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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20221124BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20221124BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20221124BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20221124BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20221124BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20221124BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0585
H01G11/82
H01G11/78
H01M50/548 201
H01M50/566
H01M50/536
H01M50/534
H01M50/109
H01M50/119
H01M50/107
H01M50/124
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018234818
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020095924
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竜
(72)【発明者】
【氏名】木村 長幸
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-084541(JP,A)
【文献】特開昭61-133556(JP,A)
【文献】特開平05-082117(JP,A)
【文献】特許第6284248(JP,B1)
【文献】特開2017-130435(JP,A)
【文献】特開2016-081873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01M 50/10-198
H01M 50/50-598
H01G 11/82
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部を有する筒状の第1容器と底壁部を有する筒状の第2容器から構成される外装体と、前記外装体の内部に収容された正極電極および負極電極からなる電極体と、前記外装体の内部に収容された電解液を備えた電気化学セルであり、
前記第1容器の底壁部の中央と前記第2容器の底壁部の中央それぞれ貫通孔が形成され、前記貫通孔の内部側に金属板からなる電極板が配置され、前記電極板の前記貫通孔側にNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる電極端子が取り付けられ、
前記正極電極の一部と前記負極電極の一部に引出電極が形成され、一方の引出電極が前記電極体の周辺部から前記電極体の一方の面に沿って前記電極体と前記電極板に挟まれる位置まで引き出され、前記電極板に電気的に接続されるとともに、
前記電極板に対し前記電極端子が抵抗溶接部またはレーザー溶接部を介し接合され、前記電極板において前記外装体内部側の面に対し前記引出電極が前記抵抗溶接部またはレーザー溶接部より広い面積の超音波溶接部を介し接合されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記電極板の中央部に前記電極端子が配置され、前記引出電極の先端が前記電極板の周縁部から前記電極端子の平面視近傍位置まで延在され、前記電極板の周縁部から前記電極端子の平面視近傍位置まで延在された前記引出電極の先端部が前記超音波溶接部を介し前記電極板に接合されたことを特徴とする請求項1 に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記引出電極がAlまたはAl合金もしくはCuまたはCu合金からなることを特徴とする請求項1 または請求項2 に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記第1容器と前記第2容器がいずれも底壁部と周壁部を有し、前記第1 容器の周壁部と前記第2容器の周壁部が重ね合わされて融着され、前記外装体が構成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記第1容器と前記第2容器の一方がAlまたはAl合金からなる金属層と樹脂層のラミネート部材からなり、他方が金属からなることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池、電気二重層キャパシタなどの電気化学セルとして、ボタン形(以下、コイン形およびシリンダ形も含む)に形成された電気化学セルが知られている。ボタン形の電気化学セルは、各種デバイスの電源などに利用されている。ボタン形の電気化学セルの1つの形態として、例えば以下の特許文献1に記載のような偏平型非水電解質二次電池が提案されている。
【0003】
特許文献1には、負極端子を兼ねる金属製の負極ケースと正極端子を兼ねる金属製の正極ケースとが絶縁ガスケットを介し嵌合された外装体が開示されている。具体的には、特許文献1において、正極ケースがカシメ加工によって絶縁ガスケットを介し負極ケースに嵌合されている。また、カシメ加工された部位で外装体の封止部が形成されている。
このように、金属製の正極ケース及び負極ケースで外装体が画成され、外装体の収容部に電極体が非水電解質とともに内包されている。
【0004】
しかし、外装体の封止部をカシメ加工した場合、電池のサイズが小さくなるほど封止部を収容部に対して小さく抑えることが難しい問題がある。このため、小型のボタン形電池においては電池の体積当たりの容量を上げることが難しく、この観点から改良の余地が残されている。
【0005】
このような背景の基、本願出願人は特許文献2に記載の電気化学セルを提案した。
特許文献2に記載の電気化学セルは、電極体と、第1部材および第2部材を重ね合わせて形成される外装体とを備えている。この外装体に、前記電極体を収容する収容部と、該収容部の外周において、前記第1部材および第2部材が融着された状態で前記収容部の外周に沿って折り曲げられた封止部を有している。また、第1部材と第2部材について金属と樹脂のラミネート構造を採用するか、一方を金属と樹脂のラミネート構造とし、他方を金属板から構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-298803号公報
【文献】特許第6284248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の電気化学セルにより、外装体の外周縁部に封止部を設け、封止部の占める体積をセルの外周部に制限することにより、外装体の内部空間の容積を確保することができる構造を提供した。
また、この種のボタン形電気化学セルにおいては、内部に設けた電極体から引き出した導体を正極または負極に接続し、電極端子を構成する必要がある。
【0008】
本願発明者は、この種のボタン形電気化学セルにおいて電極端子の構造として、ステンレス鋼からなる金属電極板を採用することを検討した。
しかしながら、ステンレス鋼板から電極端子を構成しても、電極端子が大気中に晒されると、表面が酸化され、表面に酸化皮膜が形成され易い問題を有している。電極端子に外部端子で接触を取る場合、酸化皮膜を介した導通となると、接触抵抗が増加する問題があり、過電圧の発生あるいは電池の容量低下につながるおそれがある。
【0009】
本発明は、以上説明した従来の実情に鑑みなされたものであり、電極端子の自然酸化を抑制し、接触抵抗削減を図ることができる電気化学セルの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)前記課題を解決するため、本発明の一形態に係る電気化学セルは、底壁部を有する筒状の第1容器と底壁部を有する筒状の第2容器から構成される外装体と、前記外装体の内部に収容された正極電極および負極電極からなる電極体と、前記外装体の内部に収容された電解液を備えた電気化学セルであり、前記第1容器の底壁部の中央と前記第2容器の底壁部の中央それぞれ貫通孔が形成され、前記貫通孔の内部側に金属板からなる電極板が配置され、前記電極板の前記貫通孔側にNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる電極端子が取り付けられ、前記正極電極の一部と前記負極電極の一部に引出電極が形成され、一方の引出電極が前記電極体の周辺部から前記電極体の一方の面に沿って前記電極体と前記電極板に挟まれる位置まで引き出され、前記電極板に電気的に接続されるとともに、前記電極板に対し前記電極端子が抵抗溶接部またはレーザー溶接部を介し接合され、前記電極板において前記外装体内部側の面に対し前記引出電極が前記抵抗溶接部またはレーザー溶接部より広い面積の超音波溶接部を介し接合されたことを特徴とする。
【0011】
本形態によれば、金属板からなる電極板に対し、酸化し難いNi板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAu層またはAu合金層を有する電極端子を接合しているので、電極端子の表面に自然酸化膜が生成し難く、電極端子に対し外部端子などから良好なコンタクトを取ることができる。このため、電極端子表面に自然酸化膜が生成している場合に比べて外部端子と低い接触抵抗で接続が可能となり、過電圧の発生なども抑制できるので、電池の容量低下を引き起こすことがない。
【0012】
抵抗溶接は溶接するべき部材に電極を当接し、電極に通電し、溶接するべき部材どうしの接触界面で最も抵抗が低い部位に流れる電流を利用し、接触部どうしの界面を相互溶融させて接合する技術である。本形態の電気化学セルにおいて、電極板と電極端子を接合した抵抗溶接部は、抵抗溶接の際に最も抵抗の低い部位に流れる電流に起因して極めて狭い範囲、例えば、電極板と電極端子の界面において抵抗溶接に用いた電極1本に対し点状に1箇所で溶接される。また、接合箇所がレーザー溶接部であっても、狭い範囲に溶接部が設けられる。
これらに対し、超音波溶接は溶接するべき部材どうしの界面を広い範囲で相互振動させることが可能であり、界面分子を相互拡散させて広い接合面どうしで固相接合が可能な技術である。従って、超音波溶接部は電極板と引出電極に対し、抵抗溶接部またはレーザー溶接部に比べてより広い面積を有する溶接部分となる。
【0013】
電気化学セルにおいて外装体の内部には電解液が収容されているので、超音波溶接部は電解液に晒されるが、広い面積で溶着されている超音波溶着部は電解液に晒されても剥離を生じるおそれは少ない。これに対し、抵抗溶接部は1点溶着による接合であるため、仮に抵抗溶接部に何らかの不備があって溶着部分が未完成あるいは溶着不良を生じていた場合、電解液に晒されると接合部分が剥離するおそれがある。このため、レーザー溶接部であってもこの事情は抵抗溶接部と同様である。従って、引出電極が電極板と電極体に挟まれるように引き出され、電極板に接続される部分であり、電解液に晒されるおそれのある部分に超音波溶接部を設けることが好ましい。
また、電極板と電極端子との接合部にあっては、NiまたはNi合金あるいはそれらを表面に備えた電極端子とした場合の融点が高いので、この部分への超音波溶接は難しく、この点において抵抗溶接部またはレーザー溶接部であれば、電極と電極端子の良好な接合が得られやすい。
このため、本形態の電気化学セルにおいて、超音波溶接部により電極板と引出電極との良好かつ電解液に触れても安定的な電気的接合状態、機械的接合状態を得ることができ、抵抗溶接部またはレーザー溶接部により電極板と電極端子の良好な接合状態を得ることができる。
【0014】
(2)前記一形態の電気化学セルでは、前記電極板の中央部に前記電極端子が配置され、前記電極板の中央部に前記電極端子が配置され、前記引出電極の先端が前記電極板の周縁部から前記電極端子の平面視近傍位置まで延在され、前記電極板の周縁部から前記電極端子の平面視近傍位置まで延在された前記引出電極の先端部が前記超音波溶接部を介し前記電極板に接合された構成を採用できる。
【0015】
本形態の電気化学セルにおいて、引出電極の先端部を電極板の周縁部から電極端子の平面視近傍位置まで延在させて超音波溶接部を形成することで、引出電極の先端部と電極端子の平面視重なり部分を避けながら超音波溶接部を形成できる。この構成により、超音波溶接装置の押さえ治具と電極端子との干渉を避けることができ、電極端子の抵抗溶接部またはレーザー溶接部に対し超音波溶接時の振動が悪影響を及ぼさない。また、電極板の周辺部から電極端子の平面視近傍位置まで前記引出電極の先端部を延在させることで、外装体の内側に電極体を収容する場合に引出電極先端部の折り曲げ位置を策定し易い効果がある。
【0016】
(3)前記一形態の電気化学セルでは、前記引出電極がAlまたはAl合金もしくはCuまたはCu合金からなる構成を採用できる。
引出電極がAlまたはAl合金からなるならば、Alの融点がFeやNiの融点より低いことに起因し、超音波溶接部において電極端子の電極板に対する良好な接合状態が得られ易い。引出電極は、CuまたはCu合金から構成されていても良い。
【0017】
(4)前記一態様の電気化学セルでは、前記第1容器と前記第2容器がいずれも底壁部と周壁部を有し、前記第1容器の周壁部と前記第2容器の周壁部が重ね合わされて融着され、前記外装体が構成された構成を採用できる。
【0018】
本形態の電気化学セルにおいて、第1容器の周壁部と第2容器の周壁部を重ね合わせて融着していると、容器どうしを接合している融着部を第1容器と第2容器の外周部に配することができるので、第1容器と第2容器からなる外装体の内容積が融着部の存在によって狭められることが無い。このため、小型のボタン形電池であっても外装体の内容積を確保し易く、電池として体積あたりの容量を確保し易くなる。
【0019】
(5)前記一態様の電気化学セルでは、前記第1容器と前記第2容器の一方がAlまたはAl合金からなる金属層と樹脂層のラミネート部材からなり、他方が金属からなる構成を採用できる。
【0020】
樹脂層とAlまたはAl合金からなる金属層とのラミネート構造であれば、外装体として液密性、気密性、軽量性に優れ、電解液を収容する小型の電気化学セル用の外装体として優れる。
【発明の効果】
【0021】
本形態によれば、電気化学セルにおいて、金属板からなる電極板に対し、Ni板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる電極端子を接合しているので、電極端子の表面に自然酸化膜が生成し難く、電極端子に対し外部端子などから良好なコンタクトを取ることができる。
このため、電極端子表面に自然酸化膜が生成している構造に比べて外部端子などと低い接触抵抗で電気的接続が可能となり、過電圧の発生なども抑制できるので、電池としての容量低下を引き起こすことが無い効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る電気化学セルの外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電気化学セルの内部構造を示す部分断面図である。
図3】第1実施形態に係る電気化学セルの分解斜視図である。
図4】第1実施形態に係る電気化学セルにおいて電極体の引出電極と電極板および電極端子の接合状態の一例を示す断面図。
図5】第1実施形態に係る電気化学セルにおいて電極体の引出電極と電極板の接合状態の一例を示す分解図。
図6】引出電極の先端部を超音波溶接する場合の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、円盤状に形成されたボタン形、コイン形またはシリンダ形の電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。
また、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更し表示しているため、各部材の相対的な大きさが図面に示す形態に限らないのは勿論である。
【0024】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る電池の斜視図、図2は第1実施形態に係る電池の部分断面斜視図、図3は同電池の分解斜視図である。
図1図2に示すように、本実施形態の電池(電気化学セル)1は、いわゆるボタン形の電池である。電池1は、電極体2と、電極体2に含浸される電解液(電解質溶液:図示せず)と、電極体2を収容した外装体10とを備えている。
【0025】
電極体2は、負極電極3および正極電極4を備えている。負極電極3は、つづら折り形状に折り畳まれている。正極電極4は、負極電極3と互い違いに積層するように負極電極3と交差する方向につづら折り形状に折り畳まれている。すなわち、本実施形態の電極体2は、負極電極3と正極電極4とが互い違いに積層するように折り畳まれた積層タイプの電極体である。電極体2を構成する負極電極3と正極電極4は、図2図3の構成では円板状の電極本体を複数、帯状の連結部を介し数珠繋ぎ状に接続し、それらの一端側に個々に引出電極3a、4aを形成している。図5に正極電極4を一部展開した状態を示すが、円板状の電極本体4dを連結部4eで連結し、端部に引出電極4aを備えた構成を示している。この引出電極4aの接続構造については後に詳述する。
【0026】
図1図2に示すように外装体10は、電極体2が収容される収容部12と、収容部12の外周12aに沿って折り曲げられた封止部15とを有する。封止部15は、絞り成形によって収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。
また、外装体10は、有底筒状の第1容器17と、有底筒状の第2容器18とを備えている。第1容器17および第2容器18は、それぞれの中心軸が同軸となるように配置されている。以下、第1容器17および第2容器18の中心軸を図2に示すように中心軸Oと呼称し、中心軸Oに沿う方向を軸方向と呼称し、中心軸Oに直交する方向を径方向と呼称する。なお、中心軸Oは収容部12の中心軸となる。
【0027】
第1容器17は、ラミネート部材により形成された第1部材である。ラミネート部材は、AlまたはAl合金からなる金属層(金属シート)と、第1容器17における内側面を構成する樹脂製の融着層と、外側面を構成する樹脂製の保護層とが積層されている。
融着層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成される。ポリオレフィンとして以下の材質を適宜選択できる。ポリオレフィンとしては、高圧法低密度ポリエチレンや低圧法高密度ポリエチレン、インフレーションポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、直鎖状短鎖分岐ポリエチレンなどの材質を使用できる。保護層は、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどを用いて形成される。融着層および保護層は、それぞれ金属シートとの間に接合層を介して、熱融着または接着剤により接合される。
【0028】
第1容器17は、第1底壁部21および第1周壁部22を備えている。第1底壁部21の中央部には丸孔型の第1貫通孔23が形成されている。第1貫通孔23は、中心軸Oと同軸に形成されている。
第1底壁部21の内面には、第1シーラントリング24を介して円板状のステンレス鋼板などの鋼板からなる負極電極板25が熱融着されている。第1シーラントリング24は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成された、シーラントフィルムをリング状にしたものである。
【0029】
負極電極板25の内面は、電極体2の負極電極3に接続されている。負極電極板25の外面は、中央にNiあるいはNi合金からなる円板状の負極電極端子26が溶接されている。負極電極端子26は、第1貫通孔23を貫通して外部に露出され、電池1の負極端子として機能する。なお、負極電極板25をNiあるいはNi合金製とすれば、負極電極端子26を略し、負極電極板25を負極電極端子として用いることができる。
【0030】
第2容器18は、第1容器17と同様に、ラミネート部材により形成された第2部材である。ラミネート部材は、AlまたはAl合金からなる金属層(金属シート)と、第2容器18における内側面を構成する樹脂製の融着層と、外側面を構成する樹脂製の保護層と、が積層されている。融着層は、第1容器17の融着層と同じ熱可塑性樹脂を用いて形成される。保護層は、第1容器17の保護層と同じ熱可塑性樹脂を用いて形成される。
【0031】
第2容器18は、第2底壁部31、第2周壁部32、および折曲部33を備えている。
第2周壁部32は、収容部12の外周12aを形成する。
第2底壁部31には、中央に丸孔型の第2貫通孔35が形成されている。第2貫通孔35は、中心軸Oと同軸に形成されている。
第2底壁部31の内面には、第2シーラントリング37を介してステンレス鋼板などの鋼板からなる円板状の正極電極板38が熱融着されている。第2シーラントリング37は、第1シーラントリング24と同様に、熱可塑性樹脂により形成されている。
正極電極板38はステンレス鋼板、もしくはAl板またはAl合金板からなることが好ましい。
【0032】
正極電極板38の内面は、電極体2の正極電極4に接続されている。正極電極板38の外面は、中央にNiあるいはNi合金からなる円板状の正極電極端子39が抵抗溶接部またはレーザー溶接部を介し溶接されている。正極電極端子39は、第2貫通孔35を貫通して外部に露出され、電池1の正極端子として機能する。
正極電極端子39はNi板あるいはNiにCrやMo、Coなどを添加したNi合金板、あるいは、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板からなることが好ましい。また、接触抵抗の低減のために、上述のようなNi板や各種Ni合金板にAuメッキを施すことができ、ステンレス鋼板、Fe板、あるいはCu板にNiメッキを施して用いることもできる。
即ち、正極電極端子39は、Ni板またはNi合金板あるいは表面にNi層またはNi合金層もしくは表面にAuまたはAu合金層を備えた金属板からなる。例えば正極端子39は、ステンレス鋼板の外面にNi層、Ni合金層、Au層またはAu合金層をメッキや溶射などの手法により被覆した構造であっても良い。
通常サイズのボタン形電池である場合、前記正極電極板38と正極電極端子板39はいずれも厚さ50μm程度であることが好ましい。
【0033】
図4図5に示すように正極電極4の上端部には、AlまたはAl合金からなる帯状の引出電極4aが設けられ、この引出電極4aが正極電極板38の内面(図3図4では下面)に超音波溶接部4cを介し電気的かつ機械的に接合されている。
【0034】
正極電極4は先に説明したように連結部4eを介し複数の電極本体4dを数珠繋ぎ状に連結して構成されるが、一例として、電極本体4dおよび連結部4eと同一平面形状の正極集電体に正極活物質を塗布した構造の全体を樹脂絶縁材料からなるセパレーターで覆った構造を採用できる。セパレーターで覆った構造の概形が図5に示す形状をなしており、全体をつづら折りすることができる。負極電極3も正極電極4と同等構造であり、全体をつづら折りすることができる。
【0035】
以上のように構成された負極電極3と正極電極4をそれぞれ交互につづら折り構造として重ねることで、図3または図4に示す電極体2が構成されている。
負極電極3を構成する負極集電体は、本実施形態では、例えばCu、Ni及びステンレス等の金属材料から構成されている。そして、これらの金属材料からなる負極側の引出電極3dが負極集電体から延びている。また、正極電極4を構成する正極集電体は、本実施形態では、AlまたはAl合金もしくはCuまたはCu合金から構成され、この正極集電体から延びる正極側の引出電極4dがAlまたAl合金もしくはCuまたはCu合金から形成されている。
本実施形態において用いるAl合金について特に制限は無く、JIS規定1000~7000に規定される各種のAl合金あるいはその他の組成のAl合金を適宜用いることができ、その他、電池用集電体に適用できるAl合金のいずれを用いても良い。
【0036】
正極電極端子39は図4図5に示すように正極電極板38の中央部に配置されるとともに、正極電極端子39と正極電極板38は2箇所の抵抗溶接部39aにより接合されている。この実施形態において、2箇所の抵抗溶接部39aは、正極電極端子39と正極電極板38の中心位置を左右に等間隔で挟むように設けられている。換言すると、2箇所の抵抗溶接部39aは図5に示すように引出電極4aの長さ方向に沿って延在するように形成されている。これら抵抗溶接部39aは正極電極端子39と正極電極板38の接触界面部分に形成されている。
正極電極端子39は、外部端子の接触を受けるので、2箇所以上の抵抗溶接部39aによって確実に接合されていることが好ましい。仮に、抵抗溶接部39aが1箇所のみである場合、1箇所の抵抗溶接部39aが製造時の溶接不良などによって接合強度が低くなっていて、外部端子への接触に伴い正極電極端子39に回転力が付加されると、この回転力により抵抗溶接部39aに剥離が生じ、正極電極端子39が正極電極板38から分離するおそれがある。このため、抵抗溶接部39aは2箇所以上、設けられていることが好ましい。また、抵抗溶接部39aを設ける場合、2つの抵抗溶接部39aを設ける位置は任意に選択することができ、図5に示すように引出電極4aの長さ方向に2つ並設しても良いし、引出電極4aの長さ方向に直交する方向に2つ設置しても良いし、その他の方向に2つ並設しても良い。
【0037】
図4に示すように正極電極板38の内面(図4図5に示す下面)の周辺部から正極電極板38の中央部近くまで引出電極4aの先端部が延在され、引出電極4aの先端部が超音波溶接部4cにより正極電極板38に接合されている。引出電極4aの先端は図5に示すように平面視した場合、正極電極端子39の手前位置まで延在されている。
超音波溶接部4cは先の抵抗溶接部39aより平面視広い面積に形成され、正極電極板38に引出電極4aを接合している。
なお、引出電極4aの先端を延在させる位置は図5に示す位置に限らない。
例えば、正極電極端子39と平面視重なる位置まで延在させても良いし、平面視した場合に正極電極端子39を超える位置まで延在させても良い。また、超音波溶接で接合する範囲も図5に示すように正極電極板38の一端側に限らず、正極電極板38の更に広い範囲に対し超音波溶接することもできる。例えば、図5に示すように平面視した場合、正極電極端子39を超えて正極電極板38の右端部側まで延在するように引出電極4aを設け、正極電極端子39と重ならない範囲を全て超音波溶接することもできる。この場合の超音波溶接による接合方法と接合部の構造については後に図6を用いて詳述する。
【0038】
超音波溶接部4cは正極電極板38の内面側、換言すると、電解液に接触する側に設けられ、広い面積で接合されているので、電解液に晒されたとしても超音波溶接部4cが剥離するなどの心配がない。また、引出電極4aはAlまたはAl合金から形成され、鋼の融点よりAlの融点が低いことから、超音波溶接により電極板38への確実な接合が可能であり、より広い面積での接合が可能となる。
【0039】
なお、図5に示す2点鎖線により囲まれた矩形状の範囲を超音波溶接機の受け治具の設置範囲とすることが好ましい。なお、受け治具の設置範囲と電極端子39とが平面視干渉する場合は、受け治具の受け面に凹部等を形成し、電極端子39と受け治具が干渉しない構造を採用することが望ましい。
図5に示す2点鎖線で囲まれた範囲であって、電極端子39の設置位置を除く範囲を押圧できるように超音波溶接機の受け治具を設置すると、正極電極端子39を抵抗溶接部39aにより先に溶接していたとして、抵抗溶接部39aにかける負担を無くしつつ超音波溶接ができる。
また、電極板38の周辺部から電極端子39の平面視近傍位置まで前記引出電極4aの先端部を延在させることで、外装体10の内側に電極体2を収容する場合に引出電極4aの先端部の折り曲げ位置を策定し易い効果がある。
【0040】
抵抗溶接は溶接するべき部材に電極を当接し、電極に通電し、溶接するべき部材どうしの接触界面で最も抵抗が低い部位に流れる電流を利用し、接触部どうしの界面を相互溶融させて接合する技術である。
本形態の電気化学セルにおいて、正極電極板38と正極電極端子39を接合した抵抗溶接部39aは、抵抗溶接の際に最も抵抗の低い部位に流れる電流に起因して極めて狭い範囲、例えば、正極電極板38と正極電極端子39の界面において抵抗溶接に用いた電極1本(あるいはプローブ1本)に対し点状に1箇所で溶接される。このため、上述の剥離の問題を生じることが考えられる。
【0041】
先に説明のように、第1容器17および第2容器18をラミネート部材とし、第1容器17および第2容器18に負極電極端子26、正極電極端子39を設けた。電極端子26、39を設けることにより、封止部15から外部に端子部を突出させる必要がない。よって、電池1を小形にできる。
【0042】
第2周壁部32は、第2底壁部31の外周31aから第1容器17の第1底壁部21に向けて筒状に折り曲げられている。折曲部33は、第2周壁部32のうち、第1底壁部21側の端部32aから第2周壁部32に沿って第2底壁部31側へ円筒状に折り曲げられている。折曲部33は、第2周壁部32に対して径方向外側に間隔をおいて配置されている。折曲部33および第2周壁部32は、断面U字状に形成されている。
第2周壁部32は、第1周壁部22の内側で、かつ、折曲部33の内側に配置されている。また、折曲部33は、第1周壁部22の内側に配置されている。折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とが熱融着されている。
【0043】
折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とが熱融着されることにより、封止部15が形成される。よって、収容部12の外周が封止部15で封止される。これにより、第1容器17と第2容器18が重ね合わされて外装体10が形成される。
折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とを熱融着する手段として、例えばヒータやレーザーなどの熱源を用いる熱融着が挙げられる。また、折曲部33の融着層と第1周壁部22の融着層とは、熱融着の他に、例えば超音波溶接を用いる融着などが適用可能である。
封止部15は、収容部12の外側に円筒状に形成され、かつ、収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。収容部12の外周12aは、第2周壁部32で形成される。封止部15は、平面視において、円形に形成されている。
【0044】
封止部15を収容部12の外周12aに沿って折り曲げることにより、封止部15を収容部12の外周12aに配置することができる。よって、封止部15は、収容部12の中心軸Oに対して直交する方向への張出が小さく抑えられる。これにより、特に、小形の電池1において、電池1の体積当たりの容量を高めることができる。
【0045】
また、封止部15は、絞り成形によって収容部12の外周12aに沿って折り曲げられている。よって、封止部15は、第1容器17および第2容器18の他の部位に比べて薄肉に形成されている。封止部15を薄肉に形成することにより、収容部12の中心軸Oに対して直交する方向への封止部15の張出が一層小さく抑えられる。
また、第1容器17および第2容器18の融着層が薄肉に形成されることにより、第1容器17および第2容器18の金属シート間の隙間が小さく抑えられる。これにより、封止部15から外装体10の内部に水が浸入することを一層良好に抑えることができる。
【0046】
収容部12は、第1容器17と第2容器18とが重ね合わされることにより密封空間が形成される。具体的には、収容部12は、第1底壁部21、第2底壁部31、および第2周壁部32により画成されている。
【0047】
以上のように構成された電池1を製造するには、第1容器17と第2容器18の間に図3に示すように第1シーラントフィルム24、負極電極端子26、負極電極板25、電極体2、正極電極板38、正極電極端子39、第2シーラントフィルム37をこの順で積層できるように収容し、第1容器17と第2容器18から構成される外装体10の内部に電解液を充填し、第1容器17と第2容器18を重ねて互いの周壁部分を熱溶着することができる。
【0048】
電池1を製造する際、負極電極端子26を負極電極板25に、正極電極板38を正極電極端子39に、予め抵抗溶接あるいはレーザー溶接により接合して一体化しておくことが好ましい。
それらの後、電極体2の正極電極板38の内面側に超音波溶接機により正極側の引出電極4aを溶接し、電極体2の負極電極板25の内面側に超音波溶接機により負極側の引出電極を溶接すれば良い。
この超音波溶接を行う場合、超音波溶接機の治具を設置して押圧する位置を図5の鎖線で囲む範囲としておくならば、抵抗溶接部39aの接合強度に対する影響を少なくできる。例えば、超音波溶接機が抵抗溶接部39aに与える振動の影響を少なくして抵抗溶接部39aに溶接強度の面で仮に不安定な部分などを生じていた場合であっても、抵抗溶接部39aに対する影響は少なく、抵抗溶接部39aの強度低下を助長するおそれがない。このため、抵抗溶接部39aの剥離などの原因とならず、抵抗溶接部39aの剥離現象を抑制できる。この事情は抵抗溶接部がレーザー溶接部であっても同様である。
なお、この例では抵抗溶接部39aを超音波溶接部4cよりも先に形成する場合について説明したが、抵抗溶接部39aと超音波溶接部4cの形成順序はどちらが先であっても差し支えない。
【0049】
以上説明の如く構成された電池1にあっては、ステンレス鋼板からなる正極電極板38に対し、NiまたはNi合金からなる正極電極端子39を接合しているので、電極端子39の表面に自然酸化膜が生成し難く、正極電極端子39に対し外部端子などから良好なコンタクトを取ることができる。このため、正極電極端子39の表面に自然酸化膜が生成している場合に比べて外部端子と低い接触抵抗で接続が可能となり、過電圧の発生なども抑制できるので、容量低下を引き起こすことがない電池1を提供できる。
【0050】
また、正極電極板38に対し正極電極端子39を抵抗溶接する場合、抵抗溶接は溶接するべき部材に電極(プローブ)を当接し、電極(プローブ)に通電し、溶接するべき部材どうしの接触界面で最も抵抗が低い部位に流れる電流を利用し、正極電極板38と正極電極端子39の界面を相互溶融させて接合する技術である。
本形態の電池1において、正極電極板38と正極電極端子39を接合した抵抗溶接部は、抵抗溶接の際に最も抵抗の低い部位に流れる電流に起因して極めて狭い範囲、例えば、正極電極板38と正極電極端子39の界面において抵抗溶接に用いた電極(プローブ)1本に対し点状に1箇所で溶接される。また、接合技術としてレーザー溶接部を適用した場合であっても、狭い範囲にレーザー溶接部が設けられる。
【0051】
本実施形態の如く正極電極端子39と正極電極板38との抵抗溶接部またはレーザー溶接部が複数の点状溶接部からなると、仮に1つの点状溶接部が溶接不良等の問題を起こしていた場合であっても、正極電極端子39の良好な接合状態を得ることができる。
1つの点状溶接部のみで正極電極端子39と正極電極板38とが接合され、仮に、点状溶接部が溶接不良などを起こしていると、正極電極端子39には外部端子の当接などにより回転力が作用することがあり、正極電極端子39の回転による剥離の問題などを生じるおそれがある。
この点において本実施形態の如く複数の点状溶接部で接合されていると、外部端子当接による回転力の負荷などにも耐久性の高い正極電極端子39の構造を提供できる。
【0052】
本形態の電池1において、第1容器17の第1周壁部22と第2容器18の第2周壁部32を重ね合わせて融着していると、容器どうしを接合している融着部を第1容器17と第2容器18の外周部に配することができる。このため、第1容器17と第2容器18からなる外装体10の内容積が融着部の存在によって狭められることが無い。従って、小型のボタン形電池であっても外装体10の内容積を確保し易く、電池1として体積あたりの容量を確保し易くなる。
また、小型薄型の電池1であっても、容器どうしを接合している融着部について第1容器17と第2容器18の外周底部から外周上部まで容器17、18の高さを充分に活用した最大高さ分の融着面積としているので、充分な融着面積を確保することができ密閉性の良好な電池構造を得ることができる。
【0053】
図6は引出電極4aの先端部を正極電極板38に超音波溶接する場合の一例を示す説明図である。
超音波溶接機は、アンビルと称されるブロック状の受け治具50と超音波ホーンと称される共振体51で被溶接部材どうしを挟持し、両者の間に挟んだ被溶接部材どうしに超音波振動を付与しながら両者を溶接する装置である。
図6に示す引出電極4aの先端部と正極電極板38を超音波溶接する場合、正極電極板38の中央には既に抵抗溶接により電極端子39が溶接されている。
このため、図6に示す超音波溶接機の構造では受け治具50の表面に凹部50aを形成し、この凹部50aに電極端子39を収容し、受け治具50に電極端子39が接触しない構造とする。
【0054】
この構造により、電極端子39に受け治具50と共振体51が直に触れないようにして両者の間に引出電極4aの先端部と正極電極板38を挟持することができる。この状態で共振体51から超音波を印加することで引出電極4aの先端部と正極電極板38の接触部分の界面に超音波溶接部52を形成できる。
図6の構造では正極電極板38の左側端縁から右側端縁に達するように引出電極4aを重ね合わせ、凹部50aの両側に超音波溶接部52を形成できる。
図6の構造では電極端子39の両側に超音波溶接部52を形成することで超音波溶接部の面積をできるだけ大きくしているので、接触抵抗低減に寄与し、溶接強度の高い構造を提供できる。
【0055】
なお、凹部50aの形成位置は任意の位置に形成可能であるため、図6において例えば凹部50aを右側により広く形成し、電極端子39の左側の領域のみ超音波溶接部を形成することもできる。
このように凹部50aを拡張した場合、引出電極4aの先端部を図6に示す正極電極板38の周縁部から、電極端子39の近傍位置まで延在する長さに設定することにより、図5に示す超音波接合部を備えた構造を製造できる。
【0056】
なお、これまで説明した実施形態では、基本的に平面視円形状の電気化学セルについて説明したが、電気化学セルの平面視形状は円形状に限らず、三角形状などの多角形状、楕円形状、レーストラック形状など、種々の形状を採用可能であり、本形態の電気化学セルにおいて特に平面視形状に制限はない。
【0057】
平面視円形状ではない電気化学セルを構成する場合、電極板や加圧補助環状体の形状は電気化学セルの平面視形状に合わせた外形とする。
例えば、平面視三角形状の電気化学セルを構成する場合は電極板も平面視三角形状を採用し、平面視楕円状の電気化学セルを構成する場合は電極板も平面視楕円状とする。これらの場合も電極板の平面視形状は電極体の平面視形状の相似形とすることが好ましい。
【0058】
また、先に説明した実施形態では、負極電極3と正極電極4について、いずれも円板状の電極本体を複数、帯状の連結部を介して接続し、数珠繋ぎ状に接続したものをつづら折りして交互積層した電極体2を適用した。
しかし、本発明の電気化学セルにおいて、電極体2の構造はつづら折り構造に限るものではなく、セパレーターを介し負極電極と正極電極を積層し巻回した構造の電極体を採用することもできる。この構造の電極体であっても、電極体の一側に設けた正極側の引出電極を正極電極板38に接続し、電極体の他側に設けた負極側の引出電極を負極電極板25に接続することで本発明の電気化学セルに適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1…電池(電気化学セル)、2…電極体、3…負極電極、4…正極電極、
4a…正極側引出電極、4c…超音波溶接部、4d…負極側引出電極、10…外装体、
12…収容部、12a…収容部の外周、15…封止部、17…第1容器、
18…第2容器、21…第1底壁部、22…第1周壁部、23…第1貫通孔、
24…第1シーラントリング、25…負極電極板、26…負極電極端子(貫通電極)、31…第2底壁部、32…第2周壁部(収容部の外周)、35…第2貫通孔、
37…第2シーラントリング、38…正極電極板、39…正極電極端子(貫通電極)、39a…抵抗溶接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6