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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20221124BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221124BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20221124BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R12/71
H01R12/91
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018213471
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020080273
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】野川 義輝
(72)【発明者】
【氏名】井上 直哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹士
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-041347(JP,A)
【文献】特開2005-080443(JP,A)
【文献】特開平06-036832(JP,A)
【文献】実開平06-017171(JP,U)
【文献】特開平06-045033(JP,A)
【文献】特表2008-513939(JP,A)
【文献】実開平07-011783(JP,U)
【文献】中国実用新案第201927850(CN,U)
【文献】中国実用新案第207994141(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1ハウジングと、該第1ハウジングに取付けられた第1端子と、第2ハウジングと、該第2ハウジングに取付けられた第2端子と、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する撓み部材とを備え、
(b)前記第1ハウジングは、基板に実装された基板側コネクタと接続可能であり、
(c)前記第2ハウジングは、前記基板の上方に位置するパネルの開口に挿入可能であり、前記第2ハウジングの先端部にはガイドキャップが取付可能であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第2ハウジングは概略円柱状の形状を有し、前記ガイドキャップは概略円錐状の形状を有する請求項に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記撓み部材は導電性の棒状の部材であり、両端に前記第1端子及び第2端子が接続されている請求項又はに記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ガイドキャップはその底面から先端が突出する凸部を含み、前記第2ハウジングの先端部の先端面の中心には凹部が形成され、前記ガイドキャップは、前記凸部の先端が前記凹部に挿入されて前記第2ハウジングの先端部に取付けられる請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記凸部は円筒状の形状を有し、その円筒壁は円筒の中心軸と平行に延在するスリットによって切断されている請求項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1ハウジング及び第2ハウジングは、実質的に同一の構造を有し、先端面から基端面まで貫通する端子収容空洞を含み、相手方端子が前記先端面から前記端子収容空洞内に進入可能である請求項のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器や電気機器において、筐体や保護カバーのパネルによって覆われたプリント回路基板等の基板をパネル外側の配線等と電気的に接続するために、いわゆるフローティング構造を備えたコネクタが使用されている。このようなコネクタは、一定の範囲で端子が柔軟に移動し得るので、基板に固定されたコネクタの位置と、パネルに形成されたコネクタ挿入開口の位置との間に多少の位置ずれが生じた場合には、適応することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図12は従来のコネクタを示す断面図である。
【0004】
図において、861は、回路基板891に実装されたコネクタの円筒状のアウターシールドであって、その基端がフランジ部862となっている。また、851は、アウターシールド861内に絶縁体821を介して保持された中心コンタクトであり、その基端のテール部852は、フランジ部862の中心に形成された空間内に収容されている。
【0005】
前記テール部852は、円筒状の空洞を有し、該空洞内には下端が回路基板891に固定された中心端子871が収容されるとともに、テーパーコイル状の中心コイルスプリング875が収容されている。該中心コイルスプリング875は、下端が前記空洞の下端に形成された内側フランジ852aに係合し、上端が前記中心端子871の頭部に係合し、そのばね力によって、前記空洞の天井面が前記中心端子871の頭部の上面に押圧され、これにより、中心コンタクト851と中心端子871との電気的接続が維持される。
【0006】
また、前記フランジ部862も、円筒状の空洞を有し、該空洞内には下端が回路基板891に固定された外側端子872が収容されるとともに、テーパーコイル状の外側コイルスプリング876が収容されている。該外側コイルスプリング876は、下端が前記外側端子872に固定されたばね受リング872bに係合し、上端が前記空洞の天上面に係合し、そのばね力によって、前記空洞の外側のフランジ部862の上面が前記外側端子872の上端鍔部872aの下面に押圧され、これにより、アウターシールド861と外側端子872との電気的接続が維持される。
【0007】
そして、回路基板891に実装されたコネクタをパネル895に形成されたコネクタ挿入開口895aに挿入する際に、図示されるように、該コネクタ挿入開口895aの中心位置が円筒状のアウターシールド861の中心位置に対して横方向にずれていても、テール部852の円筒状の空洞が中心端子871に対して横方向に位置ずれ可能、かつ、フランジ部862の円筒状の空洞が外側端子872に対して横方向に位置ずれ可能なので、適応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-041347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、フローティング構造を備えていても、パネル895に形成されたコネクタ挿入開口895aにコネクタを挿入する際に、該コネクタの位置がコネクタ挿入開口895aの位置とずれていると、コネクタの上端がパネル895の下面に当接して、コネクタの上端が損傷を受ける可能性がある。また、コネクタの数が多く、しかも、それぞれのコネクタの位置が対応するコネクタ挿入開口895aの位置とずれていると、すべてのコネクタの位置が修正されて対応するコネクタ挿入開口895aに挿入されるようになるまでに時間がかかってしまう。
【0010】
ここでは、前記従来のコネクタの問題点を解決して、簡単な構成でありながら、パネルの開口にスムーズに挿入することができ、パネルの開口への挿入操作が容易で、信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、コネクタにおいては、第1ハウジングと、該第1ハウジングに取付けられた第1端子と、第2ハウジングと、該第2ハウジングに取付けられた第2端子と、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する撓み部材とを備え、前記第1ハウジングは、基板に実装された基板側コネクタと接続可能であり、前記第2ハウジングは、前記基板の上方に位置するパネルの開口に挿入可能であり、前記第2ハウジングの先端部にはガイドキャップが取付可能である。
【0013】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記第2ハウジングは概略円柱状の形状を有し、前記ガイドキャップは概略円錐状の形状を有する。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記撓み部材は導電性の棒状の部材であり、両端に前記第1端子及び第2端子が接続されている。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ガイドキャップはその底面から先端が突出する凸部を含み、前記第2ハウジングの先端部の先端面の中心には凹部が形成され、前記ガイドキャップは、前記凸部の先端が前記凹部に挿入されて前記第2ハウジングの先端部に取付けられる。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記凸部は円筒状の形状を有し、その円筒壁は円筒の中心軸と平行に延在するスリットによって切断されている。
【0017】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記第1ハウジング及び第2ハウジングは、実質的に同一の構造を有し、先端面から基端面まで貫通する端子収容空洞を含み、相手方端子が前記先端面から前記端子収容空洞内に進入可能である。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、コネクタは、簡単な構成でありながら、パネルの開口にスムーズに挿入することができ、パネルの開口への挿入操作が容易で、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態におけるコネクタを基板に接続するとともにパネルの挿入開口に挿入した状態の斜視図である。
図2】本実施の形態におけるコネクタと基板とパネルとを分離した状態を示す分解図である。
図3】本実施の形態におけるコネクタを基板に接続するとともにパネルの挿入開口に挿入した状態の縦断面図である。
図4】本実施の形態におけるコネクタの斜視図である。
図5】本実施の形態におけるコネクタの分解図である。
図6】本実施の形態におけるコネクタを基板側コネクタに嵌合した状態を示す断面図である。
図7】本実施の形態における基板側コネクタの三面図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
図8】本実施の形態における撓み部材の二面図であって、(a)は第1の側面図、(b)は(a)と直交する方向から観た第2の側面図である。
図9】本実施の形態におけるコネクタの上側ハウジングの四面図であって、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図、(d)は断面図である。
図10】本実施の形態におけるガイドキャップの斜視図であって、(a)は先端側から観た図、(b)は基端側から観た図である。
図11】本実施の形態におけるガイドキャップの二面図であって、(a)は下面図、(b)は断面図である。
図12】従来のコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本実施の形態におけるコネクタを基板に接続するとともにパネルの挿入開口に挿入した状態の斜視図、図2は本実施の形態におけるコネクタと基板とパネルとを分離した状態を示す分解図、図3は本実施の形態におけるコネクタを基板に接続するとともにパネルの挿入開口に挿入した状態の縦断面図、図4は本実施の形態におけるコネクタの斜視図である。
【0022】
図において、10は、本実施の形態におけるコネクタであって、基板91と図示されない相手方部材とを電気的に接続する中継コネクタとして機能する。なお、前記コネクタ10は、柔軟性を有する構造を備え、いわゆるフローティングコネクタの一種であるとも言える。前記基板91は、例えば、電気機器、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC)、フレキシブル回路基板(FPC)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0023】
なお、本実施の形態において、コネクタ10及びその他の部材の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記コネクタ10及びその他の部材の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0024】
そして、101は、基板91の表面に実装された基板側コネクタであり、前記コネクタ10は、対応する基板側コネクタ101と嵌合することによって基板91に接続される。また、95は、基板91の上方に配設されたパネルであって、例えば、電子機器、電気機器等の筐体の壁の一部であってもよいし、基板91の上方を覆う保護カバーの一部であってもよいし、電気機器、電子機器等に装填された他の部品、装置等の一部であってもよい。なお、前記パネル95の基板91に対する高さ方向(Z方向)の位置は、支持部材等の何らかの手段によって、規定されていてもよい。そして、前記パネル95の上方には、相手方部材が存在し、コネクタ10は、その上端がパネル95に形成された開口である挿入開口95aに挿入された状態で、前記相手方部材が備える相手方コネクタと嵌合されることによって相手方部材と接続される。
【0025】
なお、図に示される例において、コネクタ10の数は4つであるが、これに限定されるものではなく、コネクタ10の数は、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよいし、単数であってもよい。また、基板91に実装された基板側コネクタ101の数、及び、パネル95をその板厚方向に貫通する挿入開口95aの数は、コネクタ10の数に対応するように設定される。
【0026】
前記基板側コネクタ101の各々は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、概略円筒状の形状を有する基板側ハウジング111と、該基板側ハウジング111に装填された金属等の導電性材料から成る基板側端子151とを備える。前記基板側ハウジング111は、円筒状の側壁111bと、該側壁111bの下端を塞ぐ円板状の底板111aとを有する。前記側壁111bの内側には、下端が底板111aによって画定され、上端が開放された嵌合凹部113が形成されている。また、前記基板側端子151は、上下方向に延在する棒状の部材であって、複数本(図に示される例においては、4本)が前記底板111aを上下方向に貫通するようにして、該底板111aに取付けられる。該底板111aの下面より下方に突出した各基板側端子151の下端は、基板91の表面に形成された図示されない接続パッド等の接続部材に、はんだ付等の手段によって、導通可能に接続される。また、各基板側端子151の上端を含む上側部分は、嵌合凹部113内において、底板111aの上面から上方に向けて延出している。
【0027】
各コネクタ10は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された第1ハウジングとしての下側ハウジング11Aと、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された第2ハウジングとしての上側ハウジング11Bと、前記下側ハウジング11Aと上側ハウジング11Bとを連結する柔軟性を有する撓み部材81とを備える。前記下側ハウジング11Aと上側ハウジング11Bとは、実質的に同一の構造を有する。なお、下側ハウジング11A及び上側ハウジング11Bを統合的に説明する場合には、ハウジング11として説明する。
【0028】
前記撓み部材81は、単数であっても複数であってもよいが、ここでは、図に示されるように、基板側端子151と同様に、4本であるものとして説明する。また、各撓み部材81は、導電性及び柔軟性を有するとともに、自立可能な程度の硬度を有する細長い部材であれば、いかなる部材であってもよく、例えば、電線であってもよい。ここでは、導電性の金属板をプレスして成形された上下方向に延在する棒状の部材であるものとして説明する。そして、各撓み部材81の下端には導電性の金属から成る第1端子としての下側端子51Aが接続され、上端には導電性の金属から成る第2端子としての上側端子51Bが接続されている。前記下側端子51Aと上側端子51Bとは、実質的に同一の構造を有する。なお、下側端子51A及び上側端子51Bを統合的に説明する場合には、端子51として説明する。
【0029】
そして、前記下側ハウジング11Aは、概略円柱状の形状を有する部材であり、上側に位置する基端部11aと、該基端部11aより径が小さく下側に位置する先端部11bとを含んでいる。該先端部11bは、基板側コネクタ101の嵌合凹部113に挿入される部分である。また、下側ハウジング11Aには、上下方向に貫通する貫通孔である端子収容空洞13が形成され、該端子収容空洞13内には、各下側端子51A全体と各撓み部材81の下端近傍とが収容される。各端子収容空洞13は、各下側端子51Aにとっての相手方端子である各基板側端子151に対応する位置に形成され、前記先端部11bが前記嵌合凹部113に挿入されると、各基板側端子151の少なくとも上端及びその近傍が対応する端子収容空洞13に進入し、該端子収容空洞13内に収容されている下側端子51Aと接触して導通する。
【0030】
また、前記上側ハウジング11Bは、概略円柱状の形状を有する部材であり、下側に位置する基端部11aと、該基端部11aより径が小さく上側に位置する先端部11bとを含んでいる。前記基端部11aは、パネル95の挿入開口95a内に収容される部分であり、前記先端部11bは、パネル95の上面よりも上方に突出し、図示されない相手方部材が備える相手方コネクタの嵌合凹部に挿入される部分である。なお、前記挿入開口95aの内径は、図3等に示されるように、上側ハウジング11Bの基端部11aの外径より大きく設定されていてもよいし、上側ハウジング11Bの基端部11aの外径とほぼ同一となるように設定されていてもよい。すなわち、上側ハウジング11Bの基端部11aは、挿入開口95a内で、半径方向に変位可能であってもよいし、半径方向の変位が規制されていてもよい。
【0031】
また、上側ハウジング11Bには、上下方向に貫通する貫通孔である端子収容空洞13が形成され、該端子収容空洞13内には、各上側端子51B全体と各撓み部材81の上端近傍とが収容される。そして、前記先端部11bが前記相手方コネクタの嵌合凹部に挿入されると、相手方コネクタの図示されない相手方端子の少なくとも一部が端子収容空洞13に進入し、該端子収容空洞13内に収容されている上側端子51Bと接触して導通する。
【0032】
本実施の形態においては、コネクタ10の上端がパネル95の挿入開口95aに挿入される前に、上側ハウジング11Bにガイドキャップ41が取付けられる。該ガイドキャップ41は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された概略円錐状の部材であり、その先端が上方を向くような姿勢で上側ハウジング11Bの先端部11bの上端に取付けられる。なお、前記ガイドキャップ41は、不要になったとき、例えば、前記相手方コネクタと嵌合するときに、前記上側ハウジング11Bの先端部11bから取外される。
【0033】
次に、前記コネクタ10の各部の構成について詳細に説明する。
【0034】
図5は本実施の形態におけるコネクタの分解図、図6は本実施の形態におけるコネクタを基板側コネクタに嵌合した状態を示す断面図、図7は本実施の形態における基板側コネクタの三面図、図8は本実施の形態における撓み部材の二面図、図9は本実施の形態におけるコネクタの上側ハウジングの四面図、図10は本実施の形態におけるガイドキャップの斜視図、図11は本実施の形態におけるガイドキャップの二面図である。なお、図7において、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は断面図であり、図8において、(a)は第1の側面図、(b)は(a)と直交する方向から観た第2の側面図であり、図9において、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は下面図、(d)は断面図であり、図10において、(a)は先端側から観た図、(b)は基端側から観た図であり、図11において、(a)は下面図、(b)は断面図である。
【0035】
図5に示されるように、各ハウジング11において、端子収容空洞13は基端面11cから先端面11dまで貫通するように形成され、撓み部材81の両端に接続された端子51は、基端面11cから端子収容空洞13に挿入される。また、図8に示されるように、各端子51は、撓み部材81の端部に接続された基部52と、該基部52から先端に向けて延出する一対の接触片54と、前記基部52の近傍において撓み部材81の軸方向に直交する方向に突出する係止片55とを含んでいる。
【0036】
さらに、図9(d)に示されるように、上側ハウジング11Bの端子収容空洞13内における上側ハウジング11Bの中心軸側の壁面には、係合片としてのランス15が形成されている。該ランス15は、その基端が端子収容空洞13の壁面に一体的に連結され、その先端(自由端)が端子収容空洞13の内方に向け、かつ、先端面11dに向けて斜めに延出するカンチレバー状の部材である。なお、下側ハウジング11Aは、上側ハウジング11Bと実質的に同一の構成を有するので、下側ハウジング11Aの端子収容空洞13内にも、先端が端子収容空洞13の内方に向け、かつ、先端面11dに向けて斜めに延出するカンチレバー状のランス15が形成されている。
【0037】
そして、図6に示されるように、下側ハウジング11Aの端子収容空洞13内に基端面11cから下側端子51Aが挿入されて収容された状態では、下側端子51Aの係止片55がランス15の先端と係合する。したがって、端子収容空洞13内に収容された下側端子51Aは、基端面11c側に変位することが防止され、撓み部材81が引っ張られても、端子収容空洞13から抜出ることがない。なお、上側ハウジング11B及び上側端子51Bは、下側ハウジング11A及び下側端子51Aと実質的に同一の構成を有するので、上側ハウジング11Bの端子収容空洞13内に収容された上側端子51Bの係止片55も、同様に、ランス15の先端と係合する。したがって、上側ハウジング11Bの端子収容空洞13内に収容された上側端子51Bも、基端面11c側に変位することが防止され、撓み部材81が引っ張られても、端子収容空洞13から抜出ることがない。
【0038】
また、図7に示されるように、基板側コネクタ101の基板側ハウジング111における側壁111bの上端内側には、面取としての傾斜面111cが形成されている。該傾斜面111cは、下側ハウジング11Aが基板側コネクタ101と嵌合する際に、下側ハウジング11Aを誘込む機能を発揮する。
【0039】
そして、図6に示されるように、下側ハウジング11Aが基板側コネクタ101と嵌合した状態では、先端面11dから端子収容空洞13に進入した基板側端子151は、下側端子51Aの一対の接触片54に両側から挟持された状態となる。これにより、基板側端子151と下側端子51Aとは、確実に接触して導通する。なお、上側ハウジング11Bが前記相手方コネクタと嵌合した状態でも、同様に、先端面11dから端子収容空洞13に進入した相手方端子は、上側端子51Bの一対の接触片54に両側から挟持された状態となるので、相手方端子と上側端子51Bとは、確実に接触して導通する。
【0040】
さらに、図9に示されるように、上側ハウジング11Bの先端面11dの中心には、基端面11cに向けて凹入する凹部としてのキャップ保持凹部14が形成されている。図に示される例において、該キャップ保持凹部14は、周囲の端子収容空洞13と連通しているが、端子収容空洞13と連通していなくてもよい。
【0041】
そして、図10及び11に示されるように、円錐状のガイドキャップ41の内部には、底面41aに開放する中空部42が形成されているが、適切な強度を維持するために、円錐面状の壁部45から円錐の中心軸に向けて延在する複数の区画壁43が設けられている。該区画壁43の数は、任意に設定することができるが、ここでは、図に示されるように4枚であるものとして説明する。前記区画壁43は、それぞれ、壁部45の内面から円錐の中心軸に向けて延在し、該中心軸の周辺で互いに接続されている。これにより、ガイドキャップ41は、軽量となり、また、壁部45が柔軟性を保持しつつ、全体として適切な強度を維持することができる。
【0042】
また、前記区画壁43の底面41a側の端部には切欠き43aが形成され、該切欠き43a内には、その先端が底面41aから突出する凸部としてのキャップ保持凸部44が設けられている。該キャップ保持凸部44は、円錐の中心軸と同軸の中心軸を有する円筒状の部材であって、前記中心軸の方向に延在して底面41aで開放する中心空間44aを有する。また、前記キャップ保持凸部44の円筒壁には、中心軸と平行に延在するスリット44bが形成され、該スリット44bによってキャップ保持凸部44の円筒壁は、切断されている。前記スリット44bによって円筒壁が切断されていることにより、キャップ保持凸部44は、柔軟性を保持しつつ、全体として適切な強度を維持することができる。なお、前記キャップ保持凸部44の円筒壁の外面の直径は、前記キャップ保持凹部14の内径よりも少し大きい程度に設定されることが望ましい。
【0043】
そして、図3に示されるように、上側ハウジング11Bにガイドキャップ41が取付けられた状態において、キャップ保持凸部44の先端は、底面41aから突出しているので、上側ハウジング11Bの先端面11dの中心に形成されたキャップ保持凹部14内に挿入される。この際、キャップ保持凸部44の円筒壁の外面の直径が、キャップ保持凹部14の内径よりも少し大きい程度に設定されていると、前記キャップ保持凸部44の先端はキャップ保持凹部14に圧入された状態となるので、ガイドキャップ41が上側ハウジング11Bの先端面11dから無用に脱落することが防止される。なお、スリット44bによって、キャップ保持凸部44は、ある程度の柔軟性を有するので、キャップ保持凹部14内への挿入操作を容易に行うことができ、また、キャップ保持凹部14からの抜取り操作も容易に行うことができる。
【0044】
次に、前記コネクタ10を基板91に接続する動作について説明する。
【0045】
まず、図4に示されるように、コネクタ10の上側ハウジング11Bの上方に位置するガイドキャップ41を、その先端が上方を向くような姿勢を維持しつつ、相対的に下降させ、上側ハウジング11Bの先端部11bの上端に取付ける。この際、ガイドキャップ41の底面41aから下方に突出しているキャップ保持凸部44の先端を上側ハウジング11Bの先端面11dの中心に形成されたキャップ保持凹部14内に挿入する。これにより、図2に示されるように、ガイドキャップ41が取付けられたコネクタ10を得ることができる。
【0046】
続いて、該コネクタ10の姿勢を、図2に示されるように、対応する基板側コネクタ101の真上において、その下側ハウジング11Aの先端面11dが基板側ハウジング111の嵌合凹部113と対向するように制御する。なお、前記基板側コネクタ101は、あらかじめ基板91の表面に実装されているものとする。そして、コネクタ10を相対的に下降させて、下側ハウジング11Aの先端部11bを基板側ハウジング111の嵌合凹部113に挿入する。これにより、図6に示されるように、下側ハウジング11Aが基板側コネクタ101と嵌合した状態を得ることができる。
【0047】
そして、すべてのコネクタ10の下側ハウジング11Aを対応する基板側コネクタ101と嵌合させた後、図2に示されるような複数の挿入開口95aが形成されたパネル95を、各コネクタ10の上方に対応する挿入開口95aが位置するように制御する。そして、パネル95を相対的に下降させ、各挿入開口95aに対応するコネクタ10の上側ハウジング11Bが挿入されるようにする。これにより、図1に示されるように、すべてのコネクタ10の上端がパネル95に形成された挿入開口95aに挿入された状態を得ることができる。
【0048】
なお、パネル95を相対的に下降させ、各挿入開口95aに対応するコネクタ10の上側ハウジング11Bが挿入されるようにする際に、X軸又はY軸方向に関して、挿入開口95aの位置が対応するコネクタ10の位置とずれていても、上側ハウジング11Bの先端部11bの上端に先端が尖った円錐状のガイドキャップ41が取付けられているので、前記上側ハウジング11Bは、スムーズに対応する挿入開口95aに進入することができる。なお、ガイドキャップ41は、キャップ保持凸部44の先端が上側ハウジング11Bの先端面11dのキャップ保持凹部14内に挿入されているので、挿入開口95aの縁等に当接して外力を受けても、上側ハウジング11Bから脱落してしまうことがない。
【0049】
また、上側ハウジング11Bを下側ハウジング11Aと連結している撓み部材81が柔軟性を有するので、X軸又はY軸方向に関して、挿入開口95aの位置が対応するコネクタ10の下側ハウジング11Aの位置とずれていても、位置ずれは撓み部材81によって吸収される。
【0050】
なお、上端がパネル95に形成された挿入開口95aに挿入されたコネクタ10と、パネル95の上方に位置する図示されない相手方部材が備える相手方コネクタとを嵌合する際には、ガイドキャップ41は、上側ハウジング11Bから取外される。この場合、先端が上側ハウジング11Bの先端面11dのキャップ保持凹部14内に挿入されているキャップ保持凸部44は、ある程度の柔軟性を有するので、キャップ保持凹部14からの抜取り操作を容易に行うことができ、ガイドキャップ41を上側ハウジング11Bから容易に取外すことができる。さらに、相手方コネクタと嵌合するまでの間は、ガイドキャップ41が上側ハウジング11Bの先端面11dを塞いでいるので、該先端面11dに開口する端子収容空洞13内への塵埃、水分その他の異物の進入を防止することができ、コネクタ10の信頼性が向上する。
【0051】
また、本実施の形態においては、コネクタ10が下側ハウジング11A及び下側端子51Aを備え、前記下側ハウジング11Aが基板91に実装された基板側コネクタ101と接続される例についてのみ説明したが、前記下側ハウジング11A及び下側端子51Aを省略して、撓み部材81の下端が基板91の配線にはんだ付等の手段によって直接接続されるようにしてもよいし、撓み部材81が前記基板91に取付けられた電子機器等から直接導出されるようにしてもよい。
【0052】
このように、本実施の形態において、コネクタ10は、上側ハウジング11Bと、上側ハウジング11Bに取付けられた上側端子51Bと、上側ハウジング11Bと基板91とを連結する撓み部材81とを備え、撓み部材81は、基板91の配線に電気的に接続可能であり、上側ハウジング11Bは、基板91の上方に位置するパネル95の挿入開口95aに挿入可能であり、上側ハウジング11Bの先端部11bにはガイドキャップ41が取付可能である。また、コネクタ10は、下側ハウジング11Aと、下側ハウジング11Aに取付けられた下側端子51Aと、上側ハウジング11Bと、上側ハウジング11Bに取付けられた上側端子51Bと、下側ハウジング11Aと上側ハウジング11Bとを連結する撓み部材81とを備え、下側ハウジング11Aは、基板91に実装された基板側コネクタ101と接続可能であり、上側ハウジング11Bは、基板91の上方に位置するパネル95の挿入開口95aに挿入可能であり、上側ハウジング11Bの先端部11bにはガイドキャップ41が取付可能である。
【0053】
これにより、コネクタ10は、簡単な構成でありながら、パネル95の挿入開口95aに上側ハウジング11Bをスムーズに挿入することができ、上側ハウジング11Bの挿入開口95aへの挿入操作が容易になるとともに、コネクタ10の信頼性が向上する。
【0054】
さらに、上側ハウジング11Bは概略円柱状の形状を有し、ガイドキャップ41は概略円錐状の形状を有する。さらに、撓み部材81は導電性の棒状の部材であり、両端に下側端子51A及び上側端子51Bが接続されている。さらに、ガイドキャップ41はその底面41aから先端が突出するキャップ保持凸部44を含み、上側ハウジング11Bの先端部11bの先端面11dの中心にはキャップ保持凹部14が形成され、ガイドキャップ41は、キャップ保持凸部44の先端がキャップ保持凹部14に挿入されて上側ハウジング11Bの先端部11bに取付けられる。さらに、キャップ保持凸部44は円筒状の形状を有し、その円筒壁は円筒の中心軸と平行に延在するスリット44bによって切断されている。さらに、下側ハウジング11A及び上側ハウジング11Bは、実質的に同一の構造を有し、先端面11dから基端面11cまで貫通する端子収容空洞13を含み、基板側端子151及び相手方端子が先端面11dから端子収容空洞13内に進入可能である。
【0055】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 コネクタ
11A 下側ハウジング
11a 基端部
11b 先端部
11c 基端面
11d 先端面
11B 上側ハウジング
13 端子収容空洞
14 キャップ保持凹部
15 ランス
41 ガイドキャップ
41a 底面
42 中空部
43 区画壁
43a 切欠き
44 キャップ保持凸部
44a 中心空間
44b スリット
45 壁部
51A 下側端子
51B 上側端子
52 基部
54 接触片
55 係止片
81 撓み部材
91 基板
95、895 パネル
95a 挿入開口
101 基板側コネクタ
111 基板側ハウジング
111a 底板
111b 側壁
111c 傾斜面
113 嵌合凹部
151 基板側端子
821 絶縁体
851 中心コンタクト
852 テール部
852a 内側フランジ
861 アウターシールド
862 フランジ部
871 中心端子
872 外側端子
872a 上端鍔部
872b ばね受リング
875 中心コイルスプリング
876 外側コイルスプリング
891 回路基板
895a コネクタ挿入開口
図1
図2
図3
図4
図5
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図12