IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピアッジオ・アンド・シー.・エス.ピー.エー.の特許一覧

<>
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図1
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図2
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図3A
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図3B
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図4A
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図4B
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図5
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図6
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図7
  • 特許-オートバイのエンジン冷却装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】オートバイのエンジン冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/10 20060101AFI20221124BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20221124BHJP
   B60K 6/485 20071001ALI20221124BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20221124BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20221124BHJP
   B62J 50/30 20200101ALI20221124BHJP
   F02B 61/02 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
F01P11/10 B
F01P11/10 H
B60K6/40
B60K6/485 ZHV
B60K6/54
B60K11/04 H
B60K11/04 K
B62J50/30
F02B61/02 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018524455
(86)(22)【出願日】2016-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2016056766
(87)【国際公開番号】W WO2017081633
(87)【国際公開日】2017-05-18
【審査請求日】2019-09-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】102015000072407
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514151524
【氏名又は名称】ピアッジオ・アンド・シー.・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, 56025 Pontedera, PISA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドヴェリ,ステファノ
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071492(JP,A)
【文献】特開2014-084844(JP,A)
【文献】特開平05-065086(JP,A)
【文献】特開2010-076751(JP,A)
【文献】特開2008-193841(JP,A)
【文献】特開2009-019582(JP,A)
【文献】特開2014-028604(JP,A)
【文献】特開2015-143488(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027446(WO,A1)
【文献】特開2011-052547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/10
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ファン(6)が、原動機付き車両の側部に配置されかつ前記原動機付き車両の前進から生じる実質的に接線方向の空気流を受けるルーバ(5)によって保護されたラジエータ(4)に対向する駆動軸(2)によって制御され、前記ルーバ(5)が下部締結縁(51)と頂部締結縁(52)を有する、水冷式の原動機付き車両の内燃機関の冷却装置であって、
前記ルーバ(5)は、前記原動機付き車両の移動方向(F)と一致する方向に延在し、前記下部締結縁(51)と前記頂部締結縁(52)の間にあり、かつ、凹面が前記ラジエータ(4)に対向するC字形の断面を有する少なくとも一つの第1の流れリブ(11)を備え、前記ルーバ(5)と前記ラジエータ(4)の間の空の空間(10)の高さを増し、前記ルーバ(5)と前記ラジエータ(4)の間に前記ファン(6)によって吸引される空気の動きを偏向する空間の形状を決定し、
前記ルーバ(5)は、前記第1の流れリブ(11)の両側で延在し、前記原動機付き車両の前記移動方向(F)を横断し、それぞれの後縁(17)よりも前記ラジエータ(4)から離間している前部先端縁(16)を有する複数の第1および第2のブレード(12、13)を備え、
前記第1の流れリブ(11)は、それに対向する前記ラジエータ(4)の表面によって画定される平面に平行であり、前記空の空間(10)を画定する前記第1の流れリブ(11)と前記表面の間の距離が、前記原動機付き車両の前進を画定する前記移動方向(F)に沿って見た場合に一定である、冷却装置。
【請求項2】
前記原動機付き車両は、フレームを有し、前記原動機付き車両の前記フレームが、運転者の脚置き用プラットフォーム(20)を備え、前記ルーバ(5)の側の前記プラットフォーム(20)の下方には、前記原動機付き車両の前記前進方向(F)に関して前方に対向する取り入れ口(22)と、前記ルーバ(5)に対向する空気放出開口(23)と、を有する通風路を画定する側部シュラウド(21)が設けられ、該通風路は、前記ルーバ(5)の露出面に対して接線方向であり、かつ前記第1の流れリブ(11)に平行である前後方向の広がりを有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ラジエータ(4)は、前記下部締結縁(51)に対応する下部マニホールド(41)と、蓋(43)を備える頂部マニホールド(42)と、を有し、前記ルーバ(5)は、前記頂部マニホールド(42)および前記蓋(43)を完全に隠すことによって重なり合う閉塞頂部(59)を有する、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記ラジエータ(4)は、前記ルーバ(5)を通って送られる前記空気流に曝される表面であって、前記原動機付き車両の前記前進方向(F)に対して上下方向かつ平行である表面を有する箱形状を有し、前記ラジエータ(4)の前記下部マニホールド(41)が前記ラジエータ(4)の前記頂部マニホールド(42)に対して前方位置にあるように後方に傾いている、請求項1~3の何れか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記ラジエータ(4)の前記下部マニホールド(41)および前記ラジエータ(4)の前記頂部マニホールド(42)は、前記ラジエータ(4)の前側に配置された排出管(44)および吸入管(45)を夫々有する、請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記ファン(6)は、前記ラジエータ(4)と電気モータ(7)の間に配置されたケーシング(8)内に包含され、前記ケーシング(8)は、前記ルーバ(5)に対向する面とは反対側の前記ラジエータ(4)の面に対応する中心開口と、下向きでかつフィン(9)を装備した前記ケーシング(8)の側壁の開口と、を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記ルーバ(5)は、その底部から頂部まで四つの横断部分、すなわち、下部開放部(56)、中間開放部(57)、上部開放部(58)、および頂部閉塞部(59)に実質的に分割され、いずれも前部締結縁(53)から前記後部締結縁(54)まで延在し、前記第1の流れリブ(11)は、前記下部開放部(56)と前記中間開放部(57)の間に配置され、前記前部締結縁(53)から前記後部締結縁(54)まで延在し、前記上部開放部(58)は、第2の流れリブ(14)から前記頂部閉塞部(59)まで上下方向に延在する第3のブレード(15)を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記ファン(6)は、前記駆動軸(2)上に直接固定される、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の冷却装置を含む、原動機付き車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷式の原動機付き車両、具体的にはスクータの内燃機関の冷却装置に関し、冷却ファンが、該原動機付き車両の側部に配置されかつ該原動機付き車両の前進から生じる実質的に接線方向の空気流を受けるルーバによって保護されたラジエータと対向する駆動軸によって制御される。
【背景技術】
【0002】
この冷却装置は、ラジエータを通して空気を吸引するためのファンと、電気バッテリーの充電、内燃機関の始動、および、場合によっては、原動機付き車両がいわゆるハイブリッド推進によるタイプの場合に駆動力の供給を可能にする発電機とエンジンの両方が駆動軸に組み付けられた原動機付き車両用エンジンにおいても効果的に使用することができる。
【0003】
この駆動軸は、原動機付き車両の前後方向の広がりに対して横断して配置され、さらに、この駆動軸は、走行平面に対して水平であり、かつ原動機付き車両が直進する際に固定された後輪、すなわち、操縦されていない後輪の回転平面によって実質的に画定される上下方向の平面に対して垂直である。電気エンジン、ファン、ラジエータおよび関連するルーバは、さらに、エンジンの同じ側で、一つ以上のピストンによって回転が制御される駆動軸の一端に受容され、駆動軸の他端は、さらに、その動きを駆動後輪に伝達する機関に接続されている。この原動機付き車両には、本明細書には記載しないが、本明細書に記載の冷却装置を備えることができる課題解決法において二重後輪が設けられる可能性もある。
【0004】
上記ラジエータのルーバの配置により、ルーバは、前方ではなく接線方向に空気に覆われる。ラジエータの冷却水を冷却するのに必要な空気は、さらに、軸が基本的に原動機付き車両の前進から生じる空気流に対して直角を成すファンによって吸引される。
【0005】
自動車のエンジンでは、通常、ファンが専用の電気モータによって制御されるが、それはエンジンの回転数と同一であるため、ファンの回転数が、冷却要求によって直接決まるわけではないことを考慮すると、ラジエータが常に十分に冷却されるように、ファンの広さは、設計時に適切な値を取らなくてはならない。
【0006】
この要求が、今度は、ファンのブレードの大型化を引き起こす可能性があり、それにより、一方では、原動機付き車両に対して横断方向の冷却装置のサイズが過剰に増大する可能性があり、他方では、とりわけ高回転数で供給される駆動力の大部分が、ファンの動きにとって利益となることを考慮すると、それらのファンブレードがエンジンの全体的な性能を低下しかねない。
【0007】
米国特許第6,971,438号明細書には、上記で注目した欠点が現れる可能性のある構成において、ルーバがラジエータに対して実質的に平行である上記のような冷却装置が記載されている。
【0008】
この不足を考慮し、欧州特許出願公開第2,474,723号明細書には、車両の移動から生じる空気流を部分的に捕まえるように、ルーバの横断方向への張り出し部がサイズを増大しながら移動方向を向くようにルーバを傾けた冷却装置が記載されている。
【0009】
しかしながら、この配置では、車両の空気力学的な有効性が低下する可能性があり、実際、かかるルーバは、ルーバ上で平らな平面を形成するように配置された横断方向のブレードを有し、実質的に空気の通り道を塞ぎ、ルーバ自体によって閉じられたラジエータのコンパートメントの内部へのごみ、水または粉体の侵入を防止している。
【0010】
これとは反対に、欧州特許出願公開第2,022,658号明細書および台湾特許出願公開第200927542号明細書には、上記タイプの冷却装置が記載されており、ルーバが、ルーバの前縁と後縁に対して持ち上がった上下方向のリブによって二つの部分に分離されている。このようにして、ルーバの内側には、空き空間が形成され、空気は、ファンの吸引力の効果によって方向を変えることができ、ルーバの一部は、その横断方向への張り出し部が、車両の移動から生じる空気流を部分的に捕まえるように、移動方向を向いている。
【0011】
しかしながら、この場合でも、空気力学的な種類の問題と、ごみまたは粉体が保護ルーバの内側のラジエータ領域に侵入するリスクの両方が存在する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の根底にある技術的課題は、既知の技術を参照して言及した欠点を取り除くことができる原動機付き車両の内燃機関用の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題は、ここで特定したような、かつ添付の請求項1に定められるような冷却装置によって解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る冷却装置の主な利点は、このようにして、ファンの大き過ぎを避けることによってラジエータへの空気の浸入の改善を可能にすることにある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、以下の添付図面を参照し、非限定的に提供する好適な一実施の形態の例に基づいて以下に説明する。
図1】本発明に係る原動機付き車両のエンジン冷却装置を組み込んだ原動機付き車両の部分的な斜視図であり、そのラジエータの保護ルーバを見ることができる。
図2】本発明に係る原動機付き車両のエンジン冷却装置を組み込んだ図1の原動機付き車両の推進ユニットの正面図である。
図3A図2の推進ユニットの側面図であり、その側面には冷却装置が配置されており、ルーバを見ることができる。
図3B図3Aと類似の図2の推進ユニットの側面図であり、ルーバが取り除かれている。
図4A】本発明に係る原動機付き車両のエンジン冷却装置を組み込んだ、図1の原動機付き車両の推進ユニットの平面図である。
図4B】本発明に係る冷却装置の構成部品に注目した、図4Aの拡大図である。
図5】本発明に係る冷却装置のラジエータに組み付けられた前記ルーバの図である。
図6図5のA-A平面に係るルーバとラジエータとファンボックスの群の断面図である。
図7図5のB-B平面に係るルーバとラジエータとファンボックスの群の断面図である。
図8図5に対して反対側からのルーバとラジエータとファンボックスの群の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、原動機付き車両が部分的に描写されており、すなわち、この原動機付き車両は、運転者および同乗者用のサドルと、運転者の脚置き用のプラットフォーム20と、がフレームに接続されたスクータタイプのものである。
【0017】
この原動機付き車両は、シリンダおよび関連するピストンを受容する一体的なエンジンブロックを有し、かつ頂部にアウトレットボックス30を有する推進ユニット1(図2図3A図3Bおよび図4A)を備えている。推進ユニット1は、さらに、水冷タイプの内燃機関を組み込んでいる。図面では、この原動機付き車両の前進方向Fに注目し、それに基づいて、図1に描写されている原動機付き車両の右側と、左側とが画定される。
【0018】
原動機付き車両の左側に、推進ユニット1は、トランスミッションカーター(transmission carter)40に包含されたトランスミッション機関を備え、トランスミッションカーター40は、エンジンから後輪60(図1)の軸50(図3A図3Bおよび図4A)まで延在している。
【0019】
原動機付き車両の右側に、推進ユニット1は、以下で詳述する冷却装置と、排気ダクト70とを備えている。
【0020】
「右側」および「左側」は、本明細書では慣習に従って用いており、すなわち、構造的慣習において、夫々の機関は、反転させて入れ換えることもできることを意図するものとする。
【0021】
推進ユニット1は、エンジン内部のピストンの往復運動の効果によって回転させられる駆動軸2を備えている。
【0022】
駆動軸2は、原動機付き車両の前後方向の広がりに対して横断して配置され、さらに、走行平面に対して水平であり、かつ、原動機付き車両が直進する際に固定された後輪60、すなわち、操縦されていない後輪60の回転平面によって実質的に画定される上下方向の平面に対して垂直である。
【0023】
本例の冷却装置において、冷却ファン6は、駆動軸2に直接固定されており、原動機付き車両の右側に配置されたルーバ5によって保護されかつ原動機付き車両の前進から生じる実質的に接線方向の空気流を受けるラジエータ4に対向している。
【0024】
ファン6の直接固定は、エンジン自体の回転数による自律的な方法ではなく、駆動軸によって回転が制御される特定の場合のファンを想定している。
【0025】
特に、本実施の形態の例では、ラジエータを通して空気を吸引することを可能にするファン6と、電気バッテリーの充電、内燃機関の始動、および、場合によっては、原動機付き車両がいわゆるハイブリッド推進によるタイプのものである場合に駆動力の供給を可能にするエンジンと発電機7の両方が駆動軸2に組み付けられている。
【0026】
電気エンジン,ファン,ラジエータおよび関連するルーバは、さらに、エンジンの同じ側で、駆動軸2の一端に受容されており、駆動軸2の他端は、さらに、先に言及したトランスミッション機関に接続されている。
【0027】
ファン6は、ラジエータ4と電気モータ7の間に配置されたケーシング8内に包含されており、すなわち、このケーシングは、ルーバ5に対向する面とは反対側のラジエータ4の面(図8)に対応する広い中心開口を有し、この開口を通って、かつ図面では見えない複数の貫通スロットを有するラジエータ4を通って、空気が吸引される。
【0028】
加熱された空気流は、さらに、ファン6のケーシング8の側壁を通って、特に、下向きであり、かつフィン9(図6および図7)を装備した開口を通って排出される。
【0029】
なお、これまでに記載したことは、操縦されている前輪と固定された後輪を備えるスクータと、三輪を備えるタイプのスクータ、すなわち、一対の旋回する前輪と一つの固定された後輪を備えるタイプのスクータの両方に関する可能性がある。しかしながら、この原動機付き車両では、本明細書には記載しないが、本明細書に記載の冷却装置を備えることができる課題解決方法において、二重後輪が設けられる可能性もある。
【0030】
冷却装置に注目すると、ルーバ5は、下部締結縁(lower fastening edge)51、頂部締結縁(top fastening edge)52、傾いた上部区域によって頂部締結縁52に接続された前部締結縁(front fastening edge)53、および二つの僅かに傾いた区域に分割される後部締結縁(rear fastening edge)54を有している。下部締結縁51、前部締結縁53および後部締結縁54は、それぞれ、ねじによって係合されることを意図する締結孔55を有している。上記したこれらの縁は曲げられて、ルーバの露出面とともに、ルーバ5の凹面が対向するラジエータ4に締結される開放容器を形成している。
【0031】
底部から頂部にかけて、ルーバ5は、四つの横断部分に実質的に分割される、すなわち、ルーバ5は、下部開放部(lower open portion)56、中間開放部(intermediate open portion)57および上部開放部(upper open portion)58を有し、それらは全て、前部締結縁53から後部締結縁54まで延在している。さらに、ルーバ5は、四つ目の部分として頂部閉塞部(top close portion)59を有している。
【0032】
ルーバ5は、前端に対して後端が上方に持ち上がった状態で、原動機付き車両の移動方向に一致する方向に延在する第1の主要な流れリブ11を備えている。第1の主要な流れリブ11は、下部締結縁51と頂部締結縁52の間の中間位置にあり、下部開放部56と中間開放部57の間で前部締結縁53から後部締結縁54まで延在している。
【0033】
ルーバ5は、原動機付き車両の移動方向を横断する、第1の流れリブ11の両側で延在する複数のブレードを備えている。
【0034】
特に、下部開放部56は、下部締結縁51から第1の流れリブ11まで上下方向に延在する第1のブレード12を有し、中間開放部57は、第1の流れリブ11から第2の流れリブ14まで上下方向に延在する第2のブレード13を有し、第2の流れリブ14は、第1の流れリブ11のように、下部締結縁51と頂部締結縁52の間の中間位置にあり、中間開放部57と上部開放部58の間で前部締結縁53から後部締結縁54まで延在している。第2の流れリブ14も、その後端が、前端に対して上方に持ち上がっている。
【0035】
上部開放部58も、さらに、第2の流れリブ14から頂部閉塞部59まで上下方向に延在する第3のブレード15を有している。
【0036】
全てのブレード12,13,15は、ともに実質的にシャッタ状の構造を形成し、それぞれの後縁(rear edge)17(図7)よりもラジエータ4から離間している前部先端縁16(front leading edge)を有している。言い換えれば、ルーバ5に対向するラジエータ4の面に平行であって、ルーバ5の主表面の位置に実質的に対応する上下方向の平面に対して、ブレード12,13,15は、上から見た場合に時計回りに傾いており(図7)、このようにして、ブレードの表面は、空気流を妨げるのではなく、ルーバ5の下の空間に空気流を引き入れるように配置される。
【0037】
さらに、第1の流れリブ11は、下部締結縁51と頂部締結縁52に対してラジエータから離間した位置にある。この点に関して、第1の流れリブ11は、場合によっては第2のリブ14も、ラジエータ4との間に含まれる空き空間の高さを高くするように、凹面がラジエータ4に対向するC字状の断面を有している。
【0038】
この凹面は、さらに、空気流の接線成分を後部締結縁に送り、そこで、この接線成分は、最終的に偏向される。
【0039】
このようにして、ラジエータ4の表面全体は、均一に、かつ圧力損失が実質的に低減した状態で空気流に覆われる。さらに、このリブは、ルーバ5とラジエータ4の間で、ファン6によって吸引される空気の動きを偏向させる空間10の形状を決定する。
【0040】
かかる偏向空間10は、ラジエータ4と横断方向に交差する空気力学的抵抗がより小さな経路を構成するように、実質的に、ファン6のケーシング8の開口に対応する位置にある。
【0041】
流れリブ11、14は、それらに対向するラジエータ4の表面によって画定される平面に対して実質的に平行であり、すなわち、空の空間を画定するそれらと表面の間の距離は、原動機付き車両の前進を画定する方向Fに沿って見た場合、一定である。
【0042】
本例では、第2の流れリブ14は、実質的に、下部締結縁51と頂部締結縁52に対して同じ平面にあるが、任意で、第2の流れリブ14も、ラジエータ4に対して持ち上がっていることが可能である。
【0043】
ここで、ラジエータ4を参照すると、ラジエータ4は、下部締結縁51に実質的に対応する下部マニホールド41と、蓋43を備える頂部マニホールド42と、を有している。
【0044】
本例では、ルーバ5の閉塞頂部59は、蓋43を隠すために折り曲げられた頂部締結縁52とも協力して、頂部マニホールド42および蓋43を完全に隠すことによってそれらと重なり合っている。
【0045】
この配置により、この蓋が意図せず開くのを防止するのみならず、凹む可能性を防止し、また、金属製であって運転中に高温を示すこれらの部分によって運転者または同乗者がやけどするのを防止している。
【0046】
既に注目したように、ラジエータ4は、ルーバ5を通って送られる空気流に曝される表面を有する箱状の形状を有し、この表面は、原動機付き車両の前進方向Fに対して実質的に上下方向かつ平行である。
【0047】
さらに、ラジエータ4は、後方に傾いているため、ラジエータ4の下部マニホールド41は、ラジエータ4の頂部マニホールド42よりも前方位置にある。
【0048】
ラジエータ4の下部マニホールド41および頂部マニホールド42は、排出管44および吸入管45を有し、これらは、両方とも、ラジエータ4の前側で、前部締結縁53に夫々配置されている。
【0049】
図1を参照すると、原動機付き車両は、ルーバ5の近くに、運転者の脚置き用のプラットフォーム20(図1)を備える各自のフレームを有している。
【0050】
プラットフォーム20の下方に、原動機付き車両は、上記の冷却装置の作動を補助する側部シュラウド(side shroud)21を備えている。
【0051】
この目的のため、このプラットフォームの下方に、原動機付き車両の本体は、前後方向に延在する管状の凹面形状を有している。側部シュラウド21は、管状の凹面に重なり合い、プラットフォーム20の下方かつルーバ5の側部にて、原動機付き車両の前進方向Fに関して前方に対向する取り入れ口22と、ルーバ5に対向する空気放出開口23と、を有する通風路を画定する。
【0052】
このようにして、この通風路は、ルーバ5の露出面に対して実質的に接線方向であり、かつ第1の流れリブ11に平行な前後方向の広がりを有している。
【0053】
この通風路は、さらに、その下の空間10を通る空気流を分割して減速させている。
【0054】
この点に関して、第1の流れリブ11は、場合によっては第2のリブ14も、ラジエータ4との間に含まれる空の空間(empty space)の高さを高くするように、凹面がラジエータ4に対向したC字形の断面を有している。
【0055】
この凹面は、さらに、空気流の接線成分を後部締結縁に送り、そこで、この接線成分は、最終的に偏向される。
【0056】
このようにして、ラジエータ4の表面全体は、均一に、かつ圧力損失を実質的に低減した状態で、空気流に覆われる。
【0057】
さらに、ラジエータ4とファン6のケーシング8の間には、空気流を送るためのシーリングは特に必要ない。
【0058】
上記の冷却装置に対しては、当業者は、追加的かつ付随的な要求を満たす目的で、いくつかの修正および変形を導入し得るが、それらは全て、添付の請求項によって定められるような本発明の保護範囲内に含まれる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8