、87.3度の角度オフセットの使用は、上述のように、手術の実行に対してかなり大きくなり得る追加的な患者隙間を約0.5インチ生じさせる。
【0077】
図23は、器具ホルダ342が最大量までピッチバックされた(pitched back)リモートセンタマニピュレータ320の側面図である。図示された形態では、第1の平行四辺形リンク330は、延長リンク324と位置合わせされるところをちょうど過ぎた位置に回転され、第2の平行四辺形リンク336は、第1の平行四辺形リンク330と位置合わせされるところをちょうど過ぎた位置に回転され、それによって、挿入軸366をヨー軸348に対する垂線374から75度の角度オフセットに配向する。リモートセンタマニピュレータ320は、例えば、器具ホルダ342がヨー/ピッチハウジング346と接触しないように延長リンク324の長さを増加させることによって、さらに大きい最大ピッチバック角度を達成するように構成されることができるが、得られる追加的なピッチバック角度は、挿入軸366とヨー軸348との間の角度が15度未満に減少するとき、操作のリモートセンタ(RC)に対する器具ホルダ342のヨー回転に関するリモートセンタマニピュレータ320の運動学が、次第に不完全に条件付けられるようになることを考えれば、実用的な値にならないかもしれない。
【0078】
他の変形形態は本発明の精神の中にある。したがって、本発明は、様々な変更形態及び代替構造が可能であるが、幾つかの説明された実施形態は図面に示されるとともに詳細に記載されている。しかし、本発明を特定の形態又は開示された形態に限定する意図はなく、それどころか、全ての修正、代替構造、及び添付の特許請求の範囲に定められるように、本発明の精神及び範囲内に属する均等物をカバーすることを意図していることが理解されるべきである。
【0079】
本発明を記載する文脈における(特に以下の請求項の範囲の文脈における)用語“a”、“an”、“the”(1つの、ある)、及び同様の指示対象の使用は、本願に示されない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、単数形及び複数形の両方を包含するように解釈されるべきである。用語「有する、含む、備える(“comprising”、“having”、“including”、及び“containing”)」は、記載されない限りオープンエンドタームとして(すなわち、「含んでいるが限定されない」ことを意味する)解釈されるべきである。用語「接続される」は、たとえ何かが介在していても、部分的に又は完全に中に含まれる、取り付けられる、又は一緒に結合されるとして解釈されるべきである。本願における値の範囲の列挙は、本願に明記しない限り、範囲に入るそれぞれの独立した値を個別に参照する省略表現方法として機能することが単に意図され、それぞれの独立した値は、それが本願に個別に参照されるように、明細書に組み込まれる。本願に記載された全ての方法は、本願に明記されない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、任意の適切な順番で実行され得る。任意の及び全ての例、又は本願に用いられる例示的な言語(例えば、「等」)の使用は、本発明の実施形態をより良く明らかにすることを単に意図し、特許請求の範囲に記載されない限り、本発明の範囲の限定をもたらさない。明細書の言語は、本発明の実施に必須であるような任意の請求項に記載されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0080】
本発明を実施するために発明者に知られているベストモードを含む、本発明の好適な実施形態がここに記載されている。これらの好適な実施形態の変形形態は、前述の記載を読むことで当業者に明らかになり得る。発明者は、熟練した職人がこのような変形形態を適切に用いることを予期し、発明者は発明が、本願に具体的に記載されるものとは違う他の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、全ての修正形態及び適用される法律によって許されるように添付された特許請求の範囲に記載された主題の均等物を含む。さらに、それらの全ての可能な変形形態の上述の構成要素の任意の組み合わせが、本願に明記されない限り又は文脈によって明らかに否定されない限り、本発明によって包含される。
【0081】
本願に引用された、出版物、特許出願、特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々に且つ明確に示されるような、並びに且つ完全に本願に述べられているような、同じ程度まで、参照により本願に組み込まれる。
【0082】
なお、本発明に係るリモートセンタマニピュレータは、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータであって、前記手術器具は、細長いシャフトを含み、前記シャフトは、挿入軸に沿った患者の体腔への操作のリモートセンタを通る挿入用に構成される遠位作業端部構造を有し、前記リモートセンタマニピュレータは:前記患者に対して固定位置に保持されるように構成されるベースリンク;前記手術器具と結合するように構成される器具ホルダ;及び前記器具ホルダを前記ベースリンクに結合するリンク機構であって、前記リンク機構の第1及び第2のリンクは、前記第1のリンクに対する前記第2のリンクの動きを前記操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転に制限するように、結合され、前記リンク機構はさらに、前記リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される3つの回転結合される回転ジョイントを含み、前記平行四辺形運動によって前記器具ホルダの運動は、前記操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転に制限され、前記第2の軸は前記第1の軸と一致せず、前記リンク機構の第3及び第4のリンクは、前記第3のリンクに対する前記第4のリンクの動きを前記操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限するように、結合され、前記第3の軸は前記第1及び前記第2の軸のいずれとも一致しない、リンク機構;を有してよい。
【0083】
また、前記第3のリンクは、前記ベースリンクに対して固定されるものの少なくとも1つ又は前記ベースリンクであり、前記第4のリンクは、前記第1のリンクに対して固定されるものの少なくとも1つ又は前記第1のリンクであってよい。
【0084】
さらに、前記第1の軸と前記第3の軸との間の角度は、10度から30度の間であってよい。
【0085】
また、前記第1の軸と前記第3の軸との間の角度は、約15度であってよい。
【0086】
また、前記第1の軸と前記第3の軸は、実質的に垂直であってよい。
【0087】
また、前記第1の軸と前記第3の軸は、垂直であってよい。
【0088】
また、前記第1の軸と前記第2の軸は、実質的に垂直であってよい。
【0089】
また、前記第1の軸と前記第2の軸は、垂直であってよい。
【0090】
また、前記リンク機構の前記リンクは、リンクの連続的に接続された組立体を形成し、前記第3のリンクは、前記リンクの連続的に接続された組立体において前記第2のリンクと前記器具ホルダの間に配置されてよい。
【0091】
また、前記第4のリンクは、前記器具ホルダに対して固定されるものの少なくとも1つ又は前記器具ホルダであってよい。
【0092】
また、前記リンク機構は、前記手術器具細長シャフトが前記第1の軸及び前記第3の軸によって定められる平面内にあるように、前記第3のリンクに対して前記第4のリンクを配向するよう動作可能であってよい。
【0093】
また、前記リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される前記3つの回転結合される回転ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクをさらに有してよい。
【0094】
また、方向付けされた湾曲部を持つサイン/コサインリンクをさらに有し、前記サイン/コサインリンクは、前記リンク機構の拘束された平行四辺形運動を発生させるように構成される前記3つの回転結合される回転ジョイントの少なくとも1対を駆動結合してよい。
【0095】
また、本発明に係るリモートセンタマニピュレータは、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータであって、前記手術器具は、細長いシャフトを含み、前記シャフトは、操作のリモートセンタを通る患者の体腔への挿入用に構成される遠位作業端部を有し、前記リモートセンタマニピュレータは:取付ベース;円錐スイープリンク近位端部及び円錐スイープリンク遠位端部を有し、前記円錐スイープリンク近位端部は、前記操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転のために前記取付ベースに結合される、円錐スイープリンク;第1のリンク近位端部及び第1のリンク遠位端部を有し、前記第1のリンク近位端部は、前記操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転のために前記円錐スイープリンク遠位端部と結合され、前記第2の軸は前記第1の軸と一致しない、第1のリンク;第2のリンク近位端部及び第2のリンク遠位端部を有し、前記第2のリンク近位端部は、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて前記第1のリンク遠位端部に回転結合される、第2のリンク;第3のリンク近位端部及び第3のリンク遠位端部を有し、前記第3のリンク近位端部は、第2の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて前記第2のリンク遠位端部に回転結合される、第3のリンク;及び前記手術器具を支持するように構成され、第3の平行四辺形リンク機構ジョイントによって前記第3のリンク遠位端部に回転結合される、第4のリンク;を有し、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントは、前記第1の平行四辺形リンク機構ジョイントの回転が、前記操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限される前記第4のリンクの運動を発生させるように、回転結合され、前記第3の軸は、前記第1又は前記第3の軸のいずれとも一致しなくてもよい。
【0096】
また、前記第1の軸と前記第2の軸との間の角度は、10度から30度の間であってよい。
【0097】
また、前記第1の軸と前記第2の軸との間の角度は、約15度であってよい。
【0098】
また、前記円錐スイープリンクは、前記円錐スイープリンク第1端部を前記円錐スイープリンク第2端部に接続する円錐スイープリンク本体部分を有し、前記円錐スイープリンク本体部分は、包囲されたセル断面構造を有してよい。
【0099】
また、前記操作のリモートセンタと交差する第4の軸周りの回転のために、前記第4のリンクを前記第3のリンク遠位端部に回転結合する円錐スイープジョイントをさらに有し、前記第4の軸は、前記第1の軸、前記第2の軸、又は前記第3の軸のいずれとも一致しなくてよい。
【0100】
また、前記円錐スイープジョイントは、前記手術器具細長シャフトが前記第2の軸及び前記第4の軸によって定められる平面内にあるように、前記第3のリンクに対して前記第4のリンクを配向するよう動作可能であってよい。
【0101】
また、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクをさらに有してよい。
【0102】
また、方向付けされた湾曲部を持つサイン/コサインリンクをさらに有し、前記サイン/コサインリンクは、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合してよい。
【0103】
また、本発明に係るリモートセンタマニピュレータは、低侵襲ロボット手術の間に手術器具の位置を拘束するためのリモートセンタマニピュレータであって、前記手術器具は、細長いシャフトを含み、前記シャフトは、操作のリモートセンタを通る患者の体腔への挿入用に構成される遠位作業端部を有し、前記リモートセンタマニピュレータは:取付ベース;前記取付ベースに対して選択的に再位置決め可能となるように、前記取付ベースと結合される第1のリンクであって、前記取付ベースに対する前記第1のリンクの運動が、前記操作のリモートセンタと交差する第1の軸周りの回転に制限される、第1のリンク;第2のリンク近位端部及び第2のリンク遠位端部を有し、前記第2のリンク近位端部は、前記操作のリモートセンタと交差する第2の軸周りの回転のために、前記第1のリンクに結合され、前記第2の軸は前記第1の軸と一致しない、第2のリンク;第3のリンク近位端部及び第3のリンク遠位端部を有し、前記第3のリンク近位端部は、第1の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて前記第2のリンク遠位端部に回転結合される、第3のリンク;第4のリンク近位端部及び第4のリンク遠位端部を有し、前記第4のリンク近位端部は、第2の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて前記第3のリンク遠位端部に回転結合される、第4のリンク;及び前記手術器具を支持するように構成される第5のリンクであって、前記第5のリンクは、第3の平行四辺形リンク機構ジョイントにおいて前記第4のリンク遠位端部に回転結合される、第5のリンク;を有し、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントは、前記第1の平行四辺形リンク機構ジョイントの回転が、前記操作のリモートセンタと交差する第3の軸周りの回転に制限される前記第5のリンクの運動を発生させるように、回転結合され、前記第3の軸は、前記第1又は前記第2の軸のいずれとも一致しなくてもよい。
【0104】
また、前記取付ベースは、湾曲特徴部を含み、そこに前記第1のリンクは、前記第1のリンクが前記湾曲特徴部に沿って動くよう拘束されるように、連結され、前記湾曲特徴部は、前記操作のリモートセンタに対して一定の曲率半径を有してよい。
【0105】
また、前記取付ベースは、閉ループ湾曲特徴部を含み、そこに前記第1のリンクは、前記第1のリンクが前記閉ループ湾曲特徴部に沿って動くよう拘束されるように、連結されてよい。
【0106】
また、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合するサイン/コサインリンクをさらに有してよい。
【0107】
また、方向付けされた湾曲部を持つサイン/コサインリンクをさらに有し、前記サイン/コサインリンクは、前記第1、前記第2、及び前記第3の平行四辺形リンク機構ジョイントの少なくとも1対を駆動結合してよい。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
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図23