(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20221124BHJP
H01M 10/6557 20140101ALI20221124BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221124BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20221124BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221124BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20221124BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20221124BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20221124BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20221124BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/6561
H01M10/625
H01M10/647
H01M50/293
H01M50/262 E
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2018170423
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宇大
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231143(JP,A)
【文献】特開2016-186888(JP,A)
【文献】特開2012-142288(JP,A)
【文献】特開2016-129110(JP,A)
【文献】特表2013-515343(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103007(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 10/6557
H01M 10/613
H01M 10/6561
H01M 10/625
H01M 10/647
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有する電池モジュールであって、
前記枠部材は、周方向に連続する外枠部と、該外枠部の内周側にあり少なくとも一部で前記電池セルと接触する内側部と、を有しており、
前記外枠部は、硬質樹脂製であり、
前記内側部には、前記電池セルと接触する範囲に軟質樹脂製の弾性部材が設けられており、
前記積層体の積層方向に隣り合う位置に配置される2つの枠部材の一方である第1の枠部材の外枠部と、前記2つの枠部材の他方である第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されて
おり、
前記第1の枠部材に、爪と爪受けの一方からなる第1の係合部が設けられており、前記第2の枠部材に、前記爪と前記爪受けの他方からなる第2の係合部が設けられており、
前記第1の係合部と前記第2の係合部とを互いに係合させることで、前記第1の枠部材の外枠部と前記第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されており、
前記第1の枠部材の外枠部に、前記第2の枠部材に接近する方向に延びる突出片が設けられており、該突出片に前記第1の係合部が設けられており、
前記突出片は、延び方向中間部に設けられる段部と、該段部よりも延び方向先側にある突出片前部と、前記段部よりも延び方向の手前側にあり前記第1の枠部材の外枠部に連なる突出片後部と、を有しており、
前記第1の係合部は、前記突出片前部に設けられており、
前記第1の枠部材の外枠部から前記突出片後部にわたって連続するリブが設けられており、該リブは前記突出片前部には設けられていない、電池モジュール。
【請求項2】
前記外枠部は、前記積層体の積層方向から見たときに、前記内側部の上側に位置する上辺と、前記内側部の下側に位置する下片と、前記内側部の右側に位置する右片と、前記内側部の左側に位置する左片と、の4辺を有しており、
前記4辺のそれぞれで、前記第1の枠部材の外枠部と前記第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されている、請求項1記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記内側部の弾性部材は、前記枠部材の前記積層方向の両面に設定されており該枠部材を貫通して繋がっている、請求項1または請求項2記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-129110号公報は、電池セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有する電池モジュールを開示している。該公報開示の電池モジュールにおいては、
図16に示すように、枠部材2に、電池セル3と枠部材2との間に冷却用空気が流れる流路を形成するためのリブ4が設けられている。該リブ4は、ゴムやスポンジ等の弾性材で形成されており、電池セル3に接着剤によって接着されている。
【0003】
上記公報開示の技術によれば、
図17に示すように、リブ4が弾性材で形成されており電池セル3に接着されているため、車両走行振動等で上下方向に電池モジュール1が振動しても、リブ4が積層体の積層方向L1に伸び縮みでき、枠部材2と電池セル3との接触面積が低下することを抑制できる。
【0004】
しかし、上記公報開示の技術には、つぎの問題点がある。
弾性材で形成されるリブ4は、積層方向L1に伸び縮みするだけでなく、積層方向L1と直交する上下方向L2にも撓み得る。そのため、電池モジュール1の全体でみると、積層方向L1の中央部において電池モジュール1の振幅が大きくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、積層体の積層方向において、電池モジュールの中央部における振幅を小さくできる、電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 電池セルと枠部材とが交互に積層された積層体を有する電池モジュールであって、
前記枠部材は、周方向に連続する外枠部と、該外枠部の内周側にあり少なくとも一部で前記電池セルと接触する内側部と、を有しており、
前記外枠部は、硬質樹脂製であり、
前記内側部には、前記電池セルと接触する範囲に軟質樹脂製の弾性部材が設けられており、
前記積層体の積層方向に隣り合う位置に配置される2つの枠部材の一方である第1の枠部材の外枠部と、前記2つの枠部材の他方である第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されている、電池モジュール。
(2) 前記第1の枠部材に、爪と爪受けの一方からなる第1の係合部が設けられており、前記第2の枠部材に、前記爪と前記爪受けの他方からなる第2の係合部が設けられており、
前記第1の係合部と前記第2の係合部とを互いに係合させることで、前記第1の枠部材の外枠部と前記第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されている、(1)記載の電池モジュール。
(3) 前記第1の枠部材の外枠部に、前記第2の枠部材に接近する方向に延びる突出片が設けられており、該突出片に前記第1の係合部が設けられている、(2)記載の電池モジュール。
(4) 前記突出片は、延び方向中間部に設けられる段部と、該段部よりも延び方向先側にある突出片前部と、前記段部よりも延び方向の手前側にあり前記第1の枠部材の外枠部に連なる突出片後部と、を有しており、
前記第1の係合部は、前記突出片前部に設けられている、(3)記載の電池モジュール。
(5) 前記第1の枠部材の外枠部から前記突出片後部にわたって連続するリブが設けられている、(4)記載の電池モジュール。
(6) 前記外枠部は、前記積層体の積層方向から見たときに、前記内側部の上側に位置する上辺と、前記内側部の下側に位置する下片と、前記内側部の右側に位置する右片と、前記内側部の左側に位置する左片と、の4辺を有しており、
前記4辺のそれぞれで、前記第1の枠部材の外枠部と前記第2の枠部材の外枠部とは、互いに結合されている、(1)~(5)記載の電池モジュール。
(7) 前記内側部の弾性部材は、前記枠部材の前記積層方向の両面に設定されており該枠部材を貫通して繋がっている、(1)~(6)記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
積層体の積層方向に隣り合う位置に配置される2つの枠部材である第1、第2の枠部材の外枠部同士が、互いに結合されているため、第1、第2の枠部材の相対動を抑制できる。したがって、枠部材が、軟質樹脂製の弾性部材が設けられる内側部を有する場合であっても、積層体の積層方向において電池モジュールの中央部における振幅を比較的小さくできる。
【0009】
また、枠部材が、電池セルと接触する範囲に軟質樹脂製の弾性部材が設けられる内側部を有するため、電池モジュールに上下方向の振動が加わった場合であっても、弾性部材と電池セルが振動することで振動エネルギーの少なくとも一部を吸収できる。その結果、電池モジュールの振幅の増大化を抑制できる。
【0010】
上記(2)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
爪と爪受けの一方からなる第1の係合部と、爪と爪受けの他方からなる第2の係合部とを互いに係合させることで、第1の枠部材と第2の枠部材とが互いに結合されるため、簡易な構造で第1の枠部材と第2の枠部材とを結合することができる。また、第1の係合部を第1の枠部材の外枠部に一体に形成することができ、第2の係合部を第2の枠部材の外枠部に一体に形成することができ、コスト上有利である、
【0011】
上記(3)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
突出片に第1の係合部が設けられているため、突出片を撓ませることで第1の係合部を第2の係合部に係合させることができる。
【0012】
上記(4)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
第1の係合部が突出片前部に設けられているため、突出片前部を撓ませることで第1の係合部を第2の係合部に係合させることができる。
【0013】
上記(5)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
第1の枠部材の外枠部から突出片後部にわたって連続するリブが設けられているため、突出片前部を撓ませて第1の係合部を第2の係合部に係合させるときに、突出片後部と第1の枠部材の外枠部とが撓むこと(変形すること)を抑制することができる。
【0014】
上記(6)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
外枠部の上下左右の4辺のそれぞれ(4辺の全部)で、第1の枠部材の外枠部と第2の枠部材の外枠部とが結合されているため、4辺全てで結合されていない場合に比べて、第1の枠部材と第2の枠部材との相対動を強固に抑制できる。よって、電池モジュールの積層方向の中央部における振幅を小さくする点において極めて有利である。
【0015】
上記(7)の電池モジュールでは、つぎの効果を得ることができる。
内側部の弾性部材が、枠部材の積層方向の両面に設定されており枠部材を貫通して繋がっているため、電池モジュールに上下方向の振動が加わった場合であっても、弾性部材と電池セルが振動することで振動エネルギーを効率よく吸収できる。その結果、電池モジュール全体での振幅の増大化を効率よく抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明実施例の電池モジュールの平面図である。
【
図2】本発明実施例の電池モジュールの部分分解断面図である。
【
図3】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、積層方向の一側から見たときにおける斜視図である。
【
図4】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、積層方向の他側から見たときにおける斜視図である。
【
図5】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、正面図である。
【
図6】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、部分拡大平面図である。
【
図7】本発明実施例の電池モジュールの、第1の枠部材と第2の枠部材との結合状態を示す部分拡大断面図である。
【
図8】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、枠部材の内側部の一部のみに弾性部材が設けられている場合の、正面図である。
【
図9】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、枠部材の内側部の一部のみに弾性部材が設けられている場合の、正面図である。
【
図10】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、枠部材の内側部の一部のみに弾性部材が設けられている場合の、断面図である。
【
図11】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、弾性部材のリブの拡大断面図である。
【
図12】弾性部材のリブの、
図11に示す場合よりも高さが大とされている場合の、拡大断面図である。なお、図中点線は、
図11に示す場合を示している。
【
図13】弾性部材のリブの、
図11に示す場合よりも幅が大とされている場合の、拡大断面図である。なお、図中点線は、
図11に示す場合を示している。
【
図14】弾性部材のリブの、先細り形状とされている場合の、拡大断面図である。なお、図中点線は、
図11に示す場合を示している。
【
図15】本発明実施例の電池モジュールにおける枠部材の、弾性部材のリブが正面視で丸形状とされている場合の、正面図である。
【
図16】従来の電池モジュールの分解斜視図である。
【
図17】従来の電池モジュールの、リブが積層方向に変形したときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、
図1~
図15を参照して、本発明実施例の電池モジュールを説明する。
【0018】
本発明実施例の電池モジュール10は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に搭載される。
【0019】
本発明実施例の電池モジュール10は、
図1に示すように、発熱体である電池セル20と、枠部材30とが交互に積層された積層体40と、を有する。電池モジュール10は、また、積層体40の積層方向Dの両外側に配置されるエンドプレート50を有する。
【0020】
〔エンドプレート50〕
エンドプレート50は、積層体40の積層方向Dの一側に配置される第1のエンドプレート51と、積層体40の積層方向Dの他側に配置される第2のエンドプレート52と、を有する。第1のエンドプレート51と第2のエンドプレート52とで、積層体40を積層方向Dの両側から挟んでいる。
【0021】
第1、第2のエンドプレート51,52は、積層方向Dに延びる図示略の拘束バンドにて互いに結合されている。拘束バンドと第1、第2のエンドプレート51,52とは、ビス、ボルト等を用いて結合されている。
【0022】
〔積層体40の電池セル20〕
電池セル(セルといってもよい。)20は、上部に設けられる端子21を除いて、略正面視矩形の角形電池である。電池セル20は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池である。各電池セル20は、直列接続されている。
【0023】
〔積層体40の枠部材30〕
枠部材30は、樹脂製である。枠部材30は、電気絶縁材である。枠部材30は、
図5に示すように、正面視で(積層体40の積層方向Dから見たときに)ほぼ矩形である。枠部材30は、正面視で、周方向に全周にわたって連続して設けられる外枠部31と、外枠部31の内周側にあり少なくとも一部で電池セル20と接触する内側部32と、を有している。
【0024】
外枠部31は、硬質樹脂製であり、硬質樹脂は、たとえばPP(ポリプロピレン)である。外枠部31は、正面視で、内側部32の上側に位置する上辺31aと、内側部32の下側に位置する下片31bと、内側部32の右側に位置する右片31cと、内側部32の左側に位置する左片31dと、の4辺を有している。右片31cと左片31dは、逆であってもよい。
【0025】
内側部32には、電池セル20と接触する範囲に、外枠部31の材料の硬質樹脂よりも軟質で弾性変形可能な軟質樹脂製の弾性部材32aが設けられている。軟質樹脂は、たとえばエラストマ(弾性体)である。弾性部材32aは内側部32の一部である。
【0026】
弾性部材32aは、
図5に示すように、正面視で内側部32の全体に設けられている。ただし、弾性部材32aは、
図8、
図9に示すように、正面視で内側部32の一部のみに設けられていてもよい。これにより、弾性部材32aと電池セル20との接触範囲を変更でき、弾性部材32aの変形のし易さ(柔らかさ)を調節できる。
なお、
図8は、弾性部材32aが、内側部32に設けられる楕円部32cの内側のみに設けられる場合を示している。また、
図9は、弾性部材32aが、内側部32に左右方向に断続的に設けられる場合を示している。
【0027】
弾性部材32aが内側部32の一部のみに設けられる場合、弾性部材32aを除く内側部32は、外枠部31と同じ硬質樹脂製であり、外枠部31と一体に形成されていることが望ましい。
【0028】
弾性部材32aは、
図2に示すように、枠部材30の積層方向Dの両面30a、30bに設定されており枠部材30を積層方向Dに貫通して繋がっている。ただし、枠部材30の積層方向Dの両面30a、30bに設定される弾性部材32aは、
図10に示すように、その一部が枠部材30を積層方向に貫通して繋がっていなくてもよい。これにより、弾性部材32aの変形のし易さを調節できる。
【0029】
枠部材30の両面30a、30bに設定される弾性部材32aには、積層方向Dの外側に突出する複数の流路形成リブ32bが一体形成されている。流路形成リブ32bは、積層方向Dから見たとき、
図5に示すように線状であってもよく、
図15に示すように点状であってもよく、図示は省略するがその他の形状であってもよい。また、流路形成リブ32bの断面形状は、
図11に示すように矩形であってもよく、
図12に示すように
図11に示す場合よりも高さが大とされた矩形であってもよく、
図13に示すように
図11に示す場合よりも幅が大とされた矩形であってもよく、
図14に示すように先細りする形状であってもよい。
【0030】
流路形成リブ32bが弾性部材32aに設けられているため、弾性部材32aと該弾性部材32aに対向する位置にある電池セル20との間に冷媒流路が形成される。冷媒流路には電池セル20を冷却する冷媒(たとえば空気)が流れるようになっている。なお、本発明図示例では、流路形成リブ32bは枠部材30の両面30a、30bに設けられているが、流路形成リブ32bは枠部材の面30aのみに設けられていてもよく、面30bのみに設けられていてもよい。すなわち流路形成リブ32bは、枠部材30の面30a、30bの少なくともいずれか一方のみに設けられていればよい。
【0031】
図2に示すように、枠部材30が、硬質樹脂製からなる部分(外枠部31と弾性部材32aを除く内側部32)と、弾性部材32aが設けられる部分と、を有している。そのため、枠部材30は、2種類の樹脂材料を用いて製造されている。枠部材30は、特に限定されるものではないが、たとえば二色成形にて製造される。
【0032】
図7に示すように、積層体40の積層方向Dに隣り合う2つの枠部材30,30の外側部31同士は、互いに結合されている。すなわち、積層体40の積層方向Dに隣り合う位置に配置される2つの枠部材30,30の一方である第1の枠部材30Aの外枠部31と、2つの枠部材30,30の他方である第2の枠部材30Bの外枠部31とは、互いに結合されている。
【0033】
第1の枠部材30Aに、爪と爪受けの一方からなる第1の係合部33が設けられており、第2の枠部材30Bに、爪と爪受けの他方からなる第2の係合部34が設けられている。そして、第1の係合部33と第2の係合部34を係合させることで、第1の枠部材30Aと第2の枠部材30Bとが、互いに結合される。
【0034】
第2の枠部材30Bに設けられる第2の係合部34は、第1の枠部材30Aに設けられる第1の係合部33と同数設けられており、第1の係合部33に対応する位置に設けられている。
【0035】
図6、
図7に示すように、第1の枠部材30Aの外枠部31には、第2の枠部材30Bに接近する方向に延びる突出片35が一体に設けられており、突出片35に第1の係合部33が設けられている。
【0036】
突出片35は、突出片35の延び方向中間部に設けられる段部35aと、段部35aよりも延び方向の先側(第2の枠部材30B側)にある突出片前部35bと、段部35aよりも延び方向の手前側(第1の枠部材30A側)にある突出片後部35cと、を有する。第1の係合部33は、突出片35の突出片前部35bに設けられている。突出片35は、突出片後部35cで第1の枠部材30Aの外枠部31に連なっている。
【0037】
突出片35は、
図3に示すように、第1の外側部30Aの外側部31の、上下左右の4辺31a,31b,31c,31dのそれぞれに設けられている。4辺31a,31b,31c,31dの各辺に設けられる突出片35の数は、1個であってもよく、複数であってもよい。なお、図示例では、上辺31aと下片31bには突出片35がそれぞれ2個設けられ、右片31cと左片31dには突出片35がそれぞれ1個設けられる場合を示している。
【0038】
第1の係合部33は、複数の突出片35の全部に設けられている。また、第2の枠部材30Bの第2の係合部34は、第1の係合部33と同数設けられており第1の係合部33に対応する位置に設けられている。そのため、4辺31a,31b,31c,31dのそれぞれで、第1の枠部材30Aの外枠部31と第2の枠部材30Bの外枠部31とが、互いに結合されている。
【0039】
突出片35には、突出片35の剛性を向上させるためにリブ35dが一体に形成されている。リブ35dは、突出片後部35cに設けられており、突出片前部35bには設けられていない。リブ35dは、第1の枠部材30Aの外枠部31から突出片後部35cにわたって連続して設けられている。リブ35dは、1個のみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。
【0040】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
【0041】
(A) 積層体40の積層方向Dに隣り合う位置に配置される2つの枠部材30である第1、第2の枠部材30A,30Bの外枠部31同士が、互いに結合されているため、第1、第2の枠部材30A,30Bの相対動を抑制できる。したがって、枠部材30が軟質樹脂製の弾性部材32aが設けられる内側部32を有する場合であって、かつ、車両の走行振動が電池モジュール10に加わった場合であっても、積層体40の積層方向Dにおいて電池モジュール10の中央部10aにおける振幅を比較的小さくできる。
【0042】
(B) 枠部材40が、電池セル20と接触する範囲に軟質樹脂製の弾性部材32aが設けられる内側部32を有するため、電池モジュール10に上下方向の振動が加わった場合であっても、弾性部材32aと電池セル20が振動することで振動エネルギーの少なくとも一部を吸収できる。その結果、電池モジュール10の振幅の増大化を抑制できる。
【0043】
(C) 爪と爪受けの一方からなる第1の係合部33と、爪と爪受けの他方からなる第2の係合部34とを互いに係合させることで、第1の枠部材30Aと第2の枠部材30Bとが互いに結合されるため、簡易な構造で第1の枠部材30Aと第2の枠部材30Bとを結合することができる。また、第1の係合部33を第1の枠部材30Aの外枠部31に一体に形成することができ、第2の係合部34を第2の枠部材30Bの外枠部31に一体に形成することができ、コスト上有利である、
【0044】
(D) 突出片35に第1の係合部33が設けられているため、突出片35を撓ませることで第1の係合部33を第2の係合部34に係合させることができる。
【0045】
(E) 第1の係合部33が突出片前部35bに設けられているため、突出片前部35bを撓ませることで第1の係合部33を第2の係合部34に係合させることができる。
【0046】
(F) 第1の枠部材30Aの外枠部31から突出片後部35cにわたって連続するリブ35dが設けられているため、突出片前部35bを撓ませて第1の係合部33を第2の係合部34に係合させるときに、突出片後部35cと第1の枠部材30Aの外枠部31とが撓むこと(変形すること)を抑制することができる。
【0047】
(G) 外枠部31の上下左右の4辺31a,31b,31c,31dのそれぞれ(4辺の全部)で、第1の枠部材30Aの外枠部31と第2の枠部材30Bの外枠部31とが結合されているため、4辺31a,31b,31c,31d全てで結合されていない場合に比べて、第1の枠部材30Aと第2の枠部材30Bとの相対動を強固に抑制できる。よって、電池モジュール10の積層方向Dの中央部10aにおける振幅を小さくする点において極めて有利である。
【0048】
(H) 内側部32の弾性部材32aが、枠部材30の積層方向Dの両面30a、30bに設定されており枠部材30を貫通して繋がっているため、電池モジュール10に上下方向の振動が加わった場合であっても、弾性部材32aと電池セル20が振動することで振動エネルギーを効率よく吸収できる。その結果、電池モジュール10全体での振幅の増大化を効率よく抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
10 電池モジュール
10a 電池モジュールの中央部
20 電池セル
30 枠部材
30A 第1の枠部材
30B 第2の枠部材
30a、30b 枠部材の両面
31 外枠部
31a 上辺
31b 下片
31c 右片
31d 左片
32 内側部
32a 弾性部材
32b 流路形成リブ
33 第1の係合部
34 第2の係合部
35 突出片
35a 段部
35b 突出片前部
35c 突出片後部
35d リブ
40 積層体
50 エンドプレート
51 第1のエンドプレート
52 第2のエンドプレート
D 積層体の積層方向