(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電解槽及び給水装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20060101AFI20221124BHJP
【FI】
C02F1/461 A
(21)【出願番号】P 2021081364
(22)【出願日】2021-05-13
【審査請求日】2021-05-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】雨森 大治
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522022(JP,A)
【文献】特開平08-071562(JP,A)
【文献】特開2004-353013(JP,A)
【文献】特開2005-052761(JP,A)
【文献】特開2001-169952(JP,A)
【文献】特開2017-217158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を電気分解するための電解槽であって、
前記液体が供給される電解室と、
前記電解室の外縁の少なくとも一部を区画する固体高分子膜と、
前記電解室内で前記固体高分子膜の前記電解室内に面する第1面に接する第1電極と、
前記電解室外で前記固体高分子膜の前記第1面とは異なる第2面に接する第2電極とを含み、
前記第1電極、前記固体高分子膜及び前記第2電極は、少なくとも一部において円筒状に形成された円筒状部の少なくとも一部を構成し、
前記電解室には、前記液体を前記第1電極の前記円筒状部の少なくとも一部の内側に周方向に沿って螺旋状に導
いて前記第1電極の内側表面で発生した気体を前記第1電極から引き剥がすための螺旋スロープが設けられている、
電解槽。
【請求項2】
前記第1電極の少なくとも一部は、前記固体高分子膜を挟んで前記第2電極と対向するように配されている、請求項1に記載の電解槽。
【請求項3】
前記第2電極は、前記電解槽の外壁の少なくとも一部を構成する、請求項1または2に記載の電解槽。
【請求項4】
前記外壁には、前記液体を前記第1電極の前記円筒状部の少なくとも一部の周方向に沿って流れるように供給するための供給口が形成されている、請求項3に記載の電解槽。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電解槽を備える、給水装置。
【請求項6】
前記電解室に流入する前記液体または前記電解室から流出する前記液体に駆動されて発電し、前記第1電極及び前記第2電極に給電する発電装置をさらに備える、請求項5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記給水装置は、シャワーヘッドを含む、請求項6に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を電気分解するための電解槽等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電解槽が提案されている。例えば、特許文献1には、第1極室と第2極室とが固体高分子膜によって区分されてなる電解槽が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造の電解槽は、第1極室と第2極室とが電解槽の内部に形成される構造上、電解槽が複雑となり肥大化する。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、簡素でコンパクトな電解槽等を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電解槽は、液体を電気分解するための電解槽であって、前記液体が供給される電解室と、前記電解室の外縁の少なくとも一部を区画する固体高分子膜と、前記電解室内で前記固体高分子膜の第1面に接する第1電極と、前記電解室外で前記固体高分子膜の前記第1面とは異なる第2面に接する第2電極とを含む。
【0007】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1電極の少なくとも一部は、前記固体高分子膜を挟んで前記第2電極と対向するように配されている、ことが望ましい。
【0008】
本発明に係る前記電解槽において、前記第2電極は、前記電解槽の外壁の少なくとも一部を構成する、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1電極、前記固体高分子膜及び前記第2電極は、少なくとも一部において円筒状に形成された円筒状部を有する、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記電解槽において、前記第1電極、前記固体高分子膜及び前記第2電極には、前記液体を前記第1電極の前記円筒状部の周方向に沿って流れるように供給するための供給口が形成されている、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記電解槽において、前記電解室には、前記液体を前記第1電極の前記円筒状部の周方向に沿って螺旋状に導くためのスロープが設けられている、ことが望ましい。
【0012】
本発明の給水装置は、前記電解槽を備える。
【0013】
本発明に係る前記給水装置において、前記電解室に流入する前記液体または前記電解室から流出する前記液体に駆動されて発電し、前記第1電極及び前記第2電極に給電する発電装置をさらに備える、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記給水装置において、前記給水装置は、シャワーヘッドを含む、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の前記電解槽は、前記固体高分子膜が前記電解室の前記外縁の少なくとも一部を区画する。前記固体高分子膜の前記第1面は、前記電解室内に面し、前記第1電極と接する。一方、前記固体高分子膜の前記第2面は、前記電解室外に面し、前記第2電極と接する。すなわち、従来の電解槽の前記固体高分子膜は、前記電解室を前記第1電極側の第1室と前記第2電極側の第2室とに区分していたのに対して、本発明の前記固体高分子膜は、前記電解室の前記外縁を区画する。これにより、従来の前記第2室を省くことが可能となり、簡素でコンパクトな前記電解槽が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の電解槽の概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の電解槽の変形例を一部破断して示す斜視図である。
【
図4】
図3の電解槽の変形例を一部破断して示す斜視図である。
【
図5】
図1の電解槽を備えた給水装置の概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図5の給水装置の変形例を示す断面図である。
【
図7】
図6の給水装置の変形例を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解槽1の概略構成を示している。
【0018】
電解槽1は、電解室2と、固体高分子膜3と、第1電極4と、第2電極5とを含んでいる。
【0019】
電解室2の外縁21は、電解槽1の外壁11によって区画される。外壁11は、例えば、合成樹脂等の絶縁体によって構成されている。
【0020】
電解室2には、電解槽1にて電気分解される液体が供給される。液体には、例えば、水道水、井戸水、地下水等の水を用いることができる。電解補助液等の添加物が添加された水または水以外の液体が供給されてもよい。
【0021】
固体高分子膜3には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料が適用される。このような樹脂材料の固体高分子膜3を用いて水を電気分解する場合、電気分解の前後において、液体のpHを一定に維持可能である。
【0022】
固体高分子膜3は、電解室2の外縁21の少なくとも一部を区画する。すなわち、本実施形態の電解室2の外縁21は、電解槽1の外壁11及び固体高分子膜3によって区画されている。
【0023】
固体高分子膜3は、電解室2内に面する第1面31と、電解室2外に面する第2面32とを有している。電解室2に供給された液体は、固体高分子膜3に浸透する。これにより、固体高分子膜3は、第1面31から第2面32にわたって、湿潤した状態に維持される。なお、液体の浸透性が不十分な固体高分子膜3が適用される場合であっても、固体高分子膜3の第2面32は、電解室2外の湿気(空気に含まれる水滴または水蒸気)によって、第2電極5の表面と共に湿潤した状態となりうる。
【0024】
第1電極4には、その板厚方向で水が行き来可能な構造、例えば、エクスパンドメタル等の網状の金属が適用されうる。本実施形態の第1電極4には、チタニウム製のエクスパンドメタルの表面に白金のめっき層が形成されたものが適用されている。第1電極4には、貫通孔が形成された板状のパンチングメタルが適用されてもよい。
【0025】
第1電極4は、電解室2内に設けられている。第1電極4は、固体高分子膜3の第1面31に接するように配されている。
【0026】
第2電極5には、第1電極4と同様に、その板厚方向で水が行き来可能な構造、例えば、チタニウム製のエクスパンドメタルの表面に白金のめっき層が形成されたものが適用されている。第2電極5には、その板厚方向で水が行き来できない構造の金属板が適用されていてもよい。
【0027】
第2電極5は、電解室2外に設けられている。第2電極5は、固体高分子膜3の第2面32に接するように配されている。これにより、電解室2の内圧による固体高分子膜3の膨張が抑制される。
【0028】
第1電極4及び第2電極5に電気分解のための電解電圧が印加されることにより、第1電極4及び第2電極5には、それぞれ異なる極性が付与される。
【0029】
本実施形態の電解槽1では、第1電極4は陰極として第2電極5は陽極として機能するように電解電圧が印加される。このような電解槽1を用いて水を電気分解する場合、電解室2内で水素ガスが発生し電解室2で生成された電解水に溶け込む。このような電解水は、「電解水素水」とも称され、飲用はもとより入浴等の様々な分野での応用が期待されている。また、第2電極5では当該電気分解により酸素ガスが発生するが、同電極は電解室2外に設けられているため電解水に溶け込むことなく電解槽1の外部に放出される。すなわち、電解槽1に第2室を設けることなく第2電極5の側で発生したガスを放出することができる。
【0030】
第1電極4は陽極として、第2電極5は陰極として機能するように電解電圧が印加されてもよい。このような電解槽1を用いて水を電気分解する場合、電解室2内で酸素ガスが発生する。
【0031】
電解室2内に液体が供給され、同液体によって固体高分子膜3が湿潤した状態で、第1電極4と第2電極5との間に電圧が印加されると、固体高分子膜3を介して第1電極4及び第2電極5に電流が流れ、電解室2で電気分解が生ずる。
【0032】
従来の電解槽の固体高分子膜は、電解室を第1電極側の第1室と第2電極側の第2室とに区分していたのに対して、本発明の固体高分子膜3は、電解室2の外縁21を区画する。これにより、従来の第2室を省くことが可能となり、簡素でコンパクトな電解槽1が得られる。
【0033】
本実施形態の電解槽1では、外壁11の一部に外壁11を貫通する窓12が開口され、窓12を内側から塞ぐように、固体高分子膜3が配されている。このような固体高分子膜3によって、電解室2の外縁21の一部が区画される。固体高分子膜3によって、電解室2の外縁21の一部が区画される。
【0034】
固体高分子膜3の外縁部は、窓12の周縁の外側に延出され、外壁11に隙間なく固着されている。これにより、固体高分子膜3と外壁11との間からの液漏れが抑制される。窓12の内部には、第2電極5が配されている。第2電極5は、窓12を介して電解槽1の外部に露出し、電解槽1の外壁の一部を構成している。電解室2の外縁21の全体が固体高分子膜3によって区画される構成では、第2電極5が電解槽1の外壁の全体を構成するのが望ましい。
【0035】
第1電極4は、固体高分子膜3を挟んで第2電極5と対向するように配されている、のが望ましい。本実施形態では、第1電極4の全体が、固体高分子膜3を挟んで第2電極5と対向するように配されている。これにより、電気分解の効率が容易に高められる。第1電極4の一部が、固体高分子膜3を挟んで第2電極5と対向するように配されていてもよい。
【0036】
第2電極5の外側で窓12が開口されることにより、電気分解の際に第2電極5の側で発生したガスが電解槽1の外部に排出可能となる。
【0037】
なお、電解室2の外縁21の全体が固体高分子膜3によって区画されるように構成されていてもよい。この場合、外壁11が省かれて、固体高分子膜3の第2面32の全体に第2電極5が配されるのが望ましい。これにより、外壁11が省かれるだけでなく、電解室2の外縁21の全体で電気分解が進行し、電気分解の効率が容易に高められる。
【0038】
図2は、
図1の電解槽1の変形例である電解槽1Aの斜視図である。電解槽1Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電解槽1の構成が採用されうる。
【0039】
電解槽1Aにおいて、第1電極4、固体高分子膜3及び第2電極5は、円筒状に形成された円筒状部6を有している。
【0040】
第1電極4、固体高分子膜3及び第2電極5に円筒状部6が形成されていることにより、第1電極4の内側で円筒状部6の周方向に沿って液体が流れ易くなり、液体のよどみが抑制される。また、周方向に沿って流れる液体は、その遠心力によって第1電極4に押し付けられる。これにより、電気分解に伴い第1電極4の表面で発生した気体は、液体の圧力を受け、早期に第1電極4から引き剥がされる。これにより、微細なバブルを含む電解液が容易に生成される。
【0041】
本実施形態の円筒状部6は、第1電極4、固体高分子膜3及び第2電極5の全体に形成されている。これにより、微細なバブルを豊富に含む電解液が容易に生成される。なお、円筒状部6は、第1電極4、固体高分子膜3及び第2電極5のうち、少なくとも一部に形成されていればよい。
【0042】
図2に示されるように、本実施形態の電解槽1Aでは、外壁11が円筒状に形成された円筒状部13を有している。円筒状部13は、円筒状部6と連続して形成されている。これにより、円筒状部6及び円筒状部13の周方向に沿って流れる液体の速度が高く維持され、液体に作用する遠心力が大きくなり、微細なバブルを含む電解液がより一層容易に生成される。円筒状部13は、円筒状部6との連携により、円筒状の電解槽1Aの全周に亘って形成されている、のが望ましい。これにより、液体の速度がより一層高く維持されるので、微細なバブルを含む電解液がより一層容易に生成される。
【0043】
図3は、
図2の電解槽1Aの変形例である電解槽1Bの斜視図である。電解槽1Bのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電解槽1Aの構成が採用されうる。
【0044】
電解槽1Bでは、外壁11に供給口14が形成されている。
図3中、電解室内に描かれた複数の矢印は、供給口14から供給される電解室2内での液体の流れを示している。
【0045】
供給口14は、第1電極4、固体高分子膜3及び第2電極5には、液体を第1電極4の円筒状部6の周方向に沿って流れるように供給可能に形成されている。例えば、本実施形態の供給口14は、円筒状部13の接線方向からのびて、円筒状部13に開口されている。このような構成により、供給口14から流入した液体が第1電極4の円筒状部6の周方向に沿って円滑に流れるため、液体の速度が高く維持され、微細なバブルを含む電解液がより一層容易に生成される。なお、供給口14は、外壁11の底部に形成されていてもよい。
【0046】
図4は、
図3の電解槽1Bの変形例である電解槽1Cの斜視図である。電解槽1Cのうち、以下で説明されてない部分については、上述した電解槽1Bの構成が採用されうる。
【0047】
電解槽1Cでは、電解室2にスロープ7が設けられている。スロープ7は、螺旋状に形成されたいわゆる螺旋スロープである。供給口14から流入した液体は、スロープ7によって、第1電極4の円筒状部6の周方向に沿って螺旋状に導かれる。スロープ7によって、液体が円滑に流れるため、液体の速度が高く維持され、微細なバブルを含む電解液がより一層容易に生成される。また、スロープ7によって、液体が円筒状部6の軸方向にも円滑に導かれるため、供給口14からの液体の流入が円滑となる。
【0048】
上記バブルの微細化の観点から、本実施形態のスロープ7は、円筒状の電解室2の軸方向の全域に亘って形成されているのが望ましい。スロープ7は、第1電極4の円筒状部6の軸方向の両端に亘って形成されていてもよく、第1電極4の円筒状部6の少なくとも一部の領域に形成されていてもよい。
【0049】
図4に示されるように、電解槽1Cでは、スリット状に開口された複数の窓15が形成されていてもよい。複数の窓15は、円筒状の外壁11の軸方向に並ぶように配設されている。各窓15は、外壁11を厚さ方向に貫通し、外壁11の周方向にのびて形成されている。第2電極5は、各窓15を介して電解槽1の外部に露出している。これにより、すなわち固体高分子膜3の第2面32及び第2電極5の表面に水分が付着可能となる。
【0050】
また、各窓15の間では、外壁16によって第2電極5の外側の一部が覆われる。なお、第2電極5のうち外壁16によって覆われた領域も、窓15から浸入した水滴または水蒸気によって、湿潤可能となる。
【0051】
図5は、電解槽1を備えた給水装置100を示している。すでに述べたように、本電解槽1は、簡素でコンパクトな構成を有しているため、給水装置100に容易に組み込むことができる。給水装置100では、電解槽1の電解室2が給水経路Wの一部を構成する。給水装置100は、電解室2に流入された原水を電気分解して電解水を生成し、装置外部に供給する。給水装置100では、電解槽1に替えて、電解槽1Aないし1Cが適用されてもよい。
【0052】
図6は、
図5の給水装置100の変形例である給水装置100Aを示している。給水装置100Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した給水装置100の構成が採用されうる。
【0053】
給水装置100Aは、電解槽1Aと、電解室2に流入する液体に駆動されて発電する発電装置110とを備える。電解槽1Aに替えて、電解槽1、1Bまたは1Cが適用されてもよい。発電装置110は、電解槽1Aの上流側に配されている。発電装置110は、電解室2から流出した液体に駆動される形態であってもよい。この場合、発電装置110は、電解槽1の下流側に配される。
【0054】
発電装置110は、液体に駆動されて回転する回転部111と、回転部111の回転力を電力に変換する発電部112とを含んでいる。回転部111には、例えば、回転翼を有するタービンが適用される。発電装置110に流入した液体は、回転部111のタービンを回転駆動した後、電解室2に流れ込む。回転部111は、回転自在に発電部112と連結されている。従って、回転部111の回転力は、発電部112に伝達され、発電の動力源に供される。
【0055】
本実施形態の発電装置110は、第1電極4及び第2電極5によって構成される電極対と直列に接続されている(図示せず)。発電装置110は、第1電極4及び第2電極5に給電する。これにより、給水装置100Aでは、電極対と発電装置110によって構成される電気回路が給水装置100Aの内部で完結し、給水装置100Aの外部からの給電は不要となる。従って、給水装置100Aの構成が簡素化される。
【0056】
図7は、
図6の給水装置100Aの変形例である給水装置100Bを示している。給水装置100Bのうち、以下で説明されてない部分については、上述した給水装置100Aの構成が採用されうる。
【0057】
本給水装置100Bは、電解槽1Cと発電装置110とを備え、シャワーヘッド120をさらに含んでいる。電解槽1Cに替えて、電解槽1、1Aまたは1Bが適用されてもよい。
【0058】
シャワーヘッド120は、柔軟性を有するシャワーホース130の先端側に配されている。発電装置110は、シャワーホース130とシャワーヘッド120との間に設けられている。すなわち、シャワーヘッド120は、発電装置110の下流に配置されている。
【0059】
シャワーヘッド120は、円筒状の本体部121と、本体部121の先端部に設けられた吐出部122とを有している。電解槽1Cは、シャワーヘッド120の本体部121に設けられている。すなわち、電解槽1Cが本体部121の一部を構成する。本発明の電解槽1Cは、簡素でコンパクトな構成であるので、シャワーヘッド120を肥大化させることなく、電解槽1Cをシャワーヘッド120に組み込むことが可能となる。
【0060】
本給水装置100Bでは、発電装置110の下流に電解槽1Cが配されている。このような形態では、シャワーホース130の先端部は発電装置110に接続される。
【0061】
発電装置110の上流に電解槽1Cが配されていてもよい。このような形態では、シャワーホース130の先端部は電解槽1Cに接続され、発電装置110は電解槽1Cと本体部121との間に設けられることになる。
【0062】
いずれの形態にあっても、電解槽1の電解室2で生成された電解水は、本体部121の内部を通過して、吐出部122から吐出される。これにより、電解水のシャワーを気軽に使用することが可能となる。さらに、本給水装置100Bでは、電解槽1Cによって微細なバブルを含む電解液が生成されるので、微細なバブルを含む電解液のシャワーを気軽に使用することが可能となる。
【0063】
また、発電装置110によって得られた電力で電解槽1Cの電解を賄うことができ、シャワーホース130とシャワーヘッド120との間で電気回路が完結する。従って、シャワールーム等の壁面等に給電用のケーブルを施工する必要がないため、電解水のシャワーの設備を容易に導入することが可能となる。また、シャワーホース130の内部またはシャワーホース130に沿って給電用のケーブルを配する必要がないため、断線等によるトラブルが回避される。
【0064】
なお、発電装置110及び電解槽1Cは、シャワーホース130の基端、例えば、混合水栓に設けられていてもよい。このような形態にあっても、シャワールーム等の壁面等に給電用のケーブルを施工する必要がないため、電解水のシャワーの設備を容易に導入することが可能となる。
【0065】
図7に示されるように、電解槽1Cの外側には、窓15の一部または全部を覆うカバー部材17が設けられていてもよい。同図では、カバー部材17の一部が破断されて描かれている。
【0066】
本実施形態のカバー部材17は、電解槽1Cに対して矢印Aに往復移動することにより開閉可能に構成されている。カバー部材17は、電解槽1Cに対して回動することにより開閉可能に構成されていてもよい。カバー部材17が開放されることにより、電気分解によって生じた酸素ガスが窓15を介して給水装置100Bの外部に排出される。
【0067】
通水中の給水装置100Bでは、電解室2内に供給される水によって固体高分子膜3の湿潤状態は維持される。一方、通水が停止された給水装置100Bでは、時間の経過により固体高分子膜3の表面の水分が蒸発し、同膜の湿潤状態が失われる可能性がある。乾燥した固体高分子膜3は収縮する。その後、通水によって、湿潤状態に復帰した固体高分子膜3は、初期状態と比較すると形状が歪となるため、第1電極4及び第2電極5との接触面積が減少し電気分解の効率が低下する可能性がある。
【0068】
本給水装置100Bでは、カバー部材17によって窓15を閉鎖することにより、固体高分子膜3の乾燥が抑制される。これにより、電気分解の効率の低下が抑制される。なお、カバー部材17は、
図1ないし6の電解槽1、1A、1Bまたは1Cに設けられていてもよい。
【0069】
以上、本発明の電解槽1等が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、本発明の電解槽1は、液体が供給される電解室2と、電解室2の外縁21の少なくとも一部を区画する固体高分子膜3と、電解室2内で固体高分子膜3の第1面31に接する第1電極4と、電解室2外で固体高分子膜3の第2面32に接する第2電極5とを含んでいればよい。
【符号の説明】
【0070】
1 電解槽
1A 電解槽
1B 電解槽
1C 電解槽
2 電解室
3 固体高分子膜
4 第1電極
5 第2電極
6 円筒状部
7 スロープ
11 外壁
13 円筒状部
14 供給口
21 外縁
31 第1面
32 第2面
100 給水装置
100A 給水装置
100B 給水装置
110 発電装置
120 シャワーヘッド
【要約】
【課題】簡素でコンパクトな電解槽等を提供する。
【解決手段】電解槽1は、液体が供給される電解室2と、電解室2の外縁21の少なくとも一部を区画する固体高分子膜3と、電解室2内で固体高分子膜3の第1面31に接する第1電極4と、電解室2外で固体高分子膜3の第2面32に接する第2電極5とを含む。
【選択図】
図1