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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】接着方法および接着装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/72 20060101AFI20221124BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20221124BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B29C65/72
B29C65/20
B29C65/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018217062
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2020082422
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501410126
【氏名又は名称】ブランソン・ウルトラソニックス・コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】596088093
【氏名又は名称】オリヒロエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増永 俊之
(72)【発明者】
【氏名】齋木 卓
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 正貴
(72)【発明者】
【氏名】新谷 翼
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-323478(JP,A)
【文献】特開平03-231831(JP,A)
【文献】特開2003-118745(JP,A)
【文献】特開2014-065277(JP,A)
【文献】特表2018-533496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067912(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303345(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのシート状部材と、前記2つのシート状部材の間に配置された筒状体との接着方法であって、
前記2つのシート状部材の間に前記筒状体を位置させる、配置工程と、
前記2つのシート状部材の間に前記筒状体が配置された状態で、第1の前記シート状部材の外面からホーン部によって超音波を印加すると共に、第2の前記シート状部材の外面からアンビル部によって熱を印加し、前記筒状体と前記2つのシート状部材とを接着する筒状体接着工程と、
前記2つのシート状部材の間に前記筒状体が配置された状態で、一対の加熱部によって、前記2つのシート状部材を挟み、該2つのシート状部材同士を直接接着することを含む肩部接着工程と、
を備え
前記筒状体は、本体部と、帯部とを有し、
筒状体接着工程は、前記2つのシート状部材のうち、前記筒状体における前記本体部と積層方向に重なる部分と、該本体部とを、前記ホーン部および前記アンビル部で挟むことにより行われ、
前記肩部接着工程は、前記2つのシート状部材のうち、前記筒状体における前記本体部の端部および前記帯部と積層方向に重なる部分を、前記一対の加熱部によって挟むことで、前記2つのシート状部材のうち、前記筒状体における前記帯部と積層方向に重なる部分と、該帯部とを、接着することをも含む、
接着方法。
【請求項2】
前記肩部接着工程は、前記筒状体接着工程の後に行われる、
請求項1の接着方法。
【請求項3】
前記筒状体接着工程は、前記2つのシート状部材および前記筒状体に対する1秒以下の超音波印加および熱印加によって、完了する、
請求項1または2の接着方法。
【請求項4】
2つのシート状部材の間に筒状体が配置された状態で、前記2つのシート状部材と前記筒状体とを所定の搬送方向に移動させる搬送機構と、
第1の前記シート状部材の外面側に設けられ、第1の前記シート状部材の外面に超音波を印加するホーン部と、
第2の前記シート状部材の外面側に設けられ、前記ホーン部との間で、前記2つのシート状部材および前記筒状体を挟み、第2の前記シート状部材の外面に熱を印加するアンビル部と、
前記ホーン部および前記アンビル部の搬送方向の下流側に設けられ、少なくとも前記2つのシート状部材を挟んで、該2つのシート状部材に熱を印加する一対の加熱部と
を備えた、接着装置であって、
前記ホーン部および前記アンビル部は、前記2つのシート状部材のうち、前記筒状体における本体部と積層方向に重なる部分と、前記本体部とに、超音波および熱を印加するエリアを有しており、
前記一対の加熱部は、搬送方向に隣り合う2つの前記筒状体に関して、
前記2つのシート状部材のうち、上流側の前記筒状体における本体部の下流側端部および下流側の帯部と積層方向に重なる部分と、
前記2つのシート状部材のうち、下流側の前記筒状体における本体部の上流側端部および上流側の帯部と積層方向に重なる部分と、
前記2つのシート状部材が直接重なる部分と、
に同時に熱を印加するエリアを有している、
接着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材の間に筒状体を有する構造を得る接着方法および接着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最終的に袋状となる対象部材に、口栓を溶着させる技術として、特許文献1に開示された装置がある。この装置では、2つのシート状部材の間に口栓を挟んだ状態で、一方のシート状部材の外面と、他方のシート部材の外面との両方から、超音波を印加し、2つのシート状部材および口栓を溶着させていた。
【0003】
かかる装置では、一方のシート状部材の外面と、他方のシート部材の外面とのそれぞれに対応して、2つの超音波印加機構を用意する必要があり、非常に高価な設備となっていた。
【0004】
また、超音波印加機構は、大きな設備であり、2つのシート状部材の両側に超音波印加機構が配置されることとなるため、スペースが嵩む構造であり、溶着装置全体が大型化する傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9427912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、装置全体の大型化を回避することができ、且つ、安価な構成で接着を行うことができる、接着方法および接着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するための本発明は、2つのシート状部材と、前記2つのシート状部材の間に配置された筒状体との接着方法であって、前記2つのシート状部材の間に前記筒状体を位置させる、配置工程と、前記2つのシート状部材の間に前記筒状体が配置された状態で、第1の前記シート状部材の外面からホーン部によって超音波を印加すると共に、第2の前記シート状部材の外面からアンビル部によって熱を印加し、前記筒状体と前記2つのシート状部材とを接着する筒状体接着工程と、前記2つのシート状部材の間に前記筒状体が配置された状態で、一対の加熱部によって、前記2つのシート状部材を挟み、該2つのシート状部材同士を直接接着することを含む肩部接着工程と、を備える、接着方法である。
【0008】
また、同目的を達成するための本発明は、2つのシート状部材の間に筒状体が配置された状態で、前記2つのシート状部材と前記筒状体とを所定の搬送方向に移動させる搬送機構と、第1の前記シート状部材の外面側に設けられ、第1の前記シート状部材の外面に超音波を印加するホーン部と、第2の前記シート状部材の外面側に設けられ、前記ホーン部との間で、前記2つのシート状部材および前記筒状体を挟み、第2の前記シート状部材の外面に熱を印加するアンビル部と、前記ホーン部および前記アンビル部の搬送方向の下流側に設けられ、少なくとも前記2つのシート状部材を挟んで、該2つのシート状部材に熱を印加する一対の加熱部とを備えた、接着装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置全体の大型化を回避することができ、且つ、安価な構成で接着を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る接着装置の全体図である。
図2】ホーン部、アンビル部および一対の加熱部に関し、図1の矢印IIからみた状態を示す図である。
図3】搬送機構、ホーン部、アンビル部および一対の加熱部に関する斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る接着方法の第1の状態を示す図である。
図5】本発明の実施の形態に係る接着方法の第2の状態を示す図である。
図6】本発明の実施の形態に係る接着方法の第3の状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る接着方法の第4の状態を示す図である。
図8】搬送過程における接着エリアを模式的に示す図である。
図9】筒状体接着工程を示す図である。
図10】肩部接着工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る接着方法および接着装置を、パウチのフィルムにスパウト(口栓)を接着する包装方法および包装装置として実施した場合の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る接着装置の全体図である。図2は、ホーン部、アンビル部および一対の加熱部に関し、図1の矢印IIからみた状態を示す図である。図3は、搬送機構、ホーン部、アンビル部および一対の加熱部に関する斜視図である。なお、説明においては、相互に直交するXYZの3軸を用い、図におけるX方向を左右方向、Y方向を高さ方向、Z方向を、前後方向として行っているものとする。
【0013】
包装装置としての接続装置1は、搬送機構3と、ホーン部5と、アンビル部7と、一対の加熱部9とを備えている。搬送機構3は、一例であるが、最上流部に、フィルムがロール状に巻き貯められたフィルムロール21と、複数の案内ローラ23と、製袋部25と、フィルム送りローラ27と、シゴキローラ29とを備えている。なお、図においては、図面の明瞭性を優先すべく、すべての案内ローラ23に参照符号23を付すのは避け、一部だけに付している。
【0014】
搬送機構3のフィルムロール21は、接続装置1の筐体11の後部外側に配置されている。フィルムロール21の搬送経路における下流(以下、単に、「下流」と称する)には、複数の案内ローラ23が配置されており、さらに、ボトム穴開け部31が設けられている。ボトム穴開け部31も、筐体11の後部外側に配置されている。
【0015】
ボトム穴開け部31の下流には、幾つかの案内ローラ23が配置され、さらに、印字部33が設けられている。印字部33の下流には、多数の案内ローラ23が密集した蛇行経路があり、さらにその下流に、蛇行修正部35があり、さらにその下流に、製袋部25が設けられている。
【0016】
製袋部25は、筐体11内に配置されており、ボトム折り込み部25aを備えている。ボトム折り込み部25aは、それまでフィルム幅に亘って平坦なシート状で送られてきたフィルム13を、幅方向中央部で折り重ねるように、フィルムの姿勢を変化させるガイドを含んでいる。すなわち、フィルム13は、ボトム折り込み部25aを通過するに従い、幅方向中央部13bで谷折りされ、幅方向両端13aが重ね合わせられるように、変形される。
【0017】
製袋部25の下流には、口栓供給部37が設けられている。口栓供給部37は、最終的に重ね合わせられる2つの幅方向両端13aの間に口栓(スパウト)15が挟まれるように、口栓15を供給する。口栓供給部37は、口栓15を円弧経路で移動させて、2つの幅方向両端13aの間に配置する搖動アームを備えている。また、口栓15は、ホーン部5とアンビル部7と同じ高さの位置に、換言すれば、後述するようにホーン部5とアンビル部7とが相互に接近したときに、ホーン部5とアンビル部7とに挟まれる高さの位置に、供給される。
【0018】
口栓供給部37の下流において、フィルムは、ボトムシール部39およびボトム2段シール部41によって、最終的なパウチ51でいうボトム51b側が処理され、後に詳述するようにホーン部5、アンビル部7、加熱部9によってトップ51a側が処理され、フィルム送りローラ27およびシゴキローラ29を経て横シール部43に到達する。そして、フィルムは、横シール部43において、最終的なパウチ51でいう両サイド51cがシールされ、最終的な一つのパウチ51の密封空間(内部容積)が確定され、最終的なパウチ51でいう両サイド51cの位置において裁断される。
【0019】
次に、ホーン部5、アンビル部7、一対の加熱部9について説明する。まず、ホーン部5とアンビル部7とは、ペアになっている。ホーン部5とアンビル部7とはそれぞれ、製袋部25のすぐ下流にあって、フィルム13および口栓15の搬送経路17の左右両側に振り分けられるようにして配置されている。また、ホーン部5とアンビル部7とはそれぞれ、左右方向に対面している。ホーン部5とアンビル部7とはそれぞれ、左右方向に沿って移動可能に設けられており、換言すれば、ホーン部5とアンビル部7とはそれぞれ、ホーン部5およびアンビル部7のそれぞれの先端が、搬送経路17に接近および離隔する方向に移動できるように、設けられている。
【0020】
ホーン部5は、搬送経路17にあるフィルム13に左右方向の一方側から超音波を印加することができる。また、アンビル部7は、搬送経路17にあるフィルム13に左右方向の他方側から熱を印加することができる。
【0021】
一対の加熱部9はそれぞれ、ホーン部5およびアンビル部7のペアのすぐ下流にあって、フィルム13および口栓15の搬送経路17の左右両側に振り分けられるようにして配置されている。一対の加熱部9はそれぞれ、左右方向に対面している。一対の加熱部9はそれぞれ、左右方向に沿って移動可能に設けられており、換言すれば、一対の加熱部9はそれぞれ、その先端が、搬送経路17に接近および離隔する方向に移動できるように、設けられている。
【0022】
一対の加熱部9はそれぞれ、搬送経路17にあるフィルム13に左右方向の両側から熱を印加することができる。
【0023】
次に、図4図10をも参照して、接続装置1の動作、すなわち、本実施の形態に係る接続方法(包装方法)について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る接着方法の第1の状態を示す図であり、図5は、本発明の実施の形態に係る接着方法の第2の状態を示す図であり、図6は、本発明の実施の形態に係る接着方法の第3の状態を示す図であり、図7は、本発明の実施の形態に係る接着方法の第4の状態を示す図である。また、図8は、搬送過程における接着エリアを模式的に示す図である。図9は、筒状体接着工程を示す図である。図10は、肩部接着工程を示す図である。
【0024】
まず、接着方法は、2つのシート状部材と、それら2つのシート状部材の間に配置された筒状体との接着方法であって、一つのパウチ51となる対象でみたとき、少なくとも、配置工程と、筒状体接着工程と、肩部接着工程と、を備える。
【0025】
配置工程として、図4に示されるように、2つのシート状部材の間に筒状体を位置させる。具体的には、2つのシート状部材としての、製袋部25によって折り返され重ね合わされたフィルム13の2つの部分の間に、筒状体としての、口栓15が挟まれるように配置される。なお、口栓15は、口栓ウォーマー37a(図8参照)によって予め予熱されていてもよい。
【0026】
次に、筒状体接着工程として、2つのシート状部材の間に筒状体が配置された状態で、図5に示されるように、それまで相互に離隔していたホーン部5およびアンビル部7が、相互に接近する向きに移動し、これらホーン部5およびアンビル部7の間に、フィルム13の2つの部分および口栓15が挟まれる。そして、このように挟まれた状態で、第1のシート状部材の外面にホーン部5によって超音波を印加すると共に、第2のシート状部材の外面にアンビル部7によって熱を印加し、筒状体と2つのシート状部材とを接着する。
【0027】
なお、ここで、シート状部材の外面は、最終的にパウチ51となったときの外側となる面を意味し、シート状部材の内面は、最終的にパウチ51となったときの収容空間側つまり内部側となる面を意味する。ホーン部5は、第1のシート状部材の外面側に設けられ、アンビル部7は、第2のシート状部材の外面側に設けられている。ホーン部5とアンビル部7とは、2つのシート状部材および筒状体を挟み、最終的にパウチ51となったときでいう一面側から超音波を印加し、他面側から熱を印加する。
【0028】
次に、図6に示されるように、ホーン部5およびアンビル部7が相互に離隔する向きに移動する。すなわち、ホーン部5およびアンビル部7が対応するシート状部材と離れる。次に、搬送機構3により、2つのシート状部材の間に筒状体が配置された状態で、2つのシート状部材と筒状体とが所定の搬送方向に移動される。つまり、これまでホーン部5とアンビル部7との間にあった、参照符号Aで示される対象が、図7に示されるように、所定の1ピッチ分ずらされ、一対の加熱部9の上部の間に配置される。
【0029】
次に、1ピッチ分搬送された後(図7)の参照符号Aで示される対象は、1ピッチ分搬送される前(図4図6)の参照符号Bの位置において、肩部接着工程として、2つのシート状部材の間に筒状体が配置された状態で、一対の加熱部9によって挟まれ、2つのシート状部材同士が直接接着される。すなわち、参照符号Aで示される対象が1ピッチ分搬送される間、相互に離隔していた一対の加熱部9が、1ピッチ分搬送後に相互に近づく向きに移動し、2つのシート状部材を挟み、第1のシート状部材の外面に一方の加熱部9によって熱を印加すると共に、第2のシート状部材の外面に他方の加熱部9によって熱を印加し、2つのシート状部材同士を接着する。
【0030】
換言すれば、一方の加熱部9は、第1のシート状部材の外面側に設けられ、他方の加熱部9は、第2のシート状部材の外面側に設けられている。一対の加熱部9は、2つのシート状部材を挟み、最終的にパウチ51となったときでいう両面側から熱を印加する。
【0031】
さらに、筒状体接着工程および肩部接着工程それぞれの、接着エリアの詳細について、図8図10を参照して説明する。本実施の形態では、口栓15は、本体部61と、一対の帯部63とを有する。本体部61は、最終的なパウチ51になったときの端部側の筒部61aと、最終的なパウチ51になったときの収容空間側の基部61bとを含んでいる。口栓15は、筒部61aの軸心に沿ってのび、筒部61aおよび基部61bを貫通する貫通穴61cを有している。
【0032】
基部61bは、フィルム13との接着に供される部分であり、一例であるが、本実施の形態では、貫通穴61cの延びる方向でみて、すなわち、図9および図10の紙面においてみて、菱形の外形面を有している。筒部61aは、図9および図10に示されるように、円筒状の部分であり、この円筒の外側面には、図示省略する雄ねじが形成されており、パウチ51として使用に供される際には図示省略するねじ式の蓋が嵌められることとなる。一方、一対の帯部63は、それぞれ、基部61bの対応する端部から貫通穴61cに対して離れる向きに延びている。より詳細には、一対の帯部63は、基部61bにおける、フィルム13が延びている方向の両端部に位置している。
【0033】
筒状体接着工程は、図9に示されるように、フィルム13の2つのシート状部材のうち、口栓15における本体部61と積層方向(重ね合わせ方向あるいはX方向)に重なるフィルム部分と、本体部61とを、ホーン部5およびアンビル部7で挟むことにより行われる。換言すると、ホーン部5およびアンビル部7は、フィルム13の2つのシート状部材のうち、口栓15における本体部61と積層方向に重なるフィルム部分と、本体部61とに、超音波Tおよび熱Hを印加するエリア(図8での斜線エリア)を有している。また、このエリアは、帯部63を挟まない範囲となっている。
【0034】
一方、肩部接着工程は、図10に示されるように、フィルム13の2つのシート状部材同士が直接接着されることに加え、さらに、フィルム13の2つのシート状部材のうち、口栓15における本体部61の端部および帯部63と積層方向(重ね合わせ方向あるいはX方向)に重なるフィルム部分を、一対の加熱部9によって挟むことで、フィルム13の2つのシート状部材のうち、口栓15における帯部63と積層方向に重なるフィルム部分と、帯部63とを、接着することをも含む。
【0035】
ここで、実際には、複数の口栓15が連続するフィルム13に対して、等ピッチおよび等時間間隔で供給されている。ホーン部5およびアンビル部7の動作、2つの加熱部9の動作、ならびに、搬送動作は、次のようにして行われている。すなわち、図4に示される口栓供給動作、図5に示されるホーン部5およびアンビル部7の第1のペアと、2つの加熱部9の第2のペアとの同時のクローズ動作、図6に示されるホーン部5およびアンビル部7の第1のペアと、2つの加熱部9の第2のペアとの同時のオープン動作、ならびに、図7で示される1ピッチ分の搬送動作が、この順で、繰り返されている。
【0036】
すなわち、装置としては、ワンアクションで、筒状体接着工程と肩部接着工程とが同時に実行されている。よって、図8および図10に示されるように、一対の加熱部9は、搬送方向Mに隣り合う2つの口栓15に関して、2つのシート状部材のうち、搬送方向の上流側の口栓15における本体部61の下流側端部65および下流側の帯部63と積層方向に重なる部分と、2つのシート状部材のうち、搬送方向の下流側の口栓15における本体部61の上流側端部67および上流側の帯部63と積層方向に重なる部分と、2つのシート状部材が直接重なる部分とに、同時に熱を印加するエリアを有している。
【0037】
一方、最終的に一つのパウチ51になる対象としてみた場合、肩部接着工程は、筒状体接着工程の後に行われるものであり、より詳細には、一例として図5の紙面に記載された参照符号を用いて説明すると、参照符号Aの位置で筒状体接着工程が行われ、1ピッチ搬送されて、参照符号Bの位置で下流側のパウチ肩部に関する肩部接着工程が行われ、さらに、1ピッチ搬送されて、参照符号Cの位置で上流側のパウチ肩部に関する肩部接着工程が行われることとなる。
【0038】
以上に説明した本実施の形態によれば、パウチの一方の外面側は超音波印加手段を用い他方の外面側は加熱印加手段を用いるので、相対的に高価且つ大掛かりな超音波印加手段をパウチでみた両方の外面側に設けずに済み、装置全体の大型化を回避し、且つ、安価な構成で接着を行うことができる。
【0039】
加えて、本実施の形態は、単なる低コスト化の実現および大型化回避に留まるだけではなく、次のような極めて優れた利点も有している。本発明の接着の対象には、そもそも、2つのシート状部材と、それら2つのシート状部材の間に配置された筒状体との接着という特殊性が存在している。すなわち、2つの物体の溶着という通常の溶着、つまり、単なる2つのシート状部材の溶着であれば、特別な困難性はなく、簡単にシールすることできる。これに対して、2つのシート状部材の間に筒状体を挟んだ場合、この筒状体が中空であるという特殊性に起因した溶着の困難性が生じる。つまり、中空部があることで熱が伝わりにくいという事情が生じている。
【0040】
そこで、このような中空部が介在する溶着を、大型化およびコスト増加の双方を回避しつつ実施しようとした場合、次のような比較例としての方法がある。この方法では、3つの種類の工程を経て溶着が行われる。まず、第1の種類の工程では、シート状部材のうち筒状体と重なる領域のみに集中的に熱を印加する。本実施の形態と同じフィルムおよび口栓を対象とした場合、150度の高温で最低1.4秒の加熱が必要である。それに続いて、第2の種類の工程として、第1の種類の工程で既に加熱した領域を含むようにして、さらに、シート状部材同士が直接重なる領域をも含めて、最終的なパウチとなる全幅に亘って、加熱を行う。さらに、第3の種類の工程として、筒状体である口栓が樹脂なので、熱を持ったままとなるので、全体を冷却する。これによってはじめて、全体がきれいに溶着する。つまり、150度という高温で、しかも最低1.4秒の加熱が必要であり、それだけでなく、最後に、冷却工程も必須のものとなる。
【0041】
これに対して、本実施の形態では、筒状体接着工程において、ホーン側では、シート状部材と筒状体に加圧を掛けながら溶着し、アンビル側では、超音波振動がホーンからシート状部材および筒状体を経由し、アンビル側まで伝搬する。すなわち、超音波振動は口栓を伝搬する際に徐々に減衰してしまうが、減衰分としてアンビル側で熱を加えることで溶着するために必要なエネルギーを補完することができ、アンビル側では超音波印加せずに溶着される。かかる態様によれば、アンビル側からの加熱は、80~100度の温度で僅か0.3秒の加熱で済み、極めて短時間でより低温な加熱で済む。また、温度設定も80~100度という広範な範囲での選択が可能となり、柔軟な実施態様を許容する。さらに加えて、熱を保持しがちな筒状体に、比較例では、2回の加熱工程が強いられるが、本実施の形態では、筒状体接着工程の後の肩部接着工程では殆ど筒状体への加熱はない。また、筒状体への加熱そのものも、比較例では150度で最低1.4秒の加熱に対し、本実施の形態では、80~100度で0.3秒の加熱で済む。このため、上述した本実施の形態の説明より分かるように、本実施の形態では、冷却工程それ自体を省くことができ、工程の簡略化が実現される。また、この冷却工程の省略は、工程の簡略化を経由して、装置の大型化の回避と装置コストの低減にも寄与することとなる。
【0042】
よって、本実施の形態によれば、低コスト化の実現および大型化回避を行いながら、工程の簡略化や工程の短時間化という効果も得られている。
【0043】
また、本実施の形態では、安定した接着成績という点でも優れた利点が得られている。口栓のなかには、一対の帯部が形成されるものがある。これらの帯部は、口栓が成形品であることから、どうしても「ひけ」や「そり」に起因したばらつきが生じる。これに関し、特許文献1に開示の態様のように、接着対象の両外側から一対の超音波印加手段で溶着を行う態様では、ばらつきのある帯部を有する対象を好適に溶着できない恐れがある。これに対し、本実施の形態では、帯部を含まない本体部までを超音波による溶着で行い帯部は加熱により接着することを企図する。これによって、ばらつきの存在を完全に回避できない成形品である口栓を含む接着態様であっても、安定した接着成績を得ることができる。
【0044】
以上、好ましい実施の形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の改変態様を採り得ることは自明である。
【0045】
例えば、本発明は、少なくとも、外部と内部とが隔絶部材によって隔絶され内部に容積を有し少なくとも一か所に内部と外部との連通を可能とする出入口を有する袋状の物品に対して、その隔絶部材と出入口とを接続する方法・装置として実施することができ、その袋状の物品が、パウチと称されているか否かによって、実施対象に含まれたり外れたりするものではない。
【0046】
また、その袋状の物品の用途も特に限定されるものではなく、食品、飲み物(流動状の形態を含む)、医療行為に用いられる物品、私的行為や営利目的行為で使用される生活上や工業上の用品(例えば、歯磨きチューブ、ボンド、塗料等)、遊具としての用品等、その他いかなる目的で使用される、液体、流動状物体、気体、粉末状物体等、を収容するものに広く適用することができるだろう。
【0047】
また、本発明は、2つのシート状部材が最終的に袋状の部材を構成するものであることには限定されない。2つのシート状部材と、それら2つのシート状部材の間に配置された筒状体との接着の場面において広く適用することができるであろう。
【0048】
2つのシート状部材は、接着前には完全に分離している別個の2つのパーツのみに限定する意図ではなく、本実施の形態のように1つの部材を折り返して2部分となっている対象をも含む意味である。
【0049】
本発明に関する搬送機構は、本実施の形態に関して説明する搬送機構の構成に特に限定されるものではなく、2つのシート状部材を、予め決められた搬送経路に従って所定の搬送方向に移動させることができる機構であれば、特に限定されるものではない。
【0050】
筒状体は、空洞(貫通穴)の延びる方向でみて様々な形状の筒壁を含む。本実施の形態では、その一例として、土台(基部)が菱形であるものを例示したが、これに限定されるものではない。また、帯部は、口栓にとって必須のものではなく、帯部を持たない口栓に適用することも可能である。
【0051】
本発明は、筒状体接着工程を肩部接着工程の後に行うように改変して実施してもよい。その場合、搬送方向の上流および下流に関する位置として、ホーン部5およびアンビル部7の第1のペアの配置位置と、2つの加熱部9の第2のペアの配置位置とを、上述した実施の形態と入れ替えるようにして改変することで、実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 接続装置
3 搬送機構
5 ホーン部
7 アンビル部
9 加熱部
13 フィルム(シート状部材)
15 口栓(筒状体)
61 本体部
63 帯部
図1
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図10