(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】部品実装装置および液材塗布状態検査方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20221124BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20221124BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20221124BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20221124BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H05K13/08 U
G01N21/27 A
B23K3/00 N
B23K1/00 330E
(21)【出願番号】P 2018195804
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】岡嵜 真一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-019380(JP,A)
【文献】米国特許第05108024(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
G01N 21/27
B23K 3/00
B23K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドに保持された前記部品の前記バンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、
前記液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を前記部品に照射する照明部と、
前記液材を前記バンプ部に塗布した前記部品に前記照射光を照射した第1照射状態で、前記バンプ部に塗布された前記液材から出る光の光量に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と
、
前記ヘッドに保持された前記バンプ部を有する前記部品において前記照明部からの前記照射光を反射した反射光における前記第1特定波長帯の光を受光可能な撮像部とを備え
、
前記制御部は、前記第1照射状態において、前記バンプ部の前記液材から出る光としての前記反射光の光量を、前記部品を前記撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得するように構成されている、部品実装装置。
【請求項2】
バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドに保持された前記部品の前記バンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、
前記液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を前記部品に照射する照明部と、
前記液材を前記バンプ部に塗布した前記部品に前記照射光を照射した第1照射状態で、前記バンプ部に塗布された前記液材から出る光の光量に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と、
前記第1特定波長帯の光のみを透過するフィルタとを備え、
前記制御部は、前記第1照射状態で、前記バンプ部に塗布された前記液材から出る光のうち前記フィルタを透過した前記第1特定波長帯の光の光量に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断するように構成されている、部品実装装置。
【請求項3】
前記ヘッドに保持された前記バンプ部を有する前記部品において前記照明部からの前記照射光を反射した反射光における前記第1特定波長帯の光を受光可能な撮像部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1照射状態において、前記バンプ部の前記液材から出る光としての前記反射光の光量を、前記部品を前記撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得するように構成されている、請求項
2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1部品画像における前記反射光の前記第1輝度値に関する値としきい値との比較に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断するように構成されている、請求項
1または3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1輝度値と前記しきい値としての第1しきい値との比較に基づいて、前記第1輝度値が前記第1しきい値未満の場合には前記バンプ部に塗布された前記液材の量が十分と判断し、前記第1輝度値が前記第1しきい値以上の場合には前記バンプ部に塗布された前記液材が無しまたは量が不十分と判断するように構成されている、請求項
4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1輝度値と前記しきい値との比較、および前記液材を前記バンプ部に塗布する前の前記部品に前記照射光を照射した第2照射状態で、前記撮像部により前記部品を撮像させて取得する第2部品画像における前記バンプ部の第2輝度値と前記しきい値との比較に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断するように構成されている、請求項
4に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2輝度値から前記第1輝度値を引いた差分輝度値と、前記しきい値としての第2しきい値との比較に基づいて、前記差分輝度値が前記第2しきい値よりも大きい場合には前記バンプ部に塗布された前記液材の量が十分と判断し、前記差分輝度値が前記第2しきい値以下の場合には前記バンプ部に塗布された前記液材が無しまたは不十分と判断するように構成されている、請求項
6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、複数の前記第1特定波長帯を有する前記液材の場合、複数の前記第1特定波長帯のそれぞれにおける前記第2輝度値と前記第1輝度値との差分の合算値と、前記しきい値としての第3しきい値との比較に基づいて、前記合算値が前記第3しきい値よりも大きい場合には前記バンプ部に塗布された前記液材の量が十分と判断し、前記合算値が前記第3しきい値以下の場合には前記バンプ部に塗布された前記液材が無しまたは不十分と判断するように構成されている、請求項
6に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1特定波長帯を含むとともに前記第1特定波長帯より広範囲の波長帯において所定波長間隔ごとに取得される複数の撮像画像の各々の第3輝度値に基づいて、前記しきい値および前記第1特定波長帯の各々を校正するように構成されている、請求項
4~
8のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記部品の前記バンプ部の前記照射光に対する反射特性と略同じ反射特性を有する検査部材をさらに備え、
前記制御部は、前記第1特定波長帯を含むとともに前記第1特定波長帯より前記広範囲の波長帯において前記所定波長間隔ごとに、前記照明部から前記照射光を照射するとともに前記撮像部により前記液材を塗布した前記検査部材を撮像することにより取得される前記複数の撮像画像の各々の前記第3輝度値に基づいて、前記しきい値および前記第1特定波長帯の各々を校正するように構成されている、請求項
9に記載の部品実装装置。
【請求項11】
バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、
前記ヘッドに保持された前記部品の前記バンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、
前記液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を前記部品に照射する照明部と、
前記液材を前記バンプ部に塗布した前記部品に前記照射光を照射した第1照射状態で、前記バンプ部に塗布された前記液材から出る光の光量に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と、
前記第1特定波長帯以外の第2特定波長帯の前記液材の蛍光を受光可能な撮像部
とを備え、
前記制御部は、前記第1照射状態の後、前記バンプ部の前記液材から出る光としての前記第2特定波長帯の前記蛍光の光量を、前記部品を前記撮像部により撮像して取得される第3部品画像の第4輝度値として取得した後、前記第3部品画像における前記蛍光の前記第4輝度値に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断するように構成されている
、部品実装装置。
【請求項12】
前記撮像部は、第1方向にライン状に延びる複数の撮像領域が前記第1方向と直交する第2方向に並べられるように配置され、前記複数の撮像領域により前記第2特定波長帯を含む複数の異なる波長帯の光を撮像可能なライン状カメラを含み、
前記照明部は、前記第1特定波長帯を含む複数の異なる波長帯の光を前記第1方向にライン状に照射可能なライン状照明部を含む、請求項11に記載の部品実装装置。
【請求項13】
バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットを備え、前記ヘッドに保持された前記部品の前記バンプ部にはんだの接合力を良好に保つ液材を塗布する液材塗布状態検査方法であって、
前記液材を前記バンプ部に塗布した前記部品に、前記液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を照射するステップと、
前記バンプ部を有する前記部品において前記照射光を反射した反射光における第1特定波長帯の光を受光するステップと、
前記バンプ部に塗布された前記液材から出る
光としての前記反射光の光量を、前記部品を撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得し、前記第1輝度値に基づいて、前記バンプ部に塗布された前記液材の塗布状態を判断するステップとを備える、液材塗布状態検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置および液材塗布状態検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションを備える部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、はんだの接合力を良好に保つフラックス(液材)を貯留するフラックスユニット(液材ステーション)を備える電子部品の実装装置(部品実装装置)が開示されている。上記特許文献1の電子部品の実装装置は、はんだボール電極(バンプ部)が設けられた電子部品を吸着するノズルと、ノズルに吸着された電子部品のはんだボール電極が設けられた面に対して光を照射する照射部とを備えている。また、上記特許文献1の電子部品の実装装置は、フラックスを塗布した電子部品のはんだボール電極に照射部により光を照射させた状態で、はんだボール電極において反射した反射光の輝度レベルとしきい値との比較に基づいて、電子部品のはんだボール電極へのフラックスの転写状態を判別する制御を行う制御部を備えている。
【0004】
上記特許文献1の電子部品の実装装置では、制御部は、フラックス転写膜厚の増加に伴い輝度レベルが低くなるので、輝度レベルがしきい値以下の場合は実装可能と判断し、輝度レベルがしきい値を超える場合は転写不良と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の電子部品の実装装置では、一般的に無色透明なフラックスのフラックス転写膜厚の変化に伴う輝度レベルの変化に基づいて、フラックス転写膜の転写状態を判断するので、微細なフラックス転写膜厚の変化を測定することが容易ではない。
【0007】
そこで、上記のような不都合を解消するため、フラックスに着色料または蛍光剤を添加したフラックスを電子部品のはんだボール電極に塗布し、はんだボール電極に塗布された着色料または蛍光剤を添加したフラックスの輝度レベルを測定することにより、フラックス転写膜の転写状態を確認することが考えられる。この方法では、電子部品のはんだボール電極に転写したフラックスの輝度レベルの変化が明確になるので、微細なフラックス転写膜厚の変化を容易に測定することが可能である。
【0008】
しかしながら、フラックスに添加した着色料または蛍光剤に起因して、フラックスのはんだの接合力を低下させるという不都合がある。このため、着色料または蛍光剤をフラックスに添加することなく、はんだボール電極(バンプ部)へのフラックス(液材)の塗布状態の確認を適切に行うことが困難であるという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことが可能な部品実装装置および液材塗布状態検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、液材の主成分が特定の波長帯の光を吸収するという性質を利用することにより、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいてバンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断することができるという新たな知見を得た。この発明の第1の局面による部品実装装置は、この新たな知見を利用して、着色料または蛍光剤を添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うものである。すなわち、この発明の第1の局面による部品実装装置は、バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドに保持された部品のバンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を部品に照射する照明部と、液材をバンプ部に塗布した部品に照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と、ヘッドに保持されたバンプ部を有する部品において照明部からの照射光を反射した反射光における第1特定波長帯の光を受光可能な撮像部とを備え、制御部は、第1照射状態において、バンプ部の液材から出る光としての反射光の光量を、部品を撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得するように構成されている。なお、「液材の主成分により吸収される」とは、第1特定波長帯の照射光のエネルギーを吸収すること、および、液材の主成分を蛍光させるために第1特定波長帯の照射光(励起光)のエネルギーを吸収することの両方を含む概念である。また、「液材から出る光」とは、液材の主成分により吸収されずに液材から反射されて出射される光、および、液材の主成分が励起光のエネルギーを吸収したことにより発せられる蛍光の両方を含む概念である。
【0011】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を部品に照射する照明部を備える。また、部品実装装置では、液材をバンプ部に塗布した部品に照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部を備える。これにより、バンプ部に塗布された液材の主成分に照射光を吸収させることにより、液材から反射されて出射される場合、反射光の光量を確実に減少させることができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことができる。また、バンプ部に塗布された液材の主成分に照射光を吸収させることにより、液材から蛍光を発する場合、液材から発せられた蛍光の光量に基づいてバンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断することができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことができる。また、着色料または蛍光剤を新たに液材に添加せずとも、部品のバンプ部に塗布された液材の塗布状態の判定を行うことができるので、部品の接合不良の発生を抑制することができる。この結果、部品実装装置における部品の実装品質を向上させることができる。
また、液材から出る光の光量が減少した分に合わせて、第1部品画像の第1輝度値も減少するので、バンプ部への液材の塗布状態を画像上で容易に認識しやすくすることができる。
この発明の第2の局面による部品実装装置は、バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドに保持された部品のバンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を部品に照射する照明部と、液材をバンプ部に塗布した部品に照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と、第1特定波長帯の光のみを透過するフィルタとを備え、制御部は、第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光のうちフィルタを透過した第1特定波長帯の光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するように構成されている。
これにより、他の波長帯の光を確実に分離させることにより、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するために不必要な情報を減少させることができるので、バンプ部への液材の塗布状態の確認をより適切に行うことができる。
【0012】
この発明の第2の局面による部品実装装置において、好ましくは、ヘッドに保持されたバンプ部を有する部品において照明部からの照射光を反射した反射光における第1特定波長帯の光を受光可能な撮像部をさらに備え、制御部は、第1照射状態において、バンプ部の液材から出る光としての反射光の光量を、部品を撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得するように構成されている。このように構成すれば、液材から出る光の光量が減少した分に合わせて、第1部品画像の第1輝度値も減少するので、バンプ部への液材の塗布状態を画像上で容易に認識しやすくすることができる。
【0013】
上記第1特定波長帯の光を受光可能な撮像部を備える部品実装装置において、好ましくは、制御部は、第1部品画像における反射光の第1輝度値に関する値としきい値との比較に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、しきい値との比較により液材の塗布状態を判断することによって、液材の量を判断する方法を容易化することができるので、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことができる。なお。「第1輝度値に関する値」とは、第1輝度値そのものだけでなく、第1輝度値に他の輝度値を加算、減算などを行い求められた輝度値を含む広い概念である。
【0014】
上記第1輝度値に関する値としきい値との比較を行う部品実装装置において、好ましくは、制御部は、第1輝度値としきい値としての第1しきい値との比較に基づいて、第1輝度値が第1しきい値未満の場合にはバンプ部に塗布された液材の量が十分と判断し、第1輝度値が第1しきい値以上の場合にはバンプ部に塗布された液材が無しまたは量が不十分と判断するように構成されている。このように構成すれば、第1輝度値と第1しきい値との比較だけでバンプ部に塗布された液材の量を判断することにより、液材の量を判断する方法を容易化することができるので、バンプ部への液材の塗布状態の確認をより容易に行うことができる。
【0015】
上記第1輝度値に関する値としきい値との比較を行う部品実装装置において、好ましくは、制御部は、第1輝度値としきい値との比較、および液材をバンプ部に塗布する前の部品に照射光を照射した第2照射状態で、撮像部により部品を撮像させて取得する第2部品画像におけるバンプ部の第2輝度値としきい値との比較に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するように構成されている。このように構成すれば、液材により照射光が吸収された状態の第1輝度値だけでなく、液材により照射光が吸収されていない状態の第2輝度値を用いて液材の塗布量の判断を行うことにより、バンプ部に液材が塗布された状態を明確に制御部が認識することができる。この結果、バンプ部に塗布された液材の塗布状態をより正確に判断することができる。
【0016】
上記第1輝度値および第2輝度値としきい値とを比較する部品実装装置において、好ましくは、制御部は、第2輝度値から第1輝度値を引いた差分輝度値と、しきい値としての第2しきい値との比較に基づいて、差分輝度値が第2しきい値よりも大きい場合にはバンプ部に塗布された液材の量が十分と判断し、差分輝度値が第2しきい値以下の場合にはバンプ部に塗布された液材が無しまたは不十分と判断するように構成されている。このように構成すれば、バンプ部に液材が塗布された状態では差分輝度値が大きくなるので、バンプ部に液材が塗布された状態をより明確に制御部が認識することができる。この結果、バンプ部に塗布された液材の塗布状態をより正確に判断することができる。
【0017】
上記第1輝度値および第2輝度値としきい値とを比較する部品実装装置において、好ましくは、制御部は、複数の第1特定波長帯を有する液材の場合、複数の第1特定波長帯のそれぞれにおける第2輝度値と第1輝度値との差分の合算値と、しきい値としての第3しきい値との比較に基づいて、合算値が第3しきい値よりも大きい場合にはバンプ部に塗布された液材の量が十分と判断し、合算値が第3しきい値以下の場合にはバンプ部に塗布された液材が無しまたは不十分と判断するように構成されている。このように構成すれば、合算値を用いることにより、バンプ部に液材が塗布されていない状態の輝度値との差異をより明確化することができるので、より正確に判断することができ、また、バンプ部に液材が塗布された状態を安定して制御部が認識することができる。
【0018】
上記第1輝度値に関する値としきい値との比較を行う部品実装装置において、好ましくは、制御部は、第1特定波長帯を含むとともに第1特定波長帯より広範囲の波長帯において所定波長間隔ごとに取得される複数の撮像画像の各々の第3輝度値に基づいて、しきい値および第1特定波長帯の各々を校正するように構成されている。このように構成すれば、部品に塗布される液材の種類が変わった場合でも、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を正確に判断することができるので、液材の種類によらず制御部による液材の塗布状態の判断の正確性を確保することができる。
【0019】
この場合、好ましくは、部品のバンプ部の照射光に対する反射特性と略同じ反射特性を有する検査部材をさらに備え、制御部は、第1特定波長帯を含むとともに第1特定波長帯より広範囲の波長帯において所定波長間隔ごとに、照明部から照射光を照射するとともに撮像部により液材を塗布した検査部材を撮像することにより取得される複数の撮像画像の各々の第3輝度値に基づいて、しきい値および第1特定波長帯の各々を校正するように構成されている。このように構成すれば、部品を用いてしきい値および第1特定波長帯の各々の校正を行う場合と異なり、検査のために作成された検査部材を用いることにより、液材ステーションにおいて液材を検査部材に確実に塗布することができるので、しきい値および第1特定波長帯の各々の校正を確実に行うことができる。
【0021】
この発明の第3の局面による部品実装装置は、バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットと、ヘッドに保持された部品のバンプ部に塗布されることによりはんだの接合力を良好に保つ液材を貯留する液材ステーションと、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を部品に照射する照明部と、液材をバンプ部に塗布した部品に照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断する制御を行う制御部と、第1特定波長帯以外の第2特定波長帯の液材の蛍光を受光可能な撮像部とを備え、制御部は、第1照射状態の後、バンプ部の液材から出る光としての第2特定波長帯の蛍光の光量を、部品を撮像部により撮像して取得される第3部品画像の第4輝度値として取得した後、第3部品画像における蛍光の第4輝度値に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するように構成されている。
これにより、着色料または蛍光剤を新たに液材に添加せずとも、部品のバンプ部に塗布された液材の塗布状態の判定を行うことができる。これにより、部品の接合不良の発生を抑制することができるとともに、液材から出る蛍光の光量に合わせて、第3部品画像の第4輝度値も変化するので、バンプ部への液材の塗布状態を画像上で容易に認識しやすくすることができる。また、液材内を通過する際に屈折、反射および拡散した光を撮像部に受光させる場合と比較して、第1特定波長帯の照射光を吸収した液材から発生する蛍光は確実に撮像部に向かうので、バンプ部への液材の塗布状態の確認の正確性を確保することができる。
【0022】
上記第3の局面による部品実装装置において、好ましくは、撮像部は、第1方向にライン状に延びる複数の撮像領域が第1方向と直交する第2方向に並べられるように配置され、複数の撮像領域により第2特定波長帯を含む複数の異なる波長帯の光を撮像可能なライン状カメラを含み、照明部は、第1特定波長帯を含む複数の異なる波長帯の光を第1方向にライン状に照射可能なライン状照明部を含む。このように構成すれば、エリア状のマルチスペクトルカメラのように、バンドパスフィルタまたはダイクロックミラーを変更して異なる波長の蛍光を受光する必要がないので、エリア状のマルチスペクトルカメラを用いる場合と異なり、フラックス検出カメラの小型化および構成を簡略化することができる。また、撮像領域の延びる方向に合わせて、ライン状照明部からの照明光が照射されるので、液材の蛍光をライン状カメラに効率よく受光させることができる。
【0023】
上記目的を達成するために、この発明の第4の局面による液材塗布状態検査方法は、バンプ部を有する部品を保持するヘッドを含むヘッドユニットを備え、ヘッドに保持された部品のバンプ部にはんだの接合力を良好に保つ液材を塗布する液材塗布状態検査方法であって、液材をバンプ部に塗布した部品に、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を照射するステップと、バンプ部を有する部品において照射光を反射した反射光における第1特定波長帯の光を受光するステップと、バンプ部に塗布された液材から出る光としての反射光の光量を、部品を撮像部により撮像して取得される第1部品画像の第1輝度値として取得し、第1輝度値に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断するステップとを備える。
【0024】
この発明の第4の局面による液材塗布状態検査方法では、上記のように、液材の主成分により吸収される第1特定波長帯を含む照射光を部品に照射する。また、液材塗布状態検査方法では、液材をバンプ部に塗布した部品に照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部に塗布された液材から出る光の光量に基づいて、バンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断する。これにより、バンプ部に塗布された液材の主成分に照射光を吸収させることにより、液材から反射されて出射される場合、反射光の光量を確実に減少させることができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことが可能な液材塗布状態検査方法を取得することができる。また、バンプ部に塗布された液材の主成分に照射光を吸収させることにより、液材から蛍光を発する場合、液材から発せられた蛍光の光量に基づいてバンプ部に塗布された液材の塗布状態を判断することができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことが可能な液材塗布状態検査方法を取得することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上記のように、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部への液材の塗布状態の確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1~第4実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
【
図2】第1~第3実施形態による部品実装装置の概略を示した側面図である。
【
図3】第1~第4実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
【
図4】第1実施形態による部品実装装置において電子部品のバンプ部から出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図5】第1実施形態による部品実装装置における第1部品画像を撮像した際の電子部品を示した模式図である。
【
図6】第1実施形態による部品実装装置において、第2部品画像を撮像した際の電子部品を示した模式図およびその模式図の電子部品のバンプ部から出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図7】第1実施形態による部品実装装置において、第1部品画像を撮像した際の電子部品を示した模式図およびその模式図におけるフラックスが十分に塗布された電子部品のバンプ部から出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図8】第1実施形態による部品実装装置において、第1部品画像を撮像した際の電子部品を示した模式図およびその模式図におけるフラックスが十分に塗布されなかった電子部品のバンプ部から出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図9】第1実施形態による部品実装装置において所定波長間隔ごとに差分輝度値を取得した状態を示したグラフである。
【
図10】第1実施形態による部品実装装置において新たな特定波長帯および新たなしきい値の各々を取得した状態を示したグラフである。
【
図11】
図11(A)はフラックス塗布前のはんだペレット治具をフラックス用撮像部により撮像する状態を示した模式図である。
図11(B)ははんだペレット治具にフラックスを塗布する状態を示した模式図である。
図11(C)はフラックス塗布後のはんだペレット治具をフラックス用撮像部により撮像する状態を示した模式図である。
【
図12】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施される検査処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるフラックス塗布前の平均輝度値の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるフラックス塗布後の平均輝度値の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施される特定波長帯およびしきい値の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図16】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施される電子部品のバンプ部のバンプ位置およびバンプ領域の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図17】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるフラックス塗布前における電子部品のバンプ部の平均輝度値の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図18】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるフラックス塗布後における電子部品のバンプ部の平均輝度値の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図19】第1実施形態による部品実装装置の制御部において実施されるフラックスの塗布状態の確認の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図20】第2実施形態による部品実装装置における部品画像を撮像した際の電子部品を示した模式図である。
【
図21】第2実施形態による部品実装装置において、
図20のZ1部分の拡大画像を示した模式図およびその模式図におけるフラックスから出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図22】第2実施形態による部品実装装置において、
図20のZ2部分の拡大画像を示した模式図およびその模式図におけるフラックスから出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図23】第3実施形態による部品実装装置において、フラックスから出る反射光の波長および輝度値を示したグラフである。
【
図24】第3実施形態による部品実装装置において、第1特定波長帯のバンプ部の第3輝度値と第1輝度値との差分と、第2特定波長帯のバンプ部の第4輝度値と第2輝度値との差分とを合算した部品画像に相当する状態の電子部品を示した模式図である。
【
図25】第4実施形態による部品実装装置の概略を示した側面図である。
【
図26】第4実施形態による部品実装装置のフラックス用照明部を示した模式図である。
【
図27】第4実施形態による部品実装装置のフラックス用撮像部を示した模式図である。
【
図28】第4実施形態による部品実装装置において、フラックス用照明部から第1特定波長帯の照射光を照射した際の電子部品のバンプ部を示した模式図である。
【
図29】第4実施形態による部品実装装置において、電子部品のバンプ部から第2特定波長帯の蛍光を発した状態を示した模式図である。
【
図30】第4実施形態による部品実装装置において、電子部品のバンプ部から第2特定波長帯の蛍光を発する前の図である。
【
図31】第4実施形態による部品実装装置において、電子部品のバンプ部から第2特定波長帯の蛍光を発した後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
[第1実施形態]
図1~
図19を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置1について説明する。
【0029】
(部品実装装置の構成)
まず、本発明の第1実施形態による部品実装装置1の構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、部品実装装置1は、ICチップ、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品Eをプリント基板などの基板Bに実装するように構成されている。ここで、部品実装装置1において、基板Bを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Bを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、水平方向におけるX方向に直交する方向をY方向とする。また、部品実装装置1において、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。なお、電子部品Eは、特許請求の範囲の「部品」の一例である。また、X方向は、特許請求の範囲の「第2方向」の一例である。また、Y方向は、特許請求の範囲の「第1方向」の一例である。
【0031】
部品実装装置1は、基台2と、部品供給部3と、基板搬送部4と、ヘッドユニット5と、支持部6と、レール部7と、部品認識カメラ8と、基板認識カメラ9と、フラックスステーション10と、フラックス検出カメラ11と、治具トレイ12と、制御部13とを備えている。なお、フラックスステーション10は、特許請求の範囲の「液材ステーション」の一例である。
【0032】
〈基台〉
基台2は、部品実装装置1において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台2上には、構成要素として、基板搬送部4、レール部7、部品認識カメラ8、基板認識カメラ9、フラックスステーション10およびフラックス検出カメラ11が設けられている。また、基台2内には、制御部13が設けられている。また、基台2には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、部品供給部3が設けられている。
【0033】
〈部品供給部〉
部品供給部3は、基板Bに実装される複数の電子部品Eを収容する部品供給トレイ3aを配置するように構成されている。部品供給トレイ3aは、バンプ部E1(
図2参照)を有する電子部品E(特に、ICチップ)を収容するように構成されている。部品供給トレイ3aでは、ヘッドユニット5の部品保持動作により電子部品Eが取り出される。
【0034】
〈基板搬送部〉
基板搬送部4は、部品実装装置1の外部から基板Bを搬入し、基板Bを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。基板搬送部4は、一対のコンベア部4aと、一対のコンベア部4aを回転駆動させるための駆動モータ4bとを含んでいる。一対のコンベア部4aは、それぞれ、プーリ(図示せず)と、プーリに掛け回された輪状の搬送ベルトとを有している。制御部13は、駆動モータ4bを制御することにより、一対のコンベア部4a上に載置された基板Bの搬送速度を制御するように構成されている。
【0035】
〈ヘッドユニット〉
ヘッドユニット5は、
図2に示すように、部品実装用のヘッドユニット5であり、実装位置において固定された基板Bに電子部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、複数(2つ)のディスペンスヘッド51と、複数(4つ)の実装ヘッド52とを含んでいる。なお、実装ヘッド52は、特許請求の範囲の「ヘッド」の一例である。
【0036】
複数のディスペンスヘッド51の各々は、フラックスFが充填されたシリンジ(図示せず)に接続されており、シリンジから供給されるフラックスFを先端部から基板B上に塗布可能に構成されている。各ディスペンスヘッド51は、それぞれZ軸モータ51A(
図3参照)により上下方向に移動可能に構成されている。
【0037】
複数の実装ヘッド52の各々は、真空発生装置(図示せず)に接続されており、真空発生装置により生じる負圧によって、先端に装着されたノズル52aにバンプ部E1を有する電子部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド52の各々は、真空発生装置により生じる正圧によって、バンプ部E1を有する電子部品Eを基板Bに実装可能に構成されている。各実装ヘッド52は、それぞれ、Z軸モータ52bにより上下方向に移動可能に構成されている。また、各実装ヘッド52は、それぞれ、R軸モータ52c(
図3参照)により回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0038】
〈支持部〉
支持部6は、
図1に示すように、ヘッドユニット5を搬送方向(X1方向)および搬送方向とは逆方向(X2方向)に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、支持部6は、搬送方向に延びるボールねじ軸6aと、ボールねじ軸6aを回転させるX軸モータ6bとを含んでいる。ヘッドユニット5には、支持部6のボールねじ軸6aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット5は、X軸モータ6bによりボールねじ軸6aが回転されることにより、ボールねじ軸6aと係合するボールナットとともに、支持部6に沿って搬送方向に移動可能に構成されている。
【0039】
〈レール部〉
一対のレール部7は、支持部6をY方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、レール部7は、Y方向に延びるボールねじ軸7aと、ボールねじ軸7aを回転させるY軸モータ7bとを含んでいる。支持部6には、レール部7のボールねじ軸7aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部6は、Y軸モータ7bによりボールねじ軸7aが回転されることにより、ボールねじ軸7aと係合するボールナットとともに、一対のレール部7に沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0040】
このような構成により、ヘッドユニット5は、基台2上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。すなわち、ヘッドユニット5は、基板搬送部4上の基板Bに対して相対的に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット5は、実装位置において固定された基板Bの上方に移動して、実装ヘッド52に保持された電子部品Eを基板B上の所定箇所(実装位置)に実装することが可能である。
【0041】
〈部品認識カメラ〉
部品認識カメラ8は、
図2に示すように、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って実装ヘッド52に保持(吸着)された電子部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品認識カメラ8は、基台2上に固定されており、電子部品Eの下方(Z2方向)から、実装ヘッド52に保持(吸着)された電子部品Eを撮像するように構成されている。具体的には、部品認識カメラ8は、部品用照明部8aと、部品用撮像部8bとを含んでいる。
【0042】
制御部13は、部品認識カメラ8による電子部品Eの撮像画像に基づいて、電子部品Eの吸着状態(回転姿勢および実装ヘッド52に対する吸着位置)を取得(認識)するように構成されている。また、制御部13は、部品認識カメラ8による電子部品Eの撮像画像に基づいて、電子部品Eのバンプ部E1のバンプ位置E2(
図3参照)およびバンプ領域E3(
図3参照)を取得するように構成されている。なお、バンプ位置E2は、電子部品Eのバンプ部E1の中心位置である。また、バンプ領域E3は、バンプ位置E2の中心からバンプ部E1の外側端部までの範囲である。
【0043】
〈基板認識カメラ〉
基板認識カメラ9は、ヘッドユニット5に取り付けられ、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って、基板Bの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク))(図示せず)を撮像するカメラである。FIマークは、基板Bの位置を確認するためのマークである。
【0044】
〈フラックスステーション〉
フラックスステーション10は、実装ヘッド52に保持された電子部品Eのバンプ部E1に塗布(転写)されることにより、はんだの接合力を良好に保つフラックスFを貯留するように構成されている。ここで、フラックスFは、ロジンを主成分とする樹脂系フラックスである。なお、フラックスFは、特許請求の範囲の「液材」の一例である。
【0045】
フラックスステーション10は、平坦な上面(塗布面)を有する回転ステージ10aと、回転ステージ10aの塗布面から僅かに上方に離間して配置されたスキージ10bとを有する。塗布面上には、フラックスFなどの塗布材が供給され、回転ステージ10aにより塗布面が回転する。この結果、フラックスFは、塗布面上でスキージ10bによって引き延ばされ、塗布面とスキージ10bとの間隔分の薄い平坦面状に成形される。平坦面上に成型されたフラックスFは、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って、電子部品Eのバンプ部E1に塗布(転写)される。
【0046】
〈フラックス検出カメラ〉
フラックス検出カメラ11は、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って実装ヘッド52に保持(吸着)された電子部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。フラックス検出カメラ11は、基台2上に固定されており、電子部品Eの下方(Z2方向)から、実装ヘッド52に保持(吸着)された電子部品Eを撮像するように構成されている。具体的には、フラックス検出カメラ11は、フラックス用照明部11aと、フィルタ11bと、フラックス用撮像部11cとを含んでいる。なお、フラックス用照明部11aは、特許請求の範囲の「照明部」の一例である。また、フラックス用撮像部11cは、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0047】
フラックス用照明部11aは、フラックスFの主成分により吸収される特定波長帯Aを含む照射光を電子部品Eに照射するように構成されている。フラックス用照明部11aは、特定波長帯Aを含む照射光として約2500~約4000[nm]の中赤外線を照射可能なハロゲンランプを有している。
【0048】
ここで、特定波長帯Aは、
図4に示すように、約2500~約4000[nm]の中赤外線の波長帯において、透過率(輝度値)が急激に下がっている約3000~約3300[nm]の波長帯である。約3000~約3300[nm]の波長帯の中赤外線は、フラックスFの主成分であるロジンに吸収される。これにより、フラックス用照明部11aから照射され、電子部品Eにおいて照射光を反射した反射光の光量のうち、フラックスFが塗布されたバンプ部では約3000~約3300[nm]の波長帯の中赤外線の光量が小さくなる。なお、ロジンに吸収される特定波長帯Aは、少なくとも可視光の波長帯よりも長い波長を有する赤外線側の波長帯である。さらに、特定波長帯Aは、電子部品Eのバンプ部E1により吸収されない光の波長帯である。つまり、特定波長帯Aでは、電子部品Eのバンプ部E1にフラックスFが塗布されていない場合と、電子部品Eのバンプ部E1にフラックスFが塗布されている場合とで、電子部品Eにおいて照射光を反射した反射光の光量が異なる。
【0049】
フィルタ11bは、
図2に示すように、特定波長帯Aの波長帯の光のみを透過するように構成されている。具体的には、フィルタ11bは、約3000~約3300[nm]の波長帯の中赤外線を通すバンドパスフィルタである。つまり、フィルタ11bは、電子部品Eのバンプ部E1のフラックスFに吸収されずに反射した反射光のうち、約3000~約3300[nm]の波長帯の光を透過させる。
【0050】
フラックス用撮像部11cは、実装ヘッド52に保持されたバンプ部E1を有する電子部品Eにおいてフラックス用照明部11aからの照明光を反射した反射光における特定波長帯Aの光を受光可能に構成されている。具体的には、フラックス用撮像部11cは、特定波長帯Aの光の信号を電気信号に変換可能な受光素子を有している。制御部13は、フラックス用撮像部11cによる電子部品Eの撮像画像(二次元画像)に基づいて、電子部品Eのバンプ部E1の光量を取得(認識)するように構成されている。
【0051】
〈治具トレイ〉
治具トレイ12は、
図1に示すように、基台2のY2方向側における部品供給部3よりもX2方向側に配置されている。治具トレイ12は、電子部品Eのバンプ部E1の照射光に対する反射特性(反射率)と略同じ反射特性を有するはんだペレット治具12aを収容するように構成されている。はんだペレット治具12aのZ2方向側の面部(下面部)には、はんだが設けられている。治具トレイ12では、ヘッドユニット5の部品保持動作によりはんだペレット治具12aが取り出される。なお、はんだペレット治具12aは、特許請求の範囲の「検査部材」の一例である。
【0052】
〈制御部〉
制御部13は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)13aおよびメモリ13bなどを含み、部品実装装置1の動作を制御する制御回路である。制御部13は、基板搬送部4、ヘッドユニット5、支持部6、レール部7、部品認識カメラ8、基板認識カメラ9、フラックス検出カメラ11、X軸モータ6bおよびY軸モータ7bに電気的に接続されている。
【0053】
メモリ13bには、電子部品Eのバンプ部E1、または、はんだペレット治具12aに塗布されたフラックスFの塗布状態を確認するための処理である検査処理に基づく検査プログラムC1が記憶されている。さらに、メモリ13bには、バンプ部E1、または、はんだペレット治具12aに塗布されたフラックスFの塗布状態を十分か否かを判断するために必要なしきい値T1が記憶されている。また、メモリ13bには、上記したバンプ位置E2およびバンプ領域E3が記憶されている。また、メモリ13bには、後述する許容波長値M、対象波長帯W、所定波長間隔S、第1部品画像P1および第2部品画像P2が記憶されている。制御部13は、ヘッドユニット5、支持部6、レール部7およびフラックス検出カメラ11を検査プログラムC1にしたがって制御することにより、電子部品Eのバンプ部E1、または、はんだペレット治具12aに塗布されたフラックスFの検査を行うように構成されている。
【0054】
(検査プログラム)
図5に示すように、第1実施形態の制御部13は、検査プログラムC1を実施することにより、フラックスFをバンプ部E1に塗布した電子部品Eに照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光(反射光)の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。すなわち、制御部13は、第1照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光(反射光)のうちフィルタ11bを透過した特定波長帯Aの光の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。
【0055】
このように、制御部13は、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る反射光の光量を利用して、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。
【0056】
ここで、制御部13は、照射状態において、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての反射光の光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第1部品画像P1の第1輝度値R1として取得するように構成されている。具体的には、制御部13は、フラックス用撮像部11cにより撮像された電子部品Eの二次元画像としての第1部品画像P1に基づいて、バンプ部E1の光量を認識するように構成されている。制御部13は、第1部品画像P1内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第1輝度値R1として取得するように構成されている。なお、第1部品画像P1内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の位置および領域は、それぞれ、上記したように、部品認識カメラ8による電子部品Eの撮像画像に基づいて取得されたバンプ位置E2およびバンプ領域E3である。
【0057】
また、
図6に示すように、制御部13は、フラックスFをバンプ部E1に塗布する前の電子部品Eに照射光を照射した第2照射状態で、バンプ部E1から出る光としての反射光の光量を、フラックス用撮像部11cにより電子部品Eを撮像させて取得する第2部品画像P2の第2輝度値R2として取得するように構成されている。具体的には、制御部13は、フラックス用撮像部11cにより撮像された電子部品Eの二次元画像としての第2部品画像P2に基づいて、バンプ部E1の光量を認識するように構成されている。制御部13は、第2部品画像P2内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第2輝度値R2として取得するように構成されている。なお、第2部品画像P2内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の位置および領域は、それぞれ、上記したように、部品認識カメラ8による電子部品Eの撮像画像に基づいて取得されたバンプ位置E2およびバンプ領域E3である。
【0058】
図7および
図8に示すように、制御部13は、第1輝度値R1および第2輝度値R2と、しきい値T1との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を取得するように構成されている。なお、しきい値T1は、特許請求の範囲の「第2しきい値」の一例である。
【0059】
具体的には、制御部13は、第2輝度値R2から第1輝度値R1を引いた差分輝度値Dと、しきい値T1との比較に基づいて、差分輝度値Dがしきい値T1よりも大きい場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が十分と判断し、差分輝度値Dがしきい値T1以下の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が無しまたは不十分と判断するように構成されている。つまり、制御部13は、特定波長帯Aにおける差分輝度値Dとしきい値T1との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。
【0060】
ここで、差分輝度値Dは、特定波長帯Aの第2輝度値R2と特定波長帯Aの第1輝度値R1との差分の値である。また、特定波長帯Aは、後に詳細に説明するが、特定波長帯Aを含む波長帯の複数波長において、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの輝度値とフラックスFを塗布した後のはんだペレット治具12aの輝度値との差分の最大値に対応する波長に許容範囲を設定することにより求められる波長帯である。なお、許容範囲は、オペレータによりあらかじめ設定される許容波長値Mをピーク波長Kに加算および減算することにより設定される。また、しきい値T1は、特定波長帯Aにおける第1平均輝度値と第2平均輝度値との差分の平均と、特定波長帯A以外の波長帯における第1平均輝度値と第2平均輝度値との差分との平均との中間輝度値である。
【0061】
制御部13は、
図7に示すように、特定波長帯Aにおいて、差分輝度値Dがしきい値T1よりも大きい場合、バンプ上のフラックスFの塗布状態が良であると判断し、電子部品Eを基板Bに実装するように構成されている。制御部13は、
図8に示すように、特定波長帯Aにおいて、差分輝度値Dがしきい値T1以下の場合、バンプ上のフラックスFの塗布状態が不良であると判断し、電子部品Eのバンプ部E1に再度フラックスFを塗布するまたは電子部品Eを廃棄するように構成されている。
【0062】
また、制御部13は、
図9および
図10に示すように、特定波長帯Aを含むとともに特定波長帯Aより広範囲の波長帯(対象波長帯W)において所定波長間隔Sごとに取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値R3および第4輝度値R4に基づいて、しきい値T1および特定波長帯Aの各々を校正するように構成されている。なお、複数の検査画像は、特許請求の範囲の「複数の撮像画像」の一例である。
【0063】
ここで、対象波長帯Wは、オペレータにより任意に設定可能であり、たとえば、実験的に得られたフラックスFの吸収スペクトル(約3300~約3500[nm])に合わせて設定される。所定波長間隔Sは、オペレータにより任意に設定可能であり、たとえば、約100[nm]に設定される。しきい値T1および特定波長帯Aの各々の校正は、オペレータにより、フラックスステーション10に貯留されているフラックスFの種類を変更する場合に行われる。なお、制御部13は、オペレータによるフラックスFの種類の変更を、オペレータからの操作に基づいて認識するように構成されている。
【0064】
具体的には、制御部13は、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに、フラックス用照明部11aから照射光を照射するとともにフラックス用撮像部11cによりはんだペレット治具12aを撮像することにより取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値R3および第4輝度値R4に基づいて、しきい値T1および特定波長帯Aの各々を校正するように構成されている。
【0065】
すなわち、
図11(A)に示すように、制御部13は、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの検査画像を取得するように構成されている。制御部13は、検査画像内の中心部に対応する複数の画素の輝度値の平均を第4輝度値R4として取得するように構成されている。
【0066】
また、
図11(B)に示すように、制御部13は、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの第4輝度値R4を取得した後、はんだペレット治具12aにフラックスステーション10に貯留されたフラックスFを塗布するように構成されている。
【0067】
また、
図11(C)に示すように、制御部13は、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスFを塗布した後のはんだペレット治具12aの検査画像を取得するように構成されている。制御部13は、検査画像内の中心部に対応する複数の画素の輝度値の平均を第3輝度値R3として取得するように構成されている。
【0068】
制御部13は、
図9および
図10に示すように、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの第4輝度値R4とフラックスFを塗布した後のはんだペレット治具12aの第3輝度値R3との差分を取得するように構成されている。制御部13は、複数の上記差分のうちの最大値に対応するピーク波長Kを取得するように構成されている。制御部13は、許容波長値Mをピーク波長Kに加算および減算することにより新たな特定波長帯Aを取得するように構成されている。
【0069】
制御部13は、新たな特定波長帯Aの複数波長において、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの第4輝度値R4とフラックスFを塗布した後のはんだペレット治具12aの第3輝度値R3との差分である第1検査輝度値を取得するように構成されている。制御部13は、対象波長帯Wの新たな特定波長帯A以外の波長帯の複数波長において、フラックスFを塗布する前のはんだペレット治具12aの第4輝度値R4とフラックスFを塗布した後のはんだペレット治具12aの第3輝度値R3との差分である第2検査輝度値を取得するように構成されている。制御部13は、第1検査輝度値と第2検査輝度値との中間輝度値を新たなしきい値T1として取得するように構成されている。
【0070】
制御部13は、オペレータの操作に基づいて、メモリ13bに記憶された特定波長帯Aおよびしきい値T1を、このようにして求められた新たな特定波長帯Aおよび新たなしきい値T1に更新するように構成されている。
【0071】
(検査処理)
以下に、検査処理について
図12~
図19を参照して説明する。検査処理は、電子部品Eのバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を確認する処理である。なお、検査処理は、特許請求の範囲の「液材塗布状態検査方法」の一例である。
【0072】
まず、ステップS1~ステップS4は、制御部13が、特定波長帯Aおよびしきい値T1を校正するためのステップである。
【0073】
ステップS1において、制御部13では、オペレータからの校正の操作があったか否かが判断される。オペレータからの校正の操作があった場合にはステップS2に進み、オペレータからの校正の操作がない場合にはステップS5に進む。
【0074】
ステップS2において、制御部13では、はんだペレット治具12a(以下、治具12a)のフラックスF塗布前の平均輝度値が取得される。ここで、はんだペレット治具12aは、電子部品Eとは異なり、バンプ部E1が形成されていない、下面が平坦な冶具である。すなわち、制御部13では、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスF塗布前の治具12aの第4輝度値R4(平均輝度値)が取得される。ステップS3において、制御部13では、治具12aのフラックスF塗布後の平均輝度値が取得される。すなわち、制御部13では、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスF塗布後の治具12aの第3輝度値R3(平均輝度値)が取得される。
【0075】
ステップS4において、制御部13では、フラックスF塗布前の治具12aの平均輝度値およびフラックスF塗布後の治具12aの平均輝度値に基づいて、特定波長帯Aおよびしきい値T1が取得される。すなわち、制御部13では、メモリ13bに記憶された特定波長帯Aおよびしきい値T1が、それぞれ、新たな特定波長帯Aおよび新たなしきい値T1に校正される。
【0076】
また、ステップS5~ステップS8は、制御部13が、電子部品Eのバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を確認するためのステップである。
【0077】
ステップS5において、制御部13では、電子部品Eのバンプ部E1の位置(バンプ位置E2)および領域(バンプ領域E3)が取得される。すなわち、制御部13では、電子部品Eの種類に基づいて、バンプ位置E2およびバンプ領域E3を含む部品データが取得される。なお、部品データは、バンプ位置E2およびバンプ領域E3だけでなく、電子部品Eの寸法および形状なども含んでいる。
【0078】
ステップS6において、制御部13では、フラックスF塗布前における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値が取得される。すなわち、制御部13では、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスF塗布前の電子部品Eのバンプ部E1の第2輝度値R2(平均輝度値)が取得される。ステップS7において、制御部13では、電子部品EのフラックスF塗布後における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値が取得される。すなわち、制御部13では、フラックス用照明部11aおよびフラックス用撮像部11cにより、フラックスF塗布後の電子部品Eのバンプ部E1の第1輝度値R1(平均輝度値)が取得される。
【0079】
ステップS8において、制御部13では、フラックスF塗布前の電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第2輝度値R2)およびフラックスF塗布後の電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第1輝度値R1)に基づいて、フラックスFの塗布状態が確認される。
【0080】
次に、ステップS2~ステップS8の各々の詳細な処理について説明する
【0081】
図13に示すように、ステップS2において、治具12aに対して、フラックスF塗布前の平均輝度値(第4輝度値R4)を取得する詳細な処理が行われる。
【0082】
ステップS11において、制御部13では、実装ヘッド52(以下、ヘッド52)が治具収容位置へ移動される。すなわち、制御部13では、治具トレイ12における治具12aの治具収容位置までヘッド52が移動される。ステップS12において、制御部13では、ヘッド52が治具上面部まで下降される。ステップS13において、制御部13では、ヘッド52に治具12aが吸着される。ステップS14において、制御部13では、吸着保持された治具12aがフラックス用撮像部11cの上方位置(Z1方向の位置)に移動される。
【0083】
ステップS15において、制御部13では、フラックス用照明部11aにより複数の波長帯のうちの任意の波長帯の光(照射光)が治具下面部に照射される。なお、複数の波長帯は、特定波長帯Aを含んでいる。ステップS16において、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより治具下面部が撮像される。すなわち、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより上記した検査画像(以下、治具画像)が撮像される。ステップS17において、制御部13では、撮像した治具画像における予め設定されている位置、例えば治具中心部分に対応する位置の塗布前平均輝度値(第4輝度値R4)が取得される。すなわち、制御部13では、治具画像内の例えば中心部分に対応する複数の画素の輝度値の平均が転写前平均輝度値として取得される。ステップS18において、制御部13では、波長に関連付けて転写前平均輝度値が記憶される。
【0084】
ここで、予め設定されている位置とは、第4輝度値R4を取得するために、治具画像内の全ての画素のうち、オペレータにより検出するよう設定された複数の画素の位置を示す。予め設定されている位置は、治具画像内における治具中心部分に対応する位置である例を示したが、治具画像内における治具中心部分以外の位置であってもよい。
【0085】
ステップS19において、制御部13では、全ての塗布前平均輝度値の取得が完了したか否かが判断される。すなわち、制御部13では、オペレータによりあらかじめ設定された所定波長間隔Sごとの塗布前平均輝度値の取得が完了したか否かが判断される。塗布前平均輝度値の取得が完了していない場合には、ステップS15に戻る。また、塗布前平均輝度値の取得が完了した場合には、フラックスF塗布前の平均輝度値(塗布前平均輝度値)を取得する処理を終了し、ステップS3の詳細な処理に進む。
【0086】
図14に示すように、ステップS3において、治具12aに対して、フラックスF塗布後の平均輝度値(第3輝度値R3)を取得する詳細な処理が行われる。
【0087】
ステップS21において、制御部13では、ヘッド52がフラックスステーション10へ移動される。ステップS22において、制御部13では、ヘッド52に保持された治具12aがフラックス液面まで下降される。ステップS23において、制御部13では、治具下面部にフラックスFが塗布(転写)される。ステップS24において、制御部13では、ヘッド52に吸着保持された治具12aがフラックス用撮像部11cの上方位置(Z1方向の位置)に移動される。
【0088】
ステップS25において、制御部13では、フラックス用照明部11aにより複数の波長帯のうちの任意の波長帯の光(照射光)が治具下面部に照射される。なお、複数の波長帯は、特定波長帯Aを含んでいる。ステップS26において、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより治具下面部が撮像される。すなわち、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより上記した検査画像(以下、治具画像)が撮像される。ステップS27において、制御部13では、撮像した治具画像における予め設定されている位置、例えば治具中心部分に対応する位置の転写後平均輝度値(第3輝度値R3)が取得される。すなわち、制御部13では、治具画像内の例えば中心部分に対応する複数の画素の輝度値の平均が転写後平均輝度値として取得される。ステップS28において、制御部13では、波長に関連付けて転写後平均輝度値が記憶される。
【0089】
ステップS29において、制御部13では、全ての塗布後平均輝度値の取得が完了したか否かが判断される。すなわち、制御部13では、オペレータによりあらかじめ設定された所定波長間隔Sごとの塗布後平均輝度値の取得が完了したか否かが判断される。塗布後平均輝度値の取得が完了していない場合には、ステップS25に戻る。また、塗布後平均輝度値の取得が完了した場合には、フラックスF塗布後の平均輝度値(塗布後平均輝度値)を取得する処理を終了し、ステップS4の詳細な処理に進む。
【0090】
図15に示すように、ステップS4において、特定波長帯Aおよびしきい値T1を取得する詳細な処理が行われる。
【0091】
ステップS31において、制御部13では、複数の波長帯の任意の波長帯に関連付けられた転写前平均輝度値から転写後平均輝度値を減算して差分輝度値が取得される。ステップS32において、制御部13では、任意の波長帯の全てにおいて差分輝度値が取得されたか否かが判断される。差分輝度値の取得が完了していない場合には、ステップS31に戻る。また、差分輝度値の取得が完了した場合には、ステップS33に進む。
【0092】
ステップS33において、制御部13では、複数の差分輝度値のうちの最大値に対応する波長がピーク波長Kとして取得される。ステップS34において、制御部13では、ピーク波長Kおよび予め設定された許容波長値Mに基づいてフラックスFの塗布状態の確認を行うための新たな特定波長帯Aが取得される。すなわち、制御部13では、ピーク波長Kに対して許容波長値Mを減算した値を下限値とし、ピーク波長Kに対して許容波長値Mを加算した値を上限値とすることにより、新たな特定波長帯Aが取得される。
【0093】
ステップS35において、制御部13では、新たな特定波長帯Aの差分輝度値の第1平均値および複数の波長帯における新たな特定波長帯A以外の波長帯の差分輝度値の第2平均値が取得される。なお、第1平均値は、新たな特定波長帯Aにおいて所定波長間隔Sごとに取得された差分輝度値の平均値である。また、第2平均値は、複数の波長帯における新たな特定波長帯A以外の波長帯において所定波長間隔Sごとに取得された差分輝度値の平均値である。
【0094】
ステップS36において、制御部13では、第1平均値と第2平均値との中間輝度値が新たなしきい値T1として取得された後、特定波長帯Aおよびしきい値T1を取得する処理を終了し、ステップS5の詳細な処理に進む。
【0095】
図16に示すように、ステップS5において、電子部品Eのバンプ部E1の位置(バンプ位置E2)および領域(バンプ領域E3)を取得する詳細な処理が行われる。
【0096】
ステップS41において、制御部13では、ヘッド52が部品収容位置へ移動される。すなわち、制御部13では、部品供給トレイ3aにおける電子部品Eの部品収容位置までヘッド52が移動される。ステップS42において、制御部13では、ヘッド52が電子部品E上面部まで下降される。ステップS43において、制御部13では、ヘッド52に電子部品Eが吸着される。ステップS44において、制御部13では、ヘッド52に吸着保持された電子部品Eが部品用撮像部8bの上方位置(Z1方向の位置)に移動される。
【0097】
ステップS45において、制御部13では、部品用照明部8aにより光(照射光)が電子部品Eに照射される。ステップS46において、制御部13では、部品用撮像部8bにより電子部品Eが撮像される。すなわち、ステップS47において、制御部13では、撮像した部品画像に関連付けられた部品データに基づいて、電子部品Eの複数のバンプ部E1の位置および領域が取得される。ステップS47の処理が完了した場合には、電子部品Eのバンプ部E1の位置(バンプ位置E2)および領域(バンプ領域E3)を取得する処理を終了し、ステップS6の詳細な処理に進む。
【0098】
図17に示すように、ステップS6において、フラックスF塗布前における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第2輝度値R2)を取得する詳細な処理が行われている。
【0099】
ステップS51において、制御部13では、ヘッド52に吸着保持された電子部品Eがフラックス用撮像部11cの上方位置(Z1方向の位置)に移動される。
【0100】
ステップS52において、制御部13では、フラックス用照明部11aにより特定波長帯Aを含む複数の波長帯の光(照射光)が電子部品Eに照射される。ここで、電子部品Eにおいて反射した反射光をフラックス検出カメラ11のフィルタ11bに通過させるので、フラックス用撮像部11cには、特定波長帯Aの光のみが受光される。ステップS53において、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより電子部品Eが撮像され、特定波長帯Aのうちの任意の波長帯の部品画像(第2部品画像P2)が取得される。ここで、特定波長帯Aの任意の波長帯は、特定波長帯Aに含まれ、特定波長帯Aよりも波長帯の範囲が狭い。
【0101】
ステップS54において、制御部13では、取得した部品画像中のバンプ部E1の位置に対応するバンプ部E1の領域中の転写前平均輝度値が取得される。すなわち、制御部13では、部品画像内のバンプ部E1の領域に対応する複数の画素の輝度値の平均が転写前平均輝度値として取得される。ステップS55において、制御部13では、波長に関連付けて転写前平均輝度値が記憶される。
【0102】
ステップS56において、制御部13では、特定波長帯Aの各波長帯の塗布前平均輝度値が取得されたか否かが判断される。塗布前平均輝度値の取得が完了していない場合には、ステップS53に戻る。また、塗布前平均輝度値の取得が完了した場合には、フラックスF塗布前における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第2輝度値R2)を取得する処理を終了し、ステップS7の詳細な処理に進む。
【0103】
図18に示すように、ステップS7において、フラックスF転写後における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第1輝度値R1)を取得する詳細な処理が行われる。
【0104】
ステップS61において、制御部13では、ヘッド52がフラックスステーション10へ移動される。ステップS62において、制御部13では、ヘッド52に保持された電子部品Eがフラックス液面まで下降される。ステップS63において、制御部13では、電子部品Eのバンプ部E1にフラックスFが塗布(転写)される。ステップS64において、制御部13では、ヘッド52に吸着保持された電子部品Eがフラックス用撮像部11cの上方位置(Z1方向の位置)に移動される。
【0105】
ステップS65において、制御部13では、フラックス用照明部11aにより特定波長帯Aを含む複数の波長帯の光(照射光)が電子部品Eに照射される。ステップS66において、制御部13では、フラックス用撮像部11cにより電子部品Eが撮像され、特定波長帯Aのうちの任意の波長帯の部品画像(第1部品画像P1)が取得される。
【0106】
ステップS67において、制御部13では、撮像した部品画像中のバンプ部E1の位置に対応するバンプ部E1の領域中の転写後平均輝度値(第1輝度値R1)が取得される。すなわち、制御部13では、部品画像内のバンプ部E1の領域に対応する複数の画素の輝度値の平均が転写後平均輝度値として取得される。ステップS68において、制御部13では、波長帯に関連付けて転写後平均輝度値が記憶される。
【0107】
ステップS69において、制御部13では、特定波長帯Aの各波長帯の塗布後平均輝度値が取得されたか否かが判断される。塗布後平均輝度値の取得が完了していない場合には、ステップS66に戻る。また、塗布後平均輝度値の取得が完了した場合には、フラックスF塗布後における電子部品Eのバンプ部E1の平均輝度値(第1輝度値R1)を取得する処理を終了し、ステップS8の詳細な処理に進む。
【0108】
図19に示すように、ステップS8において、電子部品Eのバンプ部E1に対するフラックスFの塗布状態の確認の詳細な処理が行われる。
【0109】
ステップS71において、制御部13では、部品データに基づいて、電子部品Eのバンプ部E1の総数が取得される。ステップS72において、制御部13では、バンプ数カウンタが1に設定される。ステップS73において、制御部13では、電子部品Eのバンプ部E1の総数よりもバンプ数カウンタが大きいか否かが判断される。バンプ数カウンタが大きい場合には、ステップS78に進み、フラックスFの塗布状態が良と判断されて、電子部品Eのバンプ部E1に対するフラックスFの塗布状態の確認の処理を終了し、検査処理も終了する。バンプ数カウンタが小さい場合には、ステップS74に進む。
【0110】
ステップS74において、制御部13では、特定波長帯Aの任意の波長帯の部品画像におけるバンプ部E1の領域の塗布前平均輝度値から塗布後平均輝度値を減算した差分輝度値Dが取得される。ステップS75において、制御部13では、差分輝度値Dがしきい値T1よりも大きいか否かが判断される。差分輝度値Dがしきい値T1よりも大きい場合には、ステップS76に進み、バンプ数カウンタに1を加算したバンプ数カウンタが設定されて、ステップS73に戻る。差分輝度値Dがしきい値T1以下の場合には、ステップS77に進み、フラックスFの塗布状態が不良と判断されて、電子部品Eのバンプ部E1に対するフラックスFの塗布状態の確認の処理を終了し、検査処理も終了する。
【0111】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0112】
第1実施形態では、上記のように、部品実装装置1に、フラックスFの主成分により吸収される特定波長帯Aを含む照射光を電子部品Eに照射するフラックス用照明部11aを設ける。また、部品実装装置1に、フラックスFをバンプ部E1に塗布した電子部品Eに照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断する制御を行う制御部13を設ける。これにより、バンプ部E1に塗布されたフラックスの主成分(ロジン)に照射光を吸収させることにより、フラックスFから反射されて出射される場合、反射光の光量を確実に減少させることができるので、着色料または蛍光剤をフラックスFに添加することなく、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認を容易に行うことができる。また、着色料または蛍光剤を新たにフラックスFに添加せずとも、電子部品Eのバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態の判定を行うことができるので、電子部品Eの接合不良の発生を抑制することができる。この結果、部品実装装置1における電子部品Eの実装品質を向上させることができる。
【0113】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置1に、実装ヘッド52に保持されたバンプ部E1を有する電子部品Eにおいてフラックス用照明部11aからの照射光を反射した反射光における特定波長帯Aの光を受光可能なフラックス用撮像部11cを設ける。制御部13では、第1照射状態において、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての反射光の光量を、部品をフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第1部品画像P1の第1輝度値R1として取得する。これにより、フラックスFから出る光の光量が減少した分に合わせて、第1部品画像P1の第1輝度値R1も減少するので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態を画像上で容易に認識しやすくすることができる。
【0114】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部13では、第1部品画像P1における反射光の第1輝度値R1に関する値としきい値T1との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断する。これにより、しきい値T1との比較によりフラックスFの塗布状態を判断することによって、フラックスFの量を判断する方法を容易化することができるので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認を容易に行うことができる。
【0115】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部13では、第1輝度値R1としきい値T1との比較、および第2輝度値R2としきい値T1とのに基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断する。これにより、フラックスFにより照射光が吸収された状態の第1輝度値R1だけでなく、フラックスFにより照射光が吸収されていない状態の第2輝度値R2を用いてフラックスFの塗布量の判断を行うことにより、バンプ部E1にフラックスFが塗布された状態を明確に制御部13が認識することができる。この結果、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態をより正確に判断することができる。
【0116】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部13では、第2輝度値R2から第1輝度値R1を引いた差分輝度値Dと、しきい値T1との比較に基づいて、差分輝度値Dがしきい値T1以上の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量を十分と判断する。また、制御部13では、差分輝度値Dが第2しきい値T1未満の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFを無しまたは不十分と判断する。これにより、バンプ部E1にフラックスFが塗布された状態では差分輝度値Dが大きくなるので、バンプ部E1にフラックスFが塗布された状態をより明確に制御部13が認識することができる。この結果、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態をより正確に判断することができる。
【0117】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部13では、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値R3に基づいて、しきい値T1および特定波長帯Aの各々を校正する。これにより、電子部品Eに塗布されるフラックスFの種類が変わった場合でも、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を正確に判断することができるので、フラックスFの種類によらず制御部13によるフラックスFの塗布状態の判断の正確性を確保することができる。
【0118】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置1に、はんだペレット治具12aを設ける。制御部13では、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに、取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値R3に基づいて、しきい値T1および特定波長帯Aの各々を校正する。これにより、電子部品Eを用いてしきい値T1および特定波長帯Aの各々の校正を行う場合と異なり、検査のために作成された検査部材であるはんだペレット治具12aを用いることにより、フラックスステーション10においてフラックスFをはんだペレット治具12aに確実に塗布することができるので、しきい値T1および特定波長帯Aの各々の校正を確実に行うことができる。
【0119】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置1に、特定波長帯Aの光のみを透過するフィルタ11bを設ける。制御部13では、第1照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光のうちフィルタ11bを透過した特定波長帯Aの光の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断する。これにより、他の波長帯の光を確実に分離させることにより、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するために不必要な情報を減少させることができるので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認をより適切に行うことができる。
【0120】
[第2実施形態]
次に、
図1~
図3および
図20~
図22を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装装置201の構成について説明する。第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、制御部213が、第1実施形態の第2輝度値R2を用いずに、輝度値R1としきい値T2との比較に基づいてバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている例について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0121】
(検査処理)
図20に示すように、制御部213は、検査プログラムC2(
図3参照)を実施することにより、フラックスFをバンプ部E1に塗布した電子部品Eに照射光を照射した照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光(反射光)の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。なお、照射状態は、特許請求の範囲の「第1照射状態」の一例である。
【0122】
ここで、制御部213は、照射状態において、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての反射光の光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される部品画像P1の輝度値R1として取得するように構成されている。具体的には、制御部213は、部品画像P1内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素に含まれる輝度値R1を取得するように構成されている。なお、部品画像P1は、特許請求の範囲の「第1部品画像」の一例である。また、輝度値R1は、特許請求の範囲の「第1輝度値」の一例である。
【0123】
図21および
図22に示すように、第2実施形態の制御部213は、部品画像P1における反射光の輝度値R1としきい値T2との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。なお、しきい値T2は、特許請求の範囲の「第1しきい値」の一例である。
【0124】
具体的には、制御部213は、輝度値R1としきい値T2との比較に基づいて、輝度値R1がしきい値T2未満の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が十分と判断し、輝度値R1がしきい値T2以上の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が無しまたは量が不十分と判断するように構成されている。つまり、制御部213は、特定波長帯Aにおける輝度値R1としきい値T2との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。
【0125】
制御部213は、特定波長帯Aにおいて、輝度値R1がしきい値T2未満の場合、バンプ上のフラックスFの塗布状態が良である判断し、電子部品Eを基板Bに実装するように構成されている。制御部213は、特定波長帯Aにおいて、輝度値R1がしきい値T2以上の場合、バンプ上のフラックスFの塗布状態が不良であると判断し、電子部品Eを廃棄するように構成されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0126】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0127】
第2実施形態では、上記のように、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの主成分に照射光を吸収させることにより、フラックスFから出る反射光の光量を確実に減少させることができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認を容易に行うことができる。
【0128】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部213では、輝度値R1としきい値T2との比較に基づいて、輝度値R1がしきい値T2以下の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が十分と判断し、輝度値R1がしきい値T2よりも大きい場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFが無しまたは量が不十分と判断する。これにより、輝度値R1としきい値T2との比較だけでバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量を判断することにより、フラックスFの量を判断する方法を容易化することができるので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認をより容易に行うことができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0129】
[第3実施形態]
次に、
図23および
図24を参照して、本発明の第3実施形態による部品実装装置301の構成について説明する。第3実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、制御部313が、複数の吸収スペクトル(吸収波長)を有するフラックスFを用いる場合、複数の吸収スペクトルのそれぞれの輝度値を加算した合算値Vとしきい値T3との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている例について説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0130】
(検査プログラム)
図23に示すように、制御部313は、検査プログラムC3(
図3参照)を実施することにより、フラックスFをバンプ部E1に塗布した電子部品Eに照射光を照射した第1照射状態で、バンプ部E1に塗布されたフラックスFから出る光(反射光)の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。
【0131】
ここで、フラックスFは、複数の特定波長帯Aを有している。フラックスFは、約2000~約4000[nm]の中赤外線の波長帯において、約2900~約3000[nm]の波長帯で輝度値(透過率)が急激に下がっている。このように、約2900~約3000[nm]の波長帯は、特定波長帯A(第1特定波長帯A1)である。また、フラックスFは、約2000~約4000[nm]の中赤外線の波長帯において、約3300~約3500[nm]の波長帯で輝度値(透過率)が急激に下がっている。このように、約3300~約3500[nm]の波長帯は、特定波長帯A(第2特定波長帯A2)である。なお、特定波長帯A、第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2は、各々、特許請求の範囲の「第1特定波長帯」の一例である。
【0132】
第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2の各々の中赤外線は、フラックスFの主成分であるロジンに吸収される。なお、第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2の各々の中赤外線は、電子部品Eのバンプ部E1により吸収されない。つまり、第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2の各々では、電子部品Eのバンプ部E1にフラックスFが塗布されていない場合と、電子部品Eのバンプ部E1にフラックスFが塗布されている場合とで、電子部品Eにおいて照射光を反射した反射光の光量が異なる。
【0133】
制御部313は、第1照射状態において、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての反射光の第1特定波長帯A1における光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第1部品画像P1の第1輝度値R11として取得するように構成されている。具体的には、制御部313は、第1部品画像P1内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第1輝度値R11として取得するように構成されている。
【0134】
制御部313は、第1照射状態において、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての反射光の第2特定波長帯A2における光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第2部品画像P2の第2輝度値R12として取得するように構成されている。具体的には、制御部313は、第2部品画像P2内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第2輝度値R12として取得するように構成されている。なお、第2部品画像P2は、特許請求の範囲の「第1部品画像」の一例である。
【0135】
また、制御部313は、フラックスFをバンプ部E1に塗布する前の電子部品Eに照射光を照射した第2照射状態で、バンプ部E1から出る光としての反射光の光量を取得するように構成されている。
【0136】
制御部313は、第2照射状態において、電子部品Eから出る光としての反射光の第1特定波長帯A1における光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第3部品画像の第3輝度値R21として取得するように構成されている。具体的には、制御部313は、第3部品画像内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第3輝度値R21として取得するように構成されている。なお、第3部品画像は、特許請求の範囲の「第2部品画像」の一例である。また、第3輝度値R21は、特許請求の範囲の「第2輝度値」の一例である。
【0137】
制御部313は、第2照射状態において、電子部品Eから出る光としての反射光の第2特定波長帯A2における光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部11cにより撮像して取得される第4部品画像の第4輝度値R22として取得するように構成されている。具体的には、制御部313は、第4部品画像内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値を第4輝度値R22として取得するように構成されている。なお、第4部品画像は、特許請求の範囲の「第2部品画像」の一例である。また、第4輝度値R22は、特許請求の範囲の「第2輝度値」の一例である。
【0138】
図24に示すように、制御部313は、第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2を有するフラックスFの場合、第1特定波長帯A1における第3輝度値R21と第1輝度値R11との差分および第2特定波長帯A2における第4輝度値R22と第2輝度値R12との差分の合算値Vを取得するように構成されている。
【0139】
制御部313は、
図23に示すように、合算値Vと、しきい値T3との比較に基づいて、合算値Vがしきい値T3よりも大きい場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が十分と判断し、合算値Vがしきい値T3以下の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFが無しまたは不十分と判断するように構成されている。つまり、制御部313は、合算値Vとしきい値T3との比較に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。なお、しきい値T3は、特許請求の範囲の「第3しきい値」の一例である。また、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0140】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0141】
第3実施形態では、上記のように、バンプ部E1に塗布されたフラックスに照射光を吸収させることにより、フラックスFから出る反射光の光量を確実に減少させることができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認を容易に行うことができる。
【0142】
また、第3実施形態では、上記のように、制御部313では、第1特定波長帯A1および第2特定波長帯A2を有するフラックスFの場合、合算値Vとしきい値T3との比較に基づいて、合算値Vがしきい値T3以上の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量を十分と判断する。また、制御部313は、合算値Vがしきい値T3未満の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFを無しまたは不十分と判断する。これにより、合算値Vを用いることにより、バンプ部E1にフラックスFが塗布されていない状態の輝度値との差異をより明確化することができるので、より正確に判断することができ、また、バンプ部E1にフラックスFが塗布された状態を安定して制御部313が認識することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0143】
[第4実施形態]
次に、
図1、
図3および
図25~
図31を参照して、本発明の第4実施形態による部品実装装置401の構成について説明する。第4実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、制御部413が、電子部品Eのバンプ部E1に塗布されたフラックスFから発せられる蛍光に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている例について説明する。なお、第4実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0144】
ここで、フラックスFの主成分であるロジンは、第1特定波長帯A3の照射光(励起光)を吸収して第1特定波長帯A3以外の第2特定波長帯A4の蛍光を発する。第1特定波長帯A3の照射光は、たとえば、約450~約490[nm]の波長を有する可視光(青色)の光である。第2特定波長帯A4の蛍光は、たとえば、約500~約550[nm]の波長を有する可視光(緑色)の光である。なお、第2特定波長帯A4の蛍光は、第1特定波長帯A3の照射光よりも低エネルギーである。
【0145】
〈フラックス検出カメラ〉
図25~
図27に示すように、フラックス検出カメラ411は、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って実装ヘッド52に保持(吸着)された電子部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。具体的には、フラックス検出カメラ411は、フラックス用照明部411aと、フラックス用撮像部411cとを含んでいる。なお、フラックス用照明部411aは、特許請求の範囲の「照明部」の一例である。また、フラックス用撮像部411cは、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。
【0146】
フラックス用照明部411aは、
図26に示すように、フラックスFの主成分により吸収される第1特定波長帯A3を含む照射光を電子部品Eに照射するように構成されている。具体的には、フラックス用照明部411aは、第1特定波長帯A3を含む複数の異なる波長帯の光をY方向にライン状に照射可能なライン状照明部421を含んでいる。ライン状照明部421は、ハロゲンランプ421aと、回折格子421bと、マルチバンドパスフィルタ421cと、スリット421dを形成した遮光板421eとを有している。
【0147】
ハロゲンランプ421aは、第1特定波長帯A1を含む照射光として約400~約800[nm]の可視光線を照射可能である。回折格子421bは、ハロゲンランプ421aから照射された照射光を波長ごとにわける光学素子である。マルチバンドパスフィルタ421cは、回折格子421bから出射した波長ごとにわかれた複数の光のそれぞれの波長を調整するフィルタである。遮光板421eは、フィルタ11bを通過した波長ごとにわかれた複数の光のうち、電子部品Eへ照射する所定波長の光をスリット421dに通過させる。また、遮光板421eは、X方向に移動可能である。これにより、ライン状照明部421では、遮光板421eをX方向に移動させてスリット421dの位置を変えることにより、スリット421dを通過する所定波長の光の波長を変化させることが可能である。
【0148】
フラックス用撮像部411cは、
図27に示すように、第1特定波長帯A3以外の第2特定波長帯A4のフラックスFの蛍光を受光可能に構成されている。具体的には、フラックス用撮像部411cは、Y方向にライン状に延びる複数の撮像領域431bがX方向に並べられるように配置され、複数の撮像領域431bにより第2特定波長帯A4を含む複数の異なる波長帯の光を撮像可能なライン状カメラ431を有している。ライン状カメラ431は、回折格子431aと、複数の撮像領域431bを設けた受光センサ431cとを有している。
【0149】
回折格子431aは、ハロゲンランプ421aから照射された照射光を吸収して励起したフラックスFから発せられた蛍光を波長ごとにわける光学素子であり、例えば、プリズムや、回折格子である。受光センサ431cは、回折格子431aから出射した波長ごとにわかれた複数の光を、それぞれ受光可能なように複数の撮像領域431bを並べたセンサである。つまり、撮像領域431bは、波長ごとにわかれた複数の光のうち少なくとも第2特定波長帯A4の光の信号を電気信号に変換可能な受光素子を有している。制御部413は、フラックス用撮像部411cによる電子部品Eの撮像画像(二次元画像)に基づいて、電子部品Eのバンプ部E1の光量を取得(認識)するように構成されている。
【0150】
(検査プログラム)
図28および
図29に示すように、第4実施形態の制御部413は、検査プログラムC4(
図3参照)を実施することにより、フラックスFをバンプ部E1に塗布した電子部品Eに第1特定波長帯A3の照射光(励起光)を照射した照射状態の後、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの蛍光の光量に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。すなわち、制御部413は、
図30および
図31に示すように、第1照射状態の後、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての第2特定波長帯A4の蛍光の光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部411cにより撮像して取得される部品画像P4の輝度値R4として取得するように構成されている。なお、部品画像P4は、特許請求の範囲の「第3部品画像」の一例である。また、輝度値R4は、特許請求の範囲の「第4輝度値」の一例である。
【0151】
具体的には、制御部413は、フラックス用撮像部411cにより撮像された電子部品Eの二次元画像としての部品画像P4に基づいて、バンプ部E1の光量を認識するように構成されている。制御部413は、部品画像P4内の電子部品Eのバンプ部E1に対応する画素の輝度値R4を輝度値R4として取得するように構成されている。
【0152】
このように、制御部413は、部品画像P4における蛍光の輝度値R4に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断するように構成されている。つまり、制御部413は、輝度値R4としきい値T4との比較に基づいて、輝度値R4がしきい値T4以上の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が十分と判断し、輝度値R4がしきい値T4未満の場合にはバンプ部E1に塗布されたフラックスFの量が無しまたは不十分と判断するように構成されている。
【0153】
また、第1実施形態と同様にして、制御部413は、第1特定波長帯A1よりも広範囲の波長帯において所定波長間隔ごとに、フラックス用照明部411aから照射光を照射するとともにフラックス用撮像部411cによりはんだペレット治具12aを撮像することにより取得される複数の検査画像の各々の輝度値に基づいて、しきい値T4、第1特定波長帯A3および第2特定波長帯A4の各々を校正するように構成されていることが好ましい。ここで、しきい値T4、第1特定波長帯A3および第2特定波長帯A4の各々の校正は、オペレータにより、フラックスステーション10に貯留されているフラックスFの種類を変更する場合に行われることが好ましい。また、第4実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0154】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0155】
第4実施形態では、上記のように、フラックスFから発せられた蛍光の光量に基づいてバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断することができるので、着色料または蛍光剤を液材に添加することなく、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認を容易に行うことができる。
【0156】
また、第4実施形態では、上記のように、部品実装装置401に、第1特定波長帯A3以外の第2特定波長帯A4のフラックスFの蛍光を受光可能なフラックス用撮像部411cを備える。制御部413では、照射状態の後、バンプ部E1のフラックスFから出る光としての第2特定波長帯A4の蛍光の光量を、電子部品Eをフラックス用撮像部411cにより撮像して取得される部品画像P4の輝度値R4として取得した後、部品画像P4における蛍光の輝度値R4に基づいて、バンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態を判断する。これにより、着色料または蛍光剤を新たにフラックスFに添加せずとも、電子部品Eのバンプ部E1に塗布されたフラックスFの塗布状態の判定を行うことができる。これにより、電子部品Eの接合不良の発生を抑制することができるとともに、フラックスFから出る蛍光の光量に合わせて、部品画像P4の輝度値R4も変化するので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態を画像上で容易に認識しやすくすることができる。また、フラックスF内を通過する際に屈折、反射および拡散した光をフラックス用撮像部411cに受光させる場合と異なり、第1特定波長帯A3の照射光を吸収したフラックスFから発生する蛍光は確実にフラックス用撮像部411cに向かうので、バンプ部E1へのフラックスFの塗布状態の確認の正確性を確保することができる。
【0157】
また、第4実施形態では、上記のように、フラックス用撮像部411cには、第1方向にライン状に延びる複数の撮像領域431bにより第2特定波長帯A4を含む複数の異なる波長帯の光を撮像可能なライン状カメラ431を含む。照明部には、第1特定波長帯A3を含む複数の異なる波長帯の光を第1方向にライン状に照射可能なライン状照明部421を含む。これにより、エリア状のマルチスペクトルカメラのように、バンドパスフィルタまたはダイクロックミラーを変更して異なる波長の蛍光を受光する必要がないので、エリア状のマルチスペクトルカメラを用いる場合と異なり、フラックス検出カメラ411の小型化および構成を簡略化することができる。また、撮像領域431bの延びる方向に合わせて、ライン状照明部421からの照明光が照射されるので、フラックスFの蛍光をライン状カメラ431に効率よく受光させることができる。
【0158】
また、第4実施形態では、上記のように、フラックス検出カメラ411において、ライン状照明部421の第1特定波長帯A3(励起光波長帯)および第2特定波長帯A4(蛍光波長)をそれぞれ変化させたとしても、電子部品Eのバンプ部E1の部品画像P4をライン状カメラ431により撮像することが可能である。この結果、フラックス検出カメラ411では、フラックスFに最適な第1特定波長帯A3(励起光波長)および第2特定波長帯A4(蛍光波長)を検出することが可能である。なお、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0159】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0160】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、部品実装装置1(201、301、401)は、ICチップ、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品Eをプリント基板などの基板Bに実装するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置は、電子部品上に電子部品を積層させて実装するように構成されてもよい。
【0161】
また、上記第1~第3実施形態では、フラックス用照明部11aは、特定波長帯Aの照射光として約2500~約4000[nm]の中赤外線を照射可能なハロゲンランプを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照明部は、フラックスの吸収スペクトルの波長を有する光を照射可能であればハロゲンランプ以外の光源であってもよい。
【0162】
また、上記第4実施形態では、フラックス用照明部411aは、第1特定波長帯A1を含む照射光として約400~約800[nm]の可視光線を照射可能なハロゲンランプを有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、本発明では、フラックス用照明部は、フラックスの主成分であるロジンが蛍光を発するのであれば、ハロゲンランプ以外の光源であってもよい。
【0163】
また、上記第1~第4実施形態では、治具トレイ12は、電子部品Eのバンプ部E1の照射光に対する反射特性(反射率)と略同じ反射特性を有するはんだペレット治具12aを収容するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、はんだペレット治具の代わりに、はんだペレットが先端に設けられた治具ノズルまたは金属板(ステンレス板)を用いてもよい。
【0164】
また、上記第1~第4実施形態では、制御部13(213、313、413)は、フラックスFの種類の変更を、オペレータからの操作に基づいて認識するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、たとえば、回転ステージの回転が開始されたことに基づいて、フラックスの種類の変更を認識してもよいし、他の方法でフラックスの種類の変更を自動で認識してもよい。
【0165】
また、上記第1~第3実施形態では、所定波長間隔Sは、約100[nm]に設定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定波長間隔は、100[nm]未満または100[nm]を超えてもよい。
【0166】
また、上記第1~第3実施形態では、フラックス検出カメラ11は、フィルタ11bと、フラックス用撮像部11cとを含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フラックス検出カメラは、フィルタを用いずに、フラックス用撮像部が特定波長帯のみを計測可能なカメラであってもよい。
【0167】
また、上記第1~第3実施形態では、フラックス用照明部11aは、特定波長帯Aを含む照射光を照射する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フラックス用照明部は、特定波長帯のみの照射光を照射してもよい。
【0168】
また、上記第1実施形態では、制御部13は、対象波長帯Wにおいて所定波長間隔Sごとに取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値R3および第4輝度値R4に基づいて、しきい値T1および特定波長帯Aの各々を校正するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、対象波長帯において所定波長間隔ごとに取得される複数の検査画像の各々の第3輝度値のみに基づいて、しきい値および特定波長帯の各々を校正するように構成されてもよい。
【0169】
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部13(213、313、413)の制御処理を、処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0170】
1、201、301、401 部品実装装置
5 ヘッドユニット
10 フラックスステーション(液材ステーション)
11a,411a フラックス用照明部(照明部)
11b フィルタ
11c、411c フラックス用撮像部(撮像部)
12a はんだペレット治具(検査部材)
13、213、313、413 制御部
52 実装ヘッド(ヘッド)
421 ライン状照明部
431 ライン状カメラ
431b 撮像領域
A 特定波長帯(第1特定波長帯)
A2 第2特定波長帯(第1特定波長帯)
A4 第2特定波長帯
D 差分輝度値
E 電子部品
E1 バンプ部
F フラックス(液材)
P1 第1部品画像
P2 第2部品画像
P4 部品画像(第3部品画像)
R1 第1輝度値
R2 第2輝度値
R3 第3輝度値
R4 第4輝度値
S 所定波長間隔
T1 しきい値(第1しきい値)
T2 しきい値(第2しきい値)
T3 しきい値(第3しきい値)
T4 しきい値(第4しきい値)
V 合算値
W 対象波長帯(広範囲の波長帯)