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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】賦形剤を含む乾燥微生物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/66 20150101AFI20221124BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20221124BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20221124BHJP
   A61K 36/06 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221124BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20221124BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A61K35/66
A61K35/747
A61K35/745
A61K36/06 A
A61K47/04
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/14
A61P3/02
A61K9/19
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019538674
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018050761
(87)【国際公開番号】W WO2018134135
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/448,066
(32)【優先日】2017-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17159494.8
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060588
【氏名又は名称】デュポン ニュートリション バイオサイエンシーズ エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ホラード
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・バビン
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/018509(WO,A1)
【文献】特開2002-306125(JP,A)
【文献】国際公開第2011/018547(WO,A1)
【文献】特表2011-502505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00-35/768
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)乾燥微生物と(b)粉末形態のリン酸塩とのブレンド物を含有する組成物であって、
前記リン酸塩が、K2HPO4、KH2PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、MgHPO4、Mg[H2PO42、及びこれらの混合物から選択され、
前記リン酸塩が微生物及びリン酸塩の総重量を基準として少なくとも50重量%の量で存在する、上記組成物。
【請求項2】
前記リン酸塩が、K2HPO4、KH2PO4、Na2HPO4、NaH2PO4、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リン酸塩が、K2HPO4、KH2PO4、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記リン酸塩が、
2 HPO 4 、Na 2 HPO 4 、及びMgHPO 4 から選択される1つ又はそれ以上の塩と、
KH 2 PO 4 、NaH 2 PO 4 、及びMg[H 2 PO 4 2 から選択される1つ又はそれ以上の塩との混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記リン酸塩がpH6~9にpH調整される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リン酸塩が6.8~7.2にpH調整される、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記リン酸塩が微生物及びリン酸塩の総重量を基準として少なくとも60重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記リン酸塩が微生物及びリン酸塩の総重量を基準として少なくとも80重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記微生物が凍結乾燥されている、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記微生物がプロバイオティクスである、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記微生物が、乳酸杆菌(lactobacilli)、ビフィズス菌(bifidobacteria)、サッカロミケス(saccharomyces)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記微生物が、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロテクティス(Lactobacillus reuteri protectis)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロデンティス(Lactobacillus reuteri prodentis)、サッカロマイセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記微生物がラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)である、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
単位微生物用量の請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物を含有する組成物
【請求項15】
求項14に記載の組成物を含有するカプセル
【請求項16】
求項14に記載の組成物を含有する小袋
【請求項17】
求項14に記載の組成物を含有する錠剤
【請求項18】
求項14に記載の組成物を含有する粉末栄養製剤
【請求項19】
(i)(a)乾燥微生物、及び(b)粉末形態のリン酸塩を準備する工程;並びに
(ii)前記乾燥微生物と前記粉末形態のリン酸塩とを混合して組成物を得る工程;
を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥微生物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば凍結乾燥又は噴霧乾燥によって、貯蔵のために微生物を乾燥することは一般的である。そのような乾燥微生物は、工業用途及び食品用途、例えばチーズ及びヨーグルトの製造において、並びにプロバイオティクスとしても使用されている。貯蔵中に乾燥生物の生存能力はある程度低下するため、時間とともに生細胞数は減少する。これは特に高湿環境では問題になる。
【0003】
プロバイオティクスは、適切な投与量で投与された場合にヒト又は動物の健康に有益な生きた微生物である。プロバイオティクスを投与する1つの方法は、賦形剤と混合され、カプセル又は小袋の中に包装された乾燥プロバイオティクスの摂取によるものである。残念なことに、乾燥したプロバイオティクスの細胞は貯蔵中にあまり安定ではないため、生細胞数は時間とともに減少し、治療効果が低下する。これは、プロバイオティクスが高い湿度含有率を有する賦形剤とブレンドされている場合、容器の壁が外部の大気中の水分に対して透過性である場合、及びプロバイオティクスが高い相対湿度環境で貯蔵される場合に特に当てはまる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、本発明は、(a)乾燥微生物と(b)粉末形態のリン酸塩とのブレンド物を含有する組成物を提供する。
【0005】
第2の態様では、本発明は、(a)乾燥微生物と(b)粉末形態のリン酸塩との混合物を含有する組成物を含有する単位微生物用量を提供する。
【0006】
第3の態様では、本発明は、
(i)(a)乾燥微生物、及び(b)粉末形態のリン酸塩を準備する工程;
(ii)乾燥微生物と粉末形態のリン酸塩とを混合して組成物を得る工程;
を含む、組成物の調製方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の賦形剤(「MCC」)又は賦形剤なし(「凍結乾燥プロバイオティクス」)と比較した、本発明による賦形剤(「K2HPO4」)と混合した様々な菌株の30℃での湿潤条件(a=0.4)での3か月貯蔵後の%生存率を示す。
図2】従来の賦形剤(「MCC」)と比較した、本発明による賦形剤(「K2HPO4」)と混合した凍結乾燥ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)のa(a=0.1、a=0.2、及びa=0.3)の関数としての30℃で3か月後の%生存率を示す。
図3】30℃で6か月後の、湿潤条件(a0.4)下のブレンド物中のKHPO賦形剤の割合の関数としてのラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の%生存率を示す。
図4】30℃で6か月後の、湿潤条件(a0.4)下のMCCとのブレンド物中のKHPO賦形剤の割合の関数としてのラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の%生存率を示す。
図5】1か月後及び3か月後の30℃での乾燥条件下(a0.1)での凍結乾燥ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末の%生存率に対する賦形剤のpHの影響を示す。「KP」は表示pHまでpHが調整されたKHPOを示し、「K2HPO4」はpH調整なしのKHPOを示し、「MCC」は微結晶セルロースを示す。
図6】3か月後の30℃での湿潤条件下(a0.4)での凍結乾燥ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末の%生存率に対する賦形剤のpHの影響を示す。「K2HPO4」は表示pHまでpHが調整されたKHPOを示し、「MCC」は微結晶セルロースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で言及される全ての文献は参照により組み込まれる。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、乾燥微生物の生存率が賦形剤としてのリン酸塩を使用することによって改善されることを見出した。その効果は、高い水分活性(a)環境で特に顕著である。高い水分活性は、a>0.15であるとみなされる。
【0010】
典型的には、微生物乾燥粉末、特にプロバイオティクスは、微生物濃度を標準化するために賦形剤とブレンドされる。特に微生物がカプセル及び小袋に入れられている場合に最も使用される賦形剤のうちの1つは、微結晶セルロース(MCC)である。本発明者らは、参照賦形剤としてMCCを使用した。本発明者らは、MCC賦形剤においてほぼ0%の生存率であるのと比較して、リン酸塩を使用すると、3か月以上60%を超える乾燥微生物の生存率が得られることを見出した。この効果は、高い水分活性の環境(a>0.15、特にa>0.2、更にはa>0.3)において特に顕著である。
【0011】
水分活性は、好ましくは露点湿度計によって測定される。
【0012】
微生物の生存率は2つの異なる方法で表される。
A)生存率
%生存率=(貯蔵後のCFU/CFUt)×100%
B)Log損失
Log損失=Log(CFUt)-Log(貯蔵後のCFU)
【0013】
乾燥微生物
本発明の組成物は、乾燥微生物を含有する。微生物、特にプロバイオティクスは、任意の手段で乾燥させることができるものの、凍結乾燥及び噴霧乾燥が好ましく、凍結乾燥が特に好ましい。
【0014】
微生物という表現は、任意の細菌もしくは酵母、又はこれらの混合物、特にプロバイオティクスを包含することが意図されている。
【0015】
プロバイオティクスという用語には、宿主に健康上の利益を与えることを目的として宿主に投与される全ての生存微生物が含まれる。特に、これは酵母もしくは細菌、又はこれらの任意の混合物であってもよい。
【0016】
乾燥微生物、特にプロバイオティクスは、送達に適した任意の形態で提供することができる。例えば、乾燥微生物、特にプロバイオティクスは、顆粒又は粉末の形態で提供されてもよい。1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは粉末形態である。
【0017】
本発明の組成物は、1種の微生物(特にプロバイオティクス)、1種の微生物株(特にプロバイオティクス)、微生物種の混合物(特にプロバイオティクス)、又は微生物株の混合物(特にプロバイオティクス)を含有していてもよい。1つの態様においては、本発明の組成物は、1種の微生物(特にプロバイオティクス)と、任意選択的な1種の微生物株(特にプロバイオティクス)とを含有する。1つの態様においては、本発明の組成物は、微生物の株の混合物(特にプロバイオティクス)を含有する。1つの態様においては、本発明の組成物は微生物種の混合物(特にプロバイオティクス)を含有する。
【0018】
好ましい実施形態では、微生物、特にプロバイオティクスは、乳酸杆菌(lactobacilli)、ビフィズス菌(bifidobacteria)、サッカロミケス(saccharomyces)、及びこれらの混合物から選択される。
【0019】
更に好ましい実施形態では、微生物、特にプロバイオティクスは、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロテクティス(Lactobacillus reuteri protectis)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロデンティス(Lactobacillus reuteri prodentis)、サッカロマイセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、及びこれらの混合物から選択される種から選択される。
【0020】
更に好ましい実施形態では、微生物、特にプロバイオティクスは、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilu)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、及びこれらの混合物から選択される種から選択される。
【0021】
1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、バシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)GBI-30、6086、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)35624、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilu)NCFM、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)St11(又はNCC2461)、ラクトバシラス・ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)La1(=ラクトバシラス(Lactobacillus)LC1、ラクトバシラス・ジョンソニィ(Lactobacillus johnsonii)NCC533)、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)299v、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)ATCC55730(ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)SD2112)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロテクティス(Lactobacillus reuteri protectis)(DSM17938、ATCC55730の娘株)、ラクトバシラス・ロイテリ・プロデンティス(Lactobacillus reuteri prodentis)(DSM17938/ATCC55730とATCC PTA5289との組み合わせ)、サッカロマイセス・ボウラルディ(Saccharomyces boulardii)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GR-1、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)RC-14、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)CL1285、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)LBC80R、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HEAL 9、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)8700:2、及びこれらの混合物の微生物から選択される。
【0022】
1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(NCFM株)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus Casei)(LPC37株)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium Lactis)(HN0019)、及びこれらの混合物の株のプロバイオティクスから選択される。
【0023】
微生物、特にプロバイオティクスは、必要量の微生物、特にプロバイオティクスを送達するために任意の適切な量で存在していてもよい。微生物の「濃度」、特に組成物1グラム当たりの微生物のコロニー形成単位(CFU)でのプロバイオティクスも、当業者が選択することができる。1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、組成物1グラム当たり少なくとも1×10CFUの量で存在する。1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、組成物1グラム当たり少なくとも1×10CFUの量で存在する。1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、組成物1グラム当たり少なくとも1×1010CFUの量で存在する。1つの態様においては、微生物、特にプロバイオティクスは、組成物1グラム当たり1×10~5×10CFUの量で存在する。
【0024】
単位プロバイオティクス用量として処方される場合、その用量は任意の望まれる量のプロバイオティクスを含む。典型的な単位用量は、1用量当たり10~1014CFU、より好ましくは1用量当たり10~1012CFU、特に好ましくは10~1011CFUを含むであろう。
【0025】
微生物、特にプロバイオティクスは、乾燥形態であり、好ましくは噴霧乾燥又は凍結乾燥形態、特に凍結乾燥形態である。好ましくは、乾燥微生物、特にプロバイオティクスは、0.4以下、より好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下の水分活性を有する。より特に好ましくは、乾燥微生物、特にプロバイオティクスは、0.1以下の水分活性を有する。
【0026】
リン酸塩
本発明の組成物はリン酸塩を含有する。リン酸塩は、リン酸(HPO)の任意の塩であり、リン酸二水素塩(HPO )、リン酸水素塩(HPO 2-)、及びリン酸塩(PO 3-)に基づいた塩を含む。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、リン酸水素塩(HPO 2-)、又はリン酸水素塩(HPO 2-)とリン酸二水素塩(HPO )との混合物を含有する。
【0027】
水和と無水の両方のリン酸塩を使用することができる。
【0028】
リン酸塩のカチオンは特に限定されない。好ましい実施形態では、リン酸塩のカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムから選択される。好適なリン酸塩の例としては、KHPO、KHPO、NaHPO、NaHPO、M
gHPO、Mg[HPO、CaHPO、Ca[HPOが挙げられる。特に好ましい実施形態では、リン酸塩はリン酸カリウム塩である。
【0029】
好ましくは、リン酸塩は、リン酸二カリウム(KHPO)、又はリン酸二カリウム(KHPO)とリン酸二水素カリウム(KHPO)との混合物である。
【0030】
好ましい実施形態では、リン酸塩はpH6~pH9、好ましくはpH6.5~8、より特に好ましくはpH6.8~7.2にpH調整される。「塩のpH」という表現は、塩が水に溶解している際の溶液のpHを意味する。pHは、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、及びリン酸塩のブレンド物を使用することによって調整することができる。好ましい実施形態では、HPO 2-とHPO の塩のブレンド物が使用される。望まれるpHを得るためのこれらの塩の相対的な量は周知である。例えば、61.5/38.5のHPO 2-/HPO モル比は7のpHを与える。あるいは、pH調整された塩は、PO 3-及び/又はHPO 2-の塩の溶液を、酸又は塩で望みのpHまで滴定し、その後得られた溶液を例えば噴霧乾燥などにより乾燥させることによって調製することができる。
【0031】
リン酸塩は、乾燥微生物、特にプロバイオティクスの望まれる安定化を与えるために、任意の適切な量で本発明の組成物中に存在していてもよい。本発明との関係においては、重量%は、微生物(特にプロバイオティクス)及びリン酸塩の総重量に対して与えられる。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも10重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも20重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも30重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも40重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも50重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも60重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも70重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の少なくとも80重量%の量で存在する。
【0032】
1つの態様においては、リン酸塩は組成物の10~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の20~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の30~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の40~90重量%、より好ましくは50~80重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の50~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の60~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の70~90重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は組成物の80~90重量%の量で存在する。本発明との関係においては、重量%は、微生物(特にプロバイオティクス)及びリン酸塩の総重量に対して与えられる。
【0033】
微生物(特にプロバイオティクス)及びリン酸塩以外の成分が組成物中に存在する場合、リン酸塩は、全組成物の少なくとも10重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも20重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも30重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも40重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも50重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも59重量%又は60重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも70重量%の量で存在する。1つの態様においては、リン酸塩は、全組成物の少なくとも80重量%の量で存在する。
【0034】
好適な混合物は、80重量%のリン酸塩と、20重量%の微生物、特にプロバイオティクスである。
【0035】
リン酸塩は、好ましくは粉末形態である。好ましくは、粒径分布は、5~120(より好ましくは5~90)のミクロン単位のD10値、70~180(より好ましくは80~140)のミクロン単位のD50値、及び160~400(より好ましくは180~350)のミクロン単位のD90値を有する。
【0036】
微生物、特にプロバイオティクスの生存率は、高い水分活性(a>0.15、好ましくはa>0.2、より好ましくはa>0.3)条件下で特に増加する。
【0037】
本発明の組成物は、好ましくは、微生物単独と比較して、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、特に好ましくは60%超、微生物(特にプロバイオティクス)の生存率を増加させる。
【0038】
本発明の組成物は、好ましくは、湿潤条件下(a>0.15、好ましくは>0.2、より好ましくは>0.3)、微生物単独と比較して、少なくとも1%~30%、より好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは30%超、微生物(特にプロバイオティクス)の生存率を増加させる。
【0039】
本発明の組成物は、好ましくは、賦形剤としてMCCを用いたプロバイオティクスと比較して、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、特に好ましくは60%超、プロバイオティクスの生存率を増加させる。
【0040】
本発明の組成物は、好ましくは、湿潤条件下(a>0.15、好ましくは>0.2、より好ましくは>0.3)、賦形剤としてMCCを用いたプロバイオティクスと比較して、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、特に好ましくは60%超のプロバイオティクスの生存率を増加させる。
【0041】
追加の成分
本発明の組成物は、プロバイオティクス及びリン酸塩のみを含有してもよく、あるいはこれは1種以上の追加の成分を含有してもよい。
【0042】
一実施形態では、組成物は、追加の賦形剤(マルトデキストリン、微結晶セルロース(MCC)等)、プロバイオティクス(イヌリン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ポリデキストロース等)、流動助剤(シリカ、ステアリン酸マグネシウム等)を更に含有する。
【0043】
追加の成分が存在する場合、好ましくはそれらは全組成物の20重量%未満、より好ましくは10重量%未満を占める。
【0044】
使用
本発明の組成物は、プロバイオティクスとしてヒト又は動物に投与するために使用することができ、あるいは工業用途又は食品用途のために使用することができる。典型的な食品用途としては、チーズ、ヨーグルト、発酵大豆製品(味噌、納豆など)、ザワークラウト、食用アルコール製品などの製造が挙げられる。典型的な工業用途としては、工業用アルコールの製造などの発酵による原料又は完成材料の製造が挙げられる。
【0045】
形態
本発明の組成物は、例えば食品もしくは工業用途の前、又はヒトもしくは動物への投与前、及び/又は適切な剤形への分割前の、貯蔵又は輸送のためのバルク粉末ミックスの形態であってもよい。
【0046】
更なる態様においては、本発明は、ヒト又は動物に投与するための単位微生物用量を提供する。単位微生物用量は、適切な量の本発明の組成物を含み、これは、例えば小袋、カプセル、又は錠剤の中に包装されていてもよい。典型的な単位用量は、1用量当たり10~1014CFU、より好ましくは1用量当たり1010~1012CFUを含むであろう。
【0047】
方法
更なる態様においては、本発明は、(i)(a)乾燥微生物及び(b)粉末形態のリン酸塩を準備すること;(ii)乾燥微生物と粉末形態のリン酸塩とを混合して組成物を得ること;を含む、本発明の組成物の調製方法を提供する。本方法の好ましい実施形態においては、微生物は凍結乾燥されている。
【0048】
混合は、微生物にダメージを与えない任意の方法によって行うことができる。例えば、適切な容器内での回転又は振とう、及び/又はパドルなどの混合器具による混合である。
【実施例
【0049】
材料
以下の凍結乾燥プロバイオティクスを用いて実験を行った:ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)(NCFM株)株、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)(LPC37株)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(HN0019)。
【0050】
微結晶セルロースはMingtai Chemical社から供給され、リン酸二カリウムはBKG lulhi Gmbh社から得た。
【0051】
使用したカプセルは、Capsugel cieからのVcaps、サイズ0、CS、ヒプロメロースであった。
【0052】
シリカは、Evonik Industries AGから入手したSipernat50sであった。
【0053】
ステアリン酸マグネシウムはAceto corporationから入手した。
【0054】
マルトデキストリン(IT6)はRoquetteから入手した。
【0055】
分析方法
水分活性測定(a
水分活性測定のために、Aqualab 3TE,Decagonを使用した。鏡、光学センサー、内部ファン、及び赤外線温度センサーを含む密閉チャンバーのヘッドスペース内で、試料(約1g)を平衡化する。
【0056】
細胞計数方法
使用される細胞計数方法は、株に応じた品質管理研究所からの方法である。結果は、製品1g当たりのコロニー形成単位(CFU/g)で示した。
【0057】
方法は、以下のことから構成された:
(i)1gの試料を瓶の中に秤り入れた。滅菌ペプトン水を100gまで入れ、混合物をベンチトップシェーカーを用いて400rpmで5分間混合した。混合物を室温で20分間放置し、その後5分間再び混合して均質な溶液を得た。元の試料から10-2希釈液を得た。
(ii)その後の希釈を1:10の段階で行い、1mlの溶液を9mlのペプトン水に添加することによって行った。溶液を最大速度でVortexシステムを使用して20秒間各工程で均質化した。
(iii)MRS寒天及び1%のシステインを用いて細胞を平板培養した。
(iv)各決定のために、4つのプレートを数えた:2つの異なる体積の細胞懸濁液を平板培養し、各体積を二度繰り返した。次いで、プレート上で得られたコロニーの数を加え、これらのプレートのために使用した細胞懸濁液の体積の総和で割った。
(vi)プレートを、37℃で72時間インキュベートした。
【0058】
実施例1
試料の調製
様々なプロバイオティクス種をMCCと混合して、1.5×1010~3×1010CFU/gのCFUを得た。ブレンド物をプラスチック瓶中で20分間回転(約60tr/分)させることにより混合した。その後、カプセルにブレンド物を詰めた。試料の調製は、40%RH、25℃のクリーンルームで行った。
【0059】
高湿度暴露試験
マルトデキストリンを、平衡に到達するまで40%RHの雰囲気に暴露した。その結果、マルトデキストリンのaはほぼ0.4であった。同じ方法を使用して、0.3及び0.1のaで平衡化されたマルトデキストリンを得た。
【0060】
カプセルを作製し、次のものを充填した:
1.プロバイオティクス粉末のみ、
2.プロバイオティクス(20重量%)-MCC(80重量%)ブレンド物、及び
3.プロバイオティクス(20重量%)-KHPO(80重量%)のブレンド物。
【0061】
これらのカプセルをガラス瓶の中に入れた。その後、約0.4のaでマルトデキストリンを上に添加し、瓶を必要とされる時間振とうした。
【0062】
カプセルを30℃の環境室の中で6か月間貯蔵した。安定性の性能に対する賦形剤の種類の影響を評価するために、0か月、1か月、及び3か月の時点でCFU及びaを測定した。
【0063】
生存率の計算
プロバイオティクスの生存率は2つの異なる方法で表した。
A)生存率
%生存率=(貯蔵後のCFU/CFUt)×100%
B)Log損失
Log損失=Log(CFUt)-Log(貯蔵後のCFU)
【0064】
結果
使用した賦形剤による3か月後の湿潤条件下(a0.4)での様々な菌株の生存率を表1に示す。MCCはプロバイオティクスをMCCと混合した場合を表し、KHPOはプロバイオティクスをKHPOと混合した場合を表し、「凍結乾燥プロバイオティクス」は、プロバイオティクス粉末のみを用いた場合を表す。
【0065】
【表1】
【0066】
図1は、同じ結果をグラフ形式で示している。MCCはプロバイオティクスをMCCと混合した場合を表し、KHPOはプロバイオティクスをKHPOと混合した場合を表し、「凍結乾燥プロバイオティクス」は、プロバイオティクス粉末のみを用いた場合を表す。
【0067】
表1及び図1は、安定性に対するKHPOの影響が菌株に応じて変化することを示している。生存率は、MCC又はプロバイオティクスのみを用いるよりも賦形剤としてのKHPOを用いる方が常に高い。賦形剤としてのKHPOの使用が、特に湿潤条件下で、菌株の安定性(生存率)を改善することは明らかである。
【0068】
異なる湿度条件下でのラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の生存率
30℃で3か月後のラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の、a及び賦形剤の関数としての生存率を表2に示す。MCCはプロバイオティクスをMCCと混合した場合を表し、KHPOはプロバイオティクスをKHPOと混合した場合を表す。
【0069】
【表2】
【0070】
図2は、同じ結果をグラフ形式で示している。MCCはプロバイオティクスをMCCと混合した場合を表し、KHPOはプロバイオティクスをKHPOと混合した場合を表す。
【0071】
表2及び図2は、高湿度条件(a>0.1)では、KHPOを用いた生存率がMCCを用いた生存率よりも常に高いことを示している。低湿度条件(a=0.1)では、KHPOを用いた安定性とMCCを用いた安定性とは同様である。
【0072】
これらの結果から、KHPOを添加すると湿潤条件下での菌株の安定性が改善されることが分かる。
【0073】
実施例2
この実施例では、湿潤環境におけるKHPO濃度の関数としてのプロバイオティクスの安定性を調べる。Sipernat50s及びステアリン酸マグネシウムを流動助剤として添加して、市販のブレンド組成物と同様の試料組成物を得た。この実施例のために、凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末を使用した。実施例は2段階で調製した。パート1では、プロバイオティクスはKHPOのみと混合した。パート2では、プロバイオティクスをKHPO及びMCCと混合した。
【0074】
試料の調製
パート1:KHPOと混合されたプロバイオティクス
凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末、KHPO、Sipernat50s、及びステアリン酸マグネシウムからなるブレンド物を調製した。Sipernat50s及びステアリン酸マグネシウムの濃度を一定に保ちながら、凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の濃度を徐々に増加させ、KHPOの濃度を徐々に減少させた10個の試料を作製した。下の表は、パート1の様々な試料の説明を示している。
【0075】
【表3】
【0076】
パート2:KHPO及びMCCと混合されたプロバイオティクス
凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末、KHPO、MCC、Sipernat50s、及びステアリン酸マグネシウムからなるブレンド物を調製した。ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末、Sipernat50s、及びステアリン酸マグネシウムの濃度を一定に保ちながら、KHPOの濃度を徐々に増加させ、MCCの濃度を徐々に減少させた9個の試料を作製した。下の表は、パート2の様々な試料の説明を示している。
【0077】
【表4】
【0078】
結果
パート1の結果
湿潤条件下(a0.4)でのKHPO賦形剤の重量パーセントの関数としての、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の30℃で6か月後の生存率を表5に示す。
【0079】
【表5】
【0080】
図3は、同じ結果をグラフ形式で示している。
【0081】
表5及び図3は、生存率がKHPOの量の関数として変化することを示している。結果は、KHPOが50重量%を超えると生存率が有意に増加することを示している。KHPOが80重量%を超えても、80重量%よりは劣るもののKHPOなしよりも依然として有意に優れている。
【0082】
パート2の結果
湿潤条件下(a0.4)でのMCCとのブレンド物におけるKHPO賦形剤の割合の関数としての、ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の30℃で6か月後の生存率を表6に示す。
【0083】
【表6】
【0084】
図4は、同じ結果をグラフ形式で示している。
【0085】
表6及び図4は、生存率がKHPOの割合の関数として変化し、KHPOが40重量%を超えると、KHPOなしよりも有意に優れていることを示している。
【0086】
実施例3
ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)に対するKHPO賦形剤のpHの影響を評価した。
【0087】
様々なpH値のKHPOを含む様々な賦形剤(pH6.5;pH6.9;pH7.1;pH7.6;pH8.1;pH9)を製造した。様々なpHの賦形剤は、下の2つの方法のいずれかによって調製した:
1.KHPO溶液を調製し、リン酸を添加して溶液のpHを望みの値にし、次いで溶液を噴霧乾燥して粉末を得た;又は
2.KHPOを、望みのpHを得るために計算された様々な量のKHPOと乾燥形態でブレンドした。
【0088】
試料の調製
パート1:乾燥条件下での生存に対する賦形剤のpHの影響:
凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末を様々なpHで様々な賦形剤とブレンドした。各ブレンド物の組成は、80%の賦形剤KHPO粉末及び20%の凍結乾燥プロバイオティクス粉末であった。ブレンド物をプラスチック瓶中で20分間回転(約60tr/分)させることにより混合した。小袋にブレンド物を詰めた。試料の調製は、40%RH、25℃のクリーンルーム内で行った。試験中、小袋を乾燥湿度(a≦0.1)で30℃で3か月間貯蔵した。
【0089】
パート2:湿潤条件下での生存率に対する賦形剤のpHの影響:
凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)粉末を、様々なpH及びMCCで様々なKHPO粉末とブレンドした。各ブレンド物の組成は、80%の賦形剤及び20%の凍結乾燥プロバイオティクス粉末であった。ブレンド物をプラスチック瓶中で20分間回転(約60tr/分)させることにより混合した。試料の調製は、40%RH、25℃のクリーンルームで行った。カプセルにブレンド物を詰め、カプセルをガラス瓶の中に入れた。その後、約0.4のaでマルトデキストリンを上に添加し、瓶を振とうした。瓶を30℃で3か月間貯蔵した。
【0090】
80%の乾燥MCC及び20%の凍結乾燥プロバイオティクス粉末を含む対照を調製し、同じ方法で試験した。
【0091】
結果
パート1の結果
乾燥条件(a≦0.1)下、30℃で1か月間及び3か月間貯蔵した後の、KHPO賦形剤のpHの関数としての、凍結乾燥したラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の生存率を表7に示す。
【0092】
【表7】
【0093】
図5は、同じ結果をグラフ形式で示している。
【0094】
表7及び図5は、乾燥条件下での生存率/安定性はpHの関数として変化するが、全ての場合において、唯一の賦形剤としてのMCCを用いた生存率よりも優れていることを示している。安定性は賦形剤のpHの影響を受けた。乾燥条件下での安定性のためには、KHPOの最適pHは6.9~7.1である。評価された他の種には、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)及びラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)が含まれていた。
【0095】
パート2の結果
湿潤条件下(a=0.4)で30℃で3か月間貯蔵した後の、KHPO賦形剤のpHの関数としての、凍結乾燥ラクトバシラス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の生存率を表8に示す。
【0096】
【表8】
【0097】
図6は、同じ結果をグラフ形式で示している。
【0098】
表8及び図6は、安定性がpH値の関数として変化することを示している。pH調整された全ての賦形剤は、湿潤条件下でMCC粉末よりも優れた安定性を有する。湿潤条件下で最も優れた安定性を得るためには、最適なpHは6.9である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6