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特許7181859回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法
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  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図1
  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図2
  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図3
  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図4
  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図5a
  • 特許-回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法 図5b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】回転変位及び線形変位によるレーザビームの偏心度を変化させるためのレーザビームのガイド装置及びガイド方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/082 20140101AFI20221124BHJP
   B23K 26/22 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B23K26/082
B23K26/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019515456
(86)(22)【出願日】2017-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 FR2017052509
(87)【国際公開番号】W WO2018055281
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】1658796
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】519090664
【氏名又は名称】インダストリアル レーザー システムズ(アイ.エル.エス)
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】ルーマンジ,イシャム
(72)【発明者】
【氏名】ティラド,ルシオ
(72)【発明者】
【氏名】メンデス,マニュエル
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-053347(JP,U)
【文献】特開2003-220484(JP,A)
【文献】特開2014-161902(JP,A)
【文献】特開昭64-087096(JP,A)
【文献】米国特許第04896944(US,A)
【文献】特開平02-169195(JP,A)
【文献】特開2002-248591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/082
B23K 26/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ源(3)に接続された溶接ユニット(2)を有する、レーザビームのインパクトのパスをガイドするための装置であって、
溶接ユニット(2)は、溶接ユニット(2)に対する向きを制御しながらレーザビーム(C,E)を送出することができ、
溶接ユニット(2)は、レーザ源から到達するレーザ光のビーム(A)をコリメートするように構成された、単一又は複合的な収束レンズ(10)を備え、
溶接ユニット(2)は、レンズ(10)から出射されるレーザ光のビーム(B)が、円筒形又は円錐形の領域を描くように、レンズ(10)の光軸(O,x)と平行で、かつ、光軸(O,x)から離れた距離にある第一軸線(ω,x)周りにレンズ(10)を回転させることができる制御機構(5)を更に有し、
制御機構(5)が、
ケーシング(30)と、
ケーシングに対して第一軸線(ω,x)周りに回転するように駆動され、レンズ(10)に向けて送られるレーザビーム(A)がその中心を通過するように配置された回転中空部材(24)と、
角速度及び/又は回転速度が制御される、回転中空部材(24)を回転駆動させるためのシステム(21,22)と、
回転中空部材(24)とともに回転駆動されるように構成された、レンズ(10)を保持するためのホルダ(4)と、
回転中空部材とともに回転駆動されるように構成された、少なくとも一つのアクチュエータ(23)と、を有し、
回転中空部材(24)の回転時及び非回転時のいずれにおいても、第一軸線(ω,x)に対するホルダ(4)及びレンズ(10)の偏心度を、制御可能に変化できるように、アクチュエータ(23)が、ホルダ(4)と相互作用するように構成され、
回転中空部材が、ケーシング(30)に対して回転可能なように取り付けられた中空のチューブ(24)であり、
ホルダが、レンズ(10)を留め付けるリング(4)であり、チューブ(24)の一端において横断方向へスライドできるように、チューブ(24)と一体的に回転可能なように、かつ、チューブ(24)に対し、チューブの軸線(ω,x)と垂直に並進する方向へ案内されるように取り付けられ、
アクチュエータ(23)が、中空のチューブ(24)の内部において回転動作及び並進動作を組み合わせた移動が可能となるように、中空のチューブ(24)の内部においてねじ山(27)によってガイドされ、
制御機構(5)は、レンズが回転する間、及び、レンズを第一軸線(ω,x)周りの所定の角度位置に維持する間に、レンズの光学中心(O)を第一軸線(ω,x)から隔てる偏心の可変距離(δ)を、所定の偏心範囲で制御可能に変化させることができるように構成されていることを特徴とするレーザビームガイド装置。
【請求項2】
制御機構(5)が、レンズの光軸の偏心値(δ)と、第一軸線(ω,x)周りのレンズ(10)の角度位置及び/又は回転速度とを、同時に制御できるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザビームガイド装置。
【請求項3】
アクチュエータ(23)が、回転中空部材(24)の回転時において、回転中空部材(24)に対して軸方向へ移動できるように構成されるとともに、回転中空部材(24)に対するアクチュエータ(23)の軸方向動作(Δx)の連続的単調関数である偏心値(δ)をホルダ(4)に与えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のレーザビームガイド装置。
【請求項4】
リング(4)が、チューブ(24)の内側へ向けられた半径方向領域のセクションにおいて深さ方向にはめ込まれ、リングの軸方向の深さの方向に、リング(4)の内側へ凹んだ少なくとも一つの作動溝(35)を有し、
アクチエータ(23)が、少なくとも一つの軸方向ピン(25)を有し、ねじ山に沿ったアクチュエータの移動中に、ピン(25)の軸方向長さだけでなく、溝(35)の軸方向深さ、溝(35)の角度範囲、及び、チューブ(24)に対するリング(4)の許容される横方向遊び(e)とも適合するパスセクションにわたって、ピンが案内溝(35)によって案内されるように、リング及びアクチェータが構成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のレーザービームのインパクトのパスをガイドするための装置。
【請求項5】
リング(4)の少なくとも一つの作動溝(35)が、リングの領域のセクションにおいて、アクチュエータ(23)のピン(25)が、チューブ(24)に対するリング(4)の並進方向(u)に対して少なくとも部分的に垂直に移動するように案内されることを可能にするガイドトラックをたどることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のレーザビームガイド装置。
【請求項6】
制御機構が、
レーザ源からの光ビーム(A)がもたらされるユニットのケーシング(20)と、
ケーシング(20)に対してチューブ(24)を軸方向及び半径方向に保持し、かつ、第一軸線(ω,x)周りのチューブ(24)の回転を許容する少なくとも一つの第一軸受装置(28)と、
チューブ(24)をケーシング(20)に対して軸線(ω,x)周りに回転駆動させるモータ(21)と、
アクチュエータ(23)の一端に軸方向及び半径方向に固定された第二軸受装置(29)と、
ケーシング(20)に対して第二軸受装置(29)に可変軸方向位置を与えるのに適した作動フォーク(31)と、
を有していることを特徴とする、請求項5に記載のレーザビームガイド装置。
【請求項7】
ユニット(2)が、レンズ(10)から発せられたビーム(B,B’)の反射によって反射されたビーム(C)を方向付けるように構成された部分反射第一ミラー(12)と、実質的にレンズ(10)から発せられたビーム(B,B’)の反射によって得られる反射ビーム(C)の方向へ、ミラー(12)を介して見通せるように、ミラー(12)の背後に配置された検査カメラ(18)と、を更に有していることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のレーザビームガイド装置。
【請求項8】
ユニット(2)が、第一ミラー(12)から発せられたレーザビーム(C)の経路上に挿入された少なくとも一つの反射型第二ミラー(13)を有し、この反射型第二ミラー(13)が、第二ミラー(13)によって向けられるレーザビーム(D)の方向を、円錐の母線に沿って、又は、平面内で変化させるように、ユニット(2)の基準系における第二軸線(y)周りに傾斜できるように制御されるように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のレーザビームガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接方法に関し、特に、レーザ源から光が到達するファイバを介して供給されるユニットを使用するレーザ溶接方法に関する。そのようなユニットは、ファイバから出射されるビームをコリメート又は成形し、それをレーザビームの所望のインパクトポイントに向けるように構成することができる。インパクトポイントは、一般に、ビームが衝突する部分の少なくとも一つの小さなゾーンにわたって、静止したユニットから移動させることができる。
【背景技術】
【0002】
これらのユニットは一般に、出射されるビームを平行にするコリメートレンズ、及び、ビームを反射し、平面に様々なパスをインポーズするために、ミラーの傾斜を制御することができる電動ガルバノミラーを備えている。殆どの場合、ビームは、フラットフィールドレンズによって収束される。フラットフィールドレンズは、それ自体知られているように、ペッツヴァール像面湾曲のような光学収差を回避することを可能にするレンズであることが思い出されるだろう。このプロジェクトのように、他の例では、ビームは、ガルバノミラーの直前で収束される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ミラーの慣性が、レーザビームのインパクトポイントのパスの高速制御(「スカラップ状」のパスを描くための、或いは、円形又は楕円形のような、それ自体の上を複数回ループバックするパスを描くための制御)を困難にする。
【0004】
但し、レーザビームの進行方向の平均線の両側に偏位を描くパスを使用することができること、及び/又は、実際に、最初のインパクトポイントから小さい円(最大で数ミリの直径の円)を描くことによって得られる点状のスポット溶接部を生成できることが必要である。
【0005】
本発明の目的は、慣性の欠点及び従来のミラーの欠点なしに、円形、螺線状、渦巻状のパス、或いは、スカラップ状のパスさえも、レーザビームにインポーズすることを可能にする、レーザビームの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、レーザ源に接続され、出力されるレーザビームを送出するように構成され、位置を制御することができ、レーザ源から到達するレーザ光のビームを成形するように構成された単一の又は複合的なレンズを備えた溶接ユニットを含む、レーザインパクトのパスをガイドするための装置が提供される。
【0007】
このユニットは更に、レンズから出力されるレーザビームが、母線を有する円錐形又は円筒形のパスを描くように、レンズを第一軸線(レンズの光軸に平行で、レンズの光軸から離れた位置にある)周りに回転させることができる制御機構を含む。
【0008】
レーザ光のビームは、有利には、レンズの上流側のファイバによって伝送され得る。レンズは、有利には、制御機構の回転軸である第一軸線を中心とすることができる。
【0009】
複合レンズとは、ファイバから発せられたレーザビームの成形を可能にする光学アセンブリを意味する。レーザの平面とは、レンズの光軸に対して垂直な平面を意味する。
【0010】
ファイバとは、ここでは、光を伝導するための柔軟性のある光学デバイスを意味し、例えば一本以上の光ファイバを含み得る。
【0011】
有利には、制御機構は、その回転角速度が特に制御可能であるように構成される。
【0012】
制御機構は、所定の偏心範囲において、レンズの光学中心と第一軸線との間に、偏心の可変距離を与えることができるように構成されることが好ましい。
【0013】
有利には、この装置は、第一軸線周りにおけるレンズの回転中に、偏心距離を制御可能に変化させることができるように構成される。
【0014】
有利には、制御機構は、偏心値と、第一軸線周りのレンズの光軸の角度位置及び/又は回転速度とを、同時に制御することができるように構成される。
【0015】
有利には、制御機構は、レンズが回転する間、及び、レンズを所定の角度位置に維持する間に、レンズの光学中心を第一軸線から隔てる偏心の可変距離を、所定の偏心範囲で制御可能に変化させることができるように構成される。
【0016】
例えば、制御機構は、レンズが回転する間、及び、レンズを所定の角度位置に維持する間に、レンズの光学中心を第一軸線から隔てる偏心の可変距離を、制御可能に修正することができるアクチュエータを含むことができる。
【0017】
一つの実施形態によれば、アクチュエータは、モータ、電子制御手段、及び、充電式バッテリを含むことができる。他の一の実施形態によれば、アクチュエータは、誘導的に動力が供給されるモータ及び制御手段を含むことができる。電子制御手段は、例えば、ブルートゥース(登録商標)タイプのワイヤレスリンクを介して制御可能とすることができ、或いは、例えば、経時的な偏心の変化についての設定が予め記録されたプログラムを含むことができる。
【0018】
他の実施形態によれば、アクチュエータは、レンズの非回転時に、レンズの保持システムを分解することなく偏心の修正が可能で、レンズを保持した状態で回転させることができる偏心調整システムに置き換えることができる。この場合、あるレーザ走査モードから別のレーザ走査モードに移行するために、偏心度を迅速に調整することができる。分解せずにこの調整を行うことにより、レンズ又はレンズシステムを形成する繊細な隙間又はセクションにおける汚染の原因を制限することができる。
【0019】
有利には、制御機構は、レンズの光軸の偏心値と、第一軸線周りのレンズの角度位置及び/又は回転速度とを、同時に制御できるように構成することができる。
【0020】
有利には、制御機構は、
ケーシングと、
ケーシングに対して第一軸線周りに回転するように駆動され、レンズに向けて送られるレーザビームがその中心を通過するように配置された回転中空部材と、
角速度及び/又は回転速度が制御される、回転中空部材を回転駆動させるためのシステムと、
回転中空部材とともに回転駆動されるように構成された、レンズを保持するためのホルダと、
回転中空部材とともに回転駆動されるように構成された、少なくとも一つのアクチュエータと、
を含むことができる。
【0021】
アクチュエータは、回転中空部材の回転時及び非回転時のいずれにおいても、第一軸線に対するレンズホルダ及びレンズの偏心度を、好ましくはレンズホルダの漸進的な移動によって、制御可能に変更できるように、レンズホルダと相互作用するように構成することができる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、アクチュエータは、回転中空部材の回転時において、回転中空部材に対して軸方向へ移動できるように構成されるとともに、回転中空部材に対するアクチュエータの軸方向動作の連続的単調関数である偏心値をレンズホルダに与えるように構成される。
【0023】
制御機構は、
第一軸線周りに(例えばその周辺から)回転するように駆動され、レーザ源から発せられたレーザビームがその中心を通過するように配置された回転中空部材と、
チューブと一体的に回転可能なように、かつ、チューブに対し並進方向へ(チューブの軸線に対し少なくとも数ミリメートルにわたって垂直に)案内されるように、チューブの一端において横断方向へスライドできるように取り付けられた、レンズを保持するリングと、
を含むことができる。
【0024】
保持リングは、リングの内側に軸方向へ凹んだ少なくとも一つの作動溝を有し、チューブの内部空間に面した領域のセクションにはめ込むことができる。作動溝は、リングの領域のセクションにおいて、リングに対し軸方向に挿入された少なくとも一つのピンが案内されることを可能にするガイドトラックをたどる。
【0025】
有利には、制御機構は更に、チューブに対して回転及び並進運動を組み合わせた移動が可能となるように、チューブの内側においてねじ山によって案内されるピンベースのアクチュエータを備える。有利には、チューブの内側のねじ山によって案内されるアクチュエータの回転軸は、ユニットに対するチューブの回転軸と同じである。
【0026】
有利には、リングの作動溝は、リングの領域のセクションにおいて、アクチュエータのピンが、チューブに対するリングの並進方向に対して少なくとも部分的に垂直に移動するように案内されることを可能にするガイドトラックをたどる。このようにしてピンがリングの並進方向と垂直に移動する間、ピンは、リングの並進方向と平行な圧力を溝の側壁に加えることができる。従って、ピンを支えるアクチュエータの回転中に、ピンによって圧力が継続的に加えられ得る。
【0027】
更に別の言い方をすれば、リングは、チューブの内側へ向けられた半径方向領域のセクションにおいてはめ込まれ、リングの軸方向の深さの方向に、リングの内側へ凹んだ少なくとも一つの作動溝を有することができ、また有利には、アクチエータは、軸方向レリーフを形成する少なくとも一つのピンを有し、ねじ山に沿ったアクチュエータの移動中に、ピンの軸方向長さだけでなく、溝の軸方向深さ、溝の角度範囲、及び、チューブに対するリングの許容される横方向遊びとも適合するパスセクションにわたって、ピンが案内溝によって案内されるように、リング及びアクチェータが構成される。
【0028】
有利には、溝は、所与の時点で、アクチュエータの回転中に、リングの並進方向に対して実質的に垂直な方向へピンが移動するように設計され、その場合、ピンの移動は、リングに対して少なくとも一つの半径方向成分を更に有し、前記半径方向成分は、チューブに対するリングの並進方向と平行な成分を有する。ピンは、それが溝の中で占める点をチューブの軸線周りの回転円の上の点に移動させるために、リングの溝のエッジに圧力を加えることができ、それにより、リングの並進移動を引き起こす。有利には、少なくとも一つのピンを案内するための溝は、リングの並進方向と垂直な直線セグメントと、リングを中心とし、セグメントを横切る円弧状セクションとの間に含まれる、リング上の中間経路(即ち、すなわち二つの経路の一連の重心として得られる経路)を規定することができる。有利には、溝は、リングの並進方向と平行なリングの中央線を横切る。ピンの圧力は、溝のこの点においてリングの重心を通過し、特に効果的な方法で加えられる。
【0029】
案内溝は、溝の原点から、リングの中心を中心とする円形経路から連続的に遠ざかる経路を規定することができる。原点は、単に溝の端部であってもよい。換言すれば、溝は、リングを中心とし、溝の原点を通過する円から連続的に遠ざかる。
【0030】
チューブに対して垂直に摺動するリングのあらゆる位置に対して、一つの案内溝における少なくとも一つのセクションは、少なくとも一つのピンに、チューブの回転中に、チューブの基準系において円弧を描くことによって、ピンが溝の縁に当接してリングを動かすために、チューブの軸を中心とする円弧と異なる経路を与えることを可能にしなければならない。
【0031】
アクチュエータは、レンズに向かって送られるレーザビームを通過させるために、第一軸線の周りにくり抜かれることが好ましい。アクチュエータは、ピンの軸方向長さだけでなく、溝の軸方向深さ、溝の角度範囲、ピンの移動量(ねじ山によって規定される移動量)、及び、チューブに対するリングの横方向の遊びとも互換性のあるパスセクションにわたって、リングの案内溝によって案内されるのに適した少なくとも一つの軸方向ピンを備えることが好ましい。
【0032】
アクチュエータは、チューブ内へ軸方向に挿入された第二チューブの形態をとり得る。
【0033】
このようにして、チューブの回転中において、チューブに対する相対的な軸方向位置をアクチュエータに与えることが可能である。このようにして、溝に対する角度位置がピンに与えられ、この構成により今度は、チューブに対するリングの横方向位置(レンズの光学中心の偏心を規定する)のみが許容される。
【0034】
制御機構は、入力として光ビームを受け取るユニットケーシングと、チューブを軸方向及び半径方向に保持し、かつ、第一軸線周りのチューブの回転を許容する少なくとも一つの第一軸受装置と、チューブをケーシングに対して回転駆動させるモータと、アクチュエータの軸方向の一端において軸方向及び半径方向に固定され、チューブから(リングとは反対側において)突出する第二軸受装置と、ケーシングに対する可変軸方向位置を第二軸受装置に与えるのに適した作動フォークとを含むことができる。有利には、フォークの動作は、それ自体が電動式である。「軸受」という用語は、ここでは、回転に際して軸が固定的に支持されることを可能にする装置を意味する。従って、各軸受装置は、平面軸受、又は、一連の平面軸受、又は、ボールベアリング、又は、一連のボールベアリングのいずれかとすることができる。一つの実施形態では、第一軸受装置は、溶接装置のユニットに対して固定された二つのラジアルボールベアリングを含み、第二軸受装置は、軸方向に並進移動可能で、作動フォークによって支持されたラジアルボールベアリングを含む。
【0035】
他の変形実施形態によれば、第二軸受装置は、例えばフォークがアクチュエータを支えることを可能にするように構成され、弾性復帰装置によってアクチュエータの軸方向の復帰が保証されるアキシアル軸受であってもよい。そのような弾性復帰装置は知られている。
【0036】
例えば、レンズを本質的に垂直軸線周りに回転させることを意図した、更に他の変形実施形態によれば、第一軸受装置は、一つ以上のアキシアル軸受を含むことができる。
【0037】
ユニットは更に、レンズから発せられたビームが向け直される部分反射第一ミラーを含むことができ、また、実質的にレンズから発せられたレーザビームが向け直される方向において、ミラーを介して見通せるように、ミラーの背後に配置された検査カメラを含むことができる。カメラは、レンズが回転した際に、カメラによって観察される領域がレーザビームとともに回転することなく、レーザビームの最終的なインパクトポイントの周りの領域を見ることができる。
【0038】
ユニットは、第一ミラーから発せられたレーザビームのパス上に挿入された少なくとも一つの反射性の第二ミラーを含むことができる。この第二ミラーは、第二ミラーによって向けられるレーザビームの方向を、円錐の母線に沿って、又は、平面内で変化させるように、ユニットの基準系における第二軸線周りに傾けることができるように制御される。
【0039】
ユニットは更に、第二ミラーの所定の位置について、第三ミラーによって向けられるレーザビームの方向を、円錐の母線に沿って、又は、平面内で変化させるように、第二ミラーから発せられたレーザビームのパス上に挿入された、ユニットの基準系における第三軸線周りに傾けることができるように制御される反射型の第三ミラーを含むことができる。
【0040】
従ってカメラは、第二ミラー(任意には、第三ミラー)からの反射を介して、レーザービームのインパクトポイントを視認する。従って、カメラの観察ゾーンは、第二ミラー、及び/又は、第三ミラーが傾斜しているときに並進移動し、観察ゾーンの軸は、ビームが送られる作業平面の方向に対して固定された状態に維持される。制御機構がレンズを円運動させて移動させる場合、カメラの観察ゾーンの軸は回転しない。
【0041】
上述したようなガイド装置と、溶接ユニットを支持し、ユニットから出力されるレーザビームを、連続する所望のインパクトポイントに向けるのに適したロボットアームと、レンズが回転する間、レンズの回転角速度、及び、一定で、制御されたレンズの偏心度、或いは、制御された方法で変化するレンズの偏心度を与えるのに適したユニットの制御手段と、更に、レーザビームのインパクトポイントの一連のイメージを表示又は記録するように構成された監視手段とを備えた、レーザインパクトのパスをガイドする装置も提案される。
【0042】
カメラは、カメラの観察ゾーンの軸が、ロボットアームの所定の位置に対してそれ自体と平行に保たれるように構成されてもよい。
【0043】
ファイバによって送出され、レンズによってコリメートされたレーザビームを使用する、ユニットから出力されたレーザビームのインパクトのパスをガイドする方法も提案される。レンズは、レンズの光学中心に対して偏心した軸の周りを回転する。
【0044】
有利には、ユニットから発せられるレーザビームが衝突する溶接ゾーンが、光学監視装置(イメージを取得する光路が、コリメートレンズから独立している)を使用して監視される。
【0045】
この方法では、ユニットに入射してレーザ源から到達するレーザビームを、ユニットのコリメートレンズを用いてコリメートすることが可能である。レンズの光学中心に対して偏心した軸線周りに、レンズを回転させることが可能である。レンズの回転中に、及び、レンズが所定の角度位置にあるときに、レンズの偏心度が、漸進的に変化するように制御される
【0046】
この方法は、例えば、金属部品、及び/又は、ポリマー部品のスポット溶接に適用することができる。各スポット溶接は、ユニットから到来する出力レーザービームのインパクトゾーンにおいて、溶接される部品の少なくとも一つに、円、楕円、複数の重ね合わされた円又は複数の重ね合わされた楕円、又は、螺旋状のパスを描くことによって得られる。スポット溶接部を有するレーザビームレベルのパスは、レンズの動作のみによって制御される。
【0047】
別の実施形態によれば、又は、他の動作条件下において、この方法は、金属部品、及び/又は、ポリマー部品のリニア溶接に適用することができる。ユニットから到来する出力レーザビームのインパクトゾーンにおけるパスが、傾斜可能なミラーを用いて得られる出力ビームの直線運動と、レンズの動作によって得られる同出力ビームの回転運動との組み合わせによって得られる
【0048】
更に別の実施形態によれば、又は、他の動作条件下において、この方法は、円錐形オリフィスのカッティングに適用することができる。一つの円錐形オリフィスの穿孔中において、ユニットから到達するレーザービームのパスが、レンズの動作のみによって制御される。
【0049】
これらの方法のそれぞれにおいて、有利には、イメージ取得の光路が、コリメートレンズが軸を中心に回転することとは無関係である光学監視装置によって、レーザービームのインパクトゾーンを監視することができる。
【0050】
前述のすべての説明において、反射ミラーという用語が、レーザビームの波長において反射し、可視領域又は赤外領域のような他の波長(カメラが感知可能な波長領域のような波長)においても反射するミラーを意味することに留意されたい。半反射ミラーという用語は、一つ以上のプリセット波長範囲の光を反射し、互いに、又は、他のいくつかのプリセット波長範囲の光を透過させるミラー(例えば、ダイクロイックプレートのような)を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明のいくつかの目的、特徴、及び、利点は、単に非限定的な例として示され、添付図面が参照される下記の記述により明らかになるであろう。
図1図1は、本発明の基本的な実施形態を示す図である。
図2図2は、本発明によるレーザインパクトのパスのガイド装置を使用したレーザ溶接装置を概略的に示す図である。
図3図3は、図2に示す装置の動作をより正確に示す図である。
図4図4は、コリメートレンズをレンズの面内で回転させることを意図した、図1に示すレーザインパクトのパスのガイド装置のサブアセンブリの概略斜視図である。
図5図5a、及び、図5bは、図1に示すレーザインパクトのパスのガイド装置のサブアセンブリの概略断面図であり、サブアセンブリのいくつかの構成要素の相対的な並進運動、及び、回転運動を示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、レーザビームの衝突のパスをガイドする装置1の基本的な実施形態を示しており、光ファイバ3によってレーザ源に接続される溶接ユニット2を備えている。光ファイバー3内を通過する間に複数のパスを有するレーザー光線は、その端部において、溶接ユニット2内に進入するレーザー光の発散ビームAを発生する。
【0053】
ユニット2は、単一の又は複合的な収束レンズ10を含む。複合レンズとは、理想的な単一のレンズの光学特性に匹敵する光学特性を得るための、任意には複数のレンズからなる、光学モジュールを意味する。レンズ10は、ユニット2に面する光ファイバ3の端部がレンズ10の焦点面内に位置するように、ケーシング30内に配置される。従ってレンズ10は、互いに平行な光線からなるレーザ光のビームBを得るために、レーザ源から到達するレーザ光のビームAをコリメートするように構成される。
【0054】
レンズ10を光ファイバ3の端部から遠ざけることによって、ビームBを、インパクトゾーン16(特に、レーザー光を介した熱エネルギーの供給によって、もう一つのプレートに溶接しようとするプレートの表面上のゾーン)において収束させることが可能である。
【0055】
或いは、レンズ10の平面は、レーザ光のビームBを平行に保つように、光ファイバ3の端部からの距離が、その焦点距離と等しくなる位置に固定される。この変形例では、収束レンズ7は、インパクトゾーン16(実質的にレンズ7の焦点面内に配置される)において収束するビームCを得るために、レンズ10の後に配置される。この実施形態では、レンズ10と光ファイバ3の端部との間の距離とは無関係にレンズ7の距離を調整し得るため、インパクトゾーン16におけるビームCの収束点をより柔軟に調整することができる。従って、レンズ7をインパクトゾーン16の方向へ移動させることによって、溶接される材料の厚さ内部まで収束点を進入させることが可能である。
【0056】
原点が光ファイバ3の端部のほぼ中心にあり、レンズ10の平面に垂直な軸ωxを考えるとき、レンズ10の光学中心Oが軸ωx上にある場合、軸ωxとインパクトゾーン16の交点に、レーザ光のスポット又はブロッチが生成される。但し、良好な機械的特性を有するスポット溶接を得るためには、溶接パドルが、プレートの平面内の最小領域よりも大きい領域にわたって延在する必要がある。
【0057】
一つの解決策は、インパクトゾーン16におけるレーザ光のスポットを十分に広げるために、レンズ10、又は、レンズ7を軸に沿って移動させることである。但し、この方法では、溶接する材料を溶融させるために、インパクトゾーンの増大に比例してレーザビームのエネルギーを増大させることが必要となる。
【0058】
もう1つの有利な解決策は、図4を参照して以下に説明されるように、ケーシング30内で軸ωx周りに回転可能なチューブ24に、レンズ10をしっかりと固定することである。レンズ10の光学中心Oは、軸ωxと平行なレンズ10の光軸Oxを規定するために、軸ωxに対してオフセットされる。このため、レーザ光のビームBは、光ファイバの端部の原点ωとレンズ10の中心Oとを通過する光線と平行となり、軸ωxに対して角度αをなす。チューブ24の中心が軸ωxを中心に回転すると、レンズ10の光学中心Oは、軸ωxを中心とする円を描く。従って、レーザ光のビームBは、チューブ24の回転速度とに等しい速度で、レンズ10の光学中心Oを通過する光線が描く円と同一平面上にあるリングを走査する。インパクトゾーン16上のビームCの収束点が、半径Rの円(それ自体は軸ωx上に固定されているレンズ7の光学中心を通過する光線によって描かれる円錐の底によって規定される)を描くように、レンズ7の光学中心を通過する光線は、軸ωxに対してその角度αを維持する。
【0059】
このシンプルな配置では、レンズ7の焦点距離をf7、レンズ10の焦点距離をf10とし、軸Oxが軸ωxに対して距離δだけオフセットされているとした場合、インパクトゾーン16は、チューブ24が回転している間、軸Oxがそれと平行な軸ωxを中心に回転するときに、半径R=δ・f7/f10の円を描くように移動する。
【0060】
インパクトゾーン16上でのビームCの収束は、収束点で温度上昇を生じさせ、ひいては、その温度を表す発散光放射を、一般的に赤外波長(溶接される材料の融点の波長であると予想される)の領域において発生させる。
【0061】
レンズ10とレンズ7との間に、半反射ミラー12’を挿入することが有利である。半反射ミラー12’は、レーザ光線が属する波長の範囲では完全に透明であり、赤外線波長の範囲(任意には可視波長の範囲)では完全に反射する、ダイクロイックプレートからなる。このため、レーザー光線が完全に通過する半反射ミラー12’によって、レーザ光線の方向が乱されることはない。インパクトゾーン16から発せられた、レーザビームの波長とは異なる波長を有する光線は、半反射ミラー12’のダイクロイックプレートの表面に、軸wに対する角度(例えば45°の角度)を与えることにより、復路においてレンズ7を通過した後は平行で、半反射ミラー12’のダイクロイックプレートからの反射によって偏向されるビームを形成する。
【0062】
半反射ミラー12’は、光学監視装置18(特に、インパクトゾーン16から発せられた光線をカメラセンサ48において収束させるために、焦点距離f6の単一又は複合的な収束レンズ6を備えた光学監視装置)の実現を可能にする。カメラセンサ48は、半径r=δ・f6/f10の温度の円を測定することを可能にし、それによって溶接部の品質の評価が可能となる。光学監視装置18は、角度操作用の反射鏡15を備えることができる。
【0063】
図2に示すように、溶接装置1は、固定構造物、可動構造物、又は、ロボットアーム19を有するシステムに搭載することができ、光源(図示せず)から発せられた光を到達させる光ファイバ3(又は、光ファイバ3の束)が接続されている溶接ユニット2を備える。ユニット2は、ファイバ3を介して光パワーを受け取ることができ、ユニット2から出力される光ビーム“E”を、インパクトゾーン16の方向(例えば、溶接される部分のゾーン)に向けて送出することができる。ユニット2は、ビームEのインパクトゾーン16を修正するために、ファイバ3の柔軟性によって移動させることができる。ユニット2は、ユニットケーシング20を備えており、例えば、これを介して可動装置又はロボットアーム19に装着することができる。ケーシング20は、ユニット2を構成する様々な要素に属する基準系を規定すると考えることができる。ファイバ3から出射される第一の光ビーム“A”は、光学中心“O”のコリメートレンズ10に送られる。レンズ10は、出射されるビームBが実質的に平行になるように配置される。レンズ10は、単一のレンズよりも複雑な光学系(例えば、一連のレンズ)であり得るが、本明細書においては、一般的な「レンズ」という用語を用いる。レンズ10は、レンズ10から離れた位置に配置されたレンズ11によって任意に補完されてもよく、その光軸は、好ましくはレンズ10の光軸と平行である。レンズ10,11の光軸は、一致していてもよく、或いは、相互にずれていてもよい。
【0064】
ユニット2の軸は、ここでは、レンズ10の光軸と平行な第一の軸“x”である。“x”方向は、実質的にユニット2のレーザビームEの平均出力方向でもあるが、例えば、異なる数の反射ミラーが使用された場合には、ビームの出力方向と異なる場合がある。
【0065】
レンズの平面内に位置する二つの垂直な方向、“y”方向、及び、“z”方向も示されている。これらの方向は、制御機構のケーシング30、及び、ユニット2のケーシング20に対して固定される。
【0066】
レンズ10から出射されるビームB(又は、変形実施形態においては、一連のレンズ10,11から出射されるビームB’)は、通常、ダイクロイックプレート12(これは特に、上述したような半反射型の第一ミラーの機能を果たす)に向けて送られる。ダイクロイックプレート12は、反射ビームCを、例えば反射型の第二のミラー13の方向へ向けることができる。別の実施形態においては、反射型の第二のミラー13は、反射ビームDを、例えば反射型の第三のミラー14に向けることができる。ダイクロイックプレート12を固定して、ミラーの後側のビームCの延長部に、カメラ又は光学監視装置18を配置できるようにしてもよい。カメラ18の観察の光路は、一つ以上の補完的なミラー、例えばミラー15に依存し得る。
【0067】
レンズ10から発せられた光ビームB又はB’は、その反射部分に関して、光ビームCの形態で、第一軸線周り(例えばビームCの方向と垂直な第一軸線周り)に傾斜可能なように設計された可動ミラー13の方向へ向けられる。ミラー13が傾斜している間、ビームDは、ミラー14が動かないままである場合には、ミラー14の平面における第一の方向へ線を描く。ミラー14は、典型的には、ビームDによってトレースされるこの線と平行な方向に傾斜可能である。ミラー13,14の適切な傾斜角の組み合わせにより、ユニット2から出力されるビームEのインパクトゾーン16において、実質的に長方形の領域を走査することが可能である。ミラー13,14(「ガルバノミラー」と呼ばれる)は、ユニット2から出力されるビームEのインパクトポイントのパス17を、特に、ミラーの最大傾斜角によって制限される領域にわたって、移動させるために使用することができる。
【0068】
パスが屈曲点を含み、ミラーの一つにおいて、角度変更の停止と、反対方向へ戻るような角度変更が強いられるとき、ミラーの慣性によって、ビームEのインパクトポイントを移動させる線速度が制限される。
【0069】
更に、カメラ18は、ミラー13,14からのインパクトゾーン16のイメージの反射を介して観察するため、カメラの観察ゾーンは、ビームEのインパクトポイントと同時に移動する。
【0070】
例えば、レンズ10,11を固定した状態で、ミラー13,14のみを使用して、ビームEのインパクトポイントが一つ以上の円を描くようにする場合、観察されるイメージの背景全体が、ビームと同時に円を描くことになる。特に回転が速い場合には、それは、解釈が困難なイメージになる。このタイプのイメージ(既存の装置によって得ることができる)は、図3に概略的に示されており、符号17で参照される。
【0071】
本発明に係る装置では、例えばガルバノミラー13,14を使用し続けて、出力ビームEを、一つのゾーンからレーザビームが衝突する部分の別のゾーンへ移動させることが可能である。
【0072】
図2を参照して説明した装置の動作は、図3によって、より詳しく説明することができる。
【0073】
図3は、図1の光ファイバ3、単一の又は複合レンズ10,7、及び、インパクトゾーン16を示しており、これらのファイバ、レンズ、及び、インパクトゾーンについては、図1の説明が有効である。
【0074】
ミラー12は、図1のミラー12’と同様に配置されている。しかしながら、図1のミラー12’とは異なり、ミラー12は、レーザ光線のエネルギーをレンズ7(ここでは、ファイバ3の端部からミラー12へ向けられる軸ωxに垂直な光軸を中心とする)に向かって反射するように、レーザ波長の領域では完全に反射し、赤外線波長では透明である。これにより、レンズ7から到来した収束ビームCを、反射ミラー13に向けて反射させてビームDを生じさせ、このビームDを反射ミラー14で反射させて、インパクトゾーン16に向けられたビームEを生じさせることができる。
【0075】
ミラー13,14からの連続的な反射によって、図1の単一のビームCよりも長いビームC+D+Eを得ることができ、このビームはインパクトゾーン16の一点に収束する。
【0076】
この構成は、図1のレンズ7の焦点距離よりも長い焦点距離f7を有するレンズ7を使用できるという第一の利点を有する。従って、インパクトゾーン16において図1と同じ値の半径Rの円を得るために、レンズ10の光軸Oxを図1の場合よりも小さい距離δ=R・f10/f7だけ軸からずらして移動させることが可能であり、それに対応して、ケーシング10の容積、及び、軸Oxを軸ωx周りに同じ速度で回転させるのに必要となるパワーを減少させることができる。
【0077】
レンズ10の回転から生じる円上のビームEの収束点16が移動する各点において、インパクトゾーン16上のレーザー光線の非常に微細な焦点は、材料の温度の上昇を引き起こす。到達した各温度値Tに対して、材料は、ウィーンの法則に従って、温度Tに反比例する最大波長λmaxのスペクトルにおいて、ビームE,D及び/又はCとは反対方向へ発散ビームを再放射する。焦点において、到達した温度を表す波長で再放射された相当量の発散光線は、ミラー12に到達する前に通過して平行になるレンズ7まで、収束レーザ光線と同じパスを反対方向にたどる。
【0078】
図1のミラー12’と同様に、ミラー12は、ダイクロイックプレートによって製造することができる。しかしながら、図1のダイクロイックプレートとは対照的に、レーザ光線のような、高エネルギー波長λC(典型的には600νm<λC<1200νm)において反射し、その材料の融点に近い温度を反射する波長のような、より低いエネルギーの波長λT(典型的には1.5μm<λT<3.5μm)において透明であるダイクロイックプレートが、図3のミラー12として使用される。従って、材料から放射され、レンズ7を通過する光線は、図1の装置と同じ方法で、光学監視装置18内に進入するために、半反射ミラー12も通過する。
【0079】
軸Oxと軸ωxとの間の距離δを、ゼロとR・f10/f7に等しい値との間で徐々に変化させることによって、この装置は、高度に集束されたレーザービームC又はE(半径Rのスポットを直接得るために、インパクトゾーンにおいて高度に集束されていないレーザビームが使用された場合に必要とされるエネルギーよりも低いエネルギーである)により、πR2エリアのスポット溶接を得ることを可能にする。
【0080】
従って、ミラー13,14の可変配向は、ビームC又はEのフォーカス、又は、インパクトゾーン16から放射された光線の知覚(光線の温度に基づく、装置18による知覚)に悪影響を及ぼすことなく、溶接点の位置の修正を可能にする。後者の機能を実行するための既存のガルバノメータユニットは、一般に、光ファイバから出力されるレーザ光線をコリメートするための既存のレンズ11を既に有している。そのような収束レンズ11を有するそのようなガルバノメータユニットを使用する場合、レンズ11の入口において、光ファイバの出口に特有の発散を再現するために、レンズ10とレンズ11との間に発散レンズ8を挿入することが推奨される。
【0081】
本発明は、最終レーザビームの特定の動作を制御するために、レンズ10を可動にすることを提案する。
【0082】
図1から図3に示す本発明に係る装置では、ユニット2から出射されるレーザのビームに円形のパスをインポーズするために、コリメートレンズ10が、制御機構(図1から図3において、ケーシング30として概略的に示されている)内に配置されており、レンズの光学中心Oを、平面内で、制御機構の回転軸に対応した回転軸(ω,x)周りに移動させることができる。このため、レンズ10から出るビームBは、円錐の母線に沿って連続的に配向され、その結果、制御機構の回転軸(ω,x)に対するレンズの光学中心Oの距離が一定である場合、ビームEの最終インパクトポイントは、円を描くことになる。
【0083】
レンズの回転は、ボールベアリング、又は、ベアリングタイプの機構を使用して得られる(殆どの場合、回転方向を変えずに得られる)ため、ミラーの慣性による影響が回避され、ユニットから出力されるビームにインポーズされる回転速度を増加させることができる。
【0084】
特定の変形実施形態では、実質的に平行な光ビームを得ることを可能にするコリメート装置アセンブリは、回転する第一のレンズ10と固定された第二のレンズ11とに分離することができる。
【0085】
ビームEのインパクトゾーン16は、半反射ミラー12を通して監視される。
【0086】
カメラの観察ゾーンは、ミラー13,14の動作と共に移動する。このため、レンズ10のみを移動させたり、回転させたりしても、観察ゾーンは、一定のままである。レンズ10のみによってレーザビームが移動する間、固定された画像背景を有するイメージが得られる。この固定された画像背景を有するイメージは、ミラー13,14が高速で傾けられたときに得られるイメージの監視、及び、解釈が容易である。そのような固定背景イメージは、図3に概略的に示され、符号17’によって参照される。
【0087】
図4は、ケーシング30内に収容され、レンズ10を、その平面内で、レンズの光学中心Oに対して中心を外れた軸(ω,x)周りに回転させることを可能にする制御機構5のいくつかの要素の概略図である。
【0088】
図4に示すように、制御機構5は、ケーシング30(図2には部分的にしか示されていない)によって保持されており、それを介して制御機構5は、ユニット2の他の要素に対して、特にユニット2のケーシング20に対して、位置決めされる。
【0089】
光強度を伝達する光ファイバ3は、レンズ10の光軸(O,x)と実質的に平行となるようにファイバの端部を保持できる保持要素34によって、ファイバの端部33が保持される。レンズ10は、保持リング4(ファイバ3の端部33と実質的に同軸にチューブ24の端部に取り付けられている)によって支持される。チューブ24は、ケーシング30に対して軸線(ω,x)周りに回転可能なボールベアリング28に取り付けられている。チューブ24は、モータ21により回転する。例えば、モータ21は、駆動ベルト22により、チューブ24の外周を介してチューブ24を駆動する。他の実施形態も考えられ、例えば、モータは、チューブ24の外側の歯と係合させることができる(変形は図示せず)。
【0090】
チューブ24は、ファイバ3の端部33から発せられた光ビームがレンズ10の方向へ通過するように、くり抜かれている、即ち、中心が中空になっている。
【0091】
レンズ10を支持し、レンズ10の保持ホルダを形成するリング4は、チューブ24と連携して回転し、チューブ24の半径方向(“u”方向)へ移動可能なように、チューブ24に取り付けられている。この目的のため、リングは、例えば、チューブ24の回転軸(ω,x)と垂直な方向“u”(方向“u”のベクトルは、チューブ24とともに回転する)にリングを案内するノッチ26内で、半径方向へ移動するように設計されてもよい。
【0092】
リング4は、例えば半径方向移動の最大振幅“e”(半径方向の遊びとも呼ばれる)で、半径方向へ移動することができる。
【0093】
チューブ24の内側には、ビームの伝達を可能にするために、ファイバ3から発せられた光ビームのパスの周りに、アクチュエータ23(アクチュエーティングエレメント23とも呼ばれる)が配置されている。アクチュエータ23は、例えばチューブ24と同軸の中空管を含み得る。アクチュエータ23は、ねじ山を介してチューブ24と相互作用し、このためチューブ24内においてアクチュエータ23に与えられる軸方向位置は、チューブ4とともに回転するベクトル“u”の方向に対してアクチュエータに与えられる相対角度位置に対応する。
【0094】
アクチュエータ23とレンズホルダ4は、ピンベースの機構を介して相互作用するように構成されてもよい。このピンベースの機構は、有利には、チューブ24に対するアクチュエータ23の相対角度位置に応じて、リング4を、案内ノッチ26に沿って方向“u”に移動させることによって、チューブ24に対するレンズ10の偏心値が与えられることを可能にし得る。レンズ10は、リング4に対して静止したままであり、従って、リング4、及び、チューブ24とともに回転し、その中心Oは、チューブの内側のアクチュエータ23の軸方向位置に応じた値で、チューブの回転軸(ω,x)に対して偏心することになる。
【0095】
アクチュエータ23(図2には示されないが、図5aに示される)は、チューブ24に対し、ある軸方向位置(作動フォーク31によって与えられる)にある。図4に示すように、フォーク31は、作動装置32(それ自体が電動式であり得る)によって移動させることができる。
【0096】
フォーク31は、例えば、フォークとともに軸方向へ移動可能で、アクチュエータ23と軸方向に関連するが、アクチュエータ23の回転を許容するボールベアリング、又は、ベアリング29を介して、アクチュエータ23の端部を軸方向に保持することができる。従って、アクチュエータ23は、それを収容するチューブ24と同じ角速度で回転することができ、チューブ24の方向“u”に対するアクチュエータ23の相対角度位置は、フォーク31の軸方向位置によってインポーズされる。
【0097】
図5a,5bは、アクチュエータ・チューブ・リングのアセンブリを、互いに垂直となるように切断された二つの断面によって概略的に示す。このアセンブリは、レンズ10の中心Oにおいて、制御機構5のチューブ24の回転軸(ω,x)に対する所定の偏心を与えることができる。図5aは、チューブ24、アクチュエータ23、及び、レンズ10を保持するためのリング4を概略的に示す長手方向断面図である。
【0098】
図5bは、チューブ24に対するリング4の半径方向の移動、及び、リング4とアクチュエータ23との間の相互作用のゾーンを概略的に示す、リング4の横断方向断面図である。
【0099】
図5aに示すように、リング4は、チューブ24の特定の方向“u”へ、距離“e”にわたって、半径方向へ移動できるように、チューブ24の端部に取り付けられている。
【0100】
図5bに示すように、リング4は、例えば、チューブ24の端部において半径方向へ配置された案内ノッチ26に挿入されるリングの半径方向の歯36によって、チューブ24の端部に対して案内されてもよい。
【0101】
チューブ24に対するリング4の移動、及び、リング内のレンズ10の位置は、例えば、リングの光学中心Oが、チューブ24の回転軸(ω,x)の一方側へ、0から“e”の間に含まれる値だけ移動できるように規定される。レンズの光学中心を、回転軸(ω,x)のいずれかの側に移動させることができる変形実施形態、或いは、レンズの光学中心が、回転軸(ω,x)に対して最小値以上、常に中心から外れる変形実施形態さえも、想定することができる。
【0102】
従ってチューブ24は、ボールベアリング28によって保持され、ボールベアリング28は、例えば制御機構のケーシング30内に埋め込まれていてもよい。ボールベアリング28は、チューブ24の回転軸(ω,x)を設定する。
【0103】
アクチュエータ23は、ねじ山27を介して、チューブ24と相互作用し、ねじ山27により、フォーク31の端部の軸方向位置に応じて、アクチュエータ23とチューブ24との間の特定の相対角度位置を達成することができる。フォーク31は、例えば、ベアリング、又は、ボールベアリング29によって、アクチュエータ23と軸方向に関連付けられてもよく、従ってベアリング29は、制御機構のケーシング30に対して移動可能である。
【0104】
モータ21が駆動ベルト22を使用してチューブ24を駆動すると、アクチュエータ23+チューブ24+リング4のアセンブリが、共同して回転する。従って、モータ21、及び、ベルト22は、チューブ24を回転駆動させるためのシステムの一部を形成する。他の駆動システム、例えばチューブのリングギア(図示せず)と係合するギア機構(図示せず)を含む駆動システムも考えられる。回転駆動させるためのシステムは、解放機構などのような、追加の機能を有することができる。
【0105】
アクチュエータ23の各軸方向位置は、チューブ24と共に回転する方向“u”に対するアクチュエータ23の相対角度位置に対応する。リングの後面に、即ち、リングにおいてアクチュエータ23の端部と軸方向に対向する面に、作動溝35が形成されている。溝は、任意選択的に、リングの厚さを貫通してもよい。
【0106】
アクチュエータ23の端部には、ピン25(アクチュエータに固定されている)が、アクチュエータ23の軸方向への可動範囲の全体にわたって、リングの溝35内に挿入された状態を維持できるように配置されている。
【0107】
溝35は、リングの表面まで延在し、それらにより、各ピン25に対してガイドトラック38を一つずつ形成し、各トラックは、リングの所与の点Ωを中心とする円弧に近接したままであるが、トラックの一方端から単調に遠ざかるのが好ましい。
【0108】
チューブ24に対するアクチュエータ23の相対的な第一位置によって定まる第一基準角度位置から、アクチュエータ23が回転すると、ピン25がガイドトラック38に追従する。ガイドトラック38は、所定の回転方向について、リング4の幾何学的作用中心Ω(アクチュエータ23の特定の位置について、チューブ24の回転中心ωに重ね合わせることができるように設計されている)から単調に離れることが好ましい。
【0109】
アクチュエータ23の角度位置の変化に続いて、リング4に関連する溝35内をピン25が移動すると、ピン25は、溝35に実質的に半径方向の圧力を加える。この圧力は、リング4がチューブ24に対して移動可能な方向“u”に、正又は負の成分を有する。
【0110】
このようにして、ピンの動作は、リング4をノッチ26に沿って移動させる。
【0111】
少なくとも一つガイドトラック38は、リングの中央領域を中心とする円弧とは異なることが好ましい。一つのガイドトラック38は、所与の角度の進行方向について、ガイドトラック38を横切り、かつ、リングの実質的な中心点Ωを中心とする架空の円弧状パス39から、単調に離れるように設計されてもよい。架空のパス39は、溝35が、ピン(リングの実質的な中心点Ωの周りを回転する)によって移動させられた場合に、リングが動かないようにするための経路である。従って、ピンは、溝の縁部において、リング4の移動方向“u”についての力を加えない。所望される移動方向“u”と平行な溝(アクチュエータが極端な第一角度位置及び第二角度位置にあるときに、その端部にピン25が当接する)をリングに形成することは、本発明の可能な実施形態の一つであるが、リングの並進移動の程度を段階的に制御することはできないだろう。
【0112】
溝は、リングの並進移動方向に対して少なくとも部分的に垂直に延在することが好ましい。
【0113】
例として、以下のようにして、二つのピン(アクチュエータにおいて互いに半径方向に対向する二つの位置を占める)に対する二つのトラック38を、リング上でトレースすることが可能である。セグメントMM’(その長さMM’は、二つのピンの中心間の距離Dである)が、角度コースβ上で、その中心mの周りに角度的に旋回されるのと同時に、セグメントMM’の中心mは、リングの表面におけるピンの初期位置から、中線Δ(リング4の移動方向uと平行である)に沿って直線的に移動する。セグメントの中心mの移動は、チューブに取り付けられたリングがチューブに対して移動可能な方向へ実行されなければならない。また、移動の振幅は、リングとチューブの配置によって許容される振幅に対応していなければならない。点M及びM’は、それぞれピンの一つに与えることができる経路を描くことになり、また、セグメントの中心mが移動する距離は、アクチュエータがピンに角度コースβを与えたときに、リングに与えられる並進移動に対応する。各ピンは、対応する溝35によって与えられるリングに関する経路38と、チューブに関する円形経路39とを描く。経路38,39との間の差は、チューブに対するアクチュエータの回転の各段階において、チューブに対して垂直なリングの並進移動を引き起こす。
【0114】
フォーク31の動作による、アクチュエータの軸方向位置、ピンの角度位置、及び、リングの偏心への作用は、図5a,5bにおいて、一連の矢印F1,F2,F3,F4によって示されている。
【0115】
図5aにおいて、F1は、アクチュエータ23に対するフォーク31の軸方向への動作を表している。アクチュエータ23は、矢印F2によって示されるように、チューブ24に対するその角度位置を修正するために、ねじ山27によって拘束される。回転中空部材を形成するチューブ24が、ねじ山27によって与えられる角度だけ旋回する間、チューブ24の端部は、値Δxだけ軸方向へ移動する。チューブ24の端部は、図5aにおいて破線で示される位置から、実線で示される位置まで移動する。次に、ピン25が、図5bの矢印F3で示すように、角度方向へ移動する。ピン25が角度方向へ移動すると、リング4が、方向“u”と平行に(例えば、ピン25が図5bにおいて反時計回り方向に移動する場合には、矢印F4によって示される方向へ)移動する。
【0116】
本発明は、説明された例示的な実施形態には限定されず、多くの変形実施形態が想定され得る。装置がミラーを含んでいなくともよく、観察用の一つの半反射ミラーのみを含み、及び/又は、二つ以外の数のガルバノミラーを含んでもよい。回転レンズの偏心度を制御するための装置は、本明細書に記載されているものと異なってもよい。レンズの光軸に対し厳密には平行ではない軸を中心に、レンズを回転させることを想定することもできる。このシステムは、一方のレンズが静止し、他方のレンズが回転し、ビームが両方のレンズを通過した後にのみ再び平行になるように設計された、ビームのコリメーションを確実にするための、少なくとも二つのレンズの装置を含むことができる。
【0117】
レンズのリングを半径方向へ移動させるためのシステムは、本明細書に記載されているものとは異なっていてもよく、例えば、アクチュエータの案内用のくぼみ或いは溝に挿入される、リング上のピン、又は、レリーフを含んでいてもよい。ピンベースのアクチュエータは、一つのみ、又は、二つ以上のピンを含んでもよい。但し、半径方向へ対向する二本のピンを使用することは、ピンのセットに適した案内溝のセットの設計を容易にする。アクチュエータが複数のピンを含む場合には、それらのうちの一つのピンに対応する少なくとも一つの案内溝が、リングと中心が一致する円弧ではないという条件において、他の案内溝は、リングと中心が一致する円弧であってもよい。
【0118】
レーザの出力は、ファイバ以外の手段によって、回転レンズに供給されてもよい。例えば、装置のすぐ近くにレーザ源を配置することもできる。
【0119】
レーザビームの光路上に観察カメラを配置しない、より単純な実施形態を想定することもできる。レンズの回転角速度の制御は、レーザビームの出力の有効脈動に依存し得る。従って、ビームの理論上の軌道に沿って移動して各ユニットに供給されるエネルギー量が、より好適に制御される。
【0120】
この装置は、溶接、及び、マーキングの用途に使用することができるが、例えば、自動車のインジェクタのオリフィスのように、収束縁を有するオリフィスを穿孔することが必要である場合にも使用することができる。具体的には、そのようなオリフィスを穿孔するためには、レーザビームは、空間内の円錐の母線に沿って移動しなければならず、これは、本発明による制御機構に取り付けられたレンズを使用することによって実現できる。
【0121】
この方法は、金属部品、及び/又は、ポリマー部品のスポット溶接(溶接する一つ以上の部品におけるレーザービームのインパクトゾーンにおいて、少なくとも一つの円、複数の重なった円、又は、螺線状のパスを描くことによって得られる)に適用することができる。回転速度は、レンズの一回転の所要時間が、レーザビーム出力の所与のパルス数に対応するように、適合させることができる。
【0122】
溶接ユニットのミラーは、ロボットアームによってユニットがより遠い溶接ポイントに向かって移動する前に、一つ以上の隣接する溶接ポイントにレーザビームを移動させることができる。
【0123】
この方法は、金属部品、及び/又は、ポリマー部品のリニア溶接(レーザービームのインパクトポイントの平均進行線速度、及び、その平均直線パスに対するインパクトポイントの回転角周波数によって、溶接パドルの幅が制御される)にも適用することができる。具体的には、横振動、又は、「ウォビュレーション」を伴って描かれる溶接線は、より幅広のレーザビームによって得られる、同じ溶接パドル幅を有する溶接線よりも、エネルギー的に効率的であり得ることが示されている。
【0124】
本発明による溶接方法は、レーザービームのインパクトポイントにおいて金属の溶融、又は、局所的な蒸発を引き起こすことによって、二つの金属部品を互いに重ねて溶接する場合に、有利に使用することができる。金属の局所的な蒸発は、レーザビームが、上側部分によって光学的に先にマスクされている部分を加熱することを可能にし、これが、重ね溶接のことをフランス人が「透明溶接」と呼ぶ理由である。溶接パドルの直径は、精密に制御されなければならず、その結果、十分な溶融金属が、二つの部分の間の所望の接合部の区域において毛管作用によって保持され、必要である場合に、二つの部分の間の僅かな組立遊びを埋める。
【0125】
インパクトポイントが螺旋を描くようにビームを制御することは、連続する同一円を描く点状のインパクトポイント、又は、インパクトポイントを用いて行われる溶接よりも、溶接パドルをより均一にすることを可能にし得る。
【0126】
本発明によるレーザビームガイド装置は、種々の溶接、マーキング、及び、切断技術において、又は、他の用途において使用することができる。この装置は、円、重ね合わされた円のシーケンス、螺旋状のパス(レンズの回転に連動して偏心度が制御される)、又は、レンズの円運動とガルバノミラーを使用した直線運動とを組み合わせて得られるスカラップ・パスさえも描くことができる。
【0127】
本発明によるレーザビームの制御装置は、製造が比較的簡単な装置により、非常に速い速度で円形パスを描くことができる。更にこの装置は、画像背景が実質的に動かない、ビームのインパクトゾーンの視野を得るために、カメラを適切に配置することを可能にし、これは、イメージの観察及び/又は処理、並びに、レーザービームを使用して実行されるプロセスの品質の制御を容易にする。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b