(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】浸漬を意図された測定装置
(51)【国際特許分類】
B63B 22/18 20060101AFI20221124BHJP
B63B 45/08 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
B63B22/18
B63B45/08
(21)【出願番号】P 2020530528
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2018097068
(87)【国際公開番号】W WO2019129839
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プレベル,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ガレ,アラン
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-19034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0149679(US,A1)
【文献】米国特許第4656616(US,A)
【文献】特開平9-189757(JP,A)
【文献】米国特許第6400645(US,B1)
【文献】米国特許第3141148(US,A)
【文献】英国特許出願公開第2414800(GB,A)
【文献】国際公開第2011/014071(WO,A2)
【文献】英国特許出願公開第2266148(GB,A)
【文献】Roger A. Holler,“THE EVOLUTION OF THE SONOBUOY FROM WORLD WAR II TO THE COLD WAR”,U.S. Navy Journal of Underwater Acousitcs,米国,Naval Research Laboratory,2014年01月,Vol.64,p.322-342
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 22/00,45/08,
B63C 11/48,
G01V 1/00,
G01S 1/72, 3/80, 5/18, 7/52,15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水への浸漬を意図された、アームの組及び基準軸を含む測定装置であって、前記測定装置は前記アームが前記基準軸に対して動径方向に伸長する展開構成にあることができ、前記測定装置は前記アームの組のアームが支持する測定器の組を含み、各々が音波センサを含んでいて、前記測定器の組は、前記測定装置の展開構成における垂直並進移動に伴い前記測定装置に対して前記基準軸の回りにトルクを生成すべく構成及び配置されていて
、各測定器は、水と直接物理的に接触することを意図された第1の水接触面を含み、前記第1の水接触面は、展開構成において、垂直並進移動中に、前記第1の水接触面上を流れる水流の影響下で、前記測定装置に対して基準軸の回りに個々のトルクを生成する接線成分を含む垂直成分及び水平成分を含む第1の力を受ける方向に向けられていて
、前記測定器
の組により生成された前記個々のトルクは前記トルクの方向に向けられていて、前記測定装置は、垂直並進移動中に、前記測定装置に対して基準軸の回りに
補償トルクを生成すべく構成及び配置された補償手段を含み、
補償トルクは前記トルクと反対方向に向けられ、且つ前記トルクの2倍未満の強度を有していて、前記補償手段は、第2の水接触面を含む少なくとも1個の補償器の組を含み、水と直接物理的に接触することを意図されていて、展開構成において、垂直並進移動中に、前記第2の水接触面上を流れる水流の影響下で、前記測定装置に対して前記基準軸の回りに個々の補償トルクを生成する接線成分を含む垂直成分及び水平成分を含む第2の力を受ける方向に向けられていて、前記個々の補償トルクは前記トルクと逆向きであ
り、
第2の力および第1の力の水平成分はそれぞれ第2の力および第1の力の垂直成分と垂直である測定装置。
【請求項2】
前記
補償トルクが前記トルクの強度にほぼ等しい強度を有する請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記補償器が、前記補償器が受ける力が接線成分だけを含む水平成分を有するように配置及び構成されている、請求項1又は2のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項4】
前記少なくとも1個の補償器の組及び前記測定器の組が前記アームの組に固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
1個の補償器が各測定器に関連付けられていて、前記補償器が、前記
測定器と同一のアームに固定されて
いるように測定器に関連付けられており、前記補償器が、垂直並進移動中に前記
測定器により生成された個々のトルクとほぼ逆向きに前記測定装置に対して個々の
補償トルクを垂直並進移動中に生成すべく構成及び配置されてい
る、請求項1~4のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
前記補償器により生成された個々の
補償トルクが、前記測定器により生成された個々のトルクとほぼ逆向きである、請求
項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記アームが伸縮自在であって、各々が互いにスライド可能ないくつかの区間を含み、前記補償器が、前記関連付けられた測定器と同一の区間に固定されている、請求項5又は6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記測定器が前記関連付けられた補償器と一体である、請求項5~7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
1個の補償器が各測定器に関連付けられていて、前記補償器が
、基準軸rの回りに、関連付けられた前記測定装置が占める扇形よりも小さい角度の弧を張る扇形を占める、請求項1~8のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項10】
同一のアームに載置された測定器が、前記アームの軸を含む
径方向の基準軸
の同じ側に配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項11】
同一のアームに載置され
た補償器が
、前記アームの軸を含む径方向の基準軸において、測定器のある側と反対側に配置されている、請求
項10に記載の測定装置。
【請求項12】
前記第2の水接触面が、前記測定装置に対して前記基準軸の回りに前記個々の補償トルクを生成すべく、展開構成において前記基準軸及び前記基準軸に接する軸に対して傾いてい
る法線を有して
おり、接線軸は基準軸に中心を有していて基準軸に垂直な円に接している軸である、請求項1~11のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項13】
前記第2の水接触面が垂直並進移動の方向に向けられている、請求項12に記載の測定装置。
【請求項14】
前記補償器が基本的に平行六面体プレートの形状をなしている、請求項1~13のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項15】
前記補償器の前縁及び後縁を通過する直線が、前記測定装置に対して前記基準軸の回りに前記個々の
補償トルクを生成すべく、展開構成において前記基準軸及び前記基準軸に対して定義される接線軸に対して傾いた法線を有して
おり、接線軸は基準軸に中心を有していて基準軸に垂直な円に接している軸である請求項1~11のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項16】
前記水接触面が、前記測定装置に対して前記基準軸の回りに前記個々のトルクを生成すべく、展開構成において、前記基準軸及び前記基準軸に対して定義される接線軸に対して傾い
た法線を有して
おり、接線軸は基準軸に中心を有していて基準軸に垂直な円に接している軸である、請求項1~15のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項17】
少なくとも1個の補償器に音響センサ以外の測定要素が組み込まれている、請求項1~16のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項18】
前記補償器が音響センサを有していない、請求項1~17のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項19】
前記測定装置が、前記基準軸を軸とするシリンダ内に前記アームが内接している収納構成にあることが可能であり、前記測定装置が収納構成にある場合、前記測定器及び補償手段は前記シリンダ内に収納されるべく構成及び配置されている、請求項1~18のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項20】
前記アームが、展開構成において、前記基準軸にほぼ垂直な平面内で伸長する、請求項1~19のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の測定装置を含むソノブイ。
【請求項22】
浮力体と、前記浮力体及び前記アームが接続された浸漬線とを含
むソノブイであって、前記
ソノブイは、前記浮力体が水面に浮き、前記測定装置が展開構成にある場合に前記基準軸とほぼ一致する垂直軸に沿って前記浸漬線が長手方向に伸長すべく構成されている、請求項21に記載のソノブイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、浸漬を意図された測定装置である。測定装置は基準軸を含み、浸漬された際に展開構成を取ることができ、展開構成において基準軸の回りに分散配置された複数のアームが、少なくとも1個の音響センサを各々含む測定器の組を支持し、且つ展開構成において基準軸がほぼ垂直に伸長する。測定器は、展開構成において測定装置の垂直並進移動中、測定装置に対して基準軸の回りにトルクを生成する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、特許出願国際公開第2010025494号に記述された種類の空中発射可能な音響ブイ(ソノブイ)に関する。空中発射可能なブイの測定装置は、音響信号を受信して音響センサのネットワークを含む受信アンテナである。測定装置は、ブイが浸漬されるまで管状筐体に収納されている収納構成を取ることができる。次いでアームは軸rに平行に伸長する。アームは、ブイが浸漬された際に解放及び展開する。音響センサ501を支持するアーム502及び浸漬線503の長手軸に沿ってほぼ垂直に伸長する基準軸rを含む種類のソノブイの測定装置500の一例の透視図を
図1に示す。センサ501は各々、
図2に示すように、浸漬の前にアーム502及びセンサ501を軸rの円筒管状筐体504に収納する必要があるため、軸rに対して傾いた平面形状をなしている。アーム502は、筐体504により区切られた内部円筒の内側、且つ軸rに中心を有していてアーム502が占める環に内接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、音響センサは、傾いていることで、測定装置500が垂直軸に沿って並進移動した際に、測定装置500に対してほぼ垂直な浸漬線の軸rの回りにトルクを生成する。測定装置500の上方垂直並進移動により生じる回転の方向を
図1の矢印で示す。
【0005】
測定装置のこの回転は、自身の性能を低下させる効果を有している。一方、音響センサ上を流れる水流により水中音響性能が阻害される。他方、音響センサの回転移動により、浸漬線の軸回りの自身の位置を正確に判定することが困難になり、受信アンテナの測定精度、特に地球座標系で検出される目標の位置の精度に悪影響を及ぼす。
【0006】
位置精度を向上させる一つの解決策は、センサの配置により回転が生じた場合でも、充分に正確な測位データを提供可能なコンパスをブイに備えることである。しかし、これによりコンパスのコストが少なくとも10倍上昇する。更に、当該解決策は、依然として水流の影響を受ける水中聴音器の水中音響性能を向上させないため、ブイの性能が限定される。
【0007】
代替的な解決策は、アームの展開に伴いセンサ間で展開する防水布をブイに備えるものである。測定装置の垂直抗力を増大させる防水布にはセンサの垂直移動を制限する目的がある。防水布の抗力により垂直移動が大幅に制限される。しかし、特に様々な深度で測定を行うために、水中聴音器の深度を充分な速度で変えることが望ましい場合がある。更に当該解決策は、真に効果を発揮するのは軽量アンテナの場合だけであり、嵩張る上に高価である。
【0008】
測定装置の垂直移動が制御不能な要因は、主として膨張、すなわち測定装置の上方に配置されて浸漬線により当該装置に接続されている、正の浮力を生成する物体(以降、浮力体と称す)の垂直移動によるものである。膨張の結果としての浮力体の移動は、浸漬線を介して測定装置に伝達される。一つの解決策は、浮力体と測定装置の間の浸漬線の一部を、浮力体の垂直移動を測定装置の垂直移動から分離する制動ばねの形状とするにより、測定装置の垂直移動を制限するものである。膨張に起因する移動は、平衡位置の両側で5メートルのオーダーの振幅を有している。ここで、ブイの浸漬部分の重量が大きい場合、上述の分離を実現するために平衡位置の各側で5mの伸び縮みが可能であり、同時にブイの浸漬部分の重量よりも大きい抗力を生成するばねを見出すのは不可能でないにせよ、困難なことが分かるであろう。換言すれば、当該解決策が効果的であるためには、膨張の移動に伴う力は、静的条件下で制動ばねに存在する力よりも大きくなければならない。その結果、当該解決策が機能するには、ブイは軽量且つ顕著な抗力を生成する必要がある。更に、当該解決策の選択は、浸漬線の長いケーブルを高価且つ嵩張る制動ばねで代替することを伴う。
【0009】
本発明の目的は上述の短所の少なくとも一つを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明は、水への浸漬を意図された、アームの組及び基準軸を含む測定装置に関し、測定装置は展開構成にあることができ、測定装置はアームの組のアームが支持する測定器の組を含み、各々が音波センサを含んでいて、測定器の組は、測定装置の展開構成における垂直並進移動に伴い測定装置に対して基準軸の回りにトルクを生成すべく構成及び配置されていて、測定装置は、垂直並進移動中に、測定装置に対して基準軸の回りに別のトルクを生成すべく構成及び配置された補償手段を含み、他方のトルクはトルクと反対方向に向けられ、且つトルクの2倍未満の強度を有している。
【0011】
有利な特徴として、アームは基準軸に対して動径方向に伸長する。
【0012】
有利な特徴として、測定セットの各測定器は、水と直接物理的に接触することを意図された第1の水接触面を含み、当該第1の水接触面は展開構成において、垂直並進移動中に、第1の水接触面上を流れる水流の影響下で、測定装置に対して基準軸の回りに個々のトルクを生成する接線成分を含む垂直成分及び水平成分を含む第1の力を受ける方向に向けられ、測定セットの測定器により生成された個々のトルクはトルクの方向に向けられている。
【0013】
有利な特徴として、補償手段は、第2の水接触面を含む少なくとも1個の補償器の組を含み、水と直接物理的に接触することを意図されていて、展開構成において、垂直並進移動中に、第2の水接触面上を流れる水流の影響下で、測定装置に対して基準軸の回りに個々の補償トルクを生成する接線成分を含む垂直成分及び水平成分を含む第2の力を受ける方向に向けられ、個々の補償トルクはトルクと逆向きである。
【0014】
有利な特徴として、本発明による装置は、以下に考察する特徴の少なくとも1個を単独で、又は組み合わせて含んでいる。
-他方のトルクはトルクの強度にほぼ等しい強度を有する。
-補償手段は、水と直接物理的に接触することを意図されていて、垂直並進移動中に、自身の表面上を流れる水流の影響下で、トルクと逆向きに測定装置に対して基準軸の回りに別の個々のトルクを生成すべく基準軸に接する成分を有する力を受ける少なくとも1個の補償器の組を含んでいる。
-補償器は、補償器が受ける力が接線成分だけを含む水平成分を有するように配置及び構成されている。
-少なくとも1個の補償器の組は2本の隣接するアームの間で伸長する。
-少なくとも1個の補償器はアームにより支持されている。
-各補償器は、垂直並進移動中に、トルクと逆向きに測定装置に対して基準軸の回りに個々のトルクを生成すべく構成及び配置されている。
-少なくとも1個の補償器の組及び測定器の組はアームの組に固定されている。
-1個の補償器に各測定器が関連付けられていて、測定器に関連付けられた補償器は、測定器と同一のアームに固定されていて、垂直並進移動中に、測定器により同じ垂直並進移動中に生じた個々のトルクとほぼ逆向きに測定装置に対して個々のトルクを生成すべく構成及び配置されている。
-補償器により生成された個々のトルクは、測定器により生成された個々のトルクとほぼ逆向きである。
-アームは伸縮自在であって、各々が互いにスライド可能ないくつかの区間を含み、補償器が関連付けられた測定器と同一の区間に固定されている。
-測定器は関連付けられた補償器と一体である。
-補償器は、基準軸rの回りに、関連付けられた測定装置が占める扇形よりも小さい角度の弧を張る扇形を占める。
-測定器の組は、同一のアームに載置された測定器のサブセットを含み、当該サブセットの測定器は、アームの軸を通過する基準軸の動径面の同じ側に配置されている。
-アームに載置された各補償器は動径面の反対側に配置されている。
-第2の水接触面は、測定装置に対して基準軸の回りに個々の補償トルクを生成すべく、展開構成において基準軸及び基準軸に対して定義される接線軸に対して傾いた平均法線を有している。
-第2の水接触面は、垂直並進移動の方向に向けられている。
-補償器は、基本的に平行六面体プレートの形状をなしている。
-補償器の前縁及び後縁を通過する直線は、測定装置に対して基準軸の回りに個々のトルクを生成すべく、展開構成において基準軸及び基準軸に対して定義される第2の接線軸に対して傾いた法線を有している。
-第1の水接触面は、測定装置に対して基準軸の回りに個々のトルクを生成すべく、基準軸及び基準軸に対して定義される接線軸に対して傾いた平均法線を有している。
-少なくとも1個の補償器に音響センサ以外の測定要素が組み込まれている。
-少なくとも1個の補償器は音響センサ以外の測定要素を有していない。
-測定装置は、基準軸を軸とするシリンダ内にアームが内接している収納構成にあることが可能であり、測定装置が収納構成にある場合、測定器及び補償手段は前記シリンダに収納されるべく構成及び配置されている。
-アームは、展開構成において、基準軸にほぼ垂直な平面内で伸長する。
【0015】
本発明はまた、本発明による測定装置を含むブイにも関する。
【0016】
有利な特徴として、ソノブイは、浮力体と、浮力体及びアームが接続された浸漬線とを含み、ブイは、浮力体が水面に浮き、測定装置が展開構成にある場合に基準軸とほぼ一致する垂直軸に沿って浸漬線が長手方向に伸長すべく構成されている。
【0017】
本発明は、完全に非限定的な例として添付の図面に示す多くの実施形態を調べることにより理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来技術の受信アンテナの展開状態における模式的透視図である(既述)。
【
図2】浸漬の前に円筒筐体に収納された従来技術のブイを貫通する横断面図の模式図である(既述)。
【
図3a】航空機からの空中発射可能なブイの発射の模式図である。
【
図3b】空中発射可能なブイの浸漬の説明図である。
【
図4】収納構成における展開可能なブイの内部要素の模式図である。
【
図5】
図4のブイのアームが伸長した場合の模式図である。
【
図6】
図4のブイの展開構成における模式図である。
【
図7】本発明による空中発射可能なブイが展開した例のより具体的な構成図である。
【
図8】センサ部が載置されたアームの展開状態のより具体的な構成図である。
【
図9】基準軸rに接する垂直面と交差して1個のセンサ部を通過1本のアームの模式図である。
【
図10】折り畳み構成におけるアームの模式図である。
【
図11】最初は折り畳み構成で筐体内に収納されたアームの横断面の模式図であり、簡潔を旨として支持体9は図示していない。
【0019】
各図を通じて同一要素に同一参照番号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、浸漬を意図され、且つ音響センサを含む測定器を含む測定装置であって、測定装置の基準軸の回りに角度的に分散配置された複数のアームにより支持された測定装置に適用される。測定装置は展開構成にあることが可能であり、展開構成において測定装置の基準軸はほぼ垂直であって、展開構成における測定装置の垂直並進移動中に測定器が測定装置に対して基準軸の回りにトルクを生成する。
【0021】
展開構成は、基準軸に対するアームの向きがほぼ安定しているのと同程度にほぼ安定している。
【0022】
基準軸は、測定装置が展開構成にある場合に、アーム及び/又はアームが載置された支持体に接続された物理的浸漬線が沿って伸長する長手軸であってよい。
【0023】
各測定器は、音波を測定可能な(又はその目的で構成された)少なくとも1個の音波センサ、例えば水中聴音器又は電子音響トランスデューサを含んでいる。
【0024】
各測定器は、音波測定シーケンス内の少なくとも1個の他の手段、例えば音響センサ及び/又は測定後に恐らく増幅された信号を変換するアナログ/デジタル変換器により得られた測定値を増幅する増幅器、及び/又は少なくとも音波発信器を含んでいてよい。音波発信器は、音波発信器から発せられた音響パルスから、目標から反射された音波の測定を意図された音波センサを含む、音波の測定を意図された測定シーケンス内の手段である。各測定器は更に、別の物理パラメータ、例えば水の塩分濃度を測定する水塩分濃度センサ及び/又は水温を測定する温度センサを測定可能な少なくとも1個のセンサを含んでいてよい。
【0025】
各種の測定器は異なる要素を含んでいてよい。
【0026】
測定装置は例えば、ソナー音波が受信アンテナ及び恐らく送信アンテナを含んでいてよい。
【0027】
本発明は特に、音響受信アンテナを含む測定装置を含む空中発射可能ソノブイに適用できる。
【0028】
以下の説明は、以降の本文における空中発射可能ソノブイに言及するが、上述のように他の任意の測定装置、及び浸漬可能であって同様の音波測定装置を含む他の任意の水中装置にも適用される。
【0029】
本発明は例えば、支持体に対して固定された基準軸rを含む支持体にアームが接続されている任意の展開可能な測定装置に適用される。アームは軸rの回りに分散配置されていて、各々のアームは、測定装置が収納構成にある場合は折り畳み構成をとり、測定装置が展開構成にある場合は展開構成を取ることができる。折り畳み構成から展開構成に遷移する間、各アームの両端の一方が軸rから離れる方向に移動する。有利な特徴として、アームは、好適には軸rの回りで角度的に分散配置されているが、必ずしも均一には配置されていない。
【0030】
代替的に、測定装置は常に展開構成にある。
【0031】
アームは、固定長であっても、又は例えば伸縮自在に拡張可能であってもよい。アームは従って、長さが最短の折り畳み構成である収納構成を有し、測定装置は従って収納構成にある。アームが伸長して折り畳み構成から展開構成に遷移することにより、収納構成から展開構成に遷移する。
【0032】
アームは、固定長であっても、又は例えば伸縮自在に拡張可能であってもよい。アームは、次いでそれらが折り畳み構成にある収納構成を有している。アームの伸長及び折り畳み構成から展開構成に遷移することにより、収納構成から展開構成に遷移する。
【0033】
水中装置は、支持体に接続された浸漬線を含んでいてよく、浸漬線は基準軸にほぼ沿って、且つアームの展開の開始時にほぼ垂直に伸長している。
【0034】
水中装置は、測定装置が展開可能である場合、アームを展開構成に遷移させることができる展開手段を含んでいる。これらの展開手段は、ガイライン型の展開線を含んでいてよい。各ガイラインは、一方で1本のアームに、他方で支持体をフロートに接続する浸漬線に接続されていることにより、装置の浸漬の影響下で、フロートと支持体が互いに離れるように移動することで浸漬線が展開し、緊張して基準軸に沿って垂直に伸長してガイラインに緊張が掛かり、次いでアームを引っ張る。
【0035】
代替的に、フロートは例えばアームの遠位端に固定されているため、アームが解放された際に、フロートがアームを展開させる。代替的に、アームと支持体の間の関節に捩じりばねが取り付けられていてよい。各々の捩じりばねの巻き軸は、アームを支持体に接続しているピボット接続の軸に沿って伸長する。
【0036】
水中装置は、水中装置が浸漬された際にアームが自動的に収納構成から展開構成へ遷移すべく構成されていても、又はコマンドに応じてアームを展開すべく構成されていてもよい。
【0037】
図3aに、潜在的目標3により発せられたか又は反射された(反響した)音波に対応する音響を検出する目的で、海洋環境において本発明によるソノブイ1を射出している航空機Aを示す。ブイ1は、代替的に、水上乗り物例えばプラットフォームから、又は水中乗り物から投下することができる。
図3aにおいて、ブイ1及び測定装置は、ブイの要素が筐体4に収納されている初期収納構成にある。ソノブイ1が投下された場合、
図3bに見られるように、降下を減速すべくブイに属するパラシュート5が自動的に展開する。ブイが浸漬されたならば、ブイの内部要素は
図3cに示すように筐体4から離れる。ブイは、ブイが収納構成にある場合に最初は筐体4内に収納されていて、ブイ1が水中に沈下した際に水面まで再び上昇して水面に浮いたままであるように構成された浮力体7を含んでいる。
【0038】
図4に、ブイが収納構成にある場合に筐体4内に配置されているブイの内部構造要素を模式的に示す。
図5、6と同様に、
図4では測定器を示していない。
【0039】
ブイは、ブイが収納構成にある場合に最初は筐体4内に収納されていて、ブイ1が水中に沈下した際に水面まで再び上昇して水面に浮かぶように構成された浮力体7を含んでいる。
【0040】
ブイ1は、負浮力ソナー110を含んでいる。当該ソナー110は、2個の下位部分6aa、6abを含む浸漬線の第1の部分6aにより浮力体7に接続されている。浸漬線6は、取り付け部211を介して浮力体7を負浮力ソナー110に接続する。より具体的には、第1の部分6aは、取り付け部211を介して浮力体7をソナー110に接続する。
【0041】
ソナー110は、支持体9、音響センサを支持する一組のアーム10を含む受信アンテナ111を含んでいるが、一組のアーム10は、アームの組全体をより簡潔に直径方向反対向きの2本のアームとして模式的に示しているため、
図4には示していない。
【0042】
部分6a、6bは初期状態では折り畳まれている。
【0043】
図4の例において、受信アンテナ111は、浸漬線6の第2の部分6bにより本体9に接続された別の本体8を含み、本体8は本体9を介して浮力体7に接続されている。代替的に、本体8は本体9に対して固定されている。これらは一体的に形成されていてよい。
【0044】
受信アンテナ111は展開可能である。換言すれば、各々のアームが、アームが折り畳み構成にある収納構成から展開構成に遷移するように、
図4の収納構成から
図4の展開構成に遷移することができる。
【0045】
アーム10は、支持体9の基準軸rの回りに、すなわち支持体10に対して固定されている軸rの回りに角度的に分散配置されている。アーム10は、アームが軸rから遠ざかる移動により折り畳み構成から展開構成に遷移可能であるように、支持体9に関節連結されている。より具体的には、各アーム10は、支持体9に関節連結された近位端EPから、アーム10が展開する際に軸rから遠ざかる方向に移動する遠位端EDまで長手方向に伸長する。
【0046】
図示する実施形態において、アーム10は支持体9に対してピボット動作することにより、折り畳み構成から展開構成に遷移する。アーム10は、ピボット接続部41により支持体9に接続されている。各ピボット接続部41の軸は基準軸rに接している。換言すれば、基準軸rに中心を有していて軸rに垂直な円の弧に接している。
【0047】
アーム10は、ブイ1が
図4に示す収納構成にある場合、収納構成に保たれている。
【0048】
図示する特定の実施形態において、アーム10は伸縮自在である。各アーム10は、支持体9に接続された第1の区間11、及びアーム10が伸長可能なように第1の区間11に伸縮自在に接続された少なくとも1個の他の区間12を含んでいる。アーム10は、アームが折り畳み構成にある
図4の収納構成から、アーム10の伸長及び支持体9に関するアーム10の回転により
図6の展開構成に遷移可能である。アーム10は、
図4よりも長く且つ依然として折り畳み構成にある
図5に示す伸長構成と称する構成を介して遷移する。
【0049】
図4~7に見られるように、ブイ1は、1個のアーム10毎に1個のガイライン13を含んでいる。各ガイライン13は、一方で支持体9と浮力体7の間の取り付けを行う取り付け部211に、他方で支持体9とアーム10の間の関節連結から一定距離を置いてアーム10のうち1本に接続されている。
【0050】
ガイライン13は、アーム10が支持体9に対してピボット動作して展開構成をとり得るように構成及び配置されている。
【0051】
図3cに見られるように、浮力体7は、ブイ1が水中に浸漬された際に筐体4から放出され、初期状態で圧縮されてブイ内に封入されていた気体により膨張する膨張可能な袋体70を含んでいるため、浮力体7は、水面Sまで再び上昇し、ブイが展開する際に水面S面に浮いたままにさせる正の浮力を生成する。浮力体7は、ブイ1と遠隔受信器及び/又は送信器との間で遠隔無線通信を可能にする電波の送信器及び/又は受信器72だけでなく、例えば電子機器を収納可能な筐体71をも含んでいる。
【0052】
浮力体7が水面まで再び上昇するのに対し、ソナー110は筐体4と同じく沈下する。各アーム10の遠位端EDは初期状態で本体8に機械的に結合されており、これは支持体9が浮力体7から離れる方向に移動する際にアーム10が
図5の伸長構成まで伸長することを意味する。
【0053】
支持体9の沈下は、浮力体7が水面に浮かび始めた際に緊張する浸漬線の部分6aにより停止する。本体8の沈下は、アームが伸長構成にある場合に停止する。筐体4は、沈下し続けるため、アーム10を折り畳み構成から解放する。
【0054】
本体7が水面まで上昇する間の本体8の沈下により、取り付け部211とアーム10を隔てる垂直距離が増大しており、ガイライン13は緊張した状態であって、アーム10を上方に引っ張ることでアーム10の遠位端EDを支持体9から、より具体的には基準軸rから、
図6の展開構成となるまで引き離す。
【0055】
アーム10は従って、支持体9の基準軸rに対して動径方向に伸長する。換言すれば、軸rに垂直な平面内での各アームの張り出しは、当該軸に対して定義される各々の動径軸に沿って伸長する。
【0056】
代替的に、アーム10は展開構成において支持体9の基準軸rに対して動径方向に延伸しない。アームは従って、例えば、軸rに接していない軸を有するピボット接続により支持体9に接続されていてよい。
【0057】
一般に、アームは有利な特徴として展開構成において軸rに対して傾いている。
【0058】
各図の非限定的なケースにおいて、ブイは、アームが折り畳み構成から展開構成に遷移する間、軸rはほぼ垂直である(軸zと平行)であるように構成されている。軸rは、ブイの本体間で浮力差の影響下でほぼ垂直な軸に沿って緊張し浸漬線6の長手軸である。
【0059】
図示する実施形態において、アーム10は上方に展開する。代替的に、アームは下方に展開する。
【0060】
ブイ1を
図7に展開構成で示している。受信アンテナは従って展開構成にある。アーム10及び測定器60は
図8により正確に展開構成で示されている。
【0061】
図7、8の特定の実施形態において、アーム10は展開構成において本体の軸rに垂直な平面内で伸長する。代替的に、アームは展開構成において軸rに垂直な平面に対して傾いている。
【0062】
図示する実施形態において、アームは各々の長手軸の回りに回転対称である。その場合、断面は円形をなしている。代替的に、アームの断面は、当該アームのほぼ全長に沿って固定されたままである別の形状をなしていてよい。アームの断面の直径は、特にアームが伸縮自在ならばアームに沿って変動し得るため、互いに載置されたアームの様々な区間が互いに入れ子をなし、様々な区間互いにスライド動作することができる。より一般的に、アームは、展開構成にある測定装置の垂直並進移動中に、測定装置111に対し軸rの回りにトルクを一切生成しないように構成されている。
【0063】
図7、8に見られるように、アーム10が支持する測定器60はアーム10間で伸長する。
【0064】
図9に、測定器60を通り、測定器60で軸rに接する、アーム10にほぼ垂直な垂直面で切った
図8の断面を示す。
【0065】
図9に見られるように、各測定器60は水接触面Sで区切られていて、展開構成にある測定装置が垂直軸zに沿って両方向(上下)に並進移動中に受信器111に対して軸zの回りに個々のトルクを生成する。個々のトルクは、軸zに沿って同一方向に向けられているため、測定器60の組は軸zに沿って同一方向にトルクを生成する。水接触面が意味するところは、測定装置が浸漬された際に水と直接物理的に接触することを意図された表面である。
【0066】
具体的には、
図9に模式的に示すように、上方垂直並進移動中の測定器60の接触面S上を流れる水流の影響下で、各測定器は、接線成分Tを含む垂直成分V及び水平成分を含む力を受ける。接線成分Tは、測定装置111に対して軸zの回りに個別トルクと称されるトルクを生成する。
【0067】
各図の非限定的な例において、測定器60は各々、アーム間で延伸していて、展開構成において実質的に垂直軸zである軸rに対して展開構成において傾いていている略平行六面体の形状を有している。測定器の当該形状は無論非限定的である。測定器60の最も大きい2つの面は第1の面21及び第2の面22であり、これらは水接触面である。第1の近似として、展開測定装置111の上方方向の並進移動中に測定器が受ける力は、第1の表面21が受ける力であり、下方への垂直移動中に面22が受ける力である。これらの面21、22は、基準軸rに対して、及び略接線である水平直線に対して、軸zと略平行に傾いており、接線方向は軸rに対して定義されている。これはまた、各々の法線N1、N2にもあてはまる。
【0068】
各図の非限定的な例において、各々の(上方又は下方の)垂直並進移動中に測定器が受ける力の水平成分Hが接線成分Tである。
【0069】
各種の測定器60が受ける力の接線成分Tは、各図の非限定的な例において、同一方向を向いており、その理由は測定器60が展開構成において、軸zに対して、及び各測定器の各々の接線軸に対して同程度に傾いているためである。
【0070】
本発明によれば、測定装置111は、測定装置111が展開構成において上方及び/又は下方に垂直並進移動中に軸zの回りに回転するのを制限又は防止すべく構成又は配置された補償手段161を含んでいる。補償手段161は、当該垂直移動中に測定器により生じやすい測定装置の回転移動に対抗する。換言すれば、補償手段161は、展開構成にある測定装置111の垂直移動中、同一垂直移動中に測定器60により生成されたトルクと逆向き且つ展開した測定装置の垂直移動中に測定装置が受ける軸zの回りの全トルクが、測定器60により生成された測定装置に対する軸zの回りのトルクよりも低い強度を有するトルクを測定装置111に対して軸zの回りに生成すべく構成及び配置されている。これにより、軸zの回りの測定装置の回転を制限することが可能になる。この目的のため、補償手段により軸zの回りに生じたトルクは、測定器により生成されたトルクの強度よりも低い強度を有し、従って測定装置は軸zの回りにより低い回転速度で回転し続ける。代替的に、補償手段により軸zの回りに生じたトルクは、測定器により生成されたトルクの強度にほぼ等しい強度を有し、従って測定装置は軸zの回りの回転に対してほぼ静止している。代替的に、補償手段により軸zの回りに生じたトルクは、測定器により生成されたトルクの強度の2倍未満の強度を有し、従って測定装置は、補償手段を備えていない装置と比べて反対方向に、但しより低い速度で回転する。
【0071】
本発明により、垂直移動により生じる測定装置の回転を制限又は減少させ、従って回転軸の回りに回転する測定装置に関する上述の問題を抑制できるようになる。更に、本解決策は、アームの長手軸回りの測定器60の回転可動性を一切必要としないため、装置の動作部分の個数を制限すると共にある程度の信頼性を維持できるようになる。
【0072】
有利な特徴として、補償手段は、補償手段161により生成された軸zの回りのトルクが、上方及び/又は下方垂直移動中に測定器60の組により生成された軸zの回りのトルクとほぼ逆向きであるように構成及び配置されている。これにより、測定装置111が、注目する方向又は複数の方向への垂直移動の影響下で軸rの回りに回転するのを回避できるようになる。
【0073】
図9に見られるように、補償手段161は、測定装置が浸漬された際に水と直接の物理的に接触することを意図された補償面S’と称する表面により区切られる少なくとも1個の補償器61の組を含んでいる。補償器61は、測定装置111の軸zの回りの回転移動を制限すべく、展開構成にある測定装置の上方及び/又は下方垂直移動中に測定器60により測定装置に対して軸zの回りに生じたトルクと逆向きの補償トルクと称するトルクを測定装置に対して軸zの回りに生成すべく構成及び配置されている。垂直並進移動中に補償器により生成されたトルクは、当該移動中に補償器の表面上を流れる水流の結果である。
【0074】
換言すれば、測定装置111が展開構成にある場合、各補償器は、軸zに沿った展開構成にある測定装置の並進移動中に表面上を流れる水流の影響下で、(上方垂直移動中に)垂直成分V’
及び軸zに接していて接線成分Tとは反対方向の接線成分T’を含む水平成分を含む力を受ける。同じ事象が展開した測定装置の軸zに沿った垂直並進中に生じる。
【0075】
垂直成分V’は垂直成分Vと同一方向を向いている。
【0076】
図示する非限定的な例において、
図9により具体的に見られるように、各補償器61は基本的に直方体の形状をなしており、実質的に補償面S’を形成する2個のより大きな面31、32を含んでいる。これらの面31、32は展開構成において、軸zと略平行な基準軸rに対して、且つ軸rに対して定義される接線軸に対して傾いている。これはまた、各々の法線N1’、N2’にもあてはまる。軸rに対して定義される接線軸は、基準軸rに中心を有していて基準軸rに垂直な円に補償器又は注目する面で接する軸である。換言すれば、軸が円に接する箇所は補償器側又は注目する面側にある。円は、基準軸に中心を有していて基準軸に垂直である。
【0077】
第1の近似として、展開した補償装置の上方垂直移動中に補償器が受ける力の成分T’は、当該移動中に水流に面して置かれた表面31が受ける力の接線成分である。第1の近似として、展開した補償装置の下方垂直移動中に補償器が受ける力の成分Tは、当該移動中に水流に面し置かれた表面32が受ける力の接線成分である。
【0078】
一般に、各測定器は有利な特徴として、測定装置が基準軸に沿って一方向に並進移動中に測定装置に対して基準軸rの回りに個々のトルクを生成すべく、展開構成において、基準軸に対して、及び基準軸に対して定義される第1の接線軸に対して傾いている平均法線を有する第1の水接触面を含んでいる。ある表面に対する平均法線は、当該表面の基本面に対する基本法線の和である。軸rに対して定義される第1の接線軸は、基準軸rに中心を有していて基準軸rに垂直な円に注目する測定器又は注目する表面で接する軸である。ここでは軸Tで表す。
【0079】
測定器の急浮上は無視できる程度であり、第1の水接触面は実質的に測定装置の垂直並進移動の方向に向けられた測定器の表面の当該部分である。
【0080】
図9の非限定的な例において、測定装置の垂直並進移動の方向に向けられた表面は実質的に、上方移動中は表面21及び下方移動中は表面22である。
【0081】
各補償器は有利な特徴として、測定装置が基準軸に沿って同一方向に並進移動中に測定装置に対して基準軸rの回りに個々の補償トルクを生成すべく、展開構成において、基準軸に対して、及び基準軸に対して定義される第2の接線軸に対して傾いている平均法線を有する第2の水接触面を含んでいる。軸rに対して定義される第2の接線軸は、基準軸rに中心を有していて基準軸rに垂直な円に補償器又は注目する表面で接する軸である。ここでは軸T’で表す。
【0082】
補償器の急浮上が無視できる場合、水接触面は実質的に測定装置の垂直並進移動の方向に向けられた表面である。
【0083】
図9の非限定的な例において、補償器の垂直並進移動の方向に向けられた表面は実質的に、上方移動中は表面31及び下方移動中は表面32である。
【0084】
上記の全てが測定器及び補償器の各種形式に当てはまる。これらの機器の全体的な形状は、巨大な矩形の表面、又は例えば楕円等、他の任意の形状の表面を有する板状であってよい。
【0085】
水と直接接触している表面は平坦であっても平坦でなくてもよい。例えば、起伏があってもよい。
【0086】
測定又は補償器は1個以上の切欠きを有していてよい。
【0087】
これらの機器は固定又は可変な厚さを有していてよい。厚さは、アームの軸に接する軸の方向に測られてよい。この厚さは、アームの軸に対して定義され動径軸に応じて変化し得る。
【0088】
少なくとも1個の測定器及び/又は1個の補償器は「エアフォイル」型であってよい。有利な特徴として、補償器(又は測定器)の前縁及び後縁を通過する直線は、付随するトルクを生成すべく、展開構成において、基準軸rに対して、及び基準軸rに接する軸に対して傾いた法線を有している。軸rに対して定義される接線軸は、基準軸rに中心を有していて基準軸rに垂直な円に注目する機器又は注目する法線で接する軸である。
【0089】
有利な特徴として、但し必須ではないが、補償器は、
図9に見られるように、上方及び/又は下方垂直移動中に各測定器60が受ける水平成分Hが及び各補償器が受ける水平成分H’は実質的に接する、又は換言すれば接線成分T又はT’だけが現れるように構成及び配置されている。この構成により、(軸zに対して定義される)動径軸に沿った機器の並進移動を回避することが可能になる。
【0090】
各測定器の第1の水接触面に平均法線は有利な特徴として、展開構成において、基準軸rと平行な軸及び基準軸rに対して定義される第1の接線軸を含む平面に含まれる。各補償器の第2の水接触面に対する平均法線は有利な特徴として、展開構成において、基準軸rと平行軸及び基準軸rに対して定義される第2の接線軸を含む平面に含まれる。
【0091】
測定器60は、測定装置の軸zに沿った一方向への並進移動中に測定装置111に対して軸zの回りに同一方向に個々のトルクを各補償器が生成するように向けられている。更に、補償器61は、測定装置111に対して軸zの回りの同一方向の、すなわち測定装置111の軸zに沿った同一方向への並進移動中に測定器により生成された個々のトルクと逆向きの、個々の補償トルクと称する個々のトルクを各補償器61が生成するように向けられている。
【0092】
測定器60及び補償器61は、アームの遷移の間にアームが折り畳み構成から収納構成に遷移する間、アーム10により駆動されるべくアーム10により支持されている。
【0093】
測定器60及び補償器61はアーム10の間で伸長する。より具体的には、各々の機器及び各々の補償面は隣接する2本のアームの間で、すなわち軸rの回りに形成されていて隣接する2本のアームを分離する扇形に跨って伸長する。
【0094】
図8に見られるように図示する特定の実施形態において、各測定器60はアーム10に固定され、各補償器61はアーム10に固定されている。これにより、当該機器が移動可能に、例えば各々の長手軸の回りにピボット回転可能なようにアームに載置されている場合よりも測定装置の信頼性が高いことが保証できる。
【0095】
図示する実施形態において、いくつかの測定器60及びいくつかの補償器61が各々のアームに載置されている。代替的に、少なくとも1個の補償器及び/又は少なくとも1個の測定器が各々のアームに載置されている。例えば、補償器は測定器とは異なるアームに載置されていてよい。図示する特定の実施形態において、各アーム10は補償器と同数の測定器60を載置しているが、それらの一部は
図8に示していない。
【0096】
補償及び測定器は各々、アームの1本に突起を形成している。これにより、区間が互いに嵌め合い可能な伸縮自在なアームに載置されている場合に補償及び測定器が互いに入れ子になることが防止される。従って、同一のアームに沿って隣接する補償及び測定器は、当該アームが伸長するにつれて互いに遠ざかる方向に移動する。従って、同一のアームに載置された各種の測定器は展開構成において互いに離れていて、当該測定器及び/又は当該補償器は展開構成において互いに接していてよい。測定器が互いに遠ざかるという事実により、より大きいサイズのアンテナが得られ、アンテナが検出する目標の位置を特定することが容易になる。
【0097】
図示する実施形態において、アームに載置された各測定器60はアーム10の1本に突起を形成しており、突起は測定装置が展開した際に軸zの回りの同一の第1回転方向にアーム10から遠ざかる方向に移動する。換言すれば、同一のアームに載置された各々の測定器60は、アームの動径軸を含む軸zの動径面と同じ側でアームに突起を形成する。同一のアーム10に載置された各々の補償器61は、同一のアーム10に載置された測定器60に対して、アームの動径軸を含む軸zの動径面の他方の側でアームに突起を形成する。更に、各々の補償器61は、載置されたアーム10から第1の方向とは反対方向の、軸zの回りの回転方向と同一の第2方向に遠ざかる突出を形成する。
【0098】
図示する特定の実施形態において、各測定器60には、同一のアーム10に、好適にはアーム10の動径軸を含む軸zの動径面の他方の側で測定器60に対向する測定器60と同一のアーム10の区間11又は12に固定された補償器61が関連付けられている。各種の測定器60には各々の異なる補償器61が関連付けられている。各補償器61は、関連付けられた測定器60により生じる個々のトルクの2倍よりは低いモジュラスを有する個々の補償トルクを生成すべく配置及び構成されている。これにより、伸縮自在アームの場合、アームの長手軸の回りの伸縮自在アームの様々な区間の回りにねじれが生じるのを回避することが可能になる。また、注目するアーム又はアーム区画内で、回転の接線軸の回りにアームを湾曲させる恐れがあるトルクが生じるのを抑制できるようになる。これら2種類のトルクは、センサが好適には同一平面上にあるか、又は少なくとも展開構成において互いに所定の配置となるべきであるため、受信アンテナ111の性能を劣化させる恐れがあるようにアームを変形させ得る応力をアームにもたらす。提案する構成はまた、アームの高さにおける抗力の軸成分を等化させて、測定装置の垂直並進移動中に測定装置が不安定になるリスクを抑えることを可能にする。
【0099】
有利な特徴として、互いに関連付けられた補償器61と測定器60は、測定装置111が展開した際に垂直である同一接線に関して対称である。
【0100】
更に、図示する特定の実施形態において、測定器に関連付けられた補償器は当該測定装置と一体である。これにより、組み立てられたセットを極めて迅速に載置することができる。代替的に、これら2個の機器は2個の異なる要素に属している。
【0101】
有利な特徴として、互いに関連付けられた測定器と補償器を含む機器には、測定及び補償器をアームに載置するための手段が組み込まれている。
【0102】
代替的に、互いに関連付けられた測定器と補償器は、アームに沿って又はアームの同一区間に沿ってずれている。にもかかわらず、本解決策は小型ではなく、補償器の表面の調整がより困難になる。更に、本解決策ではアームが変形する、及び測定装置が不安定になるリスクが増す。
【0103】
代替的に、補償器の個数は測定器の個数とは異なる。単一の補償器であってもよい。
【0104】
利用可能な体積が充分に大きい場合、測定装置の上方及び/又は下方並進移動が生じた際に測定器の組により生じるトルクと逆向きのトルクを生成すべく構成及び配置された単一の補償器を提供することができる。
【0105】
図示する特定の実施形態において、測定器及び補償器は各々、4個の側面により接続された2個のより大きい面を含み、1個の側面が当該側面の全長に沿ってアームに接している基本的に直方体の形状をなすプレートの形状を有している。当該形状は完全に非限定的であり、他の任意の形状も考えられる。補償器の面は必ずしも平坦でなくても、又は平行な一対でなくてもよい。測定器及び補償器は有利な特徴として、浸漬された際に、例えば測定装置の垂直移動の影響下で変形しないように構成されている。
【0106】
有利な特徴として、測定器60及び補償器61は、アームが収納構成にある場合、筐体4に収納されるようにアームに載置されている。この制約は従って、測定器及び補償器が、展開構成においてアームの水平面にあるように配置されないようにする。
【0107】
従って、有利な特徴として、測定器60及び補償器61は、アームが
図10(筐体無し)及び
図11(筐体有り)に示すように、折り畳み構成にある場合、例えばアーム10により区切られた軸rのシリンダに内接するようにアームに載置されている。
【0108】
有利な特徴として、測定器60及び補償器61は、収納構成において、軸rに垂直に、筐体4及び支持体9により区切られる軸rの環に収納されるようにアーム10に載置されている。
【0109】
図示する非限定的な実施形態において、アーム10は上方に展開し、展開構成において同一の略水平な平面内で伸長する。補償器61及び測定器60は従って、展開構成において、軸zに沿ってアーム10の平面より下方に伸長する。
【0110】
代替的に、アームは下方へ展開し、展開構成において同一の略水平な平面内で伸長する。補償及び測定装置は次いで軸rに沿ってアームの平面より上方に伸長する。
【0111】
有利な特徴として、各種の測定器60は、展開測定装置111の一方向及び/又は反対方向への垂直並進移動中に同一接線成分Tに整合すべく構成及び配置されている。これは各種の補償器及び接線成分T’についても有利な特徴としてあてはまる。これにより、測定装置111の実施がある程度容易になる。
【0112】
この目的のため、アーム10が展開構成において略水平な平面に配置されている図示する非限定的な実施形態において、測定器60は、同一の外部エンベロープ、すなわち同一の第1接触面21及び同一の第2接触面22を有している。更に、
図9に見られるように、測定器60は、展開構成において水平面Hに関して、各々載置されているアーム10の軸に対して同じ角度αを形成するように配置されている。これにより、測定器60の組の同一平面上の配置及び同一のアームに載置された測定器の線形配置を保証することが可能になる。同じことが、同一の外部エンベロープ、すなわち同一の第1補償面31及び同一の第2補償面32を有する補償器61について成り立つ。更に、補償器61は、展開構成において水平面に対して各々載置されたアーム10の軸に対して同じ動径角βを形成するように配置されている。更に、軸rの回りと同じ強度のトルクを生成すべく、対応する補償及び測定器が互いに対向して配置されているため、それらの第1の補償及び接触面が同じ表面積を有し、第2の補償及び接触面は同じ表面積を有していて、軸rに対して同じ角度α、βをなす。
【0113】
これらの特徴が限定的でない点に留意されたい。アーム上の補償器の寸法、形状及び配置は上述のものと異なっていてよいが、同時に、関連付けられた測定器により生成された個々のトルクと逆向きの同じ個々のトルクを生成する。
【0114】
図示する実施形態において、載置されているアーム10の軸に沿った各補償器61の寸法が、関連付けられた測定器の寸法より大きいのに対し、その接線の寸法は
図11の収納構成における測定器の寸法よりも大きい。換言すれば、補償器は、特に収納構成において、軸rの回りの関連付けられた測定器のより小さい扇形を占めるように寸法決めされている。具体的には、
図11に見られるように、各測定器60は、補償器が測定器ほど大きい接線寸法を占有できないように、載置されているアーム10と隣接するアーム10との間に充分な空間を残さない。
【0115】
代替的に、測定装置は、隣接するアームが支持するケーブルに固定されていて展開構成において張力を受けるように構成及び配置された少なくとも1個の測定器及び/又は1個の補償器を含んでいる。
【0116】
少なくとも1個の補償器は、音響センサ以外に測定シーケンスの少なくとも1個の手段を含んでいてよい。少なくとも1個の補償器は、増幅器及び/又はアナログ/デジタル変換器及び/又は音波発信器すなわち音波を発信すべく構成された手段を含んでいてよい。少なくとも1個の補償器は、別の物理パラメータを測定可能な少なくとも1個のセンサ、例えば水の塩分を測定する水塩分センサ及び/又は水温を測定する温度センサを含んでいてよい。代替的に、補償器は測定シーケンスの一部を形成する手段を有していない。
【0117】
図示する実施形態において、測定装置111はまた、
図7に見られるように、浸漬線6に取り付けられた音響送信器171を含んでいる。受信アンテナ111は、線6上の送信器171と浮力体7の間に挿入されている。これらの音響送信器171は初期状態で筐体4内に収納されている。
【0118】
本システムが垂直移動中に回転する主な理由は、測定装置が傾いている事実による。この傾きは例えば、測定装置が収納構成にある場合に測定装置を限られた体積内に収める必要により生じる。従って解決策は、同様の表面を用いて測定装置に対する軸rの回りのトルクを制限又は軽減するべく逆トルクを生成可能にするものである。
【0119】
提案された解決策は、膨張又は深度の変化が生じた場合であっても、測定装置の良好な安定性を保証可能にする。具体的には、本解決策は、例えば膨張又は要求された深度変化により生じ得る測定装置の垂直移動中に測定器による測定装置の回転移動を、消滅できないにせよ、抑制可能にする。補償面の大きさは本来、補償器の大きさのオーダーで小さい。従って、水平方向の表面積が小さいため、抗力の増大が僅かになり、従って、深度の変化、特に深度の変化に伴う速度の変化を妨げない。
【0120】
提案する解決策は実施が容易である。例えばコストが抑制され、占有する体積が極めて小さく、これは使い捨て部材である空中投下可能ブイの分野で最優先事項である。