(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】電磁波放出に基づく試料分析
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20221124BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221124BHJP
A61B 5/0507 20210101ALI20221124BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20221124BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20221124BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20221124BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
A61B5/1455 ZDM
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
A61B5/0507
A61B10/00 E
G01N21/27 A
G01N33/483 E
G01N33/50 Z
(21)【出願番号】P 2021200532
(22)【出願日】2021-12-10
(62)【分割の表示】P 2020538836の分割
【原出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520097537
【氏名又は名称】バイタル バイオサイエンセズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コダダッド イマン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン アレグザンダー
(72)【発明者】
【氏名】カゼムザデ ファーヌード
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302706(US,A1)
【文献】特表2011-513753(JP,A)
【文献】国際公開第2017/089147(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0299155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/0507
A61B 5/06-5/22
A61B 10/00
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある帯域の電磁(EM)放射を試料に向けて放出することであって、前記帯域は、EM放射の少なくとも第1波長及び第2波長をカバーする、放出することと、
前記第1波長のEM放射を受信し、前記第2波長のEM放射を除外するよう構成された第1レシーバにおいて、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、
前記第2波長のEM放射を受信し、前記第1波長のEM放射を除外するよう構成された第2レシーバにおいて、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、
前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出することであって、
前記複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を
カスケードで複製及び混合することを含
み、
前記カスケードにおいて、前記混合の出力は、前記複製の入力として用いられ、前記カスケードは、複数回、反復される、
複数のマーカーを抽出することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する前記応答を増幅することによって、前記第1レシーバ及び前記第2レシーバが前記応答の増幅を受け取るようにすることをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料は、in vivo又はin vitroであるヒトの細胞又はヒトの体液のうちの少なくとも1つを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マーカーは、少なくとも2つの対象化合物の存在又は不存在を示す
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マーカーは、ヘモグロビンの濃度、脱酸素化ヘモグロビンの濃度、ビリルビンの濃度、カロチンの濃度、ユーメラニンの濃度、皮膚の蒼白、皮膚色素沈着、ホルモン、プロテオーム、一次代謝産物、分子コンジュゲート、タンパク質バイオマーカー、タンパク質フラグメント、有機汚染物質、無機汚染物質、内因性イオン、重金属、及び遺伝子のうちの少なくとも2つを示す
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1信号及び前記第2信号を処理装置に無線で送信することによって、前記抽出を実行することをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放出すること、前記受信すること、及び前記抽出することを反復して実行することによって、複数のマーカーを連続的にモニタすることをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複製及び混合は、
前記第1信号及び前記第2信号のそれぞれを複数回、複製すること、及び
それぞれのミキサユニットについて、前記複製された信号を前記混合のための入力信号として利用すること
を含み、前記混合は、混合関数f
j
f
j(x
1, x
2, . . . , x
p)=a
1x
1
b1+a
2x
2
b2+ . . . +a
px
p
bp
を利用し、ここでx
iは、i番目の入力信号に対応し、a
i及びb
iは、i番目の入力信号に対応するパラメータであり、f
jは、j番目に抽出されたマーカーに対応する
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のマーカーを、既知のセットのマーカー群と比較することによって、試料の状態を予測することをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ある帯域の放射を試料に向けて放出するよう構成されたエミッタであって、前記帯域は、電磁(EM)放射の第1波長及びEM放射の第2波長の両方を含む、エミッタと、
前記EM放射の前記第1波長が前記試料と相互作用した後のEM放射の前記第1波長に対する応答を受信するよう構成された第1レシーバと、
前記EM放射の前記第2波長が前記試料と相互作用した後のEM放射の前記第2波長に対する応答を受信するよう構成された第2レシーバと、
前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出するよう構成された信号ミキサユニットであって、
前記複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を
カスケードで複製及び混合することを含
み、
前記カスケードにおいて、前記混合の出力は、前記複製の入力として用いられ、前記カスケードは、複数回、反復される、
信号ミキサユニットと、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記システムは、ウェラブルかつモバイルなデバイスとして構成される
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、少なくとも前記エミッタ及び前記信号ミキサユニットに電力を供給する再充電可能な電池を含む
請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号ミキサユニットは、電子、光、又は化学サブシステムを介して実現されたアナログ又はデジタル処理デバイスのうちの1つを含む
請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの追加のエミッタをさらに備え、前記エミッタ及び前記少なくとも1つの追加のエミッタは、前記第1レシーバ及び前記第2レシーバが配置されている領域を囲む外側領域に配置される
請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記EM放射が前記試料と相互作用した後の、かつ第1応答が前記第1レシーバにおいて受信される前の、かつ第2応答が前記第2レシーバにおいて受信される前の、前記EM放射に対する前記第1応答及び前記第2応答を増幅するよう構成された増幅装置をさらに備える
請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記増幅装置は、前記EM放射が前記試料と相互作用する前に、前記EM放射を増幅するようさらに構成された
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、前記試料に向かう放射の前記帯域の初期放出から11分以内に前記マーカーを抽出するよう構成された
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のマーカーを既知のマーカー群のセットと比較することによって、前記試料の状態を確定するよう構成された比較装置と、
前記試料の前記状態に基づいてアラームを生成するよう構成されたアラーム装置と、をさらに備える
請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
プロセッサによって実行された時に、システムに1つ以上の操作を実行させるよう構成された命令を含む非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記操作は、
ある帯域の電磁(EM)放射を試料に向けて放出するようエミッタに命令することであって、前記帯域は、EM放射の第1波長及び第2波長を含む、命令することと、
前記第1波長のEM放射を受信し、前記第2波長のEM放射を除外するよう構成された第1レシーバを介して、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、
前記第2波長のEM放射を受信し、前記第1波長のEM放射を除外するよう構成された第2レシーバを介して、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、
前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出することであって、
前記複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を
カスケードで複製及び混合することを含
み、
前記カスケードにおいて、前記混合の出力は、前記複製の入力として用いられ、前記カスケードは、複数回、反復される、
複数のマーカーを抽出することと、
を含むコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記複製及び混合は、
前記第1信号及び前記第2信号のそれぞれを複数回、複製すること、及び
それぞれのミキサユニットについて、前記複製された信号を前記混合のための入力信号として利用すること
を含み、前記混合は、混合関数f
j
f
j(x
1, x
2, . . . , x
p)=a
1x
1
b1+a
2x
2
b2+ . . . +a
px
p
bp
を利用し、ここでx
iは、i番目の入力信号に対応し、a
i及びb
iは、i番目の入力信号に対応するパラメータであり、f
jは、j番目に抽出されたマーカーに対応する
請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁(electromagnetic、EM)波放出に基づく試料分析におおまかには関
する。例えば、そのような分析は、体液、溶液、分析物、生体内の細胞、生体外の試料、又は他のそのような試料に対して実行され得る。
【背景技術】
【0002】
人間の眼は、EMスペクトラムの可視波長範囲を観察することが可能であるが、これは、EMスペクトラム全体のうちの非常に狭い部分である。もし太陽のような広帯域な「白色」光源が物体を照射するなら、その物体は、可視波長に加えて他の波長を放出する(remit)。物体によって放出されたスペクトラムのある種の特性を測定することによって、
その物体の固有の特性についての手がかりが得られる。
【0003】
本開示でクレームされている主題は、なんらかの欠点を解決する、又は上述のもののような環境でのみ動作する実施形態には限定されない。むしろ、本背景技術は、本開示で説明されるいくつかの実施形態が実施され得る、ある例示的技術分野を示すために提供されているに過ぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つ以上の実施形態は、ある帯域の電磁(EM)放射を試料に向けて放出することを含み得る方法を含み得て、前記帯域は、EM放射の少なくとも第1波長及び第2波長をカバーする。この方法は、前記第1波長のEM放射を受信し、前記第2波長のEM放射を除外するよう構成された第1レシーバにおいて、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、前記第2波長のEM放射を受信し、前記第1波長のEM放射を除外するよう構成された第2レシーバにおいて、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することも含み得る。この方法は、前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出することも含み得て、前記複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を複製及び混合することを含む。
【0005】
1つ以上の実施形態は、ある帯域の放射を試料に向けて放出するよう構成されたエミッタを含むシステムを含み得て、前記帯域は、電磁(EM)放射の第1波長及びEM放射の第2波長の両方を含む。このシステムは、前記EM放射の前記第1波長が前記試料と相互作用した後のEM放射の前記第1波長に対する応答を受信するよう構成された第1レシーバと、前記EM放射の前記第2波長が前記試料と相互作用した後のEM放射の前記第2波長に対する応答を受信するよう構成された第2レシーバも含み得る。このシステムは、追加として、前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出するよう構成された信号ミキサユニットも含み得て、複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を複製及び混合することを含む。
【0006】
本開示の1つ以上の実施形態は、プロセッサによって実行された時に、システムに1つ以上の操作を実行させるよう構成された命令を含む非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み得る。前記操作は、ある帯域の電磁(EM)放射を試料に向けて放出するようエミッタに命令することを含み得て、前記帯域は、EM放射の第1波長及び第2波長を含む。この操作は、前記第1波長のEM放射を受信し、前記第2波長のEM放射を除外するよ
う構成された第1レシーバを介して、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することと、前記第2波長のEM放射を受信し、前記第1波長のEM放射を除外するよう構成された第2レシーバを介して、前記EM放射が前記試料と相互作用した後の前記EM放射に対する応答を受信することも含み得る。この操作は、追加として、前記第1レシーバにおいて受信された応答を表す第1信号、及び前記第2レシーバにおいて受信された応答を表す第2信号の組合せから複数のマーカーを抽出することを含み得て、前記複数のマーカーを抽出するために、前記抽出することは、前記第1信号及び前記第2信号を複製及び混合することを含む。
【0007】
実施形態の目的及び優位性は、特に特許請求の範囲で規定された要素、特徴、及び組合せに少なくともよって実現され達成されるだろう。
【0008】
前述の一般的な記載及び以下の詳細な説明は、いずれも単なる例示及び説明に過ぎず、請求されている本発明を限定するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
例示的実施形態は、添付の図面の使用を通じて、さらなる具体性及び詳細さで記載され説明される。
【
図1】
図1は、試料を画像化及び/又は分析する例示的システムを図示する。
【
図2】
図2は、試料を画像化及び/又は分析を促進するエミッタ及びレシーバのある例示的構成を図示する。
【
図3】
図3は、試料と相互作用した後の受信されたEM放射に対して動作し得る信号ミキサ装置の例を図示する。
【
図4】
図4は、放出されたEM波形に対して動作し得る信号ミキサ装置の例を図示する。
【
図5】
図5は、試料を画像化及び/又は分析する別の例示的システムを図示する。
【
図6】
図6は、試料を画像化及び/又は分析するさらなる例示的システムを図示する。
【
図7】
図7は、試料を画像化及び/又は分析する例示的方法のフロー図を図示する。
【
図8】
図8は、例示的コンピューティングシステムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
適切に試料の状態を特定するためには、組み合わせられて、その状態を信頼性高くかつ安定して表現できる、ある種のマーカー群が特定され、モニタされる必要がある。多くの場合、分析されている試料中に固有の自然発生的バラツキのせいで、個別のマーカーは、受信された信号内でノイズで汚染され得て、分析されている試料の状態についての直接的な相関関係を推測することはできない。
【0011】
マルチバンドパスセンシングに用いられるマルチスペクトル(MS)又はハイパースペクトルイメージングのようないくつかのアプローチが存在する。イメージングの場合、一つのアプローチは、多色カメラを用いてキャプチャされた色画像を、赤、緑、及び青(RGB)のチャンネルに分解することである。このアプローチは、可視スペクトルを3つの独立したスペクトルバンドに細分化する。このようなアプローチにおいては、スペクトルバンドは、画像化に用いられる多色センサのスペクトル応答に高度に依存しており、異なる製造者による異なるセンサの間でばらつくことになる。このアプローチは、視野(field-of-view、FOV)内のターゲットの放射測定の表現としては非常に正確であるとはい
えないが、その理由は、多色センサは、典型的にはベイヤーフィルタを用いて3つのチャンネルRGBの情報を獲得し、与えられたセンサ画素における欠けているスペクトル情報を、必ずしも類似のスペクトル情報を含まない、その隣接する画素を用いて内挿するから
である。
【0012】
マルチスペクトルイメージングのもう一つの代替のアプローチは、単色カメラと組み合わせられた一連のスペクトルバンドパスフィルタ群を採用する。これらフィルタ群は、対象となる波長範囲を正確に伝送する一方で、他の波長は全て抑圧する。これらフィルタ群は、モータ駆動されたフィルタホイール、液晶チューナブルフィルタ、又は音響光学的チューナブルフィルタのようなアプローチを用いて、カメラに入る光のパス内に配置され得る。他の代替のアプローチは、特定の波長範囲の光をターゲットに照射する一連の光源を用いる。この代替のアプローチでは、放出された光(remitted light)は、単色カメラで捕捉される。
【0013】
いくつかのアプローチは、それぞれのスペクトル領域がそれ自身のそれぞれのカメラシステムで画像化され得るように、さまざまなビームスプリッタ構成を用いて、マルチスペクトルイメージングのための同時イメージングを実行する。いくつかのアプローチは、可視及び近赤外(near-Infrared、NIR)スペクトル範囲のような非常に限定されたスペ
クトルバンドにおけるイメージングを実行するのに限られたハンドヘルドMSイメージャーを用いる。しかし、これらシステムは、可視スペクトル範囲において又はNIRスペクトル範囲においてだけしか動作せず、典型的にはかさばり、大きい。他のMSベースのイメージングアプローチは、光源群又はセンサフィルタ群のいずれかの個別のEMスペクトルに制限され、したがってアクセスされ、処理され、かつ抽出され得るデータ点の個数において制限される。
【0014】
加えて、そのようなアプローチは、大きなイメージングセンサ又は3色光検出器を用いて、測色法を実行する。そのようなアプローチは、正確性において制限があるが、それは、それらアプローチが、1つの広帯域ソース又はいくつかの狭帯域ソースから読み出すのに三原色だけしか使わないからである。他の状況においては、それぞれのシグネチャ応答(signature response)を連続して読み出すためには、狭帯域を持つ1つ又はいくつかのフィルタだけしか用いられない。加えて、おり大きな実現例の大きさ及び個別要素のせいで、そのようなアプローチは、適用において制限され、時間的に離散した制限された点でしか測定値が得られない。加えて、ある応用例及び条件では、応答の有用なコースを特定し、それに追従するためには、ある種のマーカーの連続的なモニタリングが有益であり、意義があるかもしれない。加えて、複数の変数を同時に瞬時的に測定することは、そのような変数をある種の生理学的な状態と相関付けるためには、価値があるかもしれない。加えて、複数の相互に関係したマーカーの分析は、従来の分析技術を用いると同時に利用不可能になるかもしれない。本開示は、複数の相互に関係したマーカーを同時に分析することを促進し得るシステム及び方法を提供し得る。
【0015】
本開示は、試料をさまざまな波長のEM放射に曝露させ、分析のために試料と相互作用をするEM放射に対する応答を分析する方法及びシステムに関する。初期EM放射及び/又は試料と相互作用した後のEM放射に対する受信された応答を表す信号は、複製する及び/又は混合する装置に提供されて、信号からマーカーを抽出し得る。マーカーは、マーカー群の既知のセットと比較されて、試料の状態を決定し得る。例えば、ユーザは、肌の組織をEM放射に曝露させ、そのような分析に基づいてユーザの生理学的状態を決定する装置を身に付け得る。他の例として、ユーザは、ユーザの健康状態を決定するために、少量の血液又は尿のような体液に接触させてこの装置を使用し得る。
【0016】
本開示の実施形態は、そのような従来のアプローチを改善する。そのような実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【0017】
図1は、本開示の1つ以上の実施形態による、試料の画像化及び/又は分析に関する例
示的システム100を示す。システム100は、1つ以上のエミッタ110(エミッタ110a及び110nのような)、1つ以上のレシーバ120(レシーバ120a、120b、及び120nのような)、及び信号ミキサユニット150を含み得る。エミッタ110は、EM放射115を分析されるべき試料130に向けて放出し得て、レシーバ120は、試料130と相互作用するEM放射に基づいた、EM放射に対する応答117を受信し得る。1つ以上の増幅デバイス140及び/又は142は、試料130との相互作用の前のEM放射115を増幅し得て、及び/又は試料130との相互作用の後の、EM放射に対する応答117を増幅し得る。信号ミキサユニット150は、EM放射相互作用に基づいて及び/又はエミッタ110によって放出されたEM波形の信号に基づいて、レシーバ120によって生成された信号に対する処理を実行し得る。信号ミキサユニット150は、受信された信号からマーカーを抽出する混合及び複製装置152、及び/又は、混合及び複製装置152によって抽出されたマーカーを、マーカーの既知のセットと比較する比較装置154を含み得る。
【0018】
エミッタ110は、ある帯域のEM放射を放出するよう構成された任意のシステム、装置、又は要素を含み得る。EM放射のこの帯域は、ラジオ波、マイクロ波、赤外(IR)波、可視光、紫外(UV)光、X線、ガンマ線、テラヘルツ波等のようなEM放射の任意の範囲を含み得る。ある実施形態では、エミッタ110は、複数のエミッタ群を含み得て、この場合、異なるエミッタ110は、異なる波長で放射を放出するよう構成され、その放射を放出するよう独立して励起され得る。追加として又は代替として、エミッタ110は、チューナブルであるか、又はそうでなければ、単一のエミッタ110が異なる時刻において(又は同じ時刻において)複数の異なる波長を放出するよう構成され得るよう調節可能であり得る。
【0019】
ある実施形態では、エミッタ110は、時間インターリーブされた独立した帯域制限されたEM放射のソース、及び/又は延長された帯域濾過ソースを含み得る。例えば、もし3つのエミッタがEM放射の3つの別個の帯域を備えて利用されるなら、これらエミッタは、EM放射のそれぞれの帯域で利用されるように電源が順次、オンにされ得て、ターゲット応答は、レシーバ120によって検出される。追加として又は代替として、エミッタ110は、3つの帯域のEM放射を同時に放出するよう、同じ時刻において電源がオンにされ得る。これら及び他の実施形態において、エミッタ110の組合せは、試料130と相互作用する予期された励起EM放射を提供し得る。予期されたEM放射は、
S(f)=S0(f0)+S1(f1)+ . . . +Sk(fk)
によって表現され得て、ここでそれぞれの放出された界Si(fj)は、特定の帯域通過領域を有する周波数fjにおけるi番目の放出源から発するEM界を表現し得る。ある実施形態では、エミッタ110は、試料130と相互作用を行い、応答を散乱させて戻ってきたものがレシーバ120で受信されるのに十分な出力を有し得る。ある実施形態では、エミッタ110は、トップハット、ベッセル、ガウシアン等のような任意の形態の空間的放射を提供し得る。
【0020】
レシーバ120は、EM放射を検出し、入射する放射を、検出されたEM放射を表す読み出し可能な信号に変換するよう構成された任意のシステム、装置、又は要素を含み得る。ある実施形態では、レシーバ120は、複数のレシーバ120を含み得て、ここで、それぞれのレシーバは、EM放射の異なる波長群を受信するよう構成される(例えば狭帯域レシーバ)。追加として又は代替として、単一のレシーバは、複数の波長において放射を検出するよう構成され得る(例えば広帯域レシーバ)。ある実施形態では、1つ以上のレシーバ120は、レシーバによって受信されたEM放射の全ての波長ではなく、レシーバ120によって検出された信号が特定の帯域の波長を表すように、フィルタ又は他の機構を利用し得る。そのようなフィルタは、周波数可変であってもよく又は固定フィルタであってもよい。
【0021】
ある実施形態では、レシーバ120によって検出されたEM放射は、
D(f)=D0(f0)+D1(f1)+ . . . +Dl(fl)
によって表され得て、ここでターゲット位置Di(fj)は、周波数fjにおいてi番目のレシーバによって検出されたEM界を表し得る。
【0022】
ある実施形態では、レシーバ120は、電荷結合素子(CCD)、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画素、又はフォトダイオードを持つイメージングセンサを含み得る。ある実施形態では、レシーバ120は、検出される放射にわたって帯域通過を提供するために、個別フィルタを利用し得る。時間インターリーブされたソースに加えて、レシーバ120上でのそのようなフィルタの組合せ及び配置は、非スパースな相互作用応答(例えばターゲットのステータスの推定のために用いられる信号)を作るために、信号ミキサユニットに基礎を提供し得る。ある実施形態では、レシーバ120は、特定の位置で及び/又は特定の角度でEM信号を受信する任意の形態のアンテナを含み得る。
【0023】
ある実施形態では、レシーバ120の組合せ(例えばレシーバ120a-120n)は、マイクロパターン化され得て(例えば大きさが小さく及び/又はレシーバ120の個数が少ないパターンに配置される)、サイズがミリメートル又はセンチメートルのオーダーのような、サイズが10平方センチメートルよりも小さいような、3平方センチメートルよりも小さいような、又は1平方センチメートルより小さいような、非常に小さいフォームファクタで一緒にパッケージ化され得る。ある実施形態では、フォームファクタは、サイズが1インチ×2インチであり得る。これら及び他の実施形態では、レシーバ120の組合せは、EM放射の波長の複数の帯域において同時に、試料130からの応答を受信し得る。例えば、レシーバ120の組合せは、特定の帯域通過フィルタを持つフォトダイオードのアレイとして実現され得る。
【0024】
試料130は、画像化及び/又は分析されるべき、任意の材料、組織、体液、アッセイ等を含み得る。試料130の一例には、皮膚組織があり、in vivo、in vitro、ex vivo、in situ等のいずれであってもよい。試料130の他の例としては、他のヒトの組織があ
る。試料のさらなる例としては、血液、唾液、汗、尿、粘液、涙、精液、膣分泌液、膣排泄物、母乳、膿、胆汁、羊水、脳脊髄液、胃酸、耳垢(耳あか)等のような体液がある。試料130の他の例としては、反応を起こしている化学溶液、毛髪の液体ホモジェネート等のような化学溶液がある。ある実施形態では、試料130は、生物の一部であり得る。ある実施形態では、試料130は、保存容器又は他の容器の中に入れられた液体であり得る。ある実施形態では、試料130は、分析を容易にするために、スライドガラス、ペトリ皿等のような媒体上に配置され得る。
【0025】
ある実施形態では、システム100は、1つ以上の増幅装置140及び/又は142を利用し得る。増幅装置140は、EM放射115が試料130に到達する前に、EM放射を増幅するよう構成され得る。増幅装置142は、EM放射が試料130と相互作用した後に、EM放射に対する応答117を増幅するよう構成され得る。追加として又は代替として、増幅装置142は、EM放射に対する応答117をレシーバ120に向けてフォーカス及び/又は局所化させ得る。これらの及び他の実施形態では、増幅装置140及び/又は142は、レンズ合焦システム、メタマテリアル合焦システム、ナノワイヤ及び/又はナノ構造ベースの合焦システム、水性ベースのナノアンテナ、基板ベースのナノアンテナ、励起レーザーシステム、自然放出及び/又は誘導放出システム等のような、合焦システムの任意の組合せを含み得る。増幅装置140及び/又は142のうちの1つ又は両方を用いることによって、信号対雑音比(SNR)は改善され得る。追加として又は代替として、増幅装置140及び/又は142があれば、増幅なしでは現実的ではないかもしれないある種のエミッタ110も使用できることがある。
【0026】
信号ミキサユニット150は、レシーバ120によって検出された信号に対して処理を実行するよう構成された任意のシステム、装置、又は要素を含み得る。ある実施形態では、信号ミキサユニット150は、コンピューティングデバイス(
図8に示されるコンピューティングデバイスのような)を含み得る。信号ミキサユニット150は、受信された信号からマーカーを抽出するための混合及び複製装置152、及び/又は比較装置154を含み得る。信号ミキサユニット150の1つ以上の要素の例は、
図3及び/又は
図4に示され得る。
【0027】
ある実施形態では、信号ミキサユニット150は、デジタルシグナルプロセシングユニット、フィールドプログラマブルアレイ、オプティカルホログラフィックユニット等のような、集積回路として、ルックアップテーブル機能として、又はさまざまな適応混合回路として実現され得る。信号ミキサユニット150の実現は、さまざまな形態をとり得て、特定のアーキテクチャ又はハードウェアに限定されない。信号ミキサユニット150の実現は、さまざまな形態を取り得て、特定のアーキテクチャ又はハードウェアには限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態では、混合及び複製装置152は、レシーバ120の信号を複製及び混合することによって、レシーバ120によって検出されたように、時間インターリーブされ得る空間スペクトル応答を生成するよう構成され得る。例えば、空間スペクトル応答は、エミッタ110によって放出され、EM放射の複数のスペクトルバンドにわたって、及びレシーバ群120の配置の空間領域にわたって、レシーバ120によって検出されたEM放射に対する試料130の応答を表す値を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、混合及び複製装置152は、レシーバ120及び/又はエミッタ110に関連するデータ又は信号を利用し得る。例えば、混合及び複製装置152は、複製機ユニットのレイヤと、それに続くミキサユニットのレイヤと(これらは任意の個数だけカスケード式に反復され得る)を含み得る。これら及び他の実施形態では、時間インターリーブされたエミッタ110の信号、及びレシーバ120によって検出された空間的及びスペクトル的にインターリーブされた応答は、複製及び混合されることによって、個別のレシーバ120のそれぞれから又はそれらの組合せから、空間スペクトル応答を作り得る。換言すれば、混合及び複製装置152は、時間多重化されたエミッタ110からの信号及び空間スペクトルレシーバ120からの信号の組合せを用いて、試料130からの空間スペクトルマトリクス応答を作るように構成され得る。これら及び他の実施形態では、混合及び複製装置152の出力は、試料130に関連付けられた抽出されたマーカーであり得る。抽出されたマーカーは、試料130内のターゲット化学成分、又は試料130の生理学的状態、又はなんらかの他のパラメータのような、試料で分析されている対象となる特性に対応し得て、これらの組合せは、試料の状態を示す。
【0030】
動作中において、混合及び複製装置152の複製機ユニットは、入力信号を利用し、それを多数回、複製することによって、出力信号を作り、ミキサユニット群のセットに供給し得る。ミキサユニットは、入力信号群のセットを利用し、混合関数に基づいて混合を実行し、出力信号を作り得る。これら及び他の実施形態では、混合及び複製装置152の信号ミキサユニットによって使用される混合関数(f)は、
f(x1, x2, . . . , xp)=a1x1
b1+a2x2
b2+ . . . +apxp
bp
によって表現され得て、ここでai及びbiは、i番目の入力信号に対応するパラメータであり、x1, x2, . . . , xpは、i番目の入力信号を表し得る。
【0031】
ある実施形態では、混合及び複製装置152のパラメータは、所望の応用例に基づいて調整され得る。例えば、もし皮膚を画像化し、皮膚病を分析するのなら、マーカーは、生
理学的マーカー、脱酸素化ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、ビリルビン、カロチン、ユーメラニン、皮膚の蒼白、皮膚色素沈着等のうちの任意のものを含み得て、そのパラメータは、それに従って調整され得る。他の例としては、もし化学アッセイ又は生物流体を画像化するなら、マーカーは、生物学的マーカー、薬剤(例えばTHC、コカイン、アンフェタミン、ケタミン、エクスタシー、アヘン、アルコール、ニコチン等)の濃度、他の有機及び/又は無機化合物、体液の他の成分、ホルモン、プロテオーム、一次代謝産物、分子コンジュゲート、タンパク質バイオマーカー、タンパク質フラグメント、有機汚染物質、無機汚染物質、内因性イオン、重金属、遺伝子、対象となる小分子等を含み得る。追加として又は代替として、もし生物学的流体を画像化するなら、マーカーは、バクテリア又はウイルスのような感染性病原体の存在又は不存在を含み得る。これら又は他の実施形態では、マーカーは、伝染性病原体のタイプ又はセロタイプを示し得る、ある種の細胞又は細胞の種類、細胞表面マーカー、タンパク質、核酸フラグメント等の存在又は不存在を含み得る。追加として又は代替として、コルチゾールのような自然発生する化合物の存在又は濃度がモニタされ得る。さらなる例としては、ビタミン(例えばビタミンB、C、E等)及びミネラル(例えば亜鉛、鉄等)のような栄養/健康ベースの化合物の存在がモニタされ得る。
【0032】
ある実施形態では、混合及び複製装置152においてマーカーを抽出した後で、マーカーは、比較装置154に提供され得る。比較装置154は、1つ以上のマーカーを、1つ以上の既知のセットのマーカーと比較することによって、試料130の状態の確定及び/又は予測を促進するよう構成された任意のシステム、装置、回路、又は他の要素を含み得る。例えば、検体内の化合物の既知の濃度、又は既知の条件を持つ細胞試料等が分析され得て、対応するマーカーがルックアップテーブル又は他の記憶媒体内に記憶されることによって、混合及び複製装置152からの抽出されたマーカーがそのような以前に知られたセットと比較装置154によって比較され得る。これら及び他の実施形態では、比較装置154は、ルックアップテーブル機能を持つ集積回路として、デジタル信号処理(DSP)ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等のようなさまざまな適応性混合回路として、実現され得る。
【0033】
システム100は、さまざまな状況の任意のものにおいて動作し得る。例えば、システム100は、in vitro、in vivo、又はex vivoにかかわらず、体液(血液、唾液、汗等のような)、髪の液体ホモジェネート、化学溶液等を分析するために利用され得る。そのような流体/溶液を分析するにあたって、システム100は、薬物又はアルコール等の存在を探してモニタし得る。システム100が、違法薬物、アルコール等がないかをモニタするための装置として動作するとき、システム100は、例えば、法執行機関による路肩での検問において、酒酔いがないかをモニタし得る。追加の例として、システム100は、ミッションクリチカルな状況においてストレス又は疲労に関連付けられたある種の化合物がないかをモニタし得る(例えば宇宙飛行士の唾液を分析することによってコルチゾールがないかをモニタする)。他の例として、システム100は、ユーザの健康を確定するために、皮下生理学的マーカーの分析のような、ユーザの皮膚を分析するのに利用され得る。他の例として、システム100は、ホルモンレベル及び/又はある種のターゲットの存在又は不存在についてモニタするために、血液の一滴を分析するよう利用され得る。
【0034】
ユーザの皮膚を分析するにあたり、ある種の利点が得られるかもしれない。例えば、皮膚の色は、患者の全体的な健康を反映するかもしれず、皮膚の損傷、創傷の治癒、心臓血管系疾患、栄養不足等を評価するのに有用なツールになるかもしれない。皮膚の色を分析するときに、蒼白さは、ユーザが貧血であるあるかどうかを示し得て、チアノーゼは、血中酸素減少の徴候であり得て、皮膚の赤みの程度及び範囲は、心臓血管の不全を示し得る。
【0035】
皮膚の色の変化を理解することは、圧迫潰瘍、生理学的変化等を検出及び段階分けするのに有益であり得る。しかし、蒼白さ、チアノーゼ、及び赤みとしてのそのような色の変化の正確な性質は、ユーザのふだんの皮膚の色によって変化するので、臨床的な要求にかなう看護を提供することが困難になり得る。例えば、多くのスキンケアガイドラインは、白い肌のユーザに主に適用されるので、適用不可能であり、異なる民族的背景及び皮膚の色の個々人について皮膚の色の変化を検出することは、難しくなり得る。そのようなコンテキストにおいては、異なる背景の色素における皮膚の色の変化の検出は、システム100を用いれば有益であり得る。
【0036】
この点で、構成的皮膚色は、自然な遺伝的に決定された表皮の色であり、紫外(UV)光又はホルモン曝露によって影響を受けない。典型的には、そのような皮膚色は、上腕の内側のような、太陽光への曝露が少ないか又は全く無い領域で見られる。対照的に、条件的皮膚色は、UV光及び他の環境要因への曝露から生じる。例えば、日焼けは、皮膚内のメラニンの組成を変え、メラノサイトによって作られるメラニンの量及び大きさを増す。よって条件的皮膚は、構成的皮膚よりも色が濃い。ユーザの肌の色は、メラニン、ヘモグロビン、及びカロチンのようなさまざまな構成的色素の色と混ざった、無色素の皮膚から反射及び吸収された光の結果である。したがって、さまざまな状態及び症状を評価及び予測するために、構成的色素と共に、無色素皮膚の特性の両方を評価することができる。
【0037】
追加として、紅斑のような他の症状は、肌が黒い患者では検出するのが困難であり得る。肌が白い患者では、炎症は赤みを生じ得る。しかし肌が黒い人では、それは、色素過剰(増加された色素)又は低色素沈着(減少された色素沈着)を生じ得るが、赤みは見られない。したがって、本開示の実施形態によって提供されるような、皮膚の安定した継続的なモニタリングは、肌が白い患者でも黒い患者でも有益であるようなやり方で、ユーザの体内での、及び測定がなされる領域内での生理学的変化を検出するのに有益であり得る。
【0038】
これら及び他の実施形態では、本開示による分析は、ユーザの皮膚が蒼白さ、皮膚色の変化等がないかがモニタされ得るように、リアルタイムで起こり得て、連続的であり得る。例えば、システム100は、ユーザの手首に、ユーザの腕の周りに等に付けるウェラブルデバイスとして実現され得る。これら及び他の実施形態では、システム100は、皮膚を分析することによって、ユーザのさまざまな局面を非侵襲的にモニタ及び/又は分析し得る。
【0039】
ある実施形態では、システム100は、速いタイムフレームで画像化及び/又は分析を実行し得る。例えば、システム100は、限られたタイムフレームの中で、試料を獲得し、放射の帯域を放出し、かつマーカーを抽出し得る。限られたタイムフレームは、概算で、15分よりも短い、11分よりも短い、8分よりも短い、3分よりも短い、1分よりも短い、又は30秒よりも短いものを含み得る。ある実施形態では、信号ミキサユニット150内のカスケードの反復の個数は、マーカーのより速い分析及び/又は抽出を促進するために、限定され得る。
【0040】
ある実施形態では、システム100は、ウェラブルデバイス及び/又は携帯デバイスとして実現されるような、非常に小さいフォームファクタで実現され得る。ある実施形態では、システム100は、15ポンド未満、10ポンド未満、8ポンド未満、5ポンド未満、又は1ポンド未満の重さであり得る。これら及び他の実施形態では、システム100は、システム100がモニタするよう意図される1つ以上のマーカーの連続的なモニタリングのために用いられ得る。例えば、測定ユニットは、ターゲット試料の連続的なモニタリングのためにin-situで配置され得る(化学反応の間に、試薬の減少又は生成物の出現が
ないかを連続的にモニタするために、システム100を反応容器内に配置することによるような)。これら及び他の実施形態では、連続的なモニタリングは、さまざまな生理学的
パラメータ及び/又は現象のリアルタイムでの分析を促進し得る。追加として又は代替として、一時的であり得る又は時間の経過で変化し得るイベント又は状態は、そのイベント又は状態の時間分解能分析(time-resolution analysis)を生成することを含み、モニタ及び分析され得る。
【0041】
これら及び他の実施形態では、エミッタ110、レシーバ120、増幅装置140及び/又は142のある種の変化形、及び/又は信号ミキサユニット150の総体は、現場での使用及び/又はユニットのモニタリングのために、再充電可能な電源(電池のような)を用いて、単一の、携帯可能な(例えば路肩での検問のために)及び/又はウェラブルな(例えば手首の周りに装着)フォームファクタで集積され得る。放出されたEM放射115の試料130との相互作用の後で、散乱されたEM放射117の応答は、レシーバ120によって検出され得る。レシーバ120によって生成された信号は、それぞれのマーカーを抽出するために信号ミキサユニット150に供給され得る。信号ミキサユニット150は、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタルシグナルプロセシングユニット、任意の汎用化された中央処理ユニット又は光/RF波長分割多重化(wavelength division multiplexing、WDM)ユニットのうちの任意の形態のような多くの実現例を有し得る。
【0042】
ある実施形態では、システム100は、皮膚及び/又は体液の中に現れるマーカーを用いて異常を検出する目的で、生産者消費者、消費者、及び/又はリスクのある人々によって用いられ得る。ある実施形態では、この装置は、皮膚の色素を連続的にモニタすることによって、皮膚炎症性疾患、コレステロール塞栓症(既知のアテローム性動脈硬化疾患及び腎不全の典型的な病歴を持つ患者において疑いが高い)、腹部痛、網状皮斑等がないかを測定及びモニタするために用いられ得る。他の場合としては、これらに限定されないが、糖尿病、脂肪肝、及びいくつかのがんと共に、メタボリック症候群(冠状動脈心疾患のリスクファクターである)、機械心臓弁障害及び他の心血管障害等を持つ患者の蒼白さレベルを検出することが含まれる。これら及び他の実施形態では、システム100は、ホルモンレベル、内臓又は細胞の疾病又は機能障害、寄生虫の存在又は不存在、バクテリア又はウイルス等を、媒介する体液を通してモニタするために用いられ得る。
【0043】
ある実施形態では、マーカーを抽出した後、及び/又は試料130の状態を確定した後に、システム100は、状態及び/又はマーカーを、ユーザの電子デバイス(不図示)、医療従事者の電子デバイス(不図示)等のような他の装置に通信し得る。これら及び他の実施形態では、状態及び/又はマーカーは、スレッショルド又は他のモニタされた値と比較され得て、当該スレッショルドを超えたことに基づいて、警報又はアラームをトリガし得る。警報又はアラームは、ユーザに視覚的に(例えば照射される光又はスクリーン上の表示)、聴覚的に(例えばチャイム又はサイレンの音)、ソフトウェアを介して(例えばモバイルデバイスアプリケーションのメッセージによって)提示され得る。ある実施形態では、そのような警報又はアラームは、9-1-1に電話をかけること、自動化されたメッセージを医療関係者に発信すること、薬剤を投与すること、医療機器をオンにすること等の緊急対応を発動し得る。
【0044】
図1に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、システム100は、図示されたよりもより多い又はより少ない要素を含み得る。
【0045】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による試料の画像化及び/又は分析を促進するためのエミッタ210(エミッタ210a-210cのような)及びレシーバ220(レシーバ220a-220nのような)のある例示的構成200を示す。
【0046】
図2に示されるように、ある実施形態では、エミッタ210は、EM放射の第1帯域において放射を放出するよう構成された第1エミッタ210a、EM放射の第2帯域において放射を放出するよう構成された第2エミッタ210b等を含み得る。これら及び他の実施形態では、レシーバ220は、第1波長におけるEM応答を検出するよう構成された第1レシーバ220a、第2波長における放射を検出するよう構成された第2レシーバ220b等を含み得る。さまざまなハッシュマークは、さまざまなエミッタ210及び/又はレシーバ220が特定のスペクトルの、時間の、及び/又は偏光したシーケンスにおいて、又はこれらの一部又は任意の組合せで動作するよう構成され得ることを図示している。
【0047】
ある実施形態では、レシーバ220は、おおまかには試料と対応し得る中央領域230に配置され得る。例えば、試料は、EM応答が試料から散乱される時に、応答がレシーバ220に戻ってくるように導かれるようレシーバ220に対して配置され得る。
【0048】
ある実施形態では、エミッタ210は、中央領域230の周囲を巡る外側領域240内に配置され得る。
【0049】
ある実施形態が
図2に示されるが、エミッタ210及びレシーバ220の任意の配置が本開示の中で想定されることが理解されよう。例えば、エミッタ210及びレシーバ220は、互いに散在され得る。他の例として、エミッタ210は、中央領域230に存在し得て、レシーバ220は、外側領域240に存在し得る。追加の例として、エミッタ210及び/又はレシーバ220のより少ない個数及び/又はより多い個数が想定される。
【0050】
システム200に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、エミッタ210及びレシーバ220の構成は、任意の個数であることが想定される。
【0051】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による、レシーバにおいて受信された、試料と相互作用した後のEM放射に対する応答について動作し得る信号ミキサユニット300の例を示す。
図3に示されるように、信号ミキサユニット300は、レシーバによって検出された及び/又はエミッタによって放出され試料と相互作用した1つ以上の受信された信号310(例えば受信された信号310a、310b、…、310n)を入力として受信し得る。信号ミキサユニット300は、入力信号を複数回数、複製し、それら信号を1つ以上のミキサユニット330aに渡す第1セットの複製機群320aを含む。ミキサユニット群330aの出力は、次のカスケードの複製機群320bのための入力信号として用いられ得る。複製機320bの出力は、ミキサユニット330bのための入力として用いられ得る。複製機320及びミキサ330のカスケードの3回の反復が図示されているが、複製機320及びミキサ330の任意の回数の反復(例えば複製機320n及びミキサ330nに至るまで)が本開示の中では想定される。
【0052】
複製機320及びミキサ330のカスケードの後で、信号ミキサ装置300は、一連のスペクトル空間応答群(spectro-spatial responses)340a-nを出力し得る。ある
実施形態では、それら出力340は、分析されているマーカーに対応し得る。ある実施形態では、スペクトル空間応答340の個数は、放出される周波数帯域の個数、レシーバによって選択された周波数帯域の個数、受信された別個の空間信号の個数、レシーバの個数、エミッタの個数、同時に帯域のサブセットにおいて放出するエミッタの組合せセット等に基づき得る。追加として又は代替として、応答340の個数は、分析及び/又は考慮されているマーカー又はパラメータの個数に対応し得る。
【0053】
信号ミキサユニット300に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、複製機320及びミキサ330のカスケードの任意
の個数の反復が含まれ得る。
【0054】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態によって放出されたEM波形に対して動作し得る信号ミキサ装置400の例を示す。
図4に示されるように、信号ミキサ装置400は、EM放射を放出する時にエミッタによって用いられるEM波形(例えば
図1のエミッタ110によって用いられるEM波形)を入力として受け取り得る。信号ミキサ装置400は、入力信号を複数回数、複製し、それら信号を1つ以上のミキサユニット430aに渡す第1セットの複製機群420aを含む。ミキサユニット群430aの出力は、次のカスケードの複製機群420bのための入力信号として用いられ得る。複製機420bの出力は、ミキサユニット430bのための入力として用いられ得る。複製機420及びミキサ430のカスケードの3回の反復が図示されているが、複製機420及びミキサ430の任意の回数の反復(例えば複製機420n及びミキサ430nに至るまで)が本開示の中では想定される。
【0055】
複製機420及びミキサ430のカスケードの後で、信号ミキサ装置400は、空間的及び/又は時間的に混合された、1セットの波形群440(波形440a-440nのような)を出力し得る。これら及び他の実施形態では、波形440a-440nは、受信されたEM放射を表す信号に対して動作する信号ミキサ装置(例えば
図3の信号ミキサ装置300)によって利用されることで、受信された信号の、放射を放出するのに利用されたEM放射波形との比較を促進し得る。
【0056】
信号ミキサユニット400に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、複製機420及びミキサ430のカスケードの任意の個数の反復が含まれ得る。
【0057】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態によって試料を画像化及び/又は分析する他の例示的システム500を示す。ある実施形態では、システム500は、体液、検体、溶液等の化学成分を分析するのに利用され得る。
【0058】
システム500は、
図1のエミッタ110に類似又は相当し得るエミッタ510群のセット(エミッタ510a-510nのような)を含み得る。システム500は、
図1のレシーバ120に類似又は相当し得るレシーバ520のセット(レシーバ520a-520nのような)を追加として含み得る。エミッタ510は、EM放射515を、EM放射を試料及びレシーバ520bに向けて戻すように反射し得る、増幅装置540に向けて放出し得る。
【0059】
ある実施形態では、試料は、試料と相互作用する時又は試料と相互作用した後に、EM放射517を収束及び/又は増幅し得る他の増幅装置542に近接して配置され得る。例えば、増幅装置542は、レンズ又は他の収束装置を、試料(例えば体液又は化学溶液)及びレシーバ520の間に含み得る。
【0060】
図5に示されるように、ある実施形態では、レシーバ520及び/又はエミッタ510によって生成された信号は、信号ミキサユニット550に提供され得る。信号ミキサユニット550は、
図1の信号ミキサユニット150に類似又は相当し得る。信号ミキサユニット550は、信号からマーカーを抽出し得る。
【0061】
ある実施形態では、システム500は、プリント回路基板(PCB)のような電子回路基板560上で実現され得る。これら及び他の実施形態では、電気的な接続は、エミッタ510及び/又はレシーバ520の1つ以上と、信号ミキサユニット550との間に電子回路基板560を介して存在する。
【0062】
システム500に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、システム500は、信号ミキサユニット550と相互作用するためのディスプレイ、インタフェースデバイス等を含み得る。
【0063】
図6は、本開示の1つ以上の実施形態によって試料を画像化及び/又は分析するための追加の例示的システム600を示す。システム600は、分析されるべき試料としてのユーザの皮膚を連続的にモニタするためにウェラブルデバイス(リストバンド、ステッカー等のような)として実現され得る。
【0064】
システム600は、
図1のエミッタ110に類似又は相当し得る1セットのエミッタ群610(エミッタ群610a-610nのような)を含み得る。システム600は、
図1のレシーバ120に類似又は相当し得る1セットのレシーバ群620(レシーバ620a-620nのような)を追加として含み得る。エミッタ610は、EM放射をレシーバ620bに向けて戻すユーザの皮膚(例えば当該試料)に向けてEM放射を放出し得る。
【0065】
図6に示されるように、ある実施形態では、レシーバ620及び/又はエミッタ610によって生成された信号は、通信装置670に提供され得る。この通信装置は、信号をネットワーク680を通して信号ミキサユニット651へ通信し得る。信号ミキサユニット651は、
図1の信号ミキサユニット150に類似又は相当し得る。信号ミキサユニット651は、信号からマーカーを抽出し得る。
【0066】
ネットワーク680は、通信装置670及び信号ミキサユニット651及び/又はそれに関連付けられた装置の間で通信を提供するよう構成された任意のデバイス、システム、要素、又はこれらの組合せを含み得る。例として、ネットワーク680は、そのような通信を可能にする1つ以上のワイドエリアネットワーク(WAN)及び/又はローカルエリアネットワーク(LAN)を含み得る。ある実施形態では、ネットワーク680は、複数のWAN及び/又はLANの間の論理的及び物理的接続によって形成されるグローバルインターネットワークを含むインターネットを含み得る。代替として又は追加として、ネットワーク680は、これには限定されないが802.xxネットワーク、ブルートゥースアクセスポイント、ワイヤレスアクセスポイント、IPベースのネットワーク等のような、1つ以上のセルラーRFネットワーク及び/又は1つ以上の有線及び/又は無線ネットワークを含み得る。ネットワーク680は、あるタイプのネットワークが他のタイプのネットワークとインタフェースすることを可能にするサーバも含み得る。ある実施形態では、ネットワーク680は、IR通信、NFC等のようなデバイスからデバイスへの通信を含み得る。
【0067】
ある実施形態では、信号ミキサユニット651は、試料が分析されているユーザのモバイルデバイス又は他の電子デバイスの一部であり得る。例えば、システム600は、ユーザの携帯電話又はタブレットを含み得る。これら及び他の実施形態では、システム600は、通知、アラーム、又は他の警告又は情報をユーザにモバイルデバイスを介して提供し得る。ある実施形態では、信号ミキサユニット651は、医療関係者の電子デバイスの一部であり得る。例えば、信号は、その皮膚がモニタされている人を治療する医師又は看護師の電子デバイスに通信され得る。これら及び他の実施形態では、信号ミキサユニット651はリモートコンピューティングデバイス内に配置され、アラームをトリガする信号ミキサユニット651によって、その分析に基づいて、ユーザ及び/又は医療関係者に通知し得る。
【0068】
システム600に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。
【0069】
図7は、本開示の1つ以上の実施形態によって試料を画像化及び/又は分析する例示的方法700のフロー図を示す。
【0070】
ブロック705において、ある帯域のEM放射が試料に向けて放出され得て、ここで放射のこの帯域は、少なくとも第1波長及び第2波長を含む。例えば、1つ以上のエミッタ(
図1のエミッタ110、
図2のエミッタ210、
図5の510、及び/又は
図6の610)は、試料に向けてEM放射を放出し得る。
【0071】
ブロック710において、EM放射は、増幅され得る。例えば、EM放射は、反射性材料に向けて放出され、EM放射を試料及び/又はレシーバに向けて導き得る。他の例としてレンズ又は他の収束装置は、試料と相互作用した後にEM放射を増幅し、試料と相互作用した後にレシーバにおいて受信されたEM放射に関連付けられたSNRの増加を促進し得る。
【0072】
ブロック715において、EM放射に対する応答は、第1波長を受信し、第2波長を除外するよう構成された第1レシーバにおいて受信され得る。例えば、レシーバ(
図1のレシーバ120、
図2の220、
図5の520、及び/又は
図6の620のような)は、試料によるEM放射に対する応答を受信し得る。第1レシーバにおいて受信された応答は、放出されたEM放射が試料と相互作用した後に受信され得る。
【0073】
ブロック720において、EM放射に対する応答は、第2波長を受信し、第1波長を除外するよう構成された第2レシーバにおいて受信され得る。第2レシーバにおいて受信されたEM放射は、放出されたEM放射が試料と相互作用した後に、受信され得る。ある実施形態では、第1レシーバ及び第2レシーバにおいて受信されたEM放射は、第1波長及び第2波長をカバーするその帯域のEM放射を放出する同じエミッタから生じたかもしれない。これら及び他の実施形態では、そのような構成は、複数のマーカーの同時分析を促進し、よってマーカー間の相互依存性を説明し得る。
【0074】
ブロック725において、放出されたEM波形の複製及び混合が実行され得る。例えば、エミッタは、EM放射のその帯域を放出するのに用いられるEM波形を信号ミキサユニット(
図1の信号ミキサユニット150、
図2の250、
図5の550、及び/又は
図6の651のような)に提供し、放出されたEM波形の複製及び混合を実行し得る。
【0075】
ブロック730において、第1及び第2レシーバにおいて受信された応答の複製及び混合が実行され得る。例えば、信号ミキサユニットは、レシーバによって生成された信号を受信し得て、その信号を混合及び複製し得る。ある実施形態では、レシーバにおいて受信された応答の複製及び混合は、放出されたEM波形に対してブロック725で実行された複製及び混合の出力も含み得る。
【0076】
ブロック735において、試料のマーカーが抽出され得る。例えば、ブロック730における複製及び混合の出力は、1つ以上のマーカーを含み得る。
【0077】
ブロック740において、マーカーは、マーカーの既知のセットと比較され得る。例えば、マーカーは、それらマーカーを、試料について分析されているパラメータ及び/又はマーカーの既知の状態、症状、濃度等の既知のマーカーと比較するために、テーブルルックアップ操作又はデータベース比較を介して比較され得る。
【0078】
ブロック745において、試料の状態が、ブロック740において実行された比較に基づいて確定及び/又は予測され得る。例えば、もし抽出されたマーカーが、既知のセット
のマーカーのスレッショルド量、パーセンテージ等の中にあるなら、抽出されたマーカーは、既知のセットのマーカーと同じ状態に対応し得る。そのような確定は、複数のマーカー及び既知のマーカーの複数のセットとのそれらの関係に基づき得る。
【0079】
ブロック750において、試料の状態に基づいてアラームがトリガされ得る。例えば、もしその状態が通常の状態の範囲外にある(例えば皮膚の蒼白さが青白さのスレッショルド量を超えている、探索されているTHCのような化学化合物が発見される等)と確定されるなら、アラームがトリガされ得る。このアラームは、耳に聴こえる警告、照射される光、他の電子デバイスに送られる通信、トリガされる通知又は他のソフトウェアベースのメッセージ等の形態であり得る。
【0080】
システム700に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、操作群は、異なる順序で実行されてもよい。他の例として、方法700の操作群に追加されても、又はそれらに関連して実行されてもよい。追加の例として、操作群が追加されても、省略されても、及び/又は同時に実行されてもよい。他の例として、さまざまな操作群は、単一の動作に組み合わせられてもよく、又は単一の操作が複数の操作群に分割されてもよい。
【0081】
図8は、本開示で説明された少なくとも1つの実施形態による例示的コンピューティングシステム800を示す。システム800は、試料の画像化及び/又は分析を促進するよう構成された任意の適切なシステム、装置、又はデバイスを含み得る。ある実施形態では、システム100、500及び/又は600の任意のもの、及び/又はそれらの部分又は要素は、
図8に示されるコンピューティングシステム800として実現され得る。コンピューティングシステム800は、プロセッサ810、メモリ820、データ記憶830、及び通信ユニット840を含み得て、これらは全て通信可能に結合され得る。データ記憶830は、ソフトウェアプロジェクト、APIドキュメント、コンピュータソースコード等さまざまなタイプのデータを含み得る。
【0082】
おおまかには、プロセッサ810は、任意の適切な特定目的の又は汎用のコンピュータ、コンピューティングエンティティ、又はさまざまなコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む処理デバイスを含み得て、任意の適用可能なコンピュータで読み取り可能な記憶媒体上に記憶された命令を実行するよう構成され得る。例えば、プロセッサ810は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラム命令を解釈し、及び/又は実行し、及び/又はデータを処理するよう構成された任意の他のデジタル、アナログ、又は光学回路を含み得る。
【0083】
図8には単一のプロセッサしか図示されていないが、プロセッサ810は、本開示で説明された任意の個数の操作群を単独で又は集合的に実行するよう構成された任意の個数のネットワーク又は物理的位置にわたって分散された任意の個数のプロセッサを含み得ることが理解されよう。ある実施形態では、プロセッサ810は、メモリ820、データ記憶830、又はメモリ820及びデータ記憶830に記憶されたプログラム命令を解釈及び/又は実行及び/又はメモリ820、データ記憶830、又はメモリ820及びデータ記憶830に記憶されたデータを処理し得る。ある実施形態では、プロセッサ810は、プログラム命令をデータ記憶830からフェッチし、メモリ820にプログラム命令をロードし得る。
【0084】
プログラム命令がメモリ820にロードされた後に、プロセッサ810は、
図7の方法700の1つ以上の操作を実行する命令のようなプログラム命令を実行し得る。例えば、プロセッサ810は、EM放射の広い帯域の周波数においてEM放射を放出するようエミ
ッタに指示することに関する命令を獲得し、試料との相互作用の後で、特定の周波数における受信されたEM放射を表す、レシーバからの信号を受信し、マーカーを導出するために信号のさまざまな局面又は特徴を再生及び混合することによるような、被検者からマーカーを抽出するためにその信号に対する処理を実行し得る。
【0085】
メモリ820及びデータ記憶830は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体又はその上にコンピュータ読み取り可能な命令又はデータ構造を担持する又は有する1つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み得る。そのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、プロセッサ810のような汎用又は特定用途のコンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。ある実施形態では、コンピューティングシステム800は、メモリ820及びデータ記憶830を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0086】
限定ではなく例示として、そのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)又は他の光学ディスク記憶、磁気ディスク記憶又は他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス(例えばソリッドステートメモリデバイス)、又はコンピュータ読み取り可能命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコードを担持又は記憶するのに用いられ得て、かつ汎用又は特定用途向けコンピュータによってアクセスされ得る任意の他の記憶媒体を含む非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体を含み得る。上記の組合せもコンピュータ読み取り可能記憶媒体の範囲には含まれる。コンピュータ実行可能な命令は、例えば、プロセッサ810にある種の操作又は操作群のグループを実行させる命令及びデータを含み得る。
【0087】
通信ユニット840は、ネットワークを通して情報を送信又は受信するよう構成された任意の要素、デバイス、システム、又はこれらの組合せを含み得る。ある実施形態では、通信ユニット840は、他の場所、同じ場所における他のデバイスと、又は同じシステム内の他の要素とさえ通信し得る。例えば、通信ユニット840は、モデム、ネットワークカード(無線又は有線)、光学通信デバイス、赤外通信デバイス、無線通信デバイス(アンテナのような)、及び/又はチップセット(ブルートゥースデバイス、802.6デバイス(例えばメトロポリタンエリアネットワーク(MAN))、WiFiデバイス、WiMaxデ
バイス、セルラー通信設備等)、及び/又はその他を含み得る。通信ユニット840は、データが、本開示で説明されたネットワーク及び/又は他のデバイス又はシステムとやりとりされることを可能にし得る。例えば、通信ユニット840は、システム800が、コンピューティングデバイス及び/又は他のネットワークのような他のシステムと通信することを可能にし得る。他の例として、通信ユニット840は、別の処理デバイスと通信することによって受信された信号に対してマーカーの抽出を実行し得る。
【0088】
システム800に対しては、本開示の範囲から逸脱することなく、改変、追加、又は省略がなされ得る。例えば、データ記憶830は、複数の場所に位置し、ネットワークを通じてプロセッサ810によってアクセスされる複数の異なる記憶媒体であり得る。
【0089】
上に示したように、本開示で説明した実施形態は、以下でさらに詳述される、さまざまなコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む特定目的の又は汎用のコンピュータ(例えば
図8のプロセッサ810)の使用を含み得る。さらに、上述のように、本開示で説明された実施形態は、その上に記憶されたコンピュータ実行可能な命令又はデータ構造を担持する又は有するコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば
図8のメモリ820又はデータ記憶830)を用いて実現され得る。
【0090】
本開示で用いられるように、「モジュール」又は「要素」という語は、コンピューティングシステムの汎用ハードウェア(例えばコンピュータ読み取り可能な媒体、処理デバイス、又はなんらかの他のハードウェア)に記憶され及び/又はそれによって実行され得る、モジュール又は要素及び/又はソフトウェアオブジェクト又はソフトウェアルーチンのアクション及び/又は特定のハードウェアインプリメンテーションを表し得る。ある実施形態では、本開示で説明された異なる要素、モジュール、エンジン、及びサービスは、コンピューティングシステム上で実行するオブジェクト又はプロセスとして(例えば別個のスレッドとして)実現され得る。本開示で説明されたシステム及び方法のうちのいくつかは、ソフトウェアとして実現され得る(汎用ハードウェアによって記憶及び/又は実行される)とおおまかに記載されているが、具体的なハードウェアインプリメンテーション又はソフトウェア及び具体的なハードウェアインプリメンテーションの組合せも可能であり、想定される。この記載で、「コンピューティングエンティティ」は、本開示で前に定義したような任意のコンピューティングシステム、コンピューティングシステム上で走る任意のモジュール又はモジュール群の組合せであり得る。
【0091】
よくある慣習によれば、図面で示されたさまざまな特徴は、かならずしも縮尺通りに描かれてはいない。本開示で提示された図示は、特定の装置(例えばデバイス、システム等)又は方法の実際の外観であるとは意図されておらず、開示のさまざまな実施形態を記載するために採用された理想化された表現に過ぎない。したがって、さまざまな特徴の寸法は、明瞭さのために、適宜、大きくされたり、小さくされたりしているかもしれない。加えて、図面のいくつかは、明瞭さのために簡略化されているかもしれない。よって、図面は、与えられた装置(例えばデバイス)の要素の全て又は特定の方法の全ての操作を描いていないかもしれない。
【0092】
本開示で、特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体)で用いられる語は、一般には「オープンな」語であると意図されている(例えばとりわけ、「含む(including)」という語は、「含むがこれらには限定されない」と解釈されるべきであ
り、「有する(having)」という語は、「少なくとも有し」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という語は、「含むがこれらには限定されない」と解釈されるべきである)。
【0093】
追加として、もし導入されたクレームの記載の特定の個数が意図されるなら、そのような意図は、当該クレームで明示的に記載されるはずであり、そのような記載がない以上、そのような意図が存在するものではない。例えば、理解の助けになるよう、以下の添付の特許請求の範囲は、クレーム記載を導入するために「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」という導入句の使用を含み得る。
【0094】
追加として、仮に、導入された特許請求の範囲の記載の具体的な個数が明示的に記載されていたとしても、そのような記載は、少なくとも記載された個数を意味すると解釈されるべきであると当業者であれば理解できよう(例えば「2個の記載」という他の修飾語がない、裸の記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ」、又は「A、B、及びC等のうちの1つ以上の」に類する表記が用いられる場合においては、一般にそのような構文は、Aだけを、Bだけを、Cだけを、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、又はA、B、及びCを共に、等のように含むよう意図されている。
【0095】
さらに、2つ以上の代替の語を提示する任意の選言的な語又は句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面のどこにおいてであろうとも、その語のうちの1つ、その語のうちのいずれか、又は両方の語を含む可能性を想定するものと理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される
べきである。
【0096】
しかし、そのような句の使用は、仮に同じクレームが「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句及び「a」又は「an」のような不定冠詞を含むときであっても、不定冠詞「a」又は「an」によるクレームの記載の導入が、そのように導入されたクレームの記載を含む任意の特定のクレームが、そのような記載を1つだけしか含まないように限定することを示唆すると解釈されるべきではない(例えば「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、クレームの記載を導入するのに用いられる定冠詞の使用についてもあてはまる。
【0097】
追加として、「第1」、「第2」、「第3」等の語の使用は、要素の具体的な順序又は個数を示唆するようには必ずしもここでは用いられていない。一般に、「第1」、「第2」、「第3」等の語は、一般的な識別子として異なる要素を区別するのに用いられる。「第1」、「第2」、「第3」等が具体的な順序を示唆するという証拠が存在しない限り、これら語は、具体的な順序を示唆しないと理解されるべきである。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の語が特定の個数を示唆するという証拠が存在しない限り、これら語は、要素の具体的な個数を示唆すると理解されるべきではない。例えば、第1装置は、第1側面を有するように記載され得て、第2装置は、第2側面を有するように記載され得る。第2装置についての「第2側面」という語の使用は、第2装置のそのような側面を、第1装置の「第1側面」と区別するためになされることかもしれず、第2装置が2つの側面を有することを示唆しない。
【0098】
本開示で記載された全ての例及び条件的文言は、読者が、技術の発展のために本発明者によって寄与された本発明及び概念を理解するのを助ける教育目的が意図されており、そのような具体的に記載された例及び条件に対する限定がないように解釈されるべきである。本開示の実施形態は、詳細に説明されてきたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、及び改変がそれらになされ得ることが理解されるべきである。