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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20221124BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20221124BHJP
   E05B 77/34 20140101ALI20221124BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221124BHJP
   E05B 17/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
E05B83/34 ZHV
B60K1/04 Z
E05B77/34
E05B49/00 J
E05B17/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019071107
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020169482
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植木 貴大
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-52329(JP,A)
【文献】特開2013-124487(JP,A)
【文献】特開平3-57717(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1875437(KR,B1)
【文献】独国特許出願公開第102005052635(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60K 1/04
B60K 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットの充電口を開閉可能に覆う充電リッドと、
自車両にかかる水滴を検知する水滴検知部と、
自車両と無線通信してドアのロックおよびアンロックを指示するアクセスキーが自車両の近傍に存在するか、または、前記ドアがアンロックされている旨のアンロック条件を満たした場合、前記充電リッドのロックを解除させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記水滴検知部によって水滴が検知された場合、前記アンロック条件を満たしたか否かに拘わらず、前記充電リッドを閉じた状態でロックさせる車両。
【請求項2】
前記制御部は、水滴の検知に基づいて前記充電リッドがロックされた状態において、前記アクセスキーが自車両の近傍に存在し、かつ、前記アクセスキーから前記ドアのアンロックを指示するドアアンロック信号を受信した場合、前記充電リッドのロックを解除させる請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記水滴検知部は、自車両に搭載された撮像装置により撮像された画像に基づいて水滴を検知する請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記制御部は、自車両の位置を示す位置情報を取得し、洗車が可能な位置に自車両が位置する場合、前記水滴検知部による水滴の検知を可能にさせる請求項1から3のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車などの車両におけるインレットの充電口に空気を供給する技術が開示されている。かかる技術によれば、充電口に供給される空気によって、充電口に雨水が侵入することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-52329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インレットには、充電口を覆って、充電口への砂塵や水の侵入を防ぐ充電リッドが設けられる。アクセスキーが車両の近傍に存在する状態、または、車両のドアがアンロックされている状態では、充電リッドは、利便性を考慮してアンロックされる。充電リッドは、アンロックの状態では、外部から力がかかると開口部が開くようになっている。
【0005】
ところで、車両の搭乗者は、アクセスキーを車両の近傍に存在させた状態、または、ドアをアンロックさせた状態で、洗車機などで車両を洗車する場合がある。このような場合、洗車機のブラシなどで充電リッドに力がかかると、充電リッドがアンロックされているため、開口部が開いてしまうおそれがある。洗車中に開口部が開くと、水が充電リッド内に侵入し、充電時などにおいて漏電が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、洗車時に充電リッド内への水の侵入を防止することが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、インレットの充電口を開閉可能に覆う充電リッドと、自車両にかかる水滴を検知する水滴検知部と、自車両と無線通信してドアのロックおよびアンロックを指示するアクセスキーが自車両の近傍に存在するか、または、ドアがアンロックされている旨のアンロック条件を満たした場合、充電リッドのロックを解除させる制御部と、を備え、制御部は、水滴検知部によって水滴が検知された場合、アンロック条件を満たしたか否かに拘わらず、充電リッドを閉じた状態でロックさせる。
【0008】
また、制御部は、水滴の検知に基づいて充電リッドがロックされた状態において、アクセスキーが自車両の近傍に存在し、かつ、アクセスキーからドアのアンロックを指示するドアアンロック信号を受信した場合、充電リッドのロックを解除させてもよい。
【0009】
また、水滴検知部は、自車両に搭載された撮像装置により撮像された画像に基づいて水滴を検知してもよい。
【0010】
また、制御部は、自車両の位置を示す位置情報を取得し、洗車が可能な位置に自車両が位置する場合、水滴検知部による水滴の検知を可能にさせてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗車時に充電リッド内への水の侵入を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による車両および周辺機器の構成を示す概略図である。
図2】インレットの構成を説明する概略図である。
図3】洗車時の水滴について説明する説明図である。
図4】制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態による車両1および周辺機器の構成を示す概略図である。図1では、制御信号の流れを破線の矢印で示している。以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。
【0015】
車両1は、例えば、モータ(不図示)を駆動源とした電気自動車である。なお、車両1は、エンジンとモータとが並行して設けられたハイブリッド電気自動車であってもよい。以後、車両1を、自車両と呼ぶ場合がある。車両1は、バッテリ10、充電器12、インレット14、充電リッド16、水滴検知部18、位置検出部20、通信部22および制御部24を含む。
【0016】
バッテリ10は、リチウムイオン電池等の二次電池である。車両1では、バッテリ10の電力を消費してモータを駆動させる。充電器12は、バッテリ10およびインレット14に接続される。充電器12は、インレット14を通じて車外から交流電力を受電し、受電した交流電力を直流電力に変換してバッテリ10に供給する。つまり、バッテリ10は、充電器12およびインレット14を通じて充電される。インレット14は、例えば、車両1における一方の側面の後方に設けられる。
【0017】
図2は、インレット14の構成を説明する概略図である。インレット14は、ケース部30、充電口32、電力用端子34、通信用端子36およびカバー部38を含む。
【0018】
ケース部30は、例えば、絶縁体で構成され、車両1のボディの内側に支持される。ケース部30は、車両1の内側に向かって窪む容器である。ケース部30には、充電口32が設けられている。充電口32には、電力用端子34および通信用端子36が設けられている。また、充電口32には、電力用端子34および通信用端子36を覆うカバー部38が設けられる。
【0019】
電力用端子34は、例えば、2個設けられ、通信用端子36は、例えば、複数(図2では、3個)設けられる。電力用端子34および通信用端子36は、導体で円筒状に形成されており、外周面が絶縁体で覆われている。電力用端子34および通信用端子36は、メス側の接続端子として機能する。電力用端子34は、充電器12から延びる電力線に接続され、通信用端子36は、制御部24などから延びる通信線に接続される。
【0020】
車両1のボディにおける充電口32の正面には、開口部40が設けられる。開口部40は、インレット14のケース部30内の空間と車外とを連通する。開口部40には、インレット14の充電口32を覆う充電リッド16が設けられる。充電リッド16は、ヒンジ部42を支点として回動することで、開口部40を開閉可能である。充電リッド16は、充電時以外において閉じられ、充電を行う際に開かれる。図2では、充電リッド16が開かれた状態で示されている。
【0021】
充電リッド16におけるヒンジ部42とは反対側には、爪部44が設けられる。また、ボディ側には、爪部44に対応する係止部46、および、開閉スイッチ48が設けられる。充電リッド16が開いた状態において、開閉スイッチ48が充電リッド16で押されると、爪部44が係止部46に引っかかり、開口部40が充電リッド16によって閉じられる。また、充電リッド16が閉じた状態において、充電リッド16の爪部44側(開閉スイッチ48上)が外部から押されると、爪部44が係止部46から外れて、開口部40が充電リッド16によって開かれる。
【0022】
また、係止部46の近傍には、ロック機構50が設けられている。ロック機構50は、充電リッド16が閉じた状態で、充電リッド16のロック(施錠)およびアンロック(開錠)を行う。
【0023】
ロック機構50は、充電リッド16をロックさせるリッドロック信号を制御部24から受信すると、充電リッド16をロックする。例えば、ロック機構50は、開閉スイッチ48が押されても爪部44が係止部46から外れないように係止部46を保持する。充電リッド16は、ロックされると、外部から力が加わっても開口部40を閉じた状態で維持することができる。
【0024】
また、ロック機構50は、充電リッド16をアンロックさせるリッドアンロック信号を制御部24から受信すると、充電リッド16をアンロックする。例えば、ロック機構50は、係止部46の保持を解除する。充電リッド16は、アンロックされると、開口部40を開くことが可能な状態となり、外部から力が加わることによって開口部40を開く。
【0025】
図1に戻って、車両1の周辺機器として、電力供給部60および充電コネクタ62がある。電力供給部60は、例えば、商用電源に接続された充電設備である。電力供給部60は、電力を車両1に供給し、供給された電力は、バッテリ10の充電に利用される。なお、電力供給部60は、商用の充電スタンドであってもよいし、家庭用の充電装置などであってもよい。
【0026】
充電コネクタ62は、ケーブルを通じて電力供給部60に繋がれている。充電コネクタ62は、白抜き矢印で示されるように、充電リッド16を通じてインレット14の充電口32に連結可能となっている。具体的には、充電コネクタ62には、電力用端子34に連結可能なオス側の電力用端子と、通信用端子36に連結可能なオス側の通信用端子が設けられている。充電コネクタ62が充電口32に連結されると、電力用端子34とオス側の電力用端子とが電気的に接続され、通信用端子36がオス側の通信用端子と電気的に接続される。車両1は、電気的に接続された電力用端子34を通じて電力供給部60から電力を受ける。また、車両1は、電気的に接続された通信用端子36を通じて電力供給部60と通信することができる。
【0027】
水滴検知部18は、撮像装置70および車外環境認識装置72を含む。撮像装置70は、CCD(Charge-Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子を含む。撮像装置70は、光軸が車両1の進行方向を向く姿勢で車室内に設けられる。撮像装置70は、フロントガラスなどの車両1のガラス面、および、ガラス面を通じた車外を撮像することができる。
【0028】
撮像装置70は、車両1の前方の検出領域に存在する対象物を撮像し、少なくとも輝度の情報が含まれる輝度画像を所定フレーム毎に連続して生成する。本実施形態において撮像装置70が主に撮像する対象物は、例えば、車両1のガラス面にかかる水滴である。なお、対象物は、ガラス面にかかる水滴に限らず、泡などであってもよい。
【0029】
車外環境認識装置72は、撮像装置70で生成された撮像時刻の異なる複数の輝度画像に基づいて、ガラス面にかかる洗車時の水滴を認識する。
【0030】
なお、撮像装置70は、2個設けられていなくてもよく、少なくとも1個あればよい。つまり、本実施形態における車外環境認識装置72は、輝度画像から水滴を認識するため、視差情報や距離画像を生成しなくてもよい。また、撮像装置70を2個設けた場合、いずれか一方の撮像装置70の輝度画像から水滴を認識してもよい。
【0031】
図3は、洗車時の水滴について説明する説明図である。図3(a)は、洗車の直前の輝度画像80aの一例を示し、図3(b)は、洗車時の輝度画像80bの一例を示している。ここでは、車両1の搭乗者は、サービスステーションなどに設置されている洗車機82で洗車を行うとする。
【0032】
図3(a)に示すように、洗車の直前の輝度画像80aには、洗車機82が撮像されている。洗車がまだ開始されていないため、車両1のガラス面には、水滴が付着していない。このため、輝度画像80aには、水滴が撮像されていない。
【0033】
洗車が開始されると、車両1には、洗車機82から水がかけられる。つまり、車両1のガラス面には、水滴84が付着する。このため、図3(b)に示すように、洗車中の輝度画像80bには、水滴84が撮像される。
【0034】
洗車中では、ガラス面に付着した水滴84は、ガラス面に沿って大凡鉛直下方に流れ落ちる。このため、図3(b)に示すように、輝度画像80bには、粒状の水滴84だけでなく、水滴84が流れ落ちた軌跡を示すスジ状の水滴84も撮像される。
【0035】
車外環境認識装置72は、例えば、粒状の対象物およびスジ状の対象物の輝度画像80b中の存在割合が所定割合以上ある場合に、対象物が洗車時の水滴84であると特定する。所定割合は、例えば、50%などであり、実験などによって予め決められる。
【0036】
また、例えば、車両1が雨の中を走行している場合、フロントガラスに当たった雨は、走行風などによりフロントガラスに沿って大凡鉛直上方に流れる。これに対し、洗車時には、フロントガラスに当たった水滴84は、大凡鉛直下方に流れ落ちる。
【0037】
このため、車外環境認識装置72は、特定した水滴84の流れる方向によって雨による水滴84か洗車による水滴84かを区別する。具体的には、車外環境認識装置72は、撮像時刻が異なる複数の輝度画像80bを時系列で比較し、水滴84の流れる方向を導出する。そして、車外環境認識装置72は、水滴84の流れる方向が大凡鉛直下方である場合、洗車時の水滴84であると認識することができる。
【0038】
車外環境認識装置72は、このようにして水滴84を認識すると、水滴84を検知した旨を示す水滴検知信号を制御部24に送信する。
【0039】
図1に戻って、位置検出部20は、例えば、全地球測位システム(GPS)である。位置検出部20は、車両1の現在の位置を取得する。通信部22は、外部と無線通信を確立し、各種の情報を送受信することができる。
【0040】
また、車両1の周辺機器として、アクセスキー90がある。アクセスキー90は、車両1の搭乗者が携帯することを想定しており、通信部92、ロックスイッチ94およびアンロックスイッチ96を含む。
【0041】
通信部92は、車両1の通信部22と無線通信を確立することができる。通信部92は、通信を確立できるエリアが比較的狭い。つまり、通信部92は、車両1の比較的近傍において通信部22と通信を確立することができるが、車両1から遠ざかると通信部22と通信を確立することができなくなる。
【0042】
ロックスイッチ94は、車両1のドアをロック(施錠)する搭乗者の操作を受け付ける。ロックスイッチ94が押下操作されると、通信部92は、車両1のドアのロックを指示するドアロック信号を車両1に送信する。
【0043】
アンロックスイッチ96は、車両1のドアをアンロック(開錠)する搭乗者の操作を受け付ける。アンロックスイッチ96が押下操作されると、通信部92は、車両1のドアのアンロックを指示するドアアンロック信号を車両1に送信する。
【0044】
つまり、アクセスキー90は、車両1と無線通信してドアのロックおよびアンロックを指示する。なお、アクセスキー90が車両1の近傍に存在しない場合、アクセスキー90の通信部92が車両1の通信部22と通信を確立できないため、ドアロック信号およびドアアンロック信号は、有効に送信されない。
【0045】
制御部24は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路から構成される。
【0046】
駐車時等、車両1が利用されていないとき、制御部24は、充電リッド16をロックしている。制御部24は、充電リッド16がロックされている状況において、アクセスキー90が車両1の近傍に存在するか、または、ドアがアンロックされている旨のアンロック条件を満たした場合、充電リッドのロックを解除させる。具体的には、制御部24は、ロック機構50にリッドアンロック信号を送信する。ロック機構50は、リッドアンロック信号を受信すると、充電リッド16をアンロックする。
【0047】
また、制御部24は、水滴検知部18によって水滴84が検知された場合、アンロック条件を満たしたか否かに拘わらず、充電リッド16を閉じた状態でロックさせる。具体的には、制御部24は、ロック機構50にリッドロック信号を送信する。ロック機構50は、リッドロック信号を受信すると、充電リッド16をロックする。
【0048】
また、制御部24は、水滴84の検知に基づいて充電リッド16がロックされた状態において、アクセスキー90が自車両の近傍に存在し、かつ、アクセスキー90からドアのアンロックを指示するドアアンロック信号を受信した場合、充電リッド16のロックを解除させる。
【0049】
また、制御部24は、位置検出部20から車両1の現在の位置を示す位置情報を取得する。制御部24は、車両1の現在の位置が、洗車が可能な位置に重なる場合、水滴検知部18を水滴検知モードにさせる。以後、洗車が可能な位置を、洗車可能位置と呼ぶ場合がある。洗車可能位置は、例えば、洗車機が設置されている位置である。水滴検知モードは、水滴検知部18による水滴84の検知を可能にさせる制御モードである。
【0050】
ここで、車両1の搭乗者は、洗車時にイグニッションオフ(IG-OFF)する場合がある。IG-OFFされると、通常、水滴検知部18には電力が供給されなくなる。そうすると、水滴検知部18は、洗車時に水滴84を検知できないことがある。
【0051】
そこで、制御部24は、車両1が洗車可能位置に位置すると水滴検知部18を水滴検知モードとし、車両1がIG-OFFされても、水滴検知部18には電力を供給するようにさせる。これにより、洗車時にIG-OFFされても、水滴検知部18は、水滴84の検知が可能となる。
【0052】
なお、水滴検知モードにおいて水滴検知部18が水滴84を一旦検知した場合、制御部24は、充電リッド16のロックとともに、水滴検知モードを終了してもよい。つまり、制御部24は、充電リッド16をロックしたときに車両1がIG-OFFされていたら、水滴検知部18への電力の供給を終了してもよい。この態様では、水滴検知部18で消費される電力を抑えることができる。
【0053】
また、制御部24は、車両1が洗車可能位置から離れると、水滴検知モードを終了してもよい。つまり、制御部24は、車両1が洗車可能位置以外に位置する場合には、車両1がIG-OFFされたときに、水滴検知部18への電力の供給を終了する。この態様により、水滴検知部18で消費される電力を抑えることができる。
【0054】
図4は、制御部24の動作の流れを説明するフローチャートである。制御部24は、イグニッションオン(IG-ON)されると、図4に示す一連の処理を開始する。
【0055】
まず、制御部24は、自車両の現在の位置が、洗車可能位置であるか否かを判断する(S100)。具体的には、制御部24は、位置検出部20から自車両の現在の位置を示す位置情報を取得する。制御部24には、洗車可能位置が地図情報に関連付けられて予め記憶されている。制御部24は、取得した位置情報による位置が洗車可能位置に重なるか否かを判断する。
【0056】
洗車可能位置ではない場合(S100におけるNO)、制御部24は、洗車可能位置に自車両が位置するまで待機する。
【0057】
洗車可能位置である場合(S100におけるYES)、制御部24は、水滴検知モードを開始する(S110)。つまり、制御部24は、車両1がIG-OFFされても水滴検知部18には電力を供給するようにさせる。
【0058】
次に、制御部24は、水滴84を検知した旨を示す水滴検知信号を、水滴検知部18から受信したか否かを判断する(S120)。水滴検知信号を受信していない場合(S120におけるNO)、制御部24は、自車両の現在の位置が、洗車可能位置であるか否かを判断する(S130)。
【0059】
洗車可能位置ではない場合(S130におけるNO)、制御部24は、車両1が洗車可能位置に位置していたが、洗車を行うことなく洗車可能位置から離れたとみなし、水滴検知モードを終了して(S190)、一連の処理を終了する。
【0060】
洗車可能位置である場合(S130におけるYES)、制御部24は、ステップS120の処理に戻り、水滴検知信号を受信したか否かを判断する。つまり、制御部24は、水滴84を検知するまで、または、洗車を行うことなく洗車可能位置から離れるまで、ステップS120およびステップS130の処理を繰り返して待機する。
【0061】
水滴検知信号を受信した場合(S120におけるYES)、制御部24は、ロック機構50にリッドロック信号を送信する(S140)。これにより、充電リッド16は、外部から力がかかったとしても開かない。したがって、車両1では、洗車時に充電リッド16内への水滴84の侵入を防止することが可能となる。
【0062】
次に、制御部24は、アクセスキー90が車両1の近傍に存在するか否かを判断する(S150)。具体的には、制御部24は、通信部22がアクセスキー90と通信を確立できた場合、アクセスキー90が車両1の近傍に存在すると判断し、通信部22がアクセスキー90と通信を確立できていない場合、アクセスキー90が車両1の近傍に存在しないと判断する。
【0063】
アクセスキー90が車両1の近傍に存在する場合(S150におけるYES)、制御部24は、ドアアンロック信号をアクセスキー90から受信したか否かを判断する(S160)。
【0064】
ドアアンロック信号を受信した場合(S160におけるYES)、制御部24は、ロック機構50にリッドアンロック信号を送信し(S170)、水滴検知モードを終了して(S190)、一連の処理を終了する。これにより、充電リッド16は、そのロックが解除され、外部からの力にしたがって開口部40を開くことが可能となる。
【0065】
また、アクセスキー90が車両1の近傍に存在しない場合(S150におけるNO)、または、ドアアンロック信号を受信していない場合(S160におけるNO)、制御部24は、充電リッド16のロックを維持させ(S180)、ステップS150の処理に戻る。つまり、充電リッド16は、アクセスキー90が車両1の近傍に存在し、かつ、ドアアンロック信号を受信するまで、ロックされた状態が維持される。
【0066】
以上のように、本実施形態の車両1は、水滴検知部18によって水滴84が検知された場合、充電リッド16が閉じた状態でロックされる。このため、本実施形態の車両1では、洗車機のブラシなどで充電リッド16に外部から力がかかっても、開口部40を閉じた状態に維持させることができる。
【0067】
したがって、本実施形態の車両1によれば、アクセスキー90が車両1の近傍に存在する場合であっても、洗車時に充電リッド16内への水の侵入を防止することが可能となる。その結果、本実施形態の車両1では、洗車後に充電が行われても漏電を防止することができる。
【0068】
また、本実施形態の車両1では、アクセスキー90が車両1の近傍に存在し、かつ、ドアアンロック信号を受信した場合、充電リッド16のロックが解除される(充電リッド16がアンロックされる)。このため、本実施形態の車両1では、洗車の終了後に、充電リッド16を開けてバッテリ10の充電を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態の車両1では、自車両に搭載された撮像装置70により撮像された画像に基づいて水滴84が検知される。この態様では、水滴84の移動方向を認識することができるため、洗車による水滴84と雨による水滴84とを区別して認識することができる。したがって、本実施形態の車両1では、洗車時の水滴84を、雨による水滴84と区別して検出することができる。
【0070】
なお、雨の場合には、洗車時に比べ、外部から充電リッド16に力がかかることは少ない。このため、雨の場合には、充電リッド16をロックさせないようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態の車両1では、洗車可能位置に自車両が位置する場合、水滴検知部18による水滴84の検知を可能にさせる。具体的には、制御部24は、車両1がIG-OFFされても水滴検知部18へ電力を供給させる。このため、本実施形態の車両1では、洗車が行われる可能性の高い状況で、より確実に水滴84を検知することが可能となり、充電リッド16をロックさせた状態で適切に洗車することができる。
【0072】
また、洗車可能位置に自車両が位置する状況で水滴84が検知された場合、検知された水滴84は、洗車による水滴84である可能性が高い。このため、本実施形態の車両1では、洗車時の水滴84を、雨による水滴84と区別して検知可能である。
【0073】
また、水滴検知部18は、画像に基づいて水滴84を検知する態様に限らない。例えば、水滴検知部18は、オートワイパシステムなどに用いられる光学センサを用いて水滴84を検知してもよい。光学センサは、赤外線をガラス面に照射し、反射光の強度に基づいて水滴84を検知してもよい。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、車両に利用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 車両
14 インレット
16 充電リッド
18 水滴検知部
24 制御部
70 撮像装置
84 水滴
90 アクセスキー
図1
図2
図3
図4