(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くための方法及びコンテナ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/35 20170101AFI20221124BHJP
B08B 3/10 20060101ALI20221124BHJP
B29C 64/135 20170101ALI20221124BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20221124BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221124BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20221124BHJP
B65D 25/28 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B29C64/35
B08B3/10 A
B29C64/135
B29C64/245
B33Y10/00
B33Y40/20
B65D25/28 107
(21)【出願番号】P 2019546014
(86)(22)【出願日】2018-02-23
(86)【国際出願番号】 IB2018051138
(87)【国際公開番号】W WO2018154500
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】102017000020797
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516369778
【氏名又は名称】ディーダブリューエス エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスタベベル,マウリツィオ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-111529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0059270(US,A1)
【文献】特表2006-506249(JP,A)
【文献】特開2015-043793(JP,A)
【文献】特開平07-060844(JP,A)
【文献】米国特許第06537482(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0195994(US,A1)
【文献】米国特許第05248456(US,A)
【文献】実公昭39-25879(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3098339(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B08B 3/00-3/14
A61C 5/20-13/38
B65D 1/00- 1/48
B65D 23/00-25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法であって、
前記方法は、
溶媒(24)を含むように構成されるタンク(20)と、
前記タンク(20)を閉止するように構成され、3次元モデル用の1以上の固定要素(34)を含む3次元3Dプリンタの基部(32)を含むか、該基部(32)そのものであるカバー(30)と、
前記タンク(20)と前記カバー(30)とを封止する手段(38)と、
少なくとも1つのハンドル(120a)が、それぞれ溶媒(24)を導入し、あるいは、前記タンク(20)から該溶媒(24)を取り除くための前記タンク(20)の外側の入口又は出口、及び前記タンク(20)の内側の出口又は入口を有する導管(122)を備える1以上のハンドル(120a)と、
を備える、コンテナ(10)によって実施され、
前記方法は、
3次元3D印刷を通して3次元モデルを作成するステップと、
前記3次元モデルを
前記コンテナ(10)に挿入するステップと、
前記溶媒(24)を前記コンテナ(10)に導入するステップと、
繰返しの直線運動により、前記溶媒(24)が導入された
前記コンテナ(10)と、前記3次元モデルとを移動させるステップと、
を
含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記溶媒(24)を前記コンテナ(10)に導入するステップは、前記コンテナ(10)の内容積の多くても1/3の前記溶媒(24)を導入するステップを含む、
方法。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の方法において、
前記溶媒(24)は、アルコールを含む、
方法。
【請求項4】
請求項1
、請求項2又は請求項3に記載の方法において、
前記3次元3D印刷を通して3次元モデルを作成するステップは、レーザ走査ステレオリソグラフィにより3次元モデルを作成するステップを含む、
方法。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の方法において、
前記3次元モデルを作成するステップは、歯又は歯の一部の3次元モデルを作成するステップを含む、
方法。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の方法において、
前記コンテナ(10)を移動する前に該コンテナを封止するステップをさらに含む、
方法。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の方法において、
前記直線運動は、1以上の軸に沿って行われる、
方法。
【請求項8】
請求項
7に記載の方法において、
前記軸は、垂直軸と、該垂直軸から45°で配置される軸との間で規定される角度内に含まれる、
方法。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の方法において、
前記繰返しの直線運動は、前記コンテナの高さの0.5~1.5倍の間の振幅を有する、
方法。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載の方法において、
前記繰返しの直線運動は、複数の直線運動よりなり、前記複数の直線運動として30秒~120秒の継続時間を有する、
方法。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載の方法において、
前記繰返しの直線運動は、毎分60~180回運動の振動数を有する、
方法。
【請求項12】
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載の方法において、
前記コンテナ(10)を移動する前に該コンテナ(10)と一体的な前記3次元モデルを作成するステップを含む、
方法。
【請求項13】
3次元3D印刷を通して作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナ(10)であって、
溶媒(24)を含むように構成されるタンク(20)と、
前記タンク(20)を閉止するように構成され、3次元モデル用の1以上の固定要素(34)を含む3次元3Dプリンタの基部(32)を含むか、該基部(32)そのものであるカバー(30)と、
前記タンク(20)と前記カバー(30)とを封止する手段(38)と、
少なくとも1つのハンドル(120a)が、それぞれ溶媒(24)を導入し、あるいは、前記タンク(20)から該溶媒(24)を取り除くための前記タンク(20)の外側の入口又は出口、及び前記タンク(20)の内側の出口又は入口を有する導管(122)を備える1以上のハンドル(120a)と
を備える、コンテナ(10)。
【請求項14】
請求項
13に記載のコンテナ(10)において、
前記カバー(30)を前記タンク(20)に固定すると、前記1以上の固定要素(34)は、前記タンク(20)の内側に向けられる、
コンテナ(10)。
【請求項15】
請求項
13又は請求項
14に記載のコンテナ(10)において、
前記カバー(30)は、前記3次元3Dプリンタの前記基部(32)を受けて密閉するように構成されるアダプタ(35)を含む、
コンテナ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法に関する。
本発明は、さらに、3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナ(容器)に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書及び以下の特許請求の範囲における用語「3次元3D印刷」及び「3次元3Dプリンタ」は、複数の重畳層により3次元オブジェクトを作成する技術に関する。複数の重畳層では、生成すべきオブジェクトの容積に対応する領域における液状物質の選択的固化により、各層を得る。
【0003】
特に、本明細書及び以下の特許請求の範囲では、3次元3D印刷は、例えば、レーザ走査ステレオリソグラフィなどのステレオリソグラフィ、デジタル光処理(DLP:登録商標)のような商業的な公知技術、「Stratasys社のObjet」や「3D Systems社のmultijet」のような商業的な公知技術やSolidscape社により用いられる技術などの「マルチ噴射モデリング」であればよい。
【0004】
本明細書及び以下の特許請求の範囲では、そのような3次元オブジェクトを「3次元モデル」又は単に「モデル」と表す。特に、3次元オブジェクトが歯、歯の一部、歯科補綴物の要素などである限定的ではない場合を参照する。
【0005】
公知の3次元3Dプリンタは、液状物質、一般的に、液状又はペースト状の感光性樹脂が入ったコンテナを備える。
【0006】
その装置は、一般的に自発光型の光源をさらに備える。光源は、液状物質(感光性樹脂の重合ともいう)を固化するように構成される放射線を放射する。
【0007】
光ユニットは、コンテナ内に配置した基準面に向けて前記放射線を伝える。基準面は、固化すべき層の位置に対応する。
【0008】
モデリング基部又はプレートにより、3次元オブジェクトを形成することをサポートする。オブジェクトの最後に固化した層を前記基準面に近接した位置に配置することができるように、モデリング基部又はプレートは、コンテナに対して垂直に移動可能である。
【0009】
このように、各層を固化した後、再度基準面に近接して固化した層を配置するように、モデリング基部を移動するとすぐ、次の層のための処理を繰り返すことができる。
【0010】
典型的に、3次元オブジェクトは、複数の固定要素により、モデリング基部に固定される。3次元オブジェクトを形成すると、固定要素は、3次元3Dプリンタから着脱可能である。
【0011】
モデリング基部から得た3次元オブジェクトを外す前に、液状物質の残渣、典型的には、液状又はペースト状で感光性樹脂の残渣、すなわち、固化してない(重合してない)感光性樹脂を取り除くことは、(特に、歯科部門では)適切であり、必要なことである。
【0012】
そのような残渣を取り除くために、実質的に2つの手段が知られている。
【0013】
第1の手段では、圧縮空気の噴射を利用する。しかしながら、この手段は、3次元オブジェクトの表面にダメージを与え得るという欠点を有する。
【0014】
第2の手段では、適当な溶媒、典型的には、溶媒が満たされたタンク内への3次元オブジェクトの入浴を利用する。そのような手段は、溶媒の著しい消費や事前入浴時間を待つ必要性という欠点を有する。しかしながら、この手段は、所望する残渣の完全除去を常に保障するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、上述の欠点を克服する3次元3D印刷により得られるモデルから樹脂残渣を取り除く方法であって、除去の質を高め、除去回数を少なくすることを保障する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、第1の態様の本発明は、3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法に関する。その方法は、
3次元3D印刷を通して3次元モデルを作成するステップと、
3次元モデルをコンテナに挿入するステップと、
溶媒をコンテナに導入するステップと、
繰返しの直線運動により、溶媒が導入されたコンテナと、3次元モデルとを移動させるステップと、
を含む。
【0017】
したがって、本発明によれば、例えば、先行技術に係る複数の層に重合される適当な樹脂によって作られた3次元モデルは、適当な3次元3Dプリンタにより作成される。好ましくは、3次元モデルを作成するとき、この3次元モデルは、3次元3Dプリンタの一部である基部に固定される。
【0018】
まだ液状又はペースト状である樹脂で、このように作成したモデルをカバーする。この樹脂は、重合されておらず、取り除く必要がない。モデルが多くの穴やくぼむなどを含めば含むほど、あるいは、比較的複雑な形状を有すれば有するほど、樹脂残渣が多くなるであろう。
【0019】
好ましくは、モデルが固定されたのと同じ基部とともに、該モデルをコンテナに挿入する。このコンテナは、別の要素であってもよく、あるいは、装置の一部であってもよい。
【0020】
適当な溶媒をコンテナに挿入する。その溶媒は、重合した樹脂のタイプに依存する。モデルから樹脂を取り除く能力のために、その溶媒を選択する。
【0021】
そして、コンテナは、複数の直線運動により移動する。手により、すなわち、手動でコンテナをかき混ぜるユーザにより、その運動を付与することができる。あるいは、特に、コンテナがより複雑な装置の一部であるとき、その装置によって自動的にその運動を付与することができる。手により運動を実行することもできるので、「直線運動」は、機械だけではなく人間の操作者によっても行われる運動に利用可能な精度で直線性を得ることができる運動として理解すべきである。したがって、その運動は、不本意に、完全な直線性からわずかに外れてもよい。すなわち、運動は、わずかに曲がり得る。そのため、「直線(linear)」は、本明細書では、人間の操作者であろうと機械であろうと、その運動のアクチュエータにより与えられる「可能な限り直線的(線形の)」運動を意味する。したがって、直線性からの偏差が存在する可能性があるが、好ましくは、全体の運動の主方向よりも小さい。
【0022】
自動作動と手動作動の間の選択は、中でも、残存樹脂を取り除くべきモデルの寸法や重量に依存する。
【0023】
作動は、複数の直線運動、すなわち、ある軸に沿った運動を含む。直線運動は、同じ軸に沿ったものとは限らない。
【0024】
好ましくは、その運動は、垂直軸(座標軸系のZ軸)と、該垂直軸に対して45°で配置される軸とにより規定される角度内に含まれる軸に沿って発生する。好ましくは、最適な洗浄のために、0°~45°(ここで、0°は垂直軸である)の範囲の角度に位置する1つの軸に沿って、あるいは、常に同じ角度内の複数の軸に沿って、すべての直線運動を実行する。
【0025】
実質的に、コンテナは、「振動(shaking)」を受けることにより、コンテナに導入され、重力によりその底部に存在する溶媒は、モデルを濡らし、直線作動による一定の力で底部上をスライドすることができる。
【0026】
出願人は、この作動及び「噴射」における溶媒の結果としての入浴により、モデルから樹脂残渣を適切に除去することができることを発見した。
【0027】
また、好適な角度内の軸に沿った運動の方向は、モデルをきれいにするために重力を利用する。
【0028】
有利に、繰返しの直線運動で移動するコンテナの提供のおかげで、モデルからの樹脂残渣の広範囲の除去を短時間で得ることができる。
【0029】
また、モデルは、表面的にはダメージを受けておらず、コンテナの繰返しの直線運動中、簡単にすすがれる。
【0030】
さらに、コンテナに導入される溶媒は、溶媒で満たしたタンク内に3次元オブジェクトを入浴させる先行技術で提供されるものよりも著しく少ない。
【0031】
以下、本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法の好ましい特徴を説明する。これらの特徴は、独立して、あるいは、互いに組み合わせて設けることができる。
【0032】
好ましくは、溶媒をコンテナに導入するステップは、コンテナの内容積の多くても1/3の溶媒を導入するステップを含む。より好ましくは、溶媒は、コンテナの内容積の1/5~1/3の間だけ満たされる。出願人は、この減少した溶媒量によって、モデルから樹脂残渣を適切に除去することができるのに十分であることが分かった。
【0033】
好ましくは、前記溶媒は、アルコールを含む。
【0034】
有利に、それは、無害で安価な溶媒である。
【0035】
好ましくは、3次元3D印刷を通して3次元モデルを作成するステップは、ステレオリソグラフィ、より好ましくは、レーザ走査ステレオリソグラフィにより3次元モデルを作成するステップを含む。
【0036】
より好ましくは、3次元モデルを作成するステップは、歯又は歯の一部の3次元モデルを作成するステップを含む。
【0037】
有利に、ステレオリソグラフィ、特に、レーザ走査ステレオリソグラフィが既に周知技術であり、特に、歯科部門によく適している。
【0038】
好ましくは、本発明に係る方法は、前記コンテナを移動する前に該コンテナを封止するステップを含む。
【0039】
有利に、このように、溶媒は、その繰返しの直線運動中でもコンテナに残存する。
【0040】
好ましくは、前記直線運動は、1以上の軸に沿って行われる。
【0041】
好ましくは、直線運動は、コンテナの高さの0.5~1.5倍の間の振幅を有する。
【0042】
より好ましくは、前記繰返しの直線運動は、少なくとも30cmの振幅を有する。例えば、その振幅は、およそ40cmである。
【0043】
その振幅は、直線運動の端点間の距離であり、コンテナは、その移動方向を反転する前に停止する。
【0044】
より好ましくは、前記繰返しの直線運動は、30秒~120秒の継続時間(期間)を有する。
【0045】
さらにより好ましくは、前記繰返しの直線運動は、少なくとも毎分20回移動の振動数を有する。例えば、その振動数は、毎分60~180回移動である。(前進及び後進)の直線運動を往復移動する場合には、振動数は、およそ毎分30~90回往復運動(前進及び後進)に対応する。
【0046】
有利に、直線運動は、それを手動で実行するユーザにとって習得するのは容易であるか、自動作動装置により容易に達成される。
【0047】
これらの振動数レンジ内の直線運動により、特に、形状へのダメージを避け、変形、膨張、又は破損のリスクを最小化するなどのモデルの完全性を保護しつつ、徹底的な洗浄をすることができる。より詳細には、上述の直線運動は、特定のパラメータ内で速度及び加速度を維持しつつ、モデル破損のリスクを低減する。また、好ましくは、モデルの変形や膨張が溶媒とモデルとの接触時間に関連するので、上述のように、モデルと溶媒との接触時間も選択する(接触時間は、直線運動の周期及び振動数に依存する)。いずれの場合でも、破損、膨張、及び変形は、互いに関係がある。なぜならば、接触時間が長いほど、モデルが壊れやすくなり、「振動」によるモデルの運動がより危険になるためである。
【0048】
好ましくは、本発明に係る方法は、コンテナと3次元モデルとを移動する前に該コンテナと一体的な3次元モデルを作成するステップを含む。
【0049】
有利に、モデルは、コンテナに付与される繰返しの直線運動中、該コンテナの内壁に対してダメージを受けない。
【0050】
第2の態様では、本発明は、3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナに関する。該コンテナは、
溶媒を含むように構成されるタンクと、
タンクを閉止するように構成され、3次元モデル用の1以上の固定要素を含む3次元3Dプリンタの基部を含むか、該基部そのものであるカバーと、
タンクとカバーとを封止する手段と、
を含む。
【0051】
本発明の第2の態様に係るコンテナは、本発明の第1の態様に係る方法を実施するために用いられてもよい。したがって、上述のすべての利点を達成することができる。
【0052】
以下、本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナの好適な特徴を説明する。コンテナは、個別に、あるいは、互いに組み合わせて設けることができる。
【0053】
好ましくは、固定要素は、カバーをタンクに固定すると、タンクの内側に向けられる。
【0054】
有利に、固定要素に固定したモデルは、このように、タンクの内側に向けられる。
【0055】
好ましくは、カバーは、3次元3Dプリンタの基部を受けて密閉するように構成されるアダプタを含む。
【0056】
有利に、アダプタにより、樹脂残渣を取り除くべきモデルを生む3次元3Dプリンタの基部の素早い係合/解放を可能にする。
【0057】
好ましくは、本発明に係るコンテナは、1つ以上のハンドルを含む。該ハンドルの少なくとも1つは、それぞれ、タンクに対して、溶媒を導入したり、取り除いたりするための、前記タンクの外側の入口又は出口と、前記タンクの内側の出口又は入口とを有する導管を備える。
【0058】
有利に、ハンドルは、特に、コンテナに付与される繰返しの直線運動中、コンテナの確実なグリップを可能にする。好ましくは、導管は、ハンドルの1つに有利に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照してなされる好適実施形態の記述からより明らかになるであろう。
【
図1】本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナの第1実施形態の横立面図である。
【
図4】本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除くためのコンテナの第2実施形態の横立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
まず、
図1~
図3を参照する。参照符号10は、本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデル(図示せず)から樹脂残渣を取り除くためのコンテナ(容器)の第1実施形態を全体として示す。
【0061】
コンテナ10は、タンク20と、カバー30とを含む。カバー30は、タンク20の上部開口22を閉止するよう構成される。
【0062】
カバー30は、3次元3Dプリンタ(図示せず)の基部32を含む。好ましくは、基部32は、ステレオリソグラフィ装置、より好ましくは、レーザ走査型の基部である。
【0063】
基部32は、3次元3Dプリンタ内に形成されるモデルを生む。3次元3Dプリンタは、固定要素34により、基部32に固定される。
【0064】
固定要素34は、基部32の実質的な平面部36から延伸する。特に、固定要素34は、カバー30がタンク20に固定されるとき(
図1)、タンク20の内側に向けられる。固定要素34は、実質的に四辺形の部分、例えば、長方形の部分を持つ実質的に円筒形の形状を有する。
【0065】
タンク20は、実質的に楕円形の基部を持つ実質的に円筒形の形状を有する。タンク20には、溶媒24、例えばアルコール、特に、エチルアルコールが注がれる。
【0066】
カバー30とタンク20との間には、封止手段38が設けられる。封止手段38は、例えば、タンク20の上部開口22端部22aに位置する環状ガスケット39である。
【0067】
カバー30は、実質的な平面部31を含む。カバー30上には、貫通口33が形成される。
【0068】
カバー30は、基部32を受けて密閉するように構成されるアダプタ35を含む。
【0069】
アダプタ35は、貫通口33において、実質的な平面部31から延伸する。特に、アダプタ35は、カバー30をタンク20(
図1)に固定すると、タンク20の内側に向けられる。アダプタ35は、実質的に円筒形の形状と、固定要素34の部分に連結される実質的に四辺形の部分(例えば、長方形の部分)とを有する。固定要素34は、アダプタ35内に挿入可能である(
図1)。
【0070】
このように、固定要素34とアダプタ35の間には、形状継手(shape coupling)が設けられる。
【0071】
固定要素34の挿入及び抜き取りをさらに容易にするために、カバー30をタンク20に固定するとき、タンク20の内側に向かう方向に先細になるように、固定要素34とアダプタ35の壁をわずかに傾けることができる。
【0072】
カバー30及び基部32は、それぞれ、把持付属部30a、32aを備える。
【0073】
本発明の第2実施形態を
図4~
図6に示す。これらの図では、
図1~
図3に示す第1実施形態を参照してすでに説明したものと構造的又は機能的に同等の要素は、同じ参照符号で示す。
【0074】
この第2実施形態では、コンテナ10のカバー30は、実質的に、3次元3Dプリンタ(図示せず)の基部32である。このため、本発明の第1実施形態の代わりの場合のように、アダプタ35の存在は必要ではない。
【0075】
タンク20は、実質的に円形の基部を備える実質的に円筒形の形状を有する。
【0076】
基部32とタンク20の間には、封止手段38が設けられる。一対の相互に反対に回転可能なレバー140は、タンク20の上部開口22の端部22aに近接して載置される。該レバー140は、タンクに対して、基部32を施解錠(固定/解放)する。
【0077】
カバー30は、把持付属部30aを備える。
【0078】
タンク20は、タンク20に対して長手方向に延伸し、互いに対向する2つのハンドル120aを含む。
【0079】
2つのハンドル120aの一方は、タンク20の外側の入口と、前記タンク20の内側の出口又は入口とを有する導管122を備える。外側の入口は、着脱可能なプラグ124により閉止される。内側の出口又は入口は、タンク20に対して、溶媒24を導入又は取り除くためのものである。
【0080】
動作において、3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法は、例えば、ステレオリソグラフィ、特に、レーザ走査ステレオリソグラフィにより実施される。3次元モデルは、歯又は歯の一部であってもよい。
【0081】
まず、3次元3D印刷により3次元モデルを作成し、その後、樹脂残渣を取り除くべきモデルを生む3次元3Dプリンタの基部32を抽出する。
【0082】
基部32は、コンテナ10のカバー30に関連付けられ(
図1~
図3に示す第1実施形態)、あるいは、それ自身がコンテナ10のカバー30を構成する(
図4~
図6に示す第2実施形態)。
【0083】
基部32により、3次元モデルをコンテナ10に挿入する。基部32は、コンテナ10のタンク20と一体的に作られる。そのため、3次元モデルも、コンテナ10と一体的に作られる。
【0084】
図4~
図6に示す第2実施形態の場合には、好ましくは、基部32が3次元3Dプリンタ内にまだあるとき、樹脂がモデルから3次元3Dプリンタの外部や作業場に滴るのを防ぐように、タンク20は、基部32に係合される。
【0085】
カバー30及びタンク20は、封止手段38により互いに封止される。
【0086】
コンテナ10には、溶媒24が導入される。好ましくは、溶媒24は、コンテナ10の内容積の1/3未満だけ満たされる。より好ましくは、溶媒24は、コンテナ10の内容積の1/5未満だけ満たされる。なおより好ましくは、溶媒24は、コンテナ10の内容積のおよそ1/10だけ満たされる。例えば、およそ200ml~300mlの間の量の溶媒24を使用可能である。
【0087】
そして、繰返しの直線運動により、溶媒24及びモデルを含むコンテナ10を動かす。
【0088】
1以上の軸に沿って、そのような直線運動を実行する。手により、すなわち、手動でコンテナ10をかき混ぜるユーザによりその作動を行うことができる。あるいは、特に、コンテナ10がより複雑な装置の一部であるとき、その装置により自動的にその作動を行うことができる。
【0089】
好ましくは、繰返しの直線運動は、
少なくとも30cmの振幅(例えば、振幅は、およそ40cmに等しい)と、
少なくとも3分の周期(例えば、周期は、およそ4分である)と、
少なくとも毎分20回移動の振動数(例えば、振動数は、およそ毎分30回移動である)と、
を有する。
【0090】
コンテナ10を含む要素、すなわち、タンク20及びカバー30は再利用可能であり、基部32も同様に、再利用可能である。
【0091】
明らかに、特定の及び不定の(偶発的な)要件を満たすために、当業者は、それによって以下の特許請求の範囲に規定される保護範囲から逸脱することなく、本発明に係る3次元3D印刷により作成されるモデルから樹脂残渣を取り除く方法及びコンテナに対して、多くの修正や変形を加えてもよい。