(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ポリインダン樹脂を含むタイヤおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 47/00 20060101AFI20221124BHJP
C08F 36/20 20060101ALI20221124BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20221124BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20221124BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20221124BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221124BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
C08L47/00
C08F36/20
C08L7/00
C08L9/00
C08L23/16
C08K3/013
B60C1/00 A
B60C1/00 B
(21)【出願番号】P 2019532964
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017067209
(87)【国際公開番号】W WO2018118855
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-15
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522256299
【氏名又は名称】シンソマー・アドヒーシブ・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】イングラッタ,マーク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】バス,スーメンドラ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】パブリン,マーク・スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】デローチ,ジョゼフ・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クトセク,ジョージ・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ウェイ・ミン
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-252441(JP,A)
【文献】特表2012-520385(JP,A)
【文献】特開2007-311732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリインダン樹脂を含有するエラストマー組成物を含むタイヤ構成要素。
【請求項2】
前記エラストマー組成物は、1~100phrの前記ポリインダン樹脂を含有する、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項3】
前記エラストマー組成物は、3~60phrの前記ポリインダン樹脂を含有する、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項4】
前記ポリインダン樹脂は、10℃~150℃の範囲のガラス転移温度(「Tg」)を示す、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項5】
前記ポリインダン樹脂は、40℃~200℃の範囲の環球法による軟化点を示す、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項6】
前記ポリインダン樹脂は、300g/mol~
3,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を
有する、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項7】
前記ポリインダン樹脂は、ジイソプロペニル置換芳香族化合物を由来とする、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項8】
前記エラストマー組成物は、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレン、ブチルゴム、およびハロブチルゴムからなる群から選択される少なくとも1種のエラストマーを含む、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項9】
前記タイヤ構成要素は、タイヤトレッド、タイヤサブトレッド、タイヤアンダートレッド、および/またはタイヤサイドウォールを含む、請求項1に記載のタイヤ構成要素。
【請求項10】
少なくとも1種のエラストマー、ポリインダン樹脂、および1種以上の充填剤を含有するエラストマー組成物を含むタイヤ構成要素。
【請求項11】
前記エラストマー組成物は、1~100phrの前記ポリインダン樹脂を含有する、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項12】
前記エラストマー組成物は、3~60phrの前記ポリインダン樹脂を含有する、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項13】
前記ポリインダン樹脂は、10℃~150℃の範囲のガラス転移温度(「Tg」)を示す、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項14】
前記ポリインダン樹脂は、40℃~200℃の環球法による軟化点を示す、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項15】
前記ポリインダン樹脂は、300g/mol~
3,000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を
有する、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項16】
前記ポリインダン樹脂は、ジイソプロペニル置換芳香族化合物を由来とする、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項17】
前記少なくとも1種のエラストマーは、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレン、ブチルゴム、およびハロブチルゴムからなる群から選択される、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項18】
前記充填剤は、シリカ、カーボンブラック、またはそれらの組合わせを含む、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【請求項19】
前記タイヤ構成要素は、タイヤトレッド、タイヤサブトレッド、タイヤアンダートレッド、および/またはタイヤサイドウォールを含む、請求項10に記載のタイヤ構成要素。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本出願は、2016年12月19日に出願された米国仮特許出願第61/937,024号の優先権を主張し、その開示内容は参照により本明細書内に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
1.本発明の分野
[0001]本発明は、一般にタイヤ構成要素のためのエラストマー組成物に関する。より具体的には、本発明は、一般に性能を向上する炭化水素樹脂を含むエラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
[0002]タイヤは、運転時の安全性と性能に特に重要な役割を果たす。それらタイヤは、自動車と道路を接続し、運転手が望む意思の伝達を担っている。このように、タイヤ性能およびタイヤトレッド性能に関する改善要求は、牽引性、燃費性および寿命を向上するために常に増加している。タイヤトレッド配合物の性能を調節する1つの方法は、タイヤトレッドを形成するエラストマー組成物に炭化水素樹脂を配合することである。炭化水素樹脂は、典型的には転がり抵抗性を犠牲にしてウェットグリップ性を改善するように、トレッド配合物の粘弾性特性を改良することに役立っている。
【0004】
[0003]自動車用タイヤ製品および他の多くの有用な製品の主成分を構成する熱可塑性エラストマーを改質するのに有用な様々な市販の炭化水素樹脂が存在している。しかしながら、これらの様々な製品の性能をさらに改善することが継続的に必要とされている。性能を向上する1つの方法は、優れた特性を有する炭化水素樹脂により、特に低い分子量、高いガラス転移温度、優れた酸化安定性および熱安定性、低色および低臭気を有する樹脂により、ベースになるエラストマーを変性することである。これらの炭化水素樹脂は、一般に化学工業界から入手可能な種々のオレフィンおよびオレフィンの混合物の重合生成物である。例えば、C5およびC9樹脂油などのこれら多くの樹脂は、原油精製時の副生成物、特にナフサの分解中に生成される副生成物であってもよい。しかし分解装置での転化率の高さから、これらの副生成物は現在激しく供給が制限されており、C5およびC9樹脂油の入手可能性の問題はほぼ慢性的であると言える。したがって、これらの新規の機能樹脂として、例えばベンゼン、トルエン、エチレン、およびプロピレンなどを含む汎用の芳香族系およびオレフィン系原料など、近い将来に十分な量で入手可能な費用効果の高い出発原料を由来とすることも重要なことである。
【発明の概要】
【0005】
[0004]本発明の1つ以上の態様は、エラストマー組成物を含むタイヤ構成要素に関し、このエラストマー組成物はポリインダン樹脂を含む。
[0005]本発明の1つ以上の態様は、エラストマー組成物を含むタイヤ構成要素に関し、このエラストマー組成物は、少なくとも1種のエラストマー、ポリインダン樹脂、および1種以上の充填剤を含む。
【0006】
[0006]本発明の1つ以上の態様は、タイヤ構成要素を形成する方法に関する。一般に、この方法は、(a)ポリインダン樹脂を含むエラストマー組成物を製造すること、および(b)そのエラストマー組成物からタイヤ構成要素を形成することを含む。
【0007】
[0007]本発明の態様は、以下の図面を参照して本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]
図1は、インダンの化学構造を示す。
【
図2】[0009]
図2は、ポリインダンポリマーの一般構造を示す。
【
図3】[0010]
図3は、1,3-ジイソプロペニルベンゼンおよび少量のAMS(α-メチレンスチレン)との反応から生成するポリマー構造を示す。
【
図4】[0011]
図4は、インダン樹脂のモノマー原料を製造する工程の流れを示す。
【
図5】[0012]
図5は、パラ-ジイソプロピルベンゼンからパラ-ジイソプロペニルベンゼンへの酸化による転化の概略工程を示す。
【
図6】[0013]
図6は、実施例で製造したエラストマー配合物のウェットグリップ性と転がり抵抗性を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
[0014]自動車タイヤトレッドは、安全性のための良好な牽引特性を得る高ヒステリシスと、転がり抵抗性ならびに低燃費性のための低ヒステリシスの両方を持つことを要求される。この相反する牽引性と転がり抵抗性のバランスは、新規のタイヤを設計する際のタイヤ配合担当者にとって、常に妥協を要するものとなる。この問題を解決する典型的な解決策は、エラストマーの微細構造、充填剤のサイズおよび形状、またはエラストマーと充填剤との間の相互作用に対する改変により構成される。これらの改変の各々は、典型的には他の性能を犠牲にして、一つの領域での改善をもたらすものとなる。
【0010】
[0015]本発明において、エラストマー組成物が提供され、タイヤトレッド用エラストマーおよび充填剤がポリインダン炭化水素樹脂と混合され組成物の性能が改善される。ポリインダン樹脂の使用は、従来の炭化水素樹脂に比較して、改善された牽引性および転がり抵抗性をもたらす。
【0011】
[0016]以下にさらに詳細に説明するが、本発明は一般に、少なくとも1種のポリインダン樹脂を含むエラストマー組成物に関する。種々の態様において、本発明のエラストマー組成物を使用して、様々なタイヤ構成要素を製造できる。後述するように、ポリインダン樹脂を使用して、転がり抵抗性を損なうことなく著しく改善されたウェットグリップ性を発揮するタイヤトレッド配合物を製造できる。
【0012】
[0017]特に本発明のポリインダン樹脂は、種々のエラストマー混合物と良好な相溶性を示すので、エラストマー配合物での使用に特に適している。高い脂肪族特性を有することが炭化水素樹脂とエラストマーとの相溶性に寄与する場合には、ポリインダン樹脂を部分的にまたは完全に水素化してもよい。
【0013】
[0018]
図1はインダンの化学構造を示し、それは本発明のポリインダン樹脂の親化合物である。本明細書で使用する用語「インダン」は、
図1に示される化合物の一般的な省略表現であり、それは6員芳香環に縮合した5員脂肪環を持つ。このインダンはC
9H
10の化学式を有し、そのIUPAC名は「2,3-ジヒドロ-1H-インデン」である。本明細書中で使用する場合に、「ポリインダン」とは、主鎖成分としてインダン環を含む任意のポリマーを指していて、このインダン環は、5員脂肪族環の炭素原子を6員芳香族環の炭素原子に結合する単結合を介して互いに結合している。
図2は、ポリインダンポリマーの一般構造式を示し、式中、「R」は水素、アルキル、またはアリールである。種々の態様において、「R」は、限定はされないが、好ましくは水素またはメチル基のいずれかである。
図3は、ポリインダンポリマーの具体例を示す。
【0014】
[0019]一般に、分子量(「MW」)、芳香族性(「AR」)、およびガラス転移温度(「Tg」)は、ポリインダン樹脂のいくつかの最も重要な特性である
[0020]種々の態様において、ポリインダン樹脂のTg値は、少なくとも10、20、30、40、45、または50℃、および/または150、130、120、110、100、または90℃以下であってもよい。例えば、ポリインダンのTg値は、10~150℃、40~130℃、または50~90℃の範囲であってもよい。このTgは、示差走査熱量測定(「DSC」)を用いて測定される。
【0015】
[0021]種々の態様において、ポリインダン樹脂の数平均分子量(「Mn」)は、約300~3,000g/mol、または400~1,000g/molの範囲であってもよい。他の態様において、ポリインダン樹脂の重量平均分子量(「Mw」)は、300~5,000g/mol、300~4,000g/mol、または500~2,000g/molの範囲であってもよい。さらに他の態様において、ポリインダン樹脂のz平均分子量(「Mz」)は、300~5,000g/mol、400~4,000g/mol、または1,000~3,000g/molの範囲であってもよい。さらに他の態様において、ポリインダン樹脂の多分散度(「Mw/Mn」)は、1.1~1.8、1.2~1.7、または1.3~1.6の範囲であってもよい。分子量は、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)を用いて測定される。
【0016】
[0022]ポリインダン樹脂の芳香族性は、樹脂の核磁気共鳴(「NMR」)スペクトルの芳香族プロトン領域の面積を積分することによって、または樹脂の「混合メチルシクロヘキサン曇点」温度(「MMAP」)によって測定でき、より低いMMAP値はより高い芳香族性を示す。ポリインダン樹脂のMMAPは、水素化度に応じて変化することになる。例えば、水素化されていないポリインダン樹脂は、0~50℃のMMAP曇点を示してもよい。種々の態様において、ポリインダン樹脂は、-20℃~100℃の混合メチルシクロヘキサン曇点温度(MMAP)を示してもよい。
【0017】
[0023]種々の態様において、ポリインダン樹脂は部分的にまたは完全に水素化されていてもよい。
[0024]以下にさらに説明するように、本発明のポリインダン樹脂は、費用効果の高い出発材料から製造できる。例えば、ポリイソプロペニル置換芳香族化合物を酸触媒で処理すると、高い軟化点と低い分子量の両方を持ちかつインダン鎖単位を有する、炭化水素溶媒に可溶なオリゴマーを生成できる。これらの非晶質の固形物(「樹脂」)は、特に接着剤や封止剤などのベース成分として役立つ一般的なエラストマーおよび油と共に使用するのに適している。種々の態様において、ポリイソプロペニル置換芳香族化合物は、α-メチルスチレンおよび他のモノオレフィン、スチレンなどを含むモノイソプロペニル置換芳香族化合物と有効に共反応して、得られるポリインダンの分子量および軟化点を調節できる。
このように調製した炭化水素樹脂は、一般的なスチレン系エラストマーと相溶性があり、部分的または完全に水素化されて、ポリエチレン系およびポリプロピレン系のオレフィンコポリマーエラストマーと良好な相溶性を持つ樹脂を提供できる。
エラストマー組成物
[0025]上述のように、本発明のエラストマー組成物は、少なくとも1種のポリインダン樹脂を含んでもよい。さらに、本発明のエラストマー組成物を使用して、例えばタイヤトレッド、タイヤサブトレッド、タイヤアンダートレッド、ボディプライ、ベルト、オーバーレイキャッププライ、ベルトウェッジ、ショルダーインサート、タイヤエペックス、タイヤサイドウォール、および/またはビードフィラーなどの様々なタイヤ構成要素を製造できる。特定の態様において、本発明のエラストマー組成物を使用して、タイヤトレッド、タイヤサブトレッド、タイヤアンダートレッド、および/またはタイヤサイドウォールを製造できる。
【0018】
[0026]種々の態様において、エラストマー組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10phr、および/または100、50、40、30、もしくは20phr以下の1種以上のポリインダン樹脂を含む。例えば、エラストマー組成物は、1~50phr、3~60phr、3~30phr、または5~20phrの1種以上のポリインダン樹脂を含んでもよい。エラストマー組成物中のポリインダン樹脂の量は、エラストマー組成物の所望の特性に合わせて変動させてもよい。
【0019】
[0027]本発明のエラストマー組成物は、少なくとも1種のエラストマーを含んでもよい。本明細書で使用する用語「エラストマー」とは、用語「ゴム」と互換的に使用できる。本明細書に記載の工程の広い適用性により、ポリインダン樹脂は事実上あらゆる種類のエラストマーと共に使用できる。例えば、本発明で利用されるエラストマーは、天然ゴム、変性天然ゴム、合成ゴム、およびそれらの混合物を含んでもよい。種々の態様において、エラストマーは、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、エチレン-プロピレンコポリマー(EP)、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、ブチルゴム、ハロブチルゴム(IIRおよびXIIR)、またはそれらの組合わせを含んでもよい。特定の態様において、エラストマーはSBR/BRの混合物を含む。このエラストマーは100phr(ゴム100当たりの部数)を占め、他の全ての成分に対する基準となる。
【0020】
[0028]特定の態様において、本発明のエラストマー組成物は、1種以上の充填剤を含んでもよい。充填剤は、エラストマー組成物の熱物理的性質(例えば、弾性率、強度、および膨張係数)を改善できる任意の充填剤を含んでもよい。例えば、充填剤は、シリカ、カーボンブラック、粘土、アルミナ、タルク、雲母、セルロース繊維およびガラス繊維を含む不連続繊維、ケイ酸アルミニウム、アルミニウム三水和物、重晶石、長石、霞石、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、カオリン、およびそれらの組み合わせを含んでもよい。1つ以上の態様において、充填剤は、無機の非ポリマー材料を含む。他の態様において、充填剤はシリカおよび/またはカーボンブラックを含む。さらに他の態様において、充填剤はシリカを含む。種々の態様において、シリカは前処理済みのシリカを含んでもよい。
【0021】
[0029]種々の態様において、エラストマー組成物は、エラストマーの総重量に基づいて、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50phr以上の1種以上の充填剤を含んでもよい。さらに、またはあるいは、エラストマー組成物は、エラストマーの総重量に基づいて、約250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、または60phr以下の1種以上の充填剤を含んでもよい。特定の態様において、エラストマー組成物は、0~150phr、30~120phr、または50~110phrの1種以上の充填剤を含んでもよい。
【0022】
[0030]種々の態様において、エラストマー組成物は1種以上の添加剤を含んでもよい。特定の態様において、エラストマー組成物は、エラストマーの総重量に基づいて、約1、2、5、10、または15phr以上の1種以上の添加剤を含んでもよい。さらに、またはあるいは、エラストマー組成物は、エラストマーの総重量に基づいて、約70、50、40、30、または20phr以下の1種以上の添加剤を含んでもよい。添加剤として、例えば加工助剤、担体エラストマー、粘着付与剤、潤滑剤、油、ワックス、界面活性剤、安定化剤、紫外線吸収剤/阻害剤、顔料、酸化防止剤、増量剤、反応性結合剤、および/または分岐剤を含んでもよい。
【0023】
[0031]種々の態様において、エラストマー組成物は少なくとも1種の粘着付与剤を含んでもよい。この粘着付与剤はポリインダン樹脂を含まず、本出願では別個の成分と見なされる。本明細書に開示される組成物に適する粘着付与剤は、室温で固体、半固体、または液体であってもよい。粘着付与剤の例として、限定はされないが、(1)天然および変性ロジン(例えば、ガムロジン、木質ロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、および重合ロジン);(2)天然及び変性ロジンのグリセリンエステル及びペンタエリトリトールエステル(例えば、淡色木質ロジンのグリセリンエステル、水素化ロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのグリセリンエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル、およびロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステル;(3)天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー(例えば、スチレン/テルペンおよびαメチルスチレン/テルペン);(4)ポリテルペン樹脂および水素化ポリテルペン樹脂;(5)フェノール変性テルペン樹脂およびその水素化誘導体(例えば、酸性媒体中で二環式テルペンとフェノールとを縮合させて得られる樹脂生成物);(6)脂肪族または脂環式炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体(例えば、主としてオレフィンおよびジオレフィンからなるモノマーの重合から得られる樹脂);(7)芳香族炭化水素樹脂およびその水素化誘導体;(8)芳香族変性脂肪族または脂環式炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;およびそれらの組合わせが挙げられる。
【0024】
[0032]特定の態様において、エラストマー組成物は、10、5、1、または0.1phr未満のペンテン化合物(例えば、1-ペンテンおよび/または2-ペンテン)、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリカルボナート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリラート、ポリフェニルスルフィド、ポリイミド、および/またはポリアミドを含んでもよい。他の態様において、エラストマー組成物は、ペンテン化合物(例えば、1-ペンテンおよび/または2-ペンテン)、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリカルボナート、ポリアリールエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリラート、ポリフェニルスルフィド、ポリイミド、および/またはポリアミドを含まない。
【0025】
[0033]ポリインダン樹脂の使用により、本発明のエラストマー組成物は、加工性、強度、弾性率、および弾性特性に関連した複数の改良点を発揮できる。
[0034]エラストマー組成物は、当該技術分野で公知の従来の手段を用い、エラストマー、ポリインダン樹脂、および他の成分を混合して形成してもよい。種々の態様において、混合は少なくとも約80℃、100℃、120℃、130℃、または140℃の温度で実施してもよい。さらに、またはあるいは、少なくとも一部の混合は、約220℃、200℃、190℃、170℃、または160℃以下の温度で実施してもよい。
【0026】
[0035]前述の成分の混合およびブレンドは、当技術分野で公知で、かつポリインダン樹脂とエラストマーとを混合するのに十分である任意の方法によって達成できる。混合装置の例としては、限定はされないが、交差反転式ミキサー、接線ミキサー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、ロールミル、遊星型ミキサー、一軸スクリュー押出機、および二軸スクリュー押出機が挙げられる。混合中の剪断エネルギーは、装置種、ブレードの設計、回転速度(rpm)、および混合時間の組合わせにより決められる。
【0027】
[0036]エラストマー組成物を硬化処理して、それによって硬化エラストマー組成物を製造できる。この硬化は、高温高圧下の適切な時間で硬化させるなど、任意の従来方法を用いて達成できる。例えば、硬化工程は、エラストマー組成物を15分間以上にわたって160℃の温度以上に供してもよい。使用可能な硬化系としては、限定はされないが、硫黄系、樹脂硬化系、石鹸/硫黄硬化系、ウレタン架橋剤、ビスフェノール硬化剤、シラン架橋、イソシアネート、多官能アミン、高エネルギー放射線、金属酸化物架橋、および/または過酸化物架橋が挙げられる。
【0028】
[0037]エラストマー組成物は、当業者に公知の典型的な硬化容器を用いて加硫してもよい。これには、限定はされないが、硫黄で促進する加硫および過酸化物による加硫が含まれる。
【0029】
[0038]特定の態様において、エラストマー組成物はタイヤおよび/またはタイヤ構成要素に形成される。タイヤとして、例えば、乗用車用タイヤ、小型トラック用タイヤ、大型トラック用タイヤ、オフロードタイヤ、レクリエーション用車両タイヤ、および農場用タイヤが挙げられる。タイヤ構成要素として、例えば、タイヤトレッド、サブトレッド、アンダートレッド、ボディプライ、ベルト、オーバーレイキャッププライ、ベルトウェッジ、ショルダーインサート、タイヤエペックス、タイヤサイドウォール、ビードフィラー、およびエラストマーを含有する任意の他のタイヤ構成要素が挙げられる。1つ以上の態様において、エラストマー組成物は、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、および/またはビードフィラーに形成される。
【0030】
[0039]空気入りタイヤおよびタイヤ構成要素は、任意の従来から公知の方法を用いて、本発明のエラストマー組成物から製造できる。特に未硬化のエラストマー組成物を所望のタイヤ構成要素の形状に合わせて押出し加工し、次いで効果的に硬化させてタイヤ構成要素を形成できる。
ポリインダン樹脂の製造
[0040]種々の態様において、本発明のポリインダンは、ポリイソプロペニル置換芳香族化合物のオリゴマー化による生成物である。ポリインダン樹脂への転化に適したポリイソプロペニル芳香族原料の製造は、
図4に概説されている二段階の工程を経て実施でき、それらの工程は通常、(1)芳香族原料(A)およびプロピレン(P)からの1種以上のイソプロピル置換芳香族化合物(AI
n:nは2~6の整数)へのアルキル化、および(2)Al
nの、1種以上のポリイソプロペニル芳香族化合物(AU
n)を含むかそれから本質的になるインダン樹脂加工用モノマーへの脱水素化または酸化を含む。
【0031】
[0041]一般に最も好ましい出発化合物(A)は、好適な価格、入手可能性、最も好適な成分/異性体の濃度、アルキル化の容易性(最高の収率、最低の工程費用)、脱水素化の容易性(好適な反応性モノマーでの最高の収率)、エラストマー配合物に要求される物理特性を持つポリインダン樹脂を製造する適合性を含む。
【0032】
[0042]例えば、芳香族原料(A)は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、および/またはキシレンなどの石油に由来する市販の任意の芳香族化合物であってもよい。ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、およびキシレンをプロピレンでアルキル化すると、反応物の比率に応じて、様々なモノ、ジ、またはトリイソプロピル置換芳香族化合物が得られる。いずれの場合でも、慎重な粗反応生成物の分別蒸留により、最適なジイソプロピル置換芳香族化合物(Aln)を良好な純度で製造できる。このようにして、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、および/またはキシレンの各1モル当たりに約2モルのプロピレンを添加すると、それぞれジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルトルエン、ジイソプロピルエチルベンゼンおよびジイソプロピルキシレンが得られる。
【0033】
[0043]次に中間体芳香族化合物を、セリウムで活性化した酸化鉄触媒上で脱水素化して、モノイソプロピル、モノイソプロペニル芳香族化合物(AIU)およびAI
2の混合物としてもよい。この工程での最適なAU
2化合物への転化率および選択率は、出発芳香族化合物および中間体である位置異性体の組成物に応じて変動する。あるいは、ジイソプロピル置換芳香族化合物AI
2を、それに対応するジヒドロペルオキシドに空気により酸化し、それに対応するジオールに還元し、次いで脱水して所望のジイソプロペニル置換芳香族化合物を生成できる。
図5は、パラ-ジイソプロピルベンゼンからパラ-ジイソプロペニルベンゼンへの転化の概略工程を示している。
【0034】
[0044]より具体的には、ポリインダンの製造工程の第1段階は、芳香族化合物(A)をプロピレンでアルキル化して、それにより1種以上のポリイソプロピル置換芳香族化合物(AIn)を生成することを含む。芳香族化合物(A)は、ベンゼン、ナフタレンまたはビフェニルなどの少なくとも2個の開放位置(非置換位置)を持つ任意の芳香族炭化水素であってもよい。好ましくは、芳香族化合物(A)は、低価格、良好な入手可能性、プロピル化での最高収率および最低の工程費用、ならび脱水素化時の好適な重合性モノマーの最高収率を組合わせた芳香族炭化水素原料を含む。またモノマーとして、重合するとその目的用途に必要な特性を有するポリマーを生成することも重要なことである。最も好適な芳香族化合物(A)として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、および/またはナフタレンが挙げられる。
【0035】
[0045]ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、およびナフタレンのプロピル化により、異性体として、反応物の比率に応じて、モノ、ジ、トリ、またはテトライソプロピル置換芳香族化合物を生成できる(本明細書では、用語「ポリ」は2個以上の所定の置換部分を指す)。非常に高い芳香族/プロピレン比(A/P)では、例えばベンゼンからのイソプロピルベンゼン(クメン)、トルエンからのイソプロピルトルエン(シメン)、またはキシレンからのジメチルイソプロピルベンゼン(イソプロピルキシレンの異性体)などのモノイソプロピル芳香族化合物が生成できる。
【0036】
[0046]より低いA/P比では、ジアルキル化が優勢となる。例えばベンゼン、トルエンおよびキシレンの各1モル当たりに2モルのプロピレンを添加すると、それぞれジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルトルエンおよびジイソプロピルキシレンが生成される。プロピレンが過剰に存在する場合には、トリプロピル化が可能で、さらにより高水準のプロピル化(例えばナフタレンのテトラプロピル化)が可能となり、特により高い工程温度およびより長い反応時間では、これはしばしば起こり易くなる。
【0037】
[0047]プロピレンのようなオレフィンによる芳香族化合物のアルキル化技術は、化学工業分野では周知である。例えば、リン酸触媒または塩化アルミニウム触媒を用いたトルエンによるベンゼンのフリーデル・クラフツのアルキル化反応は、クメンの製造に長年使用されてきた。このリン酸は、必要に応じて担持した無機リン酸塩の混合物から遊離させてもよい。その方法は本発明に使用されもよい。最近では、クメンおよび他のアルキル化芳香族化合物の製造業者は、ゼオライトベースの方法をよく使用するようになっている。ゼオライトベースのアルキル化は、腐食を回避して、かつリン酸と塩化アルミニウムに関連する環境問題を軽減する。ゼオライトもまた再生が可能である。
【0038】
[0048]プロピレンによる芳香族化合物のアルキル化は、バッチ工程または連続工程で実施できる。さらにアルキル化は、気相または液相のいずれでも実施できる。工程の装置として、限定はされないが、多相撹拌槽型反応器や多相固定床型反応器が挙げられる。動作温度は80~300℃であってもよく、圧力は50~1000psigであってもよい。
【0039】
[0049]ポリインダン製造工程の第2段階は、イソプロピル化芳香族化合物Alnの脱水素化により重合性芳香族モノマー:AIn-mUmを製造することを含み、この式中、m+1<nを満たすようにnは2~6の整数、mは2~6の整数であり、またこのモノマーは、1個以上のポリイソプロペニル置換の芳香族化合物(n-m>1)を含むが、モノ置換種:AIn-mUを含んでいてもよい。例えば、クメンおよびシメンは、市販のセリウム活性化酸化鉄触媒上で、α-メチルスチレンまたはメチルα-メチルスチレンそれぞれへの高い転化率および高い選択率により容易に脱水素化できる。オリゴマー化工程(詳細は下記)では、これらのモノオレフィン化合物をそれ自体により二量体に変換はできるが、樹脂は生成されない。これらのモノオレフィン材料は、ポリインダン樹脂の分子量の調節に有用なものになる。
【0040】
[0050]AI2からAU2への転化の例として、ジイソプロピルトルエン(異性体の混合物)からジイソプロペニルトルエン(異性体の混合物)への脱水素化、ジイソプロピルエチルベンゼンからジイソプロペニルエチルベンゼンへの脱水素化、およびジイソプロピルナフタレンからジイソプロペニルナフタレンへの脱水素化が挙げられる。類似の脱水素化工程では、対応するジオレフィンおよび対応するモノオレフィンと共に、高収率でトリイソプロピルベンゼンをトリイソプロペニルベンゼンに転化する。種々の態様において、この工程は、AInのn個のイソプロピル置換基のうちの1個のみ、2個、またはm個を転化して、それぞれモノオレフィンAIn-1U、またはジオレフィンAIn-2U2、またはトリオレフィンAIn-3U3を生成できる。一般に、Alnの全てのイソプロピル基の完全な脱水素化は、極端な工程条件を必要とするので通常は実行されず、その結果として、多数の副生成物を生じる。しかしながら、得られるポリインダン樹脂の分子量を制限するには、いくらかの量のモノオレフィンが重合工程に有益となるので、完全な脱水素化は必要とされない。
【0041】
[0051]ポリインダン製造工程の第3段階は、一般構造AIn-mUmの純粋な化合物であるか、または様々な不飽和芳香族化合物の混合物であるかに拘わらず、一般構造AIn-mUmの化合物を含むかまたはそれからなるモノマー原料を酸触媒で処理して、ポリインダンポリマーを生成することを含む。一般に、フリーラジカル開始剤、アニオン触媒、および乾燥した非錯化三フッ化ホウ素または塩化アルミニウムなどのルイス酸によって触媒される多官能オレフィンモノマーの重合化の試みにより、高度に架橋した材料が得られる。溶液中で実施される場合は、結果として扱いにくい溶媒膨潤ゲルとなる。n>1であるときのAUnモノマーに従来からのルイス酸媒介重合を適用した際の予想結果としては、少なくとも、非常に高分子量の材料か、またはより可能性があるのは架橋ゲルの生成である。多くの場合に、ジイソプロペニル芳香族モノマーのアニオン重合およびフリーラジカル重合の過程では、架橋を引き起こすことになる。
【0042】
[0052]ポリイソプロペニル置換芳香族化合物のカチオン重合の過程では、非常に異なる形態となり、鎖単位として二環式(インダン)の構造を有する低分子量の物質を生成できる。ここで、このポリマー形態には「ポリインダン」との表示ができる。カチオン性物質、または最も有用なものとしてブレンステッド酸による特定の条件下でのポリイソプロペニル置換芳香族化合物の処理により、主鎖が結合したインダン部分を主として含むポリマーの形成をもたらす工程を開始できる。この工程は、最初のイソプロペニル基のプロトン化、別のイソプロペニル基により得られた炭素カチオンへの付加、それに続く分子内での閉環を含むと考えられている。
【0043】
[0053]本発明のポリインダンの形成は、十分に高い反応温度でのみ、典型的には約60℃以上で、同時発生の環化を伴って段階的に起こる。この工程では、不飽和の直鎖(置換した1-または2-ペンテン)構造がほとんどまたは全く形成されず、したがって鎖が分岐および架橋する機会が全く存在しない。本発明では、ポリインダン樹脂の主鎖は、鎖末端の数には関係なく、インダン単位を含むか、または本質的にそれからなっている。ポリイソプロペニルベンゼンをカチオン触媒で処理するこの樹脂の製造法は、H. Brunner, et al., J. Polymer Science-Polymer Letters, 1958, Volume 28, p. 629に報告され、またGloth, R. E., and Tazuma, J. J., in U. S. Patent No. 4,205,160に教示されており、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0044】
[0054]反応混合物がモノイソプロペニル芳香族化合物(例えば、α-メチルスチレン)またはオレフィン(例えば、イソブチレン、ジイソブチレン、d-リモネン、スチレンなど)を含む場合に、ポリインダン鎖の段階的成長は遮断され、オレフィン部分によって停止する可能性が高い。したがって、本発明のポリインダンは、そのオレフィンの「停止剤」を計画的に使用して、オレフィンの反応混合物中の濃度が増加すると分子量が減少するようにして、任意の分子量に制御できる。鎖成長の停止は、オレフィン停止剤が存在しなくても、特により高い反応温度での鎖切断によっても起こり易い。したがって、本発明では停止様式を厳密には拘束しない。例えば、大部分が1,3-ジイソペニルベンゼンからなり、かつ小部分がα-メチルスチレンからなる出発混合物は、
図3に示される構造を持つポリインダンを生成する場合がある。ただしこの図は、多くの可能な異性体のうちの1個のみを示している。
【0045】
[0055]最適な出発ポリイソプロペニル芳香族化合物、停止剤および反応条件の選択により、工程中の溶媒および任意の未反応モノマーの真空排除による除去後に、透明で強固な非晶質のポリインダンが生成される。特定の態様において、AUnモノマーは、n=2であり、メタ-ジイソプロペニルベンゼン、パラ-ジイソプロペニルベンゼン、またはこれら2個の位置異性体の混合物を含む。
【0046】
[0056]種々の態様において、ポリインダン樹脂の少なくとも90%の主鎖は、インダンの繰返し単位から形成されていてもよい。ポリインダン構造を形成する環化した繰返し単位の割合は、選択された重合時のパラメーターの関数である。
【0047】
[0057]本発明に従って使用に適するポリインダン樹脂は、完全に芳香族であってもよく、あるいは部分的または実質的に飽和していてもよい。いずれの所望の飽和度でも、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットなどの不活性溶媒中のポリインダン樹脂溶液を、担持されたニッケル、白金、パラジウム、またはルテニウムを含有する触媒の存在下で、高圧水素により処理するなどの任意の周知の手法の接触水素化によって容易に達成できる。
【0048】
[0058]種々の態様において、ポリインダン樹脂は、ジプロピル化芳香族原料、特にベンゼンの脱水素化から得られた純粋なジイソプロペニル芳香族化合物またはその異性体混合物を処理して調製され、場合によっては相当量のスチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、リモネン、およびα-メチルスチレンなどのモノオレフィンの有効な部分により停止されてもよく、かつ種々のポリオレフィン、およびポリ(スチレン-co-オレフィン)ブロックコポリマーなどの通常に使用されるエラストマー用の粘着付与剤として有用である。
【0049】
[0059]種々の態様において、ポリインダンポリマーの形成のための出発材料として、1,2-、1,3-、および1,4-ジイソプロペニルベンゼン;2,3-、2,4-、および2,5-ジイソプロペニル-1-メチルベンゼン;2,3-、2,4-、および2,5-ジイソプロペニル-1-エチルベンゼン;ジイソプロペニル-オルトキシレン;ジイソプロペニル-メタキシレン;および/またはジイソプロペニル-パラキシレンを含むジオレフィンを挙げることができる。これらのジオレフィンはまた、芳香族モノオレフィン:AImU、および芳香族トリオレフィン化合物:AU3との混合物であってもよく、これらは、出発原料のポリイソプロピル芳香族化合物:AInからジオレフィンを製造するのに使用される脱水素化プロセスの結果として存在してもよい。存在してもよい他の重合性化合物は、デスメチル異性体、例えば1-イソプロペニル-2-(または3-もしくは4-ビニル)ベンゼン、または2-イソプロペニル-3-(または4-もしくは5-ビニル)-1-メチルベンゼンである。
【0050】
[0060]上記の説明のように、多数の芳香族モノオレフィンおよび非芳香族モノオレフィンは、ポリインダンの製造中に停止剤として作用できる。計画的に鎖成長停止剤を付加しない場合に、プロトン移動および鎖切断などの鎖成長の停止に様々なメカニズムの可能性はあるが、分子量を制御する好適な方法は、モノオレフィンをモノマー混合物に添加することであり、そのモノオレフィンとしては、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、それらの二量体もしくはオリゴマー、それらの組み合わせが挙げられ、または好ましくは、脱水素化工程の生成物中に存在する可能性のあるAInU種のうちのいずれか、例えば、1-イソプロペニル-2(または-3、または-4-イソプロピル)ベンゼンまたは1-イソプロペニル-2(または-3、または-4-イソプロピル)-1-メチルベンゼンが挙げられる。鎖成長停止剤が添加される場合に、鎖停止剤の量は、モノマーの総量に基づいて、約0.01重量%~約50重量%、約0.01重量%~約40重量%、約0.01重量%~約30重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、および約0.5重量%~5重量%の範囲であってもよい。
【0051】
[0061]種々の態様において、所望のオリゴマー化およびインダン環の形成に影響を及ぼす触媒は、リン酸、硫酸、硝酸または塩酸の濃縮水溶液を含む任意の遊離状の錯化または担持ブレンステッド酸、FILTROL(または類似の)酸で活性化した粘土、トリフルオロ酢酸などのペルフルオロアルカン酸、およびパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、架橋ポリスチレンビーズに担持されたAMBERLYST(または類似の)スルホン酸、および/またはNAFION担持されたフッ素化スルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0052】
[0062]ルイス酸はまた、ポリイソプロペニル芳香族化合物の重合触媒でもある。ルイス酸の例としては、限定はされないが、フリーデル-クラフツ金属ハロゲン化物(例えば、三フッ化ホウ素、塩化第二スズ、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化バナジウム、および五フッ化リン);および塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、およびそれらの錯体を含む有機金属触媒が挙げられる。三フッ化ホウ素は、多種多様の有機化合物と錯化した三フッ化ホウ素など、無水の気体形態、あるいは固体形態または液体形態であってもよい。錯化有機化合物の有効な例としては、酢酸およびプロピオン酸などの低級脂肪酸、メチルエチルエーテル、エチルエーテルおよびプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、フェノール、ならびに低級アルキルアルコールおよびエステルが挙げられる。好ましい触媒としては、三フッ化ホウ素-酢酸、および三フッ化ホウ素-エチルエーテルが挙げられる。
【0053】
[0063]酸活性化した粘土触媒としては、カオリナイト、ベントナイト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、クラライト、フラー土、ヘクトライト、またはバイデライトなどの天然起源の粘土鉱物が挙げられる。モンモリロナイトは、硫酸および塩酸からなる群から選択される1種の酸で処理できる。酸活性化した粘土は合成粘土を含んでもよい。合成粘土は、サポナイトおよびハイドロタルサイトからなる群から選択される1種の粘土鉱物を含んでもよい。酸活性化した粘土は、柱状粘土などの改質粘土を含んでもよい。柱状粘土は、酸化アルミニウム柱状粘土、セリウム改質アルミナ柱状粘土、および金属酸化物柱状粘土からなる群から選択される1種の粘土を含んでもよい。酸活性化した粘土は、粘土表面にブレンステッド酸を含んでもよく、このブレンステッド酸は、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、および塩酸からなる群から選択される1つの酸を含む。本発明の態様での使用に適する市販の固体酸性粘土触媒の一例は、BASF社(Iselin, NJ)から入手可能なFILTROL F-22(および類似の)酸性粘土触媒である。ブレンステッド酸は、シリカ、シリカ-アルミナ、非晶質シリカ-アルミナ、ゼオライト、またはメソポーラス形態のシリカ、アルミナ、もしくはシリカ-アルミナに含浸されていてもよい。スルホン酸結合した樹脂または酸活性化した粘土触媒を乾燥する様々な方法、例えば真空オーブン乾燥または共沸蒸留は、結合水および/または自由会合水を除去して、それによって触媒の酸性度および活性を最大化するのに有用である。
【0054】
[0064]重合反応は、連続式、バッチ式、または半バッチ式で実施することができ、反応器として、例えば固定床反応器、流動床反応器、連続攪拌槽反応器(CSTR)、プラグフロー反応器、連続ループ管状反応器、およびそれらの組合わせを含む任意の適切な種類の反応器を挙げることができる。これら反応器は、重合温度を保持するように内部冷却および/または外部冷却を装備できる。反応は、典型的に使用される反応物および/または希釈剤の蒸発による多くの損失を防ぐのに十分な圧力下で実施してもよい。準大気圧、大気圧および超大気圧が用いられてもよい。
【0055】
[0065]ポリイソプロペニル芳香族化合物含有原料および必要に応じてのモノオレフィン停止剤化合物(「モノマー」)、処理溶媒(すなわち希釈剤)、および触媒は、任意の適切な順序で反応器内に導入できる。一態様において、ポリイソプロペニル芳香族化合物含有原料およびモノオレフィン停止剤化合物は、別々の投入流でまたは混合物として同時に反応器に加えられる。さらなる態様において、触媒および溶媒は混合物として反応器に加えられる。反応混合物は、希釈剤または溶媒としての不活性炭化水素材料の存在下で重合してもよい。典型的には、不活性溶媒は、重合条件下では液体状態である非オレフィン性脂肪族または芳香族炭化水素組成物である。本明細書で使用される用語「不活性溶媒」および「不活性重合溶媒」は、重合反応に顕著に関与しない溶媒を指す。理論に拘束されることを望まないが、多くの反応性溶媒とは異なり、不活性溶媒の分子構造は、成長中のポリマー鎖をアルキル化しないものと仮定する。不活性溶媒は、1種以上の脂肪族炭化水素化合物を含んでもよく、その化合物として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびそれらの異性体などの直鎖脂肪族炭化水素;テトラメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサンおよびそれらの異性体などのシクロヘキサンを含む脂環式炭化水素;塩化メチレンなどのハロゲン置換炭化水素化合物;および非芳香族留出物の混合物が挙げられる。不活性溶媒はまた、その非反応性の官能基を依然保持しながら、少量の1種以上の反応性の芳香族炭化水素化合物を含んでいてもよい。適切な不活性溶媒の例としては、限定はされないが、ホワイトスピリットなどのミネラルスピリット、ストッダード溶媒、無臭ミネラルスピリット、Rule66ミネラルスピリット、およびそれらの組合わせが挙げられる。処理溶媒は、それが適切であるなら、再生溶媒または再生溶媒を含んでもよい。
【0056】
[0066]その非反応性の官能基は依然維持される。適切な不活性溶媒の例としては、限定はされないが、ホワイトスピリットなどのミネラルスピリット、ストッダード溶媒、無臭ミネラルスピリット、Rule66ミネラルスピリット、およびそれらの組合わせが挙げられる。プロセス溶媒は、それが適切であるなら、再生溶媒または回収溶媒を含んでもよい。
【0057】
[0067]処理溶媒は、その構成要素が環式の炭素-炭素二重結合を含む芳香族溶媒、またはその構成要素が環式の炭素-炭素二重結合を含まない脂肪族溶媒であってもよい。適切な重合溶媒の例としては、限定はされないが、ベンゼン、キシレンおよびトルエン、エチルベンゼン、エチルトルエン、インデン、クメン、またはトリメチルベンゼンなどのアルキル置換ベンゼンが挙げられる。希釈剤はまた、石油ナフサ、ヘキサンなどの溶媒、および「Aromatic A-100」(ExxonMobil Chemical Co.から市販)、「HiSol 10」(Ashland Chemical Inc.から市販)ならびに「Cyclosol 53」(Shell Chemical Co.から市販)などの軽質芳香族石油留出物などの溶媒から選択されてもよい。これらの溶媒の微量部分は、アルキル化などによって不可避的に炭化水素樹脂内に取込まれてもよい。
【0058】
[0068]モノマー供給物および/または触媒含有供給物は、反応器内に導入される前にまたは直後に、1種以上の処理溶媒と組合わされてもよい。このモノマーおよび触媒含有供給物は、ほぼ同時にプロセス反応器内に導入されてもよい。触媒または予備混合した触媒/溶媒スラリーは、最初に反応器にモノマーが投入された後に、反応器内に導入されうる。このモノマーへの触媒または触媒/溶媒スラリーの添加を、「正添加」と呼ぶ。あるいは、モノマー供給物を、重合反応器に最初に投入または載置された予備混合した触媒/溶媒スラリーまたはペレット化した触媒の固定床に、段階的にまたは連続的に添加できる。この触媒または触媒/溶媒スラリーへのモノマーの添加をまた、「逆添加」と呼ぶ。
【0059】
[0069]種々の態様において、処理温度は0~150℃の範囲にある。一般に、最も好都合で有用な処理温度は約40~120℃、より好ましくは60~100℃である。好適な反応温度は、使用する触媒に依存するが、その温度はポリマー構造に影響を与えるので、所望するインダン構造の形成が適正に行えるように選択する必要がある。
【0060】
[0070]ポリインダンの形成反応は、所望のポリマー収率、分子量および軟化点を得るために十分な時間をかけて実施される。反応器内の反応温度を制御するために、例えば外部熱交換器ループ、1つ以上の内部冷却コイル、および/または反応器冷却ジャケットを含む任意の適切なシステムを使用してもよい。
【0061】
[0071]実施が完了したら、液体反応媒体を固体触媒から物理的に分離して、ポリインダン形成反応を停止してもよく、または触媒を適切な試薬で中和してもよい。後者での触媒の中和は、反応生成物溶液をアタパルグス粘土などの粘土またはフラー土、または水和した石灰と粘土の組合せにより処理して、その後に触媒/粘土スラッジを濾過により除去して達成される。苛性溶液またはソーダ灰(炭酸ナトリウム)溶液もまた、触媒を中和するために使用してもよい。
【0062】
[0072]次いで樹脂生成物は、蒸留、真空下または大気圧下でのフラッシュ蒸発、またはメタノールもしくはイソプロパノールまたはそれらの組合わせなどの適切な貧溶媒中での液相析出などの従来の方法によって反応混合物から回収できる。溶媒油および重合物油(例えば、二量体、三量体、およびオリゴマー、ならびに他の反応副生成物)を、ポリマー生成物から分離できる。
【0063】
[0073]樹脂生成物をさらに加工して、追加的にオリゴマーおよび重合物油を除去できる。オリゴマーは、二量体、三量体、四量体、および五量体として定義される。オリゴマーおよび重合物油を除去する方法は、当技術分野で公知の任意のものであってもよい。例えば、膜分離、選択的沈殿、選択的重合条件、蒸発、蒸留、およびゲル透過クロマトグラフィーを利用できる。
【0064】
[0074]さらに、種々の態様において、本発明のポリインダン樹脂は、芳香族の不飽和部を種々の程度に水素化して変性されてもよい。それらの目的とする最終用途での樹脂の有用性を高める改良の例としては、限定はされないが、色調、酸化安定性および熱安定性、ならびにポリマーおよび他の配合成分との相溶性の改善が挙げられる。
【0065】
[0075]液相での接触水素化反応は、水素および適切な卑金属触媒または貴金属触媒の存在下で通常実施される。有用な触媒の例としては、限定はされないが、ニッケル、パラジウム、白金またはルテニウムなどの他の貴金属、および亜クロム酸銅および銅亜鉛合金などの混合金属触媒が挙げられ、限定はされないが、炭素、シリカ、またはアルミナを含む担体上で使用されることが多い。希釈剤(溶媒)を添加し、樹脂の粘度を低減して取扱い性、熱伝導性、および加工性を改善してもよい。適切な溶媒の例としては、限定はされないが、ストッダード溶媒、ミネラルスピリット、ヘキサン、およびヘプタンが含まれる。芳香族溶媒を用いて、より典型的には脂肪族溶媒を用いて、水素消費量および発熱量を最小限にしてもよい。この工程は、最低の有効温度および最高圧力で操作され、所望の転化率を達成する。典型的には、150~260℃の温度および300~3,000psigの圧力を使用する。この工程は、等温的または断熱的のいずれかで操作してもよい。この工程条件は、最高の触媒活性を維持し、触媒の焼結、コークス化、および被毒による失活過程を最小限とするように制御される。この工程条件は、入口温度および出口温度、反応器圧力、水素流量、断熱温度上昇、および水素消費濃度を含む。
【0066】
[0076]多くの種類の反応器を使用できる。適切なバッチ式スラリー反応器の例としては、限定はされないが、スイスのBiazzi社が製造する標準型バッチ式反応器および先進型バッチ式反応器が挙げられる。連続反応器の例としては、触媒スラリーを使用する撹拌槽型反応器、触媒スラリーを使用する先進型ループ反応器(スイスのBuss Chemtec社製)、充填床ペレット化触媒を使用する等温型トリクルベッド反応器、およびペレット化触媒を使用する断熱型トリクルベッド反応器が挙げられる。
【0067】
[0077]バッチ式の水素化の一般手順は、ポリインダン樹脂、(必要あれば)溶媒、および触媒を反応器に投入することである。不活性雰囲気を確保するように反応器を窒素で洗い流した後に、所望の最終圧力に達するまで水素を反応器内に供給する。この際には、水素流量を制御して圧力を維持する。反応器温度を、必要に応じて選択的に加熱/冷却して制御する。所望の水素化度に達したら、反応器の内容物を冷却し、反応器を排気し窒素で洗い流して、次のバッチのために反応器を準備する。触媒を濾過により除去し、樹脂生成物を、溶剤油分およびオリゴマー油分を蒸留除去して単離する。
【0068】
[0078]連続式の水素化の一般手順は、樹脂を適切な脂肪族溶媒中に溶解し、反応器温度を維持するように制御した速度で、ペレット化触媒の固定床を含む反応器内に樹脂溶液を供給することである。水素の流量、入口温度および出口温度、ならびに反応器圧力を制御して、所望の水素化度を達成する。この反応中に、反応器流出物の一部を反応器に再循環させて温度を維持して、所望の水素化度を達成できる。続いて反応器流出物を1個以上の容器を介して送達し、溶液を冷却して圧力を大気圧まで下げる。次いで樹脂生成物を、溶媒油分およびオリゴマー油分を蒸留除去して単離する。
【0069】
[0079]本発明者らは、本発明が、本発明からは本質的に逸脱はしないが、添付の特許請求の範囲に述べるような文字上での範囲からは外れる任意の装置に関連する際に、本発明の合理的に正当な範囲を決定し評価するためには均等論に従うべきであるという本発明者らの意思をここに明言する。
【0070】
[0080]上記の本発明の好ましい形態は、例示としてのみに使用されており、本発明の範囲を解釈する際に限定的な意味で使用されるべきではない。上記の態様例に対する改変は、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によって容易に可能である。
【0071】
[0081]本発明をその態様の以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は他に特記されない限り、当然のことであるが、単に説明目的のために記載され、かつ本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
【実施例】
【0072】
実施例1~5:トルエンのプロピレンによるアルキル化
実施例1
[0082]ゼオライト-Y(4.4g、CBV 780, Zeolyst)およびトルエン(220g)を300mLのオートクレーブ中に投入した。オートクレーブに500psigの窒素で漏れ試験を実施し、次いで圧力を約5psigまで下げてプロピレン(251.2g)を加えた。オートクレーブを150℃に加熱し、メカニカルスターラーにより800rpmで撹拌した。150℃で5時間後に、オートクレーブを室温まで冷却し、生成物を取り出した。トルエンの転化率を、ガスクロマトグラフィー(GC)でのピーク面積%の分析に基づいて、43%と推定した。モノイソプロピルトルエン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルトルエン生成物への相対的な分配率は、それぞれ72%、25%、および3%であった。
実施例2
[0083]4.0gのゼオライト-Y(CBV 780, Zeolyst)および200gのトルエンを300mLのオートクレーブ中に投入した。漏れ試験のために、オートクレーブを500psigの窒素により加圧した。次いで圧力を約5psigまで下げて、274gのプロピレンをオートクレーブに加えた。オートクレーブを170℃に加熱し、メカニカルスターラーにより800rpmで撹拌した。170℃で5時間後に、オートクレーブを室温まで冷却した。生成物をオートクレーブから取り出して分析した。GCピーク面積%に基づいて、トルエンの転化率は48%であった。モノイソプロピルトルエン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルトルエンへの分配率は、それぞれ64%、31%、および5%であった。
実施例3
[0084]0.5gのゼオライト-β(CP 814E, Zeolyst、使用前に400℃で4時間空気中で焼成)および50gのトルエンを100mLのオートクレーブ中に投入した。漏れ試験のためにオートクレーブを300psigの窒素により加圧した。次いで圧力を約2psigまで下げた。プロピレンをシリンダーからステンレス鋼管を介してオートクレーブ内に導入した。反応中は、プロピレンのシリンダー圧力を100psigに保持した。オートクレーブとプロピレンシリンダーとの間のバルブは開のままにした。次いでオートクレーブを150℃に加熱して、メカニカルスターラーにより800rpmで撹拌した。150℃で4時間後に、プロピレン導管を閉じてオートクレーブを室温まで冷却した。生成物をオートクレーブから取り出して分析した。GCピーク面積%データに基づいて、トルエンの転化率は27%であった。モノイソプロピルトルエン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルトルエンへの分配率は、それぞれ92%、8%、および0%であった。
実施例4
[0085]0.5gのゼオライト-Y(CBV400, Zeolyst)および50gのトルエンを100mLのオートクレーブ中に投入した。漏れ試験のためにオートクレーブを300psigの窒素で加圧した。次いで圧力を約2psigまで下げた。プロピレンをシリンダーからステンレス鋼管を介してオートクレーブに導入した。反応中は、プロピレンのシリンダー圧力を100psigに保持した。オートクレーブとプロピレンシリンダーとの間のバルブは開のままにした。次いでオートクレーブを150℃に加熱し、メカニカルスターラーにより800rpmで撹拌した。150℃で4時間後に、プロピレン導管を閉じてオートクレーブを室温まで冷却した。生成物をオートクレーブから取り出して分析した。 GCピーク面積%に基づいて、トルエンの転化率データは74%であった。モノイソプロピルトルエン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルトルエンへの分配率は、それぞれ44%、42%、および15%であった。
実施例5
[0086]0.5gのゼオライト-Y(CBV 780, Zeolyst)および50gのトルエンを100mLのオートクレーブ中に投入した。漏れ試験のためにオートクレーブを300psigの窒素により加圧した。次いで圧力を約2psigまで下げた。プロピレンをシリンダーからステンレス鋼管を介してオートクレーブに導入した。反応中は、プロピレンシリンダー圧力を100psigに保持した。オートクレーブとプロピレンシリンダーとの間のバルブを開のままにした。次いでオートクレーブを150℃に加熱し、メカニカルスターラーにより800rpmで撹拌した。150℃で4時間後に、プロピレン導管を閉じてオートクレーブを室温まで冷却した。生成物をオートクレーブから取り出して分析した。GCピーク面積%データに基づいて、トルエンの転化率は78%であった。モノイソプロピルトルエン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルトルエンの分配率は、それぞれ60%、28%、および12%であった。
実施例6:脱水素化
[0087]クメン、シメン、ジイソプロピルトルエン、およびトリイソプロピルベンゼンなどのイソプロピル置換芳香族化合物から、対応するオレフィンまたはオレフィン混合物への脱水素化は、低流量液体供給ポンプ、2つの供給流(水と炭化水素)のそれぞれを気化するように約270℃で作動する予熱器区画、蒸気温度を所望の反応温度(約500~620℃)に近づけるように上昇させる蒸気化した組合せ供給流のための過熱器、3フィート長のカラムを保持できる円筒形の内部空洞を備えた電熱炉、Alloy 800H鋼で作製され処理触媒を充填し熱電対用のくぼみを刻み込んだ垂直設置型の円筒式固定床反応器(直径:1.5インチ、高さ:28インチ)、および冷水で冷却した傾斜ジャケット付き鋼管からなる生成物蒸気凝縮器区画、から構成される反応器システム内で実施された。この反応器は、反応物が頂部で触媒床に向けて流動し、かつ生成物が底部で触媒床から排出されるように構成された。この反応器システムを、減圧操作を可能にするように蒸気噴射真空ラインに接続し、かつ不活性ガスでの浄化を可能にするように窒素ラインに接続した。
【0073】
[0088]所望の転化率で流量(F)に適応する触媒床の大きさまたは容積(V)は、必要とされる液空間速度(LHSV=F/V)に決定的に依存していた。LHSVは約0.2~0.3/hであった。
【0074】
[0089]触媒は、直径3mm、長さ1~2cmの押出ペレット形態での市販のカリウムおよびセリウムイオンドープの酸化鉄であった。充填されたときに、この材料は利用可能な体積のうちの約54%を占め、利用可能な空間の約46%の空隙を残部とし、その部分を通して反応蒸気は殆ど圧力の降下なしに移動できた。高温で使用しない際には、触媒床を窒素と水蒸気で被覆したままにした。
【0075】
[0090]イソプロピル置換芳香族化合物の脱水素化は、供給した炭化水素および水蒸気を予熱器区画に送り込み、過熱器区画内で蒸気を組合せ、それらを触媒床を通して反応器区画内に移動させ、凝縮器区画内で生成物蒸気を凝縮し、かつ遊離した水素ガスを排気ラインから系外へ排出できるようにして実施した。最良の運転条件は、範囲として、550~620℃の運転温度;1.0~0.33気圧のシステム圧力;1.0~2.0mL/分の供給物流量;および1.0~4.0mL/分の水流量であった。
【0076】
[0091]1,3,5-トリイソプロピルベンゼンを1.0mL/分の流速で、同じ1.0mL/分の水と共に反応器に供給し、この過熱した混合蒸気を、580℃の床中央温度および0.33気圧のシステム圧力に保持された反応器床に通過させた。反応器から出る生成物は、(ガスクロマトグラフィーによる)成分として、21.5%のトリイソプロピルベンゼン;20.2%のジイソプロピル-モノイソプロペニルベンゼン;17.1%のイソプロピル-ジイソプロペニルベンゼン;および8.4%のトリイソプロペニルベンゼンを含んでいた。この結果から、イソプロペニル芳香族化合物への選択率が58.2%以上であり、転化率が約78.5%であることがわかった。さらにこの生成物は、明確な同定ではないが、イソプロペニル基の代わりにビニル基を持つオレフィンであると考えられる合計約9~10%の成分を含んでいた。これらの化合物も考慮に入れると、すべての潜在的に重合可能な化合物に対する選択率は約87%であった。
実施例7~27:オリゴマー化
[0092]ほぼ等量の溶媒中に溶解された極少量のモノオレフィン停止剤と混合した高純度のメタジイソプロピルベンゼン(DIPB)を含むジオレフィンモノマーのオリゴマー化は、これらの反応物を窒素ガス環境下で撹拌されている反応器中の触媒および溶媒の混合物(溶液または懸濁液)に、徐々に添加して進行させた。この添加速度は、所望の反応温度が一定に保たれるように熱の発散と釣り合う速さとした。この方法で製造されたポリマーの特性は、下記の実施例7~27ならびに表1および表2に示される。
実施例7
[0093]反応器内に、75mLのヘプタンおよび15gのオーブン乾燥したAMBERLYST(R)15スルホン酸ビーズを投入した。その投入物に追加されたモノマー混合物は、40gのメタジイソプロペニルベンゼン、40gのジイソブチレン(2,4,4-トリメチル-1-ペンテンを約75%とする混合異性体)、および75mLのヘプタンを含んでいた。添加時間は3時間であり、反応温度は80℃であった。触媒を除去する濾過、および約180℃の温度に加熱しながら約1torrの減圧下での溶媒除去により、(環球法による)79℃の軟化点および900Daの重量平均分子量(Mw)を有する、透明でほぼ無色の樹脂状の脆い固体生成物が得られた。
実施例8
[0094]反応器内に、50mLのシクロヘキサンおよび10gのオーブン乾燥したAMBERLYST(R)15スルホン酸ビーズを投入した。モノマー混合物は、35gのDIPB、15gのスチレン、および50mLのシクロヘキサンを含んでいた。添加時間は2時間であり、反応温度は80℃であった。生成物の後処理として、触媒を除去するように濾過し、約180℃の温度への加熱および約1torrの減圧下で溶媒を除去した。生成物は、(環球法による)111℃の軟化点および1150DaのMwを有する、透明でほぼ無色の脆い固体生成物であった。
実施例9~21
[0095]実施例9~21の手順は実施例7および8の手順と同様であり、(モノオレフィン停止剤として)ジイソブチレン、スチレン、ビニルトルエン、インデン、またはα-メチルスチレン(AMS)を表1に記載した量で使用した。これらの実施例での樹脂の特性は、この方法の汎用性を示している。実施例14~21は、単一の停止剤すなわちAMSを使用して種々の樹脂を製造するために、原料比率および重合条件を変化させてこれらの新規の炭化水素樹脂の特性を適合させる能力を示している。
【0077】
【0078】
実施例22~27
[0096]実施例22~27の手順は実施例7および8の手順と同様であるが、触媒としてFILTROL 22酸性粘土を使用した。表2に、3種の異なるモノオレフィン、すなわちα-メチルスチレン(AMS)、スチレン、および4-メチル-α-メチルスチレン(シメネン)で停止した代表的なポリインダン樹脂の分子特性を挙げている。
【0079】
【0080】
実施例28および29:水素化
実施例28
[0097]表1での実施例11の樹脂の90g溶液を、90mLのEXXSOLTM脱芳香族炭化水素流体(ExxonMobil社製)とオートクレーブ内で混合し、18gのNi 5256ニッケル触媒(BASF社製)を混合物に投入した。この混合物を220℃に加熱し、オートクレーブを2000psigの水素で加圧した。180℃の真空で溶媒除去した後に、生成物は、111℃の環球法による軟化点、Mn:644、Mw:1067およびMz:1937の分子量特性、ならびにNMRによるプロトン面積%が5%未満の芳香族性を持っていた。
実施例29
[0098]実施例16の樹脂を実施例28の手順に従って水素化した。真空で溶媒除去した後に、生成物は、99℃の環球法による軟化点、Mn:425、Mw:610およびMz:840の分子量特性、ならびにNMRによるプロトン面積%が2%未満の芳香族性を有していた。
実施例30:エラストマー組成物
[0099]ポリインダン樹脂(「PI」)のいくつかの代表例を提供し、シリカトレッド用配合ゴムで試験して、Eastman Chemical社がタイヤトレッド用途に製造する典型的な高性能樹脂種、例えばImperaTMP1503、ImperaTMP1504、ImperaTME1501、ImperaTME1602、およびImperaTME1601と比較した。ポリインダンの重合には、α-メチルスチレン、スチレン、およびp-シメネンを含む3種の異なる停止剤を使用した。実施例22~27のポリインダン(すなわち試料22~27)をこの検討に使用した。
【0081】
[00100]シリカトレッド用配合ゴムの配合を表3に示し、この配合物の製造に使用した混合手順の概略を表4に示す。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
[00101]混合後に、形成したエラストマー組成物を、硬化、引張り、硬度、粘度、および動力学の各特性について試験した。これら試験は以下の手順に従った。その手順は、ASTM D6601準拠のRPA(ゴム加工解析装置)による歪み掃引測定;ASTM D5289準拠のMDR(可動型ダイレオメーター)による160℃で40分後の硬化特性測定;ASTM D2240準拠のショアA硬度測定;ASTM D412およびD624準拠の引張特性測定;ASTM D624準拠の100℃および室温によるダイC測定;ASTM D5963準拠の80回転後のピコ摩耗測定;および歪み掃引を使用してtanδ値を測定する動的力学分析を含む。歪み掃引は、0.038~40%の歪みに対し、10Hzかつ0℃、30℃、および60℃で測定した。これらの試験の結果を表5に示す。MDR測定値に関して、「t90」はその完全硬化に対応する時間を指す(例えば、t90は完全硬化の90%に達する時間である)。ムーニースコーチ(「MS」)測定値に関して、「tMm」は最小ムーニー粘度(「MV」)に達するまでの時間を指し、「t2」、「t5」、および「t35」は、最小ムーニー粘度を超えて、それぞれ2、5、および35ムーニー単位に達する時間を指す。表に記載したムーニースコーチ値は130℃で60分後に測定した。さらに、RPA歪み掃引測定用に試料を160℃で25分間硬化させ、次いで60℃、1Hzで測定した。さらに以下の表5に、ポリインダン樹脂は「PI」として表に記載し、ImperaTM樹脂は「IMP」として表に記載した。
【0086】
【0087】
【0088】
[00102]形成したエラストマー組成物の特性を、上記の表5中に示す。標準偏差内で、ポリインダン樹脂は、比較用の市販Impera
TM樹脂と類似のコンパウンド特性を持つことが示される。タイヤトレッドのウェット牽引性能の評価には0℃および5%歪でのtanδが典型的には使用され、転がり抵抗性能の評価には60℃および5%歪でのtanδが一般的に使用され、それぞれウェットグリップ性ではより高い数値が改良に繋がり、転がり抵抗性ではより低い数値が改良に繋がる。
図6の結果は、新規のポリインダン系樹脂が、転がり抵抗性を損なうことなく、ウェットグリップ性を大幅に改善することを示している。
実施例31
[00103]この一連の実施例を使用して、2種の典型的な樹脂配合量で100%のsSBRを有する配合ゴムを説明する。これは表6に示すように、夏タイヤ用配合物の典型例である。エラストマー組成物は、表4の手順に従って製造した。エラストマー組成物の種々の特性を表7に示す。転がり抵抗性能を示す60℃でのtanδ(低いほど良好)に対比して、ウェットグリップ性能を示す0℃でのtanδ(高いほど良好)が増大するという改善が認められる。
【0089】
【0090】
【0091】
実施例32
この一連の実施例を使用して、比較的高い樹脂充填量で、スチレンおよびビニル含有量が低い100%sSBRを有する配合ゴムを説明する。表8に示すエラストマー組成物は、表4に記載の手順により製造した。エラストマー組成物の種々の特性を表9に示す。低スチレンおよび低ビニル含有量のポリマーは、Tgが低く、これはウェットグリップ性に劣る。樹脂を加えると、ウェットグリップ性(0℃でのtanδ)が改善される。本明細書に開示する樹脂を用いると、改善はより大きくなる。転がり抵抗性能を示す60℃でのtanδ(低いほど良好)に対比して、ウェットグリップ性能を示す0℃でのtanδ(高いほど良好)が増大するという改善が認められる。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
実施例33
この一連の実施例を使用して、前述の実施例と同様にシリカの代わりにカーボンブラックを充填したsSBR/BR:70/30を有する配合ゴムを説明する。エラストマー組成配合物を表10に示し、これら組成物の特性を表11に示す。エラストマー組成物は表4に概説した手順を使用して製造した。転がり抵抗性能を示す60℃でのtanδ(低いほど良好)に対比して、ウェットグリップ性能を示す0℃でのtanδ(高いほど良好)が増大するという改善が認められる。
【0097】
【0098】
【0099】
実施例34
この一連の実施例を使用して、実施例30と同様に、高ビニルの代わりに高スチレンsSBRを用いたsSBR/BR:70/30を有する配合ゴムを説明する。これは夏用タイヤ配合物の典型例である。エラストマー組成物を表12に示し、これら組成物の特性を表13に示す。エラストマー組成物は表4の手順を使用して製造した。転がり抵抗性能を示す60℃でのtanδ(低いほど良好)に対比して、ウェットグリップ性能を示す0℃でのtanδ(高いほど良好)が増大するという改善が認められる。
【0100】
【0101】
【0102】
定義
[00104]以下の説明は、定義した用語を限定的に記述することを意図していないと理解されるべきである。例えば、文脈中で定義した用語の使用を伴う際などに、異なる定義がそれ以前の文面中になされていてもよい。
【0103】
[00105]本明細書で使用する場合に、用語「a」、「an」、および「the」は、1つあるいはそれ以上を意味している。
[00106]本明細書で使用する場合に、用語「および/または」は、2つ以上の項目の記載において使用される際に、記載した項目のうちの任意の1つがそれ自体で使用されるか、または2つ以上の記載した項目が任意の組み合わせで使用されてもよいことを意味する。例えば、組成物が成分A、B、および/またはCを含有すると記載される場合に、組成物はAのみ、Bのみ、Cのみを含有してもよく、AとBを組合わせて、AとCを組合わせて、BとCの組合わせて、あるいはA、B、およびCを組合わせて含有してもよい。
【0104】
[00107]本明細書で使用する場合に、用語「含む(comprising、comprises、およびcomprise)は、この用語の前に記載した主題から、この用語の後に記載した1つ以上の要素に移行するために使用される無制限の移行用語であり、移行用語の後の要素は、必ずしも主語を構成する唯一の要素ではない。
【0105】
[00108]本明細書で使用する場合に、用語「有する」および「持つ」(having、has、およびhave)は、上記で示した「含む」(「comprising」、「comprises」、および「comprise」)と同じ無制限の意味を持つ。
【0106】
[00109]本明細書で使用する場合に、用語「含む」(「including」、「include」、および「included」)も、上記で示した「含む」(「comprising」、「comprises」、および「comprise」)と同じ無制限の意味を持つ。
数値範囲
[00110]本明細書は、本発明に関する特定のパラメータを定量化する数値範囲を使用する。当然のことであるが、数値範囲が示される場合に、その範囲は、範囲の下限値、ならびに範囲の上限値のみを記載する請求項での限定を文字通りにサポートすると解釈すべきである。例えば、開示された10~100の数値範囲は、(上限値はなしに)「10を超える」と記載した請求項、および(下限値はなしに)「100未満」と記載した請求項を文字通りにサポートする。