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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】車両駆動システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 9/18 20060101AFI20221124BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B60L9/18 J
B60L15/20 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132683
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020010582
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】柏▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亮太郎
(72)【発明者】
【氏名】馬場 浩輔
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-082855(JP,A)
【文献】特開2014-151680(JP,A)
【文献】特開2007-099265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 9/18
B60L 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機(30)と、前記回転電機と直流電源(10)との間の電力伝達を行うインバータ(20)と、前記回転電機の動力を車両の駆動輪(50)に伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられた変速機(40)と、を備える車両駆動システムに適用される制御装置(91)において、
前記車両の走行速度(V)又はその相関値である第1マップパラメータ、及び前記駆動輪の駆動トルク(T)又はその相関値である第2マップパラメータを取得する取得部(46)と、
制御部(25,47,48)と、
を備え、
前記回転電機の各相の巻線の印加電圧に含まれる基本波成分の実効値を前記直流電源の電圧で規格化した値を電圧規格値とし、
前記制御部は、
取得された前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータ、並びに前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータと関係付けられて前記電圧規格値が規定されたマップ(M)に基づいて、前記インバータの制御モードを過変調制御又は矩形波制御にできる前記変速機の変速比があるか否かを判定し、
前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速機の変速比があると判定した場合には、現在の前記変速比が前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる変速比となるように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードが前記過変調制御又は前記矩形波制御になるように前記インバータを制御し、
前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速機の変速比がないと判定した場合には、現在の前記変速比を維持するように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードがPWM制御になるように前記インバータを制御する制御装置。
【請求項2】
前記制御モードが前記過変調制御又は前記矩形波制御とされる場合に前記電圧規格値が取り得る範囲を設定範囲とし、
前記制御部は、
取得された前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータ並びに前記マップに基づいて、前記電圧規格値を算出し、
算出した前記電圧規格値が前記設定範囲内になる場合には、前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速比があると判定し
算出した前記電圧規格値が前記設定範囲を下回る場合には、前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速比がないと判定する請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速比の候補が複数存在すると判定した場合には、複数の前記変速比の候補の中から、現在の前記変速比に最も近い変速比を選択し、現在の前記変速比が選択した変速比になるように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードが、前記過変調制御及び前記矩形波制御のうち選択した変速比に対応する制御モードとなるように前記インバータを制御する請求項1又は2記載の制御装置。
【請求項4】
回転電機(30)と、前記回転電機と直流電源(10)との間の電力伝達を行うインバータ(20)と、前記回転電機の動力を車両の駆動輪(50)に伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられた変速機(40)と、を備える車両駆動システムに適用される制御装置(91)において、
前記車両の走行速度(V)又はその相関値である第1マップパラメータ、及び前記駆動輪の駆動トルク(T)又はその相関値である第2マップパラメータを取得する取得部(46)と、
制御部(25,47,48)と、
を備え、
前記回転電機の各相の巻線の印加電圧に含まれる基本波成分の実効値を前記直流電源の電圧で規格化した値を電圧規格値とし、
前記インバータの制御モードが過変調制御又は矩形波制御とされる場合に前記電圧規格値が取り得る範囲を設定範囲とし、
前記制御部は、
取得された前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータ、並びに前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータと関係付けられて前記電圧規格値が規定されたマップ(M)に基づいて、前記電圧規格値を算出し、
算出した前記電圧規格値が前記設定範囲内になる場合には、前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速機の変速比があると判定し、現在の前記変速比が前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる変速比となるように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードが前記過変調制御又は前記矩形波制御になるように前記インバータを制御し、
前記制御部は、前記制御モードを前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる前記変速比が複数存在すると判定した場合には、複数の前記変速比の中から、前記電圧規格値が最も高くなる変速比を選択し、現在の前記変速比が選択した変速比になるように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードが、前記過変調制御及び前記矩形波制御のうち選択した変速比に対応する制御モードとなるように前記インバータを制御する制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記駆動輪に印加されるトルクが前記変速比の変更前後で変化するのを抑制するように、前記インバータを制御する請求項1~4のいずれか1項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機とインバータとを備えた車両駆動システムに適用される制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV車両)の航続距離を延長して、その利便性の向上させる目的で、各コンポーネントでの電力の低損失化を図る技術開発が行われている。その低損失化を図る技術として、インバータの矩形波制御がある。その矩形波制御では、PWM制御と比べて、インバータのスイッチング回数が減ることでスイッチング損失が減る。また、キャリア由来の電流リップルの周波数および大きさが小さくなるため、回転電機での鉄損も低減する。そのため、矩形波制御を行う期間を拡大することが、航続距離を延長するための手段の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-220431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
矩形波制御を行う期間を拡大する技術として、例えば特許文献1に記載のものがある。これは電圧を上昇させる昇圧コンバータの制御(PAM制御)を行うことで、矩形波制御を行うことができる期間を拡大している。これによれば、インバータでのスイッチング損失は下がる。しかし、昇圧コンバータでの損失が生じる。また、電圧を上昇させることにより、昇圧コンバータのリアクトルでの損失が増大する。特に、高出力域で、このような損失の増大が顕著となる。
【0005】
また、それ以外の技術としては、強め界磁制御を行うことで、矩形波制御を行う領域を拡大する技術がある。これによっても、インバータでのスイッチング損失は下がる。しかし、低トルク域では電流実効値が上がるため、回転電機での導通損とインバータでの導通損が増大してしまうというデメリットがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回転電機とインバータとを備えた車両駆動システムにおいて、電力の低損失化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、回転電機と、前記回転電機と直流電源との間の電力伝達を行うインバータと、前記回転電機の動力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられた変速機と、を備える車両駆動システムに適用される。
【0008】
制御装置は、前記車両の走行速度又はその相関値である第1マップパラメータ、及び前記駆動輪の駆動トルク又はその相関値である第2マップパラメータを取得する取得部と、取得された前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータ、並びに前記第1マップパラメータ及び前記第2マップパラメータと関係付けられて所定情報が規定されたマップに基づいて、前記インバータの制御モードを過変調制御又は矩形波制御にできる前記変速機の変速比があると判定した場合には、現在の前記変速比が前記過変調制御又は前記矩形波制御にできる変速比となるように前記変速機を制御し、かつ、現在の前記制御モードが前記過変調制御又は前記矩形波制御になるように前記インバータを制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明によれば、制御モードが過変調制御又は矩形波制御になる変速比がある場合には、過変調制御又は矩形波制御になるように変速比を制御するため、過変調制御又は矩形波制御を行う期間が拡大される。そのため、インバータのスイッチング損失が低減する。また、電流リップルの周波数及び大きさが小さくなることで、回転電機での鉄損も低減する。以上、本発明によれば、車両駆動システムの低損失化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の制御装置等を示す概略図
図2】制御装置による変速制御を示すフローチャート
図3】車両を一定の駆動トルク指令値で加速させた際のマップを示す図
図4】車両を一定の駆動トルク指令値で減速させた際のマップを示す図
図5】車両を一定の駆動トルク指令値で減速させた際の各値の変化を示す図
図6】第1実施形態のマップと従来のマップとを示す図
図7】第1実施形態の効果を示すグラフ
図8】第2実施形態での変速制御を示すフローチャート
図9】車両を一定の駆動トルク指令値で減速させた際のマップを示す図
図10】第3実施形態のマップを示す図
図11】第4実施形態のマップを示す図
図12】第5実施形態での変速制御を示すフローチャート
図13】車両を一定の駆動トルク指令値で加速させた際のマップを示す図
図14】第6実施形態のマップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0012】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の制御装置91は、電気自動車、ハイブリッド自動車又は燃料電池自動車等、回転電機を車両の走行動力源とする車両駆動システム90に適用される。車両駆動システム90は、バッテリ10(直流電源)と、インバータ20と、回転電機30と、動力伝達機構と、駆動輪50とを備える。
【0013】
インバータ20は、バッテリ10から供給される直流電流を交流電流に変換して回転電機30に伝達する。回転電機30は、ステータ巻線と、ステータ巻線により回転駆動されるロータとを備えている。回転電機30の回転速度N(ロータの回転速度N)は、回転速度センサ32により計測される。
【0014】
動力伝達機構は、回転電機30のロータと共に回転する第1軸39と、車両の駆動輪50と共に回転する第2軸41と、第1軸39と第2軸41との間に設けられた変速機40とを有する。変速機40は、第1軸39と第2軸41との間で変速比を変更する。詳しくは、本実施形態の変速機40は、2段切換の自動変速機であり、第1変速比ρLと、第1変速比ρLよりも変速比の低い第2変速比ρH(<ρL)とに切り替える。回転電機30のロータ及び第1軸39の回転速度をNとし、第2軸41及び駆動輪50の回転速度をNtとし、変速機40の変速比をρとする場合、本実施形態では、「N=ρ×Nt」の関係が成り立つ。このため、駆動輪50の回転速度Ntが同じならば、変速比ρが第1変速比ρLとされている場合の回転電機30のロータの回転速度Nは、変速比ρが第2変速比ρHとされている場合のロータの回転速度Nよりも高くなる。また、本実施形態では、第1,第2変速比ρL,ρHが1よりも大きい値とされている。つまり、変速機40は、ロータの回転速度Nを減速して駆動輪50に伝える。第2変速比ρHは、従来の変速比一定の車両駆動システムの変速比と同程度であり、第1変速比ρLは、従来の変速比一定の車両駆動システムの変速比よりも高い。
【0015】
次に、制御装置91について説明する。制御装置91は、駆動力算出部15と、インバータ制御部25と、変速機制御部45とを備える。駆動力算出部15は、アクセル14の開度から駆動輪50の駆動トルク指令値Tを算出する。
【0016】
インバータ制御部25は、駆動力算出部15から駆動トルク指令値Tを取得し、回転速度センサ32から回転電機30の回転速度Nを取得すると共に、それらの値に基づきインバータ20を制御する。インバータ制御部25は、PWM制御(パルス幅変調制御)、過変調制御又は矩形波制御のいずれかを選択して実行する。なお、本実施形態では、上記のいずれの制御を選択した場合においても、最大トルク制御を行う。最大トルク制御とは、同一電流に対して回転電機の出力トルクが最大となるように電流位相を調整する制御である。
【0017】
PWM制御は、回転電機30のステータ巻線に印加される各相電圧のピーク値がバッテリ10の出力電圧以下になる場合、ステータ巻線に印加される各相電圧がPWM電圧波形となるように正弦波PWM制御によりインバータ20の上,下アームスイッチを駆動する制御である。
【0018】
過変調制御は、ステータ巻線に印加される各相電圧のピーク値がバッテリ10の出力電圧を上回る場合、PWM制御によるPWM波形電圧よりも電圧利用率mの高いPWM電圧波形となるように上,下アームスイッチを駆動する制御である。
【0019】
矩形波制御は、回転電機30の1電気角周期において、上,下アームスイッチをそれぞれ1回ずつオン駆動する制御である。
【0020】
変速機制御部45は、取得部46と決定部47と変速比制御部48とを備える。取得部46は、車速センサ52から車速V(車両の走行速度)を取得し、駆動力算出部15から駆動トルク指令値Tを取得する。
【0021】
決定部47は、車速Vと駆動トルク指令値Tとから電圧利用率mを求めるマップMを有する。電圧利用率mは、下式(eq1)で表される。ここで、Vdはd軸電圧であり、Vqはq軸電圧であり、Vdcはバッテリ10の電圧である。なお、マップMは、例えば、制御装置91の備えるメモリ等の記憶部に記憶されている。
【0022】
【数1】
【0023】
本実施形態において、マップMは、図3に示すように、車速V及び駆動トルク指令値Tと関係付けられて電圧利用率mが規定された情報である。図3では、横軸が車速Vであり、縦軸が駆動トルク指令値Tであり、紙面直交方向軸が電圧利用率mである。マップMは、変速機40の変速比を変えると縦横比が変わることで変形する。詳しくは、第1変速比ρLから第2変速比ρHにシフトアップすると、縦方向にはρH/ρL倍になるように圧縮され、横方向にはρL/ρH倍に拡張される。他方、第2変速比ρHから第1変速比ρLにシフトダウンすると、縦方向にはρL/ρH倍に拡張され、横方向にはρH/ρL倍になるように圧縮される。
【0024】
以下では、第1変速比ρLでのマップMを「第1マップM1」といい、第2変速比ρHでのマップMを「第2マップM2」という。図3(a)の実線及び図3(b)の破線が第1マップM1を示し、図3(b)の実線及び図3(a)の破線が第2マップM2を示す。各マップM1,M2内には、PWM制御領域Maと、過変調制御領域Mbと、矩形波制御領域Mcとがある。車速Vと駆動トルク指令値Tとから求められる動作点P(V,T)がPWM制御領域Ma内に存在する場合、電圧利用率mは第1規定値未満の値になるとともに、制御モードとしてPWM制御が選ばれる。本実施形態において、第1規定値は0.613である。また、動作点P(V,T)が過変調制御領域Mb内に存在する場合、電圧利用率mは第1規定値以上第2規定値未満の値になるとともに、制御モードとして過変調制御が選ばれる。本実施形態において、第2規定値は0.78である。また、動作点P(V,T)が矩形波制御領域Mc内に存在する場合、電圧利用率mは第2規定値になるとともに、制御モードとして矩形波制御が選ばれる。
【0025】
詳しくは、決定部47は、利用率算出部47aと、モード決定部47bとを備える。利用率算出部47aは、車速V及び駆動トルク指令値T並びにマップMに基づいて、電圧利用率mを算出する。モード決定部47bは、電圧利用率mが0.613未満の値になるときにPWM制御を選択し、電圧利用率mが0.613以上0.78未満の値になるときに過変調制御を選択し、電圧利用率mが0.78になるときに矩形波制御を選択する。
【0026】
図1に示す変速比制御部48は、制御モードを過変調制御又は矩形波制御にできる変速比がある場合には、過変調制御又は矩形波制御になるように変速機40の変速比を制御する。
【0027】
次に、図2を用いて、本発明の制御装置91による変速制御を説明する。
【0028】
まず、取得部46は、駆動力算出部15から駆動トルク指令値Tを取得すると共に、車速センサ52から車速Vを取得する(S101)。次に利用率算出部47aは、取得された駆動トルク指令値T及び車速V、並びにマップMから電圧利用率mを算出する(S102)。
【0029】
次に、モード決定部47bは、制御モードを過変調制御又は矩形波制御にできる変速比があるか否かを判定する(S103)。詳しくは、モード決定部47bは、電圧利用率mを0.613~0.78となる変速比があると判定した場合は、過変調制御又は矩形波制御を選択するため、S104に移行する。一方、電圧利用率mが0.613~0.78となる変速比がないと判定した場合(S103:NO)、S108で、現在の変速比を維持したまま、インバータ20の制御モードをPWM制御とする。
【0030】
他方、条件を満たす変速比がある場合(S103:YES)、変速比制御部48は、条件を満たす変速比が複数あるか否か判定する(S104)。条件を満たす変速比が複数ない場合(S104:NO)、変速比制御部48は、第1,第2変速比ρL,ρHのうち、条件を満たす唯一の変速比を選択する(S105)。他方、条件を満たす変速比が複数ある場合(S104:YES)、変速比制御部48は、第1,第2変速比ρL,ρHの中で現在の変速比に最も近い変速比を選択する(S106)。
【0031】
次に、S107において、変速機制御部45は、S105又はS106で選択した変速比となるように、変速機40を制御し、かつ、インバータ制御部25は、現在の制御モードが、S105又はS106で選択した変速比に対応する制御モードとなるようにインバータ20を制御する。この際、インバータ制御部25は、回転電機30から駆動輪50に印加される駆動トルクが変速比の変更前後で変化するのを抑制するように、インバータ20を制御する。具体的には、第1変速比ρLから第2変速比ρHにシフトアップさせる際には、回転電機30の回転速度NをρH/ρL倍になるように下げると共に、回転電機30の駆動トルクをρL/ρH倍に上げるように、インバータ20を制御する。また、第2変速比ρHから第1変速比ρLにシフトダウンさせる際には、回転電機30の回転速度NをρL/ρH倍に上げると共に、回転電機30の駆動トルクをρH/ρL倍になるように下げるように、インバータ20を制御する。これにより、変速比の変更前後で駆動トルクが略同一になるようにする。
【0032】
次に、具体例として、図2図3を参照しつつ、駆動トルク指令値Tを一定に保ったまま車両を加速させていく場合を説明する。V=0の初期状態では、変速機40の変速比として第1変速比ρLが選択される。その状態から車両が加速していっても、図3(a)に示すように、車速Vと駆動トルク指令値Tとから求められる動作点P(V,T)が第1マップM1のPWM制御領域M1a内にある期間t1は、第1変速比ρLが選択され続ける。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がない(S103:NO)と判定され、S108の処理が実行されるためである。
【0033】
その後、動作点Pが第1マップM1の過変調制御領域M1bに入ってから、第2マップM2の過変調制御領域M2bに入る手前までの期間t2においても、第1変速比ρLが維持される。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ない(S104:NO)と判定され、S106でその唯一の変速比として、現在の変速比である第1変速比ρLが選択されるためである。
【0034】
その後、動作点Pが第2マップM2の過変調制御領域M2bに入ってから第1マップM1の矩形波制御領域M1cを出るまでの期間t3においても、第1変速比ρLが維持される。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ある(S104:YES)と判定され、S106で現在の変速比に最も近い変速比として現在の変速比である第1変速比ρLが選択されるためである。
【0035】
その後、図3(b)に示すように、動作点Pが第1マップM1の矩形波制御領域M1cを出た時点(期間t4に入った時点)で、変速機40の変速比が第2変速比ρHにシフトアップする。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ない(S104:NO)と判定され、S105でその唯一の変速比として第2変速比ρHが選択されるためである。このシフトアップの際、インバータ制御部25は、回転電機30の回転速度NをρH/ρL倍になるように下げると共に、回転電機30の駆動トルクをρL/ρH倍に上げるように、インバータ20を制御する。
【0036】
次に、反対に、駆動トルク指令値Tを一定に保ったまま車両を減速させていく場合を、図2図4を参照しつつ説明する。図4(a)に示すように、動作点Pが第2マップM2の過変調制御領域M2b又は矩形波制御領域M2c内にあり、かつ、第1マップM1の矩形波制御領域M1cの外にある期間t4’では、上記の期間t4と同様に、第2変速比ρHが選択され続ける。
【0037】
その後、動作点Pが第1マップM1の矩形波制御領域M1cに入ってから第2マップM2の過変調制御領域M2bを出るまでの間t3’も、第2変速比ρHが選択され続ける。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比はある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比は複数ある(S104:YES)と判定され、S106で現在の変速比に最も近い変速比として、現在の変速比である第2変速比ρHが選択されるからである。
【0038】
そして、動作点Pが第2マップM2のPWM制御領域M2aに入った時点(t2に入った時点)で、第1変速比ρLにシフトダウンする。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比はある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比は複数ない(S104:NO)と判定され、S105でその唯一の変速比として第1変速比ρLが選択されるからである。このシフトダウンの際、インバータ制御部25は、回転電機30の回転速度NをρL/ρH倍に上げると共に駆動トルクをρH/ρL倍になるように下げるように、インバータ20を制御する。その後の期間t2’及びt1’は、減速しても、上記t2又はt1と同様に第1変速比ρLが選択され続ける。
【0039】
このように、加速時には図3に示す上記t3とt4との間でシフトアップし、減速時には図4に示す上記t3’とt2’との間でシフトダウンするので、t3とt4との間を跨いで車速Vが行き来した場合や、t3’とt2’との間を跨いで車速Vが行き来した場合にも、シフトアップとシフトダウンとが連続して繰り返されてしまうことがない。
【0040】
なお、図5は、図4に示すように駆動トルク指令値Tを一定に保ったまま減速していった際の各値の変化を示すグラフである。詳しくは、図5(a)は、車速Vと経過時間との関係を示すグラフである。図5(b)は、駆動輪50に印加される駆動トルクと経過時間との関係を示すグラフである。図5(c)は、電圧利用率mと経過時間との関係を示すグラフである。図5(d)は、変速比ρと経過時間との関係を示すグラフである。図5(e)は、回転電機30の回転速度Nと経過時間との関係を示すグラフである。図5(f)は、回転電機30のトルクと経過時間との関係を示すグラフである。
【0041】
本実施形態によれば、図3等に示す第2マップM2では、変速比一定の従来と同程度の過変調制御領域Mb(M2b)及び矩形波制御領域Mc(M2c)となるが、第1マップM1では、変速比一定の従来よりも低速側に過変調制御領域Mb(M1b)及び矩形波制御領域Mc(M1c)が形成される。そのため、第2マップM2と第1マップM1とを含めると過変調制御領域M1b,M2b及び矩形波制御領域M1c,M2cが拡大する。それにより、従来ではPWM制御が行われていた期間(t2,t2‘等)でも、過変調制御又は矩形波制御が行われることとなる。そのため、その期間(t2,t2‘等)では、従来に比べてスイッチング回数が減ることで、インバータ20のスイッチング損失が低減する。また、上記の期間(t2,t2’等)では、従来に比べて電流リップルの周波数及び大きさが小さくなることで、回転電機30での鉄損も低減する。以上、本実施形態によれば、車両駆動システムの低損失化を図ることができる。
【0042】
図6は、本実施形態の第2マップM2と従来のマップM’とを示している。本実施形態では、第2変速比ρHが従来の変速比と同程度であり、低速時に第1変速比ρLに切り替えて第1マップM1を使用するので、第2変速比ρHと第1変速比ρLとの比だけ、最高トルクを下げること、すなわち、最高トルクをρH/ρL倍にまで下げることができる。そのため、積厚(回転電機30の軸方向長さ)も従来のρH/ρL倍にまで小さくすることができ、回転電機30の体格及びコストを低減できる。また、体格がそのままでよいのであれば、磁束をρH/ρL倍にまで小さくすること、すなわち、表面磁束が少ない磁石を用いることができるので、回転電機30を低コスト化できる。
【0043】
図7は、本実施形態の効果を示すグラフである。本実施形態では、変速機40を設けることで、従来にはない変速機40での損失が発生するが、それ以上に、回転電機30での損失(鉄損)とインバータ20での損失(スイッチング損失)との合計が低減されることにより、全体での損失が低減される。
【0044】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材、ステップ等は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0045】
第2実施形態では、図8に示すように、S106で現在の変速比に最も近い変速比を選択するのではなく、電圧利用率mが最も高くなる変速比を選択する点で相違する。
【0046】
具体例として、図8図9を参照しつつ、駆動トルク指令値Tを一定に保ったまま車両を減速させていった場合を説明する。点Pが第2マップM2の過変調制御領域M2b又は矩形波制御領域M2c内にあり、かつ、第1マップM1の矩形波制御領域M1cの外にある間t4’は、第1実施形態と同様に、第2変速比ρHが選択される。
【0047】
その後、点Pが第1マップM1の矩形波制御領域M1cに入った時点(期間t3’に入った時点)で、第1変速比ρLにシフトダウンする。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比はある(S106:YES)と判定され、S104でその変速比は複数ある(S104:YES)と判定され、S106で最も電圧利用率mが高い変速比として第1変速比ρLが選択されるからである。その後は、第1変速比ρLが選択され続ける。なお、シフトアップのタイミングについては、第1実施形態の場合と同様である。
【0048】
本実施形態によれば、S103で電圧利用率mが最も高くなる変速比を選択することで、電力の低損失化をより図ることができる。
【0049】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態について、図10を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材等は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。変速機40は、変速比を3段階で切り替える多段階変速機である。そのため、第1,第2変速比ρL,ρHに対応する第1,第2マップM1,M2に加え、第3変速比に対応する第3マップM3を有する。本実施形態によれば、過変調制御又は矩形波制御を行う期間をより拡大することができる。なお、本実施形態では、変速比を3段階で切り替えるが、むろん、4段階以上で切り替えるものであってもよい。
【0050】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態について、図11を参照しつつ説明する。第4実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材等は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。変速機40は、変速比を連続して切り替える無段階変速機である。そのため、マップMは連続的に縦横比が変更される。本実施形態では、変速比を所定間隔ごとに変更した各状態でのマップMを用いて、第1実施形態と同様の制御を行う。本実施形態によっても、第3実施形態と同様、過変調制御又は矩形波制御を行う期間をより拡大することができる。
【0051】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材、ステップ等は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0052】
本実施形態では、図12に示すように、S101で取得部46は、回転電機30のトルク指令値Tmと回転電機30の回転速度Nを取得する点で相違する。また、図13に示すように、マップMは、回転電機30の回転速度N及びトルク指令値Tmと関係付けられて電圧利用率mが規定された情報である点で相違する。詳しくは、マップMは、横軸が回転電機30の回転速度Nであり、縦軸が回転電機30のトルク指令値Tmである。本実施形態では、変速比が変わってもマップMは変形しない。
【0053】
動作点については、第1動作点P1と第2動作点P2とがある点で相違する。詳しくは、第1動作点P1は、第1変速比ρLにした場合の回転電機30の回転速度N及びトルク指令値Tmを示している。また、第2動作点P2は、第2変速比ρHにした場合の回転電機30の回転速度N及びトルク指令値Tmを示している。マップM内における第1動作点P1の座標を(N1,Tm1)とし、マップM内における第2動作点P2の座標を(N2,Tm2)とした場合、N2/N1=ρH/ρLであり、Tm2/Tm1=ρL/ρHである。これは、第1変速比ρ1から第2変速比ρ2へシフトアップする際、インバータ制御部25は、回転電機30の回転速度NをρH/ρL倍になるように下げるようにインバータ20を制御すると共に、回転電機30のトルク指令値TmをρL/ρH倍に上げるためである。
【0054】
次に、具体例として、図12図13を参照しつつ、駆動トルクを一定に保ったまま車両を加速させていく場合を説明する。なお、図13(a)では、第1変速比ρ1が選択された状態での第1動作点P1の軌跡を実線の矢印で示し、同状態での第2動作点P2の軌跡を破線の矢印で示している。また、図13(b)では、第2変速比ρ2が選択された状態での第1動作点P1の軌跡を破線の矢印で示し、同状態での第2動作点P2の軌跡を実線の矢印で示している。
【0055】
V=0の初期状態では、変速機40の変速比として第1変速比ρLが選択される。その状態から車両が加速していっても、図13(a)に示すように、第1動作点P1がPWM制御領域Ma内にある期間t1は、第1変速比ρLが選択され続ける。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がない(S103:NO)と判定され、S108の処理が実行されるためである。
【0056】
その後、第1動作点P1が過変調制御領域Mbに入ってから、第2動作点P2が過変調制御領域Mbに入る手前までの期間t2においても、第1変速比ρLが維持される。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ない(S104:NO)と判定され、S106でその唯一の変速比として、現在の変速比である第1変速比ρLが選択されるためである。
【0057】
その後、第2動作点P2が過変調制御領域Mbに入ってから第1動作点P1が矩形波制御領域Mcを出るまでの期間t3においても、第1変速比ρLが維持される。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ある(S104:YES)と判定され、S106で現在の変速比に最も近い変速比として現在の変速比である第1変速比ρLが選択されるためである。
【0058】
その後、図13(b)に示すように、第1動作点Pが矩形波制御領域Mcを出た時点(期間t4に入った時点)で、変速機40の変速比が第2変速比ρHにシフトアップする。これは、S103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ない(S104:NO)と判定され、S105でその唯一の変速比として第2変速比ρHが選択されるためである。
【0059】
このシフトアップの際、インバータ制御部25は、回転電機30の回転速度NをρH/ρL倍になるように下げるようにインバータ20を制御することにより、回転電機30の回転速度Nを、第1動作点P1での回転速度から第2動作点P2での回転速度にまで低下させる。また、インバータ制御部25は、回転電機30のトルク指令値TmをρL/ρH倍に上げることにより、回転電機30のトルク指令値Tmを、第1動作点P1でのトルク指令値から第2動作点P2でのトルク指令値に上げる。
【0060】
本実施形態によれば、マップMを変形させることなく、一のマップMで本発明を実施することができる。
【0061】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態のものと同一の又は対応する部材、ステップ等は同一の符号を付して、第1実施形態と異なる点のみを説明する。
【0062】
図14は、本実施形態のマップMを示している。本実施形態では、矩形波制御を行うときには、より高回転域まで当該制御を行うことができるように、すなわち、マップMにおいて、車速Vがより高速になる範囲まで矩形波制御領域Mcが広がるように、弱め界磁制御を行う。弱め界磁制御とは、最大トルク制御に比べて回転電機30の界磁磁束を弱めるように電流位相を調整する制御である。その弱め界磁制御では、回転電機30の逆起電圧を弱めるためにd軸に電流を流す。そのため、最大トルク制御よりも多くの電流を消費しトルク出力が小さくなる。そのため、実現可能な駆動トルク指令値Tの上限も小さくなる。それにより、矩形波制御領域Mcにおける最高トルクラインTmaxが、車速Vが高速になる側ほど第1実施形態に比べて小さくなる。そのため、第1マップM1における車速Vが最も高速になる側の端部よりも駆動トルク指令値Tが高い側に、第1マップM1内には含まれず、第2マップM2内にのみ含まれる領域Rが形成される。その領域R内に動作点Pがあるときは、変速比ρとして、第2変速比ρ2のみが選択可能となる。
【0063】
そのため、例えば、第1マップM1の矩形波制御領域M1c内に動作点Pがあり、変速比ρとして第1変速比ρ1が選ばれている状態において、駆動トルク指令値Tが上がることにより、動作点Pが領域R内に移動した場合には、変速比ρが第1変速比ρ1から第2変速比ρ2に切り替わる。これは、図2に示すS103で電圧利用率mが0.613~0.78の条件を満たす変速比がある(S103:YES)と判定され、S104でその変速比が複数ない(S104:NO)と判定され、S105でその唯一の変速比として第2変速比ρHが選択されるためである。また、これと同じフローにより、変速比ρとして第2変速比ρ2が選ばれている状態において、動作点Pが領域R内に維持される場合にも、変速比ρとして第2変速比ρ2が選択され続ける。
【0064】
本実施形態によれば、弱め界磁制御を行うことにより、車速Vがより高速になる範囲にまで矩形波制御領域Mcを広げることができる。なお、本実施形態では、矩形波制御を行うときにのみ、弱め界磁制御を行っているが、過変調制御を行うときにも、弱め界磁制御を行うようにしてもよい。
【0065】
[その他の実施形態]
本実施形態は、例えば、次のように変更して実施できる。マップMの横軸を、車速Vに代えてその相関値にすることもできる。この相関値としては、例えば、駆動輪50の回転速度を用いることができる。また、マップMの縦軸を、駆動トルク指令値Tに代えてその相関値にすることもできる。この相関値としては、例えば、駆動輪50の駆動力を用いることができる。
【0066】
また、車速V、駆動トルク指令値T等に基づいて電圧利用率等を算出し、算出した電圧利用率等に基づいて制御モードを決定するのに代えて、車速V、駆動トルク指令値T等に基づいて制御モードを直接決定することもできる。具体的には、例えば、車速V及び駆動トルク指令値Tと関係付けられてPWM制御、過変調制御及び矩形波制御の各制御モードが規定された情報を所定情報とする。そして、それら所定情報に基づき制御モードを決定することもできる。
【0067】
また、マップMに基づいて電圧利用率mを求める代わりに、その他の所定情報を求めるようにすることもできる。その所定情報としては、例えば、回転電機30の各相の巻線の印加電圧に含まれる基本波成分の実効値をバッテリ10の電圧で規格化した電圧規格値が挙げられる。
【符号の説明】
【0068】
10…バッテリ、20…インバータ、25…インバータ制御部、30…回転電機、40…変速機、46…取得部、47…決定部、48…変速比制御部、50…駆動輪、90…車両駆動システム、91…制御装置、M…マップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14