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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】時計
(51)【国際特許分類】
   G04G 5/02 20060101AFI20221124BHJP
   G04C 9/08 20060101ALI20221124BHJP
   G04G 15/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
G04G5/02 Z
G04C9/08 A
G04G15/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018218548
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020085600
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】及川 亮太
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132302(JP,A)
【文献】特開平03-248092(JP,A)
【文献】特開平08-068875(JP,A)
【文献】特開平05-134061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04F 1/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する数量設定部と、
前記所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号及び前記設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が前記開始信号を受信した第1開始時点から前記終了信号を受信する第1終了時点までの間、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第1調整処理を実行する数量調整部と、
前記第1初期数量又は前記設定数量を表示する数量表示部と、
を備え
前記数量調整部は、前記第1調整処理を実行している途中で前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させる、
時計。
【請求項2】
所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する数量設定部と、
前記所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号及び前記設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が前記開始信号を受信した第1開始時点から前記終了信号を受信する第1終了時点までの間、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第1調整処理を実行する数量調整部と、
前記第1初期数量又は前記設定数量を表示する数量表示部と、
を備え、
前記規定時間は、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで前記設定数量を変化させる際の所要時間であり、前記第1初期数量の値とは独立して決定される、
時計。
【請求項3】
所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する数量設定部と、
前記所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号及び前記設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が前記開始信号を受信した第1開始時点から前記終了信号を受信する第1終了時点までの間、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第1調整処理を実行する数量調整部と、
前記第1初期数量又は前記設定数量を表示する数量表示部と、
を備え、
前記数量設定部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した場合、前記第1終了時点で前記数量表示部に表示されていた数量を第2初期数量に設定し、
前記数量調整部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した第2開始時点から再び前記終了信号を受信する第2終了時点までの間、前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで前記規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第2調整処理を実行し、
前記数量表示部は、前記第2初期数量又は前記設定数量を表示し、
前記数量調整部は、前記第2調整処理を実行している途中で前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させる、
時計。
【請求項4】
前記数量調整部は、前記第1調整処理を実行する場合、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を一定の速度で変化させる、
請求項に記載の時計。
【請求項5】
前記数量設定部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した場合、前記第1終了時点で前記数量表示部に表示されていた数量を第2初期数量に設定し、
前記数量調整部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した第2開始時点から再び前記終了信号を受信する第2終了時点までの間、前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで前記規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第2調整処理を実行し、
前記数量表示部は、前記第2初期数量又は前記設定数量を表示する、
請求項1または請求項に記載の時計。
【請求項6】
前記数量調整部は、前記第2調整処理を実行する場合、前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を一定の速度で変化させる、
請求項5に記載の時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からタイマー機能を備える時計が残り時間を計数する際の起点となる時間を調整する方法として、例えば、ボタンを押下し続ける操作により時間を連続的に変化させ、ボタンの押下を止めた際に表示されていた時間を残り時間を計数する際の起点に設定する方法がある。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、ステップモータと外部操作手段と修正信号作成回路と、時刻または、アラームの設定時刻または、タイマーの設定時間または、指針の基準位置等を外部操作手段により電子的に連続修正する制御手段を有し、修正信号作成回路により、連続修正を行うときの、指針の運針速度を段階的に増加または減少させることを特徴とした電子修正機能付時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平02-138895号公報
【0005】
しかし、この電子修正機能付時計は、連続修正の速度が一定である。このため、この電子修正機能付時計は、ユーザが設定したいと考えているタイマーの設定時間等と現在表示されている時間等との乖離が大きい場合、ユーザが外部操作手段を長時間操作し続けなければならないことがある。また、この電子修正機能付時計は、ユーザが設定したいと考えているタイマーの設定時間等と現在表示されている時間等との乖離が小さい場合、ユーザが外部操作手段を一回操作する間に所望の設定時間を通り過ぎてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、残り数量の計数の起点となる設定数量の調整に伴う煩わしさを軽減することができる時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る時計は、所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する数量設定部と、前記所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号及び前記設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が前記開始信号を受信した第1開始時点から前記終了信号を受信する第1終了時点までの間、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第1調整処理を実行する数量調整部と、前記第1初期数量又は前記設定数量を表示する数量表示部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記数量調整部は、前記第1調整処理を実行する場合、前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を一定の速度で変化させてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記数量調整部は、前記第1調整処理を実行している途中で前記第1初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記数量設定部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した場合、前記第1終了時点で前記数量表示部に表示されていた数量を第2初期数量に設定し、前記数量調整部は、前記信号受信部が前記第1終了時点の後に再び前記開始信号を受信した第2開始時点から再び前記終了信号を受信する第2終了時点までの間、前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限まで前記規定時間で到達するように前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる第2調整処理を実行し、前記数量表示部は、前記第2初期数量又は前記設定数量を表示してもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記数量調整部は、前記第2調整処理を実行する場合、前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を一定の速度で変化させてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る時計において、前記数量調整部は、前記第2調整処理を実行している途中で前記第2初期数量から前記所定範囲の上限又は下限に向かって前記設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、残り数量の計数の起点となる設定数量の調整に伴う煩わしさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る時計の構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る時計が第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる場合の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る時計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る時計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
図1及び図2を参照しながら、実施形態に係る時計の一例について説明する。図1は、実施形態に係る時計の構成の一例を示す図である。図1に示すように、時計1は、数量設定部11と、信号受信部12と、数量調整部13と、数量表示部14とを備える。以下の説明では、時計1が備えるタイマー機能を例に挙げて説明する。このタイマー機能は、0分0秒から99時間59分0秒の間で設定された時間を起点として0分0秒まで1秒ごとにカウントダウンする機能である。
【0016】
数量設定部11は、所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する。例えば、時計1が備えるタイマー機能の場合、所定範囲が0分0秒から99時間59分0秒であり、所定範囲の中の一つの数量が0分から99時間59分0秒の間の時間である50時間0分0秒である。なお、数量設定部11は、例えば、時計1の電源が投入された際に表示されていた数量を第1初期数量として設定してもよい。また、数量設定部11は、所定範囲、例えば、0分0秒から99時間59分0秒の上限又は下限を第1初期数量として設定してもよい。
【0017】
信号受信部12は、所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号及び設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号を受信する。
【0018】
開始信号は、例えば、一つの連続した信号の立ち上がり部分、複数のパルスを含む信号の初めのパルスの立ち上がり部分である。同様に、終了信号は、例えば、一つの連続した信号の立ち下がり部分、複数のパルスを含む信号の最後のパルスの立ち下がり部分である。この場合、ユーザが時計1に設けられているボタンの押下を開始した時に開始信号が信号受信部12へ送信され、当該ボタンを押下し続けた後、当該ボタンの押下を終了した時に終了信号が信号受信部12へ送信される。
【0019】
或いは、開始信号及び終了信号は、一つのパルス状の信号である。この場合、第1初期数量が設定された後、ユーザが時計1に設けられているボタンを押下した時に開始信号が信号受信部12へ送信され、再度当該ボタンを押下した時に終了信号が信号受信部12へ送信される。
【0020】
また、信号受信部12は、開始信号が受信されたか否かを判定し、終了信号が受信されたか否かを判定する。
【0021】
数量調整部13は、信号受信部12が開始信号を受信した第1開始時点から終了信号を受信する第1終了時点までの間、第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第1調整処理を実行する。ここで、数量調整部13は、第1開始時点から第1終了時点までの時間が規定時間未満である場合、例えば、規定時間が30秒に設定されており、ユーザが時計1に押下されているボタンを20秒押下した場合、第1終了時点で第1調整処理を終了させる。一方、数量調整部13は、第1開始時点から第1終了時点までの時間が規定時間以上である場合、例えば、規定時間が30秒に設定されており、ユーザが時計1に押下されているボタンを40秒押下した場合、規定時間が経過した時点で第1調整処理を終了させる。
【0022】
また、数量調整部13は、第1調整処理を実行している途中で第1初期数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させる。例えば、数量調整部13は、第1調整処理において、設定数量を変化させる速度を図2に示すように変化させる。
【0023】
図2は、実施形態に係る時計が第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる場合の一例を示す図である。図2の縦軸は、第1初期数量から所定範囲の上限までの数量ステップ数である。この数量ステップ数は、数量調整部13が単位時間当たりに変化させる数量の大きさであり、例えば、時計1が備えるタイマー機能の場合、単位時間が1秒であり、単位時間当たりに変化させる数量の大きさが1分である。また、図2の横軸は、時間である。
【0024】
図2には、点A、変曲点B、変曲点C、変曲点D、点Eが示されている。点Aは、第1初期数量S(i)及び第1開始時点T(i)を示している点である。第1開始時点T(i)は、例えば、0秒である。点Eは、所定範囲の上限S(f)及び第1開始時点T(i)から規定時間が経過した時点T(f)を示している点である。ここで、規定時間とは、第1初期数量から所定範囲の上限まで設定数量を変化させる際の所要時間であり、第1初期数量の具体的な値に関わらず一定である。規定時間は、第1開始時点T(i)及び第1開始時点T(i)から規定時間が経過した時点T(f)を用いて「T(f)-T(i)」と表される。規定時間は、時計1が製造される際に設定されてもよいし、ユーザにより任意の時間に調整されてもよく、例えば、30秒に設定される。また、所定範囲の上限は、例えば、99時間59分0秒、すなわち5999分である。
【0025】
変曲点Bは、第1開始時点から4秒が経過した時点における数量ステップ数が16であることを示している点である。変曲点Cは、第1開始時点から8秒が経過した時点における数量ステップ数が48であることを示している点である。変曲点Dは、第1開始時点から12秒が経過した時点における数量ステップ数が112であることを示している点である。また、変曲点B、変曲点C及び変曲点Dは、数量調整部13により設定される。
【0026】
図2に示されている線分の傾きは、数量調整部13が設定数量を変化させる速度を示している。例えば、線分ABは、当該速度が4Hz、すなわち1秒間に設定数量を4分変化させることを示している。同様に、線分BCは、当該速度が8Hzであることを示している。線分CDは、当該速度が16Hzであることを示している。線分DEは、当該速度が32Hzであることを示している。つまり、数量調整部13は、第1調整処理において、第1開始時点から4秒が経過するまでは4Hzで設定数量を変化させ、第1開始時点後4秒から8秒までは8Hzで設定数量を変化させ、第1開始時点後8秒から12秒までは16Hzで設定数量を変化させ、第1開始時点後12秒から30秒までは32Hzで設定数量を変化させる。
【0027】
なお、数量調整部13は、第1調整処理を実行する場合、第1初期数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を一定の速度で変化させてもよい。例えば、数量調整部13は、図2に示した線分AEの傾きが示している速度で設定数量を変化させてもよい。
【0028】
また、数量調整部13は、終了信号が受信された第1終了時点で表示されていた数量を設定数量に設定する。
【0029】
数量表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、文字盤に刻まれた時分等を指し示す針であり、第1初期数量又は設定数量を表示する。数量表示部14は、数量調整部13が第1調整処理において設定速度を変化させている場合、変化している途中の設定数量を逐一表示する。
【0030】
なお、時計1は、数量調整部13が第1終了時点以後に設定した設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数を開始させるよう指示する信号が受信されたか否かを判定し、当該信号が受信されたと判定した場合、当該設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量を計数する。
【0031】
次に、信号受信部12が第1終了時点の後に再び開始信号を受信した場合について説明する。
【0032】
数量設定部11は、信号受信部12が第1終了時点の後に再び開始信号を受信した場合、第1終了時点で数量表示部14に表示されていた数量を第2初期数量に設定する。例えば、数量設定部11は、ユーザが時計1に設けられているボタンの押下を終了させた後、再度当該ボタンを押下し、信号受信部12が開始信号を受信した場合、第2初期数量を設定する。
【0033】
信号受信部12は、第1終了時点の後に開始信号が受信されたか否かを判定し、第1終了時点の後に終了信号が受信されたか否かを判定する。
【0034】
数量調整部13は、信号受信部12が第1終了時点の後に再び開始信号を受信した第2開始時点から再び終了信号を受信する第2終了時点までの間、第2初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第2調整処理を実行する。ここで、第2調整処理における規定時間は、第1調整処理における規定時間と同じである。また、数量調整部13は、第2開始時点から第2終了時点までの時間が規定時間未満である場合、例えば、規定時間が30秒に設定されており、ユーザが時計1に押下されているボタンを15秒押下した場合、第2終了時点で第2調整処理を終了させる。一方、数量調整部13は、第2開始時点から第2終了時点までの時間が規定時間以上である場合、例えば、規定時間が30秒に設定されており、ユーザが時計1に押下されているボタンを45秒押下した場合、規定時間が経過した時点で第2調整処理を終了させる。
【0035】
また、数量調整部13は、例えば、図2を使用して説明した方法と同様の方法により、第2調整処理を実行している途中で第2初期数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させる。
【0036】
なお、数量調整部13は、第2調整処理を実行する場合、例えば、図2を使用して説明した方法と同様の方法により、第2初期数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を一定の速度で変化させてもよい。
【0037】
また、数量調整部13は、終了信号が受信された第2終了時点で表示されていた数量を設定数量に設定する。
【0038】
数量表示部14は、例えば、図2を使用して説明した方法と同様の方法により、第2初期数量又は設定数量を表示する。数量表示部14は、数量調整部13が第2調整処理において設定速度を変化させている場合、変化している途中の設定速度を逐一表示する。
【0039】
なお、時計1は、数量調整部13が第2終了時点以後に設定した設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数を開始させるよう指示する信号が受信されたか否かを判定し、当該信号が受信されたと判定した場合、当該設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量を計数する。
【0040】
次に、図3及び図4を参照しながら実施形態に係る時計の動作の一例を説明する。図3及び図4は、実施形態に係る時計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS10において、数量設定部11は、所定範囲の中の一つの数量を第1初期数量に設定する。
【0042】
ステップS20において、信号受信部12は、所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数の起点となる設定数量の調整を開始させるよう指示する開始信号が受信されたか否かを判定する。信号受信部12は、開始信号が受信されたと判定した場合(ステップS20:Yes)、処理をステップS30に進め、開始信号が受信されていないと判定した場合(ステップS20:No)、開始信号が受信されたと判定するまで待機する。
【0043】
ステップS30において、数量調整部13は、設定速度を変化させる速度を変化させる変曲点を設定する。
【0044】
ステップS40において、数量調整部13は、開始信号が受信された第1開始時点から終了信号が受信された第1終了時点までの間、第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第1調整処理を実行する。
【0045】
ステップS50において、信号受信部12は、設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号が受信されたか否かを判定する。信号受信部12は、終了信号が受信されたと判定した場合(ステップS50:Yes)、処理をステップS60に進め、終了信号が受信されていないと判定した場合(ステップS50:No)、処理をステップS60に戻す。
【0046】
ステップS60において、数量調整部13は、終了信号が受信された第1終了時点で表示されていた数量を設定数量に設定する。
【0047】
ステップS70において、信号受信部12は、第1終了時点の後に開始信号が受信されたか否かを判定する。信号受信部12は、第1終了時点の後に開始信号が受信されたと判定した場合(ステップS70:Yes)、処理をステップS80に進め、第1終了時点の後に開始信号が受信されていないと判定した場合(ステップS70:No)、処理をステップS130に進める。
【0048】
ステップS80において、数量設定部11は、ステップS60で設定された設定数量を第2初期数量に設定する。
【0049】
ステップS90において、数量調整部13は、設定速度を変化させる速度を変化させる変曲点を設定する。
【0050】
ステップS100において、数量調整部13は、第2初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第2調整処理を実行する。
【0051】
ステップS110において、信号受信部12は、第1終了時点の後に設定数量の調整を終了させるよう指示する終了信号が受信されたか否かを判定する。信号受信部12は、終了信号が受信されたと判定した場合(ステップS110:Yes)、処理をステップS120に進め、終了信号が受信されていないと判定した場合(ステップS110:No)、処理をステップS100に戻す。
【0052】
ステップS120において、数量調整部13は、終了信号が受信された第2終了時点で表示されていた数量を設定数量に設定する。
【0053】
ステップS130において、時計1は、ステップS120で設定された設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量の計数を開始させるよう指示する信号が受信されたか否かを判定する。時計1は、当該信号が受信されたと判定した場合(ステップS130:Yes)、処理をステップS140に進め、当該信号が受信されていないと判定した場合(ステップS130:No)、当該信号が受信されたと判定するまで待機する。
【0054】
ステップS140において、時計1は、ステップS120で設定された設定数量を起点として所定範囲の上限又は下限までの残り数量を計数する。
【0055】
以上、実施形態に係る時計1について説明した。時計1は、第1開始時点から第1終了時点までの間、第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第1調整処理を実行する。また、規定時間は、任意の長さに調整され得る。したがって、時計1は、ユーザの好みの時間内で第1初期数量から所定範囲の上限まで設定数量を変化させることにより、設定数量の調整に伴う煩わしさを軽減することができる。特に、時計1がアナログ時計である場合、設定数量の調整には一定以上の時間を要することが多いため、上述した時計1が実行する処理が特に有用となる。
【0056】
また、時計1は、第1終了時点の後に再び開始信号を受信した第2開始時点から再び終了信号を受信する第2終了時点までの間、第2初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる第2調整処理を実行する。また、第2調整処理における規定時間は、第1調整処理における規定時間と同じである。したがって、時計1は、ユーザが第1調整処理により所望の設定数量に近づけた後、第1調整処理よりも遅い速度で設定数量を変化させる第2調整処理を実行することにより、第2調整処理の際に所望の設定数量を通り過ぎてしまうことが少なくなるため、設定数量の調整に伴う煩わしさを軽減することができる。
【0057】
さらに、時計1は、第1初期数量又は第2設定数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を一定の速度で変化させてもよい。このため、時計1は、数量表示部14に表示されている数量を所望の設定数量で停止させることを容易にし、設定数量の調整に伴う煩わしさを軽減することができる。
【0058】
また、時計1は、第1調整処理又は第2調整処理を実行している途中で第1初期数量又は第2初期数量から所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる速度を少なくとも一回変化させる。したがって、時計1は、例えば、ユーザが第1初期数量又は第2初期数量からの数量ステップ数が近い設定数量に設定したいと考えている場合、設定数量を比較的緩やかな速度で変化させ、所望の設定数量を通り過ぎてしまうことを少なくすることができる。また、時計1は、例えば、ユーザが第1初期数量又は第2初期数量からの数量ステップ数が遠い設定数量に設定したいと考えている場合、設定数量を変化させる速度を次第に速くし、数量表示部14に表示されている数量を所望の設定数量まで速やかに変化させることができる。
【0059】
なお、上述した実施形態では、時計1が備えるタイマー機能を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、上述した処理は、時計1が備えるタキメーター機能にも適用され得る。この場合、上述した数量は、時間ではなく距離となる。
【0060】
また、上述した実施形態では、数量調整部13が変曲点B、変曲点C及び変曲点Dを設定する場合を例に挙げたが、これに限定されない。数量調整部13は、変曲点を設定しなくてもよいし、一つ、二つ又は四つ以上の変曲点を設定してもよい。また、数量調整部13が設定する変曲点が示す時点及び数量ステップ数は、特に限定されない。さらに、数量調整部13は、どの変曲点を採用して設定数量を変化させるかを選択してもよい。なお、図2の時間軸上において隣り合う変曲点を結ぶ全ての線分の傾きが図2に示した線分AEの傾きよりも小さい場合、すなわち設定数量を変化させる速度が線分AEの傾きで表される速度よりも必ず遅い場合、設定数量を変化させる速度が緩やかな変曲点が選択されることが好ましい。なぜなら、ユーザにとっては、設定数量を変化させる速度が緩やかな方が所望の設定数量に設定することが容易だからである。
【0061】
また、上述した実施形態では、数量調整部13が第1初期数量から所定範囲の上限まで規定時間で到達するように所定範囲の上限に向かって設定数量を変化させる場合を例に挙げたが、これに限定されない。数量調整部13は、第1調整処理において、第1初期数量から所定範囲の下限まで規定時間で到達するように所定範囲の下限に向かって設定数量を変化させてもよい。この場合に時計1が奏する効果は、上述した効果と同様である。
【0062】
また、数量調整部13は、必ずしも、信号受信部12が一回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間にのみ第1調整処理を実行し、信号受信部12が二回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間にのみ第2調整処理を実行するわけではない。例えば、数量調整部13は、信号受信部12が二回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間に第1調整処理を実行し、信号受信部12が三回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間に第2調整処理を実行してもよい。或いは、数量調整部13は、信号受信部12が三回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間に第1調整処理を実行し、信号受信部12が四回目に開始信号を受信してから終了信号を受信するまでの間に第2調整処理を実行してもよい。すなわち、数量調整部13は、信号受信部12が開始信号を受信した後に終了信号を受信する事象が複数回連続して発生した場合、隣接して発生した二つの事象のうち先に発生した事象について第1調整処理を実行し、後で発生した事象について第2調整処理を実行する。
【0063】
なお、上述した時計1が備える機能の全部又は一部は、プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、OS、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備える揮発性メモリ(Random Access Memory:RAM)である。なお、揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0064】
また、上述したプログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0065】
また、上記プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…時計、11…数量設定部、12…信号受信部、13…数量調整部、14…数量表示部
図1
図2
図3
図4