(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)タンパク質の低減により心血管イベントを予防するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/713 20060101AFI20221124BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221124BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20221124BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20221124BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20221124BHJP
【FI】
A61K31/713 ZMD
A61K48/00 ZNA
A61P3/06
A61P9/10 101
A61P9/10
C12N15/113 130
(21)【出願番号】P 2019542356
(86)(22)【出願日】2017-10-18
(86)【国際出願番号】 US2017057218
(87)【国際公開番号】W WO2018075658
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-16
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510302180
【氏名又は名称】ザ メディシンズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・ワインガールト
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・カレンド
【審査官】藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506240(JP,A)
【文献】N. Engl. J. Med., 2017.4.13, Vol.376, No.15 , pp.1430-1440
【文献】Circulation, 2014, Vol. 130, No. Suppl. 2, #11936
【文献】心臓, 2013, Vol.45, No.6, pp.651-656
【文献】N. Engl. J. Med., 2017.1, Vol.376, No.1, pp.41-51
【文献】Drugs, 2021.2, Vol.81, No.3, pp.389-395
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
275mg~325mgの固定用量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を含む、ヒト対象において低密度リポタンパク質コレステロールを低下させるための、皮下投与のための医薬組成物であって、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸を含み、アンチセンス鎖は5’- asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa - 3’(配列番号3)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は5’- csusagacCfuGfudTuugcuuuugu - 3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含み、ここで、a、g、c及びuは、それぞれ2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C及びUであり;Af、Gf、Cf及びUfは、それぞれ2'-フルオロA、G、C及びUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結であり、かつ二本鎖リボ核酸は、センス鎖の3'末端に共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有し、
前記医薬組成物の投与は、負荷フェーズ及び維持フェーズを含み、
前記負荷フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、90日の一定の時間間隔によって隔てられ、
前記維持フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、6か月の一定の時間間隔によって隔てられている、
医薬組成物。
【請求項2】
275mg~325mgの固定用量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を含む、ヒト対象において心血管イベントを予防するための、皮下投与のための医薬組成物であって、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸を含み、アンチセンス鎖は5’- asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa - 3’(配列番号3)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は5’- csusagacCfuGfudTuugcuuuugu - 3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含み、ここで、a、g、c及びuは、それぞれ2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C及びUであり;Af、Gf、Cf及びUfは、それぞれ2'-フルオロA、G、C及びUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結であり、かつ二本鎖リボ核酸は、センス鎖の3'末端に共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有し、
前記医薬組成物の投与は、負荷フェーズ及び維持フェーズを含み、
前記負荷フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、90日の一定の時間間隔によって隔てられ、
前記維持フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、6か月の一定の時間間隔によって隔てられて
おり、
対象が、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、ASCVDとリスクが同等な状態、心血管疾患リスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、若しくはホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、若しくは低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する、
医薬組成物。
【請求項3】
275mg~325mgの固定用量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を含む、ヒト対象において心血管死亡率及び罹患率を低減させるための、皮下投与のための医薬組成物であって、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸を含み、アンチセンス鎖は5’- asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa - 3’(配列番号3)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は5’- csusagacCfuGfudTuugcuuuugu - 3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含み、ここで、a、g、c及びuは、それぞれ2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C及びUであり;Af、Gf、Cf及びUfは、それぞれ2'-フルオロA、G、C及びUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結であり、かつ二本鎖リボ核酸は、センス鎖の3'末端に共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有し、
前記医薬組成物の投与は、負荷フェーズ及び維持フェーズを含み、
前記負荷フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、90日の一定の時間間隔によって隔てられ、
前記維持フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、6か月の一定の時間間隔によって隔てられて
おり、
対象が、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、ASCVDとリスクが同等な状態、心血管疾患リスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、若しくはホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、若しくは低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する、
医薬組成物。
【請求項4】
275mg~325mgの固定用量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を含む、ヒト対象においてアテローム性動脈硬化症性心血管疾患の発症を予防するための、皮下投与のための医薬組成物であって、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸を含み、アンチセンス鎖は5’- asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa - 3’(配列番号3)のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は5’- csusagacCfuGfudTuugcuuuugu - 3’(配列番号4)のヌクレオチド配列を含み、ここで、a、g、c及びuは、それぞれ2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C及びUであり;Af、Gf、Cf及びUfは、それぞれ2'-フルオロA、G、C及びUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結であり、かつ二本鎖リボ核酸は、センス鎖の3'末端に共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有し、
前記医薬組成物の投与は、負荷フェーズ及び維持フェーズを含み、
前記負荷フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、90日の一定の時間間隔によって隔てられ、
前記維持フェーズは、前記固定用量の少なくとも2回として前記医薬組成物を投与することを含み、ここで前記少なくとも2回の用量は
、6か月の一定の時間間隔によって隔てられている、
医薬組成物。
【請求項5】
前記固定用量は
、300mgのRNAi剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
RNAi剤が以下の模式図で示される、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
対象が、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、ASCVDとリスクが同等な状態、心血管疾患リスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、若しくはホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、若しくは低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する、請求項1
及び4から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
対象が
、70mg/dl以上のベースライン低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
対象が、活動性肝疾患を有していない、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
対象が、活動性肝疾患を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
活動性肝疾患が、以下の特徴:正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びULNの1.5倍を超える総ビリルビンのうちの1つ又は複数によって特定される、請求項9又は10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象が、バックグラウンド脂質低下療法で治療されており、バックグラウンド脂質低下療法が、スタチン、エゼチミブ、及びLDLアフェレーシスから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
バックグラウンド脂質低下療法が、スタチンである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
対象が、最大限に許容されるスタチン療法を受けている、請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
対象が、以下の特徴の1つ又は複数を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬組成物:
a)対象が
、400mg/dl以下のベースライントリグリセリドレベルを有する、
b)対象が、少なくと
も30ml/分のベースライン推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、
c)対象が、管理が十分でない2型糖尿病を有していない、
d)対象が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスII、III、又はIVの心不全を有していない、
e)対象の最新の既知の心室駆出率が、30%以上である、
f)対象が、RNAi剤の投与の6か月以内に主要有害心臓イベントを経験していない、
g)対象が、出血性脳卒中を経験していない、
h)対象が、RNAi剤の投与の3か月以内に心不整脈を有していない、
i)対象が、投薬又は切除によって管理されていない、RNAi剤の投与の3か月以内における心不整脈を有していない、
j)対象が、心不整脈を有していない、
k)対象が、成人である、
l)対象が、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症又はホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、
m)対象が、LDL-Cの低下を必要とする。
【請求項16】
管理が十分でない2型糖尿病が、少なくと
も10%のベースライン糖化ヘモグロビンA1c
レベルによって特定される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
対象においてLDL-Cのレベルを低下させる、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
LDL-Cのレベルの低減がベースラインレベルと比較し
て20%を超え、RNAi剤が投与された後15日以上の間維持される、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
対象においてPCSK9のレベルを低下させる、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
PCSK9のレベルの低減がベースラインレベルと比較し
て25%を超え、RNAi剤が投与された後30日以上の間維持され、PCSK9のベースラインレベルがRNAi剤の投与前に測定される、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
心血管イベントが、心血管死亡、致命的でない心筋梗塞、重度の再発性虚血、脳卒中、及び症候性肺塞栓症からなる群から選択される、請求項2及び5から
20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記対象が、急性冠症候群を有すること;心筋梗塞、安定若しくは不安定狭心症、冠動脈若しくは他の動脈の血行再建術、脳卒中、一過性虚血性発作、又はアテローム性動脈硬化起源の末梢動脈疾患の病歴を有すること;男性であること;心疾患、ASCVD、又はASCVDとリスクが同等な状態の家族歴を有すること;喫煙習慣があること;身体的に活動的でないこと;高血圧を有すること;血中コレステロールが高いこと;糖尿病又は前糖尿病状態を有すること;太りすぎ又は肥満であること;妊娠中における子癇前症の病歴があること;ストレス及び/又は怒りを管理できないこと;閉経後であること;不健康な食事;55歳以上であること;睡眠時無呼吸を有すること;及び貧血であることからなる群から選択される、一つ以上の危険因子を有する、請求項1から
21のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
対象は、脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けており、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
対象は、脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けており、対象は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
対象は、脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び低密度リポタンパク質低下療法を受けており、対象は、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年10月18日に出願された米国仮特許出願第62/409,816号;2016年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/422,028号;2017年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/472,525号;及び2017年8月25日に出願された米国仮特許出願第62/550,426号の利益を主張し、これらの仮特許出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、2015年8月25日に出願された米国仮特許出願第62/209,526号;2016年8月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/048666号;2012年12月5日に出願された米国仮出願第61/733,518号;2013年3月15日に出願された米国仮出願第61/793,530号;2013年10月4日に出願された米国仮出願第61/886,916号;2013年10月17日に出願された米国仮出願第61/892,188号;2013年12月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2013/073349号;及び2015年6月5日に出願された米国特許出願第14/650,128号にも関連し、これらの仮特許出願及びPCT出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含有し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2017年10月18日に作成された前記ASCIIコピーは、A115-2_3_SL.txtという名前で、サイズは1,799バイトである。
【背景技術】
【0004】
アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は、依然として世界的な健康に対する課題となっている。動脈壁内の脂肪沈着物、炎症細胞、及び瘢痕組織の蓄積を特徴とする組織的な疾患プロセスであるアテローム性動脈硬化症は、臨床的心血管イベントの大部分の根本的な原因となっている。様々な種類の治療及び予防策が開発されてきたが、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)を低減させることが、依然としてASCVDと戦うための定評のある戦略となっている。この目的のために、スタチンが脂質レベルを低下させるために広く使用されている治療法となっているが、危険にさらされている多くの対象は、上昇したレベルのLDL-Cを有し続けている。
【0005】
プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(protein convertase subtilisin kexin 9)(PCSK9)が最近、LDL-Cレベルを低減させるための標的として同定された。PCSK9はサブチリシンセリンプロテアーゼファミリーのメンバーであり、コレステロール代謝において役割を果たすことが示されている。
【0006】
PCSK9をブロックするモノクローナル抗体が開発されており、循環PCSK9レベルを低減させ、LDL-C濃度を下げることが実証された。しかし、PCSK9のモノクローナル抗体は、効果が短期間であり、これは著しい投与及び経済上の負担を引き起こし得る。
【0007】
したがって、LDL-Cレベルを低減させ、そして最終的にはASCVDを治療又は予防することを目的とした、効果的な治療又は予防措置が当技術分野において必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国仮特許出願第62/209,526号
【文献】PCT出願第PCT/US2016/048666号
【文献】米国仮出願第61/733,518号
【文献】米国仮出願第61/793,530号
【文献】米国仮出願第61/886,916号
【文献】米国仮出願第61/892,188号
【文献】PCT出願第PCT/US2013/073349号
【文献】米国特許出願第14/650,128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、それを必要とする対象のための予防的又は治療的な方法におけるPCSK9の合成を阻害するRNA干渉(RNAi)剤の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、対象においてLDL-Cを低下させる方法に関する。この方法は、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み、ここで、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、対象における心血管イベントを予防する方法に関する。この方法は、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み、ここで、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、対象における心血管死亡率及び/又は罹患率を低減させる方法に関する。この方法は、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み、ここで、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号2のヌクレオチド配列を含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、対象は、ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態(ASCVD risk equivalent)、心血管疾患(CVD)のリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、又はホモ接合型家族性高コレステロール血症を患っていてもよく、低密度リポタンパク質コレステロールを低下させる必要があるか、若しくは、そうでなければ、LDL-Cの低減から利益を得るであろう障害を有するか、又はそれらの組み合わせを有する。
【0014】
さらなる態様では、本発明はASCVDの発症を予防する方法に関する。この方法は、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み、ここで、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
【0015】
別の態様において、本発明は、ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、CVDのリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、その組み合わせを有する、対象を治療する方法に関する。この方法は、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み、ここで、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、この方法は急性冠症候群及び/又は高いLDL-Cレベルを治療するためのものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば約100mg/dlなど、約70mg/dlよりも高いベースラインLDL-Cを有していてもよい。
【0018】
ある特定の実施形態では、対象はRNAi剤を1回より多く投与される。例えば、対象はRNAi剤を複数回投与されうる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、約1週間に1回、約2週間に1回、約1か月に1回、約2か月に1回、約3か月に1回、約4か月に1回、約6か月に1回、約1年に1回など、一定の間隔でRNAi剤の投与を受ける。
【0019】
ある特定の実施形態では、方法は、RNAi剤の投与前に対象を評価する工程を含む。評価は、脂質パラメータを含む、対象の1つ又は複数の生化学的パラメータを測定することを含み得る。RNAi剤の投与前に測定され得るパラメータの例は、LDL-C、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、PCSK9、総コレステロール、トリグリセリド、非HDL-C、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL-C)、アポリポタンパク質A1(Apo-A1)、アポリポタンパク質B(Apo-B)、リポタンパク質(a)(Lp(a))、C反応性タンパク質(CRP)、糖化ヘモグロビンA1c、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリ性アミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、及び総ビリルビンのレベルを含む。いくつかの実施形態では、RNAi剤の投与前の対象の評価は、生化学的パラメータのベースライン測定値を提供する。ある特定の実施形態において、RNAi剤の投与前の対象の評価は、RNAi剤の量、RNAi剤の投与のタイミングなどのRNAi剤の投与について決定及び/又は影響する。
【0020】
ある特定の実施形態では、方法は、RNAi剤の1回又は複数回の用量の間に対象を評価する工程を含む。評価は、脂質パラメータを含む、対象の1つ又は複数の生化学的パラメータに対して測定を行うことを含み得る。RNAi剤の1回又は複数回の用量の間に測定され得るパラメータの例は、LDL-C、HDL-C、PCSK9、総コレステロール、トリグリセリド、非HDL-C、VLDL-C、Apo-A1、Apo-B、Lp(a)、CRP、糖化ヘモグロビンA1c、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリアミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、及び総ビリルビンのレベルを含む。いくつかの実施形態において、評価の結果は、RNAi剤の量、RNAi剤の投与のタイミングなど、RNAi剤のその後の投与(1回又は複数回)について決定及び/又は影響し得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、RNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cのレベルを約20%より多く低減させる。ある特定の実施形態において、ベースラインレベルと比較して約20%を超えるLDL-Cのレベルの低減は、RNAi剤が投与された後、15日以上の間、15日以上の時点で、又は15日以上にわたって維持される。
【0022】
いくつかの実施形態において、RNAi剤の投与は、PCSK9のベースラインレベルと比較して、PCSK9のレベルを約25%より多く低減させる。ある特定の実施形態では、ベースラインレベルと比較して約25%を超えるPCSK9のレベルの低減は、RNAi剤が投与された後、30日以上の間、30日以上の時点で、又は30日以上にわたって維持される。
【0023】
いくつかの実施形態では、対象は、スタチンなどのバックグラウンド脂質低下療法を受けていてもよい。ある特定の実施形態では、対象は、バックグラウンド脂質低下療法を続けながら、RNAi剤を投与される。ある特定の実施形態では、対象は、最大限に許容されるスタチン療法を受けていてもよい。或いは、対象は、エゼチミブ又はLDLアフェレーシスを受けていてもよい。
【0024】
他の実施形態では、対象は、バックグラウンド脂質低下療法を受けていない。
【0025】
ある特定の実施形態では、対象は、活動性肝疾患を有していない。例えば、対象は、正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ及び/又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼのベースラインレベルを示さないことがある。いくつかの実施形態において、対象は、ULNの1.5倍を超える総ビリルビンのベースラインレベルを示さないことがある。
【0026】
別の態様において、本発明は、以下の方法において使用するためのRNAi剤に関する:(i)対象におけるLDL-Cを低下させること;(ii)対象における心血管イベントを予防すること;(iii)対象における心血管死亡率及び/又は罹患率を低減させること;(iv)対象におけるASCVDの発症を予防すること;(v)ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、CVDのリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する、対象を治療すること。RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。これらの方法は、対象に有効量のRNAi剤を投与する工程を含む。
【0027】
本発明は、以下の詳細な説明及び図面によってさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に従うRNAi剤を示す。
図1は、出現順に、配列番号4、3、及び3をそれぞれ開示している。
【
図2】実施例において論じられている研究において使用された投与スケジュールの要約を示す。
【
図3】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の単回投与後、360日目までのLDL-Cの平均パーセント変化を示す。
【
図4】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の単回投与後、並びに100-mg用量、200-mg用量、及び300mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後、360日目までのLDL-Cの時間調整平均パーセント変化を示す。
【
図5】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の単回投与後、並びに100-mg用量、200-mg用量、及び300-mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後、360日目までのLDL-Cの時間調整平均絶対変化を示す。
【
図6A】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の単回投与後の個々の患者の、ベースラインと270日目との間におけるLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図6B】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の単回投与後の個々の患者の、ベースラインと360日目との間におけるLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図7】本発明の実施形態に従う、100-mg用量、200-mg用量、及び300-mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後、360日目までのLDL-Cの平均パーセント変化を示す。
【
図8】本発明の実施形態に従う、300-mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後の個々の患者のベースラインと180日目との間のLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図9A】本発明の実施形態に従う、100-mg用量、200-mg用量、及び300-mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後の個々の患者のベースラインと270日目との間のLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図9B】本発明の実施形態に従う、100-mg用量、200-mg用量、及び300-mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後の個々の患者のベースラインと360日目との間のLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図10A】
図10Aから
図10Cは、本発明の実施形態に従う、2回用量プラセボ群に無作為に割り当てられた各患者(61名の患者)についてのベースラインから180日目までのLDL-Cの変化を示す。破線は、1デシリットル当たり39mg及び1デシリットル当たり78mgのLDL-C低減を表す(コレステロールの値を1リットル当たりのミリモル数に変換するためには0.02586を掛ける)。
【
図10B】本発明の実施形態に従う、2回用量300-mgRNAi剤群に無作為に割り当てられた各患者(59名の患者)についてのベースラインから180日目までのLDL-Cの変化を示す。破線は、1デシリットル当たり39mg及び1デシリットル当たり78mgのLDL-C低減を表す(コレステロールの値を1リットル当たりのミリモル数に変換するためには0.02586を掛ける)。
【
図10C】本発明の実施形態に従う、2回用量300-mgRNAi剤群に無作為に割り当てられた各患者(59名の患者)についてのベースラインから240日までのLDL-Cの変化を示す。破線は、1デシリットル当たり39mg及び1デシリットル当たり78mgのLDL-C低減を表す(コレステロールの値を1リットル当たりのミリモル数に変換するためには0.02586を掛ける)。
【
図11A】本発明の実施形態に従う、300-mg用量としての1日目におけるRNAi剤の投与後の、個々の患者のベースラインから90日目及び270日目までのLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図11B】本発明の実施形態に従う、300mg用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後の、個々の患者のベースラインから90日目及び270日目までのLDL-Cのパーセント変化を示す。
【
図12】本発明の実施形態に従う、200-mg用量、300-mg用量、及び500-mg用量としての1日目おけるRNAi剤の単回投与後、270日目までのPCSK9レベルの平均パーセント変化を示す。
【
図13】本発明の実施形態に従う、100-mg用量、200-mg用量、及び300mg-用量としての1日目及び90日目におけるRNAi剤の投与後、270日目までのPCSK9レベルの平均パーセント変化を示す。
【
図14】本発明の実施形態に従う、300-mg用量として年2回又は年3回投与されるRNAi剤の投与後22か月までのLDL-Cのモデル化された結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、少なくとも部分的に、PCSK9タンパク質のレベルを低減させる手段としての低分子干渉RNA(siRNA)分子の使用に基づいており、これは次いでLDL-Cレベルを低下させる。RNA干渉を介して、siRNAは、細胞内でRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に結合し、これは、PCSK9をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を切断することを可能とする。切断されたmRNAは分解され、したがってタンパク質翻訳に利用できず、その結果、PSCK9タンパク質レベルが減少し、結果として、LDL-Cレベルが減少する。
【0030】
したがって、本発明は、対象においてLDL-Cを低下させる方法であって、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。本発明はまた、対象おける心血管イベントを予防する方法であって、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。さらに、本発明は、対象における心血管死亡率及び/又は罹患率を低減させる方法であって、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。これらの方法に関して、対象は、ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、CVDのリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有し得る。
【0031】
さらに、本発明は、対象におけるASCVDの発症を予防する方法であって、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0032】
加えて、本発明は、ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、CVDのリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する対象を治療する方法を提供する。本方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含み得る。
【0033】
さらに、本発明は、本明細書に記載の方法において使用するための、すなわち、対象におけるLDL-Cを低下させること;対象における心血管イベントを予防すること;対象における心血管死亡率及び/若しくは罹患率を低下させること;対象におけるASCVDの発症を予防すること;並びに/又は、ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、CVDのリスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する対象を治療することにおいての使用のためのRNAi剤に関する。
【0034】
いくつかの実施形態では、心血管イベントは、死亡、致命的でない心筋梗塞、重度の再発性虚血、脳卒中、症候性肺塞栓症、及び出血を含むがこれらに限定されない、主要な有害心血管イベントであり得る。
【0035】
LDL-Cを低下させる、及び/又は心血管イベントを予防する方法は、ASCVDを有するか、又は「ASCVDとリスクが同等な状態」にある対象に向けられ得る。ある特定の実施形態において、対象は、以下のうちの1つ又は複数を有する場合、「ASCVDとリスクが同等な状態」であり得る: フラミンガムリスクスコア(スコア>20%)又は同等の方法で評価された心血管イベントの10年リスクが100mg/dl未満の目標LDL-Cを有する対象を含む、症候性アテローム性動脈硬化症、2型糖尿病、家族性高コレステロール血症。いくつかの実施形態では、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有し得る。
【0036】
LDL-Cを低下させる、及び/又は心血管イベントを予防する方法はまた、ASCVDを有する、「ASCVDとリスクが同等な状態」にある、又は、そうでなければ心臓の健康問題を発症する可能性を有する1つ又は複数の症状又は危険因子を呈する対象に向けられ得る。そのような症状/危険因子は、急性冠症候群を有すること;心筋梗塞、安定若しくは不安定狭心症、冠動脈若しくは他の動脈の血行再建術、脳卒中、一過性虚血性発作、又はアテローム性動脈硬化起源の末梢動脈疾患の病歴を有すること;男性であること;心疾患、ASCVD、又はASCVDとリスクが同等な状態の家族歴を有すること;喫煙習慣があること;身体的に活動的でないこと;高血圧を有すること;血中コレステロールが高いこと;糖尿病又は前糖尿病状態を有すること;太りすぎ又は肥満であること;妊娠中における子癇前症の病歴があること;ストレス及び/又は怒りを管理できないこと;閉経後であること;例えば塩分、飽和脂肪、トランス脂肪、コレステロール、及び/又は精製糖を多く含む食事などの不健康な食事;55歳以上であること;睡眠時無呼吸を有すること;貧血であること;又は、それらの組み合わせを含み得る。したがって、本方法は、例えば、若いが心臓疾患の家族歴を有する対象、又は喫煙するが高血圧ではない対象に向けられ得る。ある特定の実施形態では、本方法は、以前に心臓イベントを経験したことがある対象に向けられてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与することを含む、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有する対象においてLDL-Cを低下させること、及び/又は心血管イベントを予防することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ASCVDを有する対象におけるLDL-Cを低下させること、及び/又は心血管イベントを予防することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ASCVDとリスクが同等な状態を有する対象においてLDL-Cを低下させること、及び/又は心血管イベントを予防することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する対象においてLDL-Cを低下させること、及び/又は心血管イベントを予防することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有する対象を治療することについてのものであり得る。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量といった有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ASCVDを有する対象を治療することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ASCVDとリスクが同等な状態を有する対象を治療することについてのものであり得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を投与する工程を含む、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する対象を治療することについてのものであり得る。これらの実施形態では、RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり得、ここでアンチセンス鎖は、配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む。対象は、脂
質レベルを改善するように設計された食事を受けていてもよく、且つ/又は、スタチン、エゼチミブ、若しくはLDLアフェレーシスなどのLDL低下療法を受けていてもよい。いくつかの実施形態において、対象は、最大限に許容されるスタチン療法を受けていてもよい。さらに、対象はLDL-Cのさらなる低下を必要としてもよい。
【0038】
ある特定の実施形態では、RNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、又は約55%より多く、又は約60%より多く、LDL-Cのレベルを低減させ得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、RNAi剤が投与された後のLDL-Cのレベルの低減は、RNAi剤の投与後、約15日以上、又は約20日以上、又は約30日以上、又は40日以上、又は約50日以上、又は約60日以上、又は約70日以上、又は約80日以上、又は約90日以上、又は約100日以上、又は約110日以上、又は約120日以上、又は約130日以上、又は約140日以上、又は約150日以上、又は約160日以上、又は約170日以上、又は約180日以上、又は約190日以上、又は約200日以上、又は約210日以上、又は約220日以上、又は約230日以上、又は約240日以上、又は約250日以上、又は約260日以上、又は約270日以上、又は約280日以上、又は約290日以上、又は約300日以上、又は約310日以上、又は約320日以上、又は約330日以上、又は約340日以上、又は約350日以上、又は約360日以上の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。
【0040】
約100mgの投与量におけるRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cのレベルを約15%より多く、又は約20%より多く、低減し得る。LDL-Cのこの低減は、約30日、又は約60日、又は約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持することができる。いくつかの実施形態では、ベースラインのLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、30日目において約40%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。
【0041】
約200mgの投与量におけるRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、約15%より多く、又は約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、LDL-Cのレベルを低減させ得る。このLDL-Cの低減は、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又は約330日、又は約360日、又はそれ以上の日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、30日目において約40%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約30%超であり得、約30日、約60日、約90日、約120日、約150日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、180日目において、又は180日目まで約5%超であり得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約20%超であり得、約30日、又は約60日、又は90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又は約330日、又は約360日の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、180日目において約25%超、又は270日目に約25%超、又は360日目に約30%超であり得る。
【0042】
約300mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、約15%超、又は約20%超、又は約25%超、又は約30%超、又は約40%超、LDL-Cのレベルを低減させ得る。このLDL-Cの低減は、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又は約330日、又は約360日、又はそれ以上の日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、30日目において約45%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約40%超であり得、約30日、約60日、約90日、約120日、約150日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのLDL-Cのレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約35%超であり得、約30日、又は約60日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約30%超であり得、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又は約330日、又は約360日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、180日目において約35%超、又は270日目において約30%超、又は360日目において約30%超であり得る。
【0043】
約500mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、約15%超、又は約20%超、又は約25%超、又は約30%超、又は約40%超、LDL-Cのレベルを低減させ得る。このLDL-Cの低減は、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又は約330日、又は約360日、又はそれ以上の日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、30日目において約50%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約40%超であり得、約30日、約60日、約90日、約120日、約150日、約180日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、15日目において約35%超であり得、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、LDL-Cの低減は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、15日目において約30%超であり得、約30日、又は約60日、又は約90日、又は約120日、又は約150日、又は約180日、又は約210日、又は約240日、又は約270日、又は約300日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較したLDL-Cの低減は、180日目において約40%超、又は270日目において約30%超、又は360日目において約30%超であり得る。
【0044】
90日目における第2の用量のRNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cのレベルをさらに低減させ得る。例えば、1日目における約100mg用量のRNAi剤の投与後、90日目における約100mg用量のRNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、104日目から120日目及び/若しくは150日目までに約40%超;104日目から120日目、150日目及び/若しくは180日目までに約35%超;104日から120日目、150日目、180日目及び/若しくは210日目までに約30%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目及び/若しくは270日目までに約25%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目、300日目及び/若しくは330日目までに約20%超;並びに/又は、104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目、300日目、330日目及び/若しくは360日目までに約10%超、LDL-Cのレベルを低減させ得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cの低減は、180日目において約35%超、又は270日目において約25%超、又は360日目において約10%超であり得る。
【0045】
1日目における約200mg用量のRNAi剤の投与後、90日目における約200mg用量のRNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、104日目から120日目及び/若しくは150日目までに約45%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目及び/若しくは240日目までに約40%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目及び/若しくは300日目までに約35%超;並びに/又は、104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目、300日目、330日目及び/若しくは360日目までに約30%超、LDL-Cレベルを低減させ得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cの低減は、180日目において約40%超、又は270日目において約35%超、又は360日目において約30%超であり得る。
【0046】
1日目における約300mg用量のRNAi剤の投与後、90日目における約300mg用量のRNAi剤の投与は、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、第104日から120日目、150日目、180日目及び/若しくは210日目までに約50%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目及び/若しくは300日目までに約40%超;104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目、300日目及び/若しくは310日目までに約35%超;並びに/又は、104日目から120日目、150日目、180日目、210日目、240日目、270日目、300日目、330日目及び/若しくは360日目までに約30%超、LDL-Cのレベルを低減させ得る。ある特定の実施形態では、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cの低減は、180日目において約50%超、又は270日目において約40%超、又は360日目において約30%超であり得る。
【0047】
ある特定の実施形態では、RNAi剤の投与は、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、又は約55%より多く、又は約60%より多く、又は約65%より多く、又は約50%より多く、又は約70%より多く、又は約75%より多く、又は約80%より多く、又は約85%より多く、又は約90%より多く、又は約95%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、PCSK9のレベルの低減は、RNAi剤の投与後、約15日以上、又は約20日以上、又は約30日以上、又は約40日以上、又は約50日以上、又は約60日以上、又は約70日以上、又は約80日以上、又は約90日以上、又は約100日以上、又は約110日以上、又は約120日以上、又は約130日以上、又は約140日以上、又は約150日以上、又は約160日以上、又は約170日以上、又は約180日以上、又は約190日以上、又は約200日以上、又は約210日以上、又は約220日以上、又は約230日以上、又は約240日以上、又は約250日以上、又は約260日以上、又は約270日以上、又は約280日以上、又は約290日以上、又は約300日以上、又は約310日以上、又は約320日以上、又は約330日以上、又は約340日以上、又は約350日以上、又は約360日以上の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。
【0049】
約100mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、PCSK9レベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約30日間、又は約60日間、又は約90日間、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。
【0050】
約200mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約30日間、又は約60日間、又は約90日間、又はより長い日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、30日目において約60%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、300日目まで約30%超であり得る。
【0051】
約300mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、又は約55%より多く、又は約60%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約30日間、又は約60日間、又は約90日間、又はより長い日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、30日目において約60%超であり得、約60日、約90日、若しくはより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。ある特定の実施形態では、ベースラインPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、300日目まで約30%超であり得る。
【0052】
約500mgの投与量のRNAi剤の投与は、15日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、又は約55%より多く、又は約60%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約30日間、又は約60日間、又は約90日間、又はより長い日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、30日目において約70%超であり得、約60日、約90日、又はより長い日数の間、これらの日数の時点で、又はこれらの日数にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、300日目まで約30%超であり得る。
【0053】
1日目における約100mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約100mg用量のRNAi剤の投与は、104日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約120日の間、約120日の時点で、又は約120日にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、104日目において約30%超であり得、約150日の間、約150日の時点で、又は約150日にわたって維持され得る。
【0054】
1日目における約200mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約200mg用量のRNAi剤の投与は、104日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約120日の間、約120日の時点で、又は約120日にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、104日目において約40%超であり得、約150日の間、約150日の時点で、又は約150日にわたって維持され得る。
【0055】
1日目における約300mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約300mg用量のRNAi剤の投与は、104日目までに、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、約20%より多く、又は約25%より多く、又は約30%より多く、又は約35%より多く、又は約40%より多く、又は約45%より多く、又は約50%より多く、PCSK9のレベルを低減させ得る。このPCSK9の低減は、約120日の間、約120日の時点で、若しくは約120日にわたって、又は150日にわたって維持され得る。いくつかの実施形態では、ベースラインのPCSK9レベルと比較して、PCSK9の低減は、120日目において約50%超又は約55%超であり得、約150日の間、約150日の時点で、又は約150日にわたって維持され得る。
【0056】
約100mgの投与量のRNAi剤の投与は、90日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、90日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。
【0057】
約200mgの投与量のRNAi剤の投与は、90日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、90日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。いくつかの実施形態では、180日目において、総コレステロールの低減は約15%超、非HDL-Cは約25%超、そしてApo-Bは約20%超である。
【0058】
約300mgの投与量のRNAi剤の投与は、90日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、若しくは約40%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、90日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。
【0059】
約500mgの投与量のRNAi剤の投与は、90日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、若しくは約40%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;90日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、若しくは約40%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、90日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。いくつかの実施形態では、180日目において、総コレステロールの低減は約25%超であり、Apo-Bは約30%超である。
【0060】
1日目における約100mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約100mg用量のRNAi剤の投与は、180日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、180日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。
【0061】
1日目における約200mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約200mg用量のRNAi剤の投与は、180日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、180日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。
【0062】
1日目における約300mg用量のRNAi剤の投与に続く90日目における約300mg用量のRNAi剤の投与は、180日目までに、ベースラインの総コレステロールレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、総コレステロールレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインの非HDL-Cレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、若しくは約40%より多く、若しくは約45%より多く、非HDL-Cのレベルを低減させ;180日目までに、ベースラインのApo-Bレベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、若しくは約30%より多く、若しくは約35%より多く、若しくは約40%より多く、Apo-Bのレベルを低減させ;且つ/又は、180日目までに、ベースラインのLp(a)レベルと比較して、約5%より多く、若しくは約10%より多く、若しくは約15%より多く、若しくは約20%より多く、若しくは約25%より多く、Lp(a)のレベルを低減させ得る。
【0063】
ある特定の実施形態では、本方法は、RNAi剤の投与前に対象を評価する工程をさらに含み得る。評価は、RNAi剤の投与の前であれば同日に行われてもよく、又は、1日前、又は2日前、又は3日前、又は5日前、又は6日前、又は7日前、又は8日前、又は9日前、又は10日前、又は11日前、又は12日前、又は13日前、又は14日前に行われてもよい。いくつかの実施形態では、評価は、RNAi剤の投与の前に2日以上にわたって実施されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、評価は、年齢、身長、体重、肥満度指数、人種、性別、対象がいかなる他の治療(例えばスタチンなどの脂質低下療法)を受けているかどうか、心血管疾患の診断及び糖尿病の診断、心拍数、血圧、心電図パラメータなどを含むが限定されずに、対象の1つ若しくは複数の生理学的パラメータ又は特徴を測定することを含み得る。
【0065】
ある特定の実施形態において、評価は、対象の1つ又は複数の生化学的パラメータを測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、RNAi剤の投与前に測定された値は「ベースライン」の測定値とみなされ得る。脂質パラメータを含む生化学的パラメータの例は、LDL-C、HDL-C、PCSK9、総コレステロール、トリグリセリド、非HDL-C、VLDL-C、Apo-A1、Apo-B、Lp(a)、CRP、糖化ヘモグロビンA1c、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリアミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、及び総ビリルビンのレベルであり得るが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態において、RNAi剤の投与前の対象の評価は、生化学的パラメータのベースライン測定値を提供し得る。ある特定の実施形態において、RNAi剤の投与前の対象の評価は、例えばRNAi剤の量、RNAi剤の投与のタイミングなど、RNAi剤の投与について決定及び/又は影響し得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、本方法は、RNAi剤の1回又は複数回の用量の間に対象を評価することを含み得る。評価は、投与の間、例えば、RNAi剤の投与後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、20日、21日、28日、30日、35日、40日、42日、45日、49日、50日、56日、60日、63日、70日、77日、80日、84日、及び/又は90日の間に、脂質パラメータを含む、対象の1つ又は複数の生化学的パラメータについて測定を行うことを含み得る。生化学的測定値は、LDL-C、HDL-C、PCSK9、総コレステロール、トリグリセリド、非HDL-C、VLDL-C、Apo-A1、アポリポタンパク質B、Lp(a)、CRP、糖化ヘモグロビンA1c、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アルカリアミノトランスフェラーゼ、クレアチンキナーゼ、及び総ビリルビンのレベルを含み得るが、これらに限定はされない。
【0067】
いくつかの実施形態において、RNAi剤の1回又は複数回の用量の間の評価は、体重、肥満度指数、心拍数、血圧、心電図パラメータなどを含むが、これらに限定はされない、生理学的パラメータ又は対象の特徴を測定し得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、評価の結果は、RNAi剤の量、RNAi剤の投与のタイミングなどの、RNAi剤のその後の投与(1回又は複数回)について決定及び/又は影響し得る。例えば、測定からの1つ又は複数の結果は、その後のRNAi剤の用量を約5%、若しくは約10%、若しくは約20%、若しくは約30%、若しくは約40%、若しくは約50%、若しくは約60%、若しくは約70%、若しくは約80%、若しくは約90%、又はそれ以上、増加又は減少させ得る。
【0069】
様々な生化学的パラメータが、投与されるRNAi剤の用量について決定/影響し得る。例えば、ULNの2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、及び/又はULNの1.5倍を超える総ビリルビンの測定値は、その後のRNAi剤の用量の低下をもたらし得る。別の例として、10%を超える糖化ヘモグロビンA1cの測定値は、その後のRNAi剤の用量の低下をもたらし得る。ベースラインの測定値から約1%未満、又は約5%未満、又は約10%未満、又は約15%未満低減したLDL-Cの測定値は、その後のRNAi剤の投与の用量の増加をもたらし得る。用量は、例えば、約1%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%、又は約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又はそれ以上、低下又は増加され得る。
【0070】
ある特定の実施形態では、上記のように、RNAi剤の投与前に対象を評価した後、対象は脂質低下療法を施され得る。脂質低下療法は、対象が脂質低下療法を定期的に施される治療レジメンであり得る。いくつかの実施形態では、対象は脂質低下療法に関する以前の経験を有していなくてもよい。ある特定の実施形態では、脂質低下治療レジメンの実施後、対象は、上述のように、脂質パラメータを含む、対象の1つ又は複数の生化学的パラメータについて測定を行うために追加の評価を受けてもよい。対象は次いで、本明細書に記載のRNAi剤を投与され得る。
【0071】
RNAi剤の投与
発明の方法は、予防有効量又は治療有効量など、有効量のRNAi剤を対象に投与する工程を含む。
【0072】
「予防有効量」は、まだ状態の症状を経験又は呈していないものの、状態に罹るおそれのある対象に投与された場合に、状態又は1つ若しくは複数の状態の症状を予防又は改善するのに十分なRNAi剤の量を含み得る。状態を改善することは、状態の経過を遅らせること、又は後に発症する状態の重症度を低減することを含む。「予防有効量」は、RNAi剤、剤の投与方法、状態の危険度、及び病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構成、もしあれば先行又は併用の治療の種類、並びに治療される患者の他の個々の特徴に応じて異なり得る。
【0073】
「治療有効量」は、対象に投与されたときに、(例えば、既存の状態又は1つ若しくは複数の状態の症状を軽減、改善又は維持することによって)状態の治療をもたらすのに十分なRNAi剤の量を含み得る。「治療有効量」は、RNAi剤、剤の投与方法、状態の危険度、及び病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構成、病理過程のステージ、もしあれば先行又は併用の治療の種類、及び治療される患者の他の個々の特徴に応じて異なり得る。
【0074】
「ベースライン」は、治療が施される前など、治療を受けていない状態を指し得る。
【0075】
RNAi剤は、固定用量として対象に投与され得る。「固定用量」(例えばmgでの用量)は、体重などの任意の特定の対象に関連する因子にかかわらず、全ての対象に使用される用量である。或いは、RNAi剤は、体重に基づく用量(例えばmg/kgでの用量)として対象に投与されてもよく、これは、対象の体重に応じて変化するRNAi剤の用量である。対象が複数回用量を受ける実施形態においては、RNAi剤は、固定用量と体重に基づく用量との組み合わせで投与されてもよい。
【0076】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は、約50mgから約800mg、約100mgから約800mg、約150mgから約800mg、約200mgから約800mg、250mgから約800mg、約300mgから約800mg、約350mgから約800mg、約400mgから約800mg、約450mgから約800mg、約500mgから約800mg、約550mgから約800mg、約600mgから約800mg、約650mgから約800mg、約700mgから約800mg、約750mgから約800mg、約50mgから約750mg、約100mgから約750mg、約150mgから約750mg、約200mgから約750mg、約250mgから約750mg、約300mgから約750mg、約350mgから約750mg、約400mgから約750mg、約450mgから約750mg、約500mgから約750mg、約550mgから約750mg、約600mgから約750mg、約650mgから約750mg、約700mgから約750mg、約50mgから約700mg、約100mgから約700mg、約150mgから約700mg、約200mgから約700mg、約250mgから約700mg、約300mgから約700mg、約350mgから約700mg、約400mgから約700mg、約450mgから約700mg、約500mgから約700mg、約550mgから約700mg、約600mgから約700mg、約650mgから約700mg、約50mgから約650mg、約100mgから約650mg、約150mgから約650mg、約200mgから約650mg、約250mgから約650mg、約300mgから約650mg、約350mgから約650mg、約400mgから約650mg、約450mgから約650mg、約500mgから約650mg、約550mgから約650mg、約600mgから約650mg、約50mgから約600mg、約100mgから約600mg、約150mgから約600mg、約200mgから約600mg、約250mgから約600mg、約300mgから約600mg、約350mgから約600mg、約400mgから約600mg、約450mgから約600mg、約500mgから約600mg、約550mgから約600mg、約50mgから約550mg、約100mgから約550mg、約150mgから約550mg、約200mgから約550mg、約250mgから約550mg、約300mgから約550mg、約350mgから約550mg、約400mgから約550mg、約450mgから約550mg、約500mgから約550mg、約50mgから約500mg、約100mgから約500mg、約150mgから約500mg、約200mgから約500mg、約250mgから約500mg、約300mgから約500mg、約350mgから約500mg、約400mgから約500mg、約450mgから約500mg、約50mgから約450mg、約100mgから約450mg、約150mgから約450mg、約200mgから約450mg、約250mgから約450mg、約300mgから約450mg、約350mgから約450mg、約400mgから約450mg、約50mgから約400mg、約100mgから約400mg、約150mgから約400mg、約200mgから約400mg、約250mgから約400mg、約300mgから約400mg、約350mgから約400mg、約50mgから約350mg、約100mgから約350mg、約150mgから約350mg、約200mgから約350mg、約250mgから約350mg、約300mgから約350mg、約50mgから約300mg、約100mgから約300mg、約150mgから約300mg、約200mgから約300mg、又は約250mgから約300mgの固定用量、例えば、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、又は約800mgの固定用量として対象に投与される。先に列挙したものの中間の値及び範囲もまた、本発明の一部であることが意図される。
【0077】
RNAi剤は、例えば、一定の間隔で繰り返す複数回用量として投与され得る。例えば、RNAi剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約1年、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、約18か月、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月、約23か月、約24か月、又はそれ以上の間隔で、例えば慢性投与で対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、固定用量は年に1回又は複数回、すなわち、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、又はより頻繁に対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、固定用量は、約4週間毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、約9週間毎、約10週間毎、約11週間毎、約12週間毎、約13週間毎、約14週間毎、約15週間毎、約16週間毎、約17週間毎、約18週間毎、約19週間毎、約20週間毎、約22週間毎、約24週間毎、約26週間毎、約28週間毎、約30週間毎、約32週間毎、約34週間毎、約36週間毎、約38週間毎、約40週間毎、約42週間毎、約44週間毎、約46週間毎、約48週間毎、約50週間毎、約52週間毎、又はより長い期間毎に1回、対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、固定用量は、1日1回、約2日に1回、約3日に1回、約4日に1回、約5日に1回、約6日に1回、約7日に1回、約8日に1回、約9日に1回、約10日に1回、約11日に1回、約12日に1回、約13日に1回、約14日に1回、約15日に1回、約16日に1回、約17日に1回、約18日に1回、約19日に1回、約20日に1回、約30日に1回、約40日に1回、約50日に1回、約60日に1回、約70日に1回、約80日に1回、約90日に1回、約100日に1回、約110日に1回、約120日に1回、約130日に1回、約140日に1回、約150日に1回、約160日に1回、約170日に1回、約180日に1回、約190日に1回、約200日に1回、約210日に1回、約220日に1回、約230日に1回、約240日に1回、約250日に1回、約260日に1回、約270日に1回、約280日に1回、約290日に1回、約300日に1回、約310日に1回、約320日に1回、約330日に1回、約340日に1回、約350日に1回、約360日に1回、約365日又はそれより長い期間に1回、対象に投与され得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は、密に間隔をあけた投与の「負荷フェーズ」に続き得る、RNAi剤がより長く間隔をあけて投与され得る「維持フェーズ」を含む投薬レジメンで投与され得る。例えば、1か月間1週間に1回又は2週間に1回の投与後、投与が月に1回、6か月又は1年又はそれより長い間、繰り返され得る(例えば慢性投与)。
【0079】
いくつかの実施形態では、負荷フェーズは、最初の1週間、最初の2週間、最初の3週間、最初の1か月などの間のRNAi剤の投与を含み得る。
【0080】
ある特定の実施形態では、1回又は複数回の用量が負荷フェーズの間に投与され得る。負荷フェーズは、1日目におけるRNAi剤の最初の投与と、次いで約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約30日、約40日、約50日、約60日、約70日、約80日、約90日、約100日、約110日、約120日、約130日、約140日、約150日、約160日、約170日、約180日、約190日、約200日、約210日、約220日、約230日、約240日、約250日、260日、約270日、約280日、約290日、約300日、約310日、約320日、約330日、約340日、約350日、約360日、約365日、又はそれより長くの後における1回又は複数回のRNAi剤の投与とを含み得る。いくつかの実施形態において、負荷フェーズは、1日目におけるRNAi剤の投与と、次いで約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約13週間、約15週間、約20週間、約25週間、約26週間、約30週間、約35週間、約40週間、約45週間、約50週間、約52週間、又はそれより長くの後におけるRNAi剤の2回目の投与とを含み得る。ある特定の実施形態において、負荷フェーズは、1日目におけるRNAi剤の投与と、次いで約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、又はそれより長くの後におけるRNAi剤の2回目の投与とを含み得る。いくつかの実施形態では、負荷フェーズは、追加の用量のRNAi剤(すなわち、2回より多い用量)を含み得、そして各投与間の間隔は異なっていてもよい。
【0081】
ある特定の実施形態において、RNA剤は、1日目に、そして再び90日目頃に投与され得る。
【0082】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は負荷フェーズ中に、約50mgから約800mg、約100mgから約800mg、約150mgから約800mg、約200mgから約800mg、250mgから約800mg、約300mgから約800mg、約350mgから約800mg、約400mgから約800mg、約450mgから約800mg、約500mgから約800mg、約550mg、約800mg、約600mgから約800mg、約650mgから約800mg、約700mgから約800mg、約750mgから約800mg、約50mgから約750mg、約100mgから約750mg、約150mgから約750mg、約200mgから約750mg、約250mgから約750mg、約300mgから約750mg、約350mgから約750mg、約400mgから約750mg、約450mgから約750mg、約500mgから約750mg、約550mgから約750mg、約600mgから約750mg、約650mgから約750mg、約700mgから約750mg、約50mgから約700mg、約100mgから約700mg、約150mgから約700mg、約200mgから約700mg、約250mgから約700mg、約300mgから約700mg、約350mgから約700mg、約400mgから約700mg、約450mgから約700mg、約500mgから約700mg、約550mgから約700mg、約600mgから約700mg、約650mgから約700mg、約50mgから約650mg、約100mgから約650mg、約150mgから約650mg、約200mgから約650mg、約250mgから約650mg、約300mgから約650mg、約350mgから約650mg、約400mgから約650mg、約450mgから約650mg、約500mgから約650mg、約550mgから約650mg、約600mgから約650mg、約50mgから約600mg、約100mgから約600mg、約150mgから約600mg、約200mgから約600mg、約250mgから約600mg、約300mgから約600mg、約350mgから約600mg、約400mgから約600mg、約450mgから約600mg、約500mgから約600mg、約550mgから約600mg、約50mgから約550mg、約100mgから約550mg、約150mgから約550mg、約200mgから約550mg、約250mgから約550mg、約300mgから約550mg、約350mgから約550mg、約400mgから約550mg、約450mgから約550mg、約500mgから約550mg、約50mgから約500mg、約100mgから約500mg、約150mgから約500mg、約200mgから約500mg、約250mgから約500mg、約300mgから約500mg、約350mgから約500mg、約400mgから約500mg、約450mgから約500mg、約50mgから約450mg、約100mgから約450mg、約150mgから約450mg、約200mgから約450mg、約250mgから約450mg、約300mgから約450mg、約350mgから約450mg、約400mgから約450mg、約50mgから約400mg、約100mgから約400mg、約150mgから約400mg、約200mgから約400mg、約250mgから約400mg、約300mgから約400mg、約350mgから約400mg、約50mgから約350mg、約100mgから約350mg、約150mgから約350mg、約200mgから約350mg、約250mgから約350mg、約300mgから約350mg、約50mgから約300mg、約100mgから約300mg、約150mgから約300mg、約200mgから約300mg、又は約250mgから約300mgの固定用量として、例えば、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、又は約800mgの固定用量が対象に投与され得る。先に列挙したものの中間の値及び範囲もまた、本発明の一部であることが意図される。
【0083】
いくつかの実施形態では、負荷フェーズの間に投与される各用量のRNAi剤は、同じ投与量でも、又は異なってもよい。
【0084】
ある特定の実施形態において、RNAi剤は、1日目に約300mgの用量として、そして90日目頃又は90日目に約300mgの用量として投与され得る。
【0085】
ある特定の実施形態では、維持フェーズは、対象への1又は複数用量のRNAi剤の投与を含み得る。投与は、月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、5か月に1回、6か月に1回、7か月に1回、8か月に1回、9か月に1回、10か月に1回、11か月に1回、12か月に1回、1年に1回、13か月に1回、14か月に1回、15か月に1回、16か月に1回、17か月に1回、18か月に1回、19に1回月、20か月に1回、21か月に1回、22か月に1回、23か月に1回、24か月に1回、25か月に1回、26か月に1回、27か月に1回、28か月に1回、29に1回月、30か月に1回、31か月に1回、32か月に1回、33か月に1回、34か月に1回、35か月に1回、36か月に1回、37か月に1回、38か月に1回、39に1回月、40か月に1回、41か月に1回、42か月に1回、43か月に1回、44か月に1回、45か月に1回、46か月に1回、47か月に1回、48か月に1回、又はそれより長くに1回であり得る。特定の一実施形態では、維持用量は、3か月に1回、又は6か月に1回、又は9か月に1回、又は1年に1回投与される。
【0086】
本発明の実施形態において、維持フェーズは、例えば、一定の間隔で繰り返す複数回用量としてのRNAi剤の投与を含み得る。例えば、RNAi剤は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約1年、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、約18か月、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月、約23か月、約24か月、又はそれより長いの間隔で、例えば慢性投与で対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、固定用量は年に1回又は複数回、すなわち、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、又はより頻繁に対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、固定用量は、約4週間毎、約5週間毎、約6週間毎、約7週間毎、約8週間毎、約9週間毎、約10週間毎、約11週間毎、約12週間毎、約13週間毎、約14週間毎、約15週間毎、約16週間毎、約17週間毎、約18週間毎、約19週間毎、約20週間毎、約22週間毎、約24週間毎、約26週間毎、約28週間毎、約30週間毎、約32週間毎、約34週間毎、約36週間毎、約38週間毎、約40週間毎、約42週間毎、約44週間毎、約46週間毎、約48週間毎、約50週間毎、約52週間毎、又はより長い間毎に1回、対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、固定用量は、1日1回、約2日に1回、約3日に1回、約4日に1回、約5日に1回、約6日に1回、約7日に1回、約8日に1回、約9日に1回、約10日に1回、約11日に1回、約12日に1回、約13日に1回、約14日に1回、約15日に1回、約16日に1回、約17日に1回、約18日に1回、約19日に1回、約20日に1回、約30日に1回、約40日に1回、約50日に1回、約60日に1回、約70日に1回、約80日に1回、約90日に1回、約100日に1回、約110日に1回、約120日に1回、約130日に1回、約140日に1回、約150日に1回、約160日に1回、約170日に1回、約180日に1回、約190日に1回、約200日に1回、約210日に1回、約220日に1回、約230日に1回、約240日に1回、約250日に1回、約260日に1回、約270日に1回、約280日に1回、約290日に1回、約300日に1回、約310日に1回、約320日に1回、約330日に1回、約340日に1回、約350日に1回、約360日に1回、約365日又はそれより長い間に1回、対象に投与され得る。
【0087】
ある特定の実施形態では、維持フェーズは、約3か月毎、約4か月毎、約6か月毎、約9か月毎、又は約1年毎における、対象へのRNAi剤の用量の投与を含み得る。
【0088】
維持用量(1又は複数)は、負荷量(1又は複数)と同じでも、異なっていてもよい。例えば、対象に投与される維持用量は、約25mgから約800mg、例えば約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、725mg、約750mg、約775mg、又は約800mgであり得る。先に列挙したものの中間の値及び範囲もまた、本発明の一部であることが意図される。
【0089】
ある特定の実施形態において、維持フェーズは、3か月毎、4か月毎、6か月毎、9か月毎、又は毎年における300mg用量のRNAi剤の対象への投与を含み得る。
【0090】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は、(1)RNAi剤が1日目及び90日目頃に300mg用量として投与される負荷フェーズ;及び(2)RNAi剤が90日目頃の投与後、約6か月毎に300mgとして投与される維持フェーズを含む投薬レジメンで投与されてもよい。
【0091】
RNAi剤は、皮下、静脈内、筋肉内、眼内、気管支内、胸膜内、腹腔内、動脈内、リンパ内、脳脊髄内、及びそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の任意の投与様式を用いて対象に投与され得る。好ましい実施形態において、薬剤は皮下投与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、投与は蓄積注射を介する。蓄積注射は、皮下注射又は筋肉内注射を含み得る。ある特定の実施形態において、蓄積注射は皮下注射である。
【0093】
いくつかの実施形態では、投与はポンプを介する。ポンプは外部ポンプ又は外科的に埋め込まれたポンプであり得る。ある特定の実施形態では、ポンプは皮下に移植された浸透圧ポンプである。他の実施形態では、ポンプはインフュージョンポンプである。インフュージョンポンプは、静脈内、皮下、動脈内、又は硬膜外インフュージョンのために使用され得る。ある特定の実施形態において、インフュージョンポンプは皮下インフュージョンポンプである。他の実施形態では、ポンプは、RNAi剤を肝臓に送達する外科的に埋め込まれたポンプである。
【0094】
他の投与様式は、硬膜外、脳内、脳室内、鼻腔内、動脈内、心臓内、骨内注入、くも膜下腔内、及び硝子体内、肺、経口、局所、気管内、表皮、又は経皮を含む。投与様式は、局所治療が望ましいか全身治療が望ましいかに基づいて、及び、治療される領域に基づいて選択され得る。投与経路及び投与部位は、標的化を増強するために選択され得る。
【0095】
RNAi剤は、約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、又は60分間、又はそれ以上などの期間にわたる静脈内注入によって投与され得る。投与は、例えば、毎週、隔週(すなわち2週間毎)など、定期的に1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、又はそれより長い間、繰り返されてもよい。初期治療レジメンの後、治療は、より少ない頻度で投与され得る。例えば、1週間に1回又は2週間に1回、3か月間の投与後、投与は、6か月間又は1年間又はそれより長い間、1か月に1回、繰り返され得る。
【0096】
RNAi剤は、1つ又は複数の他の予防剤又は治療剤と組み合わせて投与されてもよい。RNAi剤は、1つ若しくは複数の他の予防剤又は治療剤と同じ製剤中にあってもよく、或いはRNAi剤は、1つ若しくは複の他の予防剤又は治療剤とは異なる製剤中にあってもよい。RNAi剤及び1つ若しくはの他の予防剤又は治療剤は、同時に、又は互いに短い期間内に、例えば、約1分以内、又は約5分以内、又は約15分以内、又は約30分以内、又は約60分以内、又は約2時間以内、又は約3時間以内、又は約4時間以内、又は約6時間以内、又は約9時間以内、又は約12時間以内、又は約15時間以内、又は約18時間以内、又は約24時間以内に投与され得る。
【0097】
1つ又は複数の他の予防剤又は治療剤は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、又は脂質異常症などといった脂質障害を治療することが知られているものを含む。例えば、1つ又は複数の他の予防剤又は治療剤は、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、ナイアシン、抗血小板剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、コレステロールエステルトランスファータンパク質(CETP)阻害剤、ミクロソームトリグリセリドトランスファータンパク質(MTTP)阻害剤、コレステロール調節剤、胆汁酸調節剤、ペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)アゴニスト、遺伝子ベースの治療、複合血管保護剤(例えばアテロジェニクス社製のAGI-1067)、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、アスピリン又はアスピリン様化合物、IBAT阻害剤、スクアレンシンターゼ阻害剤、又は単球走化性タンパク質(MCP)-I阻害剤であり得る。さらなる例として、1つ又は複数の他の予防剤又は治療剤は、例えば、アリロクマブ(プラレント社)、エボロクマブ(レパタ社)、ボコシズマブ、ロデルシズマブ、ラルパンチズマブ、RG7652、LY3015014、LPD1462、AX1、ALD1306、又はIg1-PA4など、抗PCSK9抗体であり得る。
【0098】
RNAi剤を投与される対象
RNAi剤を投与される対象は、ヒト又は非ヒト動物であり得、ある特定の実施形態では脊椎動物、そして特定の実施形態では哺乳動物であり得る。好ましい実施形態において、対象はヒトである。ある特定の実施形態では、対象は成人である。いくつかの実施形態では、対象は患者である。
【0099】
対象は、約70mg/dl以上のベースラインLDL-Cレベルを有し得る。ある特定の実施形態において、ベースラインLDL-Cレベルは、約80mg/dl以上、又は約90mg/dl以上、又は約100mg/dl以上、又は約110mg/dl以上、又は約120mg/dl以上、又は約130mg/dl以上、又は約140mg/dl以上、又は約150mg/dl以上、又は約160mg/dl以上、又は約170mg/dl以上。又は約180mg/dl以上、又は約190mg/dl以上、又は約200mg/dl以上、又は約210mg/dl以上、又は約220mg/dl以上、又は約230mg/dl以上、又は約240mg/dl以上、又は約250mg/dl以上、又は約260mg/dl以上、又は約270mg/dl以上、又は約280mg/dl以上、又は約290mg/dl以上、又は約300mg/dl以上である。
【0100】
いくつかの実施形態では、対象はLDL-Cの低下を必要とする。LDL-Cの低下を必要とし得る対象は、約50mg/dl以上、又は約60mg/dl以上、又は約70mg/dl以上、又は約80mg/dl以上、又は約90mg/dl以上、又は約100mg/dl以上、又は約110mg/dl以上、又は約120mg/dl以上、又は約130mg/dl以上、又は約140mg/dl以上、又は約150mg/dl以上、又は約160mg/dl以上、又は約170mg/dl以上、又は約180mg/dl以上、又は約190mg/dl以上、又は約200mg/dl以上、又は約210mg/dl以上、又は約220mg/dl以上、又は約230mg/dl以上、又は約240mg/dl以上、又は約250mg/dl以上、又は約260mg/dl以上、又は約270mg/dl以上、又は約280mg/dl以上、又は約290mg/dl以上、又は約300mg/dl以上のLDL-Cレベルを有し得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、対象は活動性肝疾患を有していない。活動性肝疾患は、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、及び総ビリルビンのうちの1つ又は複数の生化学的パラメータを測定することによって判定され得る。生化学的パラメータは、ベースラインにおいて測定され得る。ある特定の実施形態では、対象は、ULNの2倍(2×)以下のアラニンアミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。いくつかの態様において、対象は、約1.5×ULN、又はULNとほぼ同じ、又はULN未満のアラニンアミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、対象は、ULNの2倍(2×)以下のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。ある特定の実施形態では、対象は、約1.5×ULN、又はULNとほぼ同じ、又はULN未満のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、対象は、1.5×ULN以下の総ビリルビンレベルを有し得る。ある特定の態様において、対象は、ULNとほぼ同じ、又はULN未満の総ビリルビンレベルを有し得る。
【0104】
或いは、対象は活動性肝疾患を有していてもよい。ある特定の実施形態では、対象は、約2.5×ULN、又は約3×ULN、又は約3.5×ULN、又は約4×ULN、又はそれ超など、ULNの2倍(2×)を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、約2.5×ULN、又は約3×ULN、又は約3.5×ULN、又は約4×ULN、又はそれ超など、ULNの2倍(2×)を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼレベルを有し得る。ある特定の実施形態では、対象は、約2×ULN、約2.5×ULN、又は約3×ULN、又は約3.5×ULN、又は約4×ULN、又はそれ超など、1.5×ULN を超える総ビリルビンレベルを有し得る。
【0105】
アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、及び総ビリルビンのULNは、当業者には理解されるであろう。
【0106】
いくつかの実施形態では、対象は、バックグラウンド脂質低下療法を受けていてもよい。対象が、RNAi剤を投与されている間、バックグラウンド脂質低下療法を受け続けてもよく、又は対象は、バックグラウンド脂質低下療法を中止してもよい。ある特定の実施形態において、バックグラウンド脂質低下療法はスタチンであり得、その例は、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、及びピタバスタチンを含むが、これらに限定はされない。対象は、最大限に許容されるスタチン療法を受けていてもよい;スタチンの最大投与量は、当技術分野において公知である。
【0107】
いくつかの実施形態では、対象は、エゼチミブ、LDLアフェレーシス、胆汁酸封鎖剤、ニコチン酸、及びフィブラートなど、別の種類の脂質低下療法を受けていてもよい。
【0108】
他の実施形態では、対象は、バックグラウンド脂質低下療法を受けていない。
【0109】
ある特定の実施形態では、対象は、食事療法、例えば脂質レベルを改善するように設計された食事療法を受けていてもよい。そのような食事療法は、当技術分野において公知である。例えば、脂質レベルを改善するように設計された食事療法は、赤身の肉を食べること;肉から脂肪を取り除くこと;揚げ物又は高脂肪のソースを食べないこと;卵黄を食べないこと;スキムミルク又は1%牛乳、低脂肪フローズンヨーグルト、低脂肪アイスクリーム、及び低脂肪チーズなど、低脂肪乳製品を用いること;及び果物や野菜など、繊維源となる食品を食べることを含み得る。
【0110】
対象は、約400mg/dl以下のトリグリセリドレベルを有し得る。例えば、対象は、約380mg/dl、又は約360mg/dl、又は約340mg/dl、又は約320mg/dl、又は約300mg/dl、又は約280mg/dl、又は約260mg/dl、又は約240mg/dl、又は約220mg/dl、又は約200mg/dl、又は約180mg/dl、又は約160mg/dl、又は約140mg/dl、又は約120mg/dl、又は約100mg/dl、又は約80mg/dl、又は約60mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有し得る。
【0111】
他の実施形態では、対象は、約400mg/dl超のトリグリセリドレベルを有し得る。例えば、対象は、約420mg/dl、又は約440mg/dl、又は約460mg/dl、又は約480mg/dl、又は約500mg/dl、又は約520mg/dl、又は約540mg/dl、又は約560mg/dl、又は約580mg/dl、又は約600mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、トリグリセリドレベルはベースラインで測定される。
【0113】
対象は、少なくとも約30ml/分の推算糸球体濾過量(eGFR)を有し得る。例えば、eGFRは、約30ml/分、又は約35ml/分、又は約40ml/分、又は約45ml/分、又は約50ml/分、又はそれ超であり得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、対象は、高コレステロール血症など、高脂血症を有する。ある特定の実施形態において、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有する。他の実施形態において、対象は、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する。
【0115】
或いは、対象は、約25ml/分、又は約20ml/分、又は約15ml/分のeGFRなど、約30ml/分未満のeGFRを有していてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、eGFRはベースラインで測定される。
【0117】
対象は、治療されていないか又は適切に若しくは全く対処されていない2型糖尿病など、十分に管理されていない2型糖尿病を有していなくともよい。十分に管理されていない糖尿病は、少なくとも約10%の糖化ヘモグロビンA1cレベルによって特定され得る。したがって、対象は、約10%未満、例えば約9%、又は約8%、又は約7%、又は約6%、又は約5%、又はそれ未満の糖化ヘモグロビンA1cレベルを有し得る。
【0118】
他の実施形態では、対象は、十分に管理されていない2型糖尿病を有し得、これは、例えば約15%、又は約20%、又は約25%、又は約30%を超える、少なくとも約10%の糖化ヘモグロビンA1cレベルによって証明され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、糖化ヘモグロビンA1cレベルはベースラインで測定される。
【0120】
対象は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)によってクラスII、III、又はIVとして特徴付けられる心不全を有していなくともよい。或いは、対象は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)によりクラスII、III、又はIVとして特徴付けられる心不全を患っていてもよい。
【0121】
対象は、約35%、又は約40%、又は約45%、又は約50%、又はそれ超など、30%以上の心室駆出率を有し得る。他の実施形態では、対象は、約25%、又は約20%、又は約15%、又はそれ未満の心室駆出率など、30%未満の心室駆出率を有し得る。心室駆出率は、ベースラインの測定値として測定されてもよく、又は以前に測定された最後の既知の心室駆出率であってもよい。
【0122】
対象は、RNAi剤の投与の6か月以内に主要心臓有害イベントを経験しなくてもよい。主要心臓有害イベントは、死亡、致命的でない心筋梗塞、重度の再発性虚血、脳卒中、症候性肺塞栓症、及び出血を含むが、これらに限定はされない。いくつかの実施形態では、主要心臓有害イベントは、RNAi剤の投与の約7か月以内、約8か月以内、約9か月以内、約10か月以内、約11か月以内、約12か月以内、約18か月以内、約24か月以内、約30か月以内、約36か月以内、又はより長い期間内に生じておらず、これには、重大な心臓イベントが発生していないことも含まれる。代替的な実施形態では、対象は、約5か月以内、又は約4か月以内、又は約3か月以内、又は約2か月以内、又は約1か月以内、又は約4週間以内、又は約3週間以内、又は約2週間以内、又は約1週間以内、又はそれより早い時期を含む、RNAi剤の投与の6か月以内に主要心臓イベントを経験していてもよい。
【0123】
対象は、重度の高血圧症を有していなくともよい。いくつかの実施形態では、重度の高血圧症は、約190mmHg、又は約200mmHg、又は約220mmHg、又は約240mmHg、又は約260mmHg、又は約280mmHg、又は約300mmHg、又はそれを超える収縮期血圧など、約180mmHgを超える収縮期血圧;並びに/又は、約120mmHg、又は約140mmHg、又は約160mmHg、又は約180mmHg、又は約200mmHg、又は約220mmHg、又は約240mmHg、又はそれを超えるの拡張期血圧など、約110mmHgを超える拡張期血圧によって特定され得る。ある特定の実施形態では、対象は、管理されていない重度の高血圧症を有していなくともよい。管理されていない重度の高血圧症は、抗高血圧療法にもかかわらず、約180mmHgを超える収縮期血圧及び/又は約110mmHgを超える拡張期血圧によって特定され得る。或いは、対象は、重度の高血圧症及び/又は管理されていない重度の高血圧症を有し得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、血圧はベースラインで測定される。
【0125】
対象は、いかなる出血性脳卒中の既往歴を有さなくともよい。或いは、対象は、出血性脳卒中を経験していてもよい。
【0126】
対象は、約4か月以内、又は約5か月以内、又は約6か月以内、又は約7か月以内、又は約8か月以内、又は約9か月以内、又は約10か月以内、又は約11か月以内、又は約12か月以内、又はそれより長い期間内を含む、RNAi剤の投与の3か月以内に心不整脈を有していなくともよい。他の実施形態では、対象は、RNAi剤の投与の3か月以内に心不整脈を有していてもよいが、心不整脈は、例えば投薬によって又は切除によって管理されている。或いは、対象は、3か月以内に、例えば投薬又は切除によって管理されていない心不整脈を有していてもよい。
【0127】
ある特定の実施形態において、対象は、以下のうちの1つ又は複数を有し得る:心筋梗塞、安定又は不安定狭心症、冠動脈又は他の動脈の血行再建術、脳卒中、一過性虚血性発作、又はアテローム性動脈硬化起源の末梢動脈疾患の病歴を有すること;男性であること;心疾患、ASCVD、又はASCVDとリスクが同等な状態の家族歴を有すること;喫煙習慣があること;身体的に活動的でないこと;高血圧を有すること;血中コレステロールが高いこと;糖尿病及び前糖尿病状態を有すること;太りすぎ又は肥満であること;妊娠中における子癇前症の病歴があること; 管理できないストレスや怒りを有すること;閉経後であること;例えば塩分、飽和脂肪、トランス脂肪、コレステロール、及び/又は精製糖を多く含む食事などの不健康な食事;55歳以上であること;睡眠時無呼吸を有すること;貧血であること;又はそれらの組み合わせ。
【0128】
いくつかの実施形態において、対象は、例えば、アルツハイマー病、認知症、記憶喪失などと、認知機能障害を有し得る。いくつかの実施形態では、対象はいかなる認知機能障害を有していない。
【0129】
RNAi剤
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸である。アンチセンス鎖は、配列番号1のヌクレオチド配列、すなわち5'-ACAAAAGCAAAACAGGUCUAGAA-3'を含む。センス鎖は、配列番号2のヌクレオチド配列、すなわち5'-CUAGACCUGUTUUGCUUUUGU-3'を含む。
【0130】
本発明の実施形態において、アンチセンス鎖上の少なくとも1つのヌクレオチド、アンチセンス鎖上の少なくとも1つのヌクレオチド、又はアンチセンス鎖とセンス鎖との両方の少なくとも1つのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、アンチセンス鎖の実質的に全てのヌクレオチド、センス鎖の実質的に全てのヌクレオチド、又はアンチセンス鎖とセンス鎖との両方の実質的に全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、アンチセンス鎖の全ヌクレオチド、センス鎖の全ヌクレオチド、又はアンチセンス鎖とセンス鎖との両方の全ヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。
【0131】
ヌクレオチドに対する修飾は、当技術分野において公知の技術及び方法を用いて行われ得る。修飾は、2016年8月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/048666号及び2015年6月5日に出願された米国出願第14/650,128号に記載されているものを含み得、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態において、アンチセンス鎖又はセンス鎖の1つ又は複数のヌクレオチドは、2'-O-メチル(2'-OMe)又は2'-フルオロ(2'-F)修飾されていてもよい。ある特定の実施形態において、アンチセンス鎖又はセンス鎖の1つ又は複数のヌクレオチドは、3'-5'-ホスホジエステル連結を介して接続されていてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、二本鎖リボ核酸は、リガンドを含む。ある特定の実施形態では、リガンドは、二本鎖リボ核酸のセンス鎖の3'末端にコンジュゲートされている。リガンドの例は、2016年8月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/048666号及び2015年6月5日に出願された米国出願第14/650,128号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、リガンドは、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)誘導体である。
【0134】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は、5'-asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa-3'(配列番号3)のヌクレオチド配列のアンチセンス鎖及び5'-csusagacCfuGfudTuugcuuuugu-3'(配列番号4)のヌクレオチド配列のセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、ここで、a、g、c及びuは、2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C又はUであり;Af、Gf、Cf又はUfは、2'-フルオロA、G、C又はUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結である。二本鎖リボ核酸は、共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、RNAi剤は
図1に示される通りである。
【0136】
RNAi剤は、「ネイキッド」形態又は「遊離RNA」の形態であり得る。「ネイキッド」形態は、医薬組成物が存在しないことを指す。例えば、ネイキッドRNAi剤は、例えば、酢酸、クエン酸、プロラミン、炭酸、若しくはリン酸、又はそれらの組み合わせを含み得る適切な緩衝液中にあってもよい。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。RNAi剤を含有する緩衝液のpH及び浸透圧は、それが対象への投与に適するように調整され得る。ある特定の実施形態では、RNAi剤は、注射用水中にあってもよい。
【0137】
或いは、RNAi剤は、RNAi剤と1つ又は複数の薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物中に製剤化され得る。医薬組成物は、送達様式に基づき製剤化され得る。例えば、組成物は、例えば静脈内、動脈内、皮下、腹腔内若しくは筋肉内注射又は注入による非経口送達による全身投与用に製剤化されてもよく;又は、組成物は、例えば、連続ポンプ注入などの脳内注入による、脳実質内への直接送達用に製剤化されてもよく;又は、組成物は製剤化され得る。或いは、組成物は、経口投与;(例えば経皮パッチ剤による)局所投与;例えば、噴霧器によるものを含む、散剤又はエアロゾル剤の吸入又は通気による肺投与;気管内投与;鼻腔内投与;表皮投与;又は経皮投与用に製剤化され得る。
【0138】
非経口、実質内(脳内)、髄腔内、脳室内又は肝内投与のための組成物及び製剤は、緩衝剤、希釈剤並びに、浸透促進剤、担体化合物及び他の薬学的に許容される担体又は賦形剤などといった他の適切な添加剤も含むことができる滅菌溶液を含み得るが、これらに限定はされない。経口投与用の組成物及び製剤は、散剤又は粒剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、水性又は非水性溶媒中の懸濁剤又は剤液、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤、錠剤又はミニタブレット剤を含み得るが、これらに限定はされない。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤もまた使用され得る。局所投与用の医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー剤、液体剤及び散剤を含み得るが、これらに限定はされない。本発明の医薬組成物はまた、液剤、乳濁液剤、及びリポソーム含有製剤も含み得るが、これらに限定はされない。組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル剤、坐剤、及び浣腸剤を含むが、これらに限定はされない様々な形態に製剤化され得る。
【0139】
薬学的に許容される担体及び特定の組成物の例は、2016年8月25日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/048666号及び2015年6月5日に出願された米国出願第14/650,128号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
ある特定の実施形態では、RNAi剤は、投与が約50mgから約800mg、約100mgから約800mg、約150mgから約800mg、約200mgから約800mg、250mgから約800mg、約300mgから約800mg、約350mgから約800mg、約400mgから約800mg、約450mgから約800mg、約500mgから約800mg、約550mgから約800mg、約600mgから約800mg、約650mgから約800mg、約700mgから約800mg、約750mgから約800mg、約50mgから約750mg、約100mgから約750mg、約150mgから約750mg、約200mgから約750mg、約250mgから約750mg、約300mgから約750mg、約350mgから約750mg、約400mgから約750mg、約450mgから約750mg、約500mgから約750mg、約550mgから約750mg、約600mgから約750mg、約650mgから約750mg、約700mgから約750mg、約50mgから約700mg、約100mgから約700mg、約150mgから約700mg、約200mgから約700mg、約250mgから約700mg、約300mgから約700mg、約350mgから約700mg、約400mgから約700mg、約450mgから約700mg、約500mgから約700mg、約550mgから約700mg、約600mgから約700mg、約650mgから約700mg、約50mgから約650mg、約100mgから約650mg、約150mgから約650mg、約200mgから約650mg、約250mgから約650mg、約300mgから約650mg、約350mgから約650mg、約400mgから約650mg、約450mgから約650mg、約500mgから約650mg、約550mgから約650mg、約600mgから約650mg、約50mgから約600mg、約100mgから約600mg、約150mgから約600mg、約200mgから約600mg、約250mgから約600mg、約300mgから約600mg、約350mgから約600mg、約400mgから約600mg、約450mgから約600mg、約500mgから約600mg、約550mgから約600mg、約50mgから約550mg、約100mgから約550mg、約150mgから約550mg、約200mgから約550mg、約250mgから約550mg、約300mgから約550mg、約350mgから約550mg、約400mgから約550mg、約450mgから約550mg、約500mgから約550mg、約50mgから約500mg、約100mgから約500mg、約150mgから約500mg、約200mgから約500mg、約250mgから約500mg、約300mgから約500mg、約350mgから約500mg、約400mgから約500mg、約450mgから約500mg、約50mgから約450mg、約100mgから約450mg、約150mgから約450mg、約200mgから約450mg、約250mgから約450mg、約300mgから約450mg、約350mgから約450mg、約400mgから約450mg、約50mgから約400mg、約100mgから約400mg、約150mgから約400mg、約200mgから約400mg、約250mgから約400mg、約300mgから約400mg、約350mgから約400mg、約50mgから約350mg、約100mgから約350mg、約150mgから約350mg、約200mgから約350mg、約250mgから約350mg、約300mgから約350mg、約50mgから約300mg、約100mgから約300mg、約150mgから約300mg、約200mgから約300mg、又は約250mgから約300mgの固定用量、例えば、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、又は約800mgの固定用量を送達するように適切な濃度で製剤化され得る。先に列挙したものの中間の値及び範囲もまた、本発明の一部であることが意図される。
【0141】
いくつかの実施形態では、RNAi剤は、約1.0ml、約1.1ml、約1.2ml、約1.3ml、約1.4ml、約1.5ml、約1.6ml、約1.7ml、約1.8ml、約1.9ml、又は約2.0mlの医薬組成物など、適切な体積の組成物が対象に投与されるように、適切な濃度で製剤化され得る。例えば、一実施形態では、RNAi剤は、対象への約1.5mlの製剤の投与が300mgの固定用量の薬剤を提供するように、約200mg/mlで適切な医薬製剤中に製剤化される。
【0142】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献、並びに配列表及び図面は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾がある場合は、定義を含め、本明細書が優先するものとする。加えて、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定することは意図していない。
【実施例】
【0143】
心血管リスクが高くLDL-Cが上昇している患者において、単回又は複数回の皮下注射として投与される異なる用量のRNAi剤の効果を比較するためのプラセボ対照、二重盲検、無作為化試験が行われた。
【0144】
方法
RNAi剤は、5'-asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa-3'(配列番号3)のヌクレオチド配列のアンチセンス鎖及び5'-csusagacCfuGfudTuugcuuuugu-3'(配列番号4)のヌクレオチド配列のセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、ここで、a、g、c及びuは、2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C又はUであり;Af、Gf、Cf又はUfは、2'-フルオロA、G、C又はUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり;sはホスホロチオエート連結であった。二本鎖リボ核酸は、共有結合した三分岐GalNAcリガンドを有していた。
【0145】
主要な目的は、180日目におけるLDL-Cレベルに対するRNAi剤治療の効果を評価することであった。二次的な目的は、以下に対するRNAi剤の効果を評価することであった:(i)90日目におけるLDL-Cレベル;(ii)他の時点におけるLDL-Cレベル;(iii)経時的なPCSK9レベル;(iv)他の脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質;(v)予め特定された全体的脂質ガイドラインを達成している患者の割合;(vi)異なる用量に対する個々の反応性;(vii)異なる用量の脂質低下効果の持続期間;及び(viii)RNAi剤の安全性及び耐容性プロファイル。本試験では、以下に対するRNAi剤の効果も収集/評価された:(a)心血管死、致命的でない心筋梗塞、蘇生心停止、及び致命的でない脳卒中(虚血性及び出血性)など、心血管イベント;及び(b)RNAi剤に対する抗薬物抗体。
【0146】
本試験は、ASCVD又はASCVDとリスクが同等な状態(例えば、糖尿病及び家族性高コレステロール血症)及び上昇したLDL-Cを有する501例の患者を含んだ。患者は、無作為化に先立ち、以下の選択基準の全てを満たしている場合に含められた:
(a)年齢18歳以上の男性又は女性の患者;
(b)ASCVD又はASCVDとリスクが同等な状態(症候性アテローム性動脈硬化症、2型糖尿病、家族性高コレステロール血症、フラミンガムリスクスコア*又は同等な方法により評価された心血管イベントの10年リスクが、100mg/dl未満の目標LDL-Cを有する患者を含む)の病歴;
(c)スクリーニング時において、ASCVD患者については、血清LDL-C≧1.8mmol/l(≧70mg/dl)、又はASCVDとリスクが同等な状態の患者については、血清LDL-C≧2.6mmol/l(≧100mg/dl);
(d)スクリーニング時において、空腹時トリグリセリド<4.52mmol/l(<400mg/dl);
(e)標準化された各地の臨床方法論を用いて推算糸球体濾過量(eGFR)により計算された糸球体濾過量>30ml/分;
(f)スタチンを服用している患者は、最大限に許容される用量を服用しているべき(治験責任医師(investigator)の判断);
(g)脂質低下療法(スタチン及び/又はエゼチミブなど)を受けている患者は、スクリーニングの前30日以上、安定して服用しているべきであり、試験参加中における薬剤又は用量の変更の予定がないこと;及び
(h)任意の試験に関連した手順の開始前にインフォームドコンセントを与える意思があり、且つそれが可能であり、必要とされるあらゆる試験手順に従う意思があること。
*フラミンガムリスクスコア>20%
【0147】
患者は、無作為化の直前において、以下の除外基準のいずれかが当てはまる場合、試験から除外された:
(a)臨床試験への参加を妨げる可能性がある、及び/又は患者が臨床試験に参加した場合、有意なリスクにさらされるおそれのある(治験責任医師[又は治験分担医師(delegate)]の判断による)、管理されていない若しくは重篤な疾患、又は医学的若しくは外科的状態;
(b)治験責任医師(又は治験分担医師)の意見において、臨床試験結果の解釈を妨げる可能性がある既知の基礎疾患、又は外科的、身体的、又は医学的状態;
(c)ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスII、III又はIVの心不全、又は最新の既知の左室駆出率<30%;
(d)投薬又は切除によって管理されていない、無作為化前3か月以内における心不整脈;
(e)あらゆる出血性脳卒中の既往歴;
(f)無作為化前6か月以内における主要有害心臓イベント;
(g)管理されていない重度の高血圧症:抗高血圧療法にもかかわらず、無作為化前の収縮期血圧>180mmHg、又は拡張期血圧>110mmHg;
(h)管理が十分でない2型糖尿病、すなわち、無作為化前における糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)>10.0%;
(i)任意の既知の目下の肝臓の感染性、腫瘍性、若しくは代謝性の病態として定義される活動性肝疾患、又は、少なくとも1週間の間隔で繰り返された測定により確認されたスクリーニング時の原因不明のアラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼのULNの2倍を超える上昇、若しくは総ビリルビンのULNの1.5倍を超える上昇;
(j)患者の平均余命が試験の期間より短い重篤な併存疾患(例えば、急性全身性感染、がん、又はその他の重篤な病気);これは、スクリーニングの5年より前に発生した治療済み基底細胞癌を除く、あらゆるがんを含む;
(k)妊娠中若しくは授乳中、又は妊娠の可能性があり、少なくとも2つの避妊法(経口避妊薬、バリア法、承認された避妊用インプラント、長期注射避妊薬、子宮内デバイス又は卵管結紮)を使用することを望まない女性**;最後の月経から1年以上として定義される閉経後2年超で、且つ、もし55歳未満の場合は、無作為化の24時間以内に妊娠検査が陰性である女性、又は外科的不妊術を受けた女性は、この除外から免除される;
(l)試験期間全体を通して容認できる避妊方法(すなわち、殺精子剤入りコンドーム)を使用することを望まない男性;
(m)アルコール及び/又は薬物乱用の既知の経歴;
(n)30日又は5半減期のいずれか長いほうの期間内における、他の治験薬又はデバイスによる治療;
(o)試験期間中における他の治験薬又はデバイスの使用;
(p)限定されるものではないが、以下のような、治験責任医師にとって、試験の実施を妨げ得る任意の状態:
(i)治験責任医師と意思疎通できない、又は協力することができない患者を含む、本試験にとり不適切な状態;
(ii)プロトコールの要件、指示及び試験に関連した制限、試験の性質、範囲、及び起こりうる結果を理解できない(薬物乱用又はアルコール依存のために協力が疑わしい患者を含む);
(iii)プロトコールの要件、指示、及び試験に関連した制限を順守しそうにない(例えば、協力的でない態度、来院による追跡調査のために再来院できない、及び試験を完了できそうにない状態);
(iv)治験責任医師の意見において、試験に参加することにより患者のリスクを高めると思われるあらゆる医学的又は外科的状態;
(v)試験の実施に直接関与している誰か、又は近親者が関与している;
(vi)あらゆる既知の認知障害(例えば、アルツハイマー病);並びに
(q)PCSK9に対するモノクローナル抗体による以前の又は現在の治療(スクリーニングの90日以内)。
**試験の全期間中
【0148】
患者はスクリーニングされ、6つのRNAi剤群とプラセボ群に無作為に分けられた。治療の割当ては、国によって、及びスタチン又は他の脂質修飾療法の現在の使用によって層別化された。各患者は、(i)1日目のみにおけるRNAi剤若しくはプラセボの1回又は2回の注射、或いは(ii)1日目における1回の注射及び90日目におけるRNAi剤若しくはプラセボの2回目の注射を受けた。
【0149】
試験デザインの概要が
図2に示されている。1日目に、全ての適格患者が無作為化され、RNAi剤又はプラセボの最初の皮下投与を受けた。RNAi剤は、単回皮下注射(用量:200mg、300mg)又は2回の注射(用量:500mg)のいずれかとして投与された。第2の用量を受けるように無作為化された患者は、90日目にRNAi剤又はプラセボの2回目の注射を受けた。
【0150】
プラセボは、食塩水の1回又は2回の皮下注射として投与された。プラセボの体積は、各用量及び注射レジメン内でRNAi剤の体積と一致させられたが、注射レジメン間では一致させなかった。例えば、200mg用量のプラセボ群は1.0mlのプラセボを受けたが、300mg用量のプラセボ群は1.5mlのプラセボを受けた。
【0151】
試験における患者の関与期間は、スクリーニング、試験薬の投与、単回又は複数回の注射の経過、及び210日目までの追跡期間を含め、およそ224日であった。追加の追跡調査が必要であった場合の関与の最大期間は374日であった。LDL-Cレベルが開始レベルの20%欠損以内に戻らなかった患者を除いて、試験終了時評価が210日目に行われた;これらの患者は、210日目に評価され、その後、360日目まで、又はLDL-Cが開始レベルの20%欠損以内に戻るまで(どちらか先に起こるまで)、30日毎に来院による追跡調査が行われた。
【0152】
単回用量群(1日目に1回又は2回の注射)では、患者は以下のスケジュールに従った:
(a)スクリーニング:第-14日目から第-1日目
(b)無作為化、治験薬の開始:1日目
(c)治療フェーズ:1日目
(d)追跡調査:
(i)追跡調査:2日目から第210日;210日目のEOS
(ii)追加の追跡調査(LDL-Cレベルがベースライン値の80%を超えて回復しなかった患者の場合;患者は、このレベルに達するまで、又は360日目まで、追跡調査のために毎月再来院することになる):240日目、270日目、300日目、330日目、及び360日目。
【0153】
2回用量群(1日目及び90日目の各日に1回の注射)では、患者は以下のスケジュールに従った:
(a)スクリーニング:第-14日目から第-1日目
(b)無作為化、治験薬の開始:1日目
(c)治療フェーズ:1日目から90日目
(d)追跡調査:
(i)追跡調査:91日目から第210日;210日目のEOS
(ii)追加の追跡調査(LDL-Cレベルがベースライン値の80%を超えて回復しなかった患者の場合;患者は、このレベルに達するまで、又は360日目まで、追跡調査のために毎月再来院することになる):240日目、270日目、300日目、330日目、及び360日目。
【0154】
主要エンドポイントは、ベースラインから180日目までのLDL-Cのパーセンテージ変化を決定することにより評価された。
【0155】
二次エンドポイントは、(i)ベースラインから90日目までのLDL-Cのパーセンテージ変化;(ii)ベースラインから14日目、30日目、60日目、120日目、150日目、及び210日目までのLDL-Cのパーセンテージ変化;(iii)180日目及び210日目におけるLDL-Cがベースライン値の80%を超える患者の各群における割合;(iv)治療された患者がベースラインの80%以上のLDL-C又はPCSK9タンパク質に戻るまでの期間;(v)90日目、120日目、及び180日目において、治療によりLDL-Cレベルが25mg/dl未満、50mg/dl未満、70mg/dl未満、及び100mg/dl未満に達した患者の数として定義される個々の反応性;(vi)90日目、120日目、及び180日目において、ベースラインから50%以上のLDL-C低減を有する患者の各群における割合;(vii)ベースラインから14日目、30日目、60日目、90日目、104日目、120日目、150日目、180日目、及び210日目までのPCSK9レベルのパーセンテージ変化;(viii)その後の各来院時から210日目までにおける、ベースラインからの他の脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質のパーセンテージ変化;及び(ix)ASCVDリスクのレベルについて全体的な脂質修飾目標を達成した各群における患者の割合を決定することによって評価された。
【0156】
有効性の評価は、総コレステロール、トリグリセリド、HDL-C、非HDL-C、VLDL-C、Apo-A1、Apo-B、Lp(a)、CRP、及びPCSK9を含む、LDL-C脂質及びリポタンパク質のレベルに対するRNAi剤の効果の測定を含んでいた。
【0157】
有害事象、重篤な有害事象、バイタルサイン、臨床検査値(血液検査、凝固検査、化学的検査、及び尿検査)、及び心電図(ECG)が、EOSの来院(210日目)まで、特定の来院時に収集された。追加の毎月の追跡調査のための来院の間に、有害事象、重篤な有害事象、及び臨床検査値が引き続き評価された(LDL-Cレベルがベースライン値の80%を超えて回復しなかった患者の場合)。心血管イベントは、心血管死、致命的でない心筋梗塞、主要冠動脈イベント(CHDによる死亡、蘇生心停止、致命的でない心筋梗塞)、虚血性脳卒中、及び出血性脳卒中など、心血管イベントに関する情報のまとめについて有害事象として報告された。
【0158】
加えて、抗薬物抗体がRNAi剤について評価された。抗薬物抗体の形成は、1日目(注射の前及び4時間後)、及び30日目、60日目、90日目、120日目、150日目、180日目(150日目及び180日目は、第2の用量のRNAi剤を受けた患者においてのみ)、及び210日目において、又は試験期間内に抗薬物抗体応答が陰性になるまで、評価された。LDL-Cレベルがベースライン値の80%より上に戻っていない患者については、LDL-Cが正常限度に戻ったとき、又は1年の来院による追跡調査のいずれかに抗薬物抗体の形成が評価された。
【0159】
独立したデータモニタリング委員会(DMC)が、最初の40名の患者がRNAi剤又はプラセボの最初の注射を受けて14日目の来院による追跡調査を完了した後からの安全性データを検討した。その後、DMCは試験終了まで2か月毎に安全性データを検討した。
【0160】
主要エンドポイントは、ベースラインから180日目までの最小二乗平均パーセンテージ変化として分析された。これは、試験群、ベースライン値、予定された来院による追跡調査、及び試験群と予定された来院との相互作用を含む、反復測定線形効果モデルにより計算された。分析は、各来院時の治療を固定効果として、及び患者をランダム効果として組み込んだ自己回帰分散構造を用いて、SASソフトウェアにおいてPROC MIXED手順を使用して行われた。主要エンドポイント及び二次エンドポイントの両方について、6つのRNAi剤群とプラセボ比較群との間の比較のためにダネット検定を使用し、P値が多重比較について調整された。各投与ストラテジー、すなわち単回用量及び2回用量について、別々の分析が行われた。両側検定でのタイプI誤差の有意水準は0.05であった。
【0161】
少なくとも1回用量のRNAi剤又はプラセボを投与された全ての患者が安全性分析に含められた(安全性集団)。予め特定された修正治療企図集団は、少なくとも1回用量の治験剤を投与され、ベースライン及び180日目の追跡LDL-Cレベル測定値の両方が利用可能であった、全ての無作為に割り当てられた患者として定義された。治療企図解析は、データが欠けている患者については、帰属を用いて行われた。
【0162】
時間経過データは、95%信頼区間の平均として示されている。患者間の応答の変動は、ウォーターフォールプロットによりグラフで示されている。分析は、SASソフトウェア、バージョン9.2以上(SASインスティテュート社)を用いて行われた。
【0163】
結果
Table 1(表1)及びTable 2(表2)に示されているベースラインの人口統計及び病歴は、患者のバランスが十分とれていたことを実証している。試験時において、73%の患者がスタチン療法を受けており、31%がエゼチミブを服用していた。
【0164】
1日目のRNAi剤の単回投与は、全ての用量にわたって、30日目にベースラインよりも44.5%~51.5%低い範囲のLDL-Cの平均低減をもたらし(
図3及び
図4参照)、およそ60日目に最下点を示した。
図3に示されるように、200-mg用量のRNAi剤の単回投与は、30日目、60日目、及び90日目にベースラインより40%超、LDL-Cを低下させ、そして270日目まで25%低下させていた。300-mg用量及び500-mg用量のRNAi剤の単回投与は、15日目から150日目までベースラインより40%超、LDL-Cを低下させ、そして270日目まで30%低下させていた(
図3)。各RNAi剤用量強度について、LDL-Cは360日目までベースラインよりも20%を超えて低いままであった(
図3)。最小二乗平均低減は、プラセボ(2.1%増加)に関するよりも、RNAi剤の単回用量27.9~41.9%低減)後のほうが有意に大きかった(全ての用量についてP<0.001)(Table 4(表4))。200-mg、300-mg、及び500-mgの用量にわたるベースラインからのLDL-Cの平均低減は、270日目においては26%から34.3%の間、及び360日目においては30.2%から32.2%の間の範囲であった。さらに、ベースラインと360日目との間のLDL-Cの時間調整パーセント変化 (すなわち、LDL-Cがベースラインと360日目との間で測定された各時点におけるLDL-Cのパーセント変化の平均)は、200-mg、300-mg、及び500-mgの用量でそれぞれ、-31.6%、-38.1%、及び-39.8%であった(
図4を参照)。ベースラインと360日目との間のLDL-Cの時間調整絶対変化(すなわち、LDL-Cがベースラインと360日目との間で測定された各時点におけるLDL-Cの絶対変化の平均)は、200-mg、300-mg、及び500-mgの用量でそれぞれ、-39.1mg/dl、-43.6mg/dl、及び-53.0mg/dlであった(
図5を参照)。個々の患者の応答を見ると、200mg、300mg、及び500mgを投与した個々の患者におけるLDL-Cの変化の変動係数は、ベースラインから270日目までで、それぞれ45.2%、60.8%、及び50.7%であり、ベースラインから360日目までで、それぞれ、45.1%、56.8%、及び50.2%であった(
図6A~
図6B参照)。
【0165】
90日目における第2の用量のRNAi剤の投与は、ベースラインと比較して、LDL-Cをさらに低下させた。全ての用量にわたるLDL-Cの平均低減は、90日目において34.2%から44.1%の間、及び120日目においては41.1%から54.6%の間の範囲であった(
図7参照)。2回投与レジメンとプラセボとの間の差は有意であった:180日目において、RNAi剤を2回投与された患者におけるLDL-Cレベルのベースラインからの最小二乗平均低減は35.5%から52.6%の範囲であった一方、プラセボ群はベースラインから1.8%の増加を有した(プラセボに対する全ての比較でP<0.001)(Table 4(表4)参照)。100-mg用量及び200-mg用量のRNAi剤の2回目の投与は、210日目まで、LDL-Cをそれぞれ30%及び40%超、ベースラインの下に維持した(
図7参照)。300-mg用量の2回目の投与は、120日目から210日目まで、LDL-Cを50%超、ベースラインより下に維持した(
図7)。100-mg、200-mg、及び300-mgの用量にわたるベースラインからのLDL-Cの平均低減は、270日目においては25.6%から43.4%の間、及び360日目においては13.3%(100-mg用量)から33.3%(300-mg用量)の間の範囲であった。加えて、ベースラインと360日目との間のLDL-Cにおける時間調整パーセント変化は、200-mg、300-mg、及び500-mg用量でそれぞれ、-31.0%、-41.2%、及び-46.8%であった(
図4参照)。ベースラインと360日目との間のLDL-Cにおける時間調整絶対変化は、200-mg、300-mg、及び500-mg用量でそれぞれ、-39.6mg/dl、-39.1mg/dl、及び-57.7mg/dlであった(
図5参照)。個々の患者の応答は、
図8及び
図9に示されている。180日目において、ベースラインからのLDL-Cの平均低減は52.6%であり、最大は81%であった(
図8参照)。100mg、200mg、及び300mgを投与した患者におけるLDL-Cの変化の変動係数は、ベースラインから270日目までで、それぞれ45.7%、82.3%、及び73.7%であり、ベースラインから360日目までで、それぞれ、46.0%、77.5%、及び74.2%であった(
図9A~
図9B参照)。
【0166】
スタチンの最大可能用量のバックグラウンドに対してプラセボを受けた患者では、ベースラインからのLDLコレステロールレベルの変化に180日目において、かなりの変動があった(平均[±SD]絶対差、1デシリットル当たり-0.7±25.6mg[1リットル当たり-0.02±0.66mmol])(
図10A参照)。対照的に、300-mgのRNAi剤を2回受けた患者は全て、180日目においてLDL-Cレベルの減少を示し(LDLコレステロールレベルの平均絶対変化、1デシリットル当たり-64.2±20.7mg[1リットル当たり-1.66±0.54mmol](
図10B参照)、54%の患者が50%以上の低減を有した。このRNAi剤用量群では、患者の5%、48%、及び66%が、180日目において1デシリットル当たり25mg(1リットル当たり0.65mmol)未満、1デシリットル当たり50mg(1リットル当たり1.3mmol)未満、及び1デシリットル当たり70mg(1リットル当たり1.8mmol)未満のLDL-Cレベルをそれぞれ有していた。240日目において、同患者群における個々のコレステロールレベルは、ベースライン時よりも低いままであった(
図10C参照)。
【0167】
300mgの単回用量の投与と300mgの2回用量の投与との間の個々の患者データの比較は、1日目、90日目、270日目、及びその後6か月毎における300mgのRNAi剤の投与が、個人内の変動性を低減させ、およそ50%のLDL-Cの持続的な低減をもたらすであろうことを示唆している(
図11A~
図11Bを参照)。
【0168】
また、非HDL-C及びApo-Bのレベルの有意な低減もあったが、高感度C反応性タンパク質のレベルには、RNAi剤を受けるように無作為に割り当てられた患者において、有意な変化はなかった。追加の脂質測定についてのベースラインからのパーセンテージ変化がTable 3(表3)~Table 5(表5)に示されている。
【0169】
図12及び
図13に示されているように、1日目にRNAi剤が投与された後、100mgから500mgのRNAi剤用量の範囲にわたって、PCSK9レベルはベースラインレベルから平均59.6%及び68.7%低減された。30日目において、PCSK9レベルはベースラインレベルよりも下に66.2%から74.0%の間でさらに低減し、同様の低減が60日目及び90日目にも生じていた。RNAi剤の単回投与を受けた患者において、180日目におけるPCSK9レベルの平均低減は47.9%から59.3%の間の範囲であった(各用量対プラセボについてP<0.001)(Table 4(表4)参照)。300-mg又は500-mgの単回用量を受けた患者では、PCSK9レベルは150日目までベースラインより60%超下がったままであった。対照的に、RNAi剤の2回用量を受けた患者においては、第2の用量の後にPCSK9レベルのさらなる低減が観察された。90日目において、これらの患者は47.0%から62.8%の低減を有し、120日目には60.4%から74.5%の低減を有していた。180日目において、RNAi剤の2回用量を受けた患者におけるPCSK9レベルのベースラインからの平均低減は、53.2%から69.1%の間の範囲であった(各用量対プラセボについてP<0.001)(Table 4(表4)参照)。200-mg又は300-mgの2回用量を受けた患者では、PCSK9レベルは240日目までベースラインより60%超下がったままであった。単回用量及び2回用量の両方のRNAi剤投薬レジメンに関連して、270日目におけるPCSK9レベルの低減は約40%より大きかった(
図12及び
図13参照)。
【0170】
RNAi剤が300mgで年2回又は年3回投与された場合のLDL-Cレベルを経時的に予測するためのモデルが開発され、検証された。モデルは、210日目までの観測データと予測データとの間の最小限の差を伴って検証された。270日目における結果は、210日目まで追跡調査を受けた患者からのデータを用いた薬力学的モデルによって正しく予測された。
図14は、22か月を通してのモデル化されたLDL-Cレベルを示している。
【0171】
210日目において、RNAi剤を投与された患者の76%及びプラセボを受けた患者の76%で有害事象が報告された(Table 7(表7);Table 6(表6)も参照)。これらの事象のほとんど(95%)は、重症度が軽度又は中等度(グレード1又は2)であった。重篤な有害事象の発生率は、RNAi剤を受けた患者で11%、プラセボを受けた患者で8%であった。2名の患者が有害事象のために治験への参加を中止した;1名は帯状疱疹感染のため(プラセボ群)、もう1名はインフルエンザ又は鼻咽頭炎のため(2回用量100-mg RNAi剤群)であった。最も一般的な有害事象(患者の2%超で発生)は、筋肉痛、頭痛、疲労、鼻咽頭炎、腰痛、高血圧、下痢、及び眩暈であり、これらの事象の発生率は、RNAi剤を受けた群とプラセボを受けた群との間で有意に違わなかった。
【0172】
注射部位反応は、RNAi剤の単回用量を受けた患者の4%、及び2回用量を受けた患者の7%(1回又は両方の用量の後)で発生した(併合した割合では5%);注射部位反応は、プラセボに割り当てられた患者では発生しなかった(Table 7(表7);Table 8(表8)及びTable 9(表9)も参照)。
【0173】
2名の患者が、肝臓アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼのレベルの増大を有し (正常範囲の上限の3倍超)、1名が単回用量プラセボ群であり、1名が単回用量300-mg RNAi剤群であった;この300-mg RNAi剤群の患者は、肝臓アラニンアミノトランスフェラーゼレベルの上昇も有した。また、さらなる2名の患者(2回用量100mg RNAi剤群の1名と2回用量300mg RNAi剤群の1名)も、アラニンアミノトランスフェラーゼレベルの上昇を有していた。アミノトランスフェラーゼの上昇は全て、一過性であった。ベースライン時に正常レベルのビリルビンを有していた患者においては、RNAi剤又はプラセボに関連して発生したビリルビンレベルの増加は無く、黄疸を伴う肝細胞損傷(胆汁うっ滞性障害ではない)を引き起こす薬物を投与された場合、患者は致命的な薬物誘発性肝損傷の危険性が高いと規定しているHyの法則の定義を満たすケースは無かった。1名の患者は、最初の注射の前に抗薬物抗体について陽性であった;他の抗薬物抗体のケースは、報告されていない(Table 10(表10)参照)。
【0174】
210日目から360日目までの追跡調査において、追加の安全性に関する所見は無かった(Table 11(表11)参照)。
【0175】
治験の後期に2名の死者が出た。第1の例は、長期にわたり脈管障害と頻繁な狭心症を患っていた、500-mgの単回用量RNAi剤群に無作為に割り当てられた患者において生じた。彼は心停止を呈し、104日目に死亡した。第2の死亡例は、試験参加後に経皮的に修復された胸部大動脈瘤を有し、次いで瘻孔と敗血症を発症した2回用量200-mg RNAi剤群の男性で生じた;彼は治験の198日目に死亡した。
【0176】
結論
これらの結果は、RNAi剤が数か月にわたり患者においてLDL-Cを有意に低減させることを示した。RNAi剤の投与は、他の脂質パラメータの中ではLp(a)及び総コレステロールを低減させ、HDL-Cを増加させた。RNAi剤は、PCSK9、LDL-C、非HDL-C、及びApo-Bに対して用量応答効果を示した。個々の患者におけるLDL-Cの変動性は実質的に排除され、疎らな投与の間にも持続的な効果があった。
【0177】
加えて、RNAi剤の投与は、患者によって十分に許容され、大きな安全性の問題とは関連していなかった。TEAEは稀で、軽度から中等度であり、注射による負担はほとんど無かった。
【0178】
全体として、RNAi剤は、患者のアドヒアランスを改善する機会を提供する。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
このように本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、上記段落によって定義される本発明は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、それらの多くの明らかな変形が可能であるため、上記説明において示された特定の詳細に限定されるべきではないと理解されるべきものである。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.対象において低密度リポタンパク質コレステロールを低下させる方法であって、治療有効量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を対象に投与する工程を含み、
RNAiは、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
2.対象において心臓イベントを予防する方法であって、治療有効量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を対象に投与する工程を含み、
RNAiは、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
3.対象において心血管死亡率及び罹患率を低減させる方法であって、治療有効量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を対象に投与する工程を含み、
RNAiは、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
4.対象が、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、ASCVDとリスクが同等な状態、心血管疾患リスクの上昇、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、若しくはホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、若しくはLDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する、上記1から3のいずれかに記載の方法。
5.対象が、約70mg/dl以上のベースライン低密度リポタンパク質(LDL-C)レベルを有する、上記1から4のいずれかに記載の方法。
6.対象が、活動性肝疾患を有していない、上記1から5のいずれかに記載の方法。
7.活動性肝疾患が、以下の特徴:正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びULNの1.5倍を超える総ビリルビンのうちの1つ又は複数によって特定される、上記1~6のいずれかに記載の方法。
8.対象が、活動性肝疾患を有する、上記1から7のいずれかに記載の方法。
9.活動性肝疾患が、以下の特徴:正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びULNの1.5倍を超える総ビリルビンのうちの1つ又は複数によって特定される、上記8に記載の方法。
10.対象が、バックグラウンド脂質低下療法で治療されている、上記1から9のいずれかに記載の方法。
11.バックグラウンド脂質低下療法が、スタチン、エゼチミブ、及びLDLアフェレーシスから選択される、上記10に記載の方法。
12.バックグラウンド脂質低下療法が、スタチンである、上記10又は11に記載の方法。
13.対象が、最大限に許容されるスタチン療法を受けている、上記10から12のいずれかに記載の方法。
14.対象が、RNAi剤を投与されている間、バックグラウンド脂質低下療法が維持される、上記10から13のいずれかに記載の方法。
15.対象が、バックグラウンド脂質低下療法を受けていない、上記1から9のいずれかに記載の方法。
16.対象が、約400mg/dl以下のベースライントリグリセリドレベルを有する、上記1から15のいずれか記載の方法。
17.対象が、少なくとも約30ml/分のベースライン推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、上記1から16のいずれかに記載の方法。
18.対象が、管理が十分でない2型糖尿病を有していない、上記1から17のいずれかに記載の方法。
19.管理が十分でない2型糖尿病が、少なくとも約10%のベースライン糖化ヘモグロビンA1cレベルによって特定される、上記18に記載の方法。
20.対象が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスII、III、又はIVの心不全を有していない、上記1から19のいずれかに記載の方法。
21.対象の最新の既知の心室駆出率が、30%以上である、上記1から20のいずれかに記載の方法。
22.対象が、RNAi剤の投与の6か月以内に主要有害心臓イベントを経験していない、上記1から21のいずれかに記載の方法。
23.対象が、出血性脳卒中を経験していない、上記1から22のいずれかに記載の方法。
24.対象が、RNAi剤の投与の3か月以内に心不整脈を有していない、上記1から23のいずれかに記載の方法。
25.対象が、投薬又は切除によって管理されていない、RNAi剤の投与の3か月以内における心不整脈を有していない、上記1から24のいずれかに記載の方法。
26.対象が、心不整脈を有していない、上記1から25のいずれかに記載の方法。
27.対象が、成人である、上記1から26のいずれかに記載の方法。
28.対象が、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症又はホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、上記1から27のいずれか記載の方法。
29.対象が、LDL-Cの低下を必要とする、上記1から28のいずれかに記載の方法。
30.RNAi剤の投与が、ベースラインLDL-Cレベルと比較して、LDL-Cのレベルを約20%より多く低減させる、上記1から29のいずれかに記載の方法。
31.ベースラインレベルと比較して約20%を超えるLDL-Cのレベルの低減が、RNAi剤が投与された後15日以上の間維持される、上記1から30のいずれかに記載の方法。
32.RNAi剤の投与が、PCSK9のベースラインレベルと比較して、PCSK9のレベルを約25%より多く低減させ、PCSK9のベースラインレベルがRNAi剤の投与前に測定される、上記1から31のいずれかに記載の方法。
33.ベースラインレベルと比較して約25%を超えるPCSK9のレベルの低減が、RNAi剤が投与された後30日以上の間維持される、上記1~32のいずれかに記載の方法。
34.心臓イベントが、死亡、致命的でない心筋梗塞、重度の再発性虚血、脳卒中、症候性肺塞栓症、及び出血からなる群から選択される、上記2又は4から33のいずれかに記載の方法。
35.RNAi剤の投与が、負荷フェーズ及び維持フェーズを含む、上記1から34のいずれかに記載の方法。
36.負荷フェーズが、1回又は複数回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記35に記載の方法。
37.負荷フェーズが、少なくとも2回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記36記載の方法。
38.少なくとも2回の用量が、時間間隔で隔てられている、上記37に記載の方法。
39.時間間隔が、約1日から約180日である、上記38に記載の方法。
40.時間間隔が、約60日から約120日である、上記38又は39に記載の方法。
41.少なくとも2回の用量が、約90日の時間間隔で隔てられている、上記38から40のいずれかに記載の方法。
42.用量が約50から約800mgのRNAi剤を含む、上記36から41のいずれかに記載の方法。
43.用量が約100から約500mgのRNAi剤を含む、上記42に記載の方法。
44.用量が約300mgのRNAi剤を含む、上記42又は43に記載の方法。
45.維持フェーズが、1回又は複数回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記35から44のいずれかに記載の方法。
46.負荷フェーズが、少なくとも2回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記45に記載の方法。
47.少なくとも2回の用量が、時間間隔で隔てられている、上記46に記載の方法。
48.少なくとも2回の用量が、一定の時間間隔で隔てられている、上記47に記載の方法。
49.一定の時間間隔が、約1か月から約12か月の間である、上記48に記載の方法。
50.一定の時間間隔が、約3か月から約9か月の間である、上記48又は49に記載の方法。
51.一定の時間間隔が、約6か月である、上記48から50のいずれかに記載の方法。
52.用量が約50から約800mgのRNAi剤を含む、上記45から51のいずれかに記載の方法。
53.用量が約100から約500mgのRNAi剤を含む、上記52に記載の方法。
54.用量が、約300mgのRNAi剤を含む、上記52又は53に記載の方法。
55.対象においてアテローム性動脈硬化症性心血管疾患の発症を予防する方法であって、治療有効量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を対象に投与する工程を含み、
RNAiは、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
56.ASCVD、ASCVDとリスクが同等な状態、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、LDL-Cを低下させる必要がある、又は、それらの組み合わせを有する対象を治療する方法であって、治療有効量の干渉性リボ核酸(RNAi)剤を対象に投与する工程を含み、
RNAiは、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
57.対象が、約70mg/dl以上のベースラインLDL-Cレベルを有する、上記55又は56に記載の方法。
58.対象が、活動性肝疾患を有する、上記55から57のいずれかに記載の方法。
59.活動性肝疾患が、以下の特徴:正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びULNの1.5倍を超える総ビリルビンのうちの1つ又は複数によって特定される、上記58に記載の方法。
60.対象が、活動性肝疾患を有していない、上記55から57のいずれかに記載の方法。
61.活動性肝疾患が、以下の特徴:正常上限(ULN)の2倍を超えるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST);及びULNの1.5倍を超える総ビリルビンのうちの1つ又は複数によって特定される、上記60に記載の方法。
62.前記対象が、バックグラウンド脂質低下療法で治療されている、上記55から61のいずれかに記載の方法。
63.バックグラウンド脂質低下療法が、スタチン、エゼチミブ、及びLDLアフェレーシスから選択される、上記62に記載の方法。
64.対象が、RNAi剤を投与されている間、バックグラウンド脂質低下療法が維持される、上記62又は63に記載の方法。
65.対象が、バックグラウンド脂質低下療法を受けていない、上記55から61のいずれかに記載の方法。
66.対象が、約400mg/dlを超えるベースライントリグリセリドレベルを有する、上記55から65のいずれか記載の方法。
67.対象が、約30ml/分未満のベースライン推算糸球体濾過量(eGFR)を有する、上記55から66のいずれかに記載の方法。
68.対象が、管理が十分でない2型糖尿病を有する、上記55から67のいずれかに記載の方法。
69.管理が十分でない2型糖尿病が、少なくとも約10%のベースライン糖化ヘモグロビンA1cレベルによって特定される、上記68に記載の方法。
70.対象が、ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスII、III、又はIVの心不全を有する、上記55から69のいずれかに記載の方法。
71.対象の心室駆出率が30%未満である、上記55から70のいずれかに記載の方法。
72.対象が、RNAi剤の投与の6か月以内に主要有害心臓イベントを経験している、上記55から71のいずれかに記載の方法。
73.対象が、少なくとも1回の出血性脳卒中を経験している、上記55から72のいずれか記載の方法。
74.対象が、RNAi剤の投与の3か月以内に心不整脈を有する、上記55から73のいずれかに記載の方法。
75.対象が、投薬又は切除によって管理されていない、RNAi剤の投与の3か月以内における心不整脈を有していない、上記55から74のいずれかに記載の方法。
76.対象が、心不整脈を有していない、上記55から75のいずれかに記載の方法。
77.対象が、成人である、上記55から76のいずれかに記載の方法。
78.対象が、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症又はホモ接合型家族性高コレステロール血症を有する、上記55から77のいずれか記載の方法。
79.対象が、LDL-Cの低下を必要とする、上記55から78のいずれかに記載の方法。
80.低密度リポタンパク質が、ベースラインレベルと比較して約20%より多く低減され、RNAi剤が投与された後15日間以上の間維持される、上記55から79のいずれかに記載の方法。
81.RNAi剤の投与が、PCSK9のベースラインレベルと比較して、PCSK9のレベルを約25%より多く低減させ、PCSK9のベースラインレベルがRNAi剤の投与前に測定される、上記55から80のいずれかに記載の方法。
82.ベースラインレベルと比較して約25%を超えるPCSK9のレベルの低減が、RNAi剤が投与された後30日以上の間維持される、上記81に記載の方法。
83.RNAi剤の投与が、負荷フェーズ及び維持フェーズを含む、上記55から82のいずれかに記載の方法。
84.負荷フェーズが、1回又は複数回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記83に記載の方法。
85.負荷フェーズが、少なくとも2回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記84記載の方法。
86.少なくとも2回の用量が、時間間隔で隔てられている、上記85に記載の方法。
87.時間間隔が、約1日から約180日である、上記86に記載の方法。
88.時間間隔が、約60日から約120日である、上記86又は87に記載の方法。
89.時間間隔が、約90日である、上記86から88のいずれかに記載の方法。
90.用量が約50から約800mgのRNAi剤を含む、上記83から89のいずれかに記載の方法。
91.用量が約100から約500mgのRNAi剤を含む、上記90に記載の方法。
92.用量が約300mgのRNAi剤を含む、上記90又は91に記載の方法。
93.維持フェーズが、1回又は複数回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記83から92のいずれかに記載の方法。
94.負荷フェーズが、少なくとも2回の用量としてRNAi剤を投与することを含む、上記93記載の方法。
95.少なくとも2回の用量が、時間間隔で隔てられている、上記94に記載の方法。
96.少なくとも2回の用量が、一定の時間間隔で隔てられている、上記95に記載の方法。
97.一定の時間間隔が、約1か月から約2か月の間である、上記96に記載の方法。
98.一定の時間間隔が、約3か月から約9か月の間である、上記96又は97に記載の方法。
99.一定の時間間隔が、約6か月である、上記96から98のいずれかに記載の方法。
100.用量が約50から約800mgのRNAi剤を含む、上記93から99のいずれかに記載の方法。
101.用量が約100から約500mgのRNAi剤を含む、上記100に記載の方法。
102.用量が約300mgのRNAi剤を含む、上記100又は101に記載の方法。
103.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けている対象において心臓イベントを予防する方法であって、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は予防有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
104.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けている対象において心臓イベントを予防する方法であって、対象は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は予防有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
105.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び低密度リポタンパク質低下療法を受けている対象において心臓イベントを予防する方法であって、対象は、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は予防有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
106.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けている対象を治療する方法であって、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は治療有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
107.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び最大限に許容されるスタチン療法を受けている対象を治療する方法であって、対象は、アテローム性動脈硬化性心血管疾患を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は治療有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
108.脂質レベルを改善するように設計された食事療法及び低密度リポタンパク質低下療法を受けている対象を治療する方法であって、対象は、ホモ接合型家族性高コレステロール血症を有し、低密度リポタンパク質コレステロールのさらなる低下を必要としており、
方法は治療有効量のRNAi剤を投与する工程を含み、
RNAi剤は、二本鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む二本鎖リボ核酸であり、アンチセンス鎖は配列番号3のヌクレオチド配列を含み、センス鎖は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、方法。
【配列表フリーテキスト】
【0196】
配列番号1
5'-ACAAAAGCAAAACAGGUCUAGAA-3'
配列番号2
5'-CUAGACCUGUTUUGCUUUUGU-3'
配列番号3
5'-asCfsaAfAfAfgCfaAfaAfcAfgGfuCfuagsasa-3'、ここで、a、g、c及びuは、2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C又はUであり;Af、Gf、Cf又はUfは、2'-フルオロA、G、C又はUであり; dTは2'-デオキシチミジンであり; sはホスホロチオエート連結である
配列番号4
5'-csusagacCfuGfudTuugcuuuugu-3'、ここで、a、g、c及びuは、2'-O-メチル(2'-OMe)A、G、C、又はUであり;Af、Gf、Cf又はUfは、2'-フルオロA、G、C又はUであり;dTは2'-デオキシチミジンであり; sはホスホロチオエート連結である
【配列表】