IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 美和ロック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図1
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図2
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図3
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図4
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図5
  • 特許-入退出用開閉体制御システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】入退出用開閉体制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B49/00 B
E05B49/00 R
E05B49/00 S
E05B49/00 T
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018111697
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019002269
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2017116461
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】木澤 誠
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-211488(JP,A)
【文献】特開2011-227573(JP,A)
【文献】特開2002-339614(JP,A)
【文献】特開2003-6769(JP,A)
【文献】特開2014-105437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持すると共に、解錠キーを有する記憶媒体と、前記記憶媒体の識別情報を入力する入力部、この入力部と接続する開閉体制御装置、この開閉体制御装置と接続する認証端末用通信部、この認証端末用通信部と通信網を介して接続する外部の認証端末を備えた入退出用開閉体制御システムであって、
前記開閉体制御装置は、前記記憶媒体が該開閉体制御装置に接近したときに、前記入力部に入力された前記識別情報に基づいて前記認証端末に対して前記利用者が前記入退出用開閉体に接近したことを通知すると共に、前記解錠キーを取得して自身の記憶部に一時的に記憶し、
一方、前記認証端末は、前記通知により前記開閉体制御装置から貰った利用者の前記識別情報を確認し、該利用者の識別情報が使用許可できる本人確認情報であると判断したならば、前記通信網を介して前記開閉体制御装置に対して前記開閉体の使用許可情報を送信し、該開閉体制御装置は、前記使用許可情報を受信すると、前記記憶部に記憶された解錠キーにより開閉体に設けられた電気錠を解錠状態に制御する入退出用開閉体制御システム。
【請求項2】
請求項1の入退出用開閉体制御システムに於いて、前記開閉体制御装置は、前記電気錠が解錠状態になってから所定時間経過すると、前記電気錠を施錠状態になるように制御することを特徴とする入退出用開閉体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退出用開閉体制御システムに関し、例えば住宅の玄関扉に設けられた入退出用電気錠、共用部の出入り口に設けられた自動扉の開閉、宅配ボックスの錠前の駆動装置等を外部から制御する入退出用開閉体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部屋の内部に設けられた内部端末(各部屋内に設置されたインターホン)と玄関扉やその近傍の壁面に設けられたドアホンとの間で、来訪者を確認するために、適宜箇所に映像装置を設置し、該映像装置で取得した画像情報で、前記来訪者を特定する技術が記載されている。したがって、玄関扉を開ける際の「安全性」を確保することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1は、部屋内の内部端末で来訪者を確認することができるものの、例えば任意に持ち運びができる携帯端末及び広域の通信網を利用して、自己の住宅の玄関先に接近した来訪者、子供、親戚、管理人等を手軽に確認することができないという問題がある。また、安全性に配慮しながら、携帯端末及び広域の通信網を利用して、前記来訪者、子供、親戚、管理人等を簡単に特定でき、かつ、電気錠の解除に関して携帯端末が「なりすまし、の排除」をすることができるように「認証端末」としての役割を果たすことができれば非常に便利である。
【0004】
ところで、特許文献2には、鍵番号、ユーザ用暗証番号等を記憶部に記録した携帯電話、その他の携帯端末等の鍵に代わる携帯端末を紛失した場合に於いて、ドアロック装置に初期設定したユーザ用暗証番号等を新たに前記ドアロック装置の記憶部に記憶し、かつ、この書換えした新たなユーザ用暗証番号等を該ドアロック装置に設けたユーザ用認証情報書換え判定手段に判定させる旨記載されている(例えば段落0010、段落0011)。この特許文献2は鍵に代わる携帯端末を紛失した場合に対処することができるものの、携帯端末の登録情報を変更した場合には、ドアロックシステムを構成するドアロック装置の記憶部に新たなユーザ用暗証番号等を設定しなければならないとう問題点がある。また鍵に代わる携帯端末が携帯電話ではなく、例えばキーレスエントリーシステムに用いられている鍵代用小型端末(ICタグ)の場合には紛失する機会等が多くなるので、特許文献2と同様の問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-182542号公報
【文献】特開2007-23531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の課題は、鍵代用小型端末(例えばICタグ)の紛失等の事態が発生した場合に於いて、外部端末(外部の認証端末)が使用許可しない鍵代用小型端末使用者を排除する(なりすまし、の排除)、つまり、セキリティーの向上を図ることである。第2の課題は、外部端末が電気錠を備えた開閉体に接近したとき、例えばICタグを所持する者に対して、通信網を介して、解錠キーを活性化するためのICタグの使用許可情報をタイムリーに電気錠制御装置に送信することができることである。第3の目的は接近情報通知を、通信網を介して外部の認証端末に迅速に或いは早めに通知することができるようにすることである。これらの3つの課題を同時に達成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の退出用開閉体制御システムは、利用者が所持すると共に、解錠キーを有する記憶媒体と、前記記憶媒体の識別情報を入力する入力部、この入力部と接続する開閉体制御装置、この開閉体制御装置と接続する認証端末用通信部、この認証端末用通信部と通信網を介して接続する外部の認証端末を備えた入退出用開閉体制御システムであって、前記開閉体制御装置は、前記記憶媒体が該開閉体制御装置に接近したときに、前記入力部に入力された前記識別情報に基づいて前記認証端末に対して前記利用者が前記入退出用開閉体に接近したことを通知すると共に、前記解錠キーを取得して自身の記憶部に一時的に記憶し、一方、前記認証端末は、前記通知により前記開閉体制御装置から貰った利用者の前記識別情報を確認し、該利用者の識別情報が使用許可できる本人確認情報であると判断したならば、前記通信網を介して前記開閉体制御装置に対して前記開閉体の使用許可情報を送信し、該開閉体制御装置は、前記使用許可情報を受信すると、前記記憶部に記憶された解錠キーにより開閉体に設けられた電気錠を解錠状態に制御することを特徴とする(発明1)
【0008】
前記構成の入退出用開閉体制御システムに於いて、前記開閉体制御装置は、前記電気錠が解錠状態になってから所定時間経過すると、前記電気錠を施錠状態になるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、退出用開閉体制御システムの好ましい実施形態が、入退出用電気錠システムである場合には、「ICタグのID情報を読み取る非接触型リーダ、この非接触型リーダと接続する電気錠制御装置、この電気錠制御装置と接続する外部の認証端末用通信部及び入退出用開閉体に設けられ、かつ前記電気錠制御装置に施・解錠が制御される電気錠を備えたものであり」、前記電気錠制御装置は、開閉体に接近した特定の者が所持するICタグのID情報がその入力部に入力されると外部の認証端末用通信部及び通信網を介して外部端末としての認証端末に対して特定の者が前記入退出用開閉体に接近したことを通知(接近情報通知)し、一方、認証端末は、接近情報通知と同時又は異時に電気錠制御装置から貰った特定の者の情報をその認証部で確認し、該認証部が使用者の情報が許可できる本人確認情報であると判断したならば、その通信部及び通信網を介して電気錠制御装置に対してICタグの使用許可情報を送信し、該電気錠制御装置は、この使用許可情報を受信したことを条件として無効或いは眠っているICタグの解錠キーを活性化するための活性化情報を該ICタグ送信する(発明2)
【0010】
上記の入退出用開閉体制御システムに於いて、前記特定の者の認証情報が、該特定の者が所持する前記開閉体用の解錠キーである場合には、前記開閉体制御装置は、前記解錠キーが活性化される(解錠キーが使用可能な状態になる)と、前記開閉体に設けられた電気錠の施解錠を制御することを特徴とする。また外部の認証端末は人工知能手段を備え、この人工知能手段は、少なくともICタグのID情報、特定の者の顔、特定の者の姿態や服装、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末の所持者だけが知っている合言葉やパスワードのいずれか1つを「所定の認証情報(本人確認情報)」として取り扱って認証することを特徴とする(発明3)。また開閉体制御装置は、前記使用許可情報を受信して解錠キーが活性化されてから所定時間経過すると、活性化された前記解錠キーを元の状態(例えば休眠状態)になるように開閉体の動作を制御する(発明4)
【0011】
さらに付言すると、合言葉やパスワードは、いわば秘密情報(例えば特定の者の好きな動物、生年月日、祖母の名前など)に相当するものである。また電気錠制御装置は、特定の者の顔や姿態情報を取得する撮影装置(静止画像を撮るカメラ、動的画像を撮るビデオカメラなど)を備えている。また「本人確認情報」に生情報が含まれている場合に於いて、該生情報を取得する撮影装置がビデオカメラである場合には、映像信号から所定数のフレームを取り出し、例えば任意のソフトを利用して静止画像ファイルに圧縮し、電気錠制御装置の記憶部に記録されている認証端末のメールアドレス宛に送信するように構成する(発明5)
【0012】
したがって、特に図示しないが、電気錠制御装置は、撮影装置から取得した映像から画像ファイルを生成する画像生成部、この画像生成部で生成された静止画像または動画を認証端末に送信する画像送信部等を有している。
【0013】
一方、実施形態では、本人確認情報は、少なくともICタグのID情報、特定の者の顔、特定の者の姿態や服装(帽子も含む)、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末の所持者だけが知っている合言葉やパスワードのいずれか1つでも良いとはいうものの、外部の認証端末は本人を確認する必要があるので、視覚による判断が困難な指紋、声紋等の生体情報の場合には、いわゆる人工知能手段を用いて、予め認証端末の記憶部に記憶されている認証用情報(認証端末が予め許可した者の生体情報)を判別(認証)させるのが望ましい。
【0014】
また入退出用開閉体は、住戸の玄関扉(集合住宅、一戸建ての住宅、オフイスビルなど)、又は建物の門扉(望ましくは集合住宅や一戸建ての住宅の門扉)、又は共用部の出入り口に設けられた自動扉、さらには、少なくとも建物内或いは建物付近に設置された宅配ボックスの扉のいずれかであり、電気錠制御装置は、特定の者の認証情報が、該特定の者が所持する前記開閉体用の解錠キーである場合には、活性化したICタグの解錠キーを取得すると、例えば前記玄関扉、又は前記門扉、又は前記宅配ボックスの扉にそれぞれ設けられたロック機構(例えば電気錠の解錠・自動扉の駆動装置)の一つ又は複数を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項1の構成に於いて、開閉体制御装置は、前記電気錠が解錠状態になってから所定時間経過すると、前記電気錠を施錠状態になるように制御することを特徴とする。さらに、電気錠制御装置は電気錠が解錠してから所定時間経過すると、活性化したICタグの解錠キーを元の状態(例えば休眠状態)になるように制御する。
【0016】
なお、例えば入退出用開閉体制御システムの一例である電気錠の解錠方法は、ICタグのID情報を読み取る非接触型リーダ、この非接触型リーダと接続する電気錠制御装置、この電気錠制御装置と接続する外部の認証端末用通信部及び入退出用開閉体に設けられ、かつ前記電気錠制御装置に施・解錠が制御される電気錠とを備えた入退出用電気錠の解錠方法であって、電気錠制御装置は、開閉体に接近した特定の者が所持するICタグのID情報がその入力部に入力されると外部の認証端末用通信部及び広域の通信網を介して外部の認証端末に対して特定の者が入退出用開閉体に接近したことを通知(接近情報通知)する段階と、一方、認証端末は電気錠制御装置から貰った特定の者の情報をその認証部で確認し、該認証部が前記使用者の情報が許可できる本人確認情報であると判断したならば、電気錠制御装置に対してICタグの使用許可情報を送信する段階と、その後に、電気錠制御装置は、無効或いは眠っている前記ICタグの解錠キーを活性化するための活性化情報を該ICタグ送信する段階を含む。
【0017】
ここで、「入力部」とは、特定の者が所持する開閉体用の解錠キーやICタグと称される記憶媒体からIDコードを取得するもの(質問器)、IDコードに対応するテンキー式の暗号コードを取得する入力部、カメラ等により姿態情報を取得する撮影装置等を含む。前記「ICタグ」は、IDを有する非接触型情報媒体の一例であり、非接触型リーダが前記IDを読み取ることが可能であれば、その形状は特に問わず、カード形状のもので、いわゆる「かざす」タイプのものも含まれる。さらに、「カード形状の挿入情報媒体」も、発明の課題を逸脱しない限り、非接触型情報媒体に含まれるものとする。望ましくは、接近情報通知を外部の認証端末に迅速に或いは早めに通知(接近情報通知)をすることができるように、ICタグと非接触型リーダとは電波(無線)で行われる。
【0018】
また例えば実施形態の「ICタグ」は、二つの意味合いがある。その一つは、その記憶部に格納されているIDを非接触型リーダに送信するID送信機能であり、他の一つは、前記記憶部に格納された解錠キー(使用可能な解錠情報)を非接触型リーダに送信する解錠キー送信機能である。
【0019】
本発明は、通信網と任意の場所で接続可能な携帯型或いは移動型外部端末が発明の特定要件であり、しかも、この外部端末は、最終的判断して、ICタグ使用者の情報を許可する否かの本人確認をする「認証端末」或いは「監視端末」に相当するので、前記IDと前記解錠キーは、別個の情報であることが望ましい(但し、実施形態の一例としては、IDが移動型外部端末だけが知っている特定情報に相当し、かつ本人確認が可能であれば生情報やパスワードに準ずるものとする)。
【0020】
次に退出用開閉体制御システム、例えば入退出用電気錠システムは、広義では、「ICタグ」、「通信網」及び「外部端末(認証端末)から成るものの、狭義では、ICタグのID情報を読み取る非接触型リーダ、この非接触型リーダと接続する電気錠制御装置、この電気錠制御装置と接続する外部の認証端末用通信部及び入退出用開閉体に設けられ、かつ前記電気錠制御装置に施・解錠が制御される電気錠とから成る。
【0021】
したがって、「ICタグ」、「通信網」及び「外部端末(認証端末)」は、電気錠制御装置の積極的な特定要件ではない。しかしながら、本発明の主たる課題は、「外部端末(外部の認証端末)」が許可しないICタグ使用者を排除する、つまり、セキリティーの向上を図ることなので、前記外部の認証端末は、例えば電気錠制御装置からの接近情報通知と同時又は異時に該電気錠制御装置から貰った前記ICタグを所持する特定の者の情報をその認証部で確認し、該認証部が前記使用者の情報が許可できる本人確認情報であると判断すること、及びその通信部及び通信網を介して前記電気錠制御装置に対してICタグの使用許可情報を送信することをそれぞれ実行するので、広義の入退出用電気錠システムと密接な関連性がある。
【0022】
次に通信網は、多数の基地局を含むインターネットのみならず、建物内のみで構築されたLAN形式の接続も含まれる。広域の通信網は、狭義の入退出用電気錠システムと外部端末(認証端末)との間に介在し、両者間の情報のやり取りを行う。例えば入退出用電気錠システムから外部端末(外部の認証端末)に開閉体に対する接近情報(例えば子供、おばあちゃん、おじいちゃん、訪問介護者、管理者などが近づいた旨)を通知する、又は実施形態によっては接近情報と同時に生情報(望ましくは顔、姿態、音声など)を通知する。一方、外部端末(外部の認証端末)から入退出用電気錠システムにICタグ使用者の生体情報要求を通知する。
【0023】
次に外部端末(外部の認証端末)は、通信部、記憶部を含む制御部、表示部などの必要な構成要素を有し、通信網から任意の場所で開閉体に対する接近情報、ICタグ使用者の生情報要求、ICタグ使用者の認証、認証後にICタグの使用許可情報を送信することから、いわゆるスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコンなどが該外部端末に含まれる。
【発明の効果】
【0024】
(a)請求項1に記載の発明は、「外部端末(外部の認証端末)」が、例えば使用許可しないICタグ使用者を排除する(なりすまし、の排除)、つまり、セキリティーの向上を図ることができる。また「外部端末」が任意の場所から、開閉体に接近し、かつ、例えば特定の者の認証情報が、該特定の者が所持する前記開閉体用の解錠キーである場合には、ICタグを所持する者に対して、例えば該ICタグに格納されている解錠キーを活性化するためのICタグの使用許可情報を開閉体制御装置(例えば電気錠制御装置)に送信することができる。さらに、実施形態によっては、非接触方式の場合、接近情報通知を外部端末としての認証端末に迅速に或いは早めに通知することができる。
(b)請求項2に記載の発明は、開閉体制御装置は、使用許可情報を受信してから所定時間経過すると、元の状態(例えば休眠状態)になるように開閉体の動作を制御するので、元の状態のままでは解錠キーとして使用することが不可能であり、仮にICタグを落としても、心配をする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一般的発明思想の概略説明図。
図2】本発明の第1実施形態の概略を示すブロック図。
図3】本発明の電気錠の解錠方法を示す概略フロチャート(このフロチャートは、二つの実施形態をまとめて示してある)。
図4図4の(a)と(b)は、本発明に他の構成要件を付加した概略説明図。
図5】他の適用例を示す第2実施形態の概略を示すブロック図。
図6】第2実施形態の要部(開閉体の例)を示す概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、図1は本発明の退出用開閉体制御システムの一般的発明思想(上位概念)或いは考え方を示す概略説明図である。この図1に於いて、図面左上の符号1は識別情報(例えばICタグ)の一例としての「解錠キー」で、好ましくはこの解錠キー1は特定の者が所持している。また符号Aは指紋・音声・網膜・顔・姿態等の識別情報を有し、かつ、後述の携帯型の認証端末6を所持する前記特定の者である。
なお、図1は、退出用開閉体制御システムの一例として、開閉体7が住戸の玄関扉(集合住宅、一戸建ての住宅、オフイスビルなど)、又は建物の門扉(望ましくは集合住宅や一戸建ての住宅の門扉)のいずれかであり、該開閉体7には電気錠8が設けられている。開閉体7は、例えば共用部の出入り口に設けられた自動扉であっても良い。図1乃至図4は狭義の入退出用電気錠システムXを含む退出用開閉体制御システムの一例を示している。図面左下の狭義の入退出用電気錠システムXは、入力部2、電気錠制御装置3、外部の認証端末用通信部4を有する。入退出用電気錠システムXは、周知の如く、入退出用開閉体7及び電気錠8等を構成要素としている。さらに、図面右上の6は通信網5と接続可能な携帯型の外部の認証端末、21は認証端末の通信部、24は認証端末の認証部である。なお、狭義の入退出用電気錠システムX及び認証端末6は、各記憶部、表示部等を備えているが、便宜上割愛してある。
【0027】
本発明の各実施形態を包括する退出用開閉体制御システムは、利用者が所持すると共に、解錠キーを有する記憶媒体と、前記記憶媒体の識別情報を入力する入力部、この入力部と接続する開閉体制御装置、この開閉体制御装置と接続する認証端末用通信部、この認証端末用通信部と通信網を介して接続する外部の認証端末を備えた入退出用開閉体制御システムであって、前記開閉体制御装置は、前記記憶媒体が該開閉体制御装置に接近したときに、前記入力部に入力された前記識別情報に基づいて前記認証端末に対して前記利用者が前記入退出用開閉体に接近したことを通知すると共に、前記解錠キーを取得して自身の記憶部に一時的に記憶し、一方、前記認証端末は、前記通知により前記開閉体制御装置から貰った利用者の前記識別情報を確認し、該利用者の識別情報が使用許可できる本人確認情報であると判断したならば、前記通信網を介して前記開閉体制御装置に対して前記開閉体の使用許可情報を送信し、該開閉体制御装置は、前記使用許可情報を受信すると、前記記憶部に記憶された解錠キーにより開閉体に設けられた電気錠を解錠状態に制御することを特徴とする(発明1)。なお、実施形態如何によっては、宅配ボックスの前記開閉体の錠前の施錠を解くように制御する。
【0028】
好ましい実施形態は、特定の者Aの識別情報を読み取る入力部(例えば読取装置)2、この読取装置2と接続する開閉体制御装置3、この開閉体制御装置3と接続する外部の認証端末用通信部4を備えた入退出用開閉体制御システムXであって、前記開閉体制御装置3は、前記開閉体7に接近した前記特定の者の認証情報に基づいて前記外部の認証端末用通信部4及び通信網5を介して外部の認証端末6に対して前記特定の者Aが前記開閉体7に接近したことを通知(接近情報通知)し、一方、前記外部の認証端末6は、前記接近情報通知により前記開閉体制御装置3から貰った前記特定の者Aの情報を確認し、該特定の者の情報が使用許可できる本人確認情報であると判断したならば、その通信部21及び通信網5を介して前記開閉体制御装置3に対して解錠キー1の使用許可情報を送信し、この使用許可情報を貰った該開閉体制御装置3は、前記解錠キー1を使用することができるように活性化させる。
【0029】
本発明の入力部(例えば読取装置)2や識別情報は、特定の構成(例えばカードリーダ、ICタグのID情報)に限定されないことを明記するために、ここでは入力部2と識別情報に関して説明する。例えば一戸建て、マンション等の建物における入出退管理装置は、普通一般にカードに記録された利用者の識別情報(ID情報)を読み取るカードリーダや、利用者の指紋を読み取って照合する指紋照合装置あるいは音声を認識する音声認識装置などの入力装置からのID情報に基づいて、建物内の開閉体(例えばドア)に取り付けられた電気錠を制御し、建物に出入りする人や建物の特定のエリアに出入りする人を管理するものである。
【0030】
この種の入出退管理装置は、主に開閉体7に設けられた電気錠8と、開閉体7或いはこの開閉体の内外の適宜箇所に設けられたカードリーダなどの入力部(例えば読取装置)2からのID情報を処理する電気錠制御装置とから構成されている。前記カードリーダにはID情報を磁気的に記録したカードを扱う磁気ストライプ方式のものや、ID情報を送信する機能を有するカードを扱う非接触方式のものなどがある。非接触方式のものとしては、例えば特開平3-235081号や特開平3-228988号がある。
【0031】
本発明の入力部2は、好ましくは「読取装置」である。したがって、識別情報は非接触型の情報記憶媒体が好ましいものの、これに限定されるものではなく、上記の特許文献に記載の接触方式並びに非接触方式の両方が含まれる。また利用者の識別情報に関して、電気錠制御装置3側の入力部2(例えば読取部)は、後述する実施形態の如く、好ましくはカードリーダやITV監視カメラであるが、指紋照合端末装置、音声認識端末装置、網膜認識装置のいずれであっても良い。またこれらの複数の入力装置を備えていても良い。
【0032】
次に図2及び図3を参照にして好ましい実施形態を説明する。この実施形態を理解する場合、例えば一戸建住宅やマンションの玄関扉に自分の子供が接近し、一方、母親は自分の住宅内にいるのではなく、携帯端末を持って外出している場面を想定すれば良い。
【0033】
実施形態では、図2で示すように、特定の者(例えば子供)Aが所持するICタグ1のID情報を読み取る非接触型リーダ2、この非接触型リーダと接続する電気錠制御装置3、この電気錠制御装置とその外部の認証端末用通信部4及び広域の通信網5を経由して接続する外部端末(認証端末)6、前記子供が接近した退出用開閉体7に設けられ、かつ前記電気錠制御装置3に施・解錠が制御される電気錠8が主な特定事項であり、さらに前記非接触型リーダ又は前記電気錠制御装置3に直接又は間接的に撮影装置(カメラ)9が接続している。
【0034】
狭義の電気錠システムXを構成する電気錠制御装置3は、もちろん、登録情報a、解錠キーを活性化するためのプログラムbなど必要な情報を格納する記憶部10、前記電気錠が解錠した時点を始点としてカウントする計時機能(タイマー)11を有している。また狭義の電気錠システムXは、広域の通信網5を経由して接続する外部端末(認証端末)6と接続し、この外部端末(認証端末)6は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、認証部24と、表示と操作を兼用する表示部(液晶画面)25等を有している。
【0035】
一方、広義の入退出用電気錠システムYは、(1)特定の者Aが所持するICタグ1と、(2)非接触型リーダ2と、(3)この非接触型リーダ2と別体又は一体的に接続する電気錠制御装置3と、(4)この電気錠制御装置3に接続する外部の認証端末用通信部4と、(5)前記電気錠制御装置に直接制御されて開閉体7を施・解錠する電気錠8と、(6)多数の基地局を有する広域の通信網5と、(7)外部端末としての認証端末6とから成る。
【0036】
実施形態では、前記外部端末6(以下、ここでは外部の「認証端末」という)が重要な監視或いは制御機能の役割を果たす。この外部の認証端末6は、いわば監視端末として重要な役割を果たすが、特許権の直接侵害論の視点から前記電気錠制御装置3に視点を置くと、換言すれば外部の認証端末6の処理構成を電気錠制御装置のそれに読み替えると、実施形態の電気錠制御装置3は、ICタグ1のIDを認証する、ICタグの認証が登録情報aと一致したならば、外部の認証端末6に通信網5を経由して特定の者Aが入退出用開閉体7に接近したことを通知する(接近情報通知)。
【0037】
さらに電気錠制御装置3は、例えば外部の認証端末6からの要求に基づいて(接近情報通知とは異なる時期)前記特定の者Aを特定するための情報(例えば生体情報、パスワードなど)を送信する、又は外部の認証端末6からの要求に基づかないで、前記特定の者Aを特定するための情報を自動的に前記接近情報通知と同時に通知する、外部の認証端末6からICタグ1の使用許可情報を取得する、前記使用許可情報を取得することを条件として、特定の者の認証情報が、該特定の者が所持する前記開閉体用の解錠キーである場合には、前記特定の者Aが所持するICタグ1の解錠キーを活性化するための活性化情報を該ICタグ1に送信する、そして、活性化したICタグ1の解錠キーを取得する建物の玄関扉7(実施形態によっては門扉7)に設けられた電気錠8を解錠するように制御する、加えて、計時機能11を利用して電気錠8が解錠してから所定時間経過すると、該電気錠8を施錠状態に戻すように制御する、電気錠8が解錠してから所定時間経過すると、活性化したICタグ1の解錠キーを元の状態になるように制御する等の諸機能を有することから、このような諸機能を有する狭義の入退出用電気錠システムXを無断に実施する第三者は、間接侵害ではなく、本発明の直接侵害に該当するものということができる。そこで、本発明の第1実施形態を説明する。なお、第1実施形態の説明に当たって、周知事項(例えばICタグ1、電気錠8の具体的構成)の詳細は割愛する。
【0038】
(1)ICタグ1…ICタグは、任意の所持者が所持し、外出の際、カバン類や袋物に入れ或いは身に付けて持ち歩くことができる。典型例は出願人が製造・販売している「ノンタッチキー(登録商標)」と称されるものである。ノンタッチキー1は解錠ボタン、施錠ボタン等を有し、例えば解錠ボタンを押して開閉体7に設けた電気錠システムXに向けて解錠信号を送信すると、電気錠制御装置3は使用許可情報を取得することを条件として開閉体7を開けることができる。また、ICタグは電磁波や電波によって室内外に設置された非接触型リーダと非接触通信可能であって、所定の通信範囲内で通信することができる。ICタグは非接触型リーダから送信された応答要求信号に応じ起動して識別情報を含む信号を非接触型リーダに送信する。これらは周知技術である。であるから詳細は割愛するが、住戸の居住者(例えば子供と母親)を例にすると、子供Aが外出の際、ICタグ(ノンタッチキー)1を所持し、このICタグ1は、少なくとも非接触型リーダ2と通信可能なID情報を記憶部に格納している。前述したように、実施形態のICタグ1は、固有のID情報と、電気錠制御装置3から活性化情報を貰ったときに、無効状態から有効状態に復活する或いは眠っている状態から目覚めた状態になる(ここでは「活性化」という)解錠キーもその記憶部に格納している。
【0039】
したがって、ICタグは、普通一般の常態に於いて、電気錠制御装置(非接触型リーダを含む)3に応答することができる固有のID情報と、子供が自由に学校などに持ち歩いているときには全く解錠キーとして使用することができない非有効状態の解錠キーの二つの情報を保有している。それ故に、母親Bから見て、仮に子供AがICタグ(ノンタッチキー)1を何処かに落としても、住戸の開閉体7が無断で開けられる心配はない。
また実施形態では、自分の子供Aと仲良しの子供Zが仮に自己の住戸の開閉体7を開けようとして該開閉体7の前(例えば玄関扉の前)に立ったとしても、母親Bは、その所持する外部の認証端末6から通信網5を経由して電気錠制御装置3に当該ICタグ1の使用許諾の信号(活性化信号をICタグ送信しても良い旨の許可信号)を与えない限り、当該住戸の開閉体7を無断で開けられる心配はない。それ故に、この意味合いでは、母親Bの所持する外部の認証端末6は狭義の入退出用電気錠システムXの電気錠制御装置3を監視或いは制御するものである。
【0040】
なお、実施形態では、判り易くするため子供Aが所持するICタグ1と母親Bが所持する携帯端末6を例にしているが、例えば信頼関係のある住戸の管理人と母親、信頼関係のある親戚と母親、職場の上司と信頼関係のある従業員など、「本人確認(認証部)24」が可能な認証端末6からの使用許可情報に基づき、さらに電気錠制御装置3から活性化情報を取得することができるICタグ1を所持する者を、ここでは「特定の者」の概念に含めるものとする。
【0041】
(2)狭義の電気錠システムX…前述したように、狭義の電気錠システムXは、非接触型リーダ2、この非接触型リーダ2と接続する電気錠制御装置3、この電気錠制御装置と接続する外部の認証端末用通信部4及び入退出用開閉体7に設けられ、かつ前記電気錠制御装置3に施・解錠が制御される電気錠8とを備え、前記電気錠制御装置3には、記憶部10、タイマー11の他に、特定の者の顔や姿態情報を取得する撮影装置9が接続している。その他、図2には図示しないが、パスワードを手動に入力することができるテンキー、合言葉等を入力することができるマイク、指紋検知装置等が接続している。なお、前記撮影装置9は非接触型リーダ2と連動するように該非接触型リーダ2に接続しても良い。このように、特定の者の顔や姿態情報(制服や帽子を含む)を取得する撮影装置9を構成要件とする場合には、前述した「特定の者」の概念に宅配事業者の配達人が含まれる。
【0042】
(3)非接触型リーダ2…非接触型リーダ2は、周知のようにICタグ1が電波の届く領域に入ると、当該ICタグ1が保有しているID情報を取得し、電気錠制御装置3に対して出力する。非接触型リーダ2は単数又は複数個、適宜な場所に配設される。一般的には、一戸建て住宅又は集合住宅の場合には、玄関扉7又はその近傍に配置される。実施形態によっては、集合住宅の共用ゲート、専用ゲートの壁、床等に複数個配設する場合もある(特開2016-12162号公報)。また実施形態では、当該ICタグ1が保有している解錠キーを非接触状態で取得する。前述したように、ICタグ1はID送信機能と活性化された解錠キー情報を非接触型リーダ2に送信するので、非接触型リーダ2はこれらの機能に対応して両方の情報を受信する機能を有する。なお、集合住宅の共用ゲートや宅配ボックスの扉の開閉に関しては、図5及び図6で説明する。
【0043】
(4)電気錠8
電気錠8は、普通一般に開閉体7の一例としての玄関扉の自由端部に取り付けられ、図示しない駆動モータ等の駆動源、動力伝達機構、クラッチ機構、駆動源の駆動力により扉枠の受け金具に対して進退動するデッドボルト、玄関扉の外壁面側に設けられたシリンダ装置、玄関扉の内壁面側に設けられたサムターン装置等を備え、機械的にも電気的にも施解錠可能である。
【0044】
(5)電気錠制御装置3、記憶部10、計時機能(タイマー)11
電気錠制御装置3は、狭義の電気錠システムXを統括的に制御するものであるが、前述したように実施形態では認証端末6に制御される。電気錠制御装置3は電気錠8と有線又は無線で接続されており、その記憶部10に格納されている登録情報aを含む認証プログラム及びICタグ1の解錠キーを活性化するための活性化プログラムb等を格納している。したがって、記憶部10には当該住戸の識別情報、ICタグ1のID情報、認証端末6のメールアドレス等本実施形態の処理に必要な登録情報aが予め記録されている。また電気錠制御装置3は、認証機能及び計時機能(タイマー)を有するので、ID情報が登録情報と一致したならば、自動的に特定の者が当該住戸の玄関先に接近したことを外部の認証端末用通信部4に出力する。
【0045】
ここで、図3を参照にして、例えば「電気錠の解錠方法」を説明する。図3の概略フロチャートでは、認証端末6が電気錠制御装置3から生体情報等を取得する態様に関して、二つの実施形態(例1と例2)を示してある。
【0046】
まずステップS1は、ICタグ1が開閉体7に接近した段階である。この時、例えば使用許可を有する自己の子供Aが自己の住宅の玄関扉7に接近する。ステップS2は、ICタグ1と非接触型リーダ2との間で情報のやり取りをし、電気錠制御装置3は非接触型リーダ2を介してID情報を取得する。
【0047】
ステップS3は、ICタグのID情報を認証する段階である。このステップS3ではICタグのID情報が登録情報と一致するか否かを判断する。そこで、電気錠制御装置がICタグの認証をすると、すなわち、ICタグの認証が登録情報aと一致したならば、認証端末6に通信網5を経由して特定の者Aが入退出用開閉体7に接近したことを通知する(接近情報通知:ステップS4)。
【0048】
前記接近情報通知S4に関連して認証端末6が電気錠制御装置3から自己の子供Aの生体情報等を取得する方法には2つの実施形態(例1と例2)がある。まず図面右側に示す例1は、認証端末6が電気錠制御装置から接近情報通知S4を取得した後、例えば認証端末6がその表示部25等で「誰かが玄関扉の前にいる」を知り、その誰かが「自己の子供Aか否か(使用権限がある者か否か)」を知るために、安全性の確保の観点から、認証端末6から電気錠制御装置3に対して玄関扉の前にいる人の生体情報等を要求し、電気錠制御装置3は該要求があった後、撮影装置9の画像情報、暗証番号を入力したテンキー情報、マイクに対する合言葉等の生体情報等を取得するステップである。この例1のステップは、接近情報と異なる時期に生体情報等をもらうという構成である。
【0049】
次に図面左側に示す例2は、例えば撮影装置9が非接触型リーダ2と略同時に起動するので、認証端末6は電気錠制御装置3から接近情報通知S4と略同時に生体情報等をもらうという構成である。付言すると、電気錠制御装置3は認証端末6からの要求に基づかないで、特定の者Aを特定するための情報を自動的に接近情報通知と略同時に認証端末6に対して通信網5を介して通知するものである。
【0050】
次にステップS5は、本人確認をする段階である。この本人確認の段階は認証が成立するか否かということを意味する。実施形態では、特定の者Aを特定するための情報が、生体情報のみならず、少なくともICタグのID情報、特定の者の顔、特定の者の姿態、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末6の所持者だけが知っている合言葉やパスワード等の認証情報の内のいずれか1つ又は複数を「本人確認情報」として取り扱っているので、その認証手段は、例えば認証端末6を所持している母親Bのみではなく、望ましくは学習機能を有する知能ロボットによる認証成立で実行する。
【0051】
したがって、母親Bが認証端末6の認証部24を利用して、又は認証端末は人工知能手段を備え、この人工知能手段は、少なくともICタグのID情報、特定の者の顔、特定の者の姿態、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末の所持者だけが知っている合言葉やパスワード等の認証情報の内のいずれか1つ又は複数を「本人確認情報」として取り扱って認証するので、この人工知能手段がその記憶部23に記憶されている生体情報等に関する登録情報に基づいて自動的に本人確認した後(認証成立後)に、ICグの使用許可情報を電気錠制御装置3に送信する。
【0052】
この人工知能手段は、母親Bが認証端末6の認証部を利用して使用許可情報を送信した時の特定の者の顔、特定の者の姿態、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末6の所持者だけが知っている合言葉やパスワード等の認証情報を記憶手段23に記憶し、蓄積することで学習を行う。
【0053】
さらに、この人工知能手段はその入力部から特定の者の顔、特定の者の姿態、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声、ICタグの使用者と外部の認証端末6の所持者だけが知っている合言葉やパスワード等の認証情報を取得する度に、認証情報を更新して記憶手段23に記憶するので、特定の者の成長によって、その顔や姿態、音声等が次第に変化しても、その変化に対応して本人確認することができる。
【0054】
さらにまた、この人工知能手段、一度母親Bが使用許可情報を送信した認証情報について、2回目以降は、学習結果に基づいて自動的に本人確認するようにしても良い。
【0055】
次にステップS6は、電気錠制御装置3が認証端末6から前記ICタグの使用許可情報を取得する段階である。電気錠制御装置3は認証端末6からICタグの使用許可情報を取得すると、認証端末6の登録情報を確認した後、ICタグに対して解錠キーが活性化する活性化情報を送信する。これにより、常態では無効或いは眠っている前記ICタグの解錠キーが活性化する(ステップS7)。そこで、特定された子供AがICタグ1の解除釦を押すと、電気錠制御装置3はその解除信号を受理し、開閉体7の電気錠8を解錠する(ステップS8)。
【0056】
以上のように、本実施形態では、例えば電気錠制御装置3は使用許可情報を取得することを条件として特定の者Aが所持するICタグ1の解錠キーを活性化するための活性化情報を該ICタグに送信し、さらに、活性化したICタグ1からその解錠キーを取得すると、建物の玄関扉又は門扉に設けられた電気錠を解錠するように制御する。
【0057】
本実施例では、電気錠制御装置3は認証端末6からICタグの使用許可情報を取得すると、認証端末6の登録情報を確認した後、ICタグに対して解錠キーが活性化する活性化情報を送信する場合を説明したが、異なる実施例では、電気錠制御装置は特定の者が所持するICタグが接近したときにID情報と共に解錠キーを取得して、自身の記憶部に一時的に解錠キーを記憶しておき、外部の通信端末から使用許可情報を取得したときに解錠キーにより、開閉体に設けられた電気錠を解錠状態に制御しても良い。この場合には、特定された子供AはICタグ1の解錠ボタンを押す必要がなく、その解除信号を受理した時点で、電気錠8は自動的に開閉体7の電気錠8を解錠する。
【0058】
また、さらに異なる実施例では電気錠制御装置3は認証端末6から使用許可情報を取得すると、電気錠制御装置3は直接電気錠8の解錠を制御するようにしても良い。この実施例では、ICタグの解錠キーを活性化させずに電気錠8を解錠することができる。
【0059】
また、本実施例ではICタグの記憶部に格納される識別情報は異なる2つのID情報と、解錠キーである旨の説明をしたが、該情報は同一の識別情報であっても良い。
【0060】
なお、ステップS5に於いて、認証不成立の場合には、認証端末6は電気錠制御装置3に対して使用許可情報を送信しない(例えばそのまま放置)。そうすると、当然のことながら、解錠キーは活性化せず、眠ったままの状態である。それ故に、ICタグ1で電気錠8を解錠することができない。
【0061】
(6)電気錠を施錠状態に戻す構成
図4の(a)は、付加的要件として、電気錠8が解錠してから所定時間(t)が経過すると、該電気錠を施錠状態に戻すように制御することを示す。前記所定時間(t)は、例えば子供Aが玄関先で電気錠が解錠になったのにも関わらず、遊び友達に誘われて、玄関先から一時的に離れることを考慮し、例えば20秒乃至30秒経過すると、電気錠制御装置3は電気錠8を施錠状態に戻す(ステップS9)。
【0062】
(7)ICタグの解錠キーを元の状態になるようにする制御構成
ICタグの解錠キーを元の状態(例えば休眠状態)になるように制御は、電気錠制御装置3からの指令信号により、又はICタグ自体の記憶部に格納されているプログラムにより実行することができるが、本実施形態では、ICタグ自体は、狭義の電気錠システム又は電気錠の解錠方法の特定要件ではないので、望ましくは、ICタグを構成要件とはせず、電気錠制御装置3は電気錠が解錠してから所定時間経過すると、活性化したICタグの解錠キーを元の状態(例えば休眠状態)になるように制御する(ステップS10)。したがって、図4の(b)も図4の(a)と同様の構成である。なお、ステップS9とステップS10の各構成は、「OR」又は「AND」で、ステップS8の後に加味しても良い。
【0063】
最後に図5及び図6は、開閉体7の概念の中に「集合住宅の共用ゲートや宅配ボックスの扉」がそれぞれ含まれる旨の各概略説明図である。これらの図に於いて、X1は退出用開閉体制御システムで、この退出用開閉体制御システムX1には、第1実施形態で説明した狭義の入退出用電気錠システムXを含まれている。
【0064】
この退出用開閉体制御システムX1は、特定の者の認証情報が、該特定の者が所持する前記開閉体用の解錠キーである場合には解錠キー1が持っている認証情報であり、一方、特定の者が前記解錠キー1を所持していない者(例えば宅配物の配達員)である場合には、「特定の者A」の識別情報は、例えば特定の者の姿態(服装、帽子等も含む)、特定の者の指紋、特定の者の声紋、特定の者の音声等である。
【0065】
したがって、第2実施形態の外部の認証端末6は、前述した接近情報通知により開閉体制御装置3から貰った前記特定の者Aの認証情報を確認し、該特定の者Aの認証情報が使用許可できる本人確認情報であると判断したならば、その通信部21及び通信網5を介して前記開閉体制御装置3に対して開閉体の使用許可情報を送信し、この使用許可情報を貰った該開閉体制御装置3は、特定の者の認証情報が、例えば前記特定の者Aが所持する前記開閉体用の解錠キー1であれば、それを活性化させるように制御する又は共用部の出入り口7Aに設けられた開閉体7Bを開くように制御する、或いは又特定の者が前記解錠キー1を所持していない者(例えば宅配物の配達員)である場合には、例えば特定の者の姿態を認証情報として、宅配ボックス30の開閉体7Cの錠前の施錠を解くように制御する、のいずれかである。
【0066】
ところで、退出用開閉体制御システムX1は、共用部の出入り口7A付近、又はその開閉体7Bのいずれかに特定の者Aの顔や姿態情報(制服や帽子を含む)を取得する撮影装置9を備えている(図2図5を参照)。また実施形態では、建物の共用玄関29の床面Fに複数の大小の開閉体7Cを有する宅配ボックス30が設置されている(6を参照)。
【0067】
そして、前記共用部の開閉体7B又は/及び前記配ボックス30の大小の各開閉体7Cに対しては、それぞれ特定の者Aの識別情報を読取る入力部(例えば読取装置)2、2、2が適宜に配設され、これらの入力部2はそれぞれ単数又は複数の開閉体制御装置3に有線又は無線で電気的に接続している。また単数又は複数の開閉体制御装置3は、通信網5と接続可能な単数又は複数の外部の認証端末用通信部4と接続している。このように本発明の用途の範囲を広めても、主たる課題を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば住宅の入退出用電気錠システム及び該電気錠の解錠方法として利用される。
【符号の説明】
【0069】
X…狭義の入退出用電気錠システム、
Y…広義の入退出用電気錠システム、
A…特定の者(識別情報)、
1…解錠キー(例えばICタグ:識別情報)、
2…入力部(例えば非接触型リーダ)、
3…電気錠制御装置、
4…外部の認証端末用通信部、
5…広域の通信網、
6…外部の認証端末、
7…玄関扉又は門扉、
7A…共用部の出入り口、
7B…共用部の開閉体、
7C…宅配ボックスの開閉体、
7…開閉体、
8…電気錠、
9…撮影装置、
10…記憶部、
11…計時機能、
21…通信部、
22…制御部、
23…記憶部、
24…認証部、
25…表示部、
30…宅配ボックス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6