(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】食品包装シート取出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20221124BHJP
B65H 1/06 20060101ALI20221124BHJP
B65H 1/30 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B65H3/08 310D
B65H1/06 A
B65H3/08 321
B65H1/30 320
(21)【出願番号】P 2018215893
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】丸山 卓真
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-069350(JP,U)
【文献】特開昭60-102340(JP,A)
【文献】特開2007-099423(JP,A)
【文献】特開2013-006696(JP,A)
【文献】特公昭42-003887(JP,B1)
【文献】特開2015-221667(JP,A)
【文献】特開平08-072822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B65H 1/00- 3/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の形状に合わせて
選択された大きさの複数枚の食品包装シートを、該食品包装シートのシート面に垂直な積層方向に積み重ね可能に収容可能とされると共に、前記食品包装シートを取り出す取出口が形成されたストッカと、
複数枚の前記食品包装シートのうち前記積層方向の最も外側に位置する食品包装シートを、前記取出口を通じて把持可能な把持部と、
前記ストッカに対して前記把持部を相対移動させる移動部と、を備え、
前記取出口は、前記積層方向の最も外側に位置する前記食品包装シートのうち、少なくともシート端部を含む領域に対して前記積層方向に対向するように形成され、
前記ストッカには、前記積層方向の最も外側に位置する前記食品包装シートにおける前記シート端部に対して前記積層方向に対向した状態で、前記取出口を部分的に覆うカバー片と、
選択された大きさの前記食品包装シー
トに対応して前記食品包装シートの位置を規制するシート規制部と、が設けられ、
前記移動部は、前記把持部を前記取出口から離間するように前記積層方向に移動させると共に、前記カバー片側に向かうように前記シート面の面内方向に移動させることを特徴とする食品包装シート取出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の食品包装シート取出装置において、
前記移動部は、前記把持部を前記取出口から離間させるときに、前記取出口から離間するにしたがって前記カバー片から離間するように、前記把持部を旋回させることを特徴とする食品包装シート取出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の食品包装シート取出装置において、
前記カバー片は、少なくとも前記取出口を横断するように前記面内方向に移動可能とされていることを特徴とする食品包装シート取出装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の食品包装シート取出装置において、
少なくとも前記取出口を横断するように前記面内方向に移動可能なシャッタを備え、
前記カバー片は、前記ストッカに固定されていることを特徴とする食品包装シート取出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装シート取出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数枚のシートが束ねられた或いは積み重ねられたシート群の中から、1枚のシートを取り出すシート取出装置が知られている。
なお、この種のシートとしては、シート状に形成されていれば良く、例えば1枚シートの場合や、袋状に成形加工された袋体が挙げられる。1枚シートとしては、例えばフィルムシート、各種の紙葉類等が挙げられる。袋体としては、例えば各種の包装袋やごみ袋等、展開前にシート状の形態を維持しているものが挙げられる。
【0003】
シート取出装置として、例えば下記特許文献1に示されるように、マガジン内に収容された袋体群の中から1枚の袋体を取り出す自動給袋機が知られている。この自動給袋機では、各袋体が垂直に立てられた状態でマガジン内に収容されている。そして、袋体群の中から1枚の袋体を横向きに引き抜くようにマガジン内から取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシート取出装置では、各袋体が垂直に立てられた状態でマガジン内に収容されているので、マガジン内において袋体群の姿勢が崩れ易い。そのため、1枚の袋体を良好に取り出すことが難しい。しかも、マガジン内から1枚の袋体を取り出す際に、互いに重なり合っている袋体同士が例えば密着していることで、他の袋体がくっついた状態で取り出される場合がある。そのため、袋体を1枚毎、安定的に取り出すことができない場合があった。
さらに、各袋体が垂直に立てられた状態でマガジン内に収容されているので、袋体の取出し動作を停止することなく、マガジン内に袋体を補充することが難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、シート群の中から各シートを1枚毎、適切に分離しながら取り出すことができると共に、取出し動作を停止することなくシートの補充を行うことができる食品包装シート取出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様に係る食品包装シート取出装置は、食品の形状に合わせて選択された大きさの複数枚の食品包装シートを、該食品包装シートのシート面に垂直な積層方向に積み重ね可能に収容可能とされると共に、前記食品包装シートを取り出す取出口が形成されたストッカと、複数枚の前記食品包装シートのうち前記積層方向の最も外側に位置する食品包装シートを、前記取出口を通じて把持可能な把持部と、前記ストッカに対して前記把持部を相対移動させる移動部と、を備え、前記取出口は、前記積層方向の最も外側に位置する前記食品包装シートのうち、少なくともシート端部を含む領域に対して前記積層方向に対向するように形成され、前記ストッカには、前記積層方向の最も外側に位置する前記食品包装シートにおける前記シート端部に対して前記積層方向に対向した状態で、前記取出口を部分的に覆うカバー片と、選択された大きさの前記食品包装シートに対応して前記食品包装シートの位置を規制するシート規制部と、が設けられ、前記移動部は、前記把持部を前記取出口から離間するように前記積層方向に移動させると共に、前記カバー片側に向かうように前記シート面の面内方向に移動させることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ストッカ内に積み重ねられた複数枚のシートのうち、積層方向の最も外側に位置するシート(例えば最上層或いは最下層のシート)を、取出口を通じて把持部で把持することができる。そして、移動部によって把持部を取出口から離間するように積層方向に移動させることで、積層方向の最も外側に位置するシートのうち、少なくともシート端部を含む領域を取出口からストッカの外部に引っ張り出すように、部分的に取り出すことができる。このとき、カバー片が取出口を部分的に覆っているので、把持部によって把持したシートを、カバー片を乗り越えさせながら部分的に取り出すことができる。これにより、積層方向の最も外側に位置するシートのうち、取出口から取り出した部分を、カバー片を介して残りのシートから分離させることができる。
【0009】
従って、移動部によってカバー片側に向かうように把持部を面内方向に移動させることで、積層方向の最も外側に位置するシートの全域に亘って残りのシートから分離させながら、該シートの全体を取出口から取り出すことができる。これにより、ストッカ内に収容される複数枚のシートからなるシート群の中から、各シートを1枚毎、適切に分離しながら順次取り出すことができる。
さらに、従来とは異なり、シート面に垂直な積層方向にシートを積み重ねた状態でストッカ内に収容できるので、シート群の姿勢が崩れ難い。従って、この点においても各シートを1枚毎に適切に取り出し易い。さらに、取出し動作を停止することなく、ストッカ内にシートの補充を行い易い。
【0010】
(2)前記移動部は、前記把持部を前記取出口から離間させるときに、前記取出口から離間するにしたがって前記カバー片から離間するように、前記把持部を旋回させても良い。
【0011】
この場合には、把持部を旋回させることができるので、積層方向の最も外側に位置するシートを、シート端部側から分離が進行するように、よりスムーズに残りのシートから分離させることができる。また、カバー片をよりスムーズに乗り越えさせながら、把持部で把持したシートを取出口から部分的に取り出すことができる。
【0012】
(3)前記カバー片は、少なくとも前記取出口を横断するように前記面内方向に移動可能とされても良い。
【0013】
この場合には、例えば、把持部を利用して積層方向の最も外側に位置するシートを取出口から部分的に取り出した後に、カバー片を面内方向に移動させることができる。これにより、さらに確実に残りのシートから分離させながら、積層方向の最も外側に位置するシートのみを取り出すことができる。
【0014】
(4)(1)又は(2)の食品包装シート取出装置において、少なくとも前記取出口を横断するように前記面内方向に移動可能なシャッタを備え、前記カバー片は、前記ストッカに固定されていても良い。
【0015】
この場合には、例えばシャッタの設定は変更せずに、例えば必要に応じてカバー片の大きさやストッカに対する固定位置を変えるだけで、例えば食品の形状に合わせて大きさが変化する各種包装シートへの対応が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様のシート取出装置によれば、シート群の中から各シートを1枚毎、適切に分離しながら取り出すことができると共に、取出し動作を停止することなくシートの補充を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る一実施形態のシート取出装置を備えた自動袋詰め装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す第2多関節ロボットを袋詰め装置側に作動させた状態における自動袋詰め装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示す天板プレートを外した状態における自動袋詰め装置の上面図である。
【
図4】
図1に示す自動袋詰め装置によって、食品ワーク(食品)が袋詰めされるまでの過程を示した簡略図である。
【
図5】
図1に示すシート取出装置を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す状態から、吸着部を利用して最下層の包装シートを吸着した状態を示す縦断面図である。
【
図11】
図10に示す状態から、吸着部を旋回させた状態を示す縦断面図である。
【
図12】
図11に示す状態から、シャッタを移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図13】
図12に示す状態から、吸着部を移動させて最下層の包装シートを取り出している状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、食品を途中で半分に切断した後、切断後の食品を袋詰めする自動袋詰め装置を例に挙げて説明する。なお、本実施形態では、食品を、食品ワークと称して説明している。
【0019】
図1~
図3に示すように、自動袋詰め装置10は、装置筐体(本体フレーム)11と、切断前の食品ワーク60を搬送する第1搬送路12と、第1搬送路12で搬送されてきた食品ワーク60を第1搬送路12から受け部24に移送する移送装置13と、受け部24上で食品ワーク60を半分に切断する切断装置20と、切断された食品ワーク60を包装するための包装シート80(本発明に係るシート)を取出すシート取出装置30と、包装シート80内に切断された食品ワーク60を袋詰めする袋詰め装置40と、袋詰めされた食品ワーク60を搬送する第2搬送路15と、を備えている。
【0020】
なお本実施形態では、食品ワーク60として、
図4に示すように矩形状のパンの間に肉や野菜等の具材が挟まれたサンドイッチを例に挙げて説明する。なお、
図4では、サンドイッチを簡略化して図示している。
自動袋詰め装置10は、この食品ワーク60を切断装置20によって半分に切断すると共に、半分に切断した各食品ワーク60を、予め袋状に成形加工された袋体である包装シート80内にそれぞれ挿入することで、袋詰めを行う装置とされている。
【0021】
図1~
図3に示すように、装置筐体11は、床上に設置されるベース部51と、4つの支柱(第1支柱52、第2支柱53、第3支柱54、第4支柱55)と、天板プレート56と、を備え、全体として、第1搬送路12及び第2搬送路15の搬送方向Lに長い直方体状に形成されている。
なお、本実施形態において、ベース部51から4つの支柱に沿って天板プレート56側に向かう方向を上方、その反対側を下方とする。
【0022】
ベース部51は、搬送方向Lに長い平面視矩形状に形成されたベースプレート57を備えている。天板プレート56は、ベースプレート57と同様に、搬送方向Lに長い平面視矩形状に形成され、ベースプレート57の上方に対向配置されている。4つの支柱(第1支柱52、第2支柱53、第3支柱54、第4支柱55)は、ベース部51の四隅部から上方に向けて立ち上がるように形成されている。
【0023】
ベースプレート57上には、第1搬送路12及び第2搬送路15が搬送方向Lに間隔をあけて一列に並ぶように配置されている。なお、本実施形態において、搬送方向Lに沿う第1搬送路12側を上流側といい、第2搬送路15側を下流側という。
【0024】
第1搬送路12は、切断前の食品ワーク60を下流側に搬送するものであり、例えばベルトコンベア等が挙げられる。ただし、第1搬送路12はベルトコンベアに限定されるものではなく、食品ワーク60を搬送できれば、その他の搬送手段を採用して構わない。第1搬送路12の下流側に移送装置13が配置されている。
【0025】
移送装置13は、把持ハンド63を有する第1多関節ロボット62を主に備えている。第1多関節ロボット62は、基部64が装置筐体11の天板プレート56に支持されることにより天板プレート56から吊設されている。把持ハンド63は、第1多関節ロボット62の先端部に取り付けられており、第1搬送路12で搬送されてきた食品ワーク60を両側から把持可能に構成されている。
【0026】
移送装置13は、第1搬送路12の下流側まで食品ワーク60が搬送されてきたときに、第1多関節ロボット62を動作させて把持ハンド63を食品ワーク60の上方に配置させる。次いで移送装置13は、食品ワーク60まで把持ハンド63を下降させた後、把持ハンド63を利用して食品ワーク60を把持する。次いで移送装置13は、第1多関節ロボット62を動作させて、食品ワーク60を把持した把持ハンド63を受け部24の上方まで移動させた後、受け部24上に食品ワーク60を載置する。
【0027】
このように、移送装置13は、第1搬送路12で搬送されてきた食品ワーク60を第1搬送路12から受け部24に受け渡して、移送することが可能とされている。
【0028】
切断装置20は、把持具22を有する第2多関節ロボット21と、受け部24と、カッタ装置26と、を主に備え、移送装置13の下流側に配置されている。なお、
図3では、カッタ装置26の図示を省略している。
第2多関節ロボット21は、搬送方向Lに対して直交する方向に向かい合うように一対配置されている。第2多関節ロボット21は、基部71が装置筐体11の天板プレート56に支持されることにより天板プレート56から吊設されている。把持具22は、第2多関節ロボット21の先端部に取り付けられ、受け部24に載置された食品ワーク60を把持可能に構成されている。
【0029】
受け部24は、第1搬送路12と第2搬送路15との間において、搬送機構25によって搬送方向Lに往復移動可能且つ上下移動可能とされている。この受け部24は、移送装置13によって食品ワーク60が載せられた後、搬送機構25によってカッタ装置26の下方まで移動する。そして、切断された食品ワーク60が受け部24上から搬送された後、受け部24は第1搬送路12の下流側まで戻るように移動する。
【0030】
なお、図示の例では、受け部24は2つ設けられ、食品ワーク60を第1搬送路12側からカッタ装置26の下方まで交互に繰り返し搬送することが可能とされている。ただし、受け部24の数は2つに限定されるものではなく、1つでも構わない。
【0031】
カッタ装置26は、カッタ作動部73と、超音波カッタ74と、を主に備えている。
カッタ作動部73は、装置筐体11の天板プレート56に支持されることにより天板プレート56から吊設されている。カッタ作動部73の下端部には、超音波カッタ74が取り付けられている。
超音波カッタ74は、カッタ作動部73の作動により、受け部24に載せられた食品ワーク60の上方に配置される。そして超音波カッタ74は、カッタ作動部73の作動によって下降し、受け部24に載せられた食品ワーク60を2分割するように切断することが可能とされている。
【0032】
一対の第2多関節ロボット21は、それぞれの把持具22を利用して、カッタ装置26による切断前から食品ワーク60を把持すると共に、切断中であっても把持した状態を維持する。さらに一対の第2多関節ロボット21は、食品ワーク60の切断後、半分に切断された各食品ワーク60を把持した状態をそれぞれ維持しながら、袋詰め装置40まで搬送する。
【0033】
シート取出装置30は、
図1~
図3及び
図5に示すように、複数枚の包装シート80を積み重ね可能に収容するストッカ31と、ストッカ31内の包装シート80を吸着によって把持する吸着部(本発明に係る把持部)32と、ストッカ31に対して吸着部32を相対移動させる移動部33と、を主に備え、カッタ装置26よりも下流側に配置されている。
吸着部32は、ストッカ31の下方に配置され、ストッカ31内に収容された複数の包装シート80のうち最下層の包装シート80を把持することが可能とされている。そして、移動部33を利用して吸着部32を移動させることにより、最下層の包装シート80を残りの包装シート80から分離しながら1枚だけストッカ31から取り出すことが可能とされている。
なお、シート取出装置30については、後に詳細に説明する。
【0034】
図1~
図3に示すように、ストッカ31から取り出された包装シート80は、袋詰め装置40の第3多関節ロボット41で袋詰め装置40に搬送される。
【0035】
袋詰め装置40は、第3吸着部42を有する第3多関節ロボット41と、シート開きユニット43と、把持具22を有する一対の第2多関節ロボット21と、を備え、カッタ装置26の下流側であって、且つシート取出装置30の上流側に配置されている。
なお、一対の第2多関節ロボット21は、切断装置20と兼用の部材とされている。
【0036】
第3多関節ロボット41は、基部82が装置筐体11の天板プレート56に支持されることにより天板プレート56から吊設されている。第3吸着部42は、第3多関節ロボット41の先端部に取り付けられ、シート取出装置30で取り出した包装シート80を上方から吸着可能とされている。そして、第3多関節ロボット41は、第3吸着部42で吸着した包装シート80をシート開きユニット43に搬送する。
【0037】
シート開きユニット43は、包装シート80を袋状に開くことが可能とされている。そして、シート開きユニット43で袋状に開いた包装シート80内に、一対の第2多関節ロボット21の把持具22に把持された切断後の食品ワーク60が挿入される。これにより、袋状に開かれた包装シート80内に、食品ワーク60を詰めることが可能とされる。
【0038】
包装シート80内に詰められた食品ワーク60は、第2搬送路15上に受け渡され、該第2搬送路15によって、自動袋詰め装置10から次工程に搬出される。
なお、第2搬送路15としては、例えばベルトコンベア等が挙げられる。ただし、第2搬送路15はベルトコンベアに限定されるものではなく、食品ワーク60を搬送できれば、その他の搬送手段を採用して構わない。
【0039】
本実施形態の自動袋詰め装置10は、先に述べたように、装置筐体11内に複数の多関節ロボット(第1多関節ロボット62、一対の第2多関節ロボット21及び第3多関節ロボット41)を具備している。特に第1多関節ロボット62、一対の第2多関節ロボット21及び第3多関節ロボット41は、天板プレート56から吊設されている。さらに複数の多関節ロボットのうち、少なくとも第3多関節ロボット41は、第2搬送路15の上方に位置している。
【0040】
自動袋詰め装置10において、食品ワーク60を搬送、切断加工する場合、衛生面に特に留意する必要があるため、装置筐体11内の清掃性を確保することが重要とされている。加えて、自動袋詰め装置10は、複数の多関節ロボットや複雑な機構(例えば、シート開きユニット43)を多数具備しているため、各構成部品の間等に、使用者の身体を入れる隙間を確保することが難しい。従って、自動袋詰め装置10のメンテナンス性や清掃性を確保することが困難な傾向にある。
この対策として、例えば複数の多関節ロボット間の隙間を大きく確保して、メンテナンス性や清掃性を向上させることが考えられる。しかしながら、複数の多関節ロボット間の隙間を大きくした場合には、自動袋詰め装置10自体の搬送方向Lにおいての大型化を招いてしまうので、好ましくない。
【0041】
この点、本実施形態では、第1多関節ロボット62、一対の第2多関節ロボット21及び第3多関節ロボット41を、天板プレート56から吊設させている。これにより、ベースプレート57から、第1多関節ロボット62、一対の第2多関節ロボット21及び第3多関節ロボット41を天板プレート56側に移動させることができる。そのため、各ロボットの基部がベースプレート57に存在しないため、例えば塵埃等を取り除き易い。従って、自動袋詰め装置10の衛生状態を容易に保つことができる。
【0042】
さらに、第1多関節ロボット62、一対の第2多関節ロボット21及び第3多関節ロボット41を、例えばメンテナンス時に天板プレート56側に袋詰め作業時よりも上昇させることにより、メンテナンスや清掃の作業性を高めることができる。
加えて、第1多関節ロボット62を第1搬送路12の上方に、また第3多関節ロボット41を第2搬送路15の上方に配置しているので、装置筐体11内において第1搬送路12及び第2搬送路15を間に挟んだ両側の空間部分を有効活用することができ、自動袋詰め装置10全体のコンパクト化に繋げることができる。
【0043】
さらに、第3多関節ロボット41に隣接する第2多関節ロボット21は、搬送方向Lに対して直交する方向に向かい合うように一対配置されている。これにより、搬送方向L側へのスペースを削減することができ、自動袋詰め装置10の全体が搬送方向Lに大型化することを抑制することができる。
【0044】
次に、シート取出装置30について、
図5~
図9を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、包装シート80の取出し方向を矢印Aで示す。
図5~
図9に示すように、シート取出装置30は、先に述べたようにストッカ31と、吸着部32と、移動部33と、に加えてシャッタ部34(本発明に係るカバー片)を備えている。
【0045】
ストッカ31は、複数枚の包装シート80を、包装シート80のシート面に垂直な上下方向(積層方向)に積み重ね可能に収容することが可能とされている。このストッカ31には、包装シート80を取り出す取出口として、後述する第1開口部101及び第2開口部102が形成されている。
【0046】
ストッカ31は、ストッカ支持部91と、シート載せ台92と、シート規制部93と、を備えている。ストッカ支持部91は、自動袋詰め装置10の第2搬送路15の上方に一部が配置され、装置筐体11の第1支柱52に支持されている。ストッカ支持部91にシート載せ台92が取り付けられている。
【0047】
シート載せ台92は、第1載せ部95および第2載せ部96を備える。第1載せ部95および第2載せ部96は、ストッカ支持部91の中央部91aの両側に載置され、包装シート80を取り出す矢印Aに交差する方向に対して両側に間隔をおいて配置されている。第1載せ部95および第2載せ部96は、ストッカ支持部91に複数の着脱ねじ98で締結されている。
【0048】
第1載せ部95および第2載せ部96は、平面視矩形状に形成され、矢印A方向側の各第1辺95a、96aに第1開口部101および第2開口部102を有する。第1開口部101および第2開口部102は、最下層の包装シート80を取り出し可能に第1辺95a、96aに沿って矩形状に形成されている。第1載せ部95および第2載せ部96にはシート規制部93が取り付けられている。
【0049】
シート規制部93は、第1載せ部95に取り付けられた第1規制部104と、第2載せ部96に取り付けられた第2規制部105と、を備えている。第1規制部104および第2規制部105は、ストッカ支持部91の中央部91aに対して対称の部材であり、以下、第1規制部104および第2規制部105の構成部材に同じ符号を付して第2規制部105の詳しい説明を省略する。
【0050】
第1規制部104は、第1~第5の規制プレート111~115を備える。第1~第5の規制プレート111~115は、第1載せ部95にボルト117で包装シート80の周縁に沿って取り付けられ、包装シート80を複数積み重ね可能に第1載せ部95から立ち上げられている。
【0051】
包装シート80は、平面視略扇状の6角形に形成されている。包装シート80は、食品ワーク60の形状に合わせて大きさが変化する。第1~第5の規制プレート111~115は、食品ワーク60の形状変化に対応させるために、ボルト117の取付穴118が長孔に形成されている。これにより、食品ワーク60の形状変化に対応させて第1~第5の規制プレート111~115を取り付けることができる。
【0052】
第1規制部104により第1載せ部95に複数の包装シート80が積み重ねられた状態において、最下層の包装シート80のうち、取出し側の部位であるシート端部80aが第1開口部101および第2開口部102に対向して配置される。第1開口部101および第2開口部102のうち、矢印A側の第1縁部101a,102aの下方にシャッタ部34のシャッタ121が配置されている。
【0053】
第1載せ部95および第2載せ部96の周囲には複数の把手119が取り付けられている。よって、第1載せ部95および第2載せ部96から複数の着脱ねじ98を外した状態において、把手119を持って第1載せ部95および第2載せ部96をストッカ支持部91から外すことができる。これにより、ストッカ支持部91にシート載せ台92を、換言すれば、複数の包装シート80を容易に着脱することができる。
【0054】
シャッタ部34は、シャッタ121と、シャッタ作動部122と、を備える。シャッタ121は、
図6及び
図7に示す待機位置に配置された状態において、第1開口部101および第2開口部102の第1縁部101a,102aを下方から覆うように、第1縁部101a,102aの下方に配置されている。
【0055】
第1開口部101および第2開口部102の第1縁部101a,102aには、最下層の包装シート80のシート端部80aが配置されている。シャッタ121は、最下層の包装シート80のシート端部80aを下方から覆うように幅寸法がW1に設定されている。
よって、最下層の包装シート80のシート端部80aは、第1開口部101および第2開口部102から垂れ下がらないように、シャッタ121により下方から支えられている。すなわち、シャッタ121は、待機位置に配置された状態において、最下層の包装シート80のシート端部80aを支持する庇部の役割を果たす。シャッタ121にシャッタ作動部122が連結されている。
【0056】
シャッタ作動部122は、ストッカ支持部91の中央部91aにおいてシャッタ121の長手方向に交差する方向を向いて配置されている。シャッタ作動部122は、例えばシャッタ121を包装シート80の取出方向(矢印A方向)と、矢印A方向の反対方向(矢印B方向)とに移動する電動シリンダである。シャッタ121(すなわち、ストッカ31)の下方に吸着部32が配置されている。
【0057】
吸着部32は、吸着プレート124と、複数の第1吸着パッド125と、複数の第2吸着パッド126とを備える。
吸着プレート124は、支持部127と、一対の傾斜部128と、連結部129と、を有する。支持部127は、吸着部32が待機位置に配置された状態において、シート載せ台92(具体的には、シャッタ121)に沿って矢印A方向に対して交差する方向に配置されている。支持部127に複数の第1吸着パッド125と、複数の第2吸着パッド126とが、矢印A方向に対して交差する方向に間隔をおいて取り付けられている。
【0058】
複数の第1吸着パッド125は、シャッタ121の下方近傍に配置され、第1開口部101に向けて取り付けられている。複数の第2吸着パッド126は、シャッタ121の下方近傍に配置され、第2開口部102に向けて取り付けられている。
【0059】
支持部127のうち矢印B方向の端部において、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126に対応する部位に一対の傾斜部128が矢印B方向に向けて下り勾配に形成されている。一対の傾斜部128は、最下層の包装シート80を取り出す際に、最下層の包装シート80を載せて支持可能に平坦に形成されている。
また、支持部127のうち矢印A方向側の端部において、長手方向の中央に連結部129が下向きに形成されている。連結部129に移動部33が取り付けられている。
【0060】
移動部33は、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を、矢印A-B方向、矢印C-D方向(上下方向)、および矢印E-F(旋回方向)に移動するように構成されている。すなわち、移動部33は、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を、ストッカ31の包装シート80から下方に向けて離れる矢印E方向に旋回移動し、かつ、シャッタ121に向けて包装シート80の面内方向(すなわち、矢印A方向)に移動する。
【0061】
図9~
図11に示すように、シート取出装置30によれば、最下層の包装シート80を第1吸着パッド125および第2吸着パッド126で吸着するようにした。さらに、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を積み重ねられた包装シート80から離れる矢印E方向に下方へ向けて旋回移動可能で、かつ、シャッタ121に向けて包装シート80の面内方向(すなわち、矢印A方向)に移動可能とした。
よって、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を、積み重ねられた包装シート80から離れる方向に旋回移動することにより、最下層の包装シート80のシート端部80aをシャッタ121から好適に下方に外すことができる。これにより、最下層の包装シート80を、積み重ねられた残りの包装シート80から確実に分離できる。
【0062】
この状態において、
図11及び
図12に示すように。第1吸着パッド125および第2吸着パッド126をシャッタ121に向けて包装シート80の面方向(矢印A方向)に移動する。この際に、シャッタ121を、第1開口部101および第2開口部102のうち、矢印B方向の第2縁部101b,102bに向けて、第2縁部101b,102bの近傍まで矢印B方向に移動する。よって、最下層の包装シート80のシート端部80aを第1吸着パッド125および第2吸着パッド126とともに矢印A方向に移動することにより、残りの包装シート80から最下層の包装シート80をシャッタ121で確実に分離できる。これにより、最下層の包装シート80を第1開口部101および第2開口部102から確実に取り出すことができる。
【0063】
また、シート取出装置30によれば、最下層の包装シート80をストッカ31の下部の第1開口部101および第2開口部102から取り出すようにした。これにより、包装シート80の取出し作業を中断することなく、ストッカ31に上方から包装シート80を補充することができ、シート取出装置30の作業性を高めることができる。
【0064】
つぎに、ストッカ31に積み重ねられた複数の包装シート80から最下層の包装シート80を取り出す動作について説明する。
なお、第1吸着パッド125と第2吸着パッド126とは同様の構成部材であり、以下、第1吸着パッド125について説明して第2吸着パッド126の説明を省略する。また、第1開口部101と第2開口部102とは同様の構成部材であり、以下、第1開口部101について説明して第2開口部102の説明を省略する。
【0065】
図9に示す状態から
図10に示すように、第1吸着パッド125を移動部33で待機位置から矢印C方向に上昇させることにより、最下層の包装シート80のシート端部80aに対して第1吸着パッド125を接触させる。第1吸着パッド125を真空状態に保つことにより、第1吸着パッド125にシート端部80aを吸着する。
【0066】
次いで
図11に示すように、第1吸着パッド125を移動部33により、包装シート80の積層方向において、矢印D方向に移動させる。具体的には、第1吸着パッド125を移動部33により、矢印E方向に下方へ向けて旋回移動させる。これにより、最下層の包装シート80のシート端部80aがシャッタ121から外れてシャッタ121の下方に垂れ下がる。吸着プレート124の傾斜部128が第1吸着パッド125とともに上方へ向けて旋回移動することにより水平に配置される。
【0067】
次いで
図12に示すように、シャッタ121をシャッタ作動部122で第1開口部101に向けて矢印B方向へ移動させる。これにより、シャッタ121は、最下層の包装シート80に隣接する包装シート80のシート端部80aと、最下層の包装シート80のシート端部80aとの間に配置される。
次いで
図13に示すように、第1吸着パッド125を移動部33により、取出口方向である、矢印A方向に移動させる。これにより、第1吸着パッド125とともに最下層の包装シート80のシート端部80aが矢印A方向に移動する。
【0068】
ここで、
図13に示すように、最下層の包装シート80に隣接する包装シート80のシート端部80aと、最下層の包装シート80のシート端部80aとの間にシャッタ121が配置されている。よって、最下層の包装シート80のシート端部80aが矢印A方向に移動する際に、最下層の包装シート80に隣接する包装シート80から、最下層の包装シート80をシャッタ121で良好に分離できる。
【0069】
従って、隣接する包装シート80から分離された最下層の包装シート80は、第1開口部101を経てストッカ31から取り出される。取り出された最下層の包装シート80は、吸着プレート124の傾斜部128に載置されることにより水平に保たれる。よって、取り出された最下層の包装シート80を次工程の袋詰め装置40に良好に搬送することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0071】
例えば、上記実施形態において、本発明に係るカバー片の一例としてシャッタ部34として説明したが、カバー片としては例えば、シート端部80aに対して対向した状態で取出口(第1開口部101及び第2開口部102)を部分的に覆うようにストッカ31に固定された固定片としても構わない。
この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【0072】
さらに上記実施形態では、シャッタ121を、第1開口部101および第2開口部102の第2縁部101b,102bの近傍まで移動する例について説明したが、これに限らない。例えば、シャッタ121を第1開口部101および第2開口部102を超えて矢印B方向に移動させることも可能である。この場合、シャッタ121の幅寸法W1を包装シート80の全域を覆うように大きく設定することが好ましい。これにより、包装シート80の全体をシャッタ121で良好に分離することができる。
【0073】
また、上記実施形態では、カバー片の一例としてシャッタ部34として説明したが、カバー片とシャッタ部は別部材で構成されていてもよい。すなわち、シート端部80aに対して対向した状態で第1開口部101及び第2開口部102を部分的に覆うようにストッカ31に固定されたカバー片と、上記実施形態におけるシャッタ部34とを別々に設けてもよい。これにより、例えばシャッタ部34の設定を変更することなく、必要に応じて、カバー片の大きさやストッカに対する固定位置を変えるだけで、食品ワーク60の形状に合わせて大きさが変化する各種包装シートへの対応が可能となる。
【0074】
また、上記実施形態では、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を移動部33でストッカ31の包装シート80から下方に離れる矢印E方向に旋回移動する例について説明したが、これに限らない。例えば、その他の例として、第1吸着パッド125および第2吸着パッド126を移動部33でストッカ31の包装シート80から離れる矢印D方向に下方に移動することも可能である。この場合においても、最下層の包装シート80のシート端部80aをシャッタ121から外してシャッタ121の下方に垂れ下げることができる。
【0075】
さらに、上記実施形態では、ストッカ31の下部から最下層の包装シート80を取り出す例について説明したが、これに限らない。例えばその他の例として、ストッカ31の上部から最上層の包装シート80を取り出すように構成することも可能である。
【0076】
さらに、上記実施形態では、最下層の包装シート80のシート端部80aを把持する把持部として吸着部32を例示したが、これに限らない。例えばその他の例として、把持部を、最下層の包装シート80のシート端部80aをハンドなどで把持する構成とすることも可能である。
【0077】
さらに、上記実施形態では、食品ワーク60をサンドイッチとし、サンドイッチを包装シート80で包装する袋体として使用する例について説明したが、これに限らない。
その他の例として、例えば、包装シート80を、おにぎりなどを包装する袋体に適用することも可能である。また、包装シート80を、コンビニエンスストアのスパゲッティや総菜パンの上にかけられている食品用のフィルムシートとして適用することも可能である。さらに、本発明に係るシートは、包装シートに限定されるものではなく、例えば印刷用フィルムシート、梱包用ポリ袋、ポリ封筒、製品梱包に同梱される説明書等であっても構わない。
【0078】
30…シート取出装置
31…ストッカ
32…吸着部(把持部)
33…移動部
34…シャッタ部(カバー片)
80…包装シート(シート)
80a…シート端部
101…第1開口部(取出口)
102…第2開口部(取出口)