(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】床束
(51)【国際特許分類】
E04F 15/024 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
E04F15/024 603B
(21)【出願番号】P 2020001503
(22)【出願日】2020-01-08
【審査請求日】2022-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519360051
【氏名又は名称】タイファス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】東 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】野間 賢
(72)【発明者】
【氏名】小久保 隆博
(72)【発明者】
【氏名】今村 高明
(72)【発明者】
【氏名】楊 龍
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-156790(JP,A)
【文献】特開2006-170267(JP,A)
【文献】実開昭58-103088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/024
E04H 12/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための床束であって、
前記基盤面に設置されるベースと、
前記ベースから上方に延びる第1支柱部と、
前記第1支柱部の上部を受け入れる筒状部と、前記筒状部の下方に設けられた外ネジ部と、前記筒状部の上方に設けられ前記床下地パネルを保持する保持部と、を有し、前記第1支柱部に対して軸方向に沿って移動自在な第2支柱部と、
前記第2支柱部の前記第1支柱部に対する前記軸方向の位置調整を行うための調整機構と、を備え、
前記第1支柱部は、その外周面に形成された支柱雄ネジ部を有し、
前記調整機構は、
前記外ネジ部の下方に設けられ、所定方向の押圧力の付与による弾性変形によって前記第2支柱部の前記軸方向の移動を規制する弾性部と、
前記弾性部の上方側において前記第1支柱部に対して前記軸方向に移動自在に外挿される操作部材であって、前記第1支柱部と対向する内周面に前記支柱雄ネジ部と螺合する操作雌ネジ部が形成され、前記軸方向に沿った移動のために回転操作される操作部と、前記操作部の上方に設けられ、前記回転操作時に前記操作部が前記第2支柱部に対して空転状態となるように、前記第2支柱部に連結される連結部と、を有する操作部材と、
前記第1支柱部に対して外挿され、前記外ネジ部に螺合する内ネジ部と、前記内ネジ部の螺合に応じて前記弾性部を前記所定方向に押圧する押圧部と、を有する締付部材と、を含む、床束。
【請求項2】
前記締付部材は、前記押圧部から上方に延びる筒状に形成されて前記内ネジ部が設けられ、前記内ネジ部が前記外ネジ部と螺合した状態で前記操作部材を外側から覆う筒部を有する、請求項
1に記載の床束。
【請求項3】
前記弾性部は、前記操作部から下方に延びると共に径方向に弾性変形可能な弾性片によって構成され、
前記弾性片は、前記第1支柱部と対向する内周面に形成された、前記支柱雄ネジ部と螺合する弾性雌ネジ部を有し、
前記押圧部は、前記内ネジ部の前記外ネジ部との螺合に応じて前記弾性片を、前記第1支柱部に向かって前記径方向に押圧する、請求項
1又は
2に記載の床束。
【請求項4】
前記弾性片は、その外周面に、下方に向かうに従い外径が小径となるテーパー面部を有し、
前記押圧部は、前記テーパー面部の外側に設けられた筒状に形成され、前記テーパー面部の最大径よりも小さく最小径よりも大きな内周面を有する、請求項
3に記載の床束。
【請求項5】
前記弾性部は、前記軸方向において前記操作部と前記押圧部との間に配置される、ばね座金を有し、
前記押圧部は、前記内ネジ部の前記外ネジ部との螺合に応じて前記ばね座金を、前記操作部に向かって前記軸方向に押圧する、請求項
1又は
2に記載の床束。
【請求項6】
前記操作部材は、前記操作部の下端から径方向の外方に突出したフランジ部を有する、請求項
1~
5のいずれか1項に記載の床束。
【請求項7】
前記締付部材は、前記内ネジ部が前記外ネジ部と螺合した状態で、前記第1支柱部との間に隙間が形成されるように設けられる、請求項1~
6のいずれか1項に記載の床束。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土間コンクリート等の基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための床束に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物において、土間コンクリート等の基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための床束が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される床束(支持装置)は、ねじ軸と、ねじ軸の一端部と螺合する筒体を有した支持柱と、ねじ軸に螺合する締付体と、を備えている。
【0003】
このような構成の従来技術の床束では、ねじ軸と筒体との間の相対回転によって床下地パネルの高さ調整が可能である。床下地パネルの高さ調整後においては、締付体が筒体側に移動するように当該締付体をねじ軸回りに回転させつつ締付けることによって、ねじ軸と筒体との間の相対回転を規制する。これにより、高さ調整後の床下地パネルの高さ位置の保持が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業において、締付体の締付けを解除した後、ねじ軸と筒体との間で相対回転させることになるが、この際、調整作業の邪魔とならない退避位置まで締付体をねじ軸回りに回転させつつ移動させる必要がある。更に、高さ調整後においては、退避位置の締付体を、ねじ軸と筒体との間の相対回転を規制する規制位置まで、ねじ軸回りに回転させつつ移動させる必要がある。このように、上述の従来技術では、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業において、退避位置と規制位置との間で締付体を、ねじ軸回りに回転させつつ移動させる必要があるため、高さ調整に手間が掛かるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業の作業効率の向上を図ることが可能な床束を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る床束は、基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための床束である。この床束は、前記基盤面に設置されるベースと、前記ベースから上方に延びる第1支柱部と、前記第1支柱部の上部を受け入れる筒状部と、前記筒状部の下方に設けられた外ネジ部と、前記筒状部の上方に設けられ前記床下地パネルを保持する保持部と、を有し、前記第1支柱部に対して軸方向に沿って移動自在な第2支柱部と、前記第2支柱部の前記第1支柱部に対する前記軸方向の位置調整を行うための調整機構と、を備える。前記第1支柱部は、その外周面に形成された支柱雄ネジ部を有している。前記調整機構は、前記外ネジ部の下方に設けられ、所定方向の押圧力の付与による弾性変形によって前記第2支柱部の前記軸方向の移動を規制する弾性部と、前記弾性部の上方側において前記第1支柱部に対して前記軸方向に移動自在に外挿される操作部材であって、前記第1支柱部と対向する内周面に前記支柱雄ネジ部と螺合する操作雌ネジ部が形成され、前記軸方向に沿った移動のために回転操作される操作部と、前記操作部の上方に設けられ、前記回転操作時に前記操作部が前記第2支柱部に対して空転状態となるように、前記第2支柱部に連結される連結部と、を有する操作部材と、前記第1支柱部に対して外挿され、前記外ネジ部に螺合する内ネジ部と、前記内ネジ部の螺合に応じて前記弾性部を前記所定方向に押圧する押圧部と、を有する締付部材と、を含む。
【0008】
この床束によれば、基盤面に設置されたベースから上方に延びる第1支柱部に対し、第2支柱部を軸方向に沿って移動させることにより、床下地パネルの高さ調整を行うことができる。床下地パネルの高さ調整後においては、第1支柱部に外挿された締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との螺合に応じて、締付部材の押圧部が外ネジ部の下方に設けられた弾性部を押圧することにより、第2支柱部の軸方向の移動を規制する。これにより、高さ調整後の床下地パネルの高さ位置の保持が可能となる。
【0009】
ここで、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業においては、締付部材の押圧部による弾性部に対する押圧を解除することにより、第2支柱部の移動の規制が解除されて床下地パネルの高さ調整を行うことができる。締付部材による弾性部に対する押圧の解除は、締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との螺合を解除することによって達成される。この際、締付部材は、第1支柱部とは螺合していないので、内ネジ部と外ネジ部との間の螺合が解除されると、軸方向に自由に移動可能となる。これにより、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業において、締付部材を第1支柱部に対して回転させつつ移動させる作業が不要となり、調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0011】
この態様では、第1支柱部の支柱雄ネジ部と操作部の操作雌ネジ部との螺合によって、スパナ等の工具を用いて操作部を回転させる回転操作で、操作部材を軸方向に移動させることができる。操作部材においては、回転操作時において操作部が第2支柱部に対して空転状態となるように、連結部が第2支柱部に連結されている。このため、操作部の回転操作に応じて操作部材が軸方向に移動すると、第2支柱部は、回転が規制された状態で軸方向に移動する。すなわち、操作部の回転操作に応じた操作部材の移動に伴って第2支柱部を軸方向に移動させて、床下地パネルの高さ調整を行うことができる。
【0012】
上記の床束において、前記締付部材は、前記押圧部から上方に延びる筒状に形成されて前記内ネジ部が設けられ、前記内ネジ部が前記外ネジ部と螺合した状態で前記操作部材を外側から覆う筒部を有する構成であってもよい。
【0013】
この態様では、締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部とが螺合した状態において、操作部材は締付部材の筒部によって覆われている。これにより、床下地パネルの高さ調整後に操作部材が誤操作されることを防止することができる。また、床下地パネルの高さ調整を行う際に操作部材を操作するときには、内ネジ部と外ネジ部との間の螺合を解除し、締付部材を軸方向に自由に移動させることで、操作部材を露出させることができる。
【0014】
上記の床束において、前記弾性部は、前記操作部から下方に延びると共に径方向に弾性変形可能な弾性片によって構成されてもよい。前記弾性片は、前記第1支柱部と対向する内周面に形成された、前記支柱雄ネジ部と螺合する弾性雌ネジ部を有する。そして、前記押圧部は、前記内ネジ部の前記外ネジ部との螺合に応じて前記弾性片を、前記第1支柱部に向かって前記径方向に押圧する。
【0015】
この態様では、床下地パネルの高さ調整後において、第1支柱部に外挿された締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との螺合に応じて締付部材の押圧部が、操作部から下方に延びる弾性片を第1支柱部に向かって径方向に押圧する。これにより、弾性片の弾性雌ネジ部が第1支柱部の支柱雄ネジ部と螺合した状態で弾性片を、第1支柱部に対して圧着させることができる。このため、操作部材の軸方向の移動を規制し、これに伴って第2支柱部の軸方向の移動を規制することができ、高さ調整後の床下地パネルの高さ位置の保持が可能となる。
【0016】
上記の床束において、前記弾性片は、その外周面に、下方に向かうに従い外径が小径となるテーパー面部を有し、前記押圧部は、前記テーパー面部の外側に設けられた筒状に形成され、前記テーパー面部の最大径よりも小さく最小径よりも大きな内周面を有する構成であってもよい。
【0017】
この態様では、第1支柱部に外挿された締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との螺合に応じて締付部材が、第2支柱部に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材の移動に伴って押圧部が弾性片を押圧する。この際、弾性片において押圧部による押圧対象の部分がテーパー面部であることによって、締付部材の軸方向に沿った移動の力を径方向の押圧力に変換することができる。これにより、内ネジ部と外ネジ部との螺合に応じて締付部材の押圧部は、第1支柱部に向かってより確実に弾性片を、径方向に押圧することができる。
【0018】
上記の床束において、前記弾性部は、前記軸方向において前記操作部と前記押圧部との間に配置される、ばね座金を有する構成であってもよい。そして、前記押圧部は、前記内ネジ部の前記外ネジ部との螺合に応じて前記ばね座金を、前記操作部に向かって前記軸方向に押圧する。
【0019】
この態様では、床下地パネルの高さ調整後において、第1支柱部に外挿された締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との螺合に応じて締付部材の押圧部が、操作部との間で挟み込むようにばね座金を軸方向に押圧する。これにより、ばね座金の角部が押圧部と操作部の両方に食い込む等の現象が生じる。このため、操作部材の軸方向の移動を規制し、これに伴って第2支柱部の軸方向の移動を規制することができ、高さ調整後の床下地パネルの高さ位置の保持が可能となる。
【0020】
上記の床束において、前記操作部材は、前記操作部の下端から径方向の外方に突出したフランジ部を有する構成であってもよい。
【0021】
この態様では、床下地パネルの高さ調整を行う際に操作部を操作するときに、操作用の工具等をフランジ部で下方側から支持することができる。これにより、操作部に対する操作の作業性を向上することができる。
【0022】
上記の床束において、前記締付部材は、前記内ネジ部が前記外ネジ部と螺合した状態で、前記第1支柱部との間に隙間が形成されるように設けられる構成であってもよい。
【0023】
この態様では、締付部材は、第1支柱部との間に隙間を有して当該第1支柱部に外挿されているので、第1支柱部の支柱雄ネジ部と螺合する部分を有していない。これにより、締付部材の内ネジ部と第2支柱部の外ネジ部との間の螺合の解除によって確実に、締付部材を軸方向に自由に移動させることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、床下地パネルの高さ調整を行う調整作業の作業効率の向上を図ることが可能な床束を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る床束の構成を示す正面図である。
【
図4】床束を用いて床下地パネルの高さを調整する調整作業の手順を説明する図である。
【
図5】調整作業後において床下地パネルの高さ位置を保持する保持作業の手順を説明する図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る床束の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る床束について図面に基づいて説明する。本実施形態に係る床束は、例えば住宅等の建築物の基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための鋼製の床束である。なお、基盤面とは、例えば土間コンクリート、基礎スラブ、束石の上面などを含み、床束を設置する基盤となる面をいう。また、床束は、鋼製の束に限定されるものではなく、合成樹脂製の束であってもよい。
【0027】
<第1実施形態>
図1~
図3は本発明の第1実施形態に係る床束1の構成を示す図であって、
図1が正面図であり、
図2が断面図であり、
図3が床束1の要部の断面図である。床束1は、基盤面9に設置されるベース2と、ベース2から上方に延びる第1支柱部3と、第1支柱部3に対して更に上方に延びて床下地パネル10を保持する第2支柱部4と、調整機構5とを備えている。床束1において、第1支柱部3と第2支柱部4とは、それぞれの中心軸が同軸上に位置するように設けられる。また、第1支柱部3及び第2支柱部4の中心軸が延びる方向となる軸方向は上下方向に一致し、当該軸方向と直交する径方向は基盤面9と平行である。
【0028】
ベース2は、平板状の板体によって構成される。ベース2は、基盤面9に対してコンクリートピン91が打ち込まれることで、基盤面9に固定される。このベース2の上面の中央に、当該ベース2から上方に延びるように第1支柱部3が立設される。第1支柱部3は、上下方向に長手の円柱状に形成された中実軸であり、その外周面に雄ネジで構成された支柱雄ネジ部31を有している。
【0029】
第2支柱部4は、第1支柱部3の上部を受け入れる円筒状の筒状部41を有し、上下方向に長手の軸部材である。筒状部41は、第2支柱部4の下端部に設けられる。第2支柱部4は、第1支柱部3の上部を受け入れる筒状部41を有していれば、その内部構造は限定されるものではなく、上下方向の全体にわたって内部が中空の中空軸であってもよいし、筒状部41以外は中実の中実軸であってもよい。第2支柱部4は、筒状部41に第1支柱部3の上部が挿入された状態において、第1支柱部3に対して軸方向(上下方向)に沿って移動自在に設けられる。
【0030】
また、第2支柱部4は、筒状部41の下方に設けられた外ネジ部421と、筒状部41の上方に設けられ床下地パネル10を保持する保持部43と、を有している。
【0031】
外ネジ部421は、
図2及び
図3に示すように、筒状部41に組付けられた円筒状の外ネジ形成部材42の外周面に形成される。外ネジ形成部材42は、外ネジ部421の上方に設けられて筒状部41内に挿入される挿入部423を有している。外ネジ形成部材42は、挿入部423が筒状部41内に挿入された状態で、外ネジ部421が筒状部41の下端縁から外方に露出するように、筒状部41に組付けられる。外ネジ形成部材42の筒状部41に対する組付け構造は、特に限定されるものではないが、例えば、挿入部423と筒状部41との間のネジによる螺合構造を採用することができる。この場合、挿入部423の外周面に形成された雄ネジと、筒状部41の内周面に形成された雌ネジとの螺合によって、外ネジ形成部材42が筒状部41に組付けられる。外ネジ形成部材42は、その外周面に外ネジ部421が形成されると共に、内周面に径方向の内方側に突出する係合突起422が形成されている。なお、外ネジ部421は、筒状部41の外周面に形成されていてもよく、係合突起422は、筒状部41の内周面に形成されていてもよい。この場合、筒状部41に外ネジ形成部材42を組付ける必要はない。
【0032】
保持部43は、第2支柱部4の上端部に設けられ、平板状の板体によって構成される。保持部43は、その上面において床下地パネル10を下方側から保持する。保持部43は、床下地パネル10に対してビス101が打ち込まれることで、床下地パネル10に固定される。
【0033】
本実施形態に係る床束1では、基盤面9に設置されたベース2から上方に延びる第1支柱部3に対し、第2支柱部4を軸方向(上下方向)に沿って移動させることにより、保持部43に保持された床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。
【0034】
床束1において、床下地パネル10の高さ調整を行う、すなわち、第2支柱部4の第1支柱部3に対する軸方向(上下方向)の位置調整を行うための部分が、調整機構5である。調整機構5は、
図2及び
図3に示すように、操作部材6と、弾性部7と、締付部材8とを含む。
【0035】
操作部材6は、第1支柱部3に対して軸方向(上下方向)に移動自在に外挿され、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作される。操作部材6は、後記の弾性部7の上方側において、第1支柱部3に対して外挿される。操作部材6は、操作部61と連結部62とを有する。操作部61は、操作部材6の軸方向(上下方向)に沿った移動のための操作力が付与される部分である。操作部61は、第1支柱部3と対向する内周面に支柱雄ネジ部31と螺合する雌ネジで構成された操作雌ネジ部611を有し、外周面が例えば六角形状に形成されたナット部である。操作部61は、操作部材6の軸方向(上下方向)に沿った移動のために、第1支柱部3回りに回転操作される。連結部62は、操作部61の上方に設けられ、第2支柱部4に連結される部分である。連結部62は、操作部61の上端から径方向の内方側に凹み、第2支柱部4の筒状部41に組付けられた外ネジ形成部材42の係合突起422の下面に下方側から当接可能な段部621と、その段部621から上方に延出し、前記係合突起422と係合する係合部622と、を有する。連結部62は、段部621が係合突起422の下面に当接し、係合部622が係合突起422と係合した状態において、前記回転操作時に操作部61が第2支柱部4に対して空転状態となるように、第2支柱部4に下方側から連結される。
【0036】
操作部材6を含む調整機構5を備えた床束1においては、操作部61に対する回転操作に応じて操作部材6を第1支柱部3に沿って移動させることにより、連結部62で連結された第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させ、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。より詳しく説明すると、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と操作部61の操作雌ネジ部611との螺合によって、スパナ等の工具を用いて操作部61を第1支柱部3回りに回転させる回転操作で、操作部材6を軸方向(上下方向)に移動させることができる。操作部61に対する回転操作に応じて操作部材6が上方に移動される場合、外ネジ形成部材42の係合突起422の下面に当接する連結部62の段部621によって、第2支柱部4を上方に移動させる力が当該第2支柱部4に作用する。これにより、操作部材6の上方への移動に応じて第2支柱部4が上方に移動する。一方、操作部61に対する回転操作に応じて操作部材6が下方に移動される場合、外ネジ形成部材42の係合突起422と係合する連結部62の係合部622によって、第2支柱部4を下方に移動させる力が当該第2支柱部4に作用する。これにより、操作部材6の下方への移動に応じて第2支柱部4が下方に移動する。操作部材6においては、回転操作時において操作部61が第2支柱部4に対して空転状態となるように、連結部62が第2支柱部4に連結されている。このため、操作部61の回転操作に応じて操作部材6が軸方向(上下方向)に移動すると、第2支柱部4は、回転が規制された状態で軸方向に移動する。すなわち、操作部61の回転操作に応じた操作部材6の移動に伴って第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させて、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。
【0037】
ここで、操作部材6は、
図2及び
図3に示すように、操作部61の下端から径方向の外方に突出したフランジ部612を有している。これにより、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作部61を操作するときに、スパナ等の工具をフランジ部612で下方側から支持することができる。このため、操作部61に対する操作の作業性を向上することができる。
【0038】
弾性部7は、第2支柱部4の外ネジ部421の下方に設けられ、所定方向の押圧力の付与による弾性変形によって第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制する。具体的には、弾性部7は、操作部材6の軸方向(上下方向)の移動を規制することにより、第2支柱部4の移動を規制するように、操作部61の下方に設けられている。
【0039】
弾性部7は、締付部材8によって押圧される。締付部材8は、弾性部7の下方側であって、且つ操作部材6の下方側において、第1支柱部3に対して外挿される。締付部材8は、第1支柱部3との間に隙間GAが形成されるように、当該第1支柱部3に外挿される。締付部材8は、第2支柱部4の外ネジ部421に螺合する内ネジ部811と、内ネジ部811の螺合に応じて弾性部7を前記所定方向に押圧する押圧部82と、を有している。
【0040】
押圧部82は、筒状に形成される。押圧部82は、スパナ等の工具を用いた締付操作が可能となるように外周面が例えば六角形状に形成され、中央に第1支柱部3に挿通可能な円形の挿通開口821を有している。押圧部82においては、挿通開口821を画定する第1支柱部3と対向した内周面が、弾性部7を押圧する押圧面822となる。押圧部82の押圧面822は、ネジ部が形成されておらず、第1支柱部3との間に隙間GAを有している。すなわち、押圧部82は、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合するものではない。
【0041】
また、締付部材8は、押圧部82の上端から上方に延びる円筒状に形成され、内ネジ部811が設けられた筒部81を有している。すなわち、内ネジ部811は、筒部81の内周面に形成されている。内ネジ部811は、第2支柱部4の外ネジ部421と螺合するネジ部であって、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合するものではない。筒部81において、内ネジ部811が形成され、第1支柱部3と対向する内周面は、第1支柱部3との間に隙間を有している。そして、締付部材8は、内ネジ部811が第2支柱部4の外ネジ部421と螺合した状態で、筒部81によって操作部材6を覆うように構成される。
【0042】
第2支柱部4の第1支柱部3に対する軸方向(上下方向)の移動に応じた床下地パネル10の高さ調整後においては、第1支柱部3に外挿された締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて、締付部材8の押圧部82が外ネジ部421の下方に設けられた弾性部7を押圧する。押圧部82によって押圧力が付与されると、弾性部7は径方向に弾性変形し、第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制する。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。より詳しく説明すると、内ネジ部811と外ネジ部421との螺合が可能な位置に締付部材8を配置した状態で、例えば六角形状の外周面を有した押圧部82を、スパナ等の工具を用いて第2支柱部4回りに回転させる。これにより、締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8が、第2支柱部4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8の移動に伴って押圧部82が、外ネジ部421の下方に設けられた弾性部7を押圧する。これにより、弾性部7が径方向に弾性変形して第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制し、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0043】
本実施形態では、弾性部7は、
図2及び
図3に示すように、操作部材6と一体に設けられ、操作部61から下方に延びると共に径方向に弾性変形可能な複数の弾性片71によって構成される。複数の弾性片71は、第1支柱部3を外方から取り囲むように、互いに所定の間隔を隔てて操作部61から下方に延びる。各弾性片71は、第1支柱部3と対向する内周面に、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合する雌ネジで構成された弾性雌ネジ部711を有している。このような構成の弾性部7に対して、締付部材8の押圧部82は、内ネジ部811の外ネジ部421との螺合に応じて、弾性部7を構成する複数の弾性片71を、第1支柱部3に向かって径方向に押圧する。これにより、押圧部82は、弾性雌ネジ部711が第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合した状態で各弾性片71を、径方向に弾性変形させつつ第1支柱部3に対して圧着させることができる。各弾性片71の第1支柱部3に対する圧着によって、当該各弾性片71と一体の操作部材6の軸方向(上下方向)の移動を規制し、これに伴って連結部62で連結された第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制することができる。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0044】
また、
図3に示すように、弾性部7を構成する各弾性片71は、その外周面に、下方に向かうに従い外径が小径となるテーパー面部72を有している。そして、締付部材8の押圧部82は、テーパー面部72の外側に設けられた筒状に形成され、テーパー面部72の最大径よりも小さく最小径よりも大きな内周面を有している。すなわち、筒状の押圧部82において内周面を区画する押圧面822が、テーパー面部72の最大径よりも小さく最小径よりも大きな形状に形成され、各弾性片71のテーパー面部72を外側から押圧する。
【0045】
既述の通り、内ネジ部811と外ネジ部421との螺合が可能な位置に締付部材8を配置した状態で押圧部82をスパナ等の工具を用いて第2支柱部4回りに回転させると、締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8が、第2支柱部4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8の移動に伴って押圧部82が各弾性片71を押圧する。この際、各弾性片71において押圧部82による押圧対象の部分がテーパー面部72であることによって、締付部材8の軸方向に沿った移動の力を径方向の押圧力に変換することができる。これにより、内ネジ部811と外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8の押圧部82は、第1支柱部3に向かってより確実に各弾性片71を、径方向に押圧することができる。
【0046】
ここで、床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業と、調整作業後において床下地パネル10の高さ位置を保持する保持作業とについて、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0047】
床束1を用いて床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業においては、締付部材8の押圧部82による弾性部7(弾性片71)に対する押圧を解除することにより、第2支柱部4の移動の規制が解除されて床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。締付部材8による弾性部7に対する押圧の解除は、締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合を解除することによって達成される。この際、締付部材8は、既述の通り、第1支柱部3との間に隙間GAを有して第1支柱部3とは螺合していない。このため、締付部材8は、内ネジ部811と外ネジ部421との間の螺合が解除されると、軸方向(上下方向)に自由に移動可能となる。すなわち、締付部材8は、内ネジ部811と外ネジ部421との間の螺合が解除されると、自重によって基盤面9上のベース2まで落下する(
図4参照)。これにより、床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業において、締付部材8を第1支柱部3に対して回転させつつ移動させる作業が不要となり、調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0048】
締付部材8がベース2上に配置された状態(
図4の状態)で、ナット部からなる操作部61を、スパナ等の工具を用いて第1支柱部3回りに回転させることにより、操作部材6の移動に伴って第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させて、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。この際、操作部材6はフランジ部612を有しているので、操作部61を操作するときに、スパナ等の工具をフランジ部612で下方側から支持することができる。
【0049】
床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業後においては、内ネジ部811と外ネジ部421との螺合が可能な位置に締付部材8を配置した状態で、押圧部82を、スパナ等の工具を用いて第2支柱部4回りに回転させる。これにより、締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8が、第2支柱部4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8の移動に伴って押圧部82が、外ネジ部421の下方に設けられた弾性部7(弾性片71)を押圧する。これにより、弾性部7が径方向に弾性変形して第2支柱部4の軸方向の移動を規制し、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる(
図5参照)。
【0050】
既述の通り、締付部材8の内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421とが螺合した状態では、操作部材6は締付部材8の筒部81によって覆われている。これにより、床下地パネル10の高さ調整後に操作部材6が誤操作されることを防止することができる。また、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作部材6を操作するときには、内ネジ部811と外ネジ部421との間の螺合を解除し、締付部材8を軸方向(上下方向)に自由に移動させることで、操作部材6を露出させることができる。
【0051】
図6は、変形例に係る操作部材6Sを示す図である。
図6(A)は操作部材6Sの斜視図を示し、
図6(B)は操作部材6Sの正面図を示し、
図6(C)は操作部材6Sの断面図を示す。床束1において調整機構5は、上記の操作部材6に代えて、
図6に示す操作部材6Sを備える構成であってもよい。なお、操作部材6Sには、上記の操作部材6と同様に、複数の弾性片71によって構成される弾性部7が一体に設けられている。
【0052】
操作部材6Sは、第1支柱部3に対して軸方向(上下方向)に移動自在に外挿され、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作される。操作部材6Sは、操作部61Sと連結部62Sとを有する。
【0053】
操作部61Sは、操作部材6Sの軸方向(上下方向)に沿った移動のための操作力が付与される部分である。操作部61Sは、第1支柱部3と対向する内周面に支柱雄ネジ部31と螺合する雌ネジで構成された操作雌ネジ部611Sを有し、外周面が例えば六角形状に形成されたナット部である。操作部61Sは、操作部材6Sの軸方向(上下方向)に沿った移動のために、第1支柱部3回りに回転操作される。
【0054】
連結部62Sは、操作部61Sの上方に設けられ、第2支柱部4に連結される部分である。連結部62Sは、段部621Sと、係合部分622Sが設けられた複数の連結弾性片623Sと、を有する。段部621Sは、操作部61Sの上端から径方向の内方側に凹み、第2支柱部4の筒状部41に組付けられた外ネジ形成部材42の係合突起422の下面に下方側から当接可能である。複数の連結弾性片623Sは、第1支柱部3を外方から取り囲むように、互いに所定の間隔を隔てて段部621Sから上方に延び、径方向に弾性変形可能である。複数の連結弾性片623Sにおいて、段部621Sとの接続領域に係合部分622Sが設けられている。係合部分622Sは、外ネジ形成部材42の係合突起422と係合する部分である。
【0055】
連結部62Sは、段部621Sが係合突起422の下面に当接し、係合部分622Sが係合突起422と係合した状態において、前記回転操作時に操作部61Sが第2支柱部4に対して空転状態となるように、第2支柱部4における外ネジ形成部材42に下方側から連結される。外ネジ形成部材42に対する連結部62Sの連結は、操作部材6Sを下方側から外ネジ形成部材42に押圧することによって行われる。より詳しく説明すると、連結部62Sを上に向けた状態で操作部材6Sを下方側から外ネジ形成部材42に押圧する。そうすると、複数の連結弾性片623Sが係合突起422の内周面から力を受けて径方向の内側に弾性変形する。この状態で操作部材6Sを更に外ネジ形成部材42に押圧すると、段部621Sが係合突起422の下面に当接すると共に、係合部分622Sが係合突起422と係合する。この際、複数の連結弾性片623Sは、係合突起422から受ける力が解除されて、径方向の外側に弾性変形して元の形に戻る。これにより、係合部分622Sが係合突起422と確実に係合し、連結部62Sが外ネジ形成部材42に連結される。このように、操作部材6Sを下方側から外ネジ形成部材42に押圧するという簡単な操作で、連結部62Sを外ネジ形成部材42に連結することができる。
【0056】
操作部材6Sを含む調整機構5を備えた床束1においては、操作部61Sに対する回転操作に応じて操作部材6Sを第1支柱部3に沿って移動させることにより、外ネジ形成部材42を介して連結部62Sで連結された第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させ、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、
図7及び
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る床束1Aについて説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係る床束1Aの構成を示す断面図であり、
図8は床束1Aの要部の断面図である。
【0058】
床束1Aは、ベース2から上方に延びる第1支柱部3と、第1支柱部3に対して更に上方に延びる第2支柱部4と、調整機構5Aとを備えている。床束1Aは、調整機構5Aの構成が上記の調整機構5と異なる以外は第1実施形態に係る床束1と同様に構成される。すなわち、床束1Aに備えられる第1支柱部3及び第2支柱部4の構成は、第1実施形態に係る床束1と同様である。このため、床束1Aの第1支柱部3及び第2支柱部4についての詳細な説明は省略する。
【0059】
床束1Aに備えられる調整機構5Aは、床下地パネル10の高さ調整を行う、すなわち、第2支柱部4の第1支柱部3に対する軸方向(上下方向)の位置調整を行うための部分である。調整機構5Aは、操作部材6Aと、弾性部7Aと、締付部材8Aとを含む。
【0060】
操作部材6Aは、第1支柱部3に対して軸方向(上下方向)に移動自在に外挿され、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作される。操作部材6Aは、操作部61Aと連結部62Aとを有する。操作部61Aは、上記の第1実施形態に係る床束1における操作部61と同様に、第1支柱部3と対向する内周面に支柱雄ネジ部31と螺合する操作雌ネジ部611Aを有し、外周面が例えば六角形状に形成されたナット部である。操作部61Aは、操作部材6Aの軸方向(上下方向)に沿った移動のために、第1支柱部3回りに回転操作される。連結部62Aは、操作部61Aの上方に設けられ、第2支柱部4に連結される部分である。連結部62Aは、上記の第1実施形態に係る床束1における連結部62と同様に、操作部61Aの上端から径方向の内方側に凹み、第2支柱部4の筒状部41に組付けられた外ネジ形成部材42の係合突起422の下面に下方側から当接可能な段部621Aと、その段部621Aから上方に延出し、前記係合突起422と係合する係合部622Aと、を有する。連結部62Aは、段部621Aが係合突起422の下面に当接し、係合部622Aが係合突起422と係合した状態において、前記回転操作時に操作部61Aが第2支柱部4に対して空転状態となるように、第2支柱部4に下方側から連結される。
【0061】
床束1Aにおいては、ナット部からなる操作部61Aを、スパナ等の工具を用いて第1支柱部3回りに回転させることにより、操作部材6Aの移動に伴って第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させて、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。また、操作部材6Aは、上記の操作部材6と同様に、操作部61Aの下端から径方向の外方に突出したフランジ部612Aを有している。これにより、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作部61Aを操作するときに、スパナ等の工具をフランジ部612Aで下方側から支持することができる。
【0062】
弾性部7Aは、操作部61Aの下方に設けられ、所定方向の押圧力の付与による弾性変形によって操作部材6Aの軸方向(上下方向)の移動を規制することにより、第2支柱部4の移動を規制する。この弾性部7Aの詳細については後述する。
【0063】
締付部材8Aは、弾性部7Aの下方側であって、且つ操作部材6Aの下方側において、第1支柱部3に対して外挿される。締付部材8Aは、第1支柱部3との間に隙間GAが形成されるように、当該第1支柱部3に外挿される。締付部材8Aは、上記の第1実施形態に係る床束1における締付部材8と同様に、第2支柱部4の外ネジ部421に螺合する内ネジ部811Aが形成された筒部81Aと、内ネジ部811Aの螺合に応じて弾性部7Aを押圧する押圧部82Aとを有している。
【0064】
押圧部82Aは、筒状に形成される。押圧部82Aは、スパナ等の工具を用いた締付操作が可能となるように外周面が例えば六角形状に形成されている。押圧部82Aにおいて第1支柱部3と対向する内周面は、ネジ部が形成されておらず、第1支柱部3との間に隙間GAを有している。すなわち、押圧部82Aは、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合するものではない。
図8に示すように、本実施形態の押圧部82Aにおいては、操作部61Aの下面と対向する押圧部82Aの上端面が、弾性部7Aを押圧する押圧面822Aとなる。
【0065】
筒部81Aの内周面に形成された内ネジ部811Aは、第2支柱部4の外ネジ部421と螺合するネジ部であって、第1支柱部3の支柱雄ネジ部31と螺合するものではない。筒部81Aにおいて、内ネジ部811Aが形成され、第1支柱部3と対向する内周面は、第1支柱部3との間に隙間を有している。そして、締付部材8Aは、内ネジ部811Aが第2支柱部4の外ネジ部421と螺合した状態で、筒部81Aによって操作部材6Aを覆うように構成される。
【0066】
第2支柱部4の第1支柱部3に対する軸方向(上下方向)の移動に応じた床下地パネル10の高さ調整後においては、第1支柱部3に外挿された締付部材8Aの内ネジ部811Aと第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて、締付部材8Aの押圧部82Aが外ネジ部421の下方に設けられた弾性部7Aを押圧する。押圧部82Aによって押圧力が付与されると、弾性部7Aは軸方向に弾性変形し、第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制する。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。より詳しく説明すると、内ネジ部811Aと外ネジ部421との螺合が可能な位置に締付部材8Aを配置した状態で、例えば六角形状の外周面を有した押圧部82Aを、スパナ等の工具を用いて第2支柱部4回りに回転させる。これにより、締付部材8Aの内ネジ部811と第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8Aが、第2支柱部4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8Aの移動に伴って押圧部82Aが、外ネジ部421の下方に設けられた弾性部7Aを押圧する。これにより、弾性部7Aが軸方向に弾性変形して第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制し、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0067】
本実施形態では、弾性部7Aは、
図7及び
図8に示すように、軸方向(上下方向)において操作部61Aと押圧部82Aとの間に配置される、ばね座金(スプリングワッシャー)を有している。ばね座金は、平座金の一部が切れ、捻じれた形状を有する座金である。ばね座金によって構成される弾性部7Aは、軸方向(上下方向)の弾性変形が可能である。このような構成の弾性部7Aに対して、締付部材8Aの押圧部82Aは、内ネジ部811Aの外ネジ部421との螺合に応じて弾性部7Aを、操作部61Aに向かって軸方向の上方側に押圧する。これにより、ばね座金によって構成される弾性部7Aが軸方向に弾性変形し、その角部が、押圧部82Aと操作部61Aの両方に食い込む等の現象が生じる。このため、操作部材6Aの軸方向の移動を規制し、これに伴って第2支柱部4の軸方向(上下方向)の移動を規制することができる。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0068】
床束1Aを用いて床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業においては、締付部材8Aの押圧部82Aによる弾性部7Aに対する押圧を解除することにより、第2支柱部4の移動の規制が解除されて床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。締付部材8Aによる弾性部7Aに対する押圧の解除は、締付部材8Aの内ネジ部811Aと第2支柱部4の外ネジ部421との螺合を解除することによって達成される。この際、締付部材8Aは、既述の通り、第1支柱部3との間に隙間GAを有して第1支柱部3とは螺合していないので、内ネジ部811Aと外ネジ部421との間の螺合が解除されると、軸方向(上下方向)に自由に移動可能となる。これにより、床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業において、締付部材8Aを第1支柱部3に対して回転させつつ移動させる作業が不要となり、調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0069】
締付部材8Aがベース2上に配置された状態で、操作部61Aをスパナ等の工具を用いて第1支柱部3回りに回転させることにより、操作部材6Aの移動に伴って第2支柱部4を軸方向(上下方向)に移動させて、床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。
【0070】
床下地パネル10の高さ調整を行う調整作業後においては、内ネジ部811Aと外ネジ部421との螺合が可能な位置に締付部材8Aを配置した状態で、押圧部82Aを、スパナ等の工具を用いて第2支柱部4回りに回転させる。これにより、締付部材8Aの内ネジ部811Aと第2支柱部4の外ネジ部421との螺合に応じて締付部材8Aが、第2支柱部4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8Aの移動に伴って押圧部82Aが、押圧部82Aと操作部61Aとの間に配置された弾性部7Aを、上方側へ押圧する。これにより、弾性部7Aが軸方向に弾性変形して第2支柱部4の軸方向の移動を規制し、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1,1A 床束
2 ベース
3 第1支柱部
31 支柱雄ネジ部
4 第2支柱部
41 筒状部
42 外ネジ形成部材
421 外ネジ部
43 保持部
5,5A 調整機構
6,6A,6S 操作部材
61,61A,61S 操作部
611,611A,611S 操作雌ネジ部
612,612A,612S フランジ部
62,62A,62S 連結部
7 弾性部
71 弾性片
711 弾性雌ネジ部
72 テーパー面部
7A ばね座金(弾性部)
8,8A 締付部材
81,81A 筒部
811,811A 内ネジ部
82,82A 押圧部
9 基盤面
10 床下地パネル