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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】水性(共)重合体組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/02 20060101AFI20221124BHJP
   C08K 5/08 20060101ALI20221124BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20221124BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20221124BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
C09J133/02
C08K5/08
C08K5/17
C09J11/06
C08L33/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018226588
(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公開番号】P2019104903
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2017237324
(32)【優先日】2017-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】喜多 藍
(72)【発明者】
【氏名】林 美有紀
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-010713(JP,A)
【文献】国際公開第91/016380(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00481087(EP,A1)
【文献】特開2003-048915(JP,A)
【文献】国際公開第2011/078298(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313113(US,A1)
【文献】特開2016-176008(JP,A)
【文献】特表2014-505753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0157596(US,A1)
【文献】特開平05-027437(JP,A)
【文献】国際公開第2016/104261(WO,A1)
【文献】特開2016-160189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/02
C08K 5/08
C08K 5/17
C09J 133/02
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸(a1)を構成単量体として含む(共)重合体(A)、ヒドロキノン化合物(H)及び水と、さらに、アミン化合物(B)を含有してなる水性(共)重合体組成物であって、該(A)の重量に基づいて該(H)の重量が1~7,500ppmである水性(共)重合体組成物であり、前記(共)重合体(A)と前記アミン化合物(B)との重量比[(A)/(B)]が50/50~99/1であり、前記アミン化合物(B)が水酸基を2個または3個以上有するアミン化合物(B2)である接着剤用水性(共)重合体組成物。
【請求項2】
前記アミン化合物(B2)が、ジエタノールアミン及び/又はトリエタノールアミンである請求項1記載の水性(共)重合体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性(共)重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水性(共)重合体組成物は、種々の用途に使用されており、例えば、アクリル酸系重合体は、分散剤、洗剤ビルダー、接着剤等に開発がなされている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-208765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のポリアクリル酸系重合体は、特定の基を導入することにより、洗剤ビルダーの色相安定性をめざしたものである。
しかしながら、例えば、より高温での色相については、上記の技術では十分に満足できるとは言えず、優れた水性(共)重合体組成物の開発が望まれている。
本発明の目的は、高温時の色相安定性に優れる水性(共)重合体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸(a1)を構成単量体として含む(共)重合体(A)、ヒドロキノン化合物(H)及び水を含有してなる水性(共)重合体組成物であって、該(A)の重量に基づいて該(H)の重量が1~10,000ppmである水性(共)重合体組成物(X)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水性(共)重合体組成物(X)は、下記の効果を奏する。
(1)高温での色相に優れる。
(2)各種材料の接着性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<(共)重合体(A)>
本発明における(共)重合体(A)は、(メタ)アクリル酸(a1)を構成単量体[以下、構成単位と略記することがある]として含む。
該(a1)は、アクリル酸および/またはメタアクリル酸を意味する。該(a1)のうち、好ましいのはアクリル酸である。
【0008】
前記(共)重合体(A)には、接着性を高めるために、さらに(メタ)アクリル酸のアルキル(アルキルの炭素数1~24)エステル(a2)を構成単位としてもよい。
【0009】
該(a2)としては、[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシルおよび(メタ)アクリル酸テトラコシル]等が挙げられる。
上記(a2)のうち、接着性の観点から好ましいのは該アルキルが炭素数[以下、Cと略記することがある]2~18のもの、さらに好ましくは該アルキルがC3~12の直鎖または分岐のアルキルエステル、とくに好ましいのは該アルキルがC4~10の直鎖または分岐のアルキルエステルである。
【0010】
(A)を構成するモノマー(構成単量体)の重量比[(a1)/(a2)]は、接着性の観点から、好ましくは40/60~99.9/0.1、さらに好ましくは60/40~99.5/0.5、とくに好ましくは80/20~99/1である。
【0011】
また、(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記(a1)、(a2)のモノマー以外の不飽和モノマー(x)をさらに構成単位とする共重合体としてもよい。
不飽和モノマー(x)としては、マレイン酸、ヒドロキシアルキル(C1~5)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記(x)は、(a1)の重量に基づいて、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、とくに好ましくは1重量%以下である。
【0012】
(A)の重量平均分子量[以下Mwと略記。測定は後述のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]は、好ましくは2,000~100,000、さらに好ましくは4,000~70,000、とくに好ましくは6,000~40,000である。
【0013】
本発明におけるMw、数平均分子量(Mn)のGPC測定条件は下記のとおりである。
<GPC測定条件>
[1]装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
[型番「HLC-8120GPC」、東ソー(株)製]
[2]カラム :「TSKgelG6000PWxl」、「TSKgel
G3000PWxl」[いずれも東ソー(株)製]を直列に連結。
[3]溶離液 :メタノール/水=30/70(容量比)に
0.5重量%の酢酸ナトリウムを溶解させたもの。
[4]基準物質:ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)
[5]注入条件:サンプル濃度0.25重量%、カラム温度40℃
【0014】
(共)重合体(A)は、前記単量体を、例えば、公知の溶液重合法で製造することができ、生産性の観点から好ましいのは水を含む溶液重合法である。水の含有量としては、使用する全溶媒量に対して水を40質量%以上使用することが好ましく、使用する溶媒の全量を水とすることが好ましい。
有機溶剤を使用する場合は、重合後脱溶剤して水に溶解させても、脱溶剤せずにそのまま用いてもいずれでもよい。単独で、または水と共に使用できる有機溶剤としては、水性溶剤(25℃での水への溶解度が10g以上/100g水)、例えばケトン(アセトン、メチルエチルケトン(以下MEKと略記)、ジエチルケトン等)、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等)等が挙げられ、生産性の観点から好ましいのはアセトン、MEK、イソプロパノールである。有機溶剤は1種または2種以上で使用することができる。
該(A)は、例えば、溶液(工業上の観点から好ましいのは水溶液)として得られ、溶液中の(A)の含有量(重量%)は、生産性の観点から好ましくは5~80%、さらに好ましくは10~70%、とくに好ましくは20~60%である。
【0015】
(A)製造時の重合温度は、生産性および(A)の分子量制御の観点から好ましくは0~200℃、さらに好ましくは40~150℃である。
重合時間は、製品中の残存モノマー含量の低減および生産性の観点から好ましくは1~10時間、さらに好ましくは2~8時間である。
重合反応の終点は残存モノマー量で確認できる。残存モノマー量は、(A)の重量に基づいて好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。残存モノマー量はガスクロマトグラフィー法により測定できる。
【0016】
<ヒドロキノン化合物(H)>
本発明におけるヒドロキノン化合物(H)としては、例えば、ヒドロキノン、4-メトキシフェノール、4-エトキシフェノール、4-プロピオキシフェノール、4-ブトキシフェノール、4-ペンチロキシフェノール、4-ヘキシロキシフェノール、4-ヘプチロキシフェノール、フルオロヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、クロロヒドロキノン、テトラフルオロヒドロキノン、テトラブロモヒドロキノン、テトラクロロヒドロキノン、4-tert-ブトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ペンチルヒドロキノン、1,4-ジメトキシベンゼン、1,4-ジエトキシベンゼン、2,3-ジメチルヒドロキノン、2,6-ジメチルヒドロキノン、2-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノンが挙げられる。
上記(H)のうち、高温時の色相の観点から、好ましいのはヒドロキノン、4-メトキシフェノール、さらに好ましいのは4-メトキシフェノールである。
【0017】
<水性(共)重合体組成物(X)>
本発明の水性(共)重合体組成物(X)は、前記(共)重合体(A)、ヒドロキノン化合物(H)および水を含有してなる。
該(A)の重量に基づいて該(H)の重量は1~10,000ppmであり、好ましくは3~5,000ppm、とくに好ましくは5~2,500ppm、最も好ましくは10~1,000ppmである。
該(H)が、1ppm未満では高温での色相が不十分であり、10,000ppmを超えると接着性が不十分となる。
【0018】
この水性(共)重合体組成物(X)は、分散剤、洗剤ビルダー、接着剤に有用であり、とりわけ、接着剤として好適に使用できる。
また、該(X)には、後述のアミン化合物(B)を接着性を高めるために含有することが好ましい。
【0019】
本発明の水性(共)重合体組成物(X)中の(A)の含有量は、生産性および取り扱いの観点から好ましくは2~80重量%、さらに好ましくは4~70重量%、とくに好ましくは6~50重量%である。
【0020】
水性(共)重合体組成物(X)は、例えば前記(A)または(A)の溶液と、前記(H)または(H)の溶液とを混合することで製造できる。
【0021】
<アミン化合物(B)>
アミン化合物(B)としては、水酸基を1個有するアミン化合物(B1)、水酸基を2個または3個以上有するアミン化合物(B2)、水酸基を有しないアミン化合物(B3)等が挙げられる。
【0022】
水酸基を1個有するアミン化合物(B1)としては、炭素数[以下、Cと略記することがある]2以上かつMn1,000以下のもの、下記(B11)~(B13)等が挙げられる。
【0023】
(B11)モノアルカノールアミン
C2~15、例えば、エタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、6-アミノ-1-ヘキサノール等が挙げられる。
【0024】
(B12)後述の(B3)のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)(C2~4)1モル付加物
C4以上かつMn1,000以下、例えば、エチレンジアミンのプロピレンオキサイド1モル付加物、1,4-フェニレンジアミンのエチレンオキサイド1モル付加物、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
【0025】
(B13)前記(B11)、(B12)以外のもの
C3~20、例えば、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ペンチルヘキサノールアミンが挙げられる。
【0026】
水酸基を2個または3個以上有するアミン化合物(B2)としては、C4以上かつMn1,000以下のもの、下記(B21)~(B23)等が挙げられる。
【0027】
(B21)ジアルカノールアミン
C4~10、例えば、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等が挙げられる。
上記(B21)のうち、接着性の観点から、好ましいのはジエタノールアミンである。
【0028】
(B22)トリアルカノールアミン
C6~15、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
上記(B22)のうち、接着性の観点から、好ましいのはトリエタノールアミンである。
【0029】
(B23)後述の(B3)のAO付加物(付加モル数は2~20モル)
C6以上かつMn1,000以下、例えば、ジエチレントリアミンの2~20モルAO付加物、テトラメチレンペンタミンの2~20モルAO付加物等が挙げられる。
【0030】
水酸基を有しないアミン化合物(B3)としては、C2以上かつMn2,000以下のポリ(2~6価またはそれ以上)アミンで、脂肪族ポリアミン(B31)、脂環式ポリアミン(B32)、複素環式ポリアミン(B33)、芳香族ポリアミン(B34)およびポリアミドポリアミン(B35)が挙げられる。
【0031】
脂肪族ポリアミン(B31)としては、脂肪族ポリアミン〔C2~6のアルキレンジアミン(C2~10、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(1,6-ヘキサンジアミン))、ポリアルキレン(C2~6)ポリアミン[C4~10、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン]〕等およびこれらのアルキル(C1~4)置換体〔例えば、ジアルキル(C1~3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン〕等、脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔C5~20、例えば、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン〕等、芳香環含有脂肪族アミン〔C6~14、例えば、キシリレンジアミン、テトラクロル-p-キシリレンジアミン〕等が挙げられる。
【0032】
脂環式ポリアミン(B32)としては、C6~20、例えば1,3-ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)が挙げられる。
【0033】
複素環式ポリアミン(B33)としては、C4~20、例えばピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、1,4-ジアミノエチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノ-2-メチルプロピル)ピペラジンが挙げられる。
【0034】
芳香族ポリアミン(B34)としては、非置換芳香族ポリアミン[C6~30、例えば、1,2-、1,3-および1,4-フェニレンジアミン、2,4’-および/または4,4’-ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)]、核置換アルキル基〔メチル、エチル、n-およびi-プロピル、ブチル等のC1~C4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン[C7~30、例えば、2,4-および2,6-トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ビス(o-トルイジン)、ジアニシジン]、イミノ基を有する芳香族ポリアミン[C7~30、例えば、4,4’-ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1-メチル-2-メチルアミノ-4-アミノベンゼン]等が挙げられる。
【0035】
ポリアミドポリアミン(B35)としては、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰(アミノ基/カルボキシル基の当量比が2以上)のポリアミン(上記アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量(Mn100~1,000)ポリアミドポリアミンが挙げられる。
【0036】
上記(B)のうち、接着性の観点から、好ましいのは(B2)、さらに好ましいのは、ジエタノールアミンである。
また、前記(共)重合体(A)とアミノ化合物(B)との重量比[(A)/(B)]は、接着性の観点から、好ましくは50/50~99/1、さらに好ましくは60/40~97/3、とくに好ましくは70/30~95/5である。
【0037】
本発明の水性(共)重合体組成物(X)が、上記(B)を含有する場合、例えば、(共)重合体(A)、(H)の溶液と、(B)または(B)の溶液とを混合して製造できる。
その場合、組成物(X)中の(A)と(B)との合計の含有量(重量%)は、生産性の観点から、好ましくは5~80%、さらに好ましくは10~70%、とくに好ましくは20~60%である。
【0038】
本発明の水性(共)重合体組成物(X)は、分散性(例えばクレー、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機顔料)、接着性(ガラスなどの無機材料、ポリエチレンテレフタレートなどの有機材料)に優れるため、産業の各種用途に有用である。
分散剤としては、無機顔料の分散剤として使用する場合には、分散液の形態によって異なるが、無機顔料の重量に基づいて、(A)の重量は好ましくは1~25重量%、さらに好ましくは3~15重量%である。
また、接着剤として使用する場合には、例えば、被接着体に付着または塗布したものを、例えば100~300℃で、2~120分間加熱することにより、接着することができる。
【実施例
【0039】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。なお、実施例10、11および12は、それぞれ参考例1、2および3である。
【0040】
[(共)重合体(A)の製造]
<製造例1>
オートクレーブに、溶媒として水300部、イソプロパノール300部を仕込み、撹拌下窒素を通気してオートクレーブ内の窒素置換を行った(気相酸素濃度400ppm以下)。窒素を吹き込みながら82℃に昇温した後、過硫酸ナトリウム17.6部を水45部に溶解させた溶液[開始剤]と、アクリル酸(a1-1)260部[モノマー]を同時に2時間かけて滴下し、さらに82℃で2時間撹拌して重合反応を行った。
その後、溶液中のイソプロパノールを脱溶剤し、(共)重合体(A-1)が40%になるように水を加え、(共)重合体(A-1)の水溶液を得た。(A-1)はMw13,000であった。
【0041】
<製造例2~3>
製造例1において、反応組成(部)を、表1にしたがった以外は製造例1と同様にして、(共)重合体(A-2)~(A-3)の水溶液を得た。
【0042】
<製造例4>
オートクレーブに、溶媒として水300部、イソプロパノール300部を仕込み、撹拌下窒素を通気してオートクレーブ内の窒素置換を行った(気相酸素濃度400ppm以下)。窒素を吹き込みながら82℃に昇温した後、3-メルカプトプロピオン酸8.6部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.41部および2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)1.9部をイソプロパノール50部に溶解させた溶液と、アクリル酸(a1-1)271部とアクリル酸ブチル(a2-1)8部[モノマー]を同時に2時間かけて滴下し、さらに82℃で2時間撹拌して重合反応を行った。
その後、溶液中のイソプロパノールを脱溶剤し、(共)重合体(A-4)が40%になるように水を加え、(共)重合体(A-4)の水溶液を得た。(A-4)はMw8,000であった。
【0043】
製造例1~製造例4の結果を表1に示す。
【0044】
<実施例1~12、比較例1~2>
表2に示した配合組成(部)にしたがって、仕込み、混合して、各水性(共)重合体組成物(X)を調製した。得られた各水性(共)重合体組成物(X)について、後述の方法により、評価を行った。結果を表2に示す。
【0045】
<1>高温時の色相
ガラス製のシャーレ(外径75mm×高さ20mm)に、水性(共)重合体組成物(X)を30g仕込み、180℃×60分間加熱した。
25℃で2時間放置後、ハンター白色度を、JIS P8123に準じて測定した。得られた測定値を以下の<評価基準>で評価した。
<評価基準>
☆:80以上
◎:75以上、80未満
〇:70以上、75未満
△:65以上、70未満
×:65未満
【0046】
<2>接着性の評価
ガラス材料(タテ20mm×ヨコ20mm×高さ20mm)の上に、水性(共)重合体組成物(X)を0.5g塗布した。その上に、ガラス材料(タテ20mm×ヨコ20mm×高さ20mm)を載置したものを、180℃×60分間加熱した。
25℃で2時間放置後、JIS K6849に準じて引張り接着強さ(単位:N/mm2)を求めた。得られた測定値を以下の<評価基準>で評価した。
<評価基準>
☆:25.0以上
◎:22.5以上、25.0未満
〇:20.0以上、22.5未満
△:17.5以上、20.0未満
×:17.5未満
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1、2の結果から、本発明の水性(共)重合体組成物(X)は、比較のものと比べて、高温での色相、接着性に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の水性(共)重合体組成物(X)は、分散剤、洗剤ビルダー、接着剤等の幅広い分野に好適に適用できることから、きわめて有用である。とりわけ、分散剤、接着剤として好適に使用できる。