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特許7181702地上電力線を経由したビークルと地上ターミナルとの通信
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】地上電力線を経由したビークルと地上ターミナルとの通信
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
H04B3/54
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018081184
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019062518
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】15/676,198
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シー, フォン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098294(WO,A1)
【文献】特開2013-165581(JP,A)
【文献】特開2010-148172(JP,A)
【文献】特開2004-336204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/76-3/44
H04B 3/50-3/60
H04B 7/00-7/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル(102)又は地上ターミナルのための第1の電力ユニット(500、550)であって、
複数の配線を有する電力線(520)を経由して前記第1の電力ユニット(500、550)を遠隔電力ユニット(500、550)に接続するように構成されたコネクタ(502、522)と、
前記電力線(520)を経由して前記遠隔電力ユニット(500、550)から電力を受けるか又は前記遠隔電力ユニット(500、550)に電力を提供するように構成された電力回路(504、552)と、
前記第1の電力ユニット(500、550)と前記遠隔電力ユニット(500、550)との接続を検出するように構成されたコントローラ(512、556)と、
前記第1の電力ユニット(500、550)が前記遠隔電力ユニット(500、550)に接続されたときに前記電力線(520)を経由してデータを送受信するように構成された一又は複数のモデム(530、560)と
を備え、前記一又は複数のモデム(530、560)は、
前記コントローラ(512、556)による前記第1の電力ユニット(500、550)と前記遠隔電力ユニット(500、550)とのデータ接続の検出に応じて、前記遠隔電力ユニット(500、550)内の一又は複数の遠隔モデム(530、560)との前記電力線(520)を経由したデータ接続を自動的に確立し、
一又は複数の遠隔モデム(530、560)との前記データ接続を確立した後、前記電力線(520)を経由して前記一又は複数の遠隔モデム(530、560)とデータをやりとりするように構成され
前記コネクタ(502、522)は、前記電力線(520)の第1のサブセットの配線を電気的に接続し、次いで前記電力線(520)の第2のサブセットの配線を電気的に接続するように構成され、
前記コントローラは、前記第2のサブセットの配線のうちの配線で信号を検出し、前記一又は複数のモデムによる前記データ接続を開始するように構成される、第1の電力ユニット。
【請求項2】
前記一又は複数のモデムを前記第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合するように構成される一又は複数の変流器を更に備える、請求項1に記載の第1の電力ユニット(500、550)。
【請求項3】
前記電力線(520)は、前記一又は複数のモデム(530、560)に電力を供給する、請求項1に記載の第1の電力ユニット(500、550)。
【請求項4】
前記コントローラ(512、556)は、前記第1の電力ユニット(500、550)が依然として前記遠隔電力ユニット(500、550)に接続されている間、所定のイベントに応じて、前記一又は複数のモデム(530、560)と前記一又は複数の遠隔モデム(530、560)とのデータのやりとりを一時的に中断させるように更に構成されている、請求項1に記載の第1の電力ユニット(500、550)。
【請求項5】
前記第1の電力ユニット(500、550)は、地上電力ユニット(550)から電力を受けるように構成されたビークル(102)内の機載電力ユニット(500)を備える、請求項1に記載の第1の電力ユニット(500、550)。
【請求項6】
前記第1の電力ユニット(500、550)は、ビークル(102)内の機載電力ユニット(500)に電力を供給するように構成された地上電力ユニット(550)を備える、請求項1に記載の第1の電力ユニット(500、550)。
【請求項7】
ビークル(102)又は地上ターミナル(104)のための第1の電力ユニット(500、550)によって実行される、前記ビークル(102)を前記地上ターミナル(104)に接続する電力線(520)を経由してデータを通信する方法であって、
前記第1の電力ユニット(500、550)と遠隔電力ユニット(500、550)との接続を示す信号を検出することと、
前記信号を検出したことに応じて、前記第1の電力ユニット(500、550)に対応付けられた一又は複数のモデム(530、560)と前記遠隔電力ユニット(500、550)に対応付けられた一又は複数の遠隔モデム(530、560)との間で前記電力線(520)を経由したデータ接続を自動的に確立することと、
前記第1の電力ユニット(500、550)に対応付けられた前記モデム(530、560)と前記遠隔電力ユニット(500、550)に対応付けられた前記一又は複数の遠隔モデム(530、560)との前記データ接続を確立した後、前記第1の電力ユニット(500、550)に対応付けられた前記モデム(530、560)と前記遠隔電力ユニット(500、550)に対応付けられた前記一又は複数の遠隔モデム(530、560)との間でデータをやりとりすることと
前記電力線(520)の第1のサブセットの配線を電気的に接続し、次いで前記電力線(520)の第2のサブセットの配線を電気的に接続することとを含み、
前記第1の電力ユニットと前記遠隔電力ユニットとの接続を示す前記信号を検出することは、前記第2のサブセットの配線の1つで信号を検出することを含む、方法。
【請求項8】
変流器を用いて前記一又は複数のモデムを前記第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電力ユニット(500、550)は電力回路(504、552)を含み、前記方法は、前記電力回路(504、552)から前記一又は複数のモデム(530、560)に電力を供給することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の電力ユニット(500、550)が依然として前記遠隔電力ユニット(500、550)に接続されている間、所定のイベントに応じて、前記一又は複数のモデム(530、560)と前記一又は複数の遠隔モデム(530、560)とのデータのやりとりを一時的に中断させることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、電力線を経由した広帯域通信に関し、より具体的には、地上電力線を経由した航空機又は他のビークルと地上局との間のマルチ入力マルチ出力(MIMO)通信に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のゲートターンアラウンド時間中に飛行機と航空会社オペレーションセンターとの間で大量のデータをやりとりすることを容易にするため、新型の飛行機には無線通信機能(例えば、WiFi)が備わっている。しかしながら、無線接続性は、多くの空港において、限られたWiFiインフラストラクチャ及び帯域幅、並びに乗客のWiFi使用可能デバイスからの干渉などの問題に直面してきた。加えて、共通無線チャネルを共有することに関連するデータセキュリティのリスクがある。
【0003】
無線通信の代替手段は、既に存在する空港の地上電力線を経由した有線データ通信を使用することである。しかしながら、電力線を経由したデータ送信は、2つの根本的な難題に直面している。第1に、電力線を経由したデータ送信は、電力線上での大きい過渡電流、ノイズ、及びクロストークを受ける。電気的負荷装置がオン/オフされるたびに、あるいは電力消耗レベルが変更されるたびに、グリッチ及び非対称性が電力線にもたらされる。電源及び電力インバータの切り替えにより、望ましくない高調波が発生する。発電機、圧縮機、モータ、中継器、漏電遮断器、トランジスタ及び整流器は、それぞれのシグネチャを伴うノイズを発生させる。一例として、民間航空機は、空港のターミナルゲートに駐機し、搭乗橋(乗客ボーディングブリッジ)の下に吊るされた地上電力ユニット(GPU)から電力を受ける。このGPUは、730アンペア(A)の平均電流を提供する。負荷の追加及び遮断による負荷変動に起因して、この電流は最大1100Aまで増加し、10ミリ秒(MS)以内に500Aまで降下し、その後130ミリ秒以内に260Aの定常状態まで低下しうる。このような外乱によって、広帯域電力線(BPL)受信器で見られる信号劣化、及びBPL送信器で見られる信号減衰の可能性が高まる。コネクタによる信号反射及び回線インピーダンスのミスマッチに起因して、BPL通信のパフォーマンスも劣化することがある。
【0004】
電力線での大きい過渡電流及びノイズを解消するためには、送信モード中のBPLデバイスからの信号強度を高めて、低下した信号対ノイズ比を補償する。送信電力を増加させることで信号対ノイズ比が大きくなり、したがってエラー率が低下する。一般的には、0.001%未満のエラー率でデータをエンドツーエンド送信することが望ましい。しかしながら、許容可能な信号対ノイズ比(すなわち、所望の低エラー率)を得るために十分送信電力を増加させることにより、周波数高調波、不要な放射エネルギー、及び同一の周波数範囲で作動する他のシステムとの電磁干渉が生じる。
【0005】
地上電力線を経由した通信にとっての第2の難題は無線干渉である。HomePlugaudio-video2(AV2)規格に基づくBPLモデムは1.8MHzから86MHzの周波数帯で作動する一方、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)によるg.hn規格に基づくBPLモデムは、2MHzから100MHzの周波数帯で作動する。これら2つの規格に従って構成されるデバイスは、軍用無線、航空無線、アマチュア無線、及び放送局が占める高周波(HF)及び超短波(VHF)範囲で作動する。同軸線又はツイストペア線と異なり、電力線は、シールド保護されておらず本来のノイズ除去特性が備わっていないため、電力線が伝達する2MHzから100MHzの信号用の屋外アンテナとして機能する。BPLを広く展開させると、軍用HF無線通信に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
加えて、BPLモデムが同一の帯域幅の他の信号のうち特定の周波数を決定できない場合があるため、複数のBPLが屋外に取り付けられた空港のターミナルゲート領域など近傍の位置にある近接システムからの干渉によって、信号劣化が更に生じる。通信におけるエラーが著しくなると、BPLデバイスの効率が低下する(パケット消失及びデータ再送信)か、作動しなくなるか、望ましくない作動が行われる(データが破損するか又はデータ混入が生じるが、それが検出されない)。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、航空機がゲートに駐機しているときに航空機とターミナルとの間で通信を行うための方法及び装置に関する。航空機に電力が供給されている間、航空機とターミナルとが地上電力線を経由して接続される。地上電力線を介したデータ送信は、電力線上での大きい過渡電流、ノイズ、及びクロストークを受け、これにより信号劣化が生じる。加えて、地上電力線の配線は通常シールド保護されていないため、地上電力線を経由したデータ送信により望ましくない無線干渉が発生する。
【0008】
本明細書で記載する方法及び装置は、MIMO技術を使用し、信号劣化及び無線干渉の問題に取り組むものである。より具体的には、送信側において、同一信号の複数のコピーが別のコピーに対して位相オフセットされ、地上電力線を経由して同時に送信される。各データストリームは地上電力線のそれぞれの配線に結合される。受信側では、信号の複数のコピーを地上電力線のそれぞれの配線から抽出し、合成して、信号対ノイズ比が改善された合成信号を生成する。不要な発信をキャンセルするように位相をオフセットしてデータストリームを送信することにより、無線干渉が抑制される。
【0009】
本開示の一態様は、ビークルと地上局との間で、複数のシールド保護されていない配線を有する電力線を経由してデータを送信するための方法及び装置を含む。一又は複数の電力線モデムは、単一のデータストリームから複数の位相オフセットデータストリームを生成し、無線干渉を低減するために電力線を経由して複数の位相オフセットデータストリームを同時に送信する。結合回路は、一又は複数の電力線モデムにより出力されたデータストリームを電力線のそれぞれの配線に結合する。
【0010】
一態様によれば、電力線モデムが、2π/Mラジアンの位相分離を伴うM個の位相オフセットデータストリームを生成し送信する。一実施例では、単一の電力線モデムが、2π/3ラジアンの位相分離を伴う3つの位相オフセットデータストリームを生成し送信する。別の実施例では、2つの電力線モデムの各々が2π/4又は2π/2ラジアンの位相分離を伴う位相オフセットデータストリームを生成し送信する。
【0011】
別の態様では、結合回路は変流器を用いて、電力線のシールド保護されていない配線のうちそれぞれ1本に各データストリームを誘導結合する。この配置により、電気的絶縁がもたらされ電気的障害が低減される。
【0012】
本開示の別の態様は、複数のシールド保護されていない配線を有する電力線を経由してデータを受信するための方法及び装置を含む。結合回路は、単一のデータストリームから生成され、無線干渉を低減するために電力線を経由して同時に送信された複数の位相オフセットデータストリームを電力線のそれぞれの配線から抽出する。一又は複数の電力線モデムは複数の位相オフセットデータストリームを受信し、当該複数の位相オフセットデータストリームを合成して単一のデータストリームを再生成する。
【0013】
一態様によれば、電力線モデムは、2π/Mラジアンの位相分離を伴うM個の位相オフセットデータストリームを受信し合成する。一実施例では、単一の電力線モデムが2π/3ラジアンの位相分離を伴う3つの位相オフセットデータストリームを受信し合成する。別の実施例では、2つの電力線モデムの各々が2π/4又は2π/2ラジアンの位相分離を伴う2つの位相オフセットデータストリームを受信し合成する。更に別の実施例では、結合回路が、シールド保護されていない配線に誘導結合された変流器を用いて、電力線のシールド保護されていないそれぞれの配線から位相オフセットデータストリームの各々を抽出する。この配置により、電気的絶縁がもたらされ電気的障害が低減される。
【0014】
本開示の別の態様では、地上電力線を経由してビークルと地上ターミナルとの間で通信するための方法が提供される。方法の一実施例では、第1の電力ユニットが、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を示す信号を検出する。信号を検出したことに応じて、第1の電力ユニットに対応付けられた一又は複数のモデムが、遠隔電力ユニットに対応付けられた一又は複数の遠隔モデムとのデータ接続を自動的に確立する。第1の電力ユニット内の一又は複数のモデムと、遠隔電力ユニット内の一又は複数のモデムとの接続を確立した後、第1の電力ユニット内の一又は複数のモデムは、電力線を経由して遠隔電力ユニット内の一又は複数のモデムとデータをやりとりする。
【0015】
方法の一実施例は、電力線の第1のサブセットの配線を電気的に接続し、次いで電力線の第2のサブセットの配線を電気的に接続することを更に含む。第1の電力ユニットは、第2のサブセットの配線のうちの配線の一本における接続を示す信号を検出する。
【0016】
方法の別の実施例は、変流器を用いて、第1の電力ユニットに対応付けられた一又は複数のモデムを第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合することを更に含む。
【0017】
方法の一実施例では、第1の電力ユニットは、変流器と遠隔電力ユニットとの間に配置される接触器を含む。地上電力ユニットは、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を検出したことに応じて接触器を使用可能にし、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続がなくなったことを検出したことに応じて接触器を使用不可にする。
【0018】
方法の別の態様は、第1の電力ユニット内の電力回路から一又は複数のモデムに電力を供給することを含む。
【0019】
方法の別の態様は、機載電力ユニットと遠隔電力ユニットとが依然として接続されている間、所定のイベントに応じて、機載電力ユニット内の一又は複数のモデムと地上電力ユニット内の一又は複数の遠隔モデムとのデータのやりとりを一時的に中断させることを含む。所定のイベントは、例えば、エンジン開始試験を含みうる。
【0020】
下記の詳細な説明に関連して添付の図面を参照するが、異なる図面中の同様の参照番号は同一の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】地上の航空機と空港のターミナルとの間での通信のための空港の通信ネットワークを示す。
図2】航空機に搭載された航空機通信ネットワークを示す。
図3】ゲートウェイ、及び航空機通信ネットワークの他の態様を示す。
図4】従来の単一ストリーム単入力単出力(SISO)モデム及び容量結合を用いて地上電力線を経由して地上電力ユニット内のモデムと通信するための航空機内のモデムを示す。
図5】地上電力ケーブルに接続するための航空機上のレセプタクルを示す。
図6】航空機上のレセプタクルに接続するための地上電力ケーブルの一端のコネクタプラグを示す。
図7】地上電力線を経由して地上電力ユニット内の3x3MIMOモデムと通信する、航空機内の3x3MIMOモデムを示す。
図8】地上電力線を経由して地上電力ユニット内の4x4MIMOモデムと通信する、航空機内の4x4MIMOモデムを示す。
図9】地上電力線を経由して地上電力ユニット内の2つの2x2MIMOモデムと通信する、航空機内の2つの2x2MIMOモデムを示す。
図10A】MIMOモデムを制御するための例示的な制御ロジックを示す。
図10B】MIMOモデムを制御するための例示的な制御ロジックを示す。
図11】地上電力線のインピーダンスのモデルを示す。
図12】モデム及び地上電力線に対する変流器のインピーダンス整合を示す。
図13】地上電力線を表すチャネルマトリクスを示す。
図14】本開示に係る、送信信号間の位相オフセットを示す。
図15】地上電力線を経由してデータ送信するための例示的な方法を示す。
図16】地上電力線を経由してデータ受信するための例示的な方法を示す。
図17】ビークルと地上ターミナルとの間で地上電力線を経由してデータを通信するための例示的な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の態様は、航空機が地上にいるときに航空機とターミナルとの間で通信するための方法及び装置に関する。航空機に電力が供給されている間、電力線を経由して航空機とターミナルとが接続される。地上電力線を経由したデータ送信は、電力線上の大きい過渡電流、ノイズ、及びクロストークを受け、これにより信号劣化が引き起こされる。加えて、地上電力線の配線は通常シールド保護されていないため、地上電力線を経由したデータ送信により望ましくない無線干渉が発生する。
【0023】
本明細書に記載する方法及び装置は、MIMO技術を使用し、信号劣化及び無線干渉の問題に取り組むものである。具体的には、航空機上又はターミナルに位置する送信デバイスが、互いに位相オフセットされた同一信号の複数のコピーを地上電力線を経由して送信する。各データストリームは、地上電力線のそれぞれの配線に結合される。受信側では、信号の複数のコピーを地上電力線のそれぞれの配線から抽出し、合成して、信号対ノイズ比が改善された合成信号を生成する。不要な発信をキャンセルするように位相をオフセットしてデータストリームを送信することにより、無線干渉が抑制される。
【0024】
本開示は、空港のネットワークに関して方法及び装置を記載するが、当業者であれば、そのような方法が、より広く、任意のビークル(例えば、電車、船舶、バスなど)と地上局との間での複数の配線を有する電力線を経由した通信に適用可能であることを理解できるであろう。
【0025】
図面を参照すると、図1には、航空機が地上にいるときに航空機102とターミナル104との間での通信を可能にする例示的な空港の通信ネットワーク100が示されている。航空機102は、空港の地上インフラストラクチャ106を介して空港のローカルエリアネットワーク(LAN)110に接続される。空港の地上インフラストラクチャ106は、通常航空機102が地上にいる間に地上電力線520を経由して電力を航空機102に供給するためのGPU550(図4図7参照)を含む。以下で詳細に記載するように、GPU550は、航空機102と通信するための通信機器を含むように改変されている。空港のLAN110は、航空機102と通信する空港のサーバ112を含む。空港のLAN110は、インターネット118又は他の広域ネットワーク(WAN)を介して航空会社のLAN122に接続しうる。航空会社のLAN122は、航空機102と通信する航空会社のサーバ124を含む。ファイアウォール114及び116は、空港のLAN110及び航空機102への未承認アクセスを防止し、一方、ファイアウォール120は、航空会社のLAN122への未承認アクセスを防止する。
【0026】
図2は、航空機102に搭載された例示的な航空機ネットワーク200を示す。航空機コアネットワーク202は、共通データネットワーク204、隔離データネットワーク(IDN)206、及びオープンデータネットワーク(ODN)208を含みうる。ODN208はバス209Aを介してIDN206と接続され、IDN206はバス209Bを介して共通データネットワーク204と接続されうる。例えば、共通データネットワーク204及びIDN206は、ルータ及びスイッチを介してデバイスを接続し、ODN208は、ゲートウェイを介してデバイスを接続しうる。スイッチは、LANで使用される媒体アクセス制御(MAC)アドレスを介して複数のデバイスを接続し、ルータは、インターネットプロトコル(IP)アドレスを用いてLAN及びWANを介してデバイスを接続するための安全な方法であり、ゲートウェイは、様々なアーキテクチャ、プロトコル、及び波形を用いてデバイス間でデータを接続し転送するためのプロセッサ及びメモリを含みうる。
【0027】
図3は、航空機102の例示的な通信構成300のブロック図である。ODN208は、チューナブルバンドパス及びファイアウォールを有するゲートウェイ302と、設定コントローラ304と、例えば波形、周波数、及びフレーム構成などを決定するための通信プロトコル306とを含む。所与の空港で利用可能な接続性パフォーマンス及びサービス手数料に基づき、航空会社は、航空機102と航空会社のサーバ124との間でデータをやりとりするための、Wi-Fiリンク、セルラリンク、空港のサービスネットワークリンク、光リンクなどの無線リンク、及び有線リンクのうち1つを予め選択することができる。設定コントローラ304は、空港のターミナル104について航空会社が選択した特定の通信リンクに対応付けられた適切な波形、周波数、及びフレーム構成を設定しうる。例えば、干渉、環境条件などを含む様々な理由によりリンクのパフォーマンスが劣化するか又はデータ伝送が悪化した場合、設定コントローラ304は、空港のターミナル104で利用可能な別のリンクに切り替える。設定コントローラ304は、当該リンクに対応付けられた波形、周波数、及びフレーム構成を再設定することもできる。設定コントローラ304は、選択されたリンクの通信帯域幅及び波形に適応するようにゲートウェイ302のバンドパスフィルタを調整することもできる。
【0028】
ゲートウェイ302はIDNルータ及びスイッチ308と接続され、これにより例えば図2のIDN206が提供される。ゲートウェイ302は、通信構成300のセントラルゲートウェイとしても機能しうる。ゲートウェイ302は、クルー無線LAN310、イーサネット又は電力線通信(PLC)モデム312、光トランシーバモデム314、及びターミナル無線LAN316とも接続されうる。航空機102を空港のターミナル104に接続するために、航空機102は、信号をクルー無線LAN310に及び/又は乗務員無線LAN310から送信するためのクルー無線ネットワークアンテナ320、本明細書で後述する、モデム312を電力レセプタクルに接続するための電力線結合回路322、信号を光トランシーバモデム314に接続するための光リンクコネクタ324、及び信号をターミナル無線LAN316に接続するための無線リンクアンテナ326を含みうる。
【0029】
図2に戻ると、共通データネットワーク204に接続される航空機102のデバイスは、飛行データ記録装置210、通信デバイス212、ナビゲーション及びガイダンスデバイス214、飛行管理機器216、及びアビオニクス列線交換可能ユニット(LRU)218を含みうる。IDN206に接続されるデバイスは、例えばイーサネットを介してメンテナンスラップトップコンピュータ220、操縦室プリンタ222、映像監視機器224、ファイルサーバ管理デバイス226、及び電子フライトバッグ228を含みうる。ファイルサーバ管理デバイス226及び電子フライトバッグ228は、例えばODN208を介して情報を送受信するためにODN208にも接続されうる。ODN208に接続される他のデバイスは、衛星通信設備230、ターミナル無線LANユニット232、クルー無線LANユニット234、飛行中エンタテインメント機器236、クルー情報サーバ238、サードパーティーアプリケーション240、及びメンテナンス情報サーバ242を含みうる。
【0030】
図4は、航空機102が地上にいる間に単一のデータストリームを用いて航空機102とターミナル104との間で通信するための配置を示す。本配置では、航空機に搭載される機載電力ユニット500は、地上電力線520を経由してGPU550に結合される。BPLモデム530、560は、航空機側とターミナル側で地上電力線520に容量結合されている。機載電力ユニット500及びGPU550の細部については、通信方法に必須のものではないが、本明細書に記載する通信技術の内容を示すために以下に概略を示す。
【0031】
機載電力ユニット500は、地上電力線520を航空機102に接続するためのレセプタクル502又は他のコネクタ、及び地上電力線520を経由してGPU550から電力を受信し、航空機102の様々な負荷装置に電力を分配する航空機電源504を含む。レセプタクル502は、電力線520の端部に装着されたプラグ522又は他のコネクタ(以下に記載)と係合する。レセプタクル502は、電力線520の相線A、B、及びC、並びに中性線Nが制御線E及びFよりも前に電気的に接続されるように構成される。一実施例では、図5に示すレセプタクル502は、4つのロングピン(すなわち、A、B、C、及びN)と2つのショートピン(E及びF)を含む。コネクタ522がレセプタクル502と係合すると、ショートピンよりも前にロングピンが電気的に接触する。
【0032】
航空機電源504は、配線A、B、及びCを経由して三相電力を受けるスイッチ及び伝送バス506、航空機102の様々な負荷装置にAC電力を分配する機載交流(AC)バス508、レセプタクルのピンEに28ボルトの直流(28VDC)を提供する地上サービス及びバッテリバス510、及び機載コントローラ512を備える。機載コントローラ512は、ピンFの電圧及び三相AC電力の質を監視して、地上電力線の接続を検知する。
【0033】
GPU550は、AC電源552、接触器554、GPUコントローラ556、及び電力線520を備える。AC電源552は、航空機102にクリーンな三相AC電力を提供するために必要なコンポーネント(例えば、インバータ、フィルタ、変流器、ブレーカなど)を備える。接触器554は、機載電力ユニット500に接続されたレセプタクル502と嵌合するように構成された雌型プラグ522又は他のコネクタを含む地上電力線520にAC電源552を結合する。雌型プラグ522は、図6に示されている。GPUコントローラ556は、地上電力線520が航空機102のレセプタクル502に接続されたときにピンE及びFで信号(本例では28VDC)を検知し、当該信号の存在に応じて接触器554を使用可能/使用不可にする。プラグ522がレセプタクル502から引き抜かれると、レセプタクル502のショートピンはロングピンよりも前に切断され、ピンE及びFで28Vの損失が生じる。GPUコントローラ556は、AC電力の接続を解除し、地上クルーが地上電力線520を接続解除したときのアーク放電を防止するために接触器554を使用不可にする。
【0034】
地上電力線520を経由して通信するために、第1のBPLモデム530が機載電力ユニット500の地上電力線520に容量結合され、第2のBPLモデム560がGPU550の地上電力線520に容量結合される。BPLモデム530、560の各々は、電源532、562、地上電力線520を経由して通信するためのインターフェース回路534、564、及びモデム530、560の作動を制御する制御回路536、566を含む。電源532、562は、地上電力に接続される。一実施例では、BPLモデム530、560は、HomePlugAV2及び/又はITU-TG.hn規格に従って作動するように構成されるが、他の通信規格を使用してもよい。HomePlugAV2は、1.8MHz~86MHzの範囲の周波数を使用する。ITU-TG.hn規格(電力線、電話線、及び同軸ケーブルを経由)は、MIMOに対しては2MHz~50MHzの周波数帯、SISOに対しては2MHz~100MHzの周波数帯を使用する。
【0035】
キルヒホッフループを形成するために、モデム530の2つの出力が相線(A、B、又はC)及び中性線(N)にそれぞれ接続される。この配置では、クルーが電力及び2つのモデムのデータを地上で手動により接続する。コンデンサの不具合により、特に濡れた地面の上にいる操作者への電気的ショック、すなわち安全上の問題につながりうる。この配置では、所与の時間に単一のデータストリームを送信することが可能となる。
【0036】
図7~9は、航空機102が地上にいるときに地上電力線520を経由して航空機102とターミナル104との間で通信するための代替的な配置を示す。図7~9の地上電力線520は、前述の航空機102上のレセプタクル502と嵌合するプラグ522又は他のコネクタ522を含む。図7~9の配置では、図4に示す配置と同一の要素を多く使用する。したがって、簡略化のため、同様のコンポーネントを示すために図4の参照番号を図7図9においても使用し、差異を強調するために必要な場合を除いては、それら要素の記載は省略する。
【0037】
図7を参照すると、BPLモデム530、560は、機載電力ユニット500及びGPU550にそれぞれ組み込まれている。図4に示す実施例と同様に、機載電力ユニット500をGPU550に接続する地上電力線520を経由して、BPLモデム530とBPLモデム560との間でデータが送信される。図4に示す配置と異なり、航空機電源504によりBPLモデム530に電力が供給され、GPU550内のAC電源552によりBPLモデム560に電力が供給される。また、航空機電源504の機載コントローラ512は、BPLモデム530に指令を送るように構成される。また、BPLモデム560は、スイッチ又はイーサネットルータ580により、電力使用量を監視する電力測定コントローラ585と、ターミナル104の搭乗ゲートにある搭乗券端末590とに接続される。
【0038】
BPLモデム530は、電源532、インターフェース回路534及び制御回路536を含む。上記のように、電源532は航空機電源504から電力を受け取り、BPLモデム530に電力を供給する。インターフェース回路534は、BPLモデム530により送受信されるデータ信号をベースバンド処理する。ベースバンド処理は、とりわけ、変調/復調、符号化/復号化、及びデータ信号を送受信するために必要な他のデジタル信号処理タスクを含む。データ信号を送受信するための伝送フォーマット、すなわち変調及び符号化方式(MCS)は、本発明に必須のものではない。一実施例では、米国電気電子学会(IEEE)802.11規格群に準拠する直交周波数分割多重方式(OFDM)が広帯域通信に使用される。制御回路536は、BPLモデム530の作動を制御する。制御回路536により実施される制御機能は、機載コントローラ512からの信号に応じてBPLモデム530の電源をオン及びオフすること、及びインターフェース回路534を制御してデータを送受信する際の所望の位相オフセットを適用することを含む。
【0039】
本開示の一態様によれば、インターフェース回路534は、MIMO技術を用いて複数のデータストリームを同時に送受信するように構成される。本実施例では、インターフェース回路534は、2π/3ラジアン又は120度だけ位相オフセットされた3つのデータストリームを3つのデータストリームを同時に送受信するように構成される。更に一般的には、位相オフセットは2π/Mに等しく、MはBPLモデム530により送信又は受信されるデータストリームの数に等しい。
【0040】
図14は、位相オフセットを示す。この位相オフセット又は位相分離は、所望の相回転を実現するために2つのデータストリームの位相を第1のデータストリームに対してずらすか、あるいは、3つ全てのデータストリームの位相をずらすことにより送信側で実現されうる。位相オフセットにより、個々の配線の不要な発信がキャンセルされ、無線干渉が低減される。
【0041】
結合回路538は、BPLモデム530のデータ入力/出力(入出力)ポートのそれぞれを地上電力線520の配線のそれぞれに結合する。結合回路538は、3つのデータ線542及びリターン線544を備える。データ線542(参照番号1、2、及び3を付番)によってBPLモデム530の入出力ポートが地上電力線520の相線A、B、及びCのそれぞれに接続されるが、データ送信のために相線の使用が必要なわけではない。リターン線544は、BPLモデム530の接地ポートGを地上電力線520の中性線Nに接続し、データ線542への共通リターンを提供する。変流器540により地上電力線520からの電気的絶縁がもたらされることで、電気的障害が低減しクルーの安全性が改善される。BPLモデム530が送信するとき、変流器540は、本実施例では無線干渉を低減するために2π/3ラジアン又は120度だけ位相オフセットされ、モデム530により出力されたデータ信号を相線A、B、及びCの負荷電流に重畳する。データ送信を受信するとき、変流器540は地上電力線520から個々のデータストリームを抽出し、当該データストリームはインターフェース回路534により合成されて、例えば信号対ノイズ比などの信号品質が改善された合成信号が生成される。
【0042】
図7に示す実施例では、接触器554が結合回路568とプラグ522との間に配置される。本態様により、地上クルーは、BPLモデム530、560を接続するための追加の作業負担又は労力を使うことなく同じルーチンを実施することができる。すなわち、地上クルーはBPLモデム530、560を接続又は接続解除するためにデータ線又は追加の電力線を接続又は接続解除する必要がない。
【0043】
地上電力線520が航空機102に接続されると、航空機電源内の機載コントローラ512は、ピンFに28VのDCが存在することを検出し、BPLモデム530を使用可能にする制御信号を生成する。機載コントローラ512からの制御信号に応答して、制御回路536は、BPLモデム530を電源オンし、ターミナルにあるBPLモデム560との接続を確立する。BPLモデム560との接続が確立されると、データ送受信を開始することができる。
【0044】
BPLモデム530は、地上電力線520を経由してターミナル側のBPLモデム560と通信する。BPLモデム560は電源562、インターフェース回路564、及び制御回路566を含む。GPU550内のAC電源552は、BPLモデム560に電力を提供する。インターフェース回路564は、BPLモデム560により送受信されたデータ信号をベースバンド処理する。ベースバンド処理は、とりわけ、変調/復調、符号化/復号化、及びデータ信号を送受信するために必要な他のデジタル信号処理タスクを含む。データ信号を送受信するための伝送フォーマット、すなわち変調及び符号化方式(MCS)は、本発明に必須のものではない。一実施例では、米国電気電子学会(IEEE)802.11規格群に準拠する直交周波数分割多重方式(OFDM)が広帯域通信に使用される。制御回路566は、BPLモデム560の作動を制御する。制御回路566により実施される制御機能は、GPUコントローラ556からの信号に応じたBPLモデム560の電源をオン及びオフすること、及びインターフェース回路564を制御してデータを送受信する際の所望の位相オフセットを適用することを含む。
【0045】
本開示の一態様によれば、インターフェース回路564は、MIMO技術を用いて複数のデータストリームを同時に送受信するように構成される。本実施例では、インターフェース回路564は、2π/3ラジアン又は120度だけ位相オフセットされた3つのデータストリームを3つのデータストリームを同時に送受信するように構成される。更に一般的には、位相オフセットは2π/Mに等しく、Mはモデム560により送受信されるデータストリームの数に等しい。この位相オフセット又は位相分離は、所望の相回転を実現するために2つのデータストリームの位相を第1のデータストリームに対してずらすか、あるいは、3つ全てのデータストリームの位相をずらすことにより送信側で実現されうる。
【0046】
結合回路568は、BPLモデム560のデータ入力/出力(入出力)ポートのそれぞれを地上電力線520のそれぞれの配線に結合する。結合回路568は、3つのデータ線572及びリターン線574を備える。データ線572は、BPLモデム560の入出力ポートを地上電力線520の相線A、B、及びCのそれぞれに接続するが、相線の使用がデータ送信に必要なわけではない。リターン線574は、BPLモデム560の接地ポートを地上電力線520の中性線Nに接続し、データ線572に共通リターンを提供する。変流器570により地上電力線520からの電気的絶縁がもたらされることで、電気的障害が低減しクルーの安全性が改善される。例示的な実施形態では、接触器554は、結合回路568とコネクタ522との間に配置される。BPLモデム560が送信するとき、変流器570は、本実施例では無線干渉を低減するために2π/3ラジアン又は120度だけ位相オフセットされ、モデム560により出力されたデータ信号を相線A、B、及びCの負荷電流に重畳する。データ送信を受信するとき、変流器570は地上電力線520から個々のデータストリームを抽出し、当該データストリームはインターフェース回路564により合成されて、例えば信号対ノイズ比などの信号品質が改善された合成信号が生成される。
【0047】
地上電力線520が航空機102に接続されると、GPU550内のGPUコントローラ556は、ピンE及びFに28VのDCが存在することを検出し、BPLモデム560を使用可能にする制御信号を生成する。GPUコントローラ556からの制御信号に応答して、制御回路566は、BPLモデム560を電源オンし、航空機102上のBPLモデム530との接続を確立する。BPLモデム530との接続が確立されると、データ送受信を開始することができる。
【0048】
図8は、航空機102が地上にいるときに地上電力線520を経由して航空機102とターミナル104との間で通信するための代替的な配置を示す。図8に示す配置は、BPLモデム530及び560が4x4MIMO用に構成されていることを除いて図7に示す配置と本質的に同一である。本配置では、BPLモデム530及び560は、それぞれのデータ線542、572によって地上電力線520のそれぞれの配線に接続される少なくとも4つの入出力ポートを含む。3つの入出力ポートが、それぞれのデータ線542、572によって地上電力線520の相線A、B、Cに接続される。4番目の入出力ポートは、それぞれのデータ線542、572によって地上電力線520の中性線Nに接続される。インターフェース回路534、564は、2π/4ラジアン又は90度だけ位相オフセットされた4つのデータストリームを同時に送受信するように構成される。この位相オフセット又は位相分離は、所望の相回転を実現するために3つのデータストリームの位相を第1のデータストリームに対してずらすか、又は4つ全てのデータストリームの位相をずらすことにより、前述のように送信側で実現されうる。
【0049】
図9は、航空機上の2つのBPLモデム530及び560、並びにターミナル104にある2つのBPLモデムを用いた航空機102とターミナル104との通信のための代替的な配置を示す。本配置では、BPLモデム530及び560は、それぞれのデータ線542、572により地上電力線520のそれぞれの相線に接続される2つの入出力ポートを含む。各BPLモデム530、560のインターフェース回路534、564は、2つのデータストリームを同時に送受信するように構成される。一実施例では、各BPLモデムは、2π/4ラジアン又は90度だけ位相オフセットされた2つのデータストリームを生成する。各側にある第1のBPLモデム530、560がそれぞれの信号に0及びπ/2の位相オフセットを適用し、各側の第2のBPLモデム530、560がπ及び3π/2の位相オフセットを適用する。別の実施例では、各BPLモデムがπラジアン又は180度だけ位相オフセットされた2つのデータストリームを生成する。本実施例では、各側の第1のBPLモデム530、560がそれぞれの信号に0及びπの位相オフセットを適用し、各側の第2のBPLモデム530、560が2つの信号にπ/2及び3π/2の位相オフセットを適用する。いずれの場合でも、2π/4だけ位相オフセット又は位相分離された4つのデータストリームという結果が得られる。送信器側では、マルチプレクサ(図示しない)が元のデータストリームを2つのストリームに分割し、各BPLモデム530が入力データストリームに対し2x2のMIMOを実施する。受信器側では、各BPLモデムが2x2MIMOを実施して出力データストリームを生成する。デマルチプレクサ(図示しない)が、各BPLモデム560からの出力データストリームを受信し、合成する。
【0050】
図10A及び図10Bは、本明細書に記載する地上電力線520を経由したデータ通信のプロシージャ600を示す。地上電力線が適用される、すなわち地上電力線が接続される(ブロック602)と、航空機102の機載コントローラ512がピンFの電圧を検出し、BPLモデム530(ブロック604、608)の電源をオンする。ターミナル側では、GPUコントローラ556がピンEの電圧を検出し、BPLモデム560(ブロック606、610)を使用可能にする。BPLモデム530及び560は次いで、認証プロシージャを実施する。一実施例では、BPLモデム560はその起動ルーチンの間に、航空機102内のBPLモデム530に認証要求を送る(ブロック612)。所定の時間内に、航空機102内のBPLモデム530は認証応答を送り返す(ブロック614)。ターミナルにあるBPLモデム560は、認証応答を検証し、ランダムに生成される暗号キーを航空機102上のBPLモデム530に送る(ブロック616、618)。航空機102上のBPLモデム530は、キーを受け付け、確認応答(ACK)を送り返す(ブロック620、622)。このプロセスにより、同一のキーを有するBPLモデム530、560が通信することが可能となる。BPLモデム530がACKを送り返した後、接続が確立され、レディ(準備完了)表示がオンされる(ブロック624、626)。この時点で、BPLモデム530及び560は、地上電力線520を経由してデータを送受信する準備が整っている(ブロック628)。データのやりとり中に地上でのエンジン開始試験又は通信を妨げる可能性のある他のプロシージャを実施することが望ましい場合には、データの流れは割り込みコマンドによって保留されうる(ブロック630)。一実施例では、割り込みコマンドは、機載コントローラ512が機載電力ユニット500のモデム530に対して発する。データのやりとりは、突入電流が低下した後に再開されうる。データのやりとりが完了した後、典型的なゲートターンアラウンド時間内に待機状態がオンされる(ブロック632)。BPLモデム530及び560は、地上での電力がなくなると安全性設定を記憶する。飛行機のプッシュバックの前に、地上電力プラグを飛行機のレセプタクル502から引き抜かなければならない(ブロック634)。地上電力プラグが引かれると、航空機102の機載コントローラ512がピンFの電圧損失を検出し、BPLモデム530への電源をオフする(636、638)。ターミナル側では、GPUコントローラ556がピンEの電圧損失を検出し、飛行機への電力を切断し、同時にBPLモデム660(ブロック640、642)を使用不可にする。この時点で、BPLモデム530と560との接続は終了する(ブロック644)。このプロシージャにより、地上クルーは、BPLモデム530、560を接続及び接続解除するための別のプロシージャを使用することなく地上電力線520を接続及び接続解除する同じルーチン工程を行うことが可能となる。
【0051】
本開示の一態様によれば、変流器540、570は、地上電力線520及びBPLモデム530、560とインピーダンスが整合している。図11は、地上電力線のインピーダンスモデルを示す。インピーダンスの整合は、図12に示すような変流器540、570の一次巻線及び二次巻線の巻き数を調節することにより実現される。モデムが作動する周波数帯域内でのインピーダンスの整合を得るために、変流器540、570の一次巻線及び二次巻線の巻き数は、
/Z=(N/N 方程式1
に従って調節され、式中、Zは地上電力線520のインピーダンスであり、Zはモデム入力/出力ポートのインピーダンスであり、Nは一次巻線の巻き数であり、Nは二次巻線の巻き数である。一実施例では、一次巻線は、電流絶縁をもたらすため巻き数が1であり、二次巻線の巻き数は、可能な範囲でインピーダンスが最も整合するように選択される。
【0052】
上記のように、例示的な配置では、同一のデータストリームの複数のコピーを同時に送受信するためのMIMO技術が採用される。従来のBPLモデムは、一度に1つのデータストリームを送受信することを伴う単入力単出力(SISO)技術を使用する。電力線を経由した通信については、別個の電力線間の静電容量により、1本の線での信号が、隣接する信号に結合される。相線間の結合プロセスにより、位相のずれがもたらされる。したがって、当該線に沿って伝搬した後、各線の通信信号のコンポーネントは互いに位相が一致しない、且つ/又は異なる振幅を有する。このような結合及びクロストークにより、受信信号を複合し元のデータを再構築することを試みなければならない受信機器に問題が生じる。
【0053】
MIMOは、チャネルの空間的特性を利用することにより、同一の無線チャネルを経由して複数の信号を同時に送受信することが可能となる改善された無線通信技術である。MIMOにより、チャネルの容量が増加する。すなわち、より高い信号対ノイズ比で帯域幅がもたらされる。本開示の一態様は、地上電力線520の各配線を1つの伝播路に対応するマルチパスチャネルとして地上電力線520がモデル化されうるという認識である。MIMOのチャネルは、各配線で伝達される信号を検出するための受信側のBPLモデム530、560により特徴づけられ、利用されうる。
【0054】
図13は、3つのデータストリームを伝達するシールド保護されていない地上電力線520の物理的環境を表すチャネルマトリクスを示す。チャネルマトリクスHの各要素Hx、yは、送信器と受信器との間のチャネル係数の歪みをモデル化するチャネル係数である。x=yであるチャネル係数は、それぞれの配線により生じる歪みをモデル化する。x≠yであるチャネル係数は、配線間のクロストークをモデル化する。
【0055】
受信側のBPLモデム530、560は、所与の地上電力線520のチャネルマトリクスHを用いて、望ましくない反射、歪み及びクロストークを取り除き元のデータストリームを復元する。MIMOは、従来は2つ以上の異なるデータストリームを送受信するために使用されるが、本明細書で記載する通信システムは、同一信号の複数のコピーを送信するためにMIMOを使用し、信号劣化を軽減するために受信側のBPLモデム530、560により当該コピーを合成することができる。送信器により適用された位相オフセットは、チャネルマトリクスHにおいて考慮されている。同一信号の複数のコピーを合成することにより、送信側のBPLモデムはその送信電力を低下させることもでき、これによって無線干渉も低減される。位相オフセットによって各個別の配線からの不要な発信がキャンセルされることにより、無線干渉が低減される。
【0056】
低いデータ速度のみが必要とされる状況においては、送信器側での入力データストリームを複数のストリームに分割し、送信してもよい。一実施例では、複数のデータストリームは、一部が冗長、すなわち重複している。別の実施例では、複数のデータストリームの全てが冗長ではない、すなわち重複していない。各ストリームは、より深刻な信号劣化を受けるが、これは、より多くの再送信が必要となりデータ速度が低くなることを意味している。
【0057】
図15は、複数のシールド保護されていない配線を有する地上電力線520を経由してデータを送信するために実行される方法700を示す。一又は複数のBPLモデム530、560は、単一のデータストリームから複数の位相オフセットデータストリームを生成し、無線干渉を低減するために電力線を経由して複数の位相オフセットデータストリームを同時に送信する(ブロック705、710)。結合回路538、568は、一又は複数のBPLモデムにより出力されたデータストリームを電力線のそれぞれの配線に結合する(ブロック715)。
【0058】
方法700の一実施例では、BPLモデム530、560は、2π/Mラジアンの位相分離を伴うM個の位相オフセットデータストリームを生成し送信する。
【0059】
方法700の別の実施例では、単一のBPLモデム530又は560が、2π/3ラジアンの位相分離を伴う3つの位相オフセットデータストリームを生成し送信する。
【0060】
方法700の更に別の実施例では、2つのBPLモデム530、560の各々が、2π/4又は2π/2ラジアンの位相分離を伴う位相オフセットデータストリームを生成し送信する。
【0061】
方法700の更に別の実施例では、結合回路538、568が変流器を用いて、電力線のシールド保護されていない配線のそれぞれ1本に各データストリームを誘導結合する。
【0062】
図16は、複数のシールド保護されていない配線を有する地上電力線520を経由してデータを受信するための方法800を示す。結合回路538、568は、単一のデータストリームから生成され、無線干渉を低減するために電力線を経由して同時に送信された複数の位相オフセットデータストリームを電力線のそれぞれの配線から抽出する(ブロック805)。一又は複数のBPLモデム530、560は、複数の位相オフセットデータストリームを受信し(ブロック810)、複数の位相オフセットデータストリームを合成して単一のデータストリームを再生成する(ブロック815)。
【0063】
方法800の一実施例では、BPLモデム530、560が、2π/Mラジアンの位相分離を伴うM個の位相オフセットデータストリームを受信し合成する。
【0064】
方法800の別の実施例では、単一のBPLモデム530又は560が、2π/3ラジアンの位相分離を伴う3つの位相オフセットデータストリームを受信し合成する。
【0065】
方法800の更に別の実施例では、2つのBPLモデム530、560の各々が、2π/4 又は2π/2ラジアンの位相分離を伴う2つの位相オフセットデータストリームを受信し合成する。
【0066】
方法800の別の実施例では、結合回路538、568は、電力線のシールド保護されていないそれぞれの配線から、シールド保護されていない配線に誘導結合された変流器を用いて位相オフセットデータストリームの各々を抽出する。
【0067】
図17は、航空機102内の機載電力ユニット500又は地上電力ユニット550により実行される別の方法900を示す。方法の一実施例では、機載電力ユニット500(すなわち、第1の電力ユニット)内の機載コントローラ512が、機載電力ユニット500と地上電力ユニット550(すなわち、遠隔電力ユニット)との接続を示す信号を検出する(ブロック905)。信号の検出に応じて、機載電力ユニット500に対応付けられた一又は複数のモデム530は、地上電力ユニット550に対応付けられた一又は複数のモデム560(すなわち、一又は複数の遠隔モデム)とのデータ接続を自動的に確立する(ブロック910)。機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530と地上電力ユニット550内の一又は複数のモデム560との接続を確立した後、機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530は、電力線520を経由して地上電力ユニット550内の一又は複数のモデム560とデータをやりとりする(ブロック915)。
【0068】
図17に示す方法の別の実施例では、地上電力ユニット550(すなわち、第1の電力ユニット)内のGPUコントローラ556が、地上電力ユニット550と機載電力ユニット500(すなわち、遠隔電力ユニット)との接続を示す信号を検出する(ブロック905)。
【0069】
信号の検出に応じて、地上電力ユニット550に対応付けられた一又は複数のモデム560が、機載電力ユニット500に対応付けられた一又は複数のモデム530(すなわち、一又は複数の遠隔モデム)とのデータ接続を自動的に確立する(ブロック910)。地上電力ユニット550内の一又は複数のモデム560と機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530との接続を確立した後、地上電力ユニット550の一又は複数のモデム560は、電力線520を経由して機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530とデータをやりとりする(ブロック915)。
【0070】
方法の一実施例は、電力線520の第1のサブセットの配線(例えば、配線A、B、C及びN)を接続し、次いで電力線520の第2のサブセットの配線(例えば、配線E及びF)を電気的に接続することを含む。機載電力ユニット500内の機載コントローラ512又は地上電力ユニット550内のGPUコントローラ556が、第2のサブセットの配線のうちの1本において接続を示す信号を検出する。
【0071】
方法の別の実施例は、変流器を用いて、第1の電力ユニットに対応付けられた一又は複数のモデムを第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合することを更に含む。機載電力ユニット500により実行される一例示的な方法900では、機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530が変流器540により電力線520に誘導結合される。地上電力ユニット550により実行される別の例示的な方法900では、地上電力ユニット550内の一又は複数のモデム560が変流器570によって電力線520に誘導結合される。
【0072】
地上電力ユニット550により実行される方法900の一実施例では、地上電力ユニット550は、変流器570と航空機102内の機載電力ユニット500との間に配置された接触器554を含む。地上電力ユニット550は、地上電力ユニット550と機載電力ユニット500との接続を検出したことに応じて接触器554を使用可能にし、地上電力ユニット550と機載電力ユニット500との接続の消失を検出したことに応じて接触器554を使用不可にする。
【0073】
方法の別の態様は、第1の電力ユニット内の電力回路から一又は複数のモデムに電力を供給することを含む。機載電力ユニット500により実行される一例示的な方法900では、機載電源504が機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530に電力を供給する。地上電力ユニット550により実行される別の例示的な方法900では、AC電源552が地上電力ユニット550の一又は複数のモデム560に電力を供給する。
【0074】
方法の別の態様は、機載電力ユニット500及び遠隔電力ユニット550が依然として接続されている間、所定のイベントに応じて、機載電力ユニット500内の一又は複数のモデム530と地上電力ユニット550内の一又は複数の遠隔モデム560とのデータのやりとりを一時的に中断させることを含む。所定のイベントは、例えば、エンジン開始試験を含みうる。
【0075】
本明細書で記載する空港の通信ネットワーク100は、データ通信のセキュリティを維持しつつ、航空機102と航空会社のサーバ124とのエンドツーエンドデータ接続性を提供する。変流器540、570を用いてデータストリームを地上電力線520に結合することにより、特に湿潤状態におけるクルーの安全性が改善される。また、BPLモデム530、560は、地上電力線520が航空機102につなげられたときに自動的に接続及び接続解除され、当該モデム530、560を接続及び接続解除するための人手又は作業量を増やす必要がない。
【0076】
更に、本開示は、下記の条項による実施形態を含む。
【0077】
条項1.ビークル又は地上ターミナルのための第1の電力ユニットであって、複数の配線を有する電力線を経由して第1の電力ユニットを遠隔電力ユニットに接続するように構成されたコネクタと、電力線を経由して遠隔電力ユニットから電力を受けるか又は遠隔電力ユニットに電力を提供するように構成された電力回路と、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を検出するように構成されたコントローラと、第1の電力ユニットが遠隔電力ユニットに接続されたときに電力線を経由してデータを送受信するように構成された一又は複数のモデムとを備え、一又は複数のモデムは、コントローラによる第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとのデータ接続の検出に応じて、遠隔電力ユニット内の一又は複数の遠隔モデムとの電力線を経由したデータ接続を自動的に確立し、一又は複数の遠隔モデムとのデータ接続を確立した後、電力線を経由して一又は複数の遠隔モデムとデータをやりとりするように構成される、第1の電力ユニット。
【0078】
条項2.コネクタは、電力線の第1のサブセットの配線を電気的に接続し、次いで電力線の第2のサブセットの配線を電気的に接続するように構成される、条項1に記載の第1の電力ユニット。電力線は、一又は複数のモデムに電力を供給する、条項1に記載の第1の電力ユニット。
【0079】
条項3.コントローラは、第2のサブセットの配線のうちの配線で信号を検出し、一又は複数のモデムによるデータ接続を開始するように構成される、条項2に記載の第1の電力ユニット。
【0080】
条項4.一又は複数のモデムを第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合するように構成される一又は複数の変流器を更に備える、条項3に記載の第1の電力ユニット。
【0081】
条項5.変流器と遠隔電力ユニットとの間に配置された接触器を更に含み、コントローラは、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を検出したことに応じて、接触器を使用可能にし、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続の消失を検出したことに応じて、接触器を使用不可にするように更に構成される、条項4に記載の第1の電力ユニット。
【0082】
条項6.電力回路が一又は複数のモデムに電力を供給する、条項1に記載の第1の電力ユニット。
【0083】
条項7.コントローラは、第1の電力ユニットが依然として遠隔電力ユニットに接続されている間、所定のイベントに応じて,一又は複数のモデムと一又は複数の遠隔モデムとのデータのやりとりを一時的に中断させるように更に構成されている、条項1に記載の第1の電力ユニット。
【0084】
条項8.所定のイベントはエンジン開始試験を含む、条項6に記載の第1の電力ユニット。
【0085】
条項9.第1の電力ユニットは、地上電力ユニットから電力を受けるように構成されたビークル内の機載電力ユニットを備える、条項1に記載の第1の電力ユニット。
【0086】
条項10.第1の電力ユニットは、ビークル内の機載電力ユニットに電力を供給するように構成された地上電力ユニットを更に備える、条項1に記載の第1の電力ユニット。
【0087】
条項11.ビークル又は地上ターミナルのための第1の電力ユニットによって実行される、ビークルを地上ターミナルに接続する電力線を経由してデータを通信する方法であって、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を示す信号を検出することと、信号を検出したことに応じて、第1の電力ユニットに対応付けられた一又は複数のモデムと遠隔電力ユニットに対応付けられた一又は複数の遠隔モデムとの間で電力線を経由したデータ接続を自動的に確立することと、第1の電力ユニットに対応付けられたモデムと遠隔電力ユニットに対応付けられた一又は複数の遠隔モデムとのデータ接続を確立した後、第1の電力ユニットに対応付けられたモデムと遠隔電力ユニットに対応付けられた一又は複数の遠隔モデムとの間でデータをやりとりすることとを含む方法。
【0088】
条項12.電力線の第1のサブセットの配線を電気的に接続し、次いで電力線の第2のサブセットの配線を電気的に接続することを更に含む、条項11に記載の方法。
【0089】
条項13.第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を示す信号を検出することは、第2のサブセットの配線の1つで信号を検出することを含む、条項12に記載の方法。
【0090】
条項14.変流器を用いて一又は複数のモデムを第1のサブセットの配線のそれぞれの配線に誘導結合することを更に含む、条項13に記載の方法。
【0091】
条項15.第1の電力ユニットは、変流器と遠隔電力ユニットとの間に配置された接触器を含み、方法は、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続を検出したことに応じて、接触器を使用可能にすることと、第1の電力ユニットと遠隔電力ユニットとの接続の消失を検出したことに応じて、接触器を使用不可にすることとを更に含む、条項14に記載の方法。
【0092】
条項16.第1の電力ユニットは電力回路を含み、方法は、電力回路から一又は複数のモデムに電力を供給することを更に含む、条項11に記載の方法。
【0093】
条項17.第1の電力ユニットが遠隔電力ユニットに依然として接続されている間、所定のイベントに応じて、一又は複数のモデムと一又は複数の遠隔モデムとのデータのやりとりを一時的に中断させることを更に含む、条項11に記載の方法。
【0094】
条項18.所定のイベントは、エンジン開始試験を含む、条項17に記載の方法。
【0095】
条項19.第1の電力ユニットは、地上電力ユニットから電力を受けるように構成されたビークル内の機載電力ユニットを備える、条項11に記載の方法。
【0096】
条項20.第1の電力ユニットは、ビークル内の機載電力ユニットに電力を供給するように構成された地上電力ユニットを備える、条項11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17