(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/355 20110101AFI20221124BHJP
【FI】
H04N5/355 810
(21)【出願番号】P 2019550911
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2018036877
(87)【国際公開番号】W WO2019082614
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2017208118
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 良助
(72)【発明者】
【氏名】坂野 頼人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦史
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-84892(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010260(WO,A1)
【文献】特開2005-332880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の受光素子および第2の受光素子と、
第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
オン状態になることにより前記第1の受光素子と前記第1の電荷蓄積部とを接続する第1のスイッチと、
オン状態になることにより所定ノードと前記第1の電荷蓄積部とを接続する第2のスイッチと、
オン状態になることにより前記所定ノードに所定の電圧を印加する第3のスイッチと、
オン状態になることにより前記第2の受光素子と前記第2の電荷蓄積部とを接続する第4のスイッチと、
オン状態になることにより前記第2の電荷蓄積部と前記所定ノードとを接続する第5のスイッチと、
前記第1の電荷蓄積部における電圧に応じた画素電圧を出力する出力部と、
各スイッチを駆動する駆動部と、
前記画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成する処理部と
を備え、
前記駆動部は、
第1の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第1の期間の後の第2の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間の後の第3の期間において、前記第4のスイッチをオン状態にし、
前記第3の期間の後の第4の期間において、前記第4のスイッチをオフ状態にし、
前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求める
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタル値を生成するとともに、前記第4の期間における前記画素電圧に基づいてAD変換を行うことにより第2のデジタル値を生成し、前記第1のデジタル値および前記第2のデジタル値に基づいて前記第3の値を求める
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記駆動部は、
前記第4の期間の後の第5の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第5の期間の後の第6の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第6の期間の後の第7の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第7の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第4の値を求める
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記第4の期間の後の第5の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第5の期間の後の第6の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第6の期間の後の第7の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間は、第1のサブ期間と、前記第1のサブ期間の後の第2のサブ期間とを含み、
前記処理部は、
前記第2の期間の前記第2のサブ期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求め、
前記第2の期間の前記第1のサブ期間における前記画素電圧と、前記第7の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第4の値を求める
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記駆動部は、
第8の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第8の期間の後の第9の期間において、前記第2のスイッチをオン状態にするとともに前記第3のスイッチをオフ状態にし、
前記第9の期間の後の第10の期間において、前記第2のスイッチをオフ状態にし、
前記第10の期間の後の第11の期間において、前記第1のスイッチをオン状態にし、
前記第11の期間の後の第12の期間において、前記第1のスイッチをオフ状態にし、
前記第12の期間の後であり前記第1の期間の前の第13の期間において、前記第2のスイッチをオン状態にし、
前記処理部は、
前記第10の期間における前記画素電圧と、前記第12の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第1の値を求め、
前記第9の期間における前記画素電圧と、前記第13の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第2の値を求める
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記処理部は、
輝度が第1の輝度値より低い場合には、前記第1の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第1の輝度値よりも高く第2の輝度値よりも低い場合には、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第2の輝度値よりも高く第3の輝度値よりも低い場合には、前記第1の値、前記第2の値、および前記第3の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第3の輝度値よりも高い場合には、前記第1の値、前記第2の値、前記第3の値、および前記第4の値に基づいて前記画素値を生成する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の受光素子の受光領域は、前記第2の受光素子の受光領域よりも広い
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の電荷蓄積部は、拡散層を有する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記処理部は、
電圧レベルが変化する参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記画素電圧と前記参照信号とを比較することにより比較信号を生成する比較部と、
前記比較信号に基づいてカウント動作を行うことによりデジタル値を生成するカウンタと
を有する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
第1の受光素子および第2の受光素子と、第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、オン状態になることにより前記第1の受光素子と前記第1の電荷蓄積部とを接続する第1のスイッチと、オン状態になることにより所定ノードと前記第1の電荷蓄積部とを接続する第2のスイッチと、オン状態になることにより前記所定ノードに所定の電圧を印加する第3のスイッチと、オン状態になることにより前記第2の受光素子と前記第2の電荷蓄積部とを接続する第4のスイッチと、オン状態になることにより前記第2の電荷蓄積部と前記所定ノードとを接続する第5のスイッチと、前記第1の電荷蓄積部における電圧に応じた画素電圧を出力する出力部とを備えた撮像画素の各スイッチを駆動し、
前記画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成し、
第1の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第1の期間の後の第2の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間の後の第3の期間において、前記第4のスイッチをオン状態にし、
前記第3の期間の後の第4の期間において、前記第4のスイッチをオフ状態にし、
前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求める
撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像動作を行う撮像装置、およびそのような撮像装置における用いられる撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置では、ダイナミックレンジが広いことが望まれている。例えば、特許文献1には、フォトダイオードと、フォトダイオードから溢れる光電荷を蓄積する蓄積容量素子とを有し、ダイナミックレンジの拡大を図る撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
撮像装置では、撮像画像の画質が高いことが望まれており、さらなる画質の向上が期待されている。
【0005】
撮像画像の画質を高めることができる撮像装置、および撮像方法を提供することが望ましい。
【0006】
本開示の一実施の形態における撮像装置は、第1の受光素子および第2の受光素子と、
第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチと、第5のスイッチと、出力部と、駆動部と、処理部とを備えている。第1のスイッチは、オン状態になることにより第1の受光素子と第1の電荷蓄積部とを接続するものである。第2のスイッチは、オン状態になることにより所定ノードと第1の電荷蓄積部とを接続するものである。第3のスイッチは、オン状態になることにより所定ノードに所定の電圧を印加するものである。第4のスイッチは、オン状態になることにより第2の受光素子と第2の電荷蓄積部とを接続するものである。第5のスイッチは、オン状態になることにより第2の電荷蓄積部と所定ノードとを接続するものである。駆動部は、各スイッチを駆動するものである。処理部は、画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成するものである。上記駆動部は、第1の期間において、第2のスイッチおよび第3のスイッチをオン状態にするとともに、第1のスイッチ、第4のスイッチ、および第5のスイッチをオフ状態にし、第1の期間の後の第2の期間において、第3のスイッチをオフ状態にするとともに第5のスイッチをオン状態にし、第2の期間の後の第3の期間において、第4のスイッチをオン状態にし、第3の期間の後の第4の期間において、第4のスイッチをオフ状態にする。処理部は、第2の期間における画素電圧と、第4の期間における画素電圧とに基づいて第3の値を求める。
【0007】
本開示の一実施の形態における撮像方法は、第1の受光素子および第2の受光素子と、第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、オン状態になることにより第1の受光素子と第1の電荷蓄積部とを接続する第1のスイッチと、オン状態になることにより所定ノードと第1の電荷蓄積部とを接続する第2のスイッチと、オン状態になることにより所定ノードに所定の電圧を印加する第3のスイッチと、オン状態になることにより第2の受光素子と第2の電荷蓄積部とを接続する第4のスイッチと、オン状態になることにより第2の電荷蓄積部と所定ノードとを接続する第5のスイッチと、第1の電荷蓄積部における電圧に応じた画素電圧を出力する出力部とを備えた撮像画素の各スイッチを駆動し、画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成し、第1の期間において、第2のスイッチおよび第3のスイッチをオン状態にするとともに、第1のスイッチ、第4のスイッチ、および第5のスイッチをオフ状態にし、第1の期間の後の第2の期間において、第3のスイッチをオフ状態にするとともに第5のスイッチをオン状態にし、第2の期間の後の第3の期間において、第4のスイッチをオン状態にし、第3の期間の後の第4の期間において、第4のスイッチをオフ状態にし、第2の期間における画素電圧と、第4の期間における画素電圧とに基づいて第3の値を求める。
【0008】
本開示の一実施の形態における撮像装置、および撮像方法では、第1の期間において、第2のスイッチおよび第3のスイッチがオン状態にされるとともに、第1のスイッチ、第4のスイッチ、および第5のスイッチがオフ状態にされ、第1の期間の後の第2の期間において、第3のスイッチがオフ状態にされるとともに第5のスイッチがオン状態にされ、第2の期間の後の第3の期間において、第4のスイッチがオン状態にされ、第3の期間の後の第4の期間において、第4のスイッチがオフ状態にされる。そして、第2の期間における画素電圧と、第4の期間における画素電圧とに基づいて第3の値が求められる。そして、第1の値、第2の値、第3の値、第4の値に基づいて、画素値が生成される。
【0009】
本開示の一実施の形態における撮像装置、および撮像方法によれば、第1の期間において、第2のスイッチおよび第3のスイッチをオン状態にするとともに、第1のスイッチ、第4のスイッチ、および第5のスイッチをオフ状態にし、第1の期間の後の第2の期間において、第3のスイッチをオフ状態にするとともに第5のスイッチをオン状態にし、第2の期間の後の第3の期間において、第4のスイッチをオン状態にし、第3の期間の後の第4の期間において、第4のスイッチをオフ状態にし、第2の期間における画素電圧と、第4の期間における画素電圧とに基づいて第3の値を求めるようにしたので、撮像画像の画質を高めることができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る撮像装置の一構成例を表す構成図である。
【
図2】
図1に示した読出部の一構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図1に示した撮像装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図4A】
図1に示した撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図4B】
図1に示した撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図5A】
図1に示した撮像画素の一動作状態を表す回路図である。
【
図5B】
図1に示した撮像装置の他の動作状態を表す回路図である。
【
図5C】
図1に示した撮像装置の他の動作状態を表す回路図である。
【
図6】
図1に示した撮像装置の一動作例を表す説明図である。
【
図7】
図1に示した撮像装置の一特性例を表す特性図である。
【
図8】比較例に係る撮像装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図9A】比較例に係る撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図9B】比較例に係る撮像装置の一動作例を表す他のタイミング波形図である。
【
図10】比較例に係る撮像装置の一動作例を表す説明図である。
【
図11】比較例に係る撮像装置の一特性例を表す特性図である。
【
図12】変形例に係る撮像装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
【
図13】変形例に係る撮像装置の一動作例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る撮像装置(撮像装置1)の一構成例を表すものである。撮像装置1は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)集積回路の製造プロセスを利用して製造される、いわゆるCMOSイメージセンサである。なお、本開示の実施の形態に係る撮像方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。 撮像装置1は、画素アレイ11と、走査部12と、読出部20と、信号処理部14と、制御部15とを備えている。
【0013】
画素アレイ11は、複数の撮像画素10がマトリックス状に配置されたものである。画素アレイ11は、複数の制御線TGLLと、複数の制御線FDGLと、複数の制御線RSTLと、複数の制御線FCGLと、複数の制御線TGSLと、複数の制御線SELLと、複数の信号線SGLとを有している。制御線TGLLは、水平方向(
図1における横方向)に延伸するものであり、制御線TGLLには、走査部12により信号STGLが印加される。制御線FDGLは、水平方向に延伸するものであり、制御線FDGLには、走査部12により信号SFDGが印加される。制御線RSTLは、水平方向に延伸するものであり、制御線RSTLには、走査部12により信号SRSTが印加される。制御線FCGLは、水平方向に延伸するものであり、制御線FCGLには、走査部12により信号SFCGが印加される。制御線TGSLは、水平方向に延伸するものであり、制御線TGSLには、走査部12により信号STGSが印加される。制御線SELLは、水平方向に延伸するものであり、制御線SELLには、走査部12により信号SSELが印加される。信号線SGLは、垂直方向(
図1における縦方向)に延伸するものであり、読出部40に接続されている。
【0014】
撮像画素10は、フォトダイオードPD1と、トランジスタTGLと、フォトダイオードPD2と、トランジスタTGSと、容量素子FCと、トランジスタFCG,RST,FDGと、フローティングディフュージョンFDと、トランジスタAMP,SELとを有している。トランジスタTGL,TGS,FCG,RST,FDG,AMP,SELは、この例ではN型のMOSトランジスタである。
【0015】
フォトダイオードPD1は、受光量に応じた量の電荷を生成して内部に蓄積する光電変換素子である。フォトダイオードPD1が光を受光可能な受光領域は、フォトダイオードPD2が光を受光可能な受光領域よりも広いものである。フォトダイオードPD1のアノードは接地され、カソードはトランジスタTGLのソースに接続されている。
【0016】
トランジスタTGLのゲートは制御線TGLLに接続され、ソースはフォトダイオードPD1のカソードに接続され、ドレインはフローティングディフュージョンFDに接続されている。
【0017】
フォトダイオードPD2は、受光量に応じた量の電荷を生成して内部に蓄積する光電変換素子である。フォトダイオードPD2が光を受光可能な受光領域は、フォトダイオードPD1が光を受光可能な受光領域よりも狭いものである。フォトダイオードPD2のアノードは接地され、カソードはトランジスタTGSのソースに接続されている。
【0018】
トランジスタTGSのゲートは制御線TGSLに接続され、ソースはフォトダイオードPD2のカソードに接続され、ドレインは容量素子FCの一端、およびトランジスタFCGのソースに接続されている。
【0019】
容量素子FCの一端はトランジスタTGSのドレインおよびトランジスタFCGのソースに接続され、他端には電源電圧VDDが供給されている。
【0020】
トランジスタFCGのゲートは制御線FCGLに接続され、ソースは容量素子FCの一端およびトランジスタTGSのドレインに接続され、ドレインはトランジスタRSTのソースおよびトランジスタFDGのドレインに接続されている。
【0021】
トランジスタRSTのゲートは制御線RSTLに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースは、トランジスタFCG,FDGのドレインに接続されている。
【0022】
トランジスタFDGのゲートは制御線FDGLに接続され、ドレインはトランジスタRSTのソースおよびトランジスタFCGのドレインに接続され、ソースはフローティングディフュージョンに接続されている。
【0023】
フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPD1,PD2から供給された電荷を蓄積するものであり、例えば、半導体基板の表面に形成された拡散層を用いて構成される。
図1では、フローティングディフュージョンFDを、容量素子のシンボルを用いて示している。
【0024】
トランジスタAMPのゲートはフローティングディフュージョンFDに接続され、ドレインには電源電圧VDDが供給され、ソースはトランジスタSELのドレインに接続されている。
【0025】
トランジスタSELのゲートは制御線SELLに接続され、ドレインはトランジスタAMPのソースに接続され、ソースは信号線SGLに接続されている。
【0026】
この構成により、撮像画素10では、制御線SELLに印加された信号SSELに基づいてトランジスタSELがオン状態になることにより、撮像画素10が信号線SGLと電気的に接続される。これにより、トランジスタAMPは、読出部20の電流源23(後述)に接続され、いわゆるソースフォロワとして動作する。そして、撮像画素10は、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VPを、信号SIGとして、信号線SGLに出力する。具体的には、撮像画素10は、後述するように、いわゆる水平期間H内の7つの期間(変換期間P1~P7)において、7つの画素電圧VP(VP1~VP7)を順次出力するようになっている。
【0027】
走査部12は、制御部15からの指示に基づいて、複数の撮像画素10を、1行分の撮像画素10を単位として、順次駆動するものであり、例えばシフトレジスタを用いて構成される。なお、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、アドレスデコーダを用いてもよい。走査部12は、複数の制御線TGLLに対して信号STGLを印加し、複数の制御線FDGLに対して信号SFDGを印加し、複数の制御線RSTLに対して信号SRSTを印加し、複数の制御線FCGLに対して信号SFCGを印加し、複数の制御線TGSLに対して信号STGSを印加し、複数の制御線SELLに対して信号SSELを印加することにより、1行分の撮像画素10を駆動するようになっている。
【0028】
読出部20は、画素アレイ11から信号線SGLを介して供給された信号SIGに基づいてAD(Analog to Digital)変換を行うことにより、デジタル値(カウント値CNT)を生成するものである。
【0029】
図2は、読出部20の一構成例を表すものである。なお、
図2には、読出部20に加え、制御部15および信号処理部14をも描いている。
【0030】
読出部20は、読出制御部28と、参照信号生成部29と、複数のAD(Analog to Digital)変換部ADCとを有している。
【0031】
読出制御部28は、制御部15からの指示に基づいて、読出部40における読出動作を制御するものである。具体的には、読出制御部28は、参照信号生成部29に制御信号を供給することにより、参照信号生成部29に参照信号REF(後述)を生成させる。また、読出制御部28は、複数のAD変換部ADCに、クロック信号CLKおよび制御信号CCを供給することにより、複数のAD変換部ADCにおけるAD変換動作を制御するようになっている。
【0032】
参照信号生成部29は、読出制御部28からの指示に基づいて参照信号REFを生成するものである。参照信号REFは、後述するように、7つの期間(変換期間P1~P7)において、時間の経過に応じて電圧レベルが徐々に低下する、いわゆるランプ波形を有するものである。
【0033】
AD変換部ADCは、画素アレイ11から信号線SGLを介して供給された信号SIGに基づいてAD変換を行うことにより、画素電圧VPをデジタル値(カウント値CNT)に変換するものである。複数のAD変換部ADCは、画素アレイ11の複数の信号線SGLに対応して設けられている。
【0034】
AD変換部ADCは、容量素子21,22と、電流源23と、コンパレータ24と、カウンタ25とを有している。容量素子21の一端には参照信号REFが供給され、他端はコンパレータ24の正入力端子に接続されている。容量素子22の一端は信号線SGLに接続され、他端はコンパレータ24の負入力端子に接続されている。電流源23は、信号線SGLから接地に所定の電流値の電流を流すものである。コンパレータ24の正入力端子には、容量素子21を介して参照信号REFが供給され、負入力端子には、容量素子22を介して信号SIGが供給される。そして、コンパレータ24は、正入力端子における入力電圧と負入力端子における入力電圧とを比較して、その比較結果を信号CMPとして出力するようになっている。カウンタ25は、信号CMP、クロック信号CLK、および制御信号CCに基づいて、カウント動作を行うものである。具体的には、カウンタ25は、読出制御部28がクロック信号CLKの生成を開始することにより、このクロック信号CLKにおけるクロックパルスのカウント動作を開始し、カウント値CNTをインクリメントする。そして、カウンタ25は、コンパレータ24から供給された信号CMPに基づいて、このカウント動作を終了する。また、カウンタ25は、制御信号CCに基づいて、カウント値CNTをリセットする。
【0035】
この構成により、読出部20では、AD変換部ADCが、信号SIGに基づいてAD変換を行い、カウント値CNTを出力する。具体的には、AD変換部ADCは、7つの変換期間P1~P7において、信号SIGに含まれる7つの画素電圧VP1~VP7に基づいてそれぞれAD変換を行い、7つのカウント値CNT(カウント値CNT1~CNT7)をそれぞれ出力するようになっている。
【0036】
信号処理部14は、読出部20から供給されたカウント値CNTに基づいて、所定の信号処理を行い、この信号処理の結果を画像信号DATAとして出力するものである。具体的には、信号処理部14は、読出部20から供給された7つのカウント値CNT1~CNT7に基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4)を生成する。そして、信号処理部14は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。そして、信号処理部14は、この撮像画像PICAを、画像信号DATAとして出力する。これにより、撮像装置1では、後述するように、ダイナミックレンジを拡大することができるようになっている。
【0037】
制御部15は、走査部12、読出部20、および信号処理部14に制御信号を供給し、これらの回路の動作を制御することにより、撮像装置1の動作を制御するものである。
【0038】
ここで、フォトダイオードPD1は、本開示における「第1の受光素子」の一具体例に対応する。フォトダイオードPD2は、本開示における「第2の受光素子」の一具体例に対応する。フローティングディフュージョンFDは、本開示における「第1の電荷蓄積部」の一具体例に対応する。容量素子FCは、本開示における「第2の電荷蓄積部」の一具体例に対応する。トランジスタTGLは、本開示における「第1のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタFDGは、本開示における「第2のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタRSTは、本開示における「第3のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタTGSは、本開示における「第4のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタFCGは、本開示における「第5のスイッチ」の一具体例に対応する。トランジスタAMP,SELは、本開示における「出力部」の一具体例に対応する。走査部12は、本開示における「駆動部」の一具体例に対応する。読出部20および信号処理部14は、本開示における「処理部」の一具体例に対応する。
【0039】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の撮像装置1の動作および作用について説明する。
【0040】
(全体動作概要)
まず、
図1,2を参照して、撮像装置1の全体動作概要を説明する。走査部12は、複数の撮像画素10を、1行分の撮像画素10を単位として、順次駆動する。撮像画素10は、水平期間Hにおける7つの変換期間P1~P7において、7つの画素電圧VP1~VP7を順次出力する。読出部20のAD変換部ADCは、これらの7つの画素電圧VP1~VP7に基づいてそれぞれAD変換を行い、7つのカウント値CNT1~CNT7をそれぞれ出力する。信号処理部14は、読出部20から供給された7つのカウント値CNT1~CNT7に基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4)を生成する。そして、信号処理部14は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。
【0041】
(詳細動作)
撮像装置1において、複数の撮像画素10は、画素電圧VPを信号SIGとして出力する。そして、読出部20のAD変換部ADCは、この信号SIGに基づいてデジタル値(カウント値CNT)を生成する。以下に、着目したある撮像画素10Aに係る動作について詳細に説明する。
【0042】
図3,4A,4Bは、撮像装置1の一動作例を表すものであり、(A)は水平同期信号HSYNCの波形を示し、(B)は撮像画素10Aに供給される信号SSELの波形を示し、(C)は撮像画素10Aに供給される信号SFDGの波形を示し、(D)は撮像画素10Aに供給される信号STGLの波形を示し、(E)は撮像画素10Aに供給される信号SRSTの波形を示し、(F)は撮像画素10Aに供給される信号SFCGの波形を示し、(G)は撮像画素10Aに供給される信号STGSの波形を示し、(H)は参照信号REFの波形を示し、(I)は撮像画素10Aから出力される信号SIGの波形を示し、(J)は撮像画素10Aに接続されたAD変換部ADCにおけるカウンタ25の動作を示す。
図4Aは、
図3に示した動作のうちの前半の動作を示し、
図4Bは、
図3に示した動作のうちの後半の動作を示す。
図3(H),(I)、
図4A(H),(I)、および
図4B(H),(I)では、各信号の波形を同じ電圧軸で示している。また、
図3(J)、
図4A(J)、
図4B(J)において、斜線は、カウンタ25がカウント動作を行っていることを示している。
【0043】
図5A~5Cは、撮像画素10Aの状態を表すものである。この
図5A~5Cでは、トランジスタTGL,RST,FDG,TGS,FCG,SELを、そのトランジスタの動作状態に応じたスイッチを用いて示している。
【0044】
撮像装置1では、ある水平期間Hにおいて、まず、走査部12は、信号SSELを用いて、画素アレイ11における複数の撮像画素10のうちの、着目した撮像画素10Aを含む1行分の撮像画素10を選択し、撮像画素10Aを、その撮像画素10Aに対応する信号線SGLに電気的に接続させる。そして、走査部12は、信号SFDG,STGL,SRST,SFCG,STGSを用いて、撮像画素10Aの動作を制御し、撮像画素10Aは、7つの変換期間P1~P7において、7つの画素電圧VP1~VP7を順次出力する。そして、読出部20のAD変換部ADCは、これらの7つの画素電圧VP1~VP7に基づいてそれぞれAD変換を行い、7つのカウント値CNT1~CNT7を出力する。以下にこの動作について詳細に説明する。
【0045】
まず、タイミングt1において、水平期間Hが開始すると、走査部12は、タイミングt2において、信号SSELの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4A(B))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタSELがオン状態になり、撮像画素10Aが信号線SGLと電気的に接続される。
【0046】
(タイミングt11~t16の動作)
次に、タイミングt11において、走査部12は、信号SFDGの電圧を低レベルから高レベルに変化させるとともに、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4A(C),(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFDG,RSTがともにオン状態になり、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。また、このタイミングt11において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4A(H))。
【0047】
次に、タイミングt12において、走査部12は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させるとともに、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4A(C),(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFDG,RSTがともにオフ状態になる。
【0048】
次に、タイミングt13において、走査部12は、信号SFDGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4A(C))。これにより、トランジスタFDGがオン状態になる。
【0049】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Aに示したように、トランジスタFDG,SELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。トランジスタFDGがオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタFDGが合成容量を構成する。この合成容量は、撮像画素10Aにおいて電荷を電圧へ変換する変換容量として機能する。撮像画素10Aでは、このように、トランジスタFDGがオン状態であるので、撮像画素10Aにおける変換容量の容量値が大きいため、電荷から電圧への変換効率が低い。この変換容量は、タイミングt11~t12においてフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP1)を出力する。
【0050】
次に、タイミングt14~t16の期間(変換期間P1)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP1に基づいてAD変換を行う。具体的には、タイミングt14において、読出制御部28は、クロック信号CLKの生成を開始し、これと同時に、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を、電圧V1から所定の変化度合いで低下させ始める(
図4A(H))。これに応じて、AD変換部ADCのカウンタ25は、カウント動作を開始する(
図4A(J))。
【0051】
そして、タイミングt15において、参照信号REFの電圧が信号SIGの電圧(画素電圧VP1)を下回る(
図4A(H),(I))。これに応じて、AD変換部ADCのコンパレータ24は、信号CMPの電圧を変化させ、その結果、カウンタ25は、カウント動作を停止する(
図4A(J))。このときのカウンタ25のカウント値CNTは、カウント値CNT1である。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT1を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0052】
そして、タイミングt16において、読出制御部28は、変換期間P1の終了に伴い、クロック信号CLKの生成を停止し、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧の変化を停止させる(
図4A(H))。
【0053】
(タイミングt21~t24の動作)
次に、タイミングt21において、走査部12は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4A(C))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFDGがオフ状態になる。また、このタイミングt21において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4A(H))。
【0054】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Bに示したように、トランジスタSELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。撮像画素10Aでは、このように、トランジスタFDGがオフ状態であるので、撮像画素10Aにおける変換容量の容量値が小さいため、電荷から電圧への変換効率が高い。この変換容量は、タイミングt11~t12においてフローティングディフュージョンFDがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP2)を出力する。
【0055】
次に、タイミングt22~t24の期間(変換期間P2)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP2に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP2に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT2を得る(
図4A(J))。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT2を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0056】
(タイミングt31~t35の動作)
次に、タイミングt31において、走査部12は、信号STGLの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4A(D))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGLがオン状態になる。これにより、フォトダイオードPD1で発生した電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。また、このタイミングt31において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4A(H))。
【0057】
次に、タイミングt32において、走査部12は、信号STGLの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4A(D))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGLがオフ状態になる。
【0058】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Bに示したように、トランジスタFDGがオフ状態であるので、撮像画素10Aにおける変換容量の容量値が小さいので、電荷から電圧への変換効率が高い。この変換容量は、タイミングt31~t32においてフォトダイオードPD1から転送された電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP3)を出力する。
【0059】
次に、タイミングt33~t35の期間(変換期間P3)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP3に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP3に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT3を得る(
図4A(J))。このカウント値CNT3は、同じく変換効率が高い時(変換期間P2)に得られたカウント値CNT2に対応するものである。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT3を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0060】
(タイミングt41~t44の動作)
次に、タイミングt41において、走査部12は、信号SFDGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4A(C))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFDGがオン状態になる。また、このタイミングt41において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4A(H))。
【0061】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Aに示したように、トランジスタFDGがオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDおよびトランジスタFDGが合成容量(変換容量)を構成する。よって、撮像画素10Aにおける変換容量の容量値が大きいので、電荷から電圧への変換効率が低い。この変換容量は、タイミングt31~t32においてフォトダイオードPD1から転送された電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP4)を出力する。
【0062】
次に、タイミングt42~t44の期間(変換期間P4)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP4に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP4に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT4を得る(
図4A(J))。このカウント値CNT4は、同じく変換効率が低い時(変換期間P1)に得られたカウント値CNT1に対応するものである。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT4を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0063】
(タイミングt51~t56の動作)
次に、タイミングt51において、走査部12は、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオン状態になる。トランジスタFDGはオン状態であるので、これにより、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。また、このタイミングt51において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4B(H))。
【0064】
次に、タイミングt52において、走査部12は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。
【0065】
次に、タイミングt53において、走査部12は、信号SFCGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4B(F))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFCGがオン状態になる。
【0066】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Cに示したように、トランジスタFDG,FCG,SELはオン状態になり、その他のトランジスタは全てオフ状態になる。トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに蓄積されていた電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP5)を出力する。
【0067】
次に、タイミングt54~t56の期間(変換期間P5)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP5に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP5に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT5を得る(
図4B(J))。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT5を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0068】
(タイミングt61~t65の動作)
次に、タイミングt61において、走査部12は、信号STGSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4B(G))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGSがオン状態になる。また、このタイミングt61において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4B(H))。
【0069】
次に、タイミングt62において、走査部12は、信号STGSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(G))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGSがオフ状態になる。
【0070】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに蓄積されていた電荷に加え、タイミングt61~t62においてフォトダイオードPD2から転送された電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP6)を出力する。
【0071】
次に、タイミングt63~t65の期間(変換期間P6)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP6に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP6に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT6を得る(
図4B(J))。このカウント値CNT6は、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量を構成するときに得られたカウント値CNT5に対応するものである。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT6を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0072】
(タイミングt71~t77の動作)
次に、タイミングt71において、走査部12は、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオン状態になる。トランジスタFDG,FCGはオン状態であるので、フローティングディフュージョンFDの電圧および容量素子FCの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCがリセットされる。また、このタイミングt71において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図4B(H))。
【0073】
次に、タイミングt72において、走査部12は、信号SFCGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(F))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFCGがオフ状態になる。
【0074】
次に、タイミングt73において、走査部12は、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。
【0075】
次に、タイミングt74において、走査部12は、信号SFCGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図4B(F))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFCGがオン状態になる。
【0076】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt71~t72においてフローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCがリセットされたときの電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP7)を出力する。
【0077】
次に、タイミングt75~t77の期間(変換期間P7)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP7に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP7に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT7を得る(
図4B(J))。このカウント値CNT7は、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量を構成するときに得られたカウント値CNT5に対応するものである。読出部20は、これ以降において、このカウント値CNT7を信号処理部14に供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0078】
次に、タイミングt7において、走査部12は、信号SFDGの電圧を高レベルから低レベルに変化させるとともに、信号SFCGの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(C),(F))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFDG,FCGがオフ状態になる。また、このタイミングt7において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V2に変化させる(
図4B(H))。
【0079】
そして、タイミングt8において、走査部12は、信号SSELの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図4B(B))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタSELがオフ状態になり、撮像画素10Aが信号線SGLから電気的に切り離される。
【0080】
次に、信号処理部14の動作について説明する。信号処理部14は、読出部20から供給されたカウント値CNTに基づいて、4枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC3,PIC4)を生成する。そして、信号処理部14は、この4枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICAを生成する。
【0081】
図6は、信号処理部14の動作を模式的に表すものである。
図6(A)~(G)に示した波形は、
図3(A)~(G)に示した波形と同様である。
【0082】
読出部20は、
図3,4A,4Bを用いて説明したように、タイミングt11~t21の期間における動作に基づいてカウント値CNT1を生成し、タイミングt21~t31の期間における動作に基づいてカウント値CNT2を生成し、タイミングt31~t41の期間における動作に基づいてカウント値CNT3を生成し、タイミングt41~t51の期間における動作に基づいてカウント値CNT4を生成し、タイミングt51~t61の期間における動作に基づいてカウント値CNT5を生成し、タイミングt61~t71の期間における動作に基づいてカウント値CNT6を生成し、タイミングt71~t7の期間における動作に基づいてカウント値CNT7を生成する。
【0083】
信号処理部14は、カウント値CNT2およびカウント値CNT3に基づいて、画素値VAL1を生成する。具体的には、信号処理部14は、カウント値CNT3からカウント値CNT2を減算(CNT3-CNT2)することにより、画素値VAL1を算出する。すなわち、撮像装置1は、いわゆる相関2重サンプリング(CDS;Correlated double sampling)の原理を利用し、P相(Pre-Charge相)データに対応するカウント値CNT2、およびD相(Data相)データに対応するカウント値CNT3を用いて、画素値VAL1を算出する。
【0084】
同様に、信号処理部14は、カウント値CNT1およびカウント値CNT4に基づいて、画素値VAL2を生成する。具体的には、信号処理部14は、カウント値CNT4からカウント値CNT1を減算(CNT4-CNT1)することにより、画素値VAL2を算出する。すなわち、撮像装置1は、相関2重サンプリングの原理を利用し、P相データに対応するカウント値CNT1、およびD相データに対応するカウント値CNT4を用いて、画素値VAL2を算出する。
【0085】
同様に、信号処理部14は、カウント値CNT5およびカウント値CNT6に基づいて、画素値VAL3を生成する。具体的には、信号処理部14は、カウント値CNT6からカウント値CNT5を減算(CNT6-CNT5)することにより、画素値VAL3を算出する。すなわち、撮像装置1は、相関2重サンプリングの原理を利用し、P相データに対応するカウント値CNT5、およびD相データに対応するカウント値CNT6を用いて、画素値VAL3を算出する。
【0086】
そして、信号処理部14は、カウント値CNT5およびカウント値CNT7に基づいて、画素値VAL4を生成する。具体的には、信号処理部14は、カウント値CNT5からカウント値CNT7を減算(CNT5-CNT7)することにより、画素値VAL4を算出する。すなわち、撮像装置1は、いわゆる2重データサンプリング(DDS;Double Data Sampling)の原理を利用し、フローティングディフュージョンFDおよび容量素子FCをリセットした後のカウント値CNT7、およびフローティングディフュージョンFDをリセットした後のカウント値CNT5を用いて、画素値VAL4を算出する。
【0087】
ここで、画素値VAL1は、本開示における「第1の値」の一具体例に対応する。画素値VAL2は、本開示における「第2の値」の一具体例に対応する。画素値VAL3は、本開示における「第3の値」の一具体例に対応する。画素値VAL4は、本開示における「第4の値」の一具体例に対応する。
【0088】
そして、信号処理部14は、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL1に基づいて画像PIC1を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL2に基づいて画像PIC2を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL3に基づいて画像PIC3を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL4に基づいて画像PIC4を生成する。そして、信号処理部14は、これらの画像PIC1~PIC4を合成することにより、撮像画像PICAを生成する。
【0089】
図7は、撮像装置1により合成された撮像画像PICAにおける信号対雑音比(S/N比)の一例を表すものである。
図7において、横軸は輝度を示し、縦軸はS/N比を示す。
【0090】
信号処理部14は、4枚の画像PIC1~PIC4を合成する際、輝度が高くなるにつれて、画像PIC1~PIC4のうちの使用する画像PICの枚数を増やしていく。具体的には、信号処理部14は、着目した画素における輝度が輝度値L1より低い場合には、画像PIC1における、その着目した画素での画素値VAL1に基づいて、撮像画像PICAにおける、その着目した画素での画素値を生成する。また、信号処理部14は、着目した画素における輝度が輝度値L1より高く輝度値L2より低い場合には、2枚の画像PIC1,PIC2における、その着目した画素での画素値VAL1,VAL2に基づいて、撮像画像PICAにおける、その着目した画素での画素値を生成する。また、信号処理部14は、着目した画素における輝度が輝度値L2より高く輝度値L3より低い場合には、3枚の画像PIC1~PIC3における、その着目した画素での画素値VAL1~VAL3に基づいて、撮像画像PICAにおける、その着目した画素での画素値を生成する。また、信号処理部14は、輝度が輝度値L3より高い場合には、4枚の画像PIC1~PIC4における、その着目した画素での画素値VAL1~VAL4に基づいて、撮像画像PICAにおける、その着目した画素での画素値を生成する。
【0091】
図7に示したように、S/N比は、輝度が輝度値L2を超えると低下し(部分W1)、輝度が輝度値L3を超えるとさらに低下する(部分W3)。すなわち、部分W1では、合成に使用する画像に画像PIC3を加えることにより、S/N比が低下し、部分W2では、合成に使用する画像に画像PIC4を加えることにより、S/N比が低下する。
【0092】
上述したように、撮像装置1では、相関2重サンプリングにより、画像PIC3を構成する画素値VAL3を求めるようにした。これにより、撮像装置1では、画像PIC3に含まれるノイズを低減することができるので、以下に、比較例と対比して説明するように、
図7に示した輝度値L2におけるS/N比の低下を改善することができる。
【0093】
(比較例)
次に、比較例に係る撮像装置1Rと対比して、本実施の形態に係る撮像装置1の効果を説明する。撮像装置1Rは、走査部12Rと、読出部20Rと、信号処理部14Rと、制御部15Rとを備えている。この撮像装置1Rでは、撮像画素10は、水平期間Hにおける6つの変換期間P1~P6において、6つの画素電圧VP1~VP4,VP16,VP7を順次出力する。読出部20RのAD変換部ADCは、これらの6つの画素電圧VP1~VP4,VP16,VP7に基づいてそれぞれAD変換を行い、6つのカウント値CNT1~CNT4,CNT16,CNT7をそれぞれ出力する。信号処理部14Rは、読出部20Rから供給されたカウント値CNT1~CNT4,CNT16,CNT7に基づいて、3枚の画像PIC(画像PIC1,PIC2,PIC13)を生成する。そして、信号処理部14Rは、この3枚の画像PICを合成することにより、1枚の撮像画像PICRを生成する。
【0094】
図8,9A,9Bは、撮像装置1Rにおける、着目したある撮像画素10Aに係る動作の一例を表すものである。
図9Aは、
図8に示した動作のうちの前半の動作を示し、
図9Bは、
図8に示した動作のうちの後半の動作を示す。タイミングt51以前の動作、およびタイミングt71以降の動作は、本実施の形態に係る撮像装置1の動作(
図3,4A,4B)と同様である。以下に、タイミングt51~t71における動作について説明する。
【0095】
タイミングt51において、走査部12Rは、信号SRSTの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図9B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオン状態になる。トランジスタFDGはオン状態であるので、これにより、フローティングディフュージョンFDの電圧が電源電圧VDDに設定され、フローティングディフュージョンFDがリセットされる。また、このタイミングt51において、参照信号生成部29は、参照信号REFの電圧を電圧V1に変化させる(
図9B(H))。
【0096】
次に、タイミングt52において、走査部12Rは、信号SRSTの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図9B(E))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタRSTがオフ状態になる。
【0097】
次に、タイミングt53において、走査部12Rは、信号SFCGの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図9B(F))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタFCGがオン状態になる。
【0098】
次に、タイミングt58において、走査部12Rは、信号STGSの電圧を低レベルから高レベルに変化させる(
図9B(G))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGSがオン状態になる。
【0099】
次に、タイミングt59において、走査部12Rは、信号STGSの電圧を高レベルから低レベルに変化させる(
図8B(G))。これにより、撮像画素10Aでは、トランジスタTGSがオフ状態になる。
【0100】
これにより、撮像画素10Aでは、
図5Cに示したように、トランジスタFDG,FCGがともにオン状態であるので、フローティングディフュージョンFD、トランジスタFDG,FCG、および容量素子FCが合成容量(変換容量)を構成する。この変換容量は、タイミングt53より前にフォトダイオードPD2で発生し、トランジスタTGSを介して容量素子FCに蓄積されていた電荷に加え、タイミングt58~t59においてフォトダイオードPD2から転送された電荷を保持している。撮像画素10Aは、フローティングディフュージョンFDにおける電圧に応じた画素電圧VP(画素電圧VP16)を出力する。
【0101】
次に、タイミングt63~t65の期間(変換期間P16)において、AD変換部ADCは、この画素電圧VP16に基づいてAD変換を行う。この動作は、変換期間P1における動作と同様である。AD変換部ADCは、画素電圧VP16に基づいてAD変換を行い、カウント値CNT16を得る(
図9B(J))。読出部20Rは、これ以降において、このカウント値CNT16を信号処理部14Rに供給し、その後にカウンタ25のカウント値CNTをリセットする。
【0102】
図10は、信号処理部14Rの動作を模式的に表すものである。
図10(A)~(G)に示した波形は、
図8(A)~(G)に示した波形と同様である。
【0103】
読出部20Rは、
図8,9A,9Bを用いて説明したように、タイミングt51~t71の期間における動作に基づいてカウント値CNT16を生成し、タイミングt71~t7の期間における動作に基づいてカウント値CNT7を生成する。
【0104】
信号処理部14Rは、カウント値CNT16およびカウント値CNT7に基づいて、画素値VAL13を生成する。具体的には、信号処理部14Rは、2重データサンプリング(DDS)の原理を利用し、カウント値CNT16からカウント値CNT7を減算(CNT16-CNT7)することにより、画素値VAL13を算出する。
【0105】
そして、信号処理部14Rは、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL1に基づいて画像PIC1を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL2に基づいて画像PIC2を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL13に基づいて画像PIC13を生成する。そして、信号処理部14Rは、これらの画像PIC1,PIC2,PIC13を合成することにより、撮像画像PICRを生成する。
【0106】
図11は、撮像装置1Rにより合成された撮像画像PICRにおける信号対雑音比(S/N比)の一例を表すものである。
【0107】
信号処理部14Rは、本実施の形態に係る信号処理部14と同様に、3枚の画像PICを合成する際、輝度が高くなるにつれて、画像PIC1,PIC2,PIC13のうちの使用する画像PICの枚数を増やしていく。具体的には、信号処理部14Rは、着目した画素における輝度が輝度値L11より低い場合には、画像PIC1における、その着目した画素での画素値VAL1に基づいて、撮像画像PICRにおける、その着目した画素での画素値を生成する。また、信号処理部14Rは、着目した画素における輝度が輝度値L11より高く輝度値L12より低い場合には、2枚の画像PIC1,PIC2における、その着目した画素での画素値VAL1,VAL2に基づいて、撮像画像PICRにおける、その着目した画素での画素値を生成する。また、信号処理部14Rは、着目した画素における輝度が輝度値L12より高い場合には、3枚の画像PIC1,PIC2,PIC13における、その着目した画素での画素値VAL1,VAL2,VAL13に基づいて、撮像画像PICRにおける、その着目した画素での画素値を生成する。
【0108】
図11に示したように、S/N比は、輝度が輝度値L12を超えると低下する(部分W3)。すなわち、部分W3では、合成に使用する画像に画像PIC13を加えることにより、S/N比が低下する。すなわち、この画像PIC13は、2重データサンプリング(DDS)により生成したものであるので、相関2重サンプリングのように、ノイズを十分に除去することができない。その結果、撮像装置1Rでは、この部分W3において、S/N比が大幅に低下してしまう。
【0109】
一方、本実施の形態に係る撮像装置1では、相関2重サンプリングにより、画像PIC3を生成した。すなわち、信号処理部14は、
図6において、タイミングt51~t61の期間における動作に基づいて生成したカウント値CNT5をP相データとして用いるとともに、続くタイミングt61~t71の期間における動作に基づいて生成したカウント値CNT6をD相データとして用いることにより、画像PIC3を生成するようにした。これにより、撮像装置1では、例えばフォトダイオードPD2における暗電流やリセットノイズの成分を除去することができるので、
図7に示したように、合成に使用する画像に画像PIC3を加えたときのS/N比の低下を改善することができる。その結果、撮像装置1では、撮像画像PICAの画質を高めることができる。
【0110】
[効果]
以上のように本実施の形態では、相関2重サンプリングにより、3つめの画像PIC3を生成し、この画像PIC3を用いて撮像画像を生成するようにしたので、画質を高めることができる。
【0111】
[変形例1]
上記実施の形態では、
図3に示したように、7つの変換期間P1~P7を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、
図12,13に示す撮像装置1Bのように、8つの変換期間P1~P8を設けてもよい。この撮像装置1Bは、上記実施の形態に係る撮像装置1(
図3)におけるタイミングt51~t61の期間と、タイミングt61~t71の期間の間に、変換期間P15を含む期間を追加したものである。
【0112】
撮像装置1Bでは、ADC変換部ADCは、変換期間P5において、撮像画素10Aから出力された画素電圧VP(VP5)に基づいてカウント値CNT(カウント値CNT5)を生成する。そして、撮像装置1Bでは、その後に、信号SSEL,SFDG,STGL,SRST,SFCG,STGSを維持したまま、ADC変換部ADCが、変換期間P15において、撮像画素10Aから出力された画素電圧VPに基づいてカウント値CNT(カウント値CNT15)を生成する。
【0113】
そして、信号処理部14は、カウント値CNT15およびカウント値CNT6に基づいて、画素値VAL3を生成する。具体的には、信号処理部14は、カウント値CNT6からカウント値CNT15を減算(CNT6-CNT15)することにより、画素値VAL3を算出する。すなわち、撮像装置1Bは、相関2重サンプリングの原理を利用し、P相データに対応するカウント値CNT15、およびD相データに対応するカウント値CNT6を用いて、画素値VAL3を算出する。また、信号処理部14は、上記実施の形態の場合と同様に、カウント値CNT5およびカウント値CNT7に基づいて、画素値VAL4を生成する。
【0114】
そして、信号処理部14は、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL1に基づいて画像PIC1を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL2に基づいて画像PIC2を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL3に基づいて画像PIC3を生成し、画素アレイ11における全ての撮像画素10における画素値VAL4に基づいて画像PIC4を生成する。そして、信号処理部14は、これらの画像PIC1~PIC4を合成することにより、撮像画像PICAを生成する。
【0115】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0116】
例えば、上記の各実施の形態等における信号SSEL,SFDG,STGL,SRST,SFCG,STGSの波形および遷移タイミングは、一例であり、適宜変更してもよい。
【0117】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0118】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0119】
(1)第1の受光素子および第2の受光素子と、
第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、
オン状態になることにより前記第1の受光素子と前記第1の電荷蓄積部とを接続する第1のスイッチと、
オン状態になることにより所定ノードと前記第1の電荷蓄積部とを接続する第2のスイッチと、
オン状態になることにより前記所定ノードに所定の電圧を印加する第3のスイッチと、
オン状態になることにより前記第2の受光素子と前記第2の電荷蓄積部とを接続する第4のスイッチと、
オン状態になることにより前記第2の電荷蓄積部と前記所定ノードとを接続する第5のスイッチと、
前記第1の電荷蓄積部における電圧に応じた画素電圧を出力する出力部と、
各スイッチを駆動する駆動部と、
前記画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成する処理部と
を備え、
前記駆動部は、
第1の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第1の期間の後の第2の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間の後の第3の期間において、前記第4のスイッチをオン状態にし、
前記第3の期間の後の第4の期間において、前記第4のスイッチをオフ状態にし、
前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求める
を備えた撮像装置。
(2)前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧に基づいてAD変換を行うことにより第1のデジタル値を生成するとともに、前記第4の期間における前記画素電圧に基づいてAD変換を行うことにより第2のデジタル値を生成し、前記第1のデジタル値および前記第2のデジタル値に基づいて前記第3の値を求める
前記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記駆動部は、
前記第4の期間の後の第5の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第5の期間の後の第6の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第6の期間の後の第7の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記処理部は、前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第7の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第4の値を求める
前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記駆動部は、
前記第4の期間の後の第5の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第5の期間の後の第6の期間において、前記第3のスイッチおよび前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第6の期間の後の第7の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間は、第1のサブ期間と、前記第1のサブ期間の後の第2のサブ期間とを含み、
前記処理部は、
前記第2の期間の前記第2のサブ期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求め、
前記第2の期間の前記第1のサブ期間における前記画素電圧と、前記第7の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第4の値を求める
前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(5)前記駆動部は、
第8の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第8の期間の後の第9の期間において、前記第2のスイッチをオン状態にするとともに前記第3のスイッチをオフ状態にし、
前記第9の期間の後の第10の期間において、前記第2のスイッチをオフ状態にし、
前記第10の期間の後の第11の期間において、前記第1のスイッチをオン状態にし、
前記第11の期間の後の第12の期間において、前記第1のスイッチをオフ状態にし、
前記第12の期間の後であり前記第1の期間の前の第13の期間において、前記第2のスイッチをオン状態にし、
前記処理部は、
前記第10の期間における前記画素電圧と、前記第12の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第1の値を求め、
前記第9の期間における前記画素電圧と、前記第13の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第2の値を求める
前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像装置。
(6)前記処理部は、
輝度が第1の輝度値より低い場合には、前記第1の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第1の輝度値よりも高く第2の輝度値よりも低い場合には、前記第1の値および前記第2の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第2の輝度値よりも高く第3の輝度値よりも低い場合には、前記第1の値、前記第2の値、および前記第3の値に基づいて前記画素値を生成し、
前記輝度が前記第3の輝度値よりも高い場合には、前記第1の値、前記第2の値、前記第3の値、および前記第4の値に基づいて前記画素値を生成する
前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像装置。
(7)前記第1の受光素子の受光領域は、前記第2の受光素子の受光領域よりも広い
前記(1)から(6)のいずれかに記載の撮像装置。
(8)前記第1の電荷蓄積部は、拡散層を有する
前記(1)から(7)のいずれかに記載の撮像装置。
(9)前記処理部は、
電圧レベルが変化する参照信号を生成する参照信号生成部と、
前記画素電圧と前記参照信号とを比較することにより比較信号を生成する比較部と、
前記比較信号に基づいてカウント動作を行うことによりデジタル値を生成するカウンタと
を有する
前記(1)から(8)のいずれかに記載の撮像装置。
(10)第1の受光素子および第2の受光素子と、第1の電荷蓄積部および第2の電荷蓄積部と、オン状態になることにより前記第1の受光素子と前記第1の電荷蓄積部とを接続する第1のスイッチと、オン状態になることにより所定ノードと前記第1の電荷蓄積部とを接続する第2のスイッチと、オン状態になることにより前記所定ノードに所定の電圧を印加する第3のスイッチと、オン状態になることにより前記第2の受光素子と前記第2の電荷蓄積部とを接続する第4のスイッチと、オン状態になることにより前記第2の電荷蓄積部と前記所定ノードとを接続する第5のスイッチと、前記第1の電荷蓄積部における電圧に応じた画素電圧を出力する出力部とを備えた撮像画素の各スイッチを駆動し、
前記画素電圧に基づいて第1の値、第2の値、第3の値、第4の値を求め、これらの値に基づいて画素値を生成し、
第1の期間において、前記第2のスイッチおよび前記第3のスイッチをオン状態にするとともに、前記第1のスイッチ、前記第4のスイッチ、および前記第5のスイッチをオフ状態にし、
前記第1の期間の後の第2の期間において、前記第3のスイッチをオフ状態にするとともに前記第5のスイッチをオン状態にし、
前記第2の期間の後の第3の期間において、前記第4のスイッチをオン状態にし、
前記第3の期間の後の第4の期間において、前記第4のスイッチをオフ状態にし、
前記第2の期間における前記画素電圧と、前記第4の期間における前記画素電圧とに基づいて前記第3の値を求める
撮像方法。
【0120】
本出願は、日本国特許庁において2017年10月27日に出願された日本特許出願番号2017-208118号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0121】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。