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特許7181735液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置
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  • 特許-液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/28 20060101AFI20221124BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B65D51/28 100
B65D81/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018163808
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020033096
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518312770
【氏名又は名称】李 粲淑
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾勉
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1713246(KR,B1)
【文献】特開2008-161904(JP,A)
【文献】特表平10-505313(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0070083(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/28
B65D 81/32
B65D 85/72
B65D 77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水中に注入する酸素を液化封入した液体酸素カプセル(100)が、
上部に開口部(112)を有する円筒状カプセル本体(110)と、封入される液体酸素(10)と、該カプセル本体の開口部に挿入して液体酸素を封止する円盤状のカプセル蓋部(120)と、該カプセル蓋部と前記カプセル本体が当接する位置に設置される前記カプセル蓋部と同径の肉厚の円盤状からなるOリング(130)と、からなり、
前記カプセル本体(110)は、前記カプセル蓋部(120)を挿入係止する位置を肉厚に形成した係止部(114)と、該係止部の上部に設けられる前記カプセル蓋部を密着固定するためのかしめ部(116)と、からなり、
前記カプセル蓋部(120)は、封入された液体酸素(10)を噴出するための細孔を刺衝穿設するために円盤上面の中央部に形成される肉薄の裁断口部(122)と、下方に装着されるOリングを挿入固定するための円筒状のOリング固定筒(124)と、からなり、
前記カプセル本体(110)は、前記係止部(114)より下部をすべて肉厚とした構成からなるとともに、前記カプセル蓋部(120)は、前記Oリング固定筒(124)が前記カプセル本体(110)の底部近傍まで延伸する構成からなり、
前記Oリング固定筒(124)に前記Oリング(130)を挿入設置した前記カプセル蓋部(120)を、液体酸素(10)が封入された前記カプセル本体(110)の開口部(112)から挿入して前記係止部(114)に係止するとともに、前記かしめ部(116)を前記カプセル蓋部側に押圧してかしめてカプセル蓋部(120)を密着固定して液体酸素(10)を密封形成したことを特徴とする液体酸素カプセル。
【請求項2】
前記カプセル本体(110)とカプセル蓋部(120)は、アルミニウムからなるとともに、前記Oリング(130)は樹脂製素材からなることを特徴とする請求項1記載の液体酸素カプセル。
【請求項3】
ペットボトル(20)に封入された飲料水(30)中に酸素を強制注入させるための液体酸素注入装置(300)が、
前記液体酸素カプセル(100)と、前記液体酸素カプセルを内部に格納装着するとともに該液体酸素カプセルに充填された液体酸素を気化させてペットボトル内に噴出導入するペットボトルの開口(22)に螺着または固着する構造の酸素注入手段(200)と、からなり、
前記酸素注入手段(200)は、ペットボトル(20)の開口(22)に螺着または固着して密封固定するための基部(210)と、内部に前記液体酸素カプセル(100)を格納して前記基部(210)に圧着するように螺着して密封固定するための格納蓋部(220)と、からなり、
前記基部(210)は、ペットボトル(20)の開口と前記格納蓋部(220)とを連通させる細管(230)を装備するとともに、該細管(230)は、前記格納蓋部(220)側の先端を鋭利頭刀として前記格納蓋部(220)に格納された前記液体酸素カプセル(100)の裁断口部(122)に当接刺衝して細孔を穿設して液体酸素(10)をペットボトル(20)内に噴出導入して飲料水(30)中に気化した酸素を強制注入させることを特徴とする請求項1記載の液体酸素カプセルを用いた液体酸素注入装置。
【請求項4】
前記液体酸素注入装置(300)は、飲料水(30)の封入されたペットボトル(20)の開口(22)に前記基部(210)を螺着または固着して密封固定するとともに、液体酸素カプセル(100)を格納した前記格納蓋部(220)を先端鋭利頭刀の細管(230)が液体酸素カプセル(100)を刺衝しない程度に前記基部(210)に螺着し、ペットボトル(20)の開口(22)を下方向へ向けた状態とした際に、前記格納蓋部(220)を更に前記基部(210)に押し込むように螺着して密封固定することにより、先端鋭頭の細管(230)が液体酸素カプセル(100)を刺衝して裁断口部(122)から細管(230)が侵入し、ペットボトル(20)に封入された飲料水(30)に液体酸素カプセル(100)中の液体酸素(10)を気化するとともに噴射して溶け込ませることを特徴とする請求項3に記載の液体酸素注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用の酸素含有水を作るための液体酸素を封入した液体酸素カプセルと注入装置に関し、特に、カプセルを液体酸素の封入後に常温において内容物の漏れが発生しない密封安定構造を有するとともに、刺衝貫挿により酸素を噴射吐出させることを可能とした、液体酸素を内部に容易に封入した液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アスリートの疲労回復やパフォーマンスの向上のための飲料として、酸素水が用いられている。酸素水とは、水中に酸素を溶け込ませた水であり、空気中に自然に存在する水より多く酸素が含まれる飲料水である。酸素は、水に溶けにくい気体であり、飲料水中に含有させるためには、勢いよく水中に噴射するなど技術的な加工処理が必要とされる。また、生成された酸素水は、放置すると酸素が放出されて元の自然水に戻ってしまうので、必要に応じて簡易に生成できる装置(器具)が求められていた。
【0003】
このような酸素水に関連する技術として、特開2010-137181号公報が存在する。ここでは、ペットボトル内の飲料水を酸素水に変換するための酸素水生成装置として、ペットボトル内に酸素噴射部材が下端に取付けられた酸素噴射用チューブを挿入し、圧力制御弁でペットボトル内の圧力を調整しながら、外部に設置した酸素発生器から酸素供給ホースを通じて酸素噴射用チューブに酸素を供給することにより、ペットボトル内の飲料水に酸素を注入して酸素水を生成する技術が開示されている。
【0004】
確かにこの技術によれば、ペットボトル内の水に酸素を溶け込ませることが可能になると考えられるが、酸素を供給するための装置が大きなものとならざるを得ず、簡便または持ち運び可能な酸素水を生成するための酸素カプセルや器具を提供することが困難という問題点があった。
【0005】
また、特開2013-158724号公報では、高濃度の酸素水を生成可能な酸素水生成装置に関する技術が開示されている。ここでは、気密容器中の水に過酸化水素水を混入する過酸化水素水混入装置と、気密容器中の水に分解剤を混入する分解剤混入装置と、過酸化水素水と分解剤が混入した水を貯留する気密容器内の圧力を上昇させる加圧装置と、排水装置により気密容器から排水される酸素水を分配する分配装置とからなる装置であって、過酸化水素が水と酸素に分解することを利用して気密容器中で酸素を発生させ、発生する酸素を、気密容器中の水に溶存させる技術が開示されている。
【0006】
確かにこの技術によれば、容器中の水に酸素を溶かし込むことが可能となると考えられるが、この技術によってもやはり装置の巨大化という問題点は解消できず、気軽に飲料水としての酸素水を生成して飲用に供することが難しいという問題点があった。
【0007】
そこで、酸素をカプセルのような小さい容器に格納して可搬性を増すとともに、容易かつ確実に酸素水を生成することが可能な液体酸素カプセル、およびこれを用いた携帯可能な小型の液体酸素注入装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-137181号公報
【文献】特開2013-158724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題を解決するために、飲料用の酸素含有水を作るための液体酸素を封入した液体酸素カプセルであって、特に、液体酸素の封入後に常温であっても液体酸素の漏れが発生しない密封安定構造からなるとともに、刺衝貫挿することによりカプセル外へ酸素を噴射吐出することを可能とした、液体酸素を内部に容易に封入した液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明に係る液体酸素カプセルは、飲料水中に注入する酸素を液化封入した液体酸素カプセルが、上部に開口部を有する円筒状カプセル本体と、封入される液体酸素と、該カプセル本体の開口部に挿入して液体酸素を封止する円盤状のカプセル蓋部と、該カプセル蓋部と前記カプセル本体が当接する位置に設置される前記カプセル蓋部と同径の肉厚の円盤状からなるOリングと、からなり、前記カプセル本体は、前記カプセル蓋部を挿入係止する位置を肉厚に形成した係止部と、該係止部の上部に設けられる前記カプセル蓋部を密着固定するためのかしめ部と、からなり、前記カプセル蓋部は、封入された液体酸素を噴出するための細孔を刺衝穿設するために円盤上面の中央部に形成される肉薄の裁断口部と、下方に装着されるOリングを挿入固定するための円筒状のOリング固定筒と、からなり、前記カプセル本体は、前記係止部より下部をすべて肉厚とした構成からなるとともに、前記カプセル蓋部は、前記Oリング固定筒が前記カプセル本体の底部近傍まで延伸する構成からなり、前記Oリング固定筒に前記Oリングを挿入設置した前記カプセル蓋部を、液体酸素が封入された前記カプセル本体の開口部から挿入して前記係止部に係止するとともに、前記かしめ部を前記カプセル蓋部側に押圧してかしめてカプセル蓋部を密着固定して液体酸素を密封形成した構成である。
【0012】
また、本発明に係る液体酸素注入装置は、ペットボトルに封入された飲料水中に酸素を強制注入させるための液体酸素注入装置が、前記液体酸素カプセルと、前記液体酸素カプセルを内部に格納装着するとともに該液体酸素カプセルに充填された液体酸素を気化させてペットボトル内に噴出導入するペットボトルの開口に螺着または固着する構造の酸素注入手段と、からなり、前記酸素注入手段は、ペットボトルの開口に螺着または固着して密封固定するための基部と、内部に前記液体酸素カプセルを格納して前記基部に圧着するように螺着して密封固定するための格納蓋部と、からなり、前記基部は、ペットボトルの開口と前記格納蓋部とを連通させる細管を装備するとともに、該細管は、前記格納蓋部側の先端を鋭利頭刀として前記格納蓋部に格納された前記液体酸素カプセルの裁断口部に当接刺衝して細孔を穿設して液体酸素をペットボトル内に噴出導入して飲料水中に気化した酸素を強制注入させる構成である。
【0013】
更に、前記液体酸素注入装置は、飲料水の封入されたペットボトルの開口に前記基部を螺着または固着して密封固定するとともに、液体酸素カプセルを格納した前記格納蓋部を先端鋭利頭刀の細管が液体酸素カプセルを刺衝しない程度に前記基部に螺着し、ペットボトルの開口を下方向へ向けた状態とした際に、前記格納蓋部を更に前記基部に押し込むように螺着して密封固定することにより、先端鋭頭の細管が液体酸素カプセルを刺衝して裁断口部から細管が侵入し、ペットボトルに封入された飲料水に液体酸素カプセル中の液体酸素を気化するとともに噴射して溶け込ませる構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.肉厚のOリングをカプセル蓋部とカプセル本体の間に挿入する構成としたため、カプセル内に封入した液体酸素が気化して外部へ漏れ出すことを防止することが可能となる。また、カプセル本体にかしめ部を設けたため、液体酸素の封入後に確実に蓋をすることが可能となり、内容物である液体酸素の漏れを防止することが可能となる。また、カプセル蓋部に裁断口部を設けたため、刺衝貫挿することによりカプセルの使用時に容易に内容物の液体酸素を外部へ噴射吐出することができる。
2.肉厚のOリングをカプセル蓋部上部に挿入してかしめる構成としたため、カプセル内に封入した液体酸素の外部への漏出を効果的に防止することが可能となる。
【0015】
3.カプセル本体とカプセル蓋部をアルミニウムとしたため、軽量で丈夫なカプセルを構成することが可能となる。また、Oリングを樹脂製素材としたため、確実に内容物の漏出を防止することが可能となる。
4.格納蓋部に液体酸素カプセルを格納する構成としたため、格納蓋部を締めることで密封状態を形成することが可能となり、液体酸素カプセル内の酸素を無駄なくペットボトル内に噴射することが可能となる。また、基部に先端が鋭利頭刀な細管を設けたため、格納蓋部を締めることで液体酸素カプセルに容易に細孔をあけることが可能となり、該細孔から噴出する酸素を細管を通してペットボトル内に噴射させることが可能となる。
【0016】
5.ペットボトルの開口を下方向へ向けた状態で格納蓋部を締める構成としたため、液体酸素カプセルから噴射される酸素を容易にペットボトル内の飲料水に溶け込ませることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る液体酸素カプセルおよびこれを用いた液体酸素注入装置を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、液体酸素カプセルの分解側面断面図であり、図2は、液体酸素注入装置の側面断面図である。図3は、液体酸素注入装置の使用例を示す図である。
【0018】
本発明に係る液体酸素カプセル100は、図1に示すように、カプセル本体110と、カプセル蓋部120と、Oリング130と、からなり、カプセル本体110内に内容物である低温で液化された液体酸素10を封入するとともに、Oリング130を介してカプセル蓋部120で閉じ、内容物が漏出しないように確実に密封することを可能とした、飲料水中に注入する酸素を封入するカプセルである。
【0019】
カプセル本体110は、液体酸素10を内部に封入するための液体酸素カプセル100の本体である。カプセル本体110は、図1に示すように、上部に開口部112を有する円筒状からなる。本実施例では、カプセル本体110は、均等な直径の円柱筒状の部材からなるが、これに限定されることはなく、球形・角柱形など、適宜選択して構成することが可能である。
【0020】
カプセル本体110に封入される液体酸素10は、液化した酸素である。液体酸素は、沸点が-183℃であり、気化するとその体積が約800倍になる。本実施例では、液体酸素カプセル100を完全密封して気化しないように封入する構成であるが、外圧によりカプセルが損傷すると危険であるため、気化した酸素が徐々に抜け出す構成とすることも可能である。
【0021】
カプセル蓋部120は、カプセル本体110を封止する蓋となる円盤状の部材であり、図1に示すように、カプセル本体110の開口部112に挿入してカプセル本体110内の液体酸素10を封止するための部材である。カプセル蓋部120は、確実にカプセル本体110の開口部112を封止するため、断面円形の開口部112と同径の円形状に構成される。
【0022】
Oリング130は、液体酸素カプセル100の気密性を高めてカプセル本体110内の液体酸素10の漏れを防止するためのシール材である。本実施例では、Oリング130はカプセル蓋部112と同径の肉厚の円盤状からなり、カプセル蓋部120とカプセル本体110が当接する位置、すなわちカプセル本体110とカプセル蓋部120との間に設置される構成である。Oリング130を設置することにより、カプセル本体110とカプセル蓋部120との気密性が高まり、液体酸素10の漏出を防止することが可能となる。
【0023】
カプセル本体110は、更に、図1に示すように、係止部114と、かしめ部116とからなる。係止部114は、カプセル蓋部120をカプセル本体110に挿入後、一定位置で係止するため、該係止位置を肉厚に形成してストッパーとしたものである。これにより、カプセル本体110内の一定の位置でカプセル蓋部120を係止固定することが可能となる。本実施例では、図1に示すように、カプセル本体110の係止部114より下部をすべて肉厚としている。これにより、係止部114の形成が容易になるとともに、カプセル本体110の周囲壁の強度を高めることが可能となる。
【0024】
かしめ部116は、カプセル本体110にカプセル蓋部120を密着固定するためのものであり、図1に示すように、係止部114の上部に設けられる。かしめ部116は、カプセル本体110の上部部分であって円筒形状からなり、このかしめ部116を開口部112の内側に向けて周縁からかしめることにより、カプセル蓋部120が密着固定される構成である。この構成とすることにより、液体酸素カプセル100の気密性を容易に確保することが可能となる。
【0025】
カプセル蓋部120は、裁断口部122と、Oリング固定筒124とを装備している。裁断口部122は、液体酸素カプセル100内に封入された液体酸素10を噴出するための細孔を外部から刺衝して穿設するために設けられるものであり、図1に示すように、カプセル蓋部120の円盤上面の中央部に形成される肉薄の部材からなる。本実施例では、カプセル蓋部120の円盤上面中央部に円形の肉薄部材により裁断口部122を形成している。
【0026】
Oリング固定筒124は、カプセル本体110とカプセル蓋部120との間に設置されるOリング130を固定するための部材であり、図1に示すように、カプセル蓋部120の下方に装着されるOリング130を挿入固定する円筒状の部材である。Oリング130は円盤状からなるとともに、中心に円形の孔が穿設されている。Oリング固定筒124を該孔に挿入することにより、Oリング130がカプセル蓋部120の下方に固定される構成である。
【0027】
本発明に係る液体酸素カプセル100は、まず、超低温下でカプセル本体110に液体酸素10を注入する。次に、カプセル蓋部120のOリング固定筒124にOリング130を挿入して設置した後、カプセル蓋部120を、液体酸素10が封入されたカプセル本体110の開口部112から挿入する。カプセル蓋部120は、前述のように係止部114で係止される。
【0028】
カプセル本体110内でカプセル蓋部120がOリング130を間に挟んだ状態で安定したら、カプセル本体110のかしめ部116を、周縁からカプセル蓋部120側にカプセル蓋部120の中央部を目掛けて押圧してかしめる。これにより、カプセル蓋部120を密着固定して液体酸素10を密封形成した液体酸素カプセル100を構成する。
【0029】
カプセル本体110とカプセル蓋部120は、本実施例では、アルミニウム素材からなる構成である。また、Oリング130は、樹脂製素材からなる構成である。この構成とすることにより、軽量で丈夫なカプセルを構成することが可能となり、また、確実に内容物の漏出を防止することが可能となる。本実施例では、Oリング130は、シリコンからなる構成であるがこれに限定されることはなく、適宜選択して使用することが可能である。
【0030】
本発明に係る液体酸素カプセル100の別の実施例として、カプセル本体の開口部に挿入して液体酸素を封止する円盤状のカプセル蓋部の上部に円盤状からなるOリング130を設置する構成とすることが可能である。すなわち、カプセル蓋部120を、液体酸素10が封入されたカプセル本体110の開口部112から挿入して係止部114に係止し、カプセル蓋部120上部に円形からなる肉薄の裁断口部122が露出するようにOリング130を設置する。その後、かしめ部116をカプセル蓋部120側に押圧してかしめる。これにより、カプセル本体110にOリングを介してカプセル蓋部120を密着固定することが可能となる。
【0031】
次に、液体酸素カプセル100による酸素注入を行う液体酸素注入装置300について説明する。液体酸素注入装置300は、ペットボトル20に封入された飲料水30の中に酸素を強制注入して溶け込ませるための装置であり、図2に示すように、前述の液体酸素カプセル100と、刺衝貫挿する酸素注入手段200と、からなる。
【0032】
酸素注入手段200は、液体酸素カプセル100内に封入された液体酸素10を気化した状態でペットボトル内に注入するための手段である。酸素注入手段200は、液体酸素カプセル100を内部に格納装着する構成であり、ペットボトルの開口22に螺着または固着可能な構造となっており、液体酸素カプセル100に充填された液体酸素10を刺衝貫挿により噴出気化させて酸素注入手段200が螺着または固着されたペットボトル内に導入する構成である。
【0033】
酸素注入手段200は、図2に示すように、基部210と、格納蓋部220とからなる。基部210は、酸素注入手段200をペットボトル20に接続固定するための部材であり、ペットボトル20の開口22に螺着または固着することにより、密封固定する。基部210は、本実施例では、ペットボトル接続開口212を有しており、該部分がペットボトル20の開口22と同径に構成されるとともに、螺着可能なネジ山が螺刻された構成となっているが、これに限定されることはなく、ペットボトル20の開口22に基部210を固着する構造とすることも可能である。
【0034】
格納蓋部220は、内部に液体酸素カプセル100を格納して基部210と接合密封するための部材である。本実施例では、格納蓋部220は、ネジ山が螺刻された基部接続開口222が設けられており、基部210のペットボトル接続開口212の反対側に設けられる螺着可能なネジ山が螺刻された格納蓋部接続開口214に、基部接続開口222が圧着するように螺着して密封固定する構成である。
【0035】
なお、格納蓋部220と基部210とは、着脱自在に接続した構成とすることが可能である。これにより、液体酸素カプセル100が交換可能となり、液体酸素注入装置300を継続的に何回も使用することが可能となる。また、液体酸素カプセル100を内部に格納した状態で格納蓋部220と基部210とを外すことができない構成とすることも可能である。これにより、液体酸素注入装置300を使い切りの構成とすることが可能となり、ペットボトル20に予め液体酸素注入装置300を装着した状態で提供することが可能となる。
【0036】
基部210は、図2に示すように、ペットボトル20の開口22と格納蓋部220とを連通させるための細管230を装備した構成である。この細管230により、基部210と格納蓋部220が螺合固定された状態の酸素注入手段200が、ペットボトル20の開口22に螺合固定された際に、ペットボトル20の内部空間と格納蓋部220の内部空間とが連通し、これを通して内容物(気化した液体酸素)の移動が可能となる。
【0037】
細管230は、図2に示すように、格納蓋部220側の先端が鋭利頭刀な形状となっている。この構成とすることにより、基部210に液体酸素カプセル100を格納した格納蓋部220を圧着するように螺着すると、格納蓋部220に格納された液体酸素カプセル100の裁断口部122に対して、格納蓋部220側の先端が当接することにより、裁断口部122が刺衝(破断)されて細孔が貫挿・穿設されることとなる。
【0038】
この構成により、裁断口部122の細孔から噴出する気化した液体酸素10を外部に漏らすことなく細管230を通してペットボトル20内に噴出導入することが可能となり、飲料水30中に気化した酸素を勢いよく強制注入させることで、容易に酸素水を生成することが可能となる。
【0039】
格納蓋部220は、上部または側面に通気細孔(図示せず)を穿設した構成とすることが可能である。この構成とすることにより、通気細孔から少量の酸素を抜け出させることが可能となるため、ペットボトル20内の飲料水30に酸素を導入する際に、酸素の過供給等が生じた際に起こりうるペットボトル20の破裂を防止することが可能となる。
【0040】
次に、液体酸素注入装置300の使用方法について説明する。液体酸素注入装置300は、最初に基部210と格納蓋部220を外した状態とし、飲料水30の封入されたペットボトル20の開口22に、基部210を螺着して密封固定する。次に、液体酸素カプセル100を格納蓋部220に格納した上で、格納蓋部220を、基部210に設けられる先端鋭利頭刀の細管230が液体酸素カプセル100を刺衝しない程度に基部210に螺合させる。なお、液体酸素カプセル100を格納した格納蓋部220と基部210とが接続した状態(液体酸素カプセル100は未だ刺衝されていない状態)のものを、予めペットボトル20に螺着または固着した構造の飲料水として構成・流通させることとしてもよい。
【0041】
次に、ペットボトル20をひっくり返して開口22を下方向へ向けた状態とした上で、格納蓋部220を更に基部210に押し込むように螺着し、密封固定する。これにより、先端鋭頭の細管230が液体酸素カプセル100を刺衝して、貫挿され、裁断口部122から細管230が侵入し、裁断口部122に孔を開ける。これにより、液体酸素カプセル100内の液体酸素10が噴出するとともに気化して、細管230を通してペットボトル20内に勢いよく噴射することとなる。
【0042】
ペットボトル20は開口22を下にして逆さになっているため、内部の飲用水30は、開口22側に移動している。従って、飲用水30の下から気化した酸素が上に向けて泡となって勢いよく通過する。この時、酸素が飲料水30内に溶け込むこととなる。
【0043】
以上の構成により、ペットボトル20に封入された飲料水30に対して、液体酸素カプセル100中の液体酸素10を気化するとともに噴射して溶け込ませることが可能となり、液体酸素カプセル100から噴射される酸素を漏れなくペットボトル20内の飲料水30に溶け込ませることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】液体酸素カプセルの分解側面断面図
図2】液体酸素注入装置の側面断面図
図3】液体酸素注入装置の使用例を示す図
【符号の説明】
【0045】
10 液体酸素
20 ペットボトル
22 開口
30 飲料水
100 液体酸素カプセル
110 カプセル本体
112 開口部
114 係止部
116 かしめ部
120 カプセル蓋部
122 裁断口部
124 Oリング固定筒
130 Oリング
200 酸素注入手段
210 基部
212 ペットボトル接続開口
214 格納蓋部接続開口
220 格納蓋部
222 基部接続開口
230 細管
300 液体酸素注入装置
図1
図2
図3