(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】繊維および不織布における使用のためのポリマー、それらの物品、およびそれらの複合体
(51)【国際特許分類】
C08F 210/16 20060101AFI20221124BHJP
D01F 6/30 20060101ALI20221124BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20221124BHJP
D04H 3/147 20120101ALI20221124BHJP
D01F 8/06 20060101ALI20221124BHJP
D04H 1/56 20060101ALI20221124BHJP
D04H 1/4291 20120101ALI20221124BHJP
【FI】
C08F210/16
D01F6/30
D04H3/007
D04H3/147
D01F8/06
D04H1/56
D04H1/4291
(21)【出願番号】P 2019551372
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 US2018021282
(87)【国際公開番号】W WO2018169738
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】シャー、ヴィラジ
(72)【発明者】
【氏名】リン、イーチエン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイバーズ、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】コン、ロンチュアン
(72)【発明者】
【氏名】デミロル、メフメト
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-095112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0113706(US,A1)
【文献】特開2002-105833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00、301/00
D01F 1/00-6/96、8/00-8/18、9/00-9/04
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維
または不織布における使用に好適なエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであって、
ASTM D792に従って測定される0.911~0.939g/ccの密度、
350°Fにおける50,000cP以下のブルックフィールド粘度、1.8~3.5の分子量分布(M
w,cc/M
n,cc)を有し、M
z,cc/M
n,ccが、5.25未満、または代替的に4.0未満もしくは3.5未満である、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
【請求項2】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで測定する際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満、または代替的に1.0%未満の10
5g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する、請求項1に記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
【請求項3】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、50%超、または代替的に50%~98%、または代替的に50%~85%のコモノマー分布幅指数を有する、請求項1~2のいずれかに記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
【請求項4】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むメルトブローン不織布であって、前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、
ASTM D792に従って測定される0.911~0.939g/ccの密度、
350°Fにおける50,000cP以下のブルックフィールド粘度、
1.8~3.5の分子量分布(M
w,cc/M
n,cc)、および
5.25未満、または代替的に4.0未満もしくは3.5未満のM
z,cc/M
n,ccを有する、メルトブローン不織布。
【請求項5】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで測定する際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満、または代替的に1.0%未満の10
5g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する、請求項4に記載のメルトブローン不織布。
【請求項6】
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0%超、または代替的に50%~98%、または代替的に50%~85%のコモノマー分布幅指数を有する、請求項4~5のいずれかに記載のメルトブローン不織布。
【請求項7】
請求項4~6のいずれかに記載のメルトブローン不織布を含む、複合構造。
【請求項8】
前記複合構造が、1つ以上のスパンボンド不織布をさらに含む、請求項7に記載の複合構造。
【請求項9】
S
aM
bS
c構成を有する複合構造であって、式中、Sは、スパンボンド不織布であり、Mは、請求項4~6のいずれかに記載のメルトブローン不織布であり、a、b、およびcは、層の数であり、1~5の範囲の独立した整数である、複合構造。
【請求項10】
前記スパンボンド不織布が、鞘/芯構造を有する二成分繊維から形成され、前記鞘が、ポリエチレンを含み、前記芯が、ポリプロピレンを含む、請求項9に記載の複合構造。
【請求項11】
前記スパンボンド不織布が、単一成分繊維から形成され、前記単一成分繊維が、ポリエチレンを含む、請求項9に記載の複合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、繊維および不織布における使用のためのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーに関し、具体的には、メルトブローン繊維およびメルトブローン不織布における使用のためのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー、それらの物品、およびそれらの複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布(NW)は、様々な接着技術(例えば、スパンボンドまたはメルトブローンプロセス)を介してまとめられるフィラメントから製造される布のような素材である。これらの不織布は、おむつ、拭き取り製品、女性用衛生製品、および成人用失禁製品を含む、使い捨て吸収性物品などの衛生および/または医療用途に使用され得る。そのような用途では、スパンボンドメルトブローンスパンボンド(SMS)複合構造が、ますます普及している。
【0003】
スパンボンド層は、歴史的に、その機械的性能のために、ポリプロピレン単成分繊維から形成されていた。ポリプロピレンの主要な欠点のうちの1つは、柔軟性の欠如である。柔軟性は、ポリエチレン(PE)の導入によって対処することができる。スパンボンド層は、鞘にポリエチレン樹脂、芯にポリプロピレン樹脂を有する二成分繊維からますます形成されている。ポリエチレン樹脂は、柔軟性および改善された触覚、衛生および/または医療用途で望ましい特徴を提供し、ポリプロピレンは、強度および繊維紡糸性を提供する。
【0004】
ポリプロピレン樹脂は、メルトブローンプロセスにおける優れた加工特性のため、典型的に、メルトブローン層の形成にも使用される。しかしながら、SMS構造では、スパンボンド不織布の形成に使用される二成分繊維の外側ポリエチレン鞘が、ポリプロピレンメルトブローン層に結合している。ポリエチレンとポリプロピレンとの間の溶融温度の相違および不相溶性により、ポリプロピレンの溶融温度を高くすると、ポリエチレンが結合点から「逃げる」傾向があり得、ポリエチレンの溶融温度を低くすると、ポリプロピレンは適切に溶融しないので、層間の結合が不十分になる可能性がある。したがって、SMS複合構造の結合強度が低下する可能性がある。
【0005】
したがって、結合強度の改善を示し得る、メルトブローン不織布およびSMS複合構造における使用のための代替樹脂が望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本明細書には、繊維および不織布における使用に好適なエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが開示される。インターポリマーは、0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、および1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。
【0007】
本明細書には、メルトブローン不織布も開示される。不織布は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、および1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。
【0008】
本明細書には、複合構造がさらに開示される。複合構造は、メルトブローン不織布を含む。メルトブローン不織布は、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、および1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。
【0009】
本明細書の1つ以上の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5.25未満のMz,cc/Mn,ccを有する。本明細書の1つ以上の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、従来のゲル浸透クロマトグラフィで判定される際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満の105g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する。本明細書の1つ以上の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%超のコモノマー分布幅指数を有する。
【0010】
本明細書の1つ以上の実施形態では、複合構造は、1つ以上のスパンボンド不織布をさらに含む。本明細書の1つ以上の実施形態では、複合構造は、SaMbSc構成を有し、式中、Sは、スパンボンド不織布であり、Mは、本明細書に記載されるメルトブローン不織布であり、a、b、およびcは、層の数であり、1~5の範囲の独立した整数である。本明細書の1つ以上の実施形態では、スパンボンド不織布は、芯鞘構造を有する二成分繊維から形成され、鞘は、ポリエチレンを含み、芯は、ポリプロピレンを含む。本明細書の1つ以上の実施形態では、スパンボンド不織布は、単一成分繊維から形成され、単一成分繊維は、ポリエチレンを含む。
【0011】
実施形態の追加の特徴および利点は、後に続く詳細な説明において記載され、その説明から当業者にとって容易に部分的に明らかになるか、または後に続く詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含む本明細書に説明される実施形態を実践することによって、認識されるであろう。
【0012】
上記および以下の説明の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求された主題の性質および特徴を理解するための概説または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、様々な実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、かつそれを構成する。図面は、本明細書に記載される様々な実施形態を例解し、説明と共に、特許請求される主題の原則および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】検出器信号(V)対保持容量(ml)のクロマトグラムプロットと、明確な別個の酸化防止剤のピークを示す試料の適切なベースラインおよび積分限界のセットと、を示す、グラフである。
【
図2】検出器信号(V)対保持容量(ml)のクロマトグラムプロットと、100のポリエチレン換算分子量への連続性を示す試料の適切なベースラインと積分限界のセットと、を示す、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、おむつ、拭き取り製品、女性用衛生製品、成人用失禁製品などの衛生吸収性物品に使用するメルトブローン不織布などの繊維または不織布を生成するために使用され得るエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの実施形態を詳細に参照し、それらの特性は、添付の図面に例示される。しかしながら、これは、本明細書に開示された実施形態の例解的な実装態様に過ぎないことに留意されたい。実施形態は、上で考察されるものと同様の問題の影響を受けやすい他の技術にも適用可能である。例えば、フェイスマスク、手術用ガウン、隔離用ガウン、手術用ドレープおよびカバー、手術用キャップ、ティッシュ、包帯、ならびに創傷包帯を生成するためのメルトブローン不織布に使用され得るエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、明らかに本実施形態の範囲内である。
【0015】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。「インターポリマー」という一般的な用語には、「コポリマー」(通常は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)という用語、および「ターポリマー」(通常は、3つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)という用語が含まれる。また、4種類以上のモノマーを重合させることによって作製されるポリマーも包含する。
【0016】
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、一般に、エチレンおよび3個以上の炭素原子を有するアルファ-オレフィンを含むポリマーを指す。本明細書の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、(重合性モノマーの総量を基準として)50重量%超のエチレンから誘導される単位、および30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。50重量%超のエチレンから誘導される単位、および30重量%未満の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーから誘導される単位の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンポリマーは、(a)重量で、55%以上、例えば、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、50%超~99%、50%超~97%、50%超~94%、50%超~90%、70%~99.5%、70%~99%、70%~97%、70%~94%、80%~99.5%、80%~99%、80%~97%、80%~94%、80%~90%、85%~99.5%、85%~99%、85%~97%、88%~99.9%、88%~99.7%、88%~99.5%、88%~99%、88%~98%、88%~97%、88%~95%、88%~94%、90%~99.9%、90%~99.5%、90%~99%、90%~97%、90%~95%、93%~99.9%、93%~99.5%、93%~99%、または93%~97%のエチレンに由来する単位と、(b)重量で、30パーセント未満、例えば、25パーセント未満、または20パーセント未満、18%未満、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.1~20%、0.1~15%、0.1~12%、0.1~10%、0.1~8%、0.1~5%、0.1~3%、0.1~2%、0.5~12%、0.5~10%、0.5~8%、0.5~5%、0.5~3%、0.5~2.5%、1~10%、1~8%、1~5%、1~3%、2~10%、2~8%、2~5%、3.5~12%、3.5~10%、3.5~8%、3.5%~7%、または4~12%、4~10%、4~8%、または4~7%の1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーに由来する単位と、を含む。コモノマー含有量は、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術等の任意の好適な技術を使用して、および、例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,498,282号で記載される13C NMR分析によって測定され得る。
【0017】
好適なアルファ-オレフィンコモノマーは、典型的には20個以下の炭素原子を有する。1つ以上のアルファ-オレフィンは、C3~C20アセチレン性不飽和モノマーおよびC4~C18ジオレフィンからなる群から選択されてもよい。例えば、アルファ-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なアルファ-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、および4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から、または代替的に、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から、または代替的に、1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1-オクテン、1-ヘキセン、または1-ブテンコモノマーのうちの1つ以上から誘導される単位を0重量%超~30重量%未満含む。
【0018】
本明細書に記載される実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.911~0.939グラム/立方センチメートル(g/cc)の密度を有する。0.911~0.939g/ccの全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態において、ポリエチレンポリマーは、0.911~0.935g/ccの密度を有する。他の実施形態において、ポリエチレンポリマーは、0.913~0.939g/ccの密度を有する。さらなる実施形態において、ポリエチレンポリマーは、0.913~0.935g/ccの密度を有する。密度は、ASTM D792に従って測定され得る。
【0019】
密度に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50,000センチポアズ(cP)以下のブルックフィールド粘度を有する。50,000cP以下の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、45,000cP以下、40,000cP以下、または35,000cP以下のブルックフィールド粘度を有する。他の実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5,000cP~50,000cP、5,000cP~45,000cP、または5,000cP~40,000cPのブルックフィールド粘度を有する。
【0020】
密度およびブルックフィールド粘度に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。分子量分布は、数平均分子量(Mn,cc)に対する重量平均分子量(Mw,cc)の比(すなわち、Mw,cc/Mn,cc)として説明することができ、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)技術によって測定することができる。1.8~3.5の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.9~3.5または2.0~3.5の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~3.0、1.9~3.0、または2.0~3.0の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1.8~2.8、1.9~2.8、または2.0~2.8の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有する。
【0021】
密度、ブルックフィールド粘度、および分子量分布に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5.25未満のMz,cc/Mn,ccを有し得る。Mz,ccは、z平均分子量として説明することができる。5.25未満の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、5.0、4.5、4.0、3.8、または3.5未満のMz,cc/Mn,ccを有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、2.5~5.25、2.5~5.0、2.5~4.5、2.5~4.0、2.5~3.8、または2.5~3.5のMz,cc/Mn,ccを有する。
【0022】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、およびMz,cc/Mn,ccに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、従来のゲル浸透クロマトグラフィで判定される際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満の105g/モル超の分子量の重量画分(w)を有し得る。2.5%未満の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、従来のゲル浸透クロマトグラフィで判定される際、インターポリマーの総重量を基準として、1.0%未満の105g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する。
【0023】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、および105g/モル超の分子量の重量画分(w)に加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%以上のコモノマー分布幅指数(CDBI)を有し得る。50%以上の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、または75%以上のCDBIを有する。他の実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%~98%、50%~97%、55%~98%、55%~97%、60%~98%、60%~97%、70%~98%、70%~97%、75%~98%、または75%~97%の範囲のCDBIを有する。さらなる実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、50%~85%、55%~85%、60%~85%、60%~80%、65%~80%、または70%~80%の範囲のCDBIを有する。
【0024】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、105g/モル超の分子量の重量画分(w)、およびCDBIに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、80℃~110℃の最高DSC温度結晶化ピークTcを有し得る。80℃~110℃の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、80℃~105℃、85℃~105℃、または90℃~105℃のTcを有する。他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、95℃~105℃のTcを有する。最高DSC温度結晶化ピークは、以下に概説される示差走査熱量測定(DSC)法を使用して判定される。
【0025】
密度、ブルックフィールド粘度、分子量分布、Mz,cc/Mn,cc、105g/モル超の分子量の重量画分(w)、CDBI、およびTcに加えて、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、16℃未満の、最高DSC温度融解ピーク(Tm)と最高DSC温度結晶化ピーク(Tc)との間の温度差であるΔTm-Tcを有し得る。16℃未満の全ての個々の値および部分範囲が、本明細書に含まれ、開示される。例えば、いくつかの実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、15℃未満のΔTm-Tcを有し得る。他の実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、12℃未満のΔTm-Tcを有し得る。最高DSC温度融解ピーク(Tm)は、以下に概説される示差走査熱量測定(DSC)法を使用して判定される。
【0026】
本明細書の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1つ以上の従来の反応器、例えば、ループ反応器、等温反応器、プラグフロー反応器、および/または並列、直列の撹拌槽反応器、および/または連続モードまたはバッチモードにおける、これらの任意の組み合わせを使用する溶液重合プロセスで調製されて、オレフィン系ポリマー、例えば、エチレンポリマーまたはプロピレンポリマーを生成し得る。溶液相重合プロセスは、1つ以上のループ反応器または1つ以上の等温反応器などの、1つ以上の十分に撹拌された反応器内で、100℃~300℃、例えば、120℃~190℃の範囲の温度、および300~1000psig、例えば400~750psigの範囲の圧力で行われ得る。溶液相重合プロセスにおける滞留時間は、典型的には、2~30分、例えば、5~20分の範囲内である。エチレン(モノマー)、溶媒、水素、1つ以上の触媒システム、および1つ以上のコモノマーが反応器に連続的に供給される。例示的な溶媒としては、イソパラフィンおよびナフテン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、そのような溶媒は、ExxonMobil Chemical Co.、ヒューストン、テキサス州からISOPAR Eの名称で、またはShell Chemicals EuropeからSBP100/140の名称で市販されている。重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤、ならびに任意に、酸捕捉剤(ステアリン酸カルシウム、および水和に付随する水など)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を除去する。加えて、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の静的混合要素のセットを通過して、触媒失活剤(catalyst kill)および添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を特定の目標値に維持することを担う圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、多段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環されたより低い沸点の反応成分から除去される。分離され、揮発分が除去されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送され、流れ温度を200℃未満の範囲、例えば170℃未満、または50~110℃の範囲の温度に下げ、それにより、冷却されたポリマー溶融体が生成される。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の確認後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。揮発分除去ステップにおいて除去された部分は、再循環または破壊されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に依然として未反応のコモノマーを有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環された溶媒はまた、若干の水素を有している可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0027】
いくつかの実施形態において、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、以下の手順に従って、ループ反応器内の液相重合プロセスを介して、触媒組成物を使用して調製され得る。全ての原料(エチレン、およびヘキセンまたはオクテンなどの1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー)およびプロセス溶媒(イソパラフィン溶媒、例えばISOPAR E)は、反応環境に導入される前に分子篩で精製される。水素は、高純度グレードとして供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給(エチレン)流は、機械的圧縮機を介して、反応圧力よりも高い圧力、例えば、750psigまで加圧される。溶媒およびコモノマー(ヘキセンまたはオクテンなどの1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー)供給物は、機械式容積式ポンプを介して、反応圧力、例えば750psigよりも高い圧力まで加圧される。個々の触媒成分は、精製された溶媒(ISOPAR E)を用いて指定された成分濃度まで手動でバッチ希釈することができ、反応圧力、例えば750psigよりも高い圧力まで加圧することができる。全ての反応供給流は、質量流量計で測定することができ、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御することができる。
【0028】
連続溶液重合反応器は、液体充填非断熱式等温循環ループからなり得る。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒構成成分供給物の独立した制御が可能である。溶媒、モノマー、コモノマー、および水素の組み合わせ供給物は、供給流を熱交換器に通過させることによって、5℃~50℃の間のどこか、典型的には40℃に温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマー供給物は、再循環溶媒にコモノマーを添加するように整列される。重合反応器への全ての新鮮な供給物は、例えば、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所において反応器に注入される。新鮮な供給物は、典型的には、例えば、全ての新鮮な供給物の質量流量の半分を受容する各注入器を用いて制御される。触媒成分は、例えば、特別に設計された注入入口装置を通って重合反応器に注入され、反応器に注入される前に、1つの混合プロ触媒/助触媒供給流に混合される。プロ触媒成分供給物は、コンピュータ制御され、反応モノマー濃度を特定の目標値に維持する。共触媒成分は、プロ触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各新鮮な注入の位置(供給物または触媒のいずれか)の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と、Kenics螺旋状静的混合要素などの静的混合要素を用いて混合する。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、また指定された温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で、連続的に循環させる。反応器ループの周りの循環は、スクリューポンプによって提供することができる。重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤および任意に酸捕捉剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、および水和に付随する水)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を除去する。また、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の静的混合要素のセットを通過して、触媒失活剤(catalyst kill)および添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を特定の目標値に維持することを担う圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、二段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環された低沸点反応成分から除去される。分離され、揮発分が除去されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送され、流れ温度を200℃未満の範囲、例えば170℃未満、または50~110℃の範囲の温度に下げ、それにより、冷却されたポリマー溶融体が生成される。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の確認後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。揮発分除去ステップにおいて除去された部分は、再循環または破壊されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に依然として未反応のコモノマーを有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環溶媒は、依然として若干の水素を有する可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0029】
他の実施形態では、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、エチレンおよび1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマーの重合に好適な1つ以上の触媒システムを使用して、直列に連結された2つの断熱撹拌槽反応器内における液相重合プロセスを介して、以下の手順に従って調製され得る。エチレンモノマーおよび1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー、ならびに水素は、溶媒、例えば、ISOPAR Eなどのイソパラフィン系溶媒と組み合わされる。水、二酸化炭素、硫黄化合物などの不純物は、供給流から除去され、供給流は、反応器に入る前に、5℃~60℃の範囲、例えば約13℃の温度に冷却される。反応の大部分、約85~90パーセントは、第1の断熱撹拌槽反応器内で起こり得る。混合は、ポリマー/プロ触媒/助触媒/溶媒/エチレン/1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー/水素溶液を、混合ブレードを備えた1つ以上の撹拌機で循環させることによって達成され得る。供給物(エチレン/1つ以上のアルファ-オレフィンコモノマー/溶媒/水素)は、例えば、底部から反応器に入ってもよく、プロ触媒/助触媒もまた、例えば、供給物とは別々に、底部から反応器に入ってもよい。第1の反応器温度は、120℃~190℃の範囲、例えば約175℃であり、反応器圧力は、400psig~1,000psigの範囲、例えば約500psigである。第1の反応器と直列の第2の反応器の温度は、175℃~210℃の範囲の温度、例えば約202℃まで上昇し、残りの反応の約10%~15%が起こり、追加の触媒やモノマーは添加されない。平均的な反応器滞留時間は、2~30分の範囲であり、例えば、その目的のために特別に設計された流体による、後反応器の終了前の断熱撹拌槽反応器に対して約8分である。
【0030】
重合反応器からの(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、反応器を出て、失活剤および任意に酸捕捉剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、および水和に付随する水)と接触する区域に入って、その反応を停止し、塩化水素を除去する。加えて、酸化防止剤などの様々な添加剤を、この時点で添加することができる。次いで、流れは、Kenics螺旋状静的混合要素などの、別の静的混合要素のセットを通過して、触媒失活剤(catalyst kill)および添加剤を均一に分散させる。(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、および溶融ポリマーを含有する)流出物は、他のより低い沸点の反応成分からのポリマーの分離に備えて、熱交換器を通過して、流れ温度を上げる。次いで、流れは、反応器の圧力を特定の目標値に維持することを担う圧力降下制御弁を通過する。次いで、流れは、二段分離脱揮システムに入り、そこで溶媒、水素、ならびに未反応モノマーおよびコモノマーからポリマーが除去される。不純物は、反応器に再び入る前に、再循環されたより低い沸点の反応成分から除去される。分離され、揮発分が除去されたポリマー溶融体は、熱交換器を通ってポンプ圧送され、流れ温度を200℃未満の範囲、例えば170℃未満、または50~110℃の範囲の温度に下げ、それにより、冷却されたポリマー溶融体が生成される。続いて、冷却されたポリマー溶融体は、水中ペレット化用に特別に設計されたダイを通ってポンプ圧送され、均一な固体ペレットに切断され、乾燥され、ホッパーに移される。初期ポリマー特性の確認後、固体ポリマーペレットを貯蔵装置に移す。揮発分除去ステップにおいて除去された部分は、再循環または破壊されてもよい。例えば、溶媒の大部分は、精製床を通過した後に反応器に戻して再循環される。この再循環された溶媒は、その中に依然として未反応のコモノマーを有している可能性があり、反応器に再度入る前に新鮮なコモノマーで強化される。この再循環溶媒は、依然として若干の水素を有する可能性があり、次いで新鮮な水素で強化される。
【0031】
繊維/メルトブローン不織布
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは使用されて、メルトブローン不織布などの繊維および/または不織布を形成し得る。本明細書で使用される「メルトブローン」とは、溶融熱可塑性ポリマー組成物を、溶融糸またはフィラメントとして、複数の微細な通常円形のダイ毛細管を通して、糸またはフィラメントを細くして、縮径させるために機能する収束する高速ガス流(例えば空気)に押し出すことによって形成される繊維を指す。その後、フィラメントまたは糸は、高速ガス流によって運ばれ、収集表面上に堆積して、一般に10ミクロンより小さい平均直径を有するランダムに分散されたメルトブローン繊維の不織布ウェブを形成する。「不織布(nonwoven)」、「不織布ウェブ」、および「不織布(nonwoven fabric)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。「不織布」とは、個々の繊維または糸の構造を有するウェブまたは布帛を指し、それは、ランダムに挿入されるが、ニット布帛の場合のように識別可能な様式ではない。
【0032】
本明細書の実施形態では、本明細書に記載されるメルトブローン不織布は、以下の特性のうちの1つ以上を示し得る:100gsmにおいて、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(M
w,cc/M
n,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成される100gsmメルトブローン不織布と比較して、通気性において5%の改善;および/または25gsmにおいて、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(M
w,cc/M
n,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成されるメルトブローン不織布と比較して、ハイドロヘッド破損圧力において5%の改善。改善率%は、以下のように計算される。
【数1】
【0033】
メルトブローン不織布は、複合構造で使用されてもよい。複合構造は、1つ以上のスパンボンド不織布をさらに含んでもよい。本明細書で使用される「スパンボンド」とは、溶融熱可塑性ポリマー組成物を、フィラメントとして、押し出されたフィラメントの直径の紡糸口金の複数の微細な通常円形のダイ毛細管を通して押し出し、次いでそれは急速に縮径され、その後はフィラメントを収集表面上に堆積して、一般に約7~約30ミクロンの平均直径を有するランダムに分散されたスパンボンド繊維のウェブまたは布帛を形成することによって形成される繊維を指す。スパンボンド繊維は、二成分繊維であっても単成分繊維であってもよい。単一成分繊維は、ポリエチレンを含む。二成分繊維は、鞘がポリエチレンを含み、芯がポリプロピレンを含む、芯鞘構造を有してもよい。もちろん、並列配置、パイ配置、または「海に浮かぶ島」配置など、二成分繊維の他の構成を使用してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、複合体は、SaMbSc構成を有し、式中、Sは、スパンボンド不織布であり、Mは、本明細書に記載されるメルトブローン不織布であり、a、b、およびcは、層の数であり、1~5の範囲の独立した整数である。例えば、複合体は、「a」、「b」、「c」は、互いに独立して、SMS(式中、a=1、b=1、およびc=1)、SMMS(a=1、b=2、およびc=1)、SSMSS(a=2、b=1、およびc=2)、SMMMS(a=1、b=3、およびc=1)、SMMSS(a=1、b=3、およびc=2)、または他の構成を有してもよい。
【0035】
本明細書の実施形態では、メルトブローン不織布は、本明細書に記載されるエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む。本明細書に記載されるメルトブローン不織布は、単層構造であっても、SMS複合構造などの複合構造であってもよい。本明細書の実施形態では、SMS複合構造は、以下の特性のうちの1つ以上を示し得る:メルトブローン不織布が、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成されるSMS複合構造と比較して、MDピーク引張り強度において少なくとも5%の改善;メルトブローン不織布が、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成されるSMS複合構造と比較して、CDピーク引張り強度において少なくとも5%の改善;メルトブローン不織布が、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成されるSMS複合構造体のMD破断点伸びよりも少なくとも5%高いMD破断点伸び;および/またはメルトブローン不織布が、50,000cP超のブルックフィールド粘度、0.911g/cc~0.939g/ccの範囲の密度、および1.8~3.5の範囲の分子量分布(Mw,cc/Mn,cc)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーから形成されるSMS複合構造のCD破断点伸びよりも少なくとも5%高いCD破断点伸び。改善率%は、上記と同じように計算される。より高い値%は、[本発明の値]-[比較の値]として計算される。
【0036】
本明細書の実施形態では、SMS複合構造は、以下の特性のうちの1つ以上を示し得る:メルトブローン不織布が、0.900g/ccの密度、1200g/10分のメルトフロー比(230℃、2.16kg)を有するポリプロピレンホモポリマーから形成されるSMS複合構造と比較して、MDピーク引張り強度において少なくとも10%(または代替的に少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%)の改善;メルトブローン不織布が、0.900g/ccの密度、1200g/10分のメルトフロー比(230℃、2.16kg)を有するポリプロピレンホモポリマーから形成されるSMS複合構造と比較して、CDピーク引張り強度において少なくとも10%(または代替的に少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%)の改善;メルトブローン不織布が、0.900g/ccの密度、1200g/10分のメルトフロー比(230℃、2.16kg)を有するポリプロピレンホモポリマーから形成されるSMS複合構造のMD破断点伸びよりも少なくとも10%(または代替的に少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%)高いMD破断点伸び;および/またはメルトブローン不織布が、0.900g/ccの密度、1200g/10分のメルトフロー比(230℃、2.16kg)を有するポリプロピレンホモポリマーから形成されるSMS複合構造のCD破断点伸びよりも少なくとも10%(または代替的に、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%)高いCD破断点伸び。
【0037】
試験方法
密度
密度は、ASTM D-792に従って測定され、グラム/立方センチメートル(g/cc)で示される。
ブルックフィールド粘度
ブルックフィールド粘度は、DV-II Pro Extra Viscometerを用いて測定される。この測定器は、粘度計の優れた制御と精度を提供するRheocalc V3.3ソフトウェアを使用する。SC4-31スピンドルサイズを使用する場合、8グラムの試料が使用される。試験温度は、350°Fである。トルクが40%~70%の間のレベルになるように、適切なスピンドル速度が適用される。粘度データは、安定した粘度読み取り値が得られた20分後に記録される。
【0038】
従来のGPC
従来のGPCは、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)機器(PolymerChar、スペイン)によって得られる。IR5検出器(「測定チャネル」)は、濃度検出器として使用される。GPCOneソフトウェア(PolymerChar、スペイン)を使用して、ポリマーのz平均(Mz)、重量平均(Mw)、および数平均(Mn)分子量を計算し、MWD(=Mw/Mn)を判定する。この方法では、システム温度150℃で動作する、3つの10ミクロンPLゲル混合Bカラム(Agilent Technologies、カラム寸法100×7.6mm)、または4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラム(Agilent Technologies、カラム寸法100×7.6mm)が使用される。試料は、200百万分率の酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン溶媒中で、160℃で3時間、オートサンプラ(PolymerChar、スペイン)による穏やかな振とうで、2mg/mLの濃度で調製される。流量は、1.0mL/分であり、注入サイズは、200マイクロリットルある。GPCOneソフトウェアを使用して、プレート数を計算する。クロマトグラフィシステムには、最低22,000枚のプレートが必要である。
【0039】
GPCカラムセットは、少なくとも20つの狭分子量分布ポリスチレン標準物質を流すことによって較正される。較正では、3つの10ミクロンPLゲル混合Bカラムを備えたシステムへの3次フィット、または4つの20ミクロンPLゲル混合Aカラムを備えたシステムへの5次フィットが使用される。標準物質の分子量(MW)は、580g/mol~8,400,000g/molの範囲であり、標準物質は、6つの「カクテル」混合物に含まれている。各標準混合物には、個々の分子量間に概ね10の分離が存在する。標準混合物は、Agilent Technologiesから購入される。ポリスチレン標準物質は、1,000,000g/mol以上の分子量については「50mLの溶媒中0.025g」で調製され、1,000,000g/mol未満の分子量については「50mLの溶媒中0.05g」で調製される。ポリスチレン標準物質を、80℃で穏やかに撹拌しながら、30分間溶解する。狭い標準物質混合物を、最初に、かつ最高分子量成分を減少させる順序で実行して、分解を最小限に抑える。ポリスチレン標準物質のピーク分子量は、等式(1)を使用してポリエチレン分子量に換算される(WilliamsおよびWard,J.Polym.Sci.,Polym.Letters,6,621(1968)に記載の通り):
【数2】
式中、MWは、示されるようにポリエチレン(PE)またはポリスチレン(PS)の分子量であり、Bは、1.0に等しい。A値が標準基準材料(SRM)1475aについて52,000MWPEを生じるように、Aは約0.38~約0.44の範囲であり得ることが、当業者には既知である。分子量分布(MWDまたはMw/Mn)、および関連する統計値等の分子量値を得るためのこのポリエチレン較正法の使用は、ここではWilliamsおよびWardの修正された方法として定義される。数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量は、以下の等式から計算される。
【数3】
式中、M
n,cc、M
w,cc、およびM
z,cc(g/モル)は、それぞれ従来の較正から得られる数平均分子量、重量平均分子量、およびz平均分子量である。w
iは、保持容量V
iで溶出されるポリエチレン分子の重量画分である。M
cc,iは、従来の較正(等式(1)を参照されたい)を使用して得られる保持容量V
iで溶出されるポリエチレン分子の分子量(g/モル)である。
【0040】
クロマトグラフのピークは、クロマトグラムが20%のピーク高さで表示される場合に、ベースラインからの有意な目に見える逸脱を示す面積を含むように設定する必要がある。ベースラインは、100未満のポリエチレン換算分子量に統合されるべきではなく、調製された試料およびクロマトグラフ移動相からの酸化防止剤の不一致の説明には注意が必要である。
図1を参照すると、明確な別個の酸化防止剤のピークを示す試料の適切なベースラインおよび積分限界セットが示されている。
【0041】
デカン流量マーカーの使用が、IR5クロマトグラムに示されている(
図1および2を参照されたい)。ベースラインの開始と終了の間のベースライン(応答)Y値の差は、クロマトグラムの積分ピーク高さの3%を超えてはならない。そのような場合、クロマトグラフ試料は、試料と移動相の酸化防止剤を適切に一致させて処理する必要がある。
【0042】
図2を参照すると、100のポリエチレン換算分子量への連続性を示す試料の適切なベースラインおよび積分限界セットが示されている。積分限界の終了は、100のポリエチレン換算分子量未満に設定されてはならない。
【0043】
w(10
5g/モル超の重量画分)は、等式(5)に従ってGPCOneソフトウェアから得られるMWD曲線(wi対log Mcc,i)に従って計算される。
【数4】
【0044】
三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィ(TDGPC)-光散乱GPC
本明細書において使用されるGPC技術(光散乱GPC)では、三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィ(3D-GPCまたはTDGPC)システムを使用した。このシステムは、Precision Detectors(現在Agilent Technologies)の2角レーザー光散乱(LS)検出器2040型、IR5赤外線検出器、およびPolymerCharからの4つの毛細管粘度計検出器を備えたPolymerChar(バレンシア、スペイン)のGPC-IR高温クロマトグラフからなる。PolymerCharの「Instrument Control」およびGPCOneソフトウェアを使用して、データ収集およびデータ処理が行われる。このシステムは、Agilent Technologies(CA、USA)のオンライン溶媒脱気装置も装備していた。GPCOneソフトウェアを使用して、プレート数を計算する。クロマトグラフィシステムには、最低22,000枚のプレートが必要である。
【0045】
GPCカラムセットからの溶離液は、IR5検出器、LS検出器、次いで粘度計検出器の順序で直列に配置された各検出器を通って流れる。多重検出器オフセットの判定のための体系的手法は、Balke,Moureyらによって公表されたもの(MoureyおよびBalke,Chromatography Polym.,Chapter12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.,Chapter13,(1992))と一貫した方法で、以下に概説されるように、広いポリエチレン標準物質を使用することから生じる3重検出器のlog(分子量および固有粘度)を最適化して行われる。
【0046】
4つの20ミクロン混合細孔サイズのパッキング(「Mixed A」、Agilent Technologies)を分離のために使用する。PolymerChar Autosamplerオーブン区画を160℃で低速振とうしながら3時間作動し、カラム区画を150℃で作動させる。試料を、「2ミリグラム/ミリリットル」の濃度で調製する。クロマトグラフ溶媒および試料調製溶媒は、「200ppmの2,6-ジ-tert-ブチル-4メチルフェノール(BHT)」を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。溶媒に窒素を散布する。注入体積は、200マイクロリットルである。GPCを通る流速は、1mL/分に設定される。
【0047】
LS GPCでは、Precision Detector PDI2040検出器2040型15°角が使用される。分子量データは、参照により本明細書に組み込まれる、Zimmによって公表されたもの(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))、およびKratochvilによって公表されたもの(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))と一貫した方法で得られる。分子量の判定において使用される全体的な注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質のうちの1つに由来する、質量検出器(IR5)面積および質量検出器定数から得られる。計算分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物質のうちの1つ以上に由来する光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般に、質量検出器応答および光散乱定数は、約50,000g/molを超える分子量を有する直鎖状標準から判定されるべきである。粘度計の較正は、製造元によって説明される方法を使用して、または代替的に、標準基準材料(SRM)1475a(国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)等の好適な線形標準の公表された値を使用することによって達成され得る。クロマトグラフィ濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。
【0048】
絶対重量平均分子量(「M
w,abs」)および絶対z平均分子量(「M
z,abs」)は、3D-GPCを用いて、M
w,absが、より高い正確性および精度のための「ピーク面積」法(面積を質量に、および質量-分子量に関連付ける検出器較正の後)を使用することによって得られる、以下の等式(6)および(7)を使用して判定される。「LS.Area」および「Concentration.Area」は、クロマトグラフ/検出器の組み合わせにより生成される。
【数5】
式中、C
iは、保持容量V
iにおける溶離液中のポリエチレン分子の濃度であり、M
abs,iは、保持容量V
iにおけるポリエチレン分子の絶対分子量であり、LS
iは、保持容量V
iにおける光散乱検出器の応答であり、ΣLS
i(LS.Area)は、光散乱の全応答であり、ΣCi(Concentration.Area)は、全濃度である。
【0049】
等式(6)を使用した光散乱(LS)による重量平均分子量は、一般に「絶対重量平均分子量」または「Mw,abs」と称される。等式(2、3、4)からのMn,cc、Mw,cc、およびMz,ccは、従来のGPC分子量検量曲線(「従来の較正」)を使用し、Mw,ccは、多くの場合「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来の重量平均分子重量」、および「Mw,cc」と称される。
【0050】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融および結晶化挙動を測定するために使用された。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000DSCを使用して、この分析を実行した。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用した。各試料を、薄いフィルムへと約175℃で溶融押圧し、次いで、溶融された試料を、室温(約25℃)まで空気冷却した。フィルム試料は、「0.1~0.2グラム」の試料を175℃、1,500psiで30秒間押圧して、「0.1~0.2ミル厚」のフィルムを形成することによって形成された。3~10mg、直径6mmの試験片を、冷却されたポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に配置し、圧着して閉じた。次いで、その熱的特性を判定するために分析を行った。
【0051】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて、熱流量対温度プロファイルを作成することによって判定した。その熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、5分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で5分間等温保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱した(これは、「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録した。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃までのベースライン終点を設定することによって分析した。熱曲線は、-20℃から溶融終点までのベースライン終点を設定することによって分析した。判定される値は、最高ピーク溶融温度(Tm)、最高ピーク結晶化温度(Tc)、融解熱(Hf)(ジュール/グラム)、および結晶化度%=((Hf)/(292J/g))×100を使用するポリエチレン試料についての算出された結晶化度%であった。融解熱(Hf)および最高ピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告された。最高ピーク結晶化温度は、冷却曲線から判定される。
【0052】
結晶化溶出分別(CEF)法
一般に短鎖分岐分布(SCBD)とも称されるコモノマー分布分析は、IR-4検出器(PolymerChar、スペイン)および2角光散乱検出器2040型(Precision Detectors、現在Agilent Technologies)を備えた結晶化溶出分別(CEF)(PolymerChar、スペイン)(Monrabalら、Macromol.Symp.257、71-79(2007)、参照により本明細書に組み込まれる)を用いて測定される。IR-4またはIR-5検出器が使用される。IR-4検出器またはIR-5検出器を検出器オーブン内に入れる直前に、50×4.6mmの10または20ミクロンガードカラム(PolymerLab、現在のAgilent Technologies)を取り付ける。Sigma-Aldrichから、オルト-ジクロロベンゼン(ODCB、99%無水グレード)および2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(「BHT」、カタログ番号B1378-500G、バッチ番号098K0686)が得られる。ODCBは、使用前に蒸留される。EMD Chemicalsから、シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3)も得られる。シリカゲルは、使用前に、160℃の真空オーブンで約2時間乾燥させる。800mgのBHTおよび5gのシリカゲルを、2リットルのODCBに添加する。ODCBは、シリカゲルを充填した1つまたは複数のカラムを通過させることによっても、乾燥させることができる。N2パージ能力を有するオートサンプラを備えたCEF装置の場合、シリカゲル40を、2つの300×7.5mmのGPCサイズのステンレス鋼カラムに充填し、シリカゲル40カラムを、CEF装置のポンプの入口に取り付けて、ODCBを乾燥させ、また、BHTは、移動相に全く添加されない。この「BHTおよびシリカゲルを含有するODCB」またはシリカゲル40で乾燥されたODCBは、ここで「ODCB」と称される。使用前にこのODCBに乾燥窒素(N2)を1時間散布する。乾燥窒素は、窒素をCaCO3および5Å分子篩に90psig未満で通過させることによって得られるものである。得られる窒素は、約-73℃の露点を有するはずである。試料調製は、160℃で2時間振とうさせながら、オートサンプラを4mg/mlで用いて(別途指定しない限り)行う。注入体積は、300μlである。CEFの温度プロファイルは、3℃/分で110℃~30℃での結晶化、30℃で5分間の熱平衡(2分間に設定されている可溶性画分溶出時間を含む)、3℃/分で30℃~140℃での溶出である。結晶化中の流量は、0.052ml/分である。冷却ステップ中の流量は、0.052mL/分である。溶出中の流量は、0.50ml/分である。データは、1データポイント/秒で収集される。CEFカラムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,372,931号に従って、1/8インチのステンレス管を用いて、125μm±6%(MO-SCI Specialty Products)のガラスビーズで充填される。カラム外径(OD)は、1/8インチである。この方法を再現するのに必要な重要なパラメータには、カラム内径(ID)およびカラム長(L)が含まれる。IDとLの選択は、直径125μmのガラスビーズを充填する場合、液体内部体積が2.1~2.3mLになるようにする必要がある。Lが152cmである場合、IDは、0.206cmでなければならず、壁の厚さは、0.056cmでなければならない。ガラスビーズの直径が125μmであり、かつ液体内部体積が2.1~2.3mLである限り、LおよびIDについて異なる値を使用することができる。カラム温度較正は、ODCB中のNIST標準参照物質、線状ポリエチレン1475a(1.0mg/ml)とエイコサン(2mg/ml)との混合物を使用することによって行う。CEF温度較正は、4つのステップから構成される:(1)測定されたエイコサンのピーク溶出温度から30.00℃を差し引いた、温度オフセットとして定義される、遅延体積を計算すること;(2)溶出温度の温度オフセットをCEF生温度データから差し引くこと。この温度オフセットは、溶出温度、溶出流量などの実験条件の関数であることに留意するべきである;(3)NIST直鎖状ポリエチレン1475aが101.0℃のピーク温度を有し、エイコサンが30.0℃のピーク温度を有するように、30.00℃~140.00℃の範囲で溶出温度を変換する、直線の検量線を作成すること;(4)30℃の等温で測定される可溶性画分について、溶出温度を、3℃/分の溶出加熱速度を使用することによって、直線的に推定すること。報告された溶出ピーク温度は、観察されたコモノマー含有検量曲線が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,372,931号において以前に報告されるものと一致するように得られる。CEFデータは、GPCOneソフトウェア(PolymerChar、スペイン)によって処理される。
【0053】
コモノマー分布幅指数(CDBI)
CDBIは、コモノマー総含有量の中央値の50パーセント以内のコモノマー含有量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義される(参照により本明細書に組み込まれるWO93/03093に報告されている)。ポリオレフィンのCDBIは、例えば、Wildら,Journal of Polymer Science,Poly.Phys.Ed.,Vol.20,441(1982);L.D.Cady,“The Role of Comonomer Type and Distribution in LLDPE Product Performance”,SPE Regional Technical Conference,Quaker Square Hilton,Akron,OH,107-119(Oct.1-2,1985);または米国特許第4,798,081号(Hazlittら)および米国特許第5,008,204号(Stehling)(以上全ては、参照により本明細書に組み込まれる)によって記載されているような、例えば、温度上昇溶出分別(「TREF」)などの当該技術分野で既知の技術から得られる短鎖分岐分布(SCBD)データから好都合に計算することができる。
【0054】
本明細書では、CDBIは、CEFによって測定されるSCBDを用いて、次のステップに従って計算される。
【0055】
【数6】
に従って、CEFから0.200℃の温度ステップの増加に伴い、20.0℃~119.0℃の各温度(T)(wT(T))における重量画分を得る。
【0056】
(B)可溶性画分を含む累積重量画分0.500(50%)における温度中央値(T中央値)を計算する。溶出温度範囲全体(一般的に20.0~120.0℃の間)の累積重量画分は、1.00として正規化される。
【0057】
(C)溶出温度に対するコモノマー含有量の較正を使用して温度中央値(T中央値)におけるモル%(C中央値)における対応する全コモノマー含有率の中央値を計算する。
【0058】
(D)既知量のコモノマー含有量を有する一連の参照物質(エチレン-オクテンコポリマー)、すなわち、コモノマー含有量が0.0モル%~7.0モル%の範囲で、CEF実験項で指定される同じ実験条件でCEFで分析される、狭いコモノマー分布(35.0~119.0℃のCEFの単峰性コモノマー分布)を有し、35,000~115,000(従来のGPCで測定)の重量平均Mw(従来のGPCによる)を有する11の参照物質を使用することによって、コモノマー含有量検量曲線を作成する。参照材料のコモノマー含有量は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,292,845号(Kawasakiら)、およびJ.C.RandallによるRev.Macromol.Chem.Phys.,C29,201-317に記載されている技術に従って、13C NMR分析を使用して判定される。
【0059】
(E)各参照材料のピーク温度(T
p)、およびそのコモノマー含有量を使用して、コモノマー含有量の較正を計算する。較正は、以下の等式に示されるように各参照材料から計算される。式中、R
2は、相関定数である。
【数7】
【0060】
(F)CDBIを、0.5*C中央値~1.5*C中央値の範囲のコモノマー含有量での総重量パーセンテージとして計算する。ポリマーの密度が0.94を超える場合、CDBIは、したがって100%と定義される(参照により本明細書に組み込まれるWO1993/003093(A1)を参照されたい)。
【0061】
ピーク引張り強度/破断点伸び
以下の手順を使用して、本発明の不織布の引張り試験データを生成する。坪量は、布帛の既知の面積の重量を測定することによって判定され得る。例えば、坪量(g/m2)は、ASTM D3776に従って判定され得る。
【0062】
ピーク引張り強度および破断点伸びは、ASTM D5035に従って測定される。試験片の細片(幅1インチ、長さ6インチ)を不織布から切り出し、3インチのゲージ長(グリップ分離)で試験する。試験片の長さ方向は、MDの引張り特性を得るための機械方向(MD)、またはCDの引張り特性を得るための横方向(CD)である。試験速度は、12インチ/分である。
【0063】
不織布材料のピーク引張り強度および破断点伸びは、以下の手順を使用して判定される。ピーク引張り強度は、破断する前に材料に加えられる最大またはピーク力である。脆性である材料は、通常、最大の力で破断する。延性である材料は、通常、破裂する前に最大の力を受ける。材料に引張り力を加えながら、材料の破断点伸びおよびピーク引張り強度を測定する高精度の電子試験機器が使用される。試験片に加えられる力は、試験機または試験手順中に得られるグラフから直接読み取られる。各試料について、少なくとも5つの試験片が試験され、平均が計算され、試料について観察されるピーク引張り強度に使用された。
【0064】
破断点伸びは、引張り力によって引き起こされる荷重方向の変形である。伸びは、伸張していない材料の長さに対するパーセンテージとしての伸張した材料の長さの比として表される。破断点伸びは、伸張した材料が破断する点で判定される。見かけの伸びは、力-伸び曲線の開始点から破断力に対応する点までの長さの増加によって判定される。見かけの伸びは、ゲージの長さ(L0)に基づく長さの増加パーセントとして計算される。
【0065】
【0066】
通気性
通気性は、TexTest Instrumentsが製造したFX3300通気性試験機IIIで試験され、毎分の立方フィートで表される。試験圧力は、125Paであり、試験面積は、20cm2である。
【0067】
ハイドロヘッド破損圧力
ハイドロヘッド破損圧力試験は、AATCC127に従って、TexTest FX3000ハイドロスタティックヘッド試験機で行われ、ミリバール(mbar)で表される。試験面積は、100cm2であり、勾配は、60mbar/分である。5つの試験片の平均値が報告される。
【0068】
ハイドロヘッド破損圧力(ISO)
ハイドロヘッド破損圧力試験は、ISO811に従って、TexTest FX3000ハイドロスタティックヘッド試験機で行われ、ミリバール(mbar)で表される。試験面積は、60mbar/分の勾配で、100cm2である。5つの試験片の平均値が報告される。
【0069】
手触り
不織布試料のハンドル-O-メーター剛性は、EDANA試験方法WSP90.3.0(05)に従って、Thwing-Albertハンドル-O-メーター211-300型で行われ、グラムで表される。ハンドル-O-メーターは、Thwing-Albert Companyから市販されている装置である。ハンドル-O-メーターは、不織布、フィルム、および積層体などのシート材料の剛性または曲げ性および表面摩擦の複合効果を考慮した「感触」または「手触り」を測定する。評価条件:100gmのビーム組立体および5mmのスロット幅を使用して、100mm×100mmの単層試料が評価される。布帛は、ビームによってスロットに押し込まれ、「感触」または「手触り」は、スロットに押し込まれるときに布帛がビームに加える抵抗である。「感触」または「手触り」の値が低いほど、柔軟でドレープ性の高い布帛を示す。
【実施例】
【0070】
比較のポリマー1~4
比較のポリマー1(Comp.1)は、LyondellBasell Industries N.V.(ヒューストン、テキサス州)から入手可能である、0.90g/ccのASTM D792による密度、および230℃、2.16kgで500g/10分のASTM D1238によるメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー(Metocene MF650W)である。ポリマーの追加の特性を以下の表に示す。
【0071】
比較のポリマー2(Comp.2)は、LyondellBasell Industries N.V.(ヒューストン、テキサス州)から入手可能である、0.90g/ccのASTM D792による密度、および230℃、2.16kgで1200g/10分のASTM D1238によるメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー(Metocene MF650X)である。ポリマーの追加の特性を以下の表に示す。
【0072】
比較のポリマー3(Comp.3)は、LyondellBasell Industries N.V.(ヒューストン、テキサス州)から入手可能である、0.90g/ccのASTM D792による密度、および230℃、2.16kgで1800g/10分のASTM D1238によるメルトフローレートを有するポリプロピレンホモポリマー(Metocene MF650Y)である。ポリマーの追加の特性を以下の表に示す。
【0073】
比較のポリマー4(Comp.4)は、The Dow Chemical Company(ミッドランド、ミシガン州)からDNDA 1082 NT7として入手可能であるエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーである。ポリマーの追加の特性を以下の表に示す。
【0074】
本発明のポリマー1~5の生成
本発明のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー1~5を、以下のプロセスに従って、表1および2に報告されている反応条件に基づいて調製した。
【0075】
反応環境に導入する前に、全ての原材料(モノマーおよびコモノマー)ならびにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)を分子篩で精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給され、それ以上精製されない。反応器モノマー供給流を、機械的圧縮機を介して反応圧力よりも高い圧力まで加圧する。溶媒およびコモノマー供給物を、ポンプを介して反応圧力よりも高い圧力まで加圧する。個々の触媒成分を、精製された溶媒を用いて指定された成分濃度まで手動でバッチ希釈し、反応圧力よりも高い圧力まで加圧する。全ての反応供給流を質量流量計で測定し、コンピュータ自動弁制御システムで独立して制御する。
【0076】
連続溶液重合反応器は、熱除去を伴う連続撹拌槽反応器(CSTR)を模倣する、液体充填非断熱式等温循環ループ反応器からなる。全ての新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒構成成分供給物の独立した制御が可能である。反応器への全新鮮供給流(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)は、供給流を熱交換器に通すことによって温度制御される。重合反応器への全新鮮供給物は、各注入場所の間でほぼ等しい反応器体積で、2つの場所において反応器に注入される。新鮮供給物は、全新鮮供給物質量流量の半分を受容する各注入器を用いて制御される。触媒成分は、特別に設計された注入ストリンガーを通って重合反応器に注入される。主触媒成分供給物は、コンピュータ制御され、反応モノマー転化を特定の目標値に維持する。助触媒成分は、主触媒成分に対する、計算された指定されたモル比に基づいて供給される。各反応器供給物の注入の位置の直後に、供給流が、循環重合反応器の内容物と、静的混合要素を用いて混合される。反応器の内容物は、反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器を通して、また指定された温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で、連続的に循環させる。反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0077】
最終反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加およびそれとの反応により流出物が失活する区域に入る。この同じ反応器出口位置に、ポリマーの安定化のために他の添加剤が添加される。本発明の試料について、少なくとも10倍モル比の(水和)水対活性触媒が利用可能であり、反応器流出物で重合を停止するように条件が選択された。この態様は、ポリマー材料が狭い分子量分布を有し、組成分布が狭く維持されることを保証するために重要である。
【0078】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/191066
の6
頁23~28
行、8
頁11~16
行、および11
頁3~25
行に提供されている記載に従って加工され、ペレット化される。非ポリマー流は、システムから除去されるエチレンの大部分を分離する様々な機器の部品を通過する。溶媒および未反応モノマーの大部分は、精製システムを通過した後、反応器に再循環される。少量の溶媒およびモノマーをプロセスからパージする。
【表1】
【表2】
【0079】
各反応は、表3に記載されるような特性を有する低分子量コポリマーを含有するポリマー溶液の生成をもたらした。「NM」は、測定されなかった値を指す。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0080】
不織布プロセス条件(研究#1)
25gsm、50gsm、および100gsmの継ぎ目なしの不織布を、米国ノースカロライナ州ローリーにあるNC州立大学のNonwovens Institute NWIで、1メートル幅のReifenhauser-Reicofilメルトブローンラインで加工する。0.4mm穴径および35穴/インチを有する単一のRow Reicofil Cassetteを、不織布の作製に使用する。全スループットレートは、44kg/時間に設定される。本発明および比較の樹脂を、対応する本発明および比較のメルトブローン不織布を作製するために使用する。例えば、本発明の樹脂2を、本発明の布帛2を作製するために使用する。追加のプロセス条件を表8に示す。
【0081】
SMS複合構造を、以下のように加工する。坪量20gsmの第1の二成分スパンボンド不織布をコンベアベルトに基材として挿入し、坪量4+/-1gsmのメルトブローンウェブをスパンボンド不織布に堆積させて、SM構造を形成する。追加のプロセス条件を表8に示す。カレンダリングプロセスを使用して、第1の二成分スパンボンド不織布と同じ組成を有する第2の二成分スパンボンド不織布を、SM構造のメルトブローン側に接着させて、SMS構造(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)を作成する。結合条件は、140℃で、圧力は、750psiである。パターンロールは、結合面積が18%のダイヤモンドパターンである。本発明および比較のメルトブローン不織布は、対応する本発明および比較の複合構造を作製するために使用される。例えば、本発明の布帛2を、本発明の複合構造2を作製するために使用する。スパンボンド不織布は、50%鞘/50%芯構造を有する二成分繊維から形成され、鞘は、100%ポリエチレン(例えば、The Dow Chemical Company、ミッドランド、ミシガン州から入手可能なASPUN(商標)繊維グレードポリエチレン)を含み、芯は、100%ポリプロピレン(例えば、スパンボンド繊維グレードのポリプロピレンホモポリマー)を含む。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0082】
表12を参照すると、本発明の複合構造は、メルトブローン不織布層に本発明の布帛2を使用して形成されたスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)複合構造である。比較の複合構造もまた、メルトブローン不織布層に、対応する比較の布帛2および4を使用して形成されるSMS複合構造である。表12に示されるように、本発明の複合構造は、比較の複合構造と比較して、ピーク引張り強度および破断点伸びの両方において改善を示している。
【表13】
【0083】
表13を参照すると、本発明の不織布は、エチレン系である比較の布帛4に比べて、通気性の改善を示している。
【表14】
【0084】
表14を参照すると、本発明の不織布は、エチレン系である比較の布帛4に比べて、ハイドロヘッド破損圧力の改善が分かる。
【表15】
【0085】
表15を参照すると、本発明の不織布は、比較のポリプロピレン系布帛(比較の布帛2)に比べて、手触りにおいて有意な改善を示し、またエチレン系である比較布帛4に比べて、手触りにおいても改善を示す。
【0086】
不織布プロセス条件(研究#2)
50gsmの継ぎ目なしの不織布を、米国ノースカロライナ州ローリーにあるNC州立大学のNonwovens Institute NWIで、1メートル幅のReifenhauser-Reicofilメルトブローンラインで加工する。0.4mm穴径および35穴/インチを有する単一のRow Reicofil Cassetteを、不織布の作製に使用する。全スループットレートは、44kg/時間に設定される。上記研究1に記載された本発明および比較の樹脂を、対応する本発明および比較のメルトブローン不織布を作製するために使用する。例えば、本発明の樹脂4を、本発明の布帛4を作製するために使用する。追加のプロセス条件を表16に示す。
【0087】
SMS複合構造を、以下のように加工する。坪量20gsmの第1の二成分スパンボンド不織布をコンベアベルトに基材として挿入し、坪量4+/-1gsmのメルトブローンウェブをスパンボンド不織布に堆積させて、SM構造を形成する。追加のプロセス条件を表17に記載する。カレンダリングプロセスを使用して、第1の二成分スパンボンド不織布と同じ組成を有する第2の二成分スパンボンド不織布を、SM構造のメルトブローン側に接着させて、SMS構造(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)を作成する。結合条件は、130℃で、圧力は、750psiである。パターンロールは、結合面積が18%のダイヤモンドパターンである。本発明および比較のメルトブローン不織布は、対応する本発明および比較の複合構造を作製するために使用される。例えば、本発明の布帛4を、本発明の複合構造4を作製するために使用する。スパンボンド不織布は、50%鞘/50%芯構造を有する二成分繊維から形成され、鞘は、100%ポリエチレン(例えば、The Dow Chemical Company、ミッドランド、ミシガン州から入手可能なASPUN(商標)繊維グレードポリエチレン)を含み、芯は、100%ポリプロピレン(例えば、スパンボンド繊維グレードのポリプロピレンホモポリマー)を含む。
【表16】
【表17】
【表18】
【0088】
表18を参照すると、本発明の複合構造は、メルトブローン不織布層に本発明の布帛5を使用して形成されたスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド(SMS)複合構造である。比較の複合構造はまた、最初の研究で前述したように、メルトブローン不織布層に、対応する比較の布帛2を使用して形成されるSMS複合構造でもある。表18に示されるように、本発明の複合構造は、比較の複合構造と比較して、ピーク引張り強度および破断点伸びの両方において改善を示している。
【表19】
【0089】
表19を参照すると、本発明の不織布は、エチレン系である比較の布帛4に比べて、通気性の改善を示し、本発明の不織布はまた、プロピレン系の比較の布帛2に比べても、通気性において匹敵する性能、または改善を示す。
【表20】
【0090】
表20を参照すると、本発明の不織布は、エチレン系である比較の布帛4に比べて、ハイドロヘッド破損圧力(ISO)の改善を示す。また、本発明の不織布は、プロピレン系である比較の布帛2に比べて、ハイドロヘッド破損圧力(ISO)において匹敵または改善を示す。
【0091】
本明細書に開示される寸法および値は、記述された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別途指定されない限り、そのような各寸法は、記述された値、およびその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図されている。
【0092】
存在するならば、いかなる相互参照されたまたは関連する特許もしくは出願、ならびに本出願がその優先権もしくは利益を主張するいかなる特許出願もしくは特許も含む、本明細書に引用された全ての文書は、明示的に除外されない限り、または別途制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、本明細書において開示もしくは特許請求された任意の発明に関する先行技術であること、またはそれ単独で、もしくは他の任意の参考文献との任意の組み合わせで、そのような発明を教示、示唆、または開示することを認めるものではない。さらに、本文書中の用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する範囲で、本明細書中のその用語に割り当てられた意味または定義が優先されるものとする。
【0093】
本発明の特定の実施形態を例解および説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の範囲内にあるそのような変更および修正を全て網羅することが意図されている。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
繊維および不織布における使用に好適なエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであって、
0.911~0.939g/ccの密度、50,000cP以下のブルックフィールド粘度、1.8~3.5の分子量分布(M
w,cc
/M
n,cc
)を有し、M
z,cc
/M
n,cc
が、5.25未満、または代替的に4.0未満もしくは3.5未満である、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
〔態様2〕
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで測定する際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満、または代替的に1.0%未満の10
5
g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する、態様1に記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
〔態様3〕
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、50%超、または代替的に50%~98%、または代替的に50%~85%のコモノマー分布幅指数を有する、態様1~2のいずれかに記載のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー。
〔態様4〕
エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むメルトブローン不織布であって、前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、
0.911~0.939g/ccの密度、
50,000cP以下のブルックフィールド粘度、
1.8~3.5の分子量分布(M
w,cc
/M
n,cc
)、および
5.25未満、または代替的に4.0未満もしくは3.5未満のM
z,cc
/M
n,cc
を有する、メルトブローン不織布。
〔態様5〕
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、従来のゲル浸透クロマトグラフィで測定する際、インターポリマーの総重量を基準として、2.5%未満、または代替的に1.0%未満の10
5
g/モル超の分子量の重量画分(w)を有する、態様4に記載のメルトブローン不織布。
〔態様6〕
前記エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0%超、または代替的に50%~98%、または代替的に50%~85%のコモノマー分布幅指数を有する、態様4~5のいずれかに記載のメルトブローン不織布。
〔態様7〕
態様4~6のいずれかに記載のメルトブローン不織布を含む、複合構造。
〔態様8〕
前記複合構造が、1つ以上のスパンボンド不織布をさらに含む、態様7に記載の複合構造。
〔態様9〕
S
a
M
b
S
c
構成を有する複合構造であって、式中、Sは、スパンボンド不織布であり、Mは、態様4~6のいずれかに記載のメルトブローン不織布であり、a、b、およびcは、層の数であり、1~5の範囲の独立した整数である、複合構造。
〔態様10〕
前記スパンボンド不織布が、鞘/芯構造を有する二成分繊維から形成され、前記鞘が、ポリエチレンを含み、前記芯が、ポリプロピレンを含む、態様9に記載の複合構造。
〔態様11〕
前記スパンボンド不織布が、単一成分繊維から形成され、前記単一成分繊維が、ポリエチレンを含む、態様9に記載の複合構造。