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特許7181724携帯端末、システム、文字情報取得方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】携帯端末、システム、文字情報取得方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20221124BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20221124BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20221124BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20221124BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
G06K7/14 039
H04N1/387 110
H04N1/04 Z
G06K17/00 022
G06K7/10 436
G06K7/14 013
G06K7/10 456
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018150135
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020027317
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 和之
(72)【発明者】
【氏名】新本 誠
(72)【発明者】
【氏名】河野 通孝
(72)【発明者】
【氏名】田邊 雅宣
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-008905(JP,A)
【文献】特開2014-182479(JP,A)
【文献】特開2016-119052(JP,A)
【文献】国際公開第2005/043454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06K 7/00 - 7/14
G06K 17/00
G06K 19/00 - 19/18
G06T 19/00
H04N 1/04 - 1/207
H04N 1/38 - 1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン画像を生成するスキャナ部と、
自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、
仮想3次元空間内の位置とコード画像とが対応付けられたデータベースから、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置されたコード画像を取得する取得部と、
前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部と、
前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、
を備える、携帯端末。
【請求項2】
自機の前記実3次元空間内の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記取得部は、前記データベースから、自機の前記実3次元空間内の位置及び姿勢に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置されたコード画像を取得する、
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記取得部は、前記データベースに記憶された複数の前記コード画像から、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された一部のコード画像を選択する、
請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記データベースでは、前記仮想3次元空間内の方向が前記コード画像にさらに対応付けられ、
自機の前記実3次元空間内の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記取得部は、自機の前記実3次元空間内の姿勢に対応する前記仮想3次元空間内の方向に基づいて、前記データベースに記憶された前記仮想3次元空間内で方向を持つ複数の前記コード画像から一部のコード画像を選択する、
請求項3に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記付加部は、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置と前記コード画像の前記仮想3次元空間内の位置との距離に応じて、前記スキャン画像に付加する前記コード画像の位置又は大きさを設定する、
請求項3または4に記載の携帯端末。
【請求項6】
スキャン画像を生成するスキャナ部と、
自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、
前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、
前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、仮想3次元空間内の位置と文字情報とが対応付けられたデータベースから、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された文字情報を取得する取得部と、
を備える、携帯端末。
【請求項7】
自機の前記実3次元空間内の姿勢を検出する姿勢検出部をさらに備え、
前記取得部は、前記データベースから、自機の前記実3次元空間内の位置及び姿勢に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された文字情報を取得する、
請求項6に記載の携帯端末。
【請求項8】
携帯端末と、
仮想3次元空間内の位置とコード画像とを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能なサーバと、
を備え、
前記携帯端末は、
スキャン画像を生成するスキャナ部と、
自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、
自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置されたコード画像を前記サーバから取得する取得部と、
前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部と、
前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、
を備える、システム。
【請求項9】
携帯端末と、
仮想3次元空間内の位置と文字情報とを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能なサーバと、
を備え、
前記携帯端末は、
スキャン画像を生成するスキャナ部と、
自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、
前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、
前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された文字情報を前記サーバから取得する取得部と、
を備える、システム。
【請求項10】
スキャナ部と、取得部と、付加部と、デコード部と、を有する携帯端末により実行される文字情報取得方法であって、
前記文字情報取得方法は、
前記スキャナ部により、スキャン画像を生成し、
前記取得部により、仮想3次元空間内の位置とコード画像とが対応付けられたデータベースから、前記携帯端末の実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置されたコード画像を取得し、
前記付加部により、前記スキャン画像に前記コード画像を付加し、
前記デコード部により、前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードする、
文字情報取得方法。
【請求項11】
スキャナ部と、取得部と、デコード部と、を有する携帯端末により実行される文字情報取得方法であって、
前記文字情報取得方法は、
前記スキャナ部により、スキャン画像を生成し、
前記デコード部により、前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードし、
前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、前記取得部により、仮想3次元空間内の位置と文字情報とが対応付けられたデータベースから、前記携帯端末の実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された文字情報を取得する、
文字情報取得方法。
【請求項12】
スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、を備える携帯端末のコンピュータを、
仮想3次元空間内の位置とコード画像とが対応付けられたデータベースから、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置されたコード画像を取得する取得部、
前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部、及び、
前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部、
として機能させるプログラム。
【請求項13】
スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の実3次元空間内の位置を検出する位置検出部と、を備える携帯端末のコンピュータを、
前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部、及び、
前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、仮想3次元空間内の位置と文字情報とが対応付けられたデータベースから、自機の前記実3次元空間内の位置に対応する前記仮想3次元空間内の位置に配置された文字情報を取得する取得部、
として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、システム、文字情報取得方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、物流倉庫などにおいて、バーコードは広く利用されている。バーコードはラベルに印刷され、商品の包装材や陳列棚、倉庫棚などに貼付されて、バーコードスキャナにより読み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来技術では、バーコードが印刷されたラベルの表面が汚れると誤読が発生する等の課題がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、コード画像に係る文字情報の取得確実性の向上を図ることが可能な携帯端末、システム、文字情報取得方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の携帯端末は、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、自機の位置に対応するコード画像を取得する取得部と、前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部と、前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、を備える。
【0006】
また、本発明の他の態様の携帯端末は、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、自機の位置に対応する文字情報を取得する取得部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様のシステムは、携帯端末と、位置とコード画像とを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能なサーバと、を備え、前記携帯端末は、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、自機の位置に対応するコード画像を前記サーバから取得する取得部と、前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部と、前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、を備える。
【0008】
また、本発明の他の態様のシステムは、携帯端末と、位置と文字情報とを対応付けて記憶する記憶部にアクセス可能なサーバと、を備え、前記携帯端末は、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部と、前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、自機の位置に対応する文字情報を前記サーバから取得する取得部と、を備える。
【0009】
また、本発明の他の態様の文字情報取得方法は、スキャン画像を生成し、携帯端末の位置に対応するコード画像を取得し、前記スキャン画像に前記コード画像を付加し、前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードする。
【0010】
また、本発明の他の態様の文字情報取得方法は、スキャン画像を生成し、前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードし、前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、自機の位置に対応する文字情報を取得する。
【0011】
また、本発明の他の態様のプログラムは、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、を備える携帯端末のコンピュータを、自機の位置に対応するコード画像を取得する取得部、前記スキャン画像に前記コード画像を付加する付加部、及び、前記コード画像が付加された前記スキャン画像から、前記コード画像が表す文字情報をデコードするデコード部、として機能させる。
【0012】
また、本発明の他の態様のプログラムは、スキャン画像を生成するスキャナ部と、自機の位置を検出する位置検出部と、を備える携帯端末のコンピュータを、前記スキャン画像に含まれるコード画像が表す文字情報をデコードするデコード部、及び、前記スキャン画像から文字情報がデコードされない場合に、自機の位置に対応する文字情報を取得する取得部、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コード画像に係る文字情報の取得確実性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るシステムの構成例を示す図である。
図2A】実施形態に係る携帯端末の外観例を示す正面図である。
図2B】携帯端末の外観例を示す側面図である。
図3】携帯端末の構成例を示すブロック図である。
図4】コードデータベースの内容例を示す図である。
図5】携帯端末の機能構成例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る文字情報取得方法の手順例を示すフロー図である。
図7】コード画像を付加したスキャン画像の例を示す図である。
図8】コード画像を付加したスキャン画像の例を示す図である。
図9】コード画像を付加されないスキャン画像の例を示す図である。
図10】表示部に表示される画像の例を示す図である。
図11】仮想3次元空間の例を示す図である。
図12】優先リストの例を示す図である。
図13A】仮想カメラの配置例を示す図である。
図13B】コード画像の付加例を示す図である。
図14A】仮想カメラの配置例を示す図である。
図14B】コード画像の付加例を示す図である。
図15】携帯端末の他の機能構成例を示すブロック図である。
図16】文字情報取得方法の他の手順例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0016】
図1は、システム100の構成例を示す図である。システム100は、携帯端末1及びサーバ2を備えている。携帯端末1とサーバ2とは、ネットワークNWを介して相互に通信可能である。サーバ2は、データベース3にアクセス可能である。データベース3は、サーバ2の内部に設けられてもよいし、サーバ2の外部に設けられてもよい。
【0017】
携帯端末1は、例えばバーコード又はQRコード(登録商標)等のコードを読み取り可能なハンディターミナルである。これに限らず、携帯端末1は、例えばスマートフォン又はタブレット型コンピュータ等であってもよい。
【0018】
携帯端末1は、例えば倉庫又は店舗等の棚Sに配置される物品Bを管理するために用いられる。棚Sには物品Bに対応するコードが印刷されたラベルLが貼付されており、ユーザが携帯端末1をラベルLに近づけると、携帯端末1によってコードが読み取られる。
【0019】
データベース3は、物品Bの在庫を管理するための在庫データベース(DB)31と、コード情報を管理するためのコードデータベース(DB)32とを含んでいる。コードDB32の詳細は後述する。
【0020】
ところで、上記のようにコードを印刷したラベルLを用いる場合、ラベルLの表面が汚れてコードの誤読が発生するおそれがある。そこで、本実施形態では、以下に説明するAR(拡張現実)的手法によってコード情報の取得を可能としている。
【0021】
図2A及び図2Bは、携帯端末1の外観例を示す正面図及び側面図である。図3は、携帯端末1の構成例を示すブロック図である。携帯端末1は、制御部10、スキャナ部11、入力部12、通信I/F13、位置検出部14、姿勢検出部15、及び表示部16を備えている。
【0022】
制御部10は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。CPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。プログラムは、例えば光ディスク又はメモリカード等の情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、例えばインターネット等の通信ネットワークを介して供給されてもよい。
【0023】
スキャナ部11は、例えばCMOSイメージセンサ等のイメージセンサからなり、被写体を撮影してスキャン画像を生成し、制御部10に出力する。スキャナ部11は、携帯端末1の背面の上部に設けられている(図2B参照)
【0024】
入力部12は、例えば複数のキーボタンからなる。入力部12は、携帯端末1の正面の下部に設けられている(図2A参照)。これに限らず、入力部12は、例えばタッチパネル等であってもよい。
【0025】
通信I/F13は、無線LAN等の無線通信を実現する通信インターフェースである。これに限らず、通信I/F13は、有線通信を実現する通信インターフェースであってもよい。
【0026】
位置検出部14は、自機の位置を検出し、制御部10に出力する。位置検出部14としては、携帯端末1の実3次元空間内の位置(2次元平面位置だけでなく高さも含む)を検出可能なものが好ましい。位置検出部14は、例えば発信器A(図1参照)から発信されるBLE(Bluetooth Low Energy)を利用したビーコンを受信する受信器からなる。これに限らず、位置検出部14はGNSS受信機などであってもよい。
【0027】
姿勢検出部15は、自機の姿勢を検出し、制御部10に出力する。姿勢検出部15は、例えばジャイロセンサからなる。
【0028】
表示部16は、例えば液晶表示パネル又は有機EL表示パネル等である。表示部16は、携帯端末1の正面上部に設けられており、スキャナ部11の反対側に位置している(図2A及び図2B参照)。
【0029】
図4は、コードDB32の内容例を示す図である。コードDB32は、「ID」、「種別」、「コード画像」、「文字情報」、「位置」、「方向」、「大きさ」のフィールドを有している。
【0030】
「ID」は、コード情報の識別番号を表す。「種別」は、コードの種別を表す。コードの種別は、例えばJAN、CODE39、CODE128、NW-7等のバーコード(1次元コード)の種別や、QR、DataMatrix等の2次元コードの種別である。
【0031】
「コード画像」及び「文字情報」は、コード情報を表す。「コード画像」は、バーコード等のコードを示す画像を表す。「コード画像」には、コード画像の保存場所及びファイル名が記述される。「文字情報」は、コード画像に対応する文字情報、すなわちコード画像をデコードすることにより得られる文字情報を表す。「文字情報」は、例えばASCIIデータである。
【0032】
「位置」、「方向」、「大きさ」は、仮想3次元空間内におけるコード画像の位置、方向及び大きさを表す。「位置」には、コード画像の仮想3次元空間内の位置が3次元座標で記述される。「方向」は、コード画像のコードを表示する表面の向きを表す。
【0033】
[第1実施形態]
図5は、携帯端末1の機能構成例を示すブロック図である。携帯端末1の制御部10は、取得部101、付加部102及びデコード部103を含んでいる。これらの機能部は、制御部10のCPUがROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行することによって実現する。
【0034】
取得部101は、位置検出部14から自機の位置を取得し、姿勢検出部15から自機の姿勢を取得して、自機の位置及び姿勢に対応するコード画像をサーバ2から取得し、取得したコード画像を付加部102に出力する。なお、自機の姿勢は省略されてもよい。
【0035】
付加部102は、スキャナ部11からスキャン画像を取得し、取得部101からコード画像を取得して、スキャン画像にコード画像を付加し、コード画像が付加されたスキャン画像をデコード部103に出力する。
【0036】
デコード部103は、付加部102からコード画像が付加されたスキャン画像を取得し、コード画像が付加されたスキャン画像から、コード画像が表す文字情報をデコードし、デコードされた文字情報を表示部16に出力する。
【0037】
図6は、文字情報取得方法の手順例を示すフロー図である。携帯端末1の制御部10は、同図に示す情報処理をプログラムに従って実行することにより、取得部101、付加部102及びデコード部103として機能する。
【0038】
まず、制御部10は、スキャナ部11からスキャン画像を取得する(S11)。
【0039】
次に、制御部10は、位置検出部14から自機の位置を取得し、姿勢検出部15から自機の姿勢を取得し(S12)、自機の位置及び姿勢に対応するコード画像をサーバ2から取得する(S13、取得部101としての処理)。コード画像の取得については、詳細を後述する。
【0040】
次に、制御部10は、スキャン画像にコード画像を付加する(S14、付加部102としての処理)。
【0041】
図7に示す例のように、コード画像5は、スキャン画像4上に重ねられ、スキャン画像4の一部を覆う。これに限らず、コード画像5はスキャン画像4の全部を覆ってもよい。コード画像5は、スキャン画像4の中央部等の所定位置に配置される。これに限らず、コード画像5は、仮想3次元空間内の位置に対応するスキャン画像4内の位置に配置されてもよい。
【0042】
図6の説明に戻り、次に、制御部10は、コード画像が付加されたスキャン画像から、コード画像が表す文字情報をデコードする(S15、デコード部103としての処理)。コード画像が付加されたスキャン画像をデコードすることにより、コード画像が表す文字情報が例えばASCIIデータとして出力される。
【0043】
なお、図8に示す例のように、ラベルLを撮影することによりスキャン画像4に実際のコード画像(以下、実コード画像41という)が含まれる場合であっても、サーバ2から取得したコード画像5をスキャン画像4に付加することで、実コード画像41の一部又は全部がコード画像5に覆われ、コード画像5の方がデコードの対象となり易くなる。
【0044】
一方、図9に示す例のように、ラベルLを撮影することによりスキャン画像4に実コード画像41が含まれ、且つサーバ2からコード画像5が取得されず、スキャン画像4にコード画像5が付加されない場合には、スキャン画像4に含まれる実コード画像41がデコードの対象となる。すなわち、従来のバーコードスキャナと同様に動作する。
【0045】
図6の説明に戻り、次に、制御部10は、デコードされた文字情報を含む画像を表示部16に出力する(S16)。なお、文字情報の出力先は、表示部16に限らず、例えばアプリケーションプログラムにより制御部10において実現する、メッセージングアプリ等のアプリケーション実行部などであってもよい。
【0046】
図10に示す例のように、表示部16に表示される画像7には、デコードされた文字情報を表す文字列71が含まれている。文字列71は、例えば物品の名称等を表す。また、画像7には、文字列71に対応する物品の在庫情報を取得するための在庫確認ボタン72と、文字列71に対応する物品の数量を入力するための数量入力ボタン73とが含まれている。
【0047】
在庫確認ボタン72が選択されると、制御部10は、在庫DB31(図1参照)にアクセスし、文字列71に対応する物品の在庫情報を表す在庫確認画面(不図示)を生成、出力する。数量入力ボタン73が選択されると、制御部10は、文字列71に対応する物品の入庫数量又は出庫数量を入力するための数量入力画面(不図示)を生成、出力する。
【0048】
以上に説明した第1実施形態によれば、コード画像が付加されたスキャン画像から、コード画像が表す文字情報をデコードすることで、ラベルの汚れに起因する誤読の問題を解消することが可能となる。
【0049】
また、第1実施形態によれば、スキャン画像にサーバ2から取得したコード画像が付加されない場合には、従来のバーコードスキャナと同様に利用することが可能である。言い換えると、コード画像を取得・付加する構成(取得部101及び付加部102)以外は、従来のバーコードスキャナの構成を流用することが可能である。
【0050】
また、第1実施形態によれば、スキャナ部11による照準合わせの時間を省略することが可能である。さらに、第1実施形態によれば、コードDB32の内容を更新することで、コード情報を動的に変化させることも可能である。
【0051】
[コード画像の取得]
以下、コード画像の具体的な取得手法について説明する。コードDB32において、コード情報(コード画像及び文字情報)は、仮想3次元空間内における位置、方向及び大きさが対応付けられている(図4参照)、すなわち仮想3次元空間にマッピングされている。
【0052】
図11に示す例のように、仮想3次元空間61には、複数のコード画像5が配置されている。各々のコード画像5は、コードを表示する表面を有している。図中の矢印は、コード画像5の表面の向きを表している。同図に示す例では、複数のコード画像5が水平に一列で並んでおり、表面の向きが交互に入れ替わっている。
【0053】
仮想3次元空間61には仮想カメラ62が配置される。仮想カメラ62の撮影方向には視野63が形成される。仮想3次元空間61内の仮想カメラ62の位置は、実3次元空間内の携帯端末1の位置に対応する。また、仮想カメラ62の撮影方向は、携帯端末1の姿勢、具体的にはスキャナ部11の撮影方向に対応する。
【0054】
仮想3次元空間61に配置された複数のコード画像5のうち、仮想カメラ62の視野63に含まれるコード画像5が取得の候補となる。このとき、表面の向きが仮想カメラ62の撮影方向と向かい合うコード画像5は優先順位が高くなり、表面の向きが仮想カメラ62の撮影方向と向かい合わないコード画像5は優先順位が低くなる又は候補から外れる。また、仮想カメラ62の視野63に含まれるコード画像5のうち、視野63の中央に近いコード画像5ほど優先順位を高くし、視野63の中央から遠いコード画像5ほど優先順位を低くしてもよい。
【0055】
このように、仮想カメラ62の視野63に基づいて、取得の候補となるコード画像5及びその優先順位が決定され、図12に示すようなコード画像5の優先順位を表す優先リストが作成される。
【0056】
制御部10は、優先リストに含まれるコード画像5をサーバ2から取得し、スキャン画像に付加する。ここでは、優先順位が最も高い1つのコード画像5のみが取得されてもよいし、所定以上の優先順位の複数のコード画像5が取得されてもよい。
【0057】
複数のコード画像5が取得される場合、スキャン画像4に付加するコード画像5の位置又は大きさを優先順位に応じて変化させてもよい。例えば、優先順位が高いコード画像5ほどスキャン画像4の中央に近くなるように配置してもよいし、優先順位が高いコード画像5ほど大きくなるように配置してもよいし、優先順位が高いコード画像5ほどレイヤーを高く(看者側に)してもよい。これにより、優先順位が高いコード画像5ほどデコードされ易くなる。
【0058】
また、図13A図14Bの例に示すように、仮想カメラ62とコード画像5との距離に応じて、スキャン画像4に付加するコード画像5の位置又は大きさを変化させてもよい。図13A及び図13Bは、仮想カメラ62とコード画像5との距離が比較的大きい場合を示し、図14A及び図14Bは、仮想カメラ62とコード画像5との距離が比較的小さい場合を示している。
【0059】
これらの図に示す例では、仮想カメラ62とコード画像5との距離が小さくなるほど、スキャン画像4に付加するコード画像5が大きくなっている。また、例えば、仮想カメラ62とコード画像5との距離が小さくなるほど、コード画像5がスキャン画像4の中央に近くなるように配置してもよいし、コード画像5のレイヤーを高くしてもよい。これにより、仮想カメラ62に近いコード画像5ほどデコードされ易くなる。
【0060】
なお、以上に説明した、携帯端末1の位置及び方向を検出してからコード画像5を取得するまでの間に実行される計算、すなわち仮想3次元空間61における仮想カメラ62の視野63に基づきコード画像5の優先順位を決定するための計算は、携帯端末1で実行されてもよいし、サーバ2で実行されてもよいし、携帯端末1とサーバ2とで分散して実行されてもよい。
【0061】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態と重複する構成については、同番号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0062】
図15は、携帯端末1の他の機能構成例を示すブロック図である。携帯端末1の制御部10は、取得部101及びデコード部103を含んでいる。これらの機能部は、制御部10のCPUがROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行することによって実現する。
【0063】
デコード部103は、スキャナ部11から取得したスキャン画像から文字情報をデコードする。スキャン画像から文字情報がデコードされた場合、デコード部103は、デコードされた文字情報を表示部16に出力する。一方、スキャン画像から文字情報がデコードされない場合、デコード部103は、取得部101にその旨を通知する。
【0064】
取得部101は、スキャン画像から文字情報がデコードされない旨の通知を受けると、位置検出部14から自機の位置を取得し、姿勢検出部15から自機の姿勢を取得して、自機の位置及び姿勢に対応する文字情報をサーバ2から取得し、取得した文字情報を表示部16に出力する。
【0065】
図16は実施形態文字情報取得方法の他の手順例を示すフロー図である。携帯端末1の制御部10は、同図に示す情報処理をプログラムに従って実行することにより、取得部101及びデコード部103として機能する。
【0066】
まず、制御部10は、スキャナ部11からスキャン画像を取得する(S21)。
【0067】
次に、制御部10は、スキャン画像から文字情報をデコードする(S22、デコード部103としての処理)。ここでは、スキャン画像に実際のコード画像が含まれ、且つそれが読み取り可能である場合には文字情報がデコードされ、スキャン画像に実際のコード画像が含まれても、それが読み取り不能である場合や、スキャン画像に実際のコード画像が含まれない場合には、文字情報がデコードされない。
【0068】
スキャン画像から文字情報がデコードされた場合(S23:YES)、制御部10は、デコードされた文字情報を含む画像を表示部16に出力する(S26)。
【0069】
一方、スキャン画像から文字情報がデコードされなかった場合(S23:NO)、制御部10は、位置検出部14から自機の位置を取得し、姿勢検出部15から自機の姿勢を取得し(S24)、自機の位置及び姿勢に対応する文字情報をサーバ2から取得し(S25、取得部101としての処理)、取得された文字情報を含む画像を表示部16に出力する(S26)。
【0070】
文字情報の取得については、上述したコード画像の取得と同様の手法で行われるため、説明を省略する。
【0071】
以上に説明した第2実施形態によれば、スキャン画像から文字情報がデコードされなかった場合であっても、文字情報を取得することが可能となる。
【0072】
また、第2実施形態によれば、スキャン画像から文字情報がデコードされる限り、従来のバーコードスキャナと同様に利用することが可能である。特に、第2実施形態は、スキャン画像を生成・デコードする構成(スキャナ部11及びデコード部103)が一体的に設けられたバーコードスキャナへの適用が容易である。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯端末、2 サーバ、3 データベース(DB)、31 在庫DB、32 コードDB、10 制御部、11 スキャナ部、12 入力部、13 通信I/F、14 位置検出部、15 姿勢検出部、16 表示部、4 スキャン画像、41 実コード画像、5 コード画像、61 仮想3次元空間、62 仮想カメラ、63 視野、7 画像、71 文字列、72 在庫確認ボタン、73 数量入力ボタン、100 システム、101 取得部、102 付加部、103 デコード部、NW ネットワーク、A 発信器、B 物品、S 棚、L ラベル

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16