(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】人工インプラントを有窓性本体に結合するためのシステム、器具、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20221124BHJP
【FI】
A61F2/07
(21)【出願番号】P 2019505362
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(86)【国際出願番号】 US2017044822
(87)【国際公開番号】W WO2018026768
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-14
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506074417
【氏名又は名称】ボルトン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】トーランス,ケイシー
(72)【発明者】
【氏名】ユーバンクス,シャノン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフマン,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシット,トーマス
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0172072(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0149166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0121429(US,A1)
【文献】特表2008-526440(JP,A)
【文献】特表2014-502191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向に拡張可能な分枝ステントグラフトアセンブリであって、
有窓性本体の開口部と係合するための係合部であって、前記分枝ステントグラフトは、前記有窓性本体の前記開口部を中心として枢動するとともに、前記分枝ステントグラフトの前記有窓性本体に対する軸方向移動を制限するように構成された係合部と、
前記係合部から伸びる可撓性尾部と、
前記係合部と前記可撓性尾部との間に配置された移行部と、
を備え、
前記移行部は、前記係合部よりも高い可撓性を有し、前記可撓性尾部よりも低い可撓性を有する、
分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項2】
前記係合部は、第1直径を有する近位部分と、第2直径を有する中間部分と、第3直径を有する遠位部分とを含み、拡張状態において、前記第2直径は前記第1直径及び前記第3直径よりも小さい、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項3】
前記近位部分は、前記有窓性本体の内側に配置されるように構成され、前記遠位部分は、前記有窓性本体の外側に配置されるように構成され、前記中間部分は、前記有窓性本体の前記開口部と摩擦係合するように構成される、請求項2に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項4】
前記係合部は剛性である、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項5】
前記係合部は可撓性である、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項6】
前記係合部及び前記移行部は、長手方向中心軸を画定し、前記係合部は、前記長手方向中心軸を前記有窓性本体の前記開口部によって画定された平面に対して実質的に垂直な状態で維持するように構成される、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項7】
前記可撓性尾部の可撓性は、ステントのパターン、ステントの厚さ、及びステントの材料の少なくとも1つによって付与される、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項8】
前記可撓性尾部の少なくとも一部は、カバーを有する、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項9】
前記可撓性尾部の可撓性は、カバーの厚さ、カバーの材料、カバーの微細構造、及びカバーの層の数の少なくとも1つによって定められる、請求項8に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項10】
前記カバーは、前記係合部の直径方向の拡張の少なくとも約5倍のひずみ能力を有する、請求項8に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項11】
前記可撓性尾部は、前記係合部よりも少なくとも約25%高い可撓性を有する、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項12】
前記可撓性尾部は、第1状態の長手方向軸を画定し、前記可撓性尾部は、加えられた偏向力が約1N未満のときに、前記第1状態から第2状態に偏向するように構成される、請求項1に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項13】
前記可撓性尾部は、前記係合部から20mmの長手方向距離において、少なくとも約3mm移動するように構成される、請求項12に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項14】
半径方向に拡張可能な分枝ステントグラフトアセンブリであって、
有窓性本体の開口部と係合するための鞍形状係合部であって、前記有窓性本体の内側に配置されるように構成された近位部分と、前記有窓性本体の外側に配置されるように構成された遠位部分と、前記有窓性本体の前記開口部と摩擦係合するように構成された中間部分とを含む鞍形状係合部と、
前記鞍形状係合部から伸び、かつ、前記鞍形状係合部よりも高い可撓性を有する移行部と、
前記移行部から伸び
、かつ、前記移行部よりも高い可撓性を有する可撓性尾部と、
を備え
る、
分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項15】
前記近位部分は第1直径を有し、前記中間部分は第2直径を有し、前記遠位部分は第3直径を有し、拡張状態では、前記第2直径は前記第1直径及び前記第3直径よりも小さい、請求項14に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項16】
前記拡張状態において、前記第1直径は前記第3直径に実質的に等しい、請求項15に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項17】
前記鞍形状係合部は、前記分枝ステントグラフトを前記有窓性本体の前記開口部を中心として枢動させるように構成される、請求項14に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項18】
前記鞍形状係合部は、前記分枝ステントグラフトの前記有窓性本体に対する軸方向移動を制限するように構成される、請求項14に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項19】
前記尾部の可撓性は、前記鞍形状係合部よりも少なくとも25%高い、請求項14に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項20】
前記鞍形状係合部、前記移行部、及び前記尾部は、ステント構造体上に配置されるカバーを含む、請求項14に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項21】
前記カバーの特性は、少なくとも前記カバーの一部が、前記係合部、前記移行部、及び前記尾部の可撓性を決定する、請求項20に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項22】
前記特性は、カバーの厚さ、カバーの材料、カバーの微細構造、及びカバーの層の数の少なくとも1つを含む、請求項21に記載の分枝ステントグラフトアセンブリ。
【請求項23】
動脈瘤を治療するためのシステムであって、
分枝血管に対応する開口部を含む有窓性ステントグラフトと、
前記有窓性ステントグラフト内の開口部に結合されるように構成された半径方向拡張可能分枝ステントグラフトアセンブリであって、前記有窓性ステントグラフト内の前記開口部と係合するための係合部、前記係合部から伸びる移行部、及び前記移行部から伸びる可撓性尾部を含み、前記移行部は、前記係合部よりも高い可撓性を有し、前記可撓性尾部よりも低い可撓性を有する、分枝ステントグラフトアセンブリと、
前記半径方向拡張可能分枝ステントグラフトを折り畳み形態から拡張形態に変化させるように構成された拡張可能部材であって、第1直径を有する近位部分及び前記第1直径よりも小さい第2直径を有する遠位部分を含む拡張可能部材と、
を備える、
システム。
【請求項24】
前記拡張可能部材は、半伸展性である、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記拡張可能部材の前記近位部分は半伸展性であり、前記拡張可能部材の前記遠位部分は非伸展性である、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記拡張可能部材の前記近位部分及び前記遠位部分のそれぞれは、1つの流体供給機構に流体結合される、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記拡張可能部材の前記近位部分は第1伸展性を有し、前記拡張可能部材の前記遠位部分は第2伸展性を有し、前記第1伸展性は前記第2伸展性よりも高い、請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記拡張可能部材は、前記拡張形態において砂時計形状を有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項29】
前記拡張可能部材は、前記有窓性ステントグラフト内の前記開口部と位置合わせされるように構成されたX線不透過性マーカーを有する、請求項23に記載のシステム。
【請求項30】
前記拡張可能部材の前記近位部分は非伸展性であり、前記拡張可能部材の前記遠位部分は半伸展性である、請求項23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、「Systems,Devices,and Methods for Coupling a Prosthetic Implant to a Fenestrated Body」と題された、2016年8月2日に出願された米国仮特許出願第62/369,978号の優先権及び利益を主張するものであり、この開示の内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0002】
本明細書で説明する実施形態は、全般的には、人工インプラントに関し、特に、例えば、分枝血管ステントグラフトのような人工インプラントを、例えば、大動脈ステントグラフトのような第2人工インプラントの開窓部内に係合させるための器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
人工器官は、例えば、患者の病変部分を修復し、支持し、広げ、及び/又は別の方法で病変部の適切な機能を支援するために、病変部に埋め込まれることが多い。一部のケースでは、ステントグラフトのような人工器官は、患者の血管系の病変部を修復するのに使用され得る。例えば、患者の血管系内の動脈瘤は、一般に、動脈のような血管の異常な腫れ又は膨張を伴い、そのため、一般的には、血管の壁が弱くなり、破裂しやすくなる。腹部大動脈瘤(AAA)は、健康に深刻な脅威を及ぼす一般的な動脈瘤である。AAA及び他のタイプの動脈瘤の一般的な治療方法は、ステントグラフトが血管構造の病変部の近位端及び遠位端にまたがり(たとえば、横断し)、近位端及び遠位端を越えて伸びるするように、血管内ステントグラフトを罹患血管内に配置する方法である。したがって、ステントグラフトは、病変血管構造をリラインして、動脈瘤を高圧血流から隔離する代替血液導管を形成し、そのことにより破裂のリスクを低減する、又は除去することができる。他のケースでは、人工器官は、身体の病変部及び/又は欠陥部を構造的又は機能的に支援し得るインプラント及び/又は機構であり得る。しかしながら、一部のケースでは、人工器官(ステントグラフトなどを含む)を配置及び/又は固定しようとするときに、解剖学的構造の配置は課題を提示し得る。このような課題は、解剖学的構造内での人工器官のずれ及び/又は準最適な形態をもたらし得る。
【0004】
ステントグラフトを使用した低侵襲血管内修復は、従来の開腹外科的修復に関連するリスクを回避するために選択される場合が多い。しかしながら、これらのステントグラフトは、主要分枝血管を覆わずにグラフトが安定した位置に配置され得る場合のみに使用され得る。膨張部が伸びているが腎動脈を含まない傍腎腹部動脈瘤の場合、ステントグラフトの近位部は、腎動脈の上の大動脈壁に固定される必要があるので、腎動脈への開口部を閉塞する必要がある。したがって、腹部大動脈瘤のケースのかなりの割合を示す傍腎腹部動脈瘤の患者は、一般的には、血管内治療から除外される。
【0005】
より広範囲のケースの血管内修復を可能にするために、外科医は、特定の分枝血管起始部に適合させるためにステントグラフト本体に開口部を開ける(「開窓術」として周知のプロセス)場合もある。したがって、例えば、開窓式血管内大動脈修復(「FEVAR」)として周知の手術で傍腎腹部動脈瘤を治療する際に、大動脈ステントグラフトの開窓部又は開口部は、分枝血管と位置合わせされる必要がある。その後、追加のステントグラフト(例えば、腎動脈ステント)が分枝血管内に配置され、主ステントグラフト(例えば、大動脈ステントグラフト)に固定されて、解剖学的構造内の主ステントグラフトの移動を制限して適切な血流を確保し得る。また、一部のケースでは、さらに動脈瘤を治療し、及び/又は動脈瘤の領域内の分枝血管を補強するために、血管内ステントグラフトが1つ又は複数の特定の分枝血管内に配置され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書において、人工インプラントを有窓性本体に結合するための器具、システム、及び方法を開示する。いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトが提供される。分枝ステントグラフトは、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような有窓性本体の開口部と係合するための係合部を含み得る。分枝ステントグラフトの係合部は、分枝ステントグラフトが有窓性本体に対して回転又は変位され得るが、分枝ステントグラフトの軸方向移動が制限及び/又は防止されるように、有窓本体に結合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る病変腹部大動脈を示す図である。
【
図2A】一実施形態に係るステントグラフトの一部が
図1の病変腹部大動脈内に配置された直後の図である。
【
図2B】
図2Aのステントグラフトの一部が
図1の病変腹部大動脈内に一定の留置時間配置された後の図である。
【
図3】一実施形態に係る有窓性ステントグラフトの少なくとも一部を示す図である。
【
図4】例えば、病変腹部大動脈の一部内に配置された
図3の有窓性ステントグラフトの一部を示す図である。
【
図5A】一実施形態に係る有窓性本体の概略正面図である。
【
図5B】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略側面図である。
【
図5C】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略側面図である。
【
図5D】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略側面図である。
【
図6】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図7】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図8】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図9】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図10】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図11A】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略断面側面図である。
【
図11B】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略断面側面図である。
【
図11C】一実施形態に係る、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステムの概略断面側面図である。
【
図12】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図13A】一実施形態に係る、第1形態のシステムの概略断面側面図である。
【
図14】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図15】一実施形態に係るシステムの概略断面側面図である。
【
図16A】一実施形態に係る、第1形態のシステムの概略断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、人工インプラントを有窓性本体に結合するための器具、システム、及び方法を開示する。いくつかの実施形態では、有窓性本体は、可撓性係合部を含む。人工プラントは、人工インプラントが有窓性本体に対して回転しながら人工プラントの長手方向中心軸と可撓性係合部の平面との間の垂直な角度を維持し得るように、可撓性係合部と係合するように構成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトが提供される。分枝ステントグラフトは、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような有窓性本体の開口部と係合するための係合部を含み得る。分枝ステントグラフトの係合部は、分枝ステントグラフトが有窓性本体に対して回転又は変位され得るが、分枝ステントグラフトの軸方向移動が制限及び/又は防止されるように、有窓性本体に結合され得る。
【0010】
本明細書で使用されるとき、文脈が明確に別段の意味を示していない限り、単数形態(「1つの」)は、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、用語「一部材」は、単一部材又は部材の組み合わせを指すものとし、「一材料」は、1つ又は複数の材料又はそれらの組み合わせを指すものとする。
【0011】
本明細書で使用されるとき、用語「近位」及び「遠位」はそれぞれ、(例えば、医療機器の)オペレータに近い方向及び(例えば、医療機器の)オペレータから離れる方向を指す。したがって、例えば、患者の身体に接触する医療機器の端部は、医療機器の遠位端になり、遠位端の反対側の端部は医療機器の近位端になる。同様に、血管内ステントグラフトのような器具が患者の身体の一部内に配置されているとき、患者の心臓に近い器具の端部は近位端になり、近位端の反対側の端部は遠位端になる。すなわち、該器具の近位端は、器具の遠位端の上流側であり得る。
【0012】
本明細書に記載されている実施形態は、1つ又は複数の生体適合性材料で形成され、又は構成され得る。適切な生体適合性材料の例は、金属、セラミック、又はポリマーを含む。適切な金属の例として、医薬品グレードのステンレス鋼、金、チタン、タングステン、ニッケル、鉄、白金、スズ、クロム、銅、及び/又はそれらの合金が挙げられる。ポリマーの例としては、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、エチレンビニルアセテート及び他のアシル置換セルロースアセテート、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホネートポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ウレタン、及び/又はこれらの混合物及び共重合体が挙げられる。
【0013】
本明細書に記載されている実施形態及び方法は、患者固有の人工器官を形成する、及び/又は患者の一部内における人工器官の機能ならびに/もしくは一体化を促進するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に示されている器具及び/又は方法は、ステントグラフトを使用する血管内修復と併用され得、及び/又は別の方法でステントグラフトを使用する血管内修復に含められ得る。本明細書では、実施形態は、例えば、血管内修復を容易にするために使用されるものとして図示され、説明されているが、他の実施形態では、患者の任意の部分の治療を容易にするために、本明細書に記載されている任意の器具及び/又は方法が使用され得る。例えば、本明細書に記載されている器具及び方法は、患者の身体の一部(例えば、患者の血管系、神経系、筋肉・骨格組織など)内の任意の適切なインプラント、プロテーゼ、器具、機構、機械などを形成し、及び/又はそれらの一体化を促進し得る。したがって、本明細書では、いくつかの実施形態は腹部大動脈瘤の血管内修復に使用されるものとして図示され、説明されているが、これらの実施形態は例として示されており、これらに限定されない。
【0014】
本明細書に記載されている器具及び/又は方法のいくつかは、ステントグラフトを使用する血管内修復のような低侵襲治療技術において使用され得る。このような修復技術は、一般に、従来の開腹外科的修復より望ましく、罹病率又は死亡率を低下させることが多い。しかしながら、一部のケースでは、病変血管構造の配置により、ステントグラフトを身体に挿入する前にステントグラフトの一部を変更する必要が生じ得る。例えば、腹部大動脈瘤の血管内修復において、動脈瘤は、大動脈の一部から分岐する正常機能血管に隣接して、及び/又は正常機能血管のすぐ遠位に位置し得る。ステントグラフトを使用して動脈瘤をリラインするためには、外科医は、特定の分枝血管起始部に適合させるためにステントグラフトファブリックに開口部を開ける(「開窓術」として周知のプロセス)場合が多い。 具体的には、例えば、
図1に示されているように、傍腎腹部動脈瘤の治療の際及び/又は他の動脈瘤を治療するときに、 ステントグラフトの開窓部又は開口部は、特に、腎動脈、上腸間膜動脈(SMA)、及び/又は腹腔動脈(
図1には図示せず)のサイズ、形状、及び/又は相対位置に対応し得る。
【0015】
通常、開窓術プロセスは、血管起始部の(CTスキャンのような)医療画像に基づく測定を伴う。例えば、一部のケースでは、分枝血管の長手方向距離が測定され得、分枝血管の相対角度位置が基準点から推定され、及び/又は計算され得る。これらの測定及び/又は計算に基づいて、外科医又は製造業者は、1つ又は複数の開窓部を画定するためにステントグラフトのステントファブリックにマークを付けて切り取ることができる。有窓性ステントグラフトは、その後、(例えば、血管内手術によって)病変血管構造内に位置決めされ、開窓部を対応する分枝血管の開口部と実質的に位置合わせするように配向され得る。
【0016】
一部のケースでは、本明細書に記載されている有窓性本体(例えば、有窓ステントグラフト又は血管壁)の開窓部は、患者の血管系の病変部(例えば、腹部大動脈瘤)の医療画像データに基づいて作成され、及び/又は別の方法で形成され得る。例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ラップトップなどの電子デバイスは、画像データを受信して、画像データのデジタル表現を計算し、及び/又は別の方法で定義し得る。電子デバイスは、デジタル表現に基づいて、本体(例えば、ステントグラフト)に沿った所望の組の開窓位置に関連付けられ、及び/又は所望の組の開窓部位置を表す1つ又は複数のテンプレート、プロセスプラン、命令、データセットなどを定義し得る。一部のケースでは、電子デバイスは、マップ、プラン、及び/又はテンプレートを出力し得、これらは、その後、有窓性本体(例えば、有窓ステントグラフト)を形成するために内科医、外科医、技術者、及び/又は製造業者によって使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、このようなテンプレートなどは、「Fenestration Template for Endovascular Repair of Aortic Aneurysms」と題する、2013年5月1日に出願された米国特許出願公開第2013/0296998号明細書(「’998公開」)及び/又は「Devices and Methods for Anatomic Mapping for Prosthetic Implamts」と題する、2016年5月24日に出願された米国特許出願第15/163255号(’255出願)明細書に記載されているものと実質的に同様であり得る。これらの特許の内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0017】
他のケースでは、有窓性本体(例えば、有窓性ステントグラフト又は血管壁)の開窓部は、このようなテンプレートを使用せずに形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電子デバイスは、命令及び/又はコード(例えば、Gコードなどのような機械コード)をコンピュータ数値制御(CNC)デバイス及び/又はコンピュータ支援製造(CAM)デバイスに出力し得、コンピュータ数値制御(CNC)デバイス及び/又はコンピュータ支援製造(CAM)デバイスは、患者固有のプロテーゼ(例えば、ステントグラフト)に沿った開窓部位置の形成及び/又は別の方法のマーク付けに関連した1つ又は複数の製造プロセスなどを実行し得る。患者固有のプロテーゼの形成は、手動プロセス又は少なくとも部分的に自動化されたプロセスで実行され得る。さらに、プロテーゼの挿入及び/又は留置により生じた解剖学的構造の一部の配置の変化は、「Devices and Methods for Anatomic Mapping for Prosthetic Implants」と題する、2016年7月7日に出願された国際出願PCT/US2016/041355号明細書(「’355出願」)に記載されている器具及び/又は方法を使用して決定及び/又は計算され得る。この特許の開示内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0018】
図1~
図2Bは、患者の腹部大動脈10の病変部を示す。腹部大動脈10の一部は以下で説明されるが、腹部大動脈10の説明は網羅的なものではなく、むしろ、以下の説明は、関連する解剖学的構造について言及するものである。さらに、(例えば、腹部大動脈10の)解剖学的構造の説明は、患者に対する該構造の位置、向きなどについて言及するものであり、観察者(例えば、内科医)から見たときの位置、向きなどではない。例えば、患者の「左」側又は患者の「左」側に又は患者の「左」側の近くに位置する解剖学的構造について言及するとき、「左」は、前方向(例えば、前方)を見たときの患者に対する、及び/又は患者の視点からの位置を示すものとする。
【0019】
腹部大動脈10(本明細書では、「大動脈」とも呼ぶ)は、下行大動脈(図示せず)から血流を受け取る近位端部11と、下肢へ血流を供給する遠位端部12とを有する。
図1に示されているように、大動脈10は近位端部11又は近位端部11の近くで、右腎動脈13及び左腎動脈14に血流を供給し、右腎動脈13及び左腎動脈14は、右腎及び左腎(図示せず)それぞれに血液を供給する。
図1に図示されていないが、大動脈10の近位端部11は、上腸間膜動脈(SMA)及び腹腔動脈にも血流を供給する。大動脈10の遠位端部12は、腸骨分岐部20を形成し、大動脈10は腸骨分岐部20を通って右総腸骨動脈15及び左総腸骨動脈16に血流を供給し、右総腸骨動脈15及び左総腸骨動脈16は、右下肢及び左下肢それぞれに血液を供給する。
図1に示されているように、患者は、腎動脈13、14の遠位及び腸骨分岐部20の近位に位置する腹部大動脈瘤(AAA)17を有する。より詳細には、AAA17は、腎動脈13、14とAAA17との間にステントグラフトの近位端部を取り付けることが不可能である位置に位置し、したがって、AAA17の血管内修復に有窓性ステントグラフト160(例えば、
図2A及び
図2Bを参照)が使用される。
【0020】
一部のケースでは、AAA17の血管内修復は、患者の大動脈10に関連する解剖学的画像データの走査及び/又は別の方法での取り込みを含む。例えば、撮像装置は、エックス線装置、コンピュータ断層撮影(CT)装置、コンピュータ体軸断層撮影(CAT)装置、磁気共鳴撮像装置(MRI)、磁気共鳴血管造影(MRA)装置、ポジトロン放出型断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)装置、超音波装置、及び/又は患者の一部を撮像するための任意の他の適切な装置、及び/又はこれらの組み合わせ(例えば、CT/MRA装置、PET/CT装置、SPECT/CT装置など)であり得る。したがって、撮像装置によって取り込まれた画像データは、患者の大動脈10(例えば、大動脈10と流体連通している分枝血管)の顕著な特徴を決定するのに使用され得る。例えば、内科医、外科医、技術者、製造業者などは、画像データを使用して、大動脈10、大動脈10と流体連通している分枝血管構造(例えば、腎動脈13、14)、及び/又は任意の他の適切な血管構造もしくは解剖学的構造のサイズ、形状、位置、及び/又は向きを決定し、及び/又は計算することができる。一部のケースでは、内科医、外科医、技術者、製造業者などは、上記の参照によって引用された「’998出願」、「’255出願」、及び/又は「’355出願」に記載されているように、少なくとも腎動脈13、14の決定及び/又は計算された特性に関連付けられたステントグラフト160内の1つ又は複数の開窓部165を形成し、及び/又は画定することができる。
【0021】
図2Aに示されているように、ステントグラフト160は、血管内手術によって患者の腹部大動脈10の一部内に位置決めされ得る。例えば、ステントグラフト160は、例えば、大腿骨動脈(図示せず)に挿入される送達カテーテル(例えば、折り畳み形態、圧縮形態、拘束形態、及び/又は別の形の非展開形態である)内に配置され得る。送達カテーテルは、動脈を通って腹部大動脈10へと前進され得る。送達カテーテルは、腹部大動脈10内の所望の位置まで前進された後、ステントグラフト160に対して引き抜かれ得る。送達カテーテルが後退及び/又は引き抜かれるときに、ステントグラフト160は、折り畳み形態から拡張又は展開形態に変化し、そのことにより腹部大動脈10の一部を広げる。
【0022】
ステントグラフト160は、近位端部161と遠位端部162とを含み、中を貫通するルーメン163を画定する。ステントグラフト160は、任意の適切なステントグラフトであり得る。例えば、ステントグラフト160は、上述したような弾性の生体適合性材料から形成され得る。例えば、ステントグラフトは、グラフト材料が結合されたステント又は骨格を含み得る。いくつかの実施形態では、ステント(すなわち、骨格)は、例えば、金属又はニッケルチタン(ニチノール)のような金属合金から構成され得、グラフト材料は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリエチレンテレフタレート(PETもしくはDacron(登録商標))のような織られたポリマー又はファブリックから構成され得る。いくつかの実施形態では、グラフト材料又はファブリックは、ステントグラフト(例えば、ステントグラフト160)を形成するために、ステント上で織られ、及び/又は任意の他の適切な方法でステントに結合され得る。
【0023】
ステントグラフト160はさらに、ステントグラフト160の周囲に配置された1組の補剛部材164を含む。補剛部材164は、例えば、開放形態でステントグラフト160に付勢することができ、そのことによりステントグラフト材料(「ステントファブリック」又は「グラフトファブリック」)を構造的に支持することができる任意の適切な構造体であり得る。いくつかの実施形態では、補剛部材164は、例えば、上述したような金属又は金属合金から形成され得る。いくつかの実施形態では、このような金属又は金属合金は、例えば、X線不透過性であり、及び/又は別の方法で、例えば、蛍光透視によって目に見えるように構成されたX線不透過性材料で被覆される。補剛部材164は、(例えば、送達カテーテル内に配置されているときの)拘束又は変形送達形態から、
図2Aに示されているような拡張され、及び/又は付勢された留置形態に移行し得る。
【0024】
この実施形態では、ステントグラフト160は、上述したように、1組の開窓部165を画定する。本明細書に示されているように、ステントグラフト160に沿った開窓部165の位置は、患者の解剖学的構造の解剖学的画像データ及び/又は1つ又は複数のデジタル表現に基づき得る。内科医、外科医、技術者、及び/又は製造業者は、次に、画像データ及び/又はデジタル表現を使用してグラフトファブリック内の開窓部165を画定することができる。図示されているように、この例では、開窓部165はそれぞれ、対応する腎動脈13又は腎動脈14と位置合わせされ、対応する腎動脈13又は腎動脈14に関連するサイズ、形状、及び/又は形態を有し得る。このようにして、開窓部165は、開窓部165を介して大動脈10から右腎動脈13及び左腎動脈14へと血液を流すことができる。
図2Aに図示されていないが、ステントグラフト160は、大動脈10から発する他の分枝血管(例えば、上腸間膜動脈(SMA)、腹腔動脈など)に関連する1つ又は複数の開窓部を画定し得る。
【0025】
図2Bに示されているように、ステントグラフト160の大動脈10内への挿置及び/又は留置は、例えば、患者の大動脈10の配置を変更する、変位させる、回転させる、変形させる、及び/又は別の形で再構成し得る。その結果、腎動脈13、14の開口部は、ステントグラフト160によって画定された開窓部165に対して変位される。一部のケースでは、ステントグラフト160に対する大動脈10の変位は、
図2Bに示されているように、少なくとも腎動脈13、14の部分閉塞をもたらす 例えば、一部のケースでは、腎動脈13、14の開口部は、約4ミリメートル(mm)~約7mmであり得、大動脈10の変位及び/又は再配置は、開窓部165に対して腎動脈13、14の開口部を約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、又はそれ以上(又は1mmの何分の1の差はある)の変位をもたらし得る。したがって、画像データに基づいてステントグラフト160に沿った所望の位置に開窓部165を画定しても、ステントグラフト160の挿置及び/又は留置による大動脈10の変位は、腎動脈13、14の閉塞をもたらし得る。一部のケースでは、大動脈10の変位は、約1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%(又は任意の%もしくは1パーセントの何分の1の差はある)の腎動脈13、14の閉塞をもたらし得る。
図2A、
図2Bには図示されていないが、大動脈10の変位は、ステントグラフト160内の対応開窓部に対する任意の分枝血管の同様のずれをもたし得る。いくつかの実施形態では、電子デバイスは、プロテーゼ(例えば、ステントグラフト)の挿入及び/又は留置により生じる解剖学的構造内の変位を決定し、及び/又は計算するように構成され得、変位した解剖学的構造の1つ又は複数のデジタル表現を定義し得る。上記の参照によって引用された「’998出願」、「’255出願」、及び/又は「’355出願」に記載されているように、計算された変位に基づいて、1つ又は複数の開窓部がステントグラフト(例えば、ステントグラフト160)内に形成され得る。
【0026】
図3は、一実施形態の有窓性ステントグラフト260の少なくとも一部を示す。上述したように、ステントグラフトは、大動脈内で展開されたときに、1つ又は複数の分枝血管に適合するように構成された1つ又は複数の開窓部を画定し得る。具体的には、この実施形態では、有窓性ステントグラフト260は、近位端部261と遠位端部262とを含み、ルーメン263及び1組の開窓部265を画定する。有窓性ステントグラフト260は、任意の適切なステントグラフト及び/又はプロテーゼであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、有窓性ステントグラフト260は、市販のステントグラフトであり得る。他の実施形態では、有窓性ステントグラフト260は患者の解剖学的構造に対応するサイズ、形状、及び/又は形態を有する患者固有のステントグラフトであり得る。
【0027】
有窓性ステントグラフト260(本明細書では、「ステントグラフト」とも呼ぶ)は、任意の適切な形状、サイズ、及び/又は形態を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ステントグラフト260は、大動脈によって画定されたルーメンのサイズに関連するサイズを有し得る。他の実施形態では、有窓性ステントグラフト260は、ステントグラフト260の血管内挿置の結果、大動脈によって画定されたルーメンの調整又は計算されたサイズに関連するサイズを有し得る。さらに、ステントグラフト260は、例えば、強度、剛性などのような任意の適切な機械的特性を有し得る。
【0028】
図3に示されているように、いくつかの実施形態では、ステントグラフト260は、ステント264とグラフトファブリック266とを含む。ステント264は、例えば、ステントグラフト260の剛性を高めるように、及び/又はステントグラフト260を構造的に支持するように構成された任意の適切なステント及び/又は骨格であり得る。上述したように、ステント264は、任意の適切な金属又はニチノールのような金属合金から形成され得る。いくつかの実施形態では、ステント264は、第1拡張及び/又は移植形態と第2折り畳み及び/又は送達形態との間で移行するように構成され得る。さらに、一部のケースでは、ステント264は、(例えば、送達カニューレなどに配置されたときに)ステント264に力が加えられて第1形態から第2形態に移行するまでステント264が第1形態であるように付勢され得る。
【0029】
グラフトファブリック266は、例えば、Dacron(登録商標)などのような任意の適切なポリマー又はファブリックから形成され得る。いくつかの実施形態では、グラフトファブリック266は、ステント264の周囲及び/又はステント264を貫通して織られ得る。他の実施形態では、グラフトファブリック266は、縫合糸によって、締まり嵌め、又は接着剤によってステント264に結合され得、及び/又はグラフトファブリック266の少なくとも2つの層間にステント264を封入し得る。
図3に示されているように、グラフトファブリック266は、開窓部265がステント264と重ならないようにステント264に対して配置され得る開窓部265を画定する。すなわち、開窓部265は、ステント264の1つ又は複数の部分が開窓部265にかからない、及び/又は別の形で横断しないようにステントグラフト260に沿って配置され得る。他の実施形態では、ステント264の1つ又は複数の部分は、開窓部265にかかり、及び/又は別の形で横断し得る。さらに、詳細に上述したように、開窓部265は、更新され、推定され、予想され、及び/又は別の方法で計算された患者の血管構造の一部のデジタル表現に基づいて、グラフトファブリック266によって、ステントグラフト260に沿った位置に画定され得る。
【0030】
上述したように、ステントグラフト260は、任意の適切なステントグラフトであり得、任意の適切な製造プロセス(単数又は複数)によって形成され得る。いくつかの実施形態では、ステントグラフト260は、市販のステントグラフトとして製造され得、開窓部265は、次の製造プロセスでグラフト材料266内に形成され得る。他の実施形態では、ステントグラフト260は、「オーダーメイドの」又は市販されていないステントグラフトであり得る。本明細書では特定の製造方法について記載されているが、これらの方法は、単なる例として示されたものであって、限定するものではない。さらに、本明細書に記載されている製造方法は、1つの施設及び/又は1つの製造プロセスで実行され得る、又は複数の施設及び/又は複数の製造プロセスで実行され得る。一部のケースでは、本明細書に記載されている製造方法の一部は、内科医、外科医、技術者、看護師などのような最終使用者によって実行され得る。したがって、ステントグラフト260の製造について具体的に後述するが、ステントグラフト260は、任意の適切な製造プロセス(単数又は複数)によって形成され得、本明細書に記載されている製造プロセスに限定されない。
【0031】
一部のケースでは、ステントグラフト260は、例えば、患者の解剖学的画像データからの計算に基づいて、患者の大動脈に関連する全体形状、直径、長さなどで製造され得る。他の実施形態では、ステントグラフト260は、電子デバイスによって定義された更新モデルに関連する全体形状、サイズ、及び/又は形態を有し得、更新モデルは、例えば、詳細に上述したように、ステントグラフト260の挿入及び留置に応答して、計算され、推定され、及び/又は修正された大動脈の配置に対応する。したがって、ステントグラフト260は、一般に、管状又は円筒状の形状を有する。いくつかの実施形態では、ルーメン263の直径は、少なくとも部分的には、計算され、推定され、及び/又は修正された、大動脈により画定されたルーメンの直径に基づく。さらに、上記の参照によって引用された「’998出願」、「’255出願」、及び/又は「’355出願」に記載されているように、ステントグラフト260は、ステントグラフト260の挿入及び/又は留置により生じた大動脈の変位の予想量及び/又は方法に関連する剛性及び/又は任意の他の適切な機械的特性を有し得る。
【0032】
開窓部265は、各々の開窓部265が対応分枝血管構造(例えば、腎動脈)の計算された位置に対応するようにステントグラフト260に沿って画定され得、各々の開窓部265は、上記の参照によって引用された「’998出願」、「’255出願」、及び/又は「’355出願」に記載されているように、任意の適切な方法で形成され得る。
【0033】
図4に示されているように、開窓部265がステントグラフト260に沿って画定されるときに、ステントグラフト260は、任意の適切な血管内手術によって患者の身体の一部内に配置され得る。この実施形態では、ステントグラフト260は、患者の大動脈10内に配置される。図示されているように、ステントグラフト260は、例えば、右腎動脈13及び左腎動脈14に結合され、及び/又は別の形で対応する第1組の開窓部265Aを含み得る。具体的には、開窓部265Aの各々は、対応する腎動脈13又は腎動脈14と位置合わせされ、対応する腎動脈13又は腎動脈14に関連するサイズ、形状、及び/又は形態を有し得る。いくつかの実施形態では、開窓部265Aのサイズ、形状、及び/又は位置は、対応する腎動脈13、14の調節及び/又は計算されたサイズ、形状、及び/又は位置に関連する、及び/又は実質的に対応する。例えば、ステントグラフト260の大動脈10内への挿置は、例えば、患者の大動脈10の配置を変更し、変位させ、回転させ、変化させ、及び/又は別の形で再構成し得る。したがって、更新モデルに基づいたステントグラフト260に付勢することによって、ステントグラフト260によって画定された開窓部265のサイズ、形状、及び/又は位置は、所望の分枝血管構造(右腎動脈13及び/又は左腎動脈14)に対応し得る。さらに、患者の大動脈10内へのステントグラフト260の位置決めに加えて、腎動脈13及び/又は腎動脈14も、例えば、開窓部265Aを通してステント留置され得る(
図4には図示せず)。腎動脈のステント留置は、開窓部265Aにおいてステントグラフト260の有窓性本体と係合し、腎動脈13及び/又は腎動脈14のような分枝動脈内に延びる第2分枝ステント(
図4には図示せず)によって行われ得る。このように、ステントグラフト260の開窓部265Aと、分枝動脈に対応するように位置決めされた第2分枝ステント(図示せず)とは、ステントグラフト260の展開時の軸方向及び/又は半径方向の位置合わせ及び位置決めを支援し得る。さらに、開窓部265A及び第2分枝ステント(図示せず)は、ステントグラフト260挿置後の患者の大動脈10に対するステントグラフト260の位置合わせ及び位置決めを維持するのを支援し得る。
【0034】
図3及び
図4に示されているように、いくつかの実施形態では、ステントグラフト260は、それ以外の場合であればステントグラフト260の非窓部によって閉塞されるかもしれない他の分枝血管に結合され、及び/又は別の形で対応する第2組の開窓部265Bを含み得る。例えば、開窓部265Bは、上腸間膜動脈(SMA)18及び腹腔動脈19それぞれに結合され、及び/又は別の形で対応し得る。他の実施形態では、ステントグラフト260は、本明細書に示されているよりも多い、又は少ない分枝血管に適合するように開窓部を画定し得る。例えば、いくつかの実施形態では、ステントグラフト260は、下腸間膜動脈(IMA)、内腸骨動脈などに適合するように開窓部を画定し得る。したがって、ステントグラフト260によって画定された開窓部265は、大動脈10から、それ以外の場合であればステントグラフト260材料によって閉塞されてしまう分枝血管構造へと血液を流すことができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ステントグラフト260及び/又は患者の大動脈の配置は、開窓部265がステントグラフト260によって部分的に画定されるような配置であり得る。例えば、図示されているように、最近位の開窓部265Bは、ステントグラフト260の近位端に配置され、展開時にグラフト材料によって部分的に覆われる腹腔動脈19に対応する。このように、腹腔動脈19用の開窓部265Bは、それ以外の場合であればグラフト材料によって閉塞される腹腔動脈19の一部に適合するように部分的に円形又はU字形である。他の実施形態では、開窓部265のいずれかは、非円形及び/又は不規則な形状を有し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、開窓部265は、ステントグラフト260の展開時に開窓部265の位置を見つけやすくするために、また分枝ステント(図示せず)をステントグラフト260と結合しやすくするために、マーク付けされ得る。例えば、開窓部265A又は開窓部265Bを画定するステントグラフト260の周縁部267A又は周縁部267Bは、金線及び/又は他のX線不透過性材料を使用して縫合され得る。同様に、開窓部265の位置は、1つ又は複数のX線不透過性マーカーによってマーク付けされ得る。このようなX線不透過性ワイヤは、血管内修復手術の間の開窓部265の蛍光透視可視化を促進し、医師が対応分枝血管に対して開窓部265の位置を見つけられるようにする。他の実施形態では、開窓部265は、例えば、任意の適切な撮像装置(例えば、MRIスキャン、CATスキャン、PETスキャン、X線スキャン、超音波など)を使用したときに、可視性を高めることができる任意の適切な材料を使用して縫合され、及び/又は別の方法でマーク付けされ得る。このようなマーカーは、開窓部265の形成と組み合わせられ得る、又は開窓部265の形成とは別個であり得る製造プロセスにおいて配置され、及び/又は縫合され得る。
【0037】
上述したように、いくつかの実施形態では、第2分枝ステントは、ステントグラフト(例えば、ステントグラフト260)の開窓部(例えば、開窓部265)と結合され得る。第2分枝ステントの相対位置は、ステントグラフト260の展開時の患者の大動脈10に対するステントグラフト260の軸方向及び半径方向の位置合わせ及び/又は位置決めを支援し得る。ステントグラフトの挿置時に、第2ステントが開口位置において患者の大動脈から延びる分枝血管(例えば、SMA18)を補強するのを支援することができるように、第2ステントは分枝血管内に配置され得る。さらに、第2ステントは、ステントグラフト挿置後の患者の大動脈(例えば、大動脈10)に対するステントグラフトの軸方向及び/又は半径方向の位置決めを維持するのを支援し得る。第2ステントは、分枝血管の動きが調整され得る(すなわち、血管の蛇行が補正され、血管のよじれが防止され得る)ように、開窓部内で、及び/又は開窓部に対して移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、主ステントグラフトのような有窓性本体は、有窓性本体と開窓部で係合される剛性分枝ステントが開窓部内で回転することができるように、開窓部を囲繞する可撓性部分を含み得る。例えば、
図5Aは、有窓性本体460の概略正面図である。有窓性本体460は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体460は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体460は、開窓部465を画定し、開窓部465を囲繞する係合部468を含み得る。係合部468は、可撓性であり得、分枝ステントグラフト430(
図5B~
図5D)と係合するように構成され得る。分岐ステントグラフト430は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。
【0038】
図5B~
図5Dは、第1形態、第2形態、及び第3形態のシステム400をそれぞれ示した概略側面図である。システム400は、有窓性本体460と分枝ステントグラフト430とを含む。分枝ステントグラフト430は、剛性又は可撓性であり得る。係合部468は、
図5B~
図5Dに示されている形態で分岐ステントグラフト430が有窓性本体460に対して移動したときに係合部468の平面又は前面が分枝ステントグラフト430の長手方向中心軸に対して垂直のままであるように構成され得る。
図5Bに示されているように、分枝ステントグラフト430は、分枝ステントグラフト430の長手方向中心軸が有窓性本体460の壁に対して垂直である第1形態で位置決めされ得る。
図5Cに示されているように、分枝ステントグラフト430は、分枝ステントグラフト430に対して第2位置(すなわち、第2形態)に移行し得る。
図5Dに示されているように、分枝ステントグラフト430は、分枝ステントグラフト430に対して第3位置(すなわち、第3形態)に移行し得る。システム400は、
図5B~
図5Dでは、例示目的で3つの形態を有するものとして示されているが、システム400は、本質的に、無数の形態を有し得る。すなわち、係合部468は、有窓性本体460の移動に関係なく、分枝ステントグラフト460の長手方向中心軸を分枝血管と位置合わせされた状態で維持することができるほど十分な可撓性を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、係合部468は、可撓性係止機構(図示せず)を含み得る。可撓性係止機構は、分枝ステントグラフト430と係合して、さまざまな分枝ステントグラフト430の位置において可撓性係止機構と分枝ステントグラフト430との係合を維持するように構成され得る。可撓性係止機構はさらに、有窓性本体460の開窓部465内で、及び/又は開窓部465に対する分枝ステントグラフト430の軸方向移動を制限し、及び/又は防止し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、有窓性本体が可撓性係合部を含むのではなく、有窓性本体の係合部が剛性であり得、関連する分枝ステントグラフトが可撓性であり得る。例えば、
図6は、有窓性本体560と可撓性分枝ステントグラフト530とを含むシステム500の概略断面側面図である。ステントグラフト530は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体560は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体560は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体560は、開窓部565を画定し、開窓部565を囲繞する剛性係合部568を含み得る。係合部568は、「Systems,Devices,and Methods for Marking and/or Reinforcing Fenestrations in Prosthetic Implants」と題する、2017年6月13日に出願された国際出願PCT/US2017/037157号明細書(「’157出願」)に記載されているものと実質的に同様であり得る。この特許の開示内容全体を参照によって本願明細書に引用したものとする。
【0041】
可撓性分枝ステントグラフト530は、近位端535と遠位端537とを含み得る。剛性係合部568は、可撓性分枝ステントグラフト530の近位端535にしっかりと結合され得る。可撓性分枝ステントグラフト530の遠位端537は、分岐ステントグラフト530の可撓性により自由に移動し得る。分枝ステントグラフト530の可撓性に影響を及ぼし得る要因は、例えば、ステントのパターン、ステント材料の厚さ、ステント材料の種類、及び/又は分枝ステントグラフト530と別のステントとの接続のタイプを含み得る。可撓性分枝ステントグラフト530は、第1位置から第2位置(可撓性分枝ステントグラフト530´で示されている)へ移動され得る。第2位置では、可撓性分枝ステントグラフト530の近位端535は、剛性係合部568に固定結合された状態で維持される。しかしながら、遠位端537´は、第2端部537に対する第2位置に配置され、可撓性分枝ステントグラフト530´は、第1位置にあるときと異なる形状に曲げられる。可撓性分枝ステントグラフト530の近位端535と剛性係合部568との固定取り付けにより、可撓性分枝ステントグラフト530は、開窓部565及び有窓性本体560に対して軸方向に移動することができない。可撓性分枝ステントグラフト530の近位端535と剛性係合部568との固定取り付けは、任意の適切な結合構造体によって実現され得る。例えば、可撓性分枝ステントグラフト530は、近位端535にフランジ付きリングを含み得る。
【0042】
フランジは、有窓性本体560の内部を向くように剛性係合部568の一部と当接して配置され得る。他の実施形態では、可撓性分枝ステントグラフト530の近位端535と剛性係合部568とは、後述するような鞍形状係合部1031のような鞍形状特徴部を介して係合され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、任意の適切な可撓性分枝ステントグラフトは、有窓性本体の係合部に固定結合されるように構成され得る。例えば、
図7は、分枝ステントグラフト630と有窓性本体660とを含むシステム600の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト630は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体660は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体660は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体660は、開窓部665を画定し、開窓部665を囲繞する係合部668を含み得る。係合部668は、剛性又は可撓性であり得、分枝ステントグラフト630に固定結合されるように構成され得る。
【0044】
分枝ステントグラフト630は、第1剛性ステント部分632と第2剛性ステント部分634とを含む。第1剛性ステント部分632と第2剛性ステント部分634とは、可撓性ステント部分636によって結合される。言い換えれば、可撓性分枝ステントグラフト630は、一定の円筒外径を有する一体ステントとして形成され得、可変可撓性又は剛性を有する部分を含み得る。可撓性ステント部分636の可撓性により、分枝ステントグラフト630は、係合部668に対して曲がり、及び/又は回転することができる。例えば、分枝ステントグラフト630は、分枝ステントグラフト630の中心軸が係合部668の平面又は表面に対して垂直である第1位置から、分枝ステントグラフト630´で表される第2位置であり、分枝ステントグラフト630´が湾曲した中心軸を有する第2位置まで曲げられ得る。図示されているように、第2剛性ステント部分634´は第2位置まで変位され得るが、第1剛性ステント部分632´は係合部668に固定結合され、係合部668に対して動かない状態で維持される。さらに、第1剛性ステント部分632´と係合部668との固定係合は、有窓性本体660に対する分枝ステントグラフト630の軸方向移動を防止し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1可撓性ステント部分と第2可撓性ステント部分とは、剛性ステント部分によって結合され得る。例えば、
図8は、分枝ステントグラフト1230と有窓性本体1260とを含むシステム1200の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト1230は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1260は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1260は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1260は、開窓部1265を画定し、開窓部1265を囲繞する係合部1268を含み得る。係合部1268は、剛性又は可撓性であり得、分枝ステントグラフト1230に固定結合されるように構成され得る。
【0046】
分枝ステントグラフト1230は、第1可撓性ステント部分1232と第2可撓性ステント部分1234とを含む。第1可撓性ステント部分1232と第2可撓性ステント部分1234とは、剛性ステント部分1236によって結合される。言い換えれば、分枝ステントグラフト1230は、一定の円筒外径を有する一体ステントとして形成され得、可変可撓性又は剛性を有する部分を含み得る。第1可撓性ステント部分1232及び第2可撓性ステント部分1234の可撓性により、分枝ステントグラフト1230は、係合部1268に対して曲がり、及び/又は回転することができる。例えば、分枝ステントグラフト1230は、分枝ステントグラフト1230の中心軸が係合部1268の平面又は表面に対して垂直である第1位置から、分枝ステントグラフト1230´で表される第2位置であり、分枝ステントグラフト1230´が可変中心軸を有する(すなわち、第1可撓性ステント部分1232及び第2可撓性ステント部分1234の中心軸が曲げられた)第2位置まで曲げられ得る。図示されているように、第1可撓性ステント部分1232´と第2可撓性ステント部分1234´とは、各々が第2形状を有する第2位置まで変位され得るが、剛性ステント部分1236´は、第2位置で同じ形状を維持する。さらに、第1剛性ステント部分1232´と係合部1268との固定係合は、有窓性本体1260に対する分枝ステントグラフト1230の軸方向移動を防止し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトは、可撓性テザーによって結合された2つの剛性部分を含み得る。例えば、
図9は、可撓性分枝ステントグラフト730と有窓性本体760とを含むシステム700の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト730は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体760は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体760は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体760は、開窓部765を画定し、開窓部765を囲繞する係合部768を含み得る。係合部768は、剛性又は可撓性であり得、分枝ステントグラフト730に固定結合されるように構成され得る。
【0048】
可撓性分枝ステントグラフト730は、第1剛性ステント部分732と第2剛性ステント部分734とを含む。第1剛性ステント部分732と第2剛性ステント部分734とは、可撓性棒状テザー736によって結合される。第1剛性ステント部分732と第2剛性ステント部分734は、同じ又は異なるサイズ、長さ、及び/又は形状であり得る。テザー736の可撓性により、可撓性分枝ステントグラフト730は、係合部768に対して曲がり、及び/又は回転することができる。例えば、可撓性分枝ステントグラフト730は、可撓性分枝ステントグラフト730の中心軸(すなわち、第1剛性ステント部分732と第2剛性ステント部分734を通る中心軸)が係合部768の平面に対して垂直である第1位置から、可撓性分枝ステントグラフト730´で表される第2位置であり、テザー736´が湾曲した位置まで曲げられ得る。
図9に図示されているように、第2剛性ステント部分734´は第2位置まで変位され得るが、第1剛性ステント部分732´は係合部768に固定結合され、係合部768に対して動かない状態で維持される。さらに、第1剛性ステント部分732と係合部768との固定係合は、有窓性本体760に対する分枝ステントグラフト730の軸方向移動を防止し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトは、剛性部分と可撓性尾部とを含み得る。例えば、
図10は、分枝ステントグラフト830と有窓性本体860とを含むシステム800の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト830は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体860は、例えば、大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体860は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体860は、開窓部865を画定し、開窓部865を囲繞する係合部868を含み得る。係合部868は、剛性又は可撓性であり得、分枝ステントグラフト830に固定結合されるように構成され得る。
【0050】
可撓性分枝ステントグラフト830は、剛性ステント部分832、可撓性尾部836、及び剛性ステント部分832と可撓性尾部836とを結合する可撓性移行部833を含む。可撓性移行部833は、可撓性尾部836よりも低い可撓性を有し得るので、可撓性移行部833は、剛性ステント部分832と可撓性尾部836との間の張力を緩和し、ひいては、剛性ステント部分832と可撓性尾部836との間のよじれ点又は構造疲労を防止し得る。可撓性尾部836及び可撓性移行部833の可撓性により、可撓性尾部836は、剛性ステント部分832及び係合部868に対して曲がり、及び/又は回転することができる。例えば、可撓性尾部836は、分枝ステントグラフト830の中心軸(すなわち、剛性ステント部分832、可撓性移行部833、及び可撓性尾部836を通る中心軸)が係合部868の平面に対して垂直である第1位置から、分枝ステントグラフト830´で表される第2位置であり、可撓性尾部836´が湾曲した第2位置まで曲げられ得る。図示されているように、可撓性移行部833及び可撓性尾部836´の可撓性により、可撓性尾部836´は第2位置まで変位され得るが、第1剛性ステント部分832´は係合部868に固定結合され、係合部868に対して動かない状態で維持される。可撓性尾部836´は、例えば、金属又は、ニッケルチタン(ニチノール)、ステンレス鋼、又はコバルトクロムのような金属合金、及び/又は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリエチレンテレフタレート(PETもしくはDacron(登録商標))のようなポリマー織布もしくはファブリックのような任意の適切な材料で形成され得る。さらに、第1剛性ステント部分832と係合部868との固定係合は、有窓性本体860に対する分枝ステントグラフト830の軸方向移動を防止し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトは、開窓部本体の係合部と移動可能に係合するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、有窓性本体の係合部及び分枝ステントグラフトの係合部は共に剛性であり得る。有窓性本体の係合部と分枝ステントグラフトの係合部とは、分枝ステントグラフトが有窓性本体に対して移動及び/又は回転することができるように、係合し、及び/又は連結し得る。例えば、
図11A~11Cは、分枝ステントグラフト930と有窓性本体960とを含むシステム900の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト930は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体960は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体960は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体960は、開窓部965を画定し、開窓部965を囲繞する剛性係合部968を含み得る。剛性係合部968は、分枝ステントグラフト930に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、剛性係合部968は、開窓部965を囲繞する領域に有窓性本体960の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、剛性係合部968は、開窓部965を囲繞する領域に有窓性本体960の壁を含み、補強されない。
【0052】
分枝ステントグラフト930は、有窓性本体960の係合部968に分枝ステントグラフト930を移動可能に結合するように構成された係合部(図示せず)を含み得る。分枝ステントグラフト930が有窓性本体960の係合部968に移動可能に結合されることにより、
図11A~
図11Cに示されているように、分枝ステントグラフト930は、有窓性本体960に対して移動し、枢動し、及び/又は回転することができる。具体的には、
図11Aに示されているように、分枝ステントグラフト930は、有窓本体960に対する第1位置において、分枝ステントグラフト930の中心軸が有窓性本体960の中心軸に対して垂直になるように構成され得る。
図11Bに示されているように、分枝ステントグラフト930は、分枝ステントグラフト930が有窓性本体960に対する第2位置に位置するように、有窓性本体960に対して移動し得る。
図11Cに示されているように、分枝ステントグラフト930は、分枝ステントグラフト930が有窓性本体960に対する第3位置まで、有窓性本体960に対して移動し得る。さらに、分枝ステントグラフト930の係合部と有窓性本体960の係合部968との係合は、有窓性本体960に対する分枝ステントグラフト930の軸方向移動を制限又は防止し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトの係合部は、任意の適切な形状で形成され得る。例えば、
図12は、分枝ステントグラフト1030と有窓性本体1060とを含むシステム1000の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト1030は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1060は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1060は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1060は、開窓部1065を画定し、開窓部1065を囲繞する係合部1068を含み得る。係合部1068は、分枝ステントグラフト1030に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、係合部1068は、開窓部1065を囲繞する領域に有窓性本体1060の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、係合部1068は、開窓部1065を囲繞する領域に有窓性本体1060の壁を含み、補強されない。
【0054】
分枝ステントグラフト1030は、鞍形状係合部1031を含み得る。鞍形状係合部1031は、有窓性本体1060の係合部1068に移動可能に結合されるように構成される。いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフト1030は、自己拡張型であり得る。例えば、鞍形状係合部1031は、折り畳み可能であり、開窓部1065を通して分枝ステントグラフト1030を送達及び挿入するために折り畳むことができるように、付勢拡張形状を有し得る。鞍形状係合部1031は、
図12に示されているように、鞍形状係合部1031が有窓性本体1060の係合部1068と位置合わせされるように開窓部1065内に配置されると、鞍形状係合部1031が自動的に拡張形態を取って有窓性本体1060の係合部1068と係合するように展開され得る。
【0055】
他の実施形態では、係合部1031又は分枝ステントグラフト1030全体は、成形可能であり、半径方向に拡張可能である。分枝ステントグラフト1030が有窓性本体1060の係合部1068に対する目標位置に送達された後、分枝ステントグラフト1030を拡張し、及び/又は形作るために、バルーンのような別個の拡張可能部材が使用され得る。拡張可能部材は、拡張可能部材が分枝ステントグラフト1030の係合部1031の内表面に加えた力によって分枝ステントグラフト1030の係合部1031が形作られるように拡張され得る。いくつかの実施形態では、拡張可能部材は、拡張可能部材の拘束されていない拡張形状が小直径部分によって分離された2つの大直径部分を含む(例えば、砂時計形状)ように、予め形作られ得る。予め形作られた拡張可能部材は、係合部1031が同様の形状を取るように、係合部1031の内表面に圧力を加え得る。他の実施形態では、拡張可能部材は、拘束されていない円筒状拡張形状を有し得、拡張可能部材は、係合部1068の両側でのみ拡張し得るように有窓性本体1060の係合部1068によって拡張が制限され得る。その結果、拡張可能部材は、係合部1068の両側でのみ係合部1068の内表面に拡張力を加えることができ、分枝ステントグラフト1030の係合部1031を
図12に示されているような形状にすることができる。拡張可能部材は、伸展性又は非伸展性の部材であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、システム1000は、分枝ステントグラフト1030の係合部1031と有窓性本体1060の係合部1068とが係合部1031の展開及び/又は拡張のために適切に位置合わせされる時点を使用者が決定することができるように、停止特徴部を含み得る。停止特徴部は、分枝ステントグラフト1030を送達するのに使用される送達器具、係合部1068、及び/又は係合部1031上に配置され得る。いくつかの実施形態では、停止特徴部は、分枝ステントグラフト1030を拡張し、及び/又は形作るのに使用されるバルーンのような拡張可能部材上に配置され得る。例えば、拡張可能部材が第1拡張形態にあるとき、拡張可能部材が適切に配置されたことが使用者に知らされるように、停止特徴部は大動脈壁のような解剖学的特徴部と係合し得る。拡張可能部材は、その後、係合部1031が所望の形状となるように係合部1031の内表面に圧力を加えるために第2拡張形態に移行され得る。いくつかの実施形態では、係合部1031の展開及び/又は拡張の前に分枝ステントグラフト1030と係合部1068との相対位置が視覚的に確認され得るように、例えば、バンドのようなX線不透過性マーカーが分枝ステントグラフト1030及び/又は係合部1068上に配置され得る。
【0057】
鞍形状係合部1031が有窓性本体1060の係合部1068と係合されたときに、分枝ステントグラフト1030は、有窓性本体1060の係合部1068に対してより枢動可能に、又は回転可能に移動することができる。鞍形状係合部1031は、有窓性本体1060に対する運動(例えば、枢動、回転運動など)を可能にしながら、分枝ステントグラフト1030の軸方向移動を制限又は防止するためにフレア状遠位端を含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトの鞍形状係合部は、任意の適切な形状を有し得る。例えば、
図13Aは、分枝ステントグラフト1130と有窓性本体1160とを含むシステム1100の概略断面側面図である。分枝ステントグラフト1130は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1160は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1160は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1160は、開窓部1165を画定し、開窓部1165を囲繞する係合部1168を含み得る。係合部1168は、分枝ステントグラフト1130に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、係合部1168は、開窓部1165を囲繞する領域に有窓性本体1160の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、係合部1168は、開窓部1165を囲繞する領域に有窓性本体1160の壁を含み、補強されない。
【0059】
分枝ステントグラフト1130は、鞍形状又は砂時計形状の係合部1131を含み得る。鞍形状係合部1031は、有窓性本体1160の係合部1168に回転可能に結合されるように構成される。このような形態では、分枝ステントグラフト1130は、有窓性本体1160の係合部1168に対して移動することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、係合部1131は成形可能であり得、拡張可能は係合部1131を形作るのに使用され得る。
図13Aに示されているように、システム1100は、拡張可能部材1140を含み得る。拡張可能部材1140は、展開時に制御され得る流体供給機構(図示せず)に流体結合され得る。係合部1131が開窓部1165内に位置決めされた後、拡張可能部材1140は、開窓部1165に挿入されて、分枝ステントグラフト1130の係合部1131及び有窓性本体1160の係合部1168と位置合わせされ得る。拡張可能部材1140は、例えば、拡張可能部材に結合された流体供給機構を使用して、拡張可能部材1140が係合部1131の内表面に加えた力によって分枝ステントグラフト1130の係合部1131が形作られるように拡張され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、拡張可能部材1140は、拡張可能部材1140の拘束されていない拡張形状が有窓性本体1160の近位の第1部分と有窓性本体1160の遠位の第2部分1144とを含むように、予め形作られ得る。近位部分はさらに、
図13Aに示されているように、第1大直径部分1141、第1大直径部分1141の遠位の第2小直径部分1142、及び第2小直径部分1142の遠位の第3大直径部分1143を含む。第1近位部分の第1、第2、及び第3直径部分は、拡張可能部材1140の鞍形状又は砂時計形状を形成する。第1直径部分1141の直径は、第3直径部分1143の直径と同じであり得る、又は第3直径部分1143の直径よりわずかに大きい、又はわずかに小さい直径であり得る。第2小直径部分1142は、有窓性本体1160の係合部1168と係合する谷部を形成する。
【0062】
拡張可能部材1140の遠位部分1144は、鞍形状を含む近位部分よりも小さい直径を有するように構成され得る。さらに、遠位部分1140は、拡張時に、分枝ステントグラフト1130の内側に拡張力を加えることによって、分枝ステントグラフト1130の尾部1136と係合するように構成され得る。したがって、予め形作られた拡張可能部材1140の遠位部分1144は、分枝ステントグラフト1130の尾部1136を所望の形状にすることができる。同様に、拡張可能部材1140の近位部分は、分枝ステントグラフト1130の近位領域の内表面に拡張力を加えることによって、分枝ステントグラフト1130を所望の形状にすることができる。
【0063】
拡張可能部材1140の近位部分(第1直径部分1141、第2直径部分1142、及び第3直径部分1143を含む)及び拡張可能部材1140の遠位部分1144は、展開時の拡張を制御するために1つの流体供給機構に流体結合され、又は別個の流体供給機構に別々に接続され得る。予め形作られた拡張可能部材1140は、係合部1131が同様の形状を取るように、係合部1131の内表面に圧力を加えるのに使用され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、拡張可能部材1140は、半伸展性の部材であり得る。いくつかの実施形態では、鞍形状を形成する拡張可能部材1140の近位部分(第1直径部分1141、第2直径部分1142、及び第3直径部分1143を含む)は、半伸展性であり、拡張可能部材1140の遠位部分は、非伸展性であり得る。いくつかの実施形態では、拡張可能部材1140の近位部分及び遠位部分が共に伸展性であり得、近位部分は遠位部分よりも高い伸展性を有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能部材1140の遠位部分は、近位部分と実質的に同じ伸展性を有し得る、又は近位部分よりも高い伸展性を有し得る。
【0065】
上述したように、
図12に示されている鞍形状係合部1031のように完全に拡張されたときにフレア状近位端を含むのではなく、 鞍形状係合部1131は、拡張時に、小直径谷部分で接続された2つの大直径部分を含み得る。有窓性本体1160の係合部1168は、2つの大直径部分が主ステントグラフト1160から軸方向に分枝ステントグラフト1130が離れるのを防止すると同時に、依然として主ステントグラフト1160に対する回転運動を可能にするように、谷部と係合し得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、拡張されたときの鞍形状係合部1131は、第3直径部分が第1直径部分よりも大きい直径を有すると同時に、第1直径部分及び第3直径部分は有窓性本体1160と係合するための谷部を形成する第2直径部分よりも大きい直径を有するように形作られ得る。いくつかの他の実施形態では、第3直径部分は、第1直径部分よりも小さい直径を有し、同じように拡張されたときに有窓性本体1160と係合して分枝ステントグラフト1130の軸方向移動を防止するように構成された第2谷部よりも大きい直径を有する。
【0067】
いくつかの他の実施形態では、鞍形状係合部1131の第1部分と第3部分は、完全に拡張されたときに、実質的に等しい直径を有し得るが、第2部分は、それよりも小さい直径を有し、有窓性本体1160と係合して分枝ステントグラフト1130の軸方向移動を防止すると同時に、有窓性本体1160を中心とした分枝ステントグラフトの枢動又は回転運動を可能にする。
【0068】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフト1130の鞍形状係合部及び有窓性本体1160の係合部1168は、展開時に、分枝ステント1130の遠位部分(例えば、鞍形状係合部1131の第3直径部分を含む)が有窓性本体1160の外側に位置し、分枝ステントの近位部分(例えば、鞍形状係合部1131の第1直径部分を含む)が有窓性本体1160の内側に位置するように構成され得る。さらに、中間部分(例えば、谷部を形成する鞍形状係合部1131の第2直径部分)は、有窓性本体1160の係合部内の開口部又は開窓部と摩擦係合する、又は締まり嵌めによって係合するように構成され得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、拡張可能部材を使用するのではなく、鞍形状係合部1131は、折り畳み可能であり、開窓部1165を通して分枝ステントグラフト1130を送達及び挿入するために折り畳むことができるように、付勢拡張形状を有し得る。鞍形状係合部1131が有窓性本体1160の係合部1168と位置合わせされるように開窓部1165内に配置されると、鞍形状係合部1131は、拡張形態(例えば、
図13Bに示されている形態)を取って有窓本体1160の係合部1168と係合するように展開され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、システム1100は、分枝ステントグラフト1130の係合部1131と有窓性本体1160の係合部1168とが係合部1131の展開及び/又は拡張のために適切に位置合わせされる時点を使用者が決定することができるように、停止特徴部を含み得る。停止特徴部は、分枝ステントグラフト1130を送達するのに使用される送達器具、係合部1168、及び/又は係合部1131上に配置され得る。いくつかの実施形態では、停止特徴部は、拡張可能部材1140上に配置され得る。例えば、拡張可能部材1140が第1拡張形態にあるとき、拡張可能部材1140が適切に配置されたことが使用者に知らされるように、停止特徴部は大動脈壁のような解剖学的特徴部と係合し得る。拡張可能部材1140は、その後、係合部1131が所望の形状となるように係合部1131の内表面に圧力を加えるために第2拡張形態に移行され得る。いくつかの実施形態では、係合部1131の展開及び/又は拡張の前に分枝ステントグラフト1130と係合部1168との相対位置が視覚的に確認され得るように、例えば、バンドのようなX線不透過性マーカーが分枝ステントグラフト1130及び/又は係合部1168上に配置され得る。
【0071】
上述したように、
図14のシステム1300は、本明細書に記載されている他のシステムと実質的に同様であり得る。例えば、システム1300は、
図6に示されているシステム500、又は
図7に示されているシステム600、又は
図10に示されているシステム800と同様であり得る。一例として、分枝ステントグラフト1130は分枝ステント630と実質的に同様であり得、有窓性本体1160は有窓本体660と実質的に同様であり得る。さらに、分枝ステント1130の係合部1131は、係合部1168において有窓性本体1160と係合するために適切に剛性又は可撓性であり得る。分枝ステント1130の係合部1131は、移行部1133と、長手方向中心軸を画定する遠位尾部1136とを含み得る。さらに、分枝ステント1130は、有窓性本体1160と結合して、長手方向中心軸が有窓性本体1160の開口部によって画定される平面に対して実質的に垂直な状態を維持するために適切な可撓性又は剛性を有し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、分枝ステント1130は、係合部の可撓性よりも高い可撓性を有するように構成された尾部1136を含み得る。例えば、尾部は、分枝ステントグラフト1130の係合部1131の可撓性よりも25%高い可撓性を有し得る。いくつかの他の実施形態では、尾部は、係合部1131の可撓性と同程度か、それよりも低い可撓性を有し得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフト1130の尾部1136は、適切な厚さの適切な材料製であり、所望の可撓性を分枝ステント1130に付与して分枝ステントグラフトを拡張させることができるひずみ能力を有するカバー1138を含み得る。例えば、カバー1138は、分枝ステントグラフト1130の可撓性が精密に制御され得るように、適切な微細構造を有する1つ又は複数の層で形成され得る。一例として、カバー1138は、不具合なしに、第1直径サイズ(例えば、約2mm)から第2実質的に拡張された直径サイズ(例えば、約4~12mm)までの分枝ステントの拡張を支持するために、ひずみ能力を有するように構成され得る。すなわち、カバー1138のひずみ能力は、2mm~4mmから2mm~12mmの範囲の分枝ステントの拡張に耐えられるように設計され得る。いくつかの実施形態では、カバーは、不具合(例えば、破れ、裂けなど)なしに、係合部の直径方向の拡張の少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、又は少なくとも約5倍のひずみ能力を有し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、上述のカバー1138は、可撓性尾部1136、係合部1131、移行部、又はこれらのいずれかの組み合わせの表面に配置され得る。すなわち、カバーは、分枝ステントグラフト1130のいずれかの個々の部分、複数の部分、又は分枝ステントグラフト1130全体の表面に配置され得る。さらに、分枝ステントグラフト1130の係合部1131、移行部1133、及び/又は尾部1136の表面に配置されるカバー1138は、分枝ステントグラフト1130の係合部、移行部、及び尾部それぞれに所望の可撓性を付与するように構成され得る。例えば、上述した1つ又は複数の部分の表面に配置されるカバーは、適切な微細構造を有する任意の適切な材料製であり得、精密な制御で所望の可撓性を実現するために適切な数の層を有する適切な厚さで作成され得る。
【0075】
分枝ステント1130の移行部は、有窓性本体1160と分枝ステント1130との間のよじれ形成又は構造疲労を防止するために適切な可撓性又は剛性を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、分枝ステント1130の移行部1133は、分枝ステント1130の係合部1131の可撓性よりも高く、可撓性尾部の可撓性よりも低い可撓性を有し得る。すなわち、尾部1136は、移行部1133及び係合部1131より実質的に高い可撓性を有するように構成され得る。例えば、分枝ステント1130の尾部1136の可撓性は、1N未満の偏向力が使用されたときに、分枝ステント1130が、分枝ステントの係合部1131から20mmの長手方向距離において、長手方向軸から少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、又は少なくとも約4mmだけ偏向するように構成され得る。言い換えれば、可撓性尾部は、第1応力を受けない状態の長手方向軸を画定し、係合部から20mmの長手方向距離において、加えられた偏向力が約1N未満のときに、第2応力を受けた状態に偏向するように構成される。このような偏向力が加えられたとき、可撓性尾部は、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、又は少なくとも約4mmだけ第1状態から第2状態へ移動する。いくつかの他の実施形態では、移行部1133は、分枝ステント1130の係合部1131及び/又は尾部の可撓性と同程度か、それよりも低い可撓性を有するように構成され得る。
【0076】
図14は、一実施形態に係る、別の形状の分枝ステントグラフト1330を含むシステム1300の概略断面側面図である。
図14に示されているように、システム1300は、分枝ステントグラフト1330と有窓性本体1360とを含む。分枝ステントグラフト1330は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1360は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1360は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1360は、開窓部1365を画定し、開窓部1365を囲繞する係合部1368を含み得る。係合部1368は、分枝ステントグラフト1330に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、係合部1368は、開窓部1365を囲繞する領域に有窓性本体1360の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、係合部1368は、開窓部1365を囲繞する領域に有窓性本体1360の壁を含み、補強されない。
【0077】
分枝ステントグラフト1330は、係合部1331を含み得る。係合部1331は、第1大直径部分1331Aと第2大直径部分1331Bとを含み得る。係合部1331は、有窓性本体1360の係合部1368が第1大直径部分1331Aと第2大直径部分1331Bとの間に位置決めされるように、有窓性本体1360の係合部1368に結合され得る。したがって、分枝ステントグラフト1330は、有窓性本体1360の係合部1368に対して移動することができる。第1大直径部分1331A及び第2大直径部分1331Bはそれぞれ、有窓性本体1360の係合部1368によって画定された開窓部1365の直径よりも大きい直径を有し得るので、分枝ステントグラフト1330が主ステントグラフト1360に対して軸方向に移動するのを制限又は防止すると同時に、依然として主ステントグラフト1360に対する回転運動及び/又は枢動を可能にする。第1大直径部分1331Aは、第2大直径部分1331Bよりも小さいサイズで示されているが、いくつかの実施形態では、第1大直径部分1331Aは、第2大直径部分1331Bと同じサイズか、又は第2大直径部分1331Bよりも大きいサイズであり得る。
【0078】
図15は、システム1400の概略断面側面図である。システム1400は、両面係合部1431を有する分枝ステントグラフト1430を含み得る。システム1400はさらに、有窓性本体1460を含む。分枝ステントグラフト1430は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1460は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1460は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1460は、開窓部1465を画定し、開窓部1465を囲繞する係合部1468を含み得る。係合部1468は、分枝ステントグラフト1430に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、係合部1468は、開窓部1465を囲繞する領域に有窓性本体1460の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、係合部1468は、開窓部1465を囲繞する領域に有窓性本体1460の壁を含み、補強されない。
【0079】
両面係合部1431は、有窓性本体1460の係合部1468に移動可能に結合されるように構成される。分枝ステントグラフト1430の係合部1431は、第1係合特徴部1431Aと第2係合特徴部1431Bとを含む。係合部1431(ひいては、第1係合特徴部1431A及び第2係合特徴部1431B)は、有窓性本体1460の内側及び/又は外側から係合部1468と係合することができる任意の適切な形状であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1係合特徴部1431A及び第2係合特徴部1431Bは、ステントが取り付けられた卵円孔開存(PFO)閉鎖器具と同様に構成され、有窓性本体1460に取り付けられ得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1係合特徴部1431A及び第2係合特徴部1431Bはそれぞれ、拡張可能リングとして形成され、係合部1468の両側に配置され得る。第1係合特徴部1431Aは、係合部1468の第1側(例えば、有窓性本体1460の内側)に位置決めされ得る。第2係合特徴部1431Bは、係合部1468の第1側とは反対の第2側(例えば、有窓性本体1460の外側)に位置決めされ得る。係合部1431は、有窓性本体1460の係合部1468が第1側の第1係合特徴部1431Aと第2側の第2係合特徴部1431Bとの間で移動可能に固定されるように、主ステントグラフト1460の係合部1468に結合され得る。このような形態では、分枝ステントグラフト1430は、有窓性本体1460の係合部1468に対して回転し、及び/又は変位することができる。第1係合特徴部1431A及び第2係合特徴部1431Bは、係合部1468によって画定された開窓部の直径よりも大きい直径を有し得るので、分枝ステントグラフト1430が有窓性本体1460から軸方向に離れるのを防止すると同時に、依然として有窓性本体1460に対する回転運動を可能にする。
【0081】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフト1430の係合部1431は、第1係合特徴部1431Aが第1プロング要素と第2プロング要素とを含み、第2係合特徴部1431Bが第3プロング要素と第4プロング要素とを含むように、X字形の鞍状部を含み得る。第1プロング要素と第2プロング要素は、係合部1468の第1側(例えば、有窓性本体1460の内側)に位置決めされ得る。第3プロング要素と第4プロング要素は、係合部1468の第1側の反対側の第2側(例えば、有窓性本体1460の外側)に位置決めされ得る。係合部1431は、有窓性本体1460の係合部1468が第1側の第1プロング要素と第3プロング要素との間、及び第2側の第2プロング要素と第4プロング要素との間に移動可能に固定されるように、主ステントグラフト1460の係合部1468に結合され得る。このような形態では、分枝ステントグラフト1430は、有窓性本体1460の係合部1468に対して回転し、及び/又は変位することができる。第1プロング要素と第2プロング要素との間の距離及び第3プロング要素と第4プロング要素との間の距離は、係合部1468によって画定される開窓部の直径よりも大きい距離であり得るので、分枝ステントグラフト1430が有窓性本体1460から軸方向に離れるのを防止すると同時に、依然として有窓本体1460に対する回転運動を可能にする。
【0082】
いくつかの実施形態では、分枝ステントグラフトは、主ステントグラフト又は血管壁のような有窓性本体の内壁と係合するための定着部材を含み得る。例えば、
図16A~
図16Eは、システム1500のさまざまな場面及び形態の概略図である。システム1500は、定着部材1550を含む分枝ステントグラフト1530と有窓性本体1560とを含む。分枝ステントグラフト1530は、例えば、ブリッジステント又はFEVARステントのような任意の適切なステントであり得る。有窓性本体1560は、例えば、血管壁又は大動脈ステントグラフトのような主ステントグラフトであり得る。有窓性本体1560は、例えば、ステントグラフト160又はステントグラフト260のような本明細書に記載されている他の有窓性本体又はステントグラフトのいずれかと同一又は同様の構造及び/又は機能を有し得る。有窓性本体1560は、開窓部1565を画定し、開窓部1565を囲繞する係合部1568を含み得る。係合部1568は、分枝ステントグラフト1530に結合されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、係合部1568は、開窓部1565を囲繞する領域に有窓性本体1560の壁の補強及び/又はマーク付き縁部を含む。他の実施形態では、係合部1568は、開窓部1565を囲繞する領域に有窓性本体1560の壁を含み、補強されない。
【0083】
定着部材1550は、パラシュートの形態であり得る、又は分枝ステントグラフト1530のフレア状端部であり得る。定着部材1550は、折り畳まれた送達形態から、拡張された定着形態へと可動であり得る。第1形態のシステム1500の概略断面側面図である
図16Aに示されているように、定着部材1550は、折り畳まれた送達形態で開窓部1565まで送達され得る。いくつかの実施形態では、定着部材1550は、送達管(図示せず)内で開窓部まで送達され得る。定着部材1550は、定着部材1550が送達管内で圧縮され、その後、送達管から取り外されるときに自動的に拡張形態へと移行され得るように、拡張形態に向けて付勢され得る。第2形態のシステム1500の概略断面側面図である
図16Bに示されているように、定着部材1550は、例えば、送達管の端部から送達された後、拡張定着形態へと拡張され得る。定着部材1550が拡張定着形態へと展開されると、定着部材1550は、
図16Cに示されているように、定着部材1550が有窓性本体1560の係合部1568と係合されるように(例えば、定着部材1550が係合部1568に当接するように)有窓性本体1560の壁の内表面に接触して位置決めされ得る。このような形態では、分枝ステントグラフト1530は、開窓部1565を通って延びるが開窓部1530に対して軸方向に移動できないように位置決めされ得る。
図16Dに示されているように、定着部材1550が係合部1568と係合して位置決めされると、分枝ステントグラフト1530は、開窓部1565内で、例えば、拡張可能部材(例えば、バルーン)によって拡張され得る。
図16Eは、定着部材1550が有窓性本体1560の係合部1568に固定された状態の有窓性本体1560の内壁の概略図である。いくつかの実施形態では、定着部材1550及び分枝ステントグラフト1530は、ステントが取り付けられた卵円孔開存(PFO)閉鎖器具と同様に有窓性本体に取り付けられ得る。
【0084】
図16A~
図16Eには1つの定着部材1550のみが示されているが、いくつかの実施形態では、第2定着部材が有窓性本体1560の外壁と係合するように第2定着部材を含むことも可能である。例えば、第1自己拡張型パラシュートが有窓性本体1560の内側で開き、第2自己拡張型パラシュートが有窓性本体1560の外側で開いて、分枝ステントグラフト1530を有窓性本体1560に固定することができるように、自己拡張型パラシュートが分枝ステントグラフト1530に配置され得る。
【0085】
上述したように、分枝ステントグラフト1530は、使用時に、展開器具を使用して目標位置まで送達され得る。例えば、分枝ステントグラフト1530は、有窓性本体1560を貫通するガイドワイヤ上送達され、有窓性本体1560の開窓部1565から出て、分枝動脈へと送達され得る (
図16A~
図16Eには図示せず)。いくつかの実施形態では、定着部材1550が有窓性本体1560のルーメン内にあり、分枝ステントグラフト1530の別の部分が分枝動脈内にあるように(
図16Aに示されている形態と同様)、分枝ステントグラフト1530を位置決めするのに、送達管が使用され得る。この位置では、定着部材1550(例えば、パラシュート)が展開され得る(
図16Bに示されている形態と同様)。例えば、定着部材1550又は分枝ステントグラフト1530全体は、送達管の端部から押し出されて、
図16Bに示されている形態へと自動的に拡張され得る。定着部材1550は、その後、定着部材1550が有窓性本体の開窓部を囲繞する領域(例えば、
図16Cに示されているように、係合部1568)と当接するように開窓部1530に向けて押され得る。定着部材が有窓性本体の壁及び/又は係合部と当接することによって、(
図16Dの形態に示されているように)分枝ステントグラフト1530は、開窓部1565及び分枝動脈内で軸方向に拡張され得る。例えば、拡張可能部材(例えば、バルーン)は、分枝ステントグラフト1530のルーメンに挿入されて拡張され得るので、分枝ステントグラフト1530を開窓部1565内でよりも広い直径の形態へと拡張させることができる。
【0086】
システム、方法、及び器具のさまざまな実施形態について上述したが、それらは単なる例として提示されたものであって、限定するものとして提示されていない。上述した方法及びステップが特定の順序で発生する特定の事象を示す場合、本開示の利益を享受する当業者は、特定のステップの順序付けは修正され得、このような修正は本発明の変形形態に従うことを理解するであろう。さらに、特定のステップは、可能な場合に並行プロセスにおいて同時に実行され得、また上述したように順次実行され得る。具体的に実施形態が図示され説明されているが、形態及び詳細のさまざまな変更が行われ得ることは理解されるであろう。
【0087】
例えば、さまざまな実施形態は特定の特徴部及び/又は構成要素の組み合わせを有するものとして記載されているが、本明細書に記載されている実施形態のいずれかの任意の特徴部及び/又は構成要素の任意の組み合わせ又は部分的組み合わせを有する他の実施形態も可能である。さらに、さまざまな構成要素の具体的な形態も変更可能である。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的形状は、図示されている実施形態のものとは異なっていても、本明細書に記載されている機能を同様に提供するものであり得る。