(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】熱交換換気装置及びこれを備えた建物
(51)【国際特許分類】
F24F 7/10 20060101AFI20221124BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
F24F7/10 Z
F24F7/08 101A
F24F7/08 101P
(21)【出願番号】P 2018205455
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2018098883
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折野 大河
(72)【発明者】
【氏名】萩原 容子
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真生
(72)【発明者】
【氏名】蓑島 国彦
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-186750(JP,A)
【文献】特開昭62-046156(JP,A)
【文献】実開昭58-161624(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0146582(US,A1)
【文献】特表平05-502095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/10
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に配置された複数の熱交換用パイプと、
外気に開放された外気側開口を有し、前記熱交換用パイプを収容するケースと、
建物内に開放された建物側開口を有し、前記ケースの一部を構成するとともに開閉可能に設けられ、開放時に少なくとも前記熱交換用パイプを露出させるカバーと、
前記熱交換用パイプの一端部を支持する第1の隔壁と、
前記熱交換用パイプの他端部を支持する第2の隔壁と、
前記ケースと前記第1の隔壁とにより形成され、前記熱交換用パイプ内に連通される
、下部に配置される第1の空間と、
前記第1の空間に連通され、外気を吸引する第1のファンと、
前記熱交換用パイプ内と、建物内とに連通され、前記ケースと前記第2の隔壁とにより形成される
、上部に配置される第2の空間と、
前記ケースと、前記第1、第2の隔壁と、前記熱交換用パイプの外部とにより形成され、
前記カバーの前記建物側開口を介して前記建物内に連通される第3の空間と、
前記第3の空間に
前記外気側開口を介して連通され、
前記第3の空間内の空気を外部に排気する第2のファンと、
を有し、
前記建物側開口から前記外気側開口へ流れる空気の流路は、複数の前記熱交換用パイプの外周面の間に設けられた隙間に沿って形成され、前記流路の気流は少なくとも一部が、前記熱交換用パイプ内の外気が流れる方向と逆方向になる対向流となることを特徴とする熱交換換気装置。
【請求項2】
複数の前記熱交換用パイプと並行してそれら隙間に配置され、、前記流路の気流は少なくとも一部が前記熱交換用パイプ内を流れる外気に対して対向流となるように前記第3の空間
内の
前記流路を迂回させる仕切り部を
、前記第3の空間に有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換換気装置。
【請求項3】
前記仕切り部は
複数設置され、前記複数の熱交換用パイプの外周面の少なくとも一部に接しない開口を有
して、前記流路をクランク状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の熱交換換気装置。
【請求項4】
前記第2の空間から前記建物内に外気を吹き出す方向を変更する給気ダクトを有することを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の熱交換換気装置。
【請求項5】
前記第3の空間に溜まる水または粉塵を排出する排出口を有することを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の熱交換換気装置。
【請求項6】
前記ケース内部に粉塵を清掃する水路パイプを設けたことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の熱交換換気装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の熱交換換気装置を設置したことを特徴とする建物
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵が発生し易い建物に取り付けられる熱交換換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉塵が発生し易い建物の一例として、家畜を飼育する畜舎内は、常に好環境に保つことが飼育上、好ましい。このため換気装置により畜舎内の換気を行い、空気質を改善する必要がある。ここでいう空気質とは、空気中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、アンモニア濃度、粉塵濃度といった、空気中の各成分の濃度をいう。冬期は冷たい外気の導入によって畜舎内の温度は急激に低下する。そこで、換気量を減らすことが行われる。これは、畜舎内の空気質を劣化させる原因となる。このような課題を解決する方法として、熱交換換気装置の使用が検討されている。
【0003】
従来の熱交換換気装置は、畜舎外に大風量で大型の熱交換換気装置を設置し畜舎内の給排換気を1箇所で行っていたため換気ムラがあり、飼育上、好ましくない。そのため小型の熱交換換気装置を必要台数設置することで換気ムラを解消する。
【0004】
特許文献1では、畜舎の床面近傍に吸気用ダクトを配置し、畜舎の天井部近傍に給気用ダクトを配置し、それぞれのダクトを熱交換器に接続して吸入外気と室内排気との間で熱交換することで吸入外気を昇温させていた。
【0005】
特許文献2では、鶏舎の長手方向に沿って鶏舎の短手方向の中央に複数の暖房機が設けられ、鶏舎の両側壁に中央の暖房機を挟んで一対の熱交換器を設けることで鶏舎の長手方向において空気質や温度の均一化を図ることができる。
【0006】
特許文献3では、鶏舎の長手方向に沿って鶏舎の短手方向の中央に複数の暖房機が設けられ、鶏舎の両側壁で隣設された暖房機の間に対応する位置を挟んで一対の熱交換器を設けることで鶏舎の長手方向において空気質や温度の均一化を図ることができる。更に、外気温度に応じて熱交換器の動作をON/OFFして、より細かい温度調節ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実願昭55-81428号(実開昭57-5640号)のマイクロフィルム
【文献】特開2017-169530号公報
【文献】特開2017-172926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の熱交換換気装置には、建物内の粉塵が熱交換換気装置内で目詰まりしないように熱交換換気装置の上流側にフィルタを設けているのが一般であった。
【0009】
熱交換換気装置の上流側にフィルタを設けた場合には、建物内の粉塵がフィルタ自体に目詰まりするといった課題があった。
【0010】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、目詰まりするフィルタを不要とした熱交換換気装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明に係る熱交換換気装置の代表的な構成は、垂直方向に配置された複数の熱交換用パイプと、外気に開放された外気側開口を有し、前記熱交換用パイプを収容するケースと、建物内に開放された建物側開口を有し、前記ケースの一部を構成するとともに開閉可能に設けられ、開放時に少なくとも前記熱交換用パイプを露出させるカバーと、前記熱交換用パイプの一端部を支持する第1の隔壁と、前記熱交換用パイプの他端部を支持する第2の隔壁と、前記ケースと前記第1の隔壁とにより形成され、前記熱交換用パイプ内に連通される、下部に配置される第1の空間と、前記第1の空間に連通され、外気を吸引する第1のファンと、前記熱交換用パイプ内と、建物内とに連通され、前記ケースと前記第2の隔壁とにより形成される、上部に配置される第2の空間と、前記ケースと、前記第1、第2の隔壁と、前記熱交換用パイプの外部とにより形成され、前記カバーの前記建物側開口を介して前記建物内に連通される第3の空間と、前記第3の空間に前記外気側開口を介して連通され、前記第3の空間内の空気を外部に排気する第2のファンと、を有し、前記建物側開口から前記外気側開口へ流れる空気の流路は、複数の前記熱交換用パイプの外周面の間に設けられた隙間に沿って形成され、前記流路の気流は少なくとも一部が、前記熱交換用パイプ内の外気が流れる方向と逆方向になる対向流となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の熱交換用パイプの外部の間が流路になっており、通常の熱交素子より粉塵による閉塞が起こりにくいためフィルタが不要で、フィルタレスの熱交換換気装置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の熱交換換気装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の熱交換換気装置のカバーを開いた様子を示す斜視図である。
【
図4】(a)は給気ダクトを上向きにした様子を示す斜視図である。(b)は給気ダクトを下向きにした様子を示す斜視図である。
【
図5】(a)は給気ダクトを上向きにした状態でルーバを給気ダクトの開口部の側壁面に対して平行な向きに設定した様子を示す正面図である。(b)は給気ダクトを上向きにした状態でルーバを給気ダクトの開口部の側壁面に対して交差し開口から外側に広がる角度に設定した様子を示す正面図である。(c)は給気ダクトを上向きにした状態でルーバを給気ダクトの開口部の側壁面に対して交差し開口から一方に向かう角度に設定した様子を示す正面図である。(d)は、給気ダクトを上向きにした状態で片側のルーバを給気ダクトの開口部の側壁面に対して交差し開口から外側に広がる角度に設定し、他の片側のルーバを給気ダクトの開口部の側壁面に対して平行な向きに設定した様子を示す正面図である。
【
図6】(a)は、畜舎の壁面に取り付けられた熱交換換気装置を畜舎側から見た斜視図である。(b)は、畜舎の壁面に取り付けられた熱交換換気装置の構成を示す断面図である。
【
図7】(a)は、畜舎の短手方向中央で、畜舎の長手方向に沿って複数のヒータが設けられ、畜舎の両側壁にヒータを挟んで一対の熱交換換気装置を設けた様子を示す平面図である。(b)は、(a)に示す熱交換換気装置の給気ダクトによって制御される気流を示す断面図である。
【
図8】ケース内部に設けた粉塵を清掃する水路パイプの構成を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態の熱交換換気装置の構成を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態の熱交換換気装置の構成を示す斜視図である。
【
図11】第4実施形態の熱交換換気装置の構成を示す斜視図である。
【
図12】熱交換換気装置の仕切り部の構成を示す水平方向の断面図である。
【
図13】第5実施形態の熱交換換気装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図により本発明に係る熱交換換気装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0015】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1~
図8を用いて本発明に係る熱交換換気装置及びこれを備えた建物の第1実施形態の構成について説明する。
【0016】
<熱交換換気装置>
図1~
図8において、熱交換換気装置1は、鉛直方向に配置された複数の熱交換用パイプ2と、熱交換用パイプ2を収容するケース3と、ケース3の一部を構成するとともにケース3の筺体3hに対して開閉可能に設けられ、開放時に少なくとも熱交換用パイプ2を露出させるカバー14と、熱交換用パイプ2の一端部となる下端部を支持する第1の隔壁5と、熱交換用パイプ2の他端部となる上端部を支持する第2の隔壁4と、ケース3と第1の隔壁5とにより形成され、熱交換用パイプ2内に連通される第1の空間9と、第1の空間9に連通され、外気を吸引する第1のファン12aと、熱交換用パイプ2内と、粉塵が発生する建物としての畜舎8の内部8cとに連通され、ケース3と第2の隔壁4とにより形成される第2の空間6と、ケース3と、第1、第2の隔壁5,4と、熱交換用パイプ2の外部とにより形成され、畜舎8の内部8cに連通される第3の空間10と、第3の空間10に連通され、畜舎8の外部11に排気する第2のファン7aと、第3の空間10により形成された、第2のファン7aと建物としての畜舎8との間の流路を迂回させる仕切り部13a,13bと、を有して構成されている。仕切り部13a,13bは、第3の空間10に設けられ、筺体3hに対して支持されている。
【0017】
図1に示す熱交換換気装置1は、複数の熱交換用パイプ2を垂直方向(
図1の上下方向)に設置し、第2の空間6を熱交換換気装置1の上部に配置すると共に、第1の空間9を熱交換換気装置1の下部に配置した一例である。
【0018】
尚、粉塵が発生する建物としては、家畜を飼育する畜舎8以外にも、胞子やおが屑が発生するキノコ栽培施設、工場なども適用可能である。
【0019】
本実施形態のカバー14は、
図2に示すように、ケース3の筺体3hに設けられた図示しないヒンジにより開閉可能に構成される。筺体3hと、このカバー14とにより熱交換用パイプ2を収容するケース3が構成される。本実施形態のカバー14は、ケース3の筺体3hに対して図示しないヒンジを中心に回動可能に設けられた一例である。カバー14を開放することで、第3の空間10内に配列された複数の熱交換用パイプ2が露出するとともに、熱交換換気装置1の下部に配置した第1の空間9が露出する。カバー14は、ケース3の筺体3hに対して着脱可能に係合するカバーであっても良い。また、カバー14は、本実施形態のように1枚で構成して、ケース3の前面を覆うものでも良いし、それ以外の枚数で構成することもできる。
【0020】
熱交換用パイプ2は、熱伝導率が高いアルミニウムや銅等の金属製もしくは薄肉の樹脂製で中空に形成されている。熱交換用パイプ2の下端部及び上端部を支持する第1、第2の隔壁5,4は、
図3に示すように、複数の熱交換用パイプ2が挿通される複数の貫通穴5a,4aがそれぞれ形成され、その貫通穴5a,4a内に熱交換用パイプ2が圧入され、第1、第2の隔壁5,4により気密性及び液密性が確保されている。また、熱交換用パイプ2の径及び間隔については、熱交換換気の風量等により適宜決定されるが、特に間隔については、粉塵で目詰まりしないように、5mm以上が好ましい。熱交換効率の観点からすると、熱交換用パイプ2の径や材質や形状にもよるが、熱交換用パイプ2の外径以下の間隔が好ましい。
【0021】
また、複数の貫通穴5a,4aの配置は、後述する熱交換用パイプ2の洗浄を容易にするために熱交換用パイプ2は碁盤の目状に配置され、熱交換用パイプ2間の隙間が直線状に配置されていれば好ましい。
【0022】
図1に示すように、カバー14を閉じた状態で、ケース3は、畜舎8の内部8c(
図7に記載)に連通される開口3aと、給気ダクト16が接続される開口3cと、畜舎8の外部11に連通される開口3b,3d以外は、気密性及び液密性が確保されている。ケース3の筺体3hの下部奥側に設けられた開口3bにはファンボックス12が連通されており、ファンボックス12の内部に第1のファン12aが設けられている。また、ケース3の筺体3hの上部奥側に設けられた開口3dにはファンボックス7が連通されており、ファンボックス7の内部に第2のファン7aが設けられている。第1のファン12aと第2のファン7aは、遠心ファンにより構成され、中央の回転軸方向から空気を吸い込み、外周の遠心方向に空気を吹き出す。第2のファン7aは、ファンボックス7内の下部に固定されている。
【0023】
図3に示すように、ケース3の筺体3hの内面には、断熱材26が設けられている。本実施形態では、ケース3の筺体3hの背面側、天井側、底面側、側面側のそれぞれの内面と、カバー14の第1の空間9を覆う内面に断熱材26を設けた一例である。これにより畜舎8の内部8cの結露を防止することができる。また、熱交換換気装置1の熱交換効率の向上ができる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、ケース3の筺体3hの背面側には、第3の空間10内に連通する排出口27が形成された排水ダクト28が設けられている。これにより第3の空間10内に結露して溜まる水または粉塵を、排出口27を介して排水ダクト28により外部11に排出することができる。
【0025】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の仕切り部13a,13bは、それぞれ長手方向を鉛直方向とし、熱交換用パイプ2間に配置されている。一方の仕切り部13aの上端部13a1は、第2の隔壁4から所定の距離だけ離れた位置に配置され、仕切り部13aの下端部13a2は、第1の隔壁5に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部13aの上端部13a1及び下端部13a2に接続される両側端部は、ケース3の筺体3hの背面側の内面とカバー14に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。
【0026】
他方の仕切り部13bの上端部13b1は、第2の隔壁4に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部13bの下端部13b2は、第1の隔壁5から所定の距離だけ離れた位置で、熱交換用パイプ2間に配置されている。仕切り部13bの上端部13b1及び下端部13b2に接続される両側端部は、ケース3の筺体3hの背面側の内面とカバー14に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。
【0027】
図1に示すように、ケース3の筺体3hに対してカバー14を閉じた状態で、第2のファン7aをONにすると、畜舎8の内部8cの
図7に示すヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気は、ケース3のカバー14に設けられた開口3aから第3の空間10内に導かれる。そして、ケース3の筺体3hとカバー14と第1、第2の隔壁5,4と仕切り部13aとにより形成された空間10a内を
図1の矢印B1方向に向かって流れ込む。その後、第2の隔壁4と仕切り部13aの上端部13a1との間の隙間を通って
図1の矢印B2方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と第1、第2の隔壁5,4と仕切り部13a,13bとにより形成された空間10b内を
図1の下方に向かって流れ込む。その後、第1の隔壁5と仕切り部13bの下端部13b2との間の隙間を通って
図1の矢印B3方向に流れ込み、空間10bからケース3の筺体3hとカバー14と第1、第2の隔壁5,4と仕切り部13bとにより形成された空間10c内を
図1の上方に向かって流れ込む。その後、ケース3の筺体3hに設けられた開口3dから
図1の矢印B4方向に流れ込み、第2のファン7aを介して畜舎8の外部11に排気される。
【0028】
このとき、第3の空間10内を仕切り部13a,13bによりクランク状に形成された空間10a~10c内を畜舎8の内部8cの温められた空気が通るため熱交換用パイプ2は温められる。すなわち、仕切り部13a,13bにより熱交換の時間及び流路距離を増加させることで、熱交換換気装置1の熱交換効率の向上が図れる。
【0029】
一方、第1のファン12aをONにすると、外気が開口3bを介して第1の空間9内に導かれ、複数の熱交換用パイプ2の内部を通って
図1の上方に向かって流れ込み、第2の空間6内に導かれる。このとき、畜舎8の内部8cのヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの温かい空気に外周面が曝されて温められている熱交換用パイプ2により熱交換用パイプ2の内部を通る外気が温められて熱交換される。
【0030】
熱交換用パイプ2により温められた外気は、第2の空間6内に連通され、ケース3の筺体3hに設けられた開口3cに接続された給気ダクト16を介して畜舎8の内部8cに吹き出される。
【0031】
ここで、熱交換する外気とヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気(以下、「内気」という)の流れる方向を見てみる。
図1のケース3内の空間10a内を
図1の矢印B1方向に向かって流れるヒータ15により温められた空気の流れる方向と、熱交換用パイプ2内を流れる外気の流れる方向とは同方向である。空間10b内を
図1の矢印B2,B3方向に向かって流れるヒータ15により温められた空気の流れる方向と、熱交換用パイプ2内を流れる外気の流れる方向とは逆方向である。空間10c内を
図1の矢印B3,B4方向に向かって流れるヒータ15により温められた空気の流れる方向と、熱交換用パイプ2内を流れる外気の流れる方向とは同方向である。流れる方向の違いについての作用・効果は後述する。
【0032】
尚、本実施形態では、畜舎8の内部8cのヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの温かい空気が流れる第3の空間10内を鉛直方向に配置した2つの仕切り部13a,13bにより仕切ってクランク状に形成した一例であるが、仕切り部13は、1つでも良いし、3つ以上の仕切り部13を用いて第3の空間10内を仕切ることもできる。
【0033】
また、本実施形態の仕切り部13a,13bは、仕切り部13aの上端部13a1と第2の隔壁4との間に隙間を設け、仕切り部13bの下端部13b2と第1の隔壁5との間に隙間を設けて気流が上下方向に迂回して流れるように構成した一例であるが、仕切り部13aの上端部13a1と第2の隔壁4とが気密性及び液密性が確保されて接続され、仕切り部13bの下端部13b2と第1の隔壁5とが気密性及び液密性が確保されて接続され、仕切り部13aの前端部とカバー14の内面との間に隙間を設け、仕切り部13bの後端部とケース3の筺体3hの内面との間に隙間を設けて気流が前後方向に迂回して流れるように構成することもできる。或いは、仕切り部13aの後端部とケース3の筺体3hの内面との間に隙間を設け、仕切り部13bの前端部とカバー14の内面との間に隙間を設けて気流が前後方向に迂回して流れるように構成することもできる。この前後方向に迂回する場合も、仕切り部13は、1つでも良いし、3つ以上の仕切り部13を用いて第3の空間10内を仕切ることもできる。
【0034】
<給気ダクト>
給気ダクト16は、
図4(a),(b)に示すように、第2の空間6を形成するケース3に対して回動軸17を中心に回動可能に支持されている。給気ダクト16には、畜舎8の内部8cに吹き出される給気の方向を変更する複数のルーバ18a~18dが設けられている。各ルーバ18a~18dは、
図5(a)~(d)に示すように、給気ダクト16に対して各回動軸19a~19dを中心に回動可能に支持されている。
【0035】
例えば、ケース3の筺体3hの両側面3f,3gには、回動軸17を中心とする円周上に所定のピッチで複数の貫通孔20a~20eが設けられている。ケース3の筺体3hに対して回動軸17を中心に給気ダクト16を所望の方向に回動させた状態で、ケース3の筺体3hの両側面3f,3gにそれぞれ設けられた貫通孔20a~20eの何れかにビス22を挿入し、給気ダクト16の両側面16a,16bにそれぞれ設けられたネジ孔21にビス22を螺合締結することにより給気ダクト16から畜舎8の内部8cに給気される外気の吹き出し方向を
図4(a),(b)に示す上下方向に適宜変更することができる。また、貫通孔20a~20eを連続した1つのスリットにすることにより、吹き出し方向を無段階で調節できる。なお、畜舎8に熱交換換気装置1を設置する場合には、家畜に直接気流が当たらないよう、水平より上向の吹出し方向を調整できるのが好ましい。
【0036】
一方、
図5(a)~(d)に示すように、給気ダクト16の天面16cと底面16dには、各回動軸19a~19dを中心とする円周上に所定のピッチで複数の貫通孔23a~23eが設けられている。給気ダクト16に対して各回動軸19a~19dを中心に複数のルーバ18a~18dを所望の方向に回動させた状態で、給気ダクト16の天面16cと底面16dに設けられた貫通穴24にビス22を挿入し、各ルーバ18a~18dの上下端面にそれぞれ設けられた図示しないネジ孔にビス22を螺合締結することにより給気ダクト16から畜舎8の内部8cに吹き出される給気の方向を
図5(a)~(d)に示す所望の方向に変更することができる。このような給気ダクト16により
図1に示す第2の空間6から畜舎8の内部8cに給気を吹き出す方向を変更することができる。また、貫通孔23a~23eを連続した1つのスリットにすることにより、吹き出し方向を無段階で調節できる。この給気ダクト16を取り付けることにより、畜舎8の内部8cの換気ムラが解消できるためより好ましい。
【0037】
熱交換換気装置1は、
図6(a),(b)に示すように、畜舎8の側壁面8aに設置される。
図7(a)に示すように、鶏舎等の畜舎8の長手方向に沿って畜舎8の短手方向の中央に複数のヒータ15が所定ピッチで設けられ、畜舎8の両側壁面8aに中央のヒータ15を挟んで一対の熱交換換気装置1を設ける。これにより畜舎8の長手方向において空気質や温度の均一化を図ることができる。
【0038】
本実施形態では、
図7(b)に示すように、給気ダクト16により
図1に示す第2の空間6から畜舎8の内部8cに外気を給気する気流25の方向を上向きで且つ
図7(a)に示すように、左右方向に広角度に広がるように設定することができる。
【0039】
これにより畜舎8の両側壁面8aに設けられた一対の熱交換換気装置1の給気ダクト16から畜舎8の内部8cに給気された気流25は、
図7(b)に示すように、それぞれ天井8bに向かって吹き出され、ヒータ15により温められた天井8b付近の暖気と混合されて、畜舎8の内部8cに均一に拡散される。これにより畜舎8の内部8cの空気質や温度を均一化でき、畜舎8の内部8c全体を循環的に換気することで好環境に保つことができる。
【0040】
<ケース内部の洗浄>
熱交換換気装置1内には、第2のファン7aにより第3の空間10を介して畜舎8の内部8cから吸引された空気に含まれる粉塵が堆積する。そのためユーザは、熱交換換気装置1の第1、第2のファン12,7を停止して、
図2に示すように、カバー14を開き、シャワー等によりケース3の筺体3hの内部を容易に洗浄できる。このためフィルタ使用時に比べ清掃・洗浄が容易でサービスマン等によるメンテナンス作業が低減できる。図示しないが、洗浄時には、ケース3の筺体3hの排水ダクト28が設置されている部分を開閉または着脱可能とする構成により、洗浄した粉塵や洗浄水をその開口から容易に排出できる。
【0041】
図8に示すように、ケース3の筺体3hの内部には、粉塵を清掃する水路パイプ29が設けられている。本実施形態の場合は、水路パイプ29が、隔壁5の上面に設けられている。水路パイプ29から洗浄水を吹き出すことによりケース3の筺体3hの背面側に溜まった粉塵を除去し易くすることができる。また、図示しないが、変形例として、水路パイプ29をケース3の筺体3hの背面側にも延長して配置し、カバー14側に向かって洗浄水を吹き出す噴出口を複数設けることにより、ケース3の筺体3h内の奥側から手前にかけて溜まった粉塵を広い範囲で除去することができる。
【0042】
本実施形態によれば、複数の熱交換用パイプ2の外部の間に形成される第3の空間10が第2のファン7aにより畜舎8の内部8cから吸引された空気の流路になっており、上記のように粉塵が付着した複数の熱交換用パイプ2を容易に洗浄できるので、別途、フィルタを設ける必要が無く、フィルタレスの熱交換換気装置1が可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、外気のケース3内の流れを第1の空間9から第2の空間6への一方向としたが、変形例として、第2の空間6を2分割し、第1のファン12aを分割した一方の空間に接続し、外気の流れを分割した一方の空間から第1の空間9、第1の空間9から分割した他方の空間へ折り返し、熱交換の距離を増加させることで、熱交換換気装置1の熱交換効率向上が図れる。このように、第3の空間10に仕切り部13a,13bを設けることで、熱交換の距離を増加させることができ、熱交換換気装置1の熱交換効率が向上する。
【0044】
〔第2実施形態〕
次に、
図9を用いて本発明に係る熱交換換気装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前記第1実施形態では、熱交換換気装置1の第3の空間10内を鉛直方向に配置した仕切り部13a,13bにより仕切って気流25の流路をクランク状に形成した。本実施形態では、熱交換換気装置1の第3の空間10内を水平方向に配置した仕切り部30a~30dにより仕切って気流25の流路をクランク状に形成した一例である。
【0045】
本実施形態の仕切り部30a~30dは、それぞれ長手方向が水平方向に配置されている。仕切り部30aの前端部30a1は、ケース3の筺体3hやカバー14に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部30aの後端部30a2は、ケース3の筺体3hの奥側の内面から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。仕切り部30aの前端部30a1と後端部30a2とに接続された両側端部は、ケース3の筺体3hの両側面の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。
【0046】
仕切り部30bの前端部30b1は、ケース3の筺体3hやカバー14の内面から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。仕切り部30bの後端部30b2は、ケース3の筺体3hの奥側の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部30bの前端部30b1と後端部30b2とに接続された両側端部は、ケース3の筺体3hの両側面の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。
【0047】
仕切り部30cの前端部30c1は、ケース3の筺体3hやカバー14の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部30cの後端部30c2は、ケース3の筺体3hの奥側の内面から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。仕切り部30cの前端部30c1と後端部30c2とに接続された両側端部は、ケース3の筺体3hの両側面の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。
【0048】
仕切り部30dの前端部30d1は、ケース3の筺体3hやカバー14の内面から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。仕切り部30dの後端部30d2は、ケース3の筺体3hの奥側の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部30dの前端部30d1と後端部30d2とに接続された両側端部は、ケース3の筺体3hの両側面の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。第2のファン7aは、ファンボックス7内の水平方向中央で、高さ方向上部に設けられている。一方、第1のファン12aは、ファンボックス12内の水平方向中央で、高さ方向下部に設けられている。
【0049】
図9に示すように、カバー14を閉じた状態で第2のファン7aをONにすると、畜舎8の内部8cの
図7(a),(b)に示すヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気は、ケース3のカバー14に設けられた開口3aから第3の空間10内に導かれる。そして、ケース3の筺体3hとカバー14と第2の隔壁4と仕切り部30aとにより形成された空間10d内を
図9の矢印D1方向に向かって流れ込み、ケース3の筺体3hの奥側の内面と仕切り部30aの後端部30a2との間の隙間を通って
図9の矢印D2方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と仕切り部30a,30bとにより形成された空間10e内を
図9の手前に向かって流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14の内面と仕切り部30bの前端部30b1との間の隙間を通って
図9の矢印D3方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と仕切り部30b,30cとにより形成された空間10f内を
図9の奥側に向かって流れ込み、更に、ケース3の筺体3hの奥側の内面と仕切り部30cの後端部30c2との間の隙間を通って
図9の矢印D4方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と仕切り部30c,30dとにより形成された空間10g内を
図9の手前に向かって流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14の内面と仕切り部30dの前端部30d1との間の隙間を通って
図9の矢印D5方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と仕切り部30dと第1の隔壁5とにより形成された空間10h内を
図9の奥側に向かって流れ込み、更に、ケース3の筺体3hに設けられた開口3dから第2のファン7aを介して畜舎8の外部11に排気される。このとき、第3の空間10内をクランク状に形成された空間10d~10h内を畜舎8の内部8cの温められた空気が通るため熱交換用パイプ2は温められる。
【0050】
一方、第1のファン12aをONにすると、外気がケース3のカバー14に設けられた開口3bから第1の空間9内に導かれ、複数の熱交換用パイプ2の内部を通って
図9の上方に向かって流れ込み、第2の空間6内に導かれる。このとき、畜舎8の内部8cのヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの温かい空気に外周面が曝されて温められている熱交換用パイプ2により熱交換用パイプ2の内部を通る外気が温められて熱交換される。
【0051】
熱交換用パイプ2により温められた外気は、第2の空間6内に連通され、ケース3の筺体3hに設けられた図示しない開口に接続された給気ダクト16を介して畜舎8の内部8c斜め上方に向かって開口3cから吹き出される。尚、本実施形態の給気ダクト16にも
図4及び
図5に示す外気の吹き出し方向を変更する構成を採用することもできる。本実施形態では、
図8に示す水路パイプ29は、隔壁5の上面及び仕切り部30b,30dの上面に設けられている。
【0052】
尚、本実施形態では、畜舎8の内部8cのヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの温かい空気が流れる第3の空間10内を水平方向に配置した仕切り部30a~30dにより仕切ってクランク状に形成した一例であるが、仕切り部30は、1つでも良いし、4つ以外の数の仕切り部30を用いて第3の空間10内を仕切ることもできる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。尚、前記各実施形態では、複数の熱交換用パイプ2が鉛直方向に配置された一例について説明したが、複数の熱交換用パイプ2が水平方向に配置されたり、斜め方向に配置されている場合でも適宜応用が可能である。
【0053】
〔第3実施形態〕
次に、
図10を用いて本発明に係る熱交換換気装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前記各実施形態では、第3の空間10内に仕切り部13a,13b,30a~30dを設けた一例について説明した。本実施形態では、
図10に示すように、第3の空間10内に仕切り部を設けていない。即ち、
図10に示すように、カバー14を閉じた状態で第2のファン7aをONにすると、畜舎8の内部8cの
図7(a),(b)に示すヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気は、ケース3のカバー14に設けられた開口3aから第3の空間10内に矢印D1方向に導かれる。そして、ケース3の筺体3hとカバー14と第2の隔壁4と第1の隔壁5とにより形成された第3の空間10内を複数の熱交換用パイプ2の外周面の間に設けられた隙間に沿って矢印D6方向に通過してケース3の筺体3hに設けられた開口3dから第2のファン7aを介して畜舎8の外部11に排気される。このとき、第3の空間10内を畜舎8の内部8cの温められた空気が通るため熱交換用パイプ2は温められる。開口3dには、ファンボックス7が接続され、第2のファン7aは、ファンボックス7内の高さ方向上部に固定され、ファンボックス7内の第2のファン7aの下方には、吸い込み空間が設けられている。
【0054】
第3の空間10において、ヒータ15により温められた空気の流れる方向と熱交換用パイプ2内を流れる外気の流れる方向とは、逆方向で対向流となるため、空間10における熱交換効率は、第1、2の実施形態で使用した仕切り部を用いないワンパスの場合、並行流や直交流と比較して高くなる。これにより、開口3cから吹き出される空気の温度が高くできるという効果を得ることができる。
【0055】
本実施形態では、第3の空間10内に仕切り部がないことで、複数の熱交換用パイプ2の外周面の間に設けられた隙間に沿って矢印D6方向に流れる気流の流路抵抗を低減できるため、第2のファン7aは、出力の小さなファンを用いることが出来るため騒音や消費電力を低減することができる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0056】
〔第4実施形態〕
次に、
図11を用いて本発明に係る熱交換換気装置の第4実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前記第2実施形態では、仕切り部30a~30dの前後の端部とケース3の筺体3hとカバー14の内面との間に隙間を設けて気流が前後方向に迂回する構成とした。本実施形態では、
図11に示すように、ケース3のカバー14に縦長の開口3aが設けられ、第3の空間10内に1枚の仕切り部40が設けられている。
【0057】
仕切り部40の前端部40aと左端部40bと後端部40cは、ケース3の筺体3hやカバー14の内面に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部40の右端部40dは、ケース3の筺体3hの右側の内面から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。
【0058】
開口3aの下方でケース3の筺体3hの奥側には、縦長の開口3dが設けられ、開口3dには、第2のファン7aを内蔵したファンボックス7が接続されている。ファンボックス7は、高さ方向における仕切り部40と第1の隔壁5との間の中央に設けられ、第2のファン7aは、ファンボックス7内の向かって右面に垂直方向に配置されて固定されている。
【0059】
図11に示すように、カバー14を閉じた状態で第2のファン7aをONにすると、畜舎8の内部8cの
図7(a),(b)に示すヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気は、カバー14に設けられた開口3aから第3の空間10内に導かれる。そして、ケース3の筺体3hとカバー14と第2の隔壁4と仕切り部40とにより形成された空間10i内を
図11の矢印D1,D7方向に向かって流れ込み、ケース3の筺体3hの右側の内面と仕切り部40の右端部40dとの間の隙間を通って
図11の矢印D7方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と仕切り部40とにより形成された空間10j内を
図11の左に向かって流れ込み、更に、ケース3の奥側下部に設けられた開口3dから第2のファン7aを介して畜舎8の外部11に排気される。
【0060】
このとき、第3の空間10内をコの字形状に形成された空間10i~10j内を畜舎8の内部8cの温められた空気が通るため熱交換用パイプ2は温められる。仕切り部40により熱交換の時間及び流路距離を増加させることで、熱交換換気装置1の熱交換効率の向上が図れる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【0061】
次に、
図12を用いて本発明に係る熱交換換気装置の仕切り部40の構成について説明する。仕切り部40は、
図12に示すように、櫛状で形成され、複数の熱交換用パイプ2の外周面の少なくとも一部に接しないスリット状の開口41が設けられている。複数の熱交換用パイプ2の外周面の少なくとも一部に接しないスリット状の開口41を設けることで、複数の熱交換用パイプ2の外周面の間に設けられた開口41を介して
図11の上下方向にも気流の流れができるため仕切り部40上で熱交換用パイプ2の外周近傍の吹き溜まり(デッドスペース)を無くし、第3の空間10内を流れる気流の流路抵抗を低減できる。これにより第2のファン7aは、出力の小さなファンを用いることが出来るため騒音や消費電力を低減することができる。さらに、仕切り部40上で熱交換用パイプ2の外周近傍に堆積しやすい粉塵も低減でき、洗浄性も向上できる。
【0062】
仕切り部40をスリット状の開口41を設けた櫛状で形成したことで、カバー14を開放した状態で、ケース3の内面に設けられた図示しないガイドに沿って
図12に示すように碁盤の目状に所定ピッチで配列された複数の熱交換用パイプ2の外周面の隙間に仕切り部40を差し込むことが容易にできる。
【0063】
また、仕切り部40に設ける開口41は、スリット状に限定されるものではなく、熱交換用パイプ2の外径よりも大きな内径を有する貫通穴を仕切り部40に設け、熱交換用パイプ2の上下方向の端部側から仕切り部40の開口41内に熱交換用パイプ2を挿通して複数の熱交換用パイプ2の外周面の隙間に仕切り部40を差し込むことが容易にできる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。なお、仕切り部40の構成は、第2実施形態の仕切り部30a~30dにも適用できる。
【0064】
〔第5実施形態〕
次に、
図13を用いて本発明に係る熱交換換気装置の第5実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前記第1実施形態では、ケース3の第3の空間10内に縦方向に2枚の仕切り部13a,13bを設けた一例について説明した。本実施形態では、ケース3の第3の空間10内に縦方向に1枚の仕切り部13aを設けた一例である。
【0065】
仕切り部13aの前端部と下端部13a2と後端部は、ケース3やカバー14の内面や第1の隔壁5に対して気密性及び液密性が確保されて接続されている。仕切り部13aの上端部13a1は、第2の隔壁4から所定の距離だけ離れた位置に配置されている。第3の空間10は、仕切り部13aにより空間10aと空間10bとに仕切られている。
【0066】
カバー14には、ケース3内の第3の空間10の空間10aと、建物としての畜舎8内とを連通する開口3aが設けられており、ケース3の奥側で空間10bには、第3の空間10内の空気を外部に排気する第2のファン7aを内蔵したファンボックス7に連通された開口3dが設けられている。ケース3の奥側でケース3内の第1の空間9には、外気を吸引する第1のファン12aを内蔵したファンボックス12と連通された開口3bが設けられている。第2のファン7aは、ファンボックス7内の高さ方向上部に固定され、ファンボックス7内の第2のファン7aの下方には、吸込み空間が設けられている。
【0067】
図13に示すように、カバー14を閉じた状態で第2のファン7aをONにすると、畜舎8の内部8cの
図7(a),(b)に示すヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気は、カバー14に設けられた開口3aから第3の空間10の空間10a内に導かれる。そして、ケース3の筺体3hとカバー14と第2の隔壁4と第1の隔壁5と仕切り部13aとにより形成された空間10a内を
図13の矢印B1,B2方向に向かって流れ込み、仕切り部13aの上端部13a1と第2の隔壁4との間の隙間を通って
図13の矢印B3方向に流れ込み、更に、ケース3の筺体3hとカバー14と第2の隔壁4と第1の隔壁5と仕切り部13aとにより形成された空間10b内を
図13の下に向かって流れ込み、更に、ケース3の奥側下部に設けられた開口3dから第2のファン7aを介して畜舎8の外部11に排気される。
【0068】
一方、カバー14を閉じた状態で第1のファン12aをONにすると、外気が開口3bを介して第1の空間9内に吸引され、熱交換用パイプ2の内部を通って第2の空間6を介して給気ダクト16から建物としての畜舎8内に給気される。このとき、第3の空間10内をコの字形状に形成された空間10a~10b内を畜舎8の内部8cの温められた空気が通るため熱交換用パイプ2は温められる。
【0069】
ここで、本実施形態と第1実施形態との違い、すなわち、仕切り部13の枚数の違いについて説明する。第1実施形態では、仕切り部13を2枚構成としたことにより、熱交換する外気とヒータ15により温められた畜舎8の内部8cの空気(以下、「内気」という)の流れる方向は、並行流(同方向)、対向流(逆方向)、並行流(同方向)となるのに対し、本実施形態では、並行流、対向流となる。熱交換器では一般に、並行流より対向流のほうが熱交換効率は高いと言われており、高温側の内気の出口側を対向流にする方が良いと言われている。理論的には、対向流は熱交換する2流体の出口温度は、それぞれの入口温度に近づけることはできるが、並行流の出口温度は、2流体の入口温度の平均値までしか近づけることはできない。発明者らの実験等による確認においても、第1実施形態の仕切り部13が1枚多い分、熱交換の時間及び流路距離を増加しているが、本実施形態と第1実施形態の熱交換効率はほぼ同じとなった。従って、本実施形態の方が気流の流路抵抗を低減できるため、第2のファン7aは、出力の小さなファンを用いることが出来る。
【0070】
なお、第1実施形態において、内気の吸込み口を上部に設け、対向流、並行流、対向流となるよう、2枚の仕切り部13を配置した場合は、本実施形態よりも熱交換効率は高くなると考えられる。出力の大きなファンを用いても熱交換効率を上げたい場合は、このように仕切り部2枚を配置しても良い。本実施形態は、第4実施形態に比べ、仕切り部13aにより熱交換の時間及び流路距離を増加させることで、熱交換換気装置1の熱交換効率の向上が図れる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の活用例として、粉塵が発生し易い建物に取り付けられる熱交換換気装置に適用できる。粉塵が発生する建物としては、家畜を飼育する畜舎以外にも、胞子やおが屑が発生するキノコ栽培施設、工場なども適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…熱交換換気装置
2…熱交換用パイプ
3…ケース
3a~3d…開口
3f,3g…側面
3h…筺体
4…第2の隔壁
4a…貫通穴
5…第1の隔壁
5a…貫通穴
6…第2の空間
7…ファンボックス
7a…第2のファン
8…畜舎
8a…側壁面
8b…天井
8c…内部
9…第1の空間
10,10a~10f,10i,10j…第3の空間
11…外部
12…ファンボックス
12a…第1のファン
13,13a,13b…仕切り部
13a1…上端部
13a2…下端部
13b1…上端部
13b2…下端部
14…カバー
15…ヒータ
16…給気ダクト
16a,16b…側面
16c…天面
16d…底面
17…回動軸
18a~18d…ルーバ
19a~19d…回動軸
20a~20e…貫通孔
21…ネジ孔
22…ビス
23a~23d…貫通孔
24…貫通穴
25…気流
26…断熱材
27…排出口
28…排水ダクト
29…水路パイプ
30a~30d…仕切り部
30a1…前端部
30a2…後端部
30b1…前端部
30b2…後端部
30c1…前端部
30c2…後端部
30d1…前端部
30d2…後端部
40…仕切り部
40a…前端部
40b…左端部
40c…後端部
40d…右端部
41…開口