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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
   B01D 45/08 20060101AFI20221124BHJP
   B01D 45/16 20060101ALI20221124BHJP
   F22B 37/30 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B01D45/08 Z
B01D45/16
F22B37/30 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018156487
(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公開番号】P2020028862
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹中 俊喜
【審査官】小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-39273(JP,U)
【文献】実開平2-125718(JP,U)
【文献】実開平5-9656(JP,U)
【文献】実開昭63-20920(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-45/18
B04C 1/00-11/00
F22B 37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する分離ユニットと、
前記分離ユニットによって液体が分離された気体を流出させる排気管と、
前記排気管の内周面から前記排気管の内側に突出し、前記排気管に流入する液体の流通を抑制する突出部とを備え
前記排気管への流体の流入口は、前記排気管の軸心方向に開口し、
少なくとも前記排気管の流入口から前記突出部までの間において前記排気管の軸心上には部材が設けられておらず、
前記突出部は、前記排気管の内周面の全周に亘って環状に形成されている気液分離器。
【請求項2】
請求項に記載の気液分離器において、
前記突出部は、第1突出部と、前記排気管の流れ方向において前記第1突出部よりも下流側に設けられた第2突出部とを含んでいる気液分離器。
【請求項3】
請求項に記載の気液分離器において、
前記排気管の内周面からの前記第2突出部の突出した長さである突出量は、前記排気管の内周面からの前記第1突出部の突出した長さである突出量よりも小さい気液分離器。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか1つに記載の気液分離器において、
前記分離ユニットには、前記排気管の少なくとも一部が一体的に形成されると共に、前記混合流体を旋回させる旋回流路が前記排気管の周囲に形成され、
前記排気管には、前記旋回流路を通過後の気体が流入する気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ドレン等の液体が蒸気又は空気等の気体に混入した混合流体を液体と気体とに分離させる気液分離器が開示されている。
【0003】
具体的には、特許文献1の気液分離器には、混合流体が流通する旋回流路と液体が分離された気体が流通する排気流路とが形成されている。混合流体は、旋回流路を通過することによって旋回流となり、遠心力によって気体と液体とに分離される。少なくとも一部の液体が分離された気体は、排気流路を通って気液分離器から流出していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-28422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、旋回流による遠心力だけでは混合流体から気体を完全に分離できない場合もある。また、分離された気体及び液体は、旋回流路の下流側の同じ空間に一旦流出するため、排気流路へ流入する前の気体が液体を再び巻き込む場合もある。このように、排気流路に流入する気体には、それでもまだ液体が含まれている場合がある。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気液の分離効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された気液分離器は、気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する分離ユニットと、前記分離ユニットによって液体が分離された気体を流出させる排気管と、前記排気管の内周面から前記排気管の内側に突出し、前記排気管に流入する液体の流通を抑制する突出部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記気液分離器によれば、気液の分離効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、熱回収システムの概略図である。
図2図2は、分離ユニットの斜視図である。
図3図3は、分離ユニットの縦断面図である。
図4図4は、排気管の斜視図である。
図5図5は、変形例に係る突出部の概略的な断面図である。
図6図6は、変形例に係る排気管の概略的な断面図である。
図7図7は、変形例に係る気液分離器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、熱回収システム100の概略図である。
【0011】
熱回収システム100は、蒸気及び/又は湯気(即ち、蒸気及び湯気の少なくとも一方)から熱を回収するシステムである。熱回収システム100は、湯気消しユニット1と気液分離器2と熱回収ユニット6とを備えている。熱回収システム100は、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気から湯気を消すと共に、蒸気及び/又は湯気の熱を回収する。
【0012】
湯気消しユニット1は、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気に水を接触させることによって、少なくとも一部の蒸気及び/又は湯気を水と共に空気から分離させる。空気中の蒸気の少なくとも一部は、水と接触することによって凝縮し、接触した水と一体となって湯気消しユニット1に貯留される。空気中の湯気の少なくとも一部は、水と接触することによって水と一体となって湯気消しユニット1に貯留される。湯気消しユニット1において少なくとも一部の蒸気及び/又は湯気が分離された空気は、気液分離器2に送られる。
【0013】
湯気消しユニット1から気液分離器2へ送られる空気には、水滴等の水が含まれ得る。気液分離器2は、湯気消しユニット1から送られてくる空気から少なくとも一部の水(即ち、水分)を分離する。少なくとも一部の水が分離された空気は、気液分離器2から排出される。分離された水は、気液分離器2に貯留される。
【0014】
熱回収ユニット6は、湯気消しユニット1及び気液分離器2に貯留された水から熱を回収する。
【0015】
以下、各ユニットについて詳細に説明する。
【0016】
〈湯気消しユニット1〉
湯気消しユニット1は、容器11と、容器11内へ水を噴射する噴射部12とを備えている。
【0017】
容器11は、略円筒状に形成された容器本体13と、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気が流入する流入ポート15が形成された流入管14とを有している。
【0018】
流入管14は、容器本体13の天井を貫通し、容器本体13の内部まで延びている。容器本体13の上部には、噴射部12が設けられている。噴射部12は、ノズルによって形成されている。噴射部12は、下方に向かって円錐状に水を噴射する。図示は省略するが、流入ポート15には、例えば、蒸気使用装置等から廃棄された蒸気が空気と共に流通する蒸気管が接続されている。蒸気管を流通する蒸気の一部は湯気となり得る。流入ポート15からは、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気が流入管14に流入する。
【0019】
容器本体13の側周壁に、排気ポート16が設けられている。排気ポート16は、流入管14の下端よりも高い位置に配置されている。容器本体13の底に、詳しくは後述する熱回収ユニット6の第1排水管71が接続されている。
【0020】
流入ポート15を介して流入管14に流入した蒸気及び/又は湯気の混ざった空気は、流入管14を下方に向かって流れ、容器本体13へ流入する。このとき、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気には噴射部12から水が吹きかけられる。これにより、空気中の少なくとも一部の蒸気が凝縮して空気から分離すると共に、空気中の少なくとも一部の湯気が噴射された水と一体となって大きな水滴となり、空気から分離する。こうして空気から分離された蒸気及び/又は湯気は、噴射部12からの水と一体となって容器本体13の下部に貯留される。少なくとも一部の蒸気及び/又は湯気が分離された空気は、容器本体13の上部に滞留する。容器本体13の上部に滞留する空気は、排気ポート16を介して容器本体13から流出していく。容器本体13の上部に滞留する空気には、蒸気及び/又は湯気が残留する場合もあるが、その量は流入ポート15から流入したときよりは減っている。また、容器本体13の上部に滞留する空気には、噴射部12からの水や容器本体13の下部の貯留水の表面で発生する水しぶきが原因で水滴が混入している。つまり、湯気消しユニット1から流出する空気は、水分を含み得る。
【0021】
〈気液分離器2〉
気液分離器2は、気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する分離ユニット20と、分離ユニット20によって液体が分離された気体を流出させる排気管30と、分離ユニット20を収容する容器40とを備えている。湯気消しユニット1から送られてくる、水分を含んだ空気は、気液分離器2が処理する混合流体の一例である。
【0022】
容器40は、略円筒状に形成されている。容器40の側周壁の比較的上部に、流入ポート41が形成されている。流入ポート41は、空気管17を介して、湯気消しユニット1の排気ポート16と接続されている。容器40には、排気ポート16から排出される、水分を含んだ空気が流入ポート41を介して流入する。
【0023】
容器40内において、分離ユニット20は、流入ポート41よりも下方の位置に配置されている。容器40のうち分離ユニット20よりも下方の空間は、分離ユニット20によって分離された気体及び液体が排出される空間となっている。容器40のうち分離ユニット20よりも下方であって底に近い部分には、仕切板42が設けられている。仕切板42には、仕切板42の上方の空間と仕切板42の下方の空間とを連通させる複数の開口が形成されている。容器40の底に、詳しくは後述する熱回収ユニット6の第2排水管72が接続されている。
【0024】
図2は、分離ユニット20の斜視図である。図3は、分離ユニット20の縦断面図である。分離ユニット20は、外管21と、外管21の内側に位置する第1排気管31と、外管21と第1排気管31との間に設けられた複数の傾斜壁22とを有している。
【0025】
外管21と第1排気管31とは、同軸上に配置されている。外管21の軸心と第1排気管31の軸心は、軸Xと一致している。外管21及び第1排気管31は、上下の両方に開口している。第1排気管31は、外管21よりも上下の両側に突出しいている。
【0026】
傾斜壁22の上端部は、外管21の上端よりも上方まで延びている。一方、傾斜壁22の下端部は、外管21の上下方向における中央付近まで延びている。
【0027】
外管21と第1排気管31との間に、旋回流路23が形成されている。詳しくは、複数の傾斜壁22は、外管21と第1排気管31との隙間において周方向に並んで配置されている。外管21と第1排気管31と周方向に隣り合う各2つの傾斜壁22とによって旋回流路23が区画されている。つまり、旋回流路23は、第1排気管31の周囲に形成されている。
【0028】
旋回流路23には、上方から混合流体が流入する。旋回流路23は、混合流体を軸X回りに旋回させながら上方から下方へ流通させるような形状に形成されている。
【0029】
尚、傾斜壁22の下端は外管21の上下方向における中央付近で終わっているので、旋回流路23の出口は、外管21の上下方向における中央付近に位置している。つまり、外管21及び第1排気管31は、旋回流路23の出口よりも下方へ延びている。そのため、旋回流路23の出口よりも下方においては、外管21と第1排気管31との隙間は、傾斜壁22で仕切られておらず、周方向に連続する円環状の空間となっている。
【0030】
分離ユニット20は、外管21が容器40の内周面に嵌る状態で容器40に取り付けられている。つまり、外管21の外側を流体が流通しないようになっている。
【0031】
第1排気管31は、排気管30の一部である。排気管30は、図1に示すように、第1排気管31と第2排気管32と第3排気管33と第4排気管34とを有している。排気管30の一部である第1排気管31は、分離ユニット20と一体的に形成されている。第2排気管32、第3排気管33及び第4排気管34は、略円筒状に形成されている。第1排気管31、第2排気管32、第3排気管33及び第4排気管34は、この順で下流側から並び、それぞれ接続されている。第1排気管31、第2排気管32、第3排気管33及び第4排気管34の内部は、排気流路35となっている。第1排気管31の下端は、容器40における分離ユニット20よりも下方の空間に開口している。第2排気管32は、容器40の天井を貫通し、容器40の外側まで延びている。第3排気管33及び第4排気管34は、容器40の外部に配置されている。第1排気管31の軸心、第2排気管32の軸心、第3排気管33の軸心及び第4排気管44の軸心は、軸Xで一致している。第2排気管32の内径、第3排気管33の内径及び第4排気管34の内径は、同じである。
【0032】
流入ポート41を介して容器40内に流入した、水分を含んだ空気は、分離ユニット20の旋回流路23に流入する。旋回流路23は、水分を含んだ空気を旋回させる。水分を含んだ空気は、旋回流となって旋回流路23から流出する。容器40における分離ユニット20よりも下方の空間のうち比較的上部は、旋回流路23から流出する流体が旋回するための空間となっている。水分を含んだ空気には、旋回流による遠心力が作用する。空気に比べて比重が大きな水(例えば、水滴)にはより大きな遠心力が作用し、その結果、水が空気から分離されていく。少なくとも一部の水分が分離された空気は、容器40における分離ユニット20よりも下方の空間に滞留する。分離された水は、容器40の下部であって仕切板42よりも下方に溜まっていく。仕切板42が設けられているので、旋回流路23から流出して旋回する流体による貯留水の水面の波立ちが抑制される。
【0033】
容器40における分離ユニット20よりも下方の空間の上部に滞留している空気は、第1排気管31の下端から第1排気管31内に流入し、排気流路35を上方に流れていく。
【0034】
〈熱回収ユニット6〉
熱回収ユニット6は、図1に示すように、湯気消しユニット1及び気液分離器2において分離された水を循環させて湯気消しユニット1の噴射部12に供給する循環ユニット7と、循環ユニット7によって循環させられる水から熱を回収する冷媒回路8とを有している。
【0035】
冷媒回路8は、熱交換器81と、熱交換器81に冷媒を流入させる第1配管82と、熱交換器81から冷媒を流出させる第2配管83とを有している。
【0036】
循環ユニット7は、湯気消しユニット1の容器11と熱交換器81とを接続する第1排水管71と、気液分離器2の容器40と第1排水管71とを接続する第2排水管72と、熱交換器81と湯気消しユニット1の噴射部12とを接続する給水管73と、第1排水管71のうち第2排水管72の接続部よりも下流に設けられた電動ポンプ74とを有している。第1排水管71の上流端は、容器11の底に接続されている。第2排水管72の上流端は、容器40の底に接続されている。電動ポンプ74を作動させることによって、容器11の水及び容器40の水が第1排水管71及び第2排水管72を介して熱交換器81に流入し、熱交換器81を通過した水が給水管73を介して噴射部12に供給される。熱交換器81を通過する水は、熱交換器81を通過する冷媒によって冷却される。噴射部12に供給された水は、前述の如く、噴射部12から流入管14内に噴射される。こうして、湯気消しユニット1、気液分離器2及び熱交換器81の間を水が循環する。
【0037】
冷媒回路8は、熱交換器81を通過する冷媒と水との間で熱の授受を行わせる。詳しくは、第1配管82を介して熱交換器81に流入する冷媒は、熱交換器81を通過する水から熱を回収する。熱を回収して高温になった冷媒は、第2配管83を介して熱交換器81から流出していく。
【0038】
こうして、熱回収システム100は、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気から蒸気及び/又は湯気を低減すると共に、蒸気及び/又は湯気の熱を回収する。
【0039】
〈排気管30の詳細説明〉
続いて、排気管30についてさらに詳細に説明する。図4は、排気管30の斜視図である。
【0040】
気液分離器2は、排気管30の内周面から排気管30の内側に突出する突出部5をさらに備えている。突出部5は、第1突出部51と第2突出部52とを含んでいる。第2突出部52は、排気管30の流れ方向において第1突出部51よりも下流側に設けられている。第1突出部51及び第2突出部52はそれぞれ、排気管30の内周面の全周に亘って環状に形成されている。具体的には、第1突出部51は、第1開口51aを有する環状の平板で形成されている。第1開口51aは、略円形に形成されている。第2突出部52は、第2開口52aを有する環状の平板で形成されている。第2開口52aは、略円形に形成されている。第2開口52aの面積は、第1開口51aの面積よりも大きい。
【0041】
第1突出部51は、第2排気管32と第3排気管33との接続部に設けられている。第2排気管32のフランジ32aと第3排気管33のフランジ33aとがボルト締結されることによって、第2排気管32と第3排気管33とが接続されている。尚、図4においては、締結のためのボルトの図示が省略されている(以下、同様)。第1突出部51は、第2排気管32のフランジ32aと第3排気管33のフランジ33aとに挟み込まれている。第1開口51aの中心は、第2排気管32及び第3排気管33の軸心(即ち、軸X)と略一致している。第2排気管32及び第3排気管33の内周面(即ち、排気管30の内周面)から内側への第1突出部51の突出量Aは、内周面の全周に亘って略均一である。
【0042】
第2突出部52は、第3排気管33と第4排気管34との接続部に設けられている。第3排気管33のフランジ33bと第4排気管34のフランジ34aとがボルト締結されることによって、第3排気管33と第4排気管34とが接続されている。第2突出部52は、第3排気管33のフランジ33bと第4排気管34のフランジ34aとに挟み込まれている。第2開口52aの中心は、第3排気管33及び第4排気管34の軸心(即ち、軸X)と略一致している。第3排気管33及び第4排気管34の内周面(即ち、排気管30の内周面)から内側への第2突出部52の突出量Bは、内周面の全周に亘って略均一である。第2突出部52の突出量Bは、第1突出部51の突出量Aよりも小さい。
【0043】
このように構成された排気管30には、容器40における分離ユニット20よりも下方の空間に滞留する空気が第1排気管31の下端から流入する。容器40における分離ユニット20よりも下方の空間に滞留する空気は、旋回流の遠心力によって多くの水滴が分離されているものの、多少の水滴が残留している場合がある。その場合、排気管30内の流れは、気相と液相との二相流となる。このとき、空気に比べて水滴が少ないので、大部分の空気が排気管30の中央を流通し、水滴が排気管30の内周面の近傍を流通する傾向にある。水滴は、水滴のまま流通する場合もあれば、他の水滴と一体となって大きな水の塊となって流通する場合もある。
【0044】
このように排気管30の内周面の近傍を流通する水は、第1突出部51及び第2突出部52によって流通が妨害される。詳しくは、排気管30の内周面の近傍を流通する水は、まず第1突出部51に堰き止められる。第1突出部51に堰き止められた水は、堰き止められている間に他の水と一体となって水の大きな塊となり、排気管30の内周面を伝って落下していく。排気管30から落下する水は、容器40の下方に落下し、容器40の下部に貯留される。
【0045】
排気管30の内周面から離れて流通する水は、第1突出部51よりも下流側へ流れていく。さらには、第1突出部51に一旦は堰き止められたものの第1突出部51を乗り越えた水も、第1突出部51よりも下流側へ流れていく。第1突出部51よりも下流側へ流出した水のうち、排気管30の内周面の近傍を流れる水は、第2突出部52に堰き止められる。第2突出部52に堰き止められた水は、堰き止められている間に他の水と一体となって水の大きな塊となり、排気管30の内周面を伝って落下していく。排気管30から落下する水は、第1突出部51を越えてさらに落下し、最終的に、容器40の下部に貯留される。
【0046】
こうして、排気管30を流通する空気は、第1突出部51及び第2突出部52を通過することによって水が低減される。その結果、気液分離器2の気液の分離効率を高めることができる。
【0047】
複数の突出部(即ち、第1突出部51及び第2突出部52)が設けられているので、第1突出部51を通過した水の流通を、第2突出部52によって抑制することができる。これにより、気液分離効率を一層高めることができる。
【0048】
ここで、第2突出部52の突出量Bは、第1突出部51の突出量Aよりも小さい。第1突出部51よりも下流側の空気中に含まれる水は、第1突出部51の上流側の空気中に含まれる水に比べて少ない。そのため、第2突出部52の突出量Bが小さくても、水の流れを十分に堰き止めることができる。それに加えて、第2突出部52の突出量Bを小さくすることによって、第2開口52aの面積を大きくすることができる。これにより、空気の流通抵抗を小さくすることができる。
【0049】
以上のように、気液分離器2は、気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する分離ユニット20と、分離ユニット20によって液体が分離された気体を流出させる排気管30と、排気管30の内周面から排気管30の内側に突出し、排気管30に流入する液体の流通を抑制する突出部5とを備える。
【0050】
この構成によれば、分離ユニット20によって液体が分離された後、排気管30に流入する気体に液体が含まれていたとしても、突出部5が液体の流通を抑制するので、気液分離器2の気液分離効率を高めることができる。
【0051】
また、突出部5は、排気管30の内周面の全周に亘って環状に形成されている。
【0052】
この構成によれば、排気管30の内周面の近傍における液体の流通を効果的に抑制することができる。
【0053】
さらに、突出部5は、第1突出部51と、排気管30の流れ方向において第1突出部51よりも下流側に設けられた第2突出部52とを含んでいる。
【0054】
この構成によれば、第1突出部51と第2突出部52との少なくとも2つの突出部が排気管30の流れ方向に並んで設けられている。そのため、第1突出部51を通過した液体の流通を、第2突出部52によって抑制することができる。その結果、気液分離効率をさらに高めることができる。
【0055】
さらにまた、排気管30の内周面からの第2突出部52の突出量Bは、排気管30の内周面からの第1突出部51の突出量Aよりも小さい。
【0056】
この構成によれば、前述のように2つの突出部で気液分離効率を高めつつ、気体の流通抵抗を低減することができる。
【0057】
また、分離ユニット20には、排気管30の少なくとも一部が一体的に形成されると共に、混合流体を旋回させる旋回流路23が排気管30の周囲に形成され、排気管30には、旋回流路23を通過後の気体が流入する。
【0058】
この構成によれば、分離ユニット20は、旋回流路23によって混合流体を旋回させることによって、旋回流体に遠心力を作用させて気体と液体とを分離させる。混合流体に含まれる小さな液滴は、作用する遠心力が小さく、混合流体に液滴が残留し得る。その場合、旋回流路23を通過後に排気管30に流入する気体には小さな液滴が混入し得る。しかし、排気管30に設けられた突出部5が液体の流通を抑制するので、気液分離効率を高めることができる。
【0059】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0060】
気液分離器2は、熱回収システム100に組み込まれていなくてもよい。気液分離器2は、単に、混合流体を気体と液体とに分離するものであってもよい。気液分離器2は、気体としての空気及び/又は蒸気に液体としての水滴が混ざった混合流体を空気及び/又は蒸気と水とに分離しているが、気体及び液体は、これらに限定されない。
【0061】
気液分離器2では、排気管30の一部と分離ユニット20とが一体的に形成されているが、これに限られない。排気管30は、分離ユニット20と分離して構成されていてもよい。例えば、排気管30は、容器40における分離ユニット20よりも下方の、気体が滞留する空間に連通するように、容器40に接続されていてもよい。
【0062】
分離ユニット20の構成は、前述の構成に限られない。分離ユニット20は、気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する限り、任意の構成を採用し得る。例えば、分離ユニット20は、湯気消しユニット1のように、混合流体が流入する容器であって、流入した混合流体のうち液体を容器の下部に貯留し、混合流体のうち気体を容器の上部に滞留させる構成であってもよい。その場合、容器内で滞留する気体が流出する排気管に突出部が設けられ得る。
【0063】
突出部5は、第1突出部51と第2突出部52とを含んでいるが、これに限られない。突出部は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第2突出部52の突出量Bは、第1突出部51の突出量Aよりも大きくてもよく、第1突出部51の突出量Aと同じであってもよい。
【0064】
また、突出部5は、分割された排気管30の接続部に設けられているが、これに限られない。突出部5は、排気管30の内周面から排気管30の内側に突出する限り、設置方法は限定されない。
【0065】
さらに、突出部5は、排気管30の内周面の全周ではなく、一部だけに設けられていてもよい。
【0066】
突出部5は、平坦な形状でなくてもよい。図5は、変形例に係る突出部の概略的な断面図である。図5に示す突出部205は、開口を有する円環状の本体部251と、本体部251の開口縁から排気管30の流れ方向(図中の太矢印)の下流側に折れ曲がった屈曲部252とを有している。本体部251と屈曲部252とのなす角は、鈍角となっている。尚、本体部251と屈曲部252とのなす角は、直角でもよいし、鋭角であってもよい。
【0067】
突出部5は、板状に形成されていなくてもよい。突出部5は、排気管30の内周面から排気管30の内側へ突出する限り、任意の形状を採用し得る。
【0068】
また、突出部5によって堰き止められた液体は、排気管30の内周面を伝って下方に落下するようになっているが、液体の排出方法はこれに限定されない。例えば、図6に、変形例に係る排気管230を示す。図6に示すように、排気管230における、突出部5の近傍であって排気管30の流れ方向(図中の太矢印)における突出部5の上流側の部分に、突出部5に堰き止められた水を排出する排水管236が接続されていてもよい。その場合、突出部5及び排水管236の接続部は、排気管230のうち略水平に延びる部分に設けられていてもよい。
【0069】
図7は、変形例に係る気液分離器302の概略図である。気液分離器302は、前述の湯気消しユニット1と気液分離器2とが一体的に構成されている。気液分離器302は、気体と液体との混合流体を気体と液体とに分離する分離ユニット20と、分離ユニット20によって液体が分離された気体を流出させる排気管330と、分離ユニット20を収容する容器340と、容器340内へ水を噴射する噴射部12とを備えている。分離ユニット20及び噴射部12の構成は、前述の構成と同様である。
【0070】
容器340は、容器40と概ね同じ構成をしている。容器340の側周壁の比較的上部に、流入ポート341が形成されている。流入ポート341には、例えば、蒸気使用装置等から廃棄された蒸気が空気と共に流通する蒸気管が接続される。流入ポート341からは、蒸気及び/又は湯気の混ざった空気が容器340に流入する。容器340の上部には、噴射部12が設けられている。噴射部12には、熱回収ユニット6の給水管73が接続されている。
【0071】
容器340内において、分離ユニット20は、流入ポート341よりも下方の位置に配置されている。容器340のうち分離ユニット20よりも下方の空間は、分離ユニット20によって分離された気体及び液体が排出される空間となっている。容器340のうち分離ユニット20よりも下方であって底に近い部分には、仕切板42と同様の仕切板342が設けられている。容器340の底に、熱回収ユニット6の第1排水管71が接続されている。尚、この場合、熱回収ユニット6の第2排水管72は省略される。
【0072】
排気管330は、分離ユニット20と一体的に形成された第1排気管31と、第1排気管31の下流端に接続される第2排気管332と、第2排気管332の下流端に接続される第3排気管333とを有している。第2排気管332は、第1排気管31から上方に延びた後、側方に屈曲し、容器340の側周壁を貫通している。第3排気管333は、容器340の外部に配置されている。
【0073】
第2排気管332と第3排気管333との接続部に突出部5が設けられている。突出部5は、前述の第1突出部51又は第2突出部52と同じ構成である。
【0074】
流入ポート341を介して容器340に流入した蒸気及び/又は湯気の混ざった空気には、噴射部12から水が吹きかけられる。これにより、空気中の少なくとも一部の蒸気が凝縮して空気から分離すると共に、空気中の少なくとも一部の湯気が噴射水に捕捉されて大きな水滴となって空気から分離する。空気、ドレン、大きな水滴、及び噴射部12からの噴射水が混ざり合った混合流体は、分離ユニット20の旋回流路23を通過し、旋回流の遠心力によって、水滴及び水が分離される。少なくとも一部の水滴及び水が分離された空気は、容器340における分離ユニット20よりも下方の空間に滞留する。分離された水は、容器340の下部であって仕切板342よりも下方に溜まっていく。滞留する空気は、第1排気管31の下端から第1排気管31に流入し、排気管330を流通していく。このとき、空気に含まれる水滴又は水は、突出部5に堰き止められる。その結果、気液分離効率が高められる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、ここに開示された技術は、気液分離器について有用である。
【符号の説明】
【0076】
2,302 気液分離器
20 分離ユニット
23 旋回流路
30,230,330 排気管
5,205 突出部
51 第1突出部
52 第2突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7