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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】充電方法、電子装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20221124BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20221124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221124BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221124BHJP
   G01R 31/378 20190101ALI20221124BHJP
   G01R 31/389 20190101ALI20221124BHJP
【FI】
H01M10/44 Q
H02J7/10 H
H02J7/00 S
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/378
G01R31/389
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021516764
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2019115556
(87)【国際公開番号】W WO2021056688
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】201910934524.0
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 珊
(72)【発明者】
【氏名】関 ▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 飛
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-345634(JP,A)
【文献】特開2002-050407(JP,A)
【文献】特開2013-081316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G01R 31/36-31/396
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの充電方法であって、
n回目の充放電サイクル中、第一の充電電流Iで前記バッテリーを充電するステップであって、nは0より大きい整数であるステップと、
n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電するステップであって、mは1以上の所定の整数であり、I=k×I、0.5≦k≦1、Iは第三の充電電流であるステップと、を含み、
前記第三の充電電流Iは、同じ荷電状態での第一の最大充電電流Imax1及び第二の最大充電電流Imax2のうちの小さいものであり、
前記第一の最大充電電流Imax1は、前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流であり、
前記第二の最大充電電流Imax2は、前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流である、ことを特徴とするバッテリーの充電方法。
【請求項2】
前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流は、
前記バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得するステップと、
前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定するステップと、
異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーがn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得するステップと、
によって取得される、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項3】
バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得する前記ステップは、
前記バッテリーを完全放電状態まで放電した後、所定の温度下において第一の所定の電流で前記バッテリーを完全充電状態まで充電する第一の充電ステップと、
第二の所定の電流で前記バッテリーを完全放電状態まで放電する第一の放電ステップと、
前記第一の充電ステップ及び第一の放電ステップを所定の回数循環して行った後、前記バッテリーにリチウム析出が生じたか否かを決定する循環ステップと、
前記バッテリーにリチウム析出が生じると、前記バッテリーの前記所定の温度においての前記リチウム析出充電レートを決定する第一の決定ステップと、
前記所定の温度を変え、前記第一の充電ステップ~前記第一の決定ステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記リチウム析出充電レートを得る第一の繰り返しステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の充電方法。
【請求項4】
前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定する前記ステップは、
前記所定の温度において、前記所定の温度に対応する前記リチウム析出充電レートで前記バッテリーを充電する第二の充電ステップと、
前記バッテリーの充電過程での陽極電位を監視する監視ステップと、
前記陽極電位の変化に応じて、前記バッテリーの前記所定の温度においての陽極リチウム析出電位を決定する第二の決定ステップと、
前記所定の温度を変え、前記第二の充電ステップ~前記第二の決定ステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記陽極リチウム析出電位を得る第二の繰り返しステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項3に記載の充電方法。
【請求項5】
異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーが異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得する前記ステップは、
所定の温度において、所定の初期充電電流で前記バッテリーを充電するステップと、
n回目の充放電サイクルの充電過程において、前記バッテリーの陽極電位を前記所定の温度に対応する前記陽極リチウム析出電位に維持するように制御するステップと、
前記所定の温度において、前記バッテリーが前記充電過程における異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を監視して取得するステップと、
前記所定の温度を変え、上記ステップを繰り返して行って、異なる温度において、前記バッテリーが前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の充電方法。
【請求項6】
前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流は、
前記バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得するステップと、
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得するステップであって、nは0以上の整数であるステップと、
前記バッテリー分極抵抗及び前記陽極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を計算するステップと、
前記バッテリーの異なる荷電状態での陰極開回路電圧及び前記バッテリーの陰極限界電位を取得するステップと、
前記陰極開回路電圧、前記陰極限界電位及び前記陰極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算するステップとによって取得される、ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項7】
前記バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得する前記ステップは、
前記バッテリーの陽極の荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得するステップと、
所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーの陽極の放電曲線を取得するステップと、
前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得るステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の充電方法。
【請求項8】
前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得るステップは、
前記陽極のSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記陽極の放電曲線に対して正規化処理を行う第一の処理ステップと、
前記陽極のSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記陽極の放電曲線に基づいて、ある荷電状態での陽極開回路電圧及び陽極放電電位をそれぞれ得る第一の取得ステップと、
前記陽極開回路電圧及び前記陽極放電電位に基づいて、前記荷電状態での前記陽極分極抵抗を計算する第一の計算ステップであって、前記陽極分極抵抗は、前記陽極開回路電圧から前記陽極放電電位を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したものに等しい第一の計算ステップと、
前記荷電状態を変え、前記第一の取得ステップ~前記第一の計算ステップを繰り返して行って、前記バッテリーの異なる荷電状態での前記陽極分極抵抗を得る第一の繰り返しステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の充電方法。
【請求項9】
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得する前記ステップは、
前記バッテリーの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得するステップと、
所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電曲線を取得するステップと、
前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係及び前記放電曲線に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得るステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の充電方法。
【請求項10】
前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係及び前記放電曲線に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る前記ステップは、
前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記バッテリーの放電曲線に対して正規化処理を行う第二の処理ステップと、
前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリー開回路電圧及びバッテリー電圧をそれぞれ得る第二の取得ステップと、
前記バッテリー開回路電圧及び前記バッテリー電圧に基づいて、当該荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を計算する第二の計算ステップであって、前記バッテリー分極抵抗は、前記バッテリー開回路電圧から前記バッテリー電圧を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したものに等しい第二の計算ステップと、
前記荷電状態を変え、前記第二の取得ステップ~前記第二の計算ステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る第二の繰り返しステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の充電方法。
【請求項11】
前記バッテリー分極抵抗及び前記陽極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を計算する前記ステップは、
前記バッテリーのある荷電状態での前記陽極分極抵抗を取得する第一の取得ステップと、
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を取得する第二の取得ステップと、
前記バッテリー分極抵抗から前記陽極分極抵抗を減算して前記陰極分極抵抗を得る第三の計算ステップと、
前記荷電状態を変え、前記第一の取得ステップ~前記第三の計算ステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記陰極分極抵抗を得る第三の繰り返しステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の充電方法。
【請求項12】
前記陰極開回路電圧、前記陰極限界電位及び前記陰極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算する前記ステップは、
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中のある荷電状態での前記陰極分極抵抗Rを取得するステップと、
前記バッテリーの前記荷電状態での前記陰極開回路電圧OCVを取得するステップと、
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算するステップと、
前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の充電方法。
【請求項13】
前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する前記第二の最大充電電流Imax2を以下の式:
前記第二の最大充電電流Imax2=(U-OCV)/R
(ここで、Uは前記陰極限界電位である)
で計算する、ことを特徴とする請求項12に記載の充電方法。
【請求項14】
前記第三の充電電流Iは、
荷電状態で、前記第一の最大充電電流Imax1と前記第二の最大充電電流Imax2とを比較するステップと、
前記第一の最大充電電流Imax1と前記第二の最大充電電流Imax2のうちの小さいものを前記バッテリーの前記荷電状態での前記第三の充電電流Iとするステップと、
前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して、前記バッテリーの異なる荷電状態での前記第三の充電電流Iを決定するステップと、
前記荷電状態と前記第三の充電電流Iとの対応関係を作成するステップとに基づいて取得されるステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項15】
n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流で前記バッテリーを充電する前記ステップは、
n+m回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの充電過程での荷電状態をN個の区間に分けるステップと、
前記対応関係に基づいて、前記N個の区間のうちの各区間の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流Iを取得するステップと、
各前記区間内の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流Iの最小値を取得し、該最小値とkの積を対応する前記区間の前記第二の充電電流Iとするステップであって、0.5≦k≦1であるステップと、
n+m回目の充放電サイクル中、各前記区間に対応する前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを完全充電状態まで充電するステップと、
を含む、ことを特徴とする請求項14に記載の充電方法。
【請求項16】
各前記区間の充電容量は、対応する前記区間の2つの端点に対応する前記荷電状態の差の絶対値を前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量Qと乗じたものに等しく、前記バッテリーを完全充電状態まで充電するときの充電カットオフ容量は、前記放電容量Qである、ことを特徴とする請求項15に記載の充電方法。
【請求項17】
電子装置であって、
バッテリーと、
請求項1~16のいずれかに記載の充電方法を行って前記バッテリーを充電するためのプロセッサと、
を備える、ことを特徴とする電子装置。
【請求項18】
少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶される記憶媒体であって、
前記命令は、プロセッサによりロードされ、請求項1~16のいずれかに記載の充電方法を行うために用いられる、ことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月29日に提出され、出願番号が201910934524.0で、発明名称が「充電方法、電子装置及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容が引用により本出願に組み込まれている。
【0002】
本出願は、バッテリー技術分野に関し、特にバッテリーの充電方法、電子装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術では、バッテリー充電方法は、一般的に、定電流定電圧充電方法または急速充電方法である。上記2つの方法は、いずれもバッテリー陽極を保護する角度からバッテリーを充電する。しかし、陽極を保護する角度から、バッテリーにリチウム析出現象が生じないことを確保することができ、バッテリーの性能に大幅に寄与するが、陽極角度から限界電流を決定すると、陰極及び電解液などの材料を保護することができず、バッテリーのサイクル寿命に大きい影響をもたらすか恐れがある。従って、陽極の角度からバッテリーを保護できるとともに、陰極の角度からバッテリーを保護できる充電方法を提案する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、バッテリーのサイクル充放電過程を保護することができ、バッテリーのサイクル寿命を確保することができる、バッテリーの充電方法、電子装置及び記憶媒体を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実施形態によれば、バッテリーの充電方法であって、n回目の充放電サイクル中、第一の充電電流Iで前記バッテリーを充電するステップであって、nは0以上の整数であるステップと、n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電するステップであって、mは1以上の所定の整数であり、I=k×I、0.5≦k≦1、Iは第三の充電電流であるステップとを含み、前記第三の充電電流Iは、同じ荷電状態での第一の最大充電電流及び第二の最大充電電流のうちの小さいものであり、前記第一の最大充電電流Imax1は、前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流であり、前記第二の最大充電電流Imax2は、前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流である、バッテリーの充電方法が提供される。
【0006】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流は、前記バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得するステップと、前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定するステップと、異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーがn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得するステップと、によって取得される。
【0007】
本出願のいくつかの実施形態によれば、バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得する前記ステップは、前記バッテリーを完全放電状態まで放電した後、所定の温度下において第一の所定の電流で前記バッテリーを完全充電状態まで充電する第一の充電ステップと、第二の所定の電流で前記バッテリーを完全放電状態まで放電する第一の放電ステップと、前記第一の充電ステップ及び第一の放電ステップを所定の回数循環して行った後、前記バッテリーにリチウム析出が生じたか否かを決定する循環ステップと、前記バッテリーにリチウム析出が生じると、前記バッテリーの前記所定の温度においての前記リチウム析出充電レートを決定する第一の決定ステップと、前記所定の温度を変え、前記第一の充電ステップ~前記第一の繰り返しステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記リチウム析出充電レートを得る第一の繰り返しステップとを含む。
【0008】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定する前記ステップは、前記所定の温度において、前記所定の温度に対応する前記リチウム析出充電レートで前記バッテリーを充電する第二の充電ステップと、前記バッテリーの充電過程での陽極電位を監視する監視ステップと、前記陽極電位の変化に応じて、前記バッテリーの前記所定の温度においての陽極リチウム析出電位を決定する第二の決定ステップと、前記所定の温度を変え、前記第二の充電ステップ~前記第二の繰り返しステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記陽極リチウム析出電位を得る第二の繰り返しステップと、を含む。
【0009】
本出願のいくつかの実施形態によれば、異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーが異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得する前記ステップは、所定の温度において、所定の初期充電電流で前記バッテリーを充電するステップと、n回目の充放電サイクルの充電過程において、前記バッテリーの陽極電位を前記所定の温度に対応する前記陽極リチウム析出電位に維持するように制御するステップと、前記所定の温度において、前記バッテリーが前記充電過程における異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を監視して取得するステップと、前記所定の温度を変え、上記ステップを繰り返して行って、異なる温度において、前記バッテリーが前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流を取得するステップとを含む。
【0010】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流は、前記バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得するステップと、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得するステップであって、nは0以上の整数であるステップと、前記バッテリー分極抵抗及び前記陽極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を計算するステップと、前記バッテリーの異なる荷電状態での陰極開回路電圧及び前記バッテリーの陰極限界電位を取得するステップと、前記陰極開回路電圧、前記陰極限界電位及び前記陰極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算するステップとによって取得される。
【0011】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得する前記ステップは、前記バッテリーの陽極の荷電状態(state of charge,SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得するステップと、所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーの陽極の放電曲線を取得するステップと、前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得るステップとを含む。
【0012】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得る前記ステップは、前記陽極のSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記陽極の放電曲線に対して正規化処理を行う第一の処理ステップと、前記陽極のSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記陽極の放電曲線に基づいて、ある荷電状態での陽極開回路電圧及び陽極放電電位をそれぞれ得る第一の取得ステップと、前記陽極開回路電圧及び前記陽極放電電位に基づいて、前記荷電状態での前記陽極分極抵抗を計算する第一の計算ステップであって、前記陽極分極抵抗は、前記陽極開回路電圧から前記陽極放電電位を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したものに等しい第一の計算ステップと、前記荷電状態を変え、前記第一の取得ステップ~前記第一の繰り返しステップを繰り返して行って、前記バッテリーの異なる荷電状態での前記陽極分極抵抗を得る第一の繰り返しステップとを含む。
【0013】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得する前記ステップは、前記バッテリーの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得するステップと、所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電曲線を取得するステップと、前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係及び前記放電曲線に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得るステップとを含む。
【0014】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係及び前記放電曲線に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る前記ステップは、前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記バッテリーの放電曲線に対して正規化処理を行う第二の処理ステップと、前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリー開回路電圧及びバッテリー電圧をそれぞれ得る第二の取得ステップと、前記バッテリー開回路電圧及び前記バッテリー電圧に基づいて、前記バッテリー分極抵抗を計算する第二の計算ステップであって、前記バッテリー分極抵抗は、前記バッテリー開回路電圧から前記バッテリー電圧を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したものに等しい第二の計算ステップと、前記荷電状態を変え、前記第二の取得ステップ~前記第二の繰り返しステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る第二の繰り返しステップとを含む。
【0015】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリー分極抵抗及び前記陽極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を計算する前記ステップは、前記バッテリーのある荷電状態での前記陽極分極抵抗を取得する第一の取得ステップと、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を取得する第二の取得ステップと、前記バッテリー分極抵抗から前記陽極分極抵抗を減算して前記陰極分極抵抗を得る第三の計算ステップと、前記荷電状態を変え、前記第一の取得ステップ~前記第三の繰り返しステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記陰極分極抵抗を得る第三の繰り返しステップと、を含む。
【0016】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記陰極開回路電圧、前記陰極限界電位及び前記陰極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算する前記ステップは、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中のある荷電状態での前記陰極分極抵抗Rを取得するステップと、前記バッテリーの前記荷電状態での前記陰極開回路電圧OCVを取得するステップと、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を計算するステップと、前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流を得るステップとを含む。
【0017】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する前記第二の最大電流Imax2を以下の式で計算する;前記第二の最大電流Imax2=(U-OCV)/R、ここで、Uは前記陰極限界電位である。
【0018】
本出願のいくつかの実施形態によれば、前記第三の充電電流Iは、荷電状態で、前記第一の最大充電電流Imax1と前記第二の最大充電電流Imax2とを比較するステップと、前記第一の最大充電電流Imax1と前記第二の最大充電電流Imax2のうちの小さいものを前記バッテリーの前記荷電状態での前記第三の充電電流Iとするステップと、前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して、前記バッテリーの異なる荷電状態での前記第三の充電電流Iを決定するステップと、前記荷電状態と前記第三の充電電流Iとの対応関係を作成するステップとに基づいて取得される。
【0019】
本出願のいくつかの実施形態によれば、n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流で前記バッテリーを充電する前記ステップは、n+m回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの充電過程での荷電状態をN個の区間に分けるステップと、前記対応関係に基づいて、前記N個の区間のうちの各区間の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流Iを取得するステップと、各前記区間内の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流Iの最小値を取得し、該最小値とkの積を対応する前記区間の前記第二の充電電流Iとするステップであって、0.5≦k≦1であるステップと、n+m回目の充放電サイクル中、各前記区間に対応する前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを完全充電状態まで充電するステップとを含む。
【0020】
本出願のいくつかの実施形態によれば、各前記区間の充電容量は、対応する前記区間の2つの端点に対応する前記荷電状態の差の絶対値を前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量Qと乗じたものに等しく、前記バッテリーを完全充電状態まで充電するときの充電カットオフ容量は、前記放電容量Qである。
【0021】
本出願の一実施形態によれば、電子装置であって、バッテリーとプロセッサとを備え、前記プロセッサは、上述の充電方法を行って前記バッテリーを充電するために用いられる電子装置が提供される。
【0022】
本出願の一実施形態によれば、少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶される記憶媒体であって、前記命令は、プロセッサによりロードされ、上述の充電方法を行うために用いられる、記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0023】
上記バッテリーの充電方法、電子装置及び記憶媒体は、従来技術に比べて、バッテリーの陰極と電解液の副反応を抑制し、陽極にリチウムを析出しないことを確保することを統合的に配慮した上で、バッテリーを充電する充電電流を決定し、決定された充電電流で前記バッテリーを充電し、新鮮なバッテリー及びサイクル使用後のバッテリーに対して急速充電を行うことが実現できるとともに、バッテリーが急速充電されても、長いサイクル寿命を有することを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本出願の一実施形態に係る電子装置の構成模式図である。
図2】本出願の一実施形態に係るバッテリーの充電方法のフローチャートである。
図3】バッテリーの荷電状態と開回路電圧との関係曲線図である。
図4】バッテリーの放電曲線図である。
図5】バッテリーの荷電状態と陽極分極抵抗との関係曲線図である。
図6】本出願におけるバッテリーの荷電状態とバッテリー分極抵抗との関係曲線図である。
図7】本出願に基づいて決定される充電電流の曲線図である。
図8】本出願での実施例1の充電方法及び比較例1の従来の方法で、それぞれ新鮮なバッテリー及び充電対象バッテリーを充電するに必要な時間の比較図である。
図9】それぞれ比較例1の従来の方法及び本出願の実施例1の充電方法を用いて、バッテリーに対して充放電を行うバッテリー容量減衰の比較模式図である。
図10】本出願の一実施形態に係る充電システムのモジュール図である。 以下の発明を実施するための形態では、上記図面を組み合わせて本出願についてさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、本出願において現れたいくつかの専門用語を解釈して説明し、本出願の理解を助けるために用いられる。
【0026】
本出願の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照して、本出願をさらに詳細に説明する。理解すべきことは、ここで説明された具体的な実施例は本出願を説明するものにすぎず、本出願を限定するためのものではない。本出願における実施例に基づいて、創造的労働をせずに当業者に得られた全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0027】
さらに、本明細書において、用語「含む」、「含んでいる」、またはその何らの他の変形は、非排他的な「含んでいる」を意図しており、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、その要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素をさらに含み、またはこのプロセス、方法、物品または装置の固有の要素を含むことに留意すべきである。より多くの制限がない場合、「…を含む」という文によって限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品、または装置において、さらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0028】
図1に示すように、充電システム10は、電子装置1において実行される。前記電子装置1は、メモリ11と、少なくとも1つのプロセッサ12と、バッテリー13とを備え、上記素子間は、バスを介して接続されてもよいし、直接接続されてもよい。
【0029】
一実施形態では、前記電子装置1は、少なくとも1つのプロセッサ12とバッテリー13とを備えてもよいがこれらに限られない。前記少なくとも1つのプロセッサ12とバッテリー13との間は、バスを介して接続されてもよいし、直接接続されてもよい。
【0030】
なお、図1は、例示的に説明される電子装置1である。他の実施例では、電子装置1は、より多く又は少ない素子をさらに備えてもよく、又は、異なる素子構成を有してもよい。前記電子装置1は、電動バイク、電動自転車、電気自動車、携帯電話、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、パーソナルコンピュータ、又は任意の他の適切な充電可能式装置であってもよい。
【0031】
一実施例では、前記バッテリー13は、前記電子装置1に電気エネルギーを提供するための充電式バッテリーである。たとえば、前記バッテリー13は、リチウムイオンバッテリー、リチウムポリマーバッテリー及びリン酸鉄リチウムバッテリーなどであってもよい。前記バッテリー13は、少なくとも1つのバッテリーセル(battery cell)を含み、サイクル再充電可能な形態を用いることができる。前記バッテリー13は、電源管理システムを介して前記プロセッサ12に論理的に接続され、それにより、前記電源管理システムによって、充電、放電、及び電力管理などの機能を実現する。
【0032】
図示しないが、前記電子装置1は、ワイヤレスフィディリティー(Wireless Fidelity、WiFi)ユニット、ブルートゥース(登録商標)ユニット、スピーカなどの他のユニットを備えてもよく、ここで、一つずつ説明しない。
【0033】
図2を参照し、図2は、本出願の一実施形態に係るバッテリーの充電方法のフローチャートである。異なるニーズに応じて、前記フローチャートにおけるステップの順序を変更することができ、あるステップを省略することができる。前記バッテリーの充電方法、ステップS1及びステップS2を含むことができる。
【0034】
ステップS1、n回目の充放電サイクル中、第一の充電電流Iで前記バッテリーを充電し、nは0以上の整数である。
【0035】
本実施の形態では、前記第一の充電電流Iは、バッテリーに関連している。たとえば、前記バッテリーがリチウムイオンバッテリーである場合、前記リチウムイオンバッテリーの充電過程は、第一の段階の定電流充電、すなわち、一定の第一の充電電流Iで前記リチウムイオンバッテリーを充電することを含む。充電過程で、前記リチウムイオンバッテリーの電圧が徐々に高くなる。たとえば、前記リチウムイオンバッテリー端子の電圧がカットオフ電圧(例えば、4.2V)に達すると、第二の段階の定電圧充電に入り、すなわち、前記リチウムイオンバッテリーの電圧を4.2Vに維持するが、前記第一の充電電流Iは、前記リチウムイオンバッテリーのバッテリーコアの飽和程度に基づいて、充電過程とともに徐々に減少し、カットオフ電流(例えば、0.01C)まで減少するとき、充電を停止する。
【0036】
ステップS2、n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電し、mは1以上の所定の整数であり、I=k×I、0.5≦k≦1、Iは第三の充電電流である。前記第三の充電電流Iは、同じ荷電状態での第一の最大充電電流Imax1及び第二の最大充電電流Imax2のうちの小さいものであり、前記第一の最大充電電流Imax1は、前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流であり、前記第二の最大充電電流Imax2は、前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流である。
【0037】
他の実施形態では、0.8≦k≦1、kが大きいほど、バッテリーを完全充電状態まで充電するために必要な充電時間が短くなる。
【0038】
本実施の形態では、以下の方法によって、前記バッテリーの陽極が前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流(すなわち、第一の最大充電電流Imax1)を取得することができ、具体的には、以下のとおりである。
(1)前記バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得する。
【0039】
具体的には、バッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得する前記方法は、ステップ(a1)~ステップ(d1)を含む。
【0040】
(a1)前記バッテリーを完全放電状態まで放電した後、所定の温度下において第一の所定の電流で前記バッテリーを完全充電状態まで充電する。前記第一の所定の電流は、1C、1.1Cまたは1.2Cであってもよい。なお、Cは、充放電レートであり、前記充放電レートとは、規定される時間内に定格容量まで充電するか、又は定格容量まで放電するときに必要な電流値であり、前記充放電レートの値が充放電電流/バッテリーの定格容量に等しい。たとえば、定格容量が10Ahのバッテリーは、2Aで放電されると、放電レートが0.2Cであり、20Aで放電されると、放電レートが2Cである。なお、前記した所定の温度下において第一の所定の電流で前記バッテリーを完全充電状態まで充電することとは、前記バッテリーの残量を100%まで充電することである。
【0041】
(b1)第二の所定の電流で前記バッテリーを完全放電状態まで放電する。前記第二の所定の電流は、0.2Cであってもよいし、他の電流であってもよい。本実施の形態では、前記完全放電状態は、前記バッテリーを放電した後、前記バッテリーの残量が0であることである。他の実施形態では、前記完全放電状態は、前記バッテリーを所定の残量または所定の電圧まで放電することであってもよい。
【0042】
(c1)(a1)ステップ及び(b1)ステップを所定の回数循環して行った後、前記バッテリーにリチウム析出が生じたか否かを決定する。前記バッテリーを5~10回サイクル充放電した後、前記バッテリーを満充電し、次に前記バッテリーを解体し、前記バッテリーの陽極磁極片にリチウム析出現象が生じたか否かを観察する。前記陽極磁極片にリチウム析出現象が生じると、前記バッテリーにリチウム析出現象が生じたことを確認し、前記陽極磁極片にリチウム析出現象が生じていないと、前記バッテリーにリチウム析出現象が生じたことを確認する。なお、前記バッテリーにリチウム析出が生じたか否かを決定する方法は、上記バッテリー解体方法に限られず、他の任意の実現可能な方法であってもよい。たとえば、バッテリーの電圧変化状況を監視することで、リチウム析出が生じたか否かを決定する方法である。なお、前記した前記バッテリーを満充電することとは、前記バッテリーの残量を100%まで充電することである。
【0043】
(d1)前記バッテリーにリチウム析出が生じると、前記バッテリーの前記所定の温度においての前記リチウム析出充電レートを決定し、次に前記所定の温度を変え、(a1)ステップ~前記(d1)ステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記リチウム析出充電レートを得る。
【0044】
(2)前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定する。
【0045】
本実施の形態では、三電極系により前記バッテリーの充電過程での陽極電位を監視し、それにより、前記バッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定するステップは、具体的には、(a2)ステップ~(d2)ステップである。
【0046】
(a2)前記所定の温度下(例えば、摂氏25度)において、前記所定の温度に対応する前記リチウム析出充電レートで前記バッテリーを充電する。
【0047】
(b2)前記バッテリーの充電過程での陽極電位を監視する。
【0048】
(c2)前記陽極電位の変化に応じて、前記バッテリーの前記所定の温度においての陽極リチウム析出電位を決定する。前記所定の温度下(例えば、25度)において、前記所定の温度に対応する前記リチウム析出充電レートで前記バッテリーを充電し、三電極系を用いて充電過程における陽極電位を監視し、取得される陽極電位の最小値を前記所定の温度においての陽極リチウム析出電位とする方法を用いて、陽極リチウム析出電位を決定する。
【0049】
(d2)前記所定の温度を変え、(a2)ステップ~(d2)ステップを繰り返して行い、前記バッテリーの異なる温度においての前記陽極リチウム析出電位を得る。
【0050】
(3)異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーがn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でリチウムを析出しないときの最大電流(すなわち、第一の最大充電電流Imax1)を取得する。
【0051】
一実施形態では、異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第一の最大充電電流を取得する方法は、ステップ(a3)~ステップ(d3)を含む。
【0052】
(a3)所定の温度において、所定の初期充電電流(例えば、1C)で前記バッテリーを充電する。
【0053】
(b3)n回目の充放電サイクルの充電過程において、前記バッテリーの陽極電位を前記所定の温度に対応する前記陽極リチウム析出電位に維持するように制御し、前記バッテリーに対して定電圧充電を行う。
【0054】
(c3)前記所定の温度において、前記バッテリーの前記充電過程における異なる荷電状態での第一の最大充電電流を監視して取得する。
【0055】
(d3)前記所定の温度を変え、上記(a3)~(d3)ステップを繰り返して行って、異なる温度において、記バッテリーの前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第一の最大充電電流を取得し、前記温度と、前記荷電状態と、前記第一の最大充電電流との対応関係を作成する。
【0056】
なお、前記所定の温度を変えた後、n-1回充放電サイクルが行われたバッテリーを用いて、上記(a3)~(d3)ステップを繰り返して行い、それにより、異なる温度において、前記バッテリーの前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第一の最大充電電流を取得する。
【0057】
他の実施形態では、新鮮なバッテリーを用いて、前記第一の最大充電電流を取得してもよい。具体的には、新鮮なバッテリーを用いることで、前記第一の最大充電電流を取得する方法は、新鮮なバッテリーの異なる温度においてのリチウム析出充電レートを取得するステップと、前記リチウム析出充電レートに基づいて、前記新鮮なバッテリーの異なる温度においての陽極リチウム析出電位を決定するステップと、異なる温度において、前記陽極リチウム析出電位に基づいて、前記新鮮なバッテリーの異なる荷電状態での第一の最大充電電流を取得するステップとを含む。前記新鮮なバッテリーとは、出荷したばかりで、サイクル使用されていないバッテリーであるか、又は、出荷後に充放電サイクル回数が所定の回数(例えば、10回であり、他の回数であってもよい)より小さいバッテリーである。また、同様に、上記(a3)~(d3)と同様なステップを用いて、異なる温度において、前記新鮮なバッテリーの異なる荷電状態での第一の最大充電電流を取得し、前記温度と、前記荷電状態と前記第一の最大充電電流との対応関係を作成してもよい。
【0058】
本実施の形態では、前記n回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態で、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制する最大電流(すなわち、第二の最大充電電流Imax2)を取得し、副反応は、陰極材料において生じてもよく、電解液において生じてもよく、陰極材料と電解液との間に生じてもよい。
【0059】
本実施の形態では、バッテリー陰極を保護する角度から、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第二の最大充電電流を取得することができる。バッテリーの充電過程での電圧が高すぎるとき、前記バッテリーの陰極が副反応を生じ、該副反応が前記バッテリーを破損するため、前記バッテリーの寿命に悪い影響を与える。たとえば、前記電圧が前記バッテリーの陰極材料及び電解液が耐えられる最大電圧を超えるとき、前記バッテリーの陰極材料及び電解液が破損してしまう。また例えば、バッテリーにおける電解液が副反応を加速する。従って、前記バッテリーの充電過程において、バッテリーの陽極を保護する必要があるだけではなく、保護バッテリーの陰極を保護する必要もある。
【0060】
具体的には、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第二の最大充電電流を取得する方法は、ステップ(1)~ステップ(5)を含む。
(1)バッテリーの異なる荷電状態(SOC)での陽極分極抵抗を取得する。
【0061】
具体的には、前記バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得する方法は、前記バッテリーの陽極の荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得するステップと、所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーの陽極の放電曲線を取得するステップと、前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得るステップとを含む。
【0062】
他の実施形態では、新鮮なバッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を前記バッテリーの異なる荷電状態(SOC)での陽極分極抵抗として取得してもよい。バッテリーのサイクル使用過程における陽極分極抵抗の変化は陰極分極抵抗の変化より小さく、且つバッテリー分極抵抗の増加は主に陰極より引き起こされる。従って、前記バッテリーの異なる荷電状態(SOC)での陽極分極抵抗を容易に取得するために、三電極系で監視する方法を用いて、新鮮なバッテリーから異なる荷電状態での陽極分極抵抗を前記バッテリーの異なる荷電状態(SOC)での陽極分極抵抗として取得する。なお、前記新鮮なバッテリーとは、出荷したばかり、サイクル使用されていないバッテリーであるか、又は、出荷後にサイクル充放電回数が所定の回数(例えば、10回であり、他の回数であってもよい)より小さいバッテリーである。新鮮なバッテリーを用いてバッテリーパラメータ(例えば、陽極分極抵抗)を取得し、取得されるパラメータに基づいて計算して、使用寿命が最も長いバッテリーの充電過程での最大充電電流を取得することができる。新鮮なバッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得する前記方法は、バッテリーの異なる荷電状態での陽極分極抵抗を取得する方法と同様であり、ここで、繰り返し説明しない。
【0063】
一実施形態では、以下の方法によって、前記バッテリーの陽極の荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得してもよい。
1)バッテリーを用意し、前記バッテリーを満充電状態まで充電し、次に第一の所定の電流で前記バッテリーを完全放電状態まで放電し、本実施の形態では、前記第一の所定の電流は、小さいレートの電流であり、例えば0.01Cであり、他の電流であってもよい。なお、前記した前記バッテリーを満充電状態まで充電することとは、前記バッテリーの残量を100%まで充電することであり、前記した前記バッテリーを完全放電状態まで放電することとは、前記バッテリーを放電した後、前記バッテリーの残量が0であることである。
【0064】
2)前記バッテリーの上記の充放電過程における電圧及び容量の変化を記録するとともに、三電極系を利用して前記バッテリーの陰極電位及び陽極電位を監視する。
【0065】
3)前記バッテリーの放電過程における荷電状態を取得する。たとえば、前記バッテリーの放電最大容量を前記バッテリーの全容量とし、前記バッテリーの放電過程において時間とともに変化する容量値を前記全容量で除し、前記バッテリーの放電過程における荷電状態を得る。
【0066】
4)それぞれ前記バッテリーの放電過程における異なる荷電状態でのバッテリー電圧と、陰極電位と、陽極電位との対応関係を作成し、図3に示すように、それぞれバッテリーのSOC-OCV曲線、陰極のSOC-OCV曲線及び陽極のSOC-OCV曲線を得る。他の実施例では、他の放電方法で、これらのSOC-OCV曲線を取得してもよい。
【0067】
一実施形態では、以下の方法によって前記バッテリーの陽極の放電曲線を取得してもよい。
1)バッテリーを用意し、前記バッテリーを満充電状態まで充電する。前記バッテリーを満充電状態まで充電することとは、前記バッテリーの残量を100%まで充電することである。
【0068】
2)30min静置させ、静置後に前記バッテリーの電圧を記録し、三電極系を利用して前記バッテリーの陰極電位及び陽極電位を監視する。
【0069】
3)第二の所定の電流で前記バッテリーを完全放電状態まで放電し、前記バッテリーの放電過程における電圧、放電容量、陰極電位及び陽極電位変化を記録する。ここで、前記第二の所定の電流は、0.2Cまたは0.5Cであってもよいし、他の電流であってもよい。前記した前記バッテリーを完全放電状態まで放電することは、前記バッテリー放電後、前記バッテリーの残量が0であることである。
【0070】
4)完全放電後の前記バッテリーを30min静置させ、静置後の前記バッテリーの電圧を記録し、三電極系を利用して前記バッテリーの陰極電位及び陽極電位を監視する。
【0071】
5)放電過程における前記バッテリー電圧と容量またはSOCとの間の対応関係、陰極電位と容量またはSOCとの間の対応関係、及び陽極電位と容量またはSOCとの間の対応関係を作成し、図4に示すように、前記バッテリーの放電曲線、陰極放電曲線及び陽極放電曲線を得る。
【0072】
本実施の形態では、前記陽極のSOC-OCVの対応関係及び前記陽極の放電曲線に基づいて前記陽極分極抵抗を得る前記方法は、ステップ(a1)~ステップ(d1)を含む。
【0073】
(a1)前記陽極のSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記陽極の放電曲線に対して正規化処理を行う。
【0074】
(b1)前記陽極のSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記陽極の放電曲線に基づいて、それぞれある荷電状態での陽極開回路電圧及び陽極電圧を得る。
【0075】
(c1)前記陽極開回路電圧及び前記陽極電圧に基づいて、前記荷電状態での前記陽極分極抵抗を計算する。ここで、前記陽極分極抵抗は、前記陽極開回路電圧から前記陽極電圧を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したもの(すなわち、前記第二の所定の電流)に等しい。
【0076】
(d1)前記荷電状態を変え、図5に示すように、(a1)~(d1)を繰り返して行って前記バッテリーの異なる荷電状態での前記陽極分極抵抗を得る。
【0077】
(2)前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得し、nは0以上の整数である。nが所定の回数(例えば、10回、20回など)より小さいと、前記バッテリーが前記新鮮なバッテリーであると理解することができる。
【0078】
本実施の形態では、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態でのバッテリー分極抵抗を取得する前記ステップは、ステップ(a2)~ステップ(c2)を含む。
【0079】
(a2)前記バッテリーの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得する。なお、バッテリー系が確定された後、前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係が一般的に不変に固定されている。すなわち、前記バッテリーは、n回サイクル充放電されて使用されても、SOC-OCVの対応関係が変化しない。前記バッテリーの荷電状態(SOC)-開回路電圧(OCV)の対応関係を取得する方法については、以上で説明されており、ここで繰り返し説明されない。
【0080】
(b2)前記所定の電流で前記バッテリーを放電し、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電曲線を取得する。なお、前記所定の電流は、上記した第二の所定の電流である。
【0081】
(c2)前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係及び前記放電曲線に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る。
【0082】
具体的には、以下の方法によって、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る。
【0083】
(a3)前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係に基づいて、前記バッテリーの放電曲線に対して正規化処理を行う。
【0084】
(b3)前記バッテリーのSOC-OCVの対応関係、及び正規化処理済みの前記放電曲線に基づいて、ある荷電状態でのバッテリー開回路電圧及びバッテリー電圧をそれぞれ得る。
【0085】
(c3)前記バッテリー開回路電圧及び前記バッテリー電圧に基づいて、前記バッテリー分極抵抗を計算し、前記バッテリー分極抵抗は、前記バッテリー開回路電圧から前記バッテリー電圧を減算して得られた差分を前記所定の電流で除したもの(すなわち、前記第二の所定の電流)に等しい。
【0086】
(d3)前記荷電状態を変え、(a3)~(d3)を繰り返して行って、図6に示すように、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を得る。
【0087】
(3)前記バッテリー分極抵抗及び前記陽極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を計算する。
【0088】
本実施の形態では、前記バッテリーの陰極分極抵抗は、前記バッテリー分極抵抗から前記陽極分極抵抗を減算したものに等しい。
【0089】
具体的には、以下の方法によって、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での陰極分極抵抗を得る。
【0090】
(a4)前記バッテリーのある荷電状態での前記陽極分極抵抗を取得する。
【0091】
(b4)前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態での前記バッテリー分極抵抗を取得する。
【0092】
(c4)前記バッテリー分極抵抗から前記陽極分極抵抗を減算して前記陰極分極抵抗を得る。
【0093】
(d4)前記荷電状態を変え、前記(a4)~(d4)を繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での前記陰極分極抵抗を得る。
【0094】
(4)前記バッテリーの異なる荷電状態での陰極開回路電圧及び前記バッテリーの陰極限界電位を取得する。
【0095】
本実施の形態では、以上で得られたバッテリーの陰極のSOC-OCV曲線に基づいて、前記バッテリーの異なる荷電状態での陰極開回路電圧を取得することができる。
【0096】
一実施形態では、前記バッテリーの陰極限界電位は、前記バッテリーの材料特性により決定される。前記陰極限界電位が前記バッテリーの陰極及び電解液などの材料特性に関連しており、すなわち、陰極材料の安定性を確保できるとともに、電解液の分解量及び陰極と電解液の副反応などを制御することもできることを理解されたい。具体的には、異なる材料(陰極材料及び電解液など)に応じて、CVスキャンを行って材料の酸化反応に対応する電位を得、該電位を前記バッテリーの陰極限界電位としてもよい。又は、それぞれ異なる限界電位を用いて前記バッテリーに対してサイクル充放電テストを行い、前記バッテリーのバッテリーコアのサイクル充放電後の容量減衰が許容可能な範囲内(たとえば、環境温度45℃において、バッテリーが500回サイクル充放電された後、バッテリー容量の減衰が20%より小さい)であることを確保することにより、前記バッテリーのサイクル充放電過程における限界電位を決定してもよい。
【0097】
(5)前記陰極開回路電圧、前記陰極限界電位及び前記陰極分極抵抗に基づいて、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第二の最大充電電流を計算する。
【0098】
本実施の形態では、前記第二の最大充電電流は、前記陰極限界電位から前記陰極開回路電圧を減算して得られた差分を前記陰極分極抵抗で除したものに等しい。
【0099】
具体的には、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第二の最大充電電流を計算するステップは、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中のある荷電状態での前記陰極分極抵抗Rを取得するステップと、前記バッテリーの前記荷電状態での前記陰極開回路電圧OCVを取得するステップと、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態での第二の最大充電電流Imax2を計算するステップと、前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して行って、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の異なる荷電状態での第二の最大充電電流Imax2を得るステップと、を含む。前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の前記荷電状態での第二の最大充電電流Imax2=(U-OCV)/R、ここで、Uは前記陰極限界電位である。
【0100】
本実施の形態では、n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電し、mは1以上の所定の整数であり、I=k×I、0.5≦k≦1、Iは第三の充電電流である。ここで、前記第三の充電電流Iは、同じ荷電状態での前記第一の最大充電電流及び前記第二の最大充電電流のうちの小さいものである。
【0101】
本実施の形態では、前記第一の最大充電電流及び前記第二の最大充電電流に基づいて、前記バッテリーの異なる荷電状態での第三の充電電流を決定するステップは、荷電状態で、前記第一の最大充電電流と前記第二の最大充電電流とを比較するステップと、前記第一の最大充電電流及び前記第二の最大充電電流のうちの小さいものを前記バッテリーの前記荷電状態での第三の充電電流とするステップと、前記荷電状態を変え、上記ステップを繰り返して、図7に示すように、前記バッテリーの異なる荷電状態での第三の充電電流を決定するステップと、前記荷電状態と前記第三の充電電流との対応関係を作成するステップとを含む。
【0102】
次に、n+m回目の充放電サイクル中、前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電する。
【0103】
本実施の形態では、前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電する前、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量を取得し、n回目の充放電サイクルの放電容量をn+m回目の充放電サイクルの充電カットオフ容量とする。たとえば、バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量Qを取得し、前記バッテリーのn+m回目の充放電サイクル中、前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを完全充電状態まで充電し、前記満充電状態での充電カットオフ容量は、前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量Qである。
【0104】
具体的には、n+m回目の充放電サイクル中、前記第二の充電電流Iで前記バッテリーを充電するステップは、n+m回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの充電過程での荷電状態をN個の区間に分けるステップと、前記対応関係に基づいて、前記N個の区間のうちの各区間の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流を取得するステップと、各前記区間内の前記荷電状態に対応する前記第三の充電電流の最小値を取得し、該最小値とkの積を対応する前記区間の前記第二の充電電流とするステップであって、0.5≦k≦1ステップと、n+m回目の充放電サイクル中の充電過程において、各前記区間に対応する前記第二の充電電流で前記バッテリーを完全充電状態まで充電するステップと、を含む。
【0105】
他の実施形態では、0.8≦k≦1、kが大きいほど、バッテリーを完全充電状態まで充電するに必要な充電時間が短くなる。各前記区間の充電容量は、対応する前記区間の2つの端点に対応する前記荷電状態の差の絶対値を前記バッテリーのn回目の充放電サイクル中の放電容量Qと乗じたものに等しく、前記バッテリーを完全充電状態まで充電するときの充電カットオフ容量は、前記放電容量Qである。本実施の形態では、n+m回目の充放電サイクル中、前記バッテリーを充電する電流は、陰極の限界電流を考慮する必要があるほか、陽極の限界電流を考慮する必要がある。従って、前記バッテリーを充電する過程において、前記第二の充電電流を前記バッテリーの陰極及び陽極を保護する限界電流とし、前記第二の充電電流に基づいて前記バッテリーを充電し、それにより、前記バッテリーの陰極及び陽極を保護する役割を果たし、また、前記バッテリーのサイクル寿命を延長させる役割を果たすことができる。前記mは、50以下であってもよいし、他の所定の整数でああってもよく、具体的な状況に応じて決定されてもよい。
【0106】
上記ステップS1及びS2によって、陽極を保護する角度から第一の最大充電電流を計算し、陰極を保護する角度から第二の最大充電電流を計算し、次に前記第一の最大充電電流及び前記第二の最大充電電流に基づいて、バッテリーを充電する第二の充電電流を決定することができる。本出願の技術的解決策は、陽極保護角度及び陰極保護角度の両方から、前記バッテリーのサイクル充放電過程において、限界充電電流の制限条件を提供し、バッテリーの急速充電を確保するとともに、バッテリーのサイクル寿命を確保することができ、バッテリーの長期使用に対して重要な意味を有する。
【0107】
本発明についてさらに説明するために、以下、具体的な実施例を組み合わせて、本出願に係るバッテリーの充電方法について詳細に説明する。
【0108】
比較例1
従来の充電方法(背景技術に記載の定電流定電圧充電方法)を用いて前記バッテリー(ここで、1回充放電サイクルされた新鮮なバッテリーを用いる)を充電する。前記バッテリーの充電過程での環境温度は、45℃を例とする。
【0109】
1)0.7Cの充電電流で前記バッテリーに対して4.45Vまで定電流充電を行い、
2)一定の充電電圧4.45Vでバッテリーに対してカットオフ電流0.05Cまで定電圧充電を行い、
3)5min静置させ、
4)0.5Cの放電電流で前記バッテリーに対してカットオフ電圧(例えば、3.0V)まで定電流放電を行い、
5)5min静置させ、
6)上記ステップ1)~ステップ5)を500回繰り返し、すなわち、前記バッテリーに対して500回サイクル充放電を行う。
【0110】
実施例1
本出願に係るバッテリーの充電方法を用いて前記バッテリーを充電する。なお、前記実施例1に開示されているのは、新鮮なバッテリー(ここでは、1回目の充放電サイクル中を意味する)を用いて第三の充電電流を取得し、該新鮮なバッテリーに対して充放電を行うことであり、この過程における環境温度は、比較例1と同じであり、かつ一定に維持される。
【0111】
(1)前記荷電状態と前記第三の充電電流との対応関係を作成する。
【0112】
1)三電極系及び電位モニターによって、新鮮なバッテリー(バッテリー容量2000mAhを選択する)の陽極電位を常に監視する。前記新鮮なバッテリーは、LiCoOを陰極とし、グラファイトを陽極とし、さらにセパレータ、電解液及び包装ケースなどを追加して製造されてもよく、他の材料の陰極及び陽極を選択して製造されてもよい。
【0113】
2)新鮮なバッテリーの陽極リチウム析出電位を決定し、
3)充電過程において、前記新鮮なバッテリーの陽極電位を前記陽極リチウム析出電位に維持するように制御し、該充電過程における異なる荷電状態での第一の最大充電電流を得、
4)充電過程において、前記バッテリーの陰極材料と電解液の副反応を抑制し、該充電過程における異なる荷電状態での第二の最大充電電流を得、
5)前記第一の最大充電電流及び前記第二の最大充電電流に基づいて、前記バッテリーの異なる荷電状態での第三の充電電流を決定し、荷電状態と第三の充電電流との対応関係を作成する。
【0114】
(2)充電過程
【0115】
1)充電対象バッテリー(すなわち、前記バッテリー)の充電過程の荷電状態を25個の区間に分け、上記対応関係に基づいて、各区間内の荷電状態に対応する第三の充電電流の最小値を取得し、該最小値とkの積を該区間の第二の充電電流とする。たとえば、荷電状態区間が40%~45%であると、取得される充電電流が1.5A(0.75C)であり、荷電状態区間が45%~47%であると、取得される充電電流が1.7A(0.85C)である。
【0116】
2)前記バッテリーの前の充放電サイクルの放電容量Qを取得し、
3)ステップ1)での各荷電状態区間に対応する第二の充電電流で前記バッテリーに対して定電流充電を行い、充電容量が放電容量Qに等しく、
4)5min静置させ、
5)0.5Cの放電電流で前記バッテリーに対して放電カットオフ電圧(例えば、3.0V)まで定電流放電を行い、対応する放電容量Qを次の充放電サイクルの充電容量として取得し、
6)5min静置させ、
7)上記ステップ3)~ステップ6)を500回繰り返し、すなわち、前記バッテリーに対して500回サイクル充放電を行う。
【0117】
実施例2
実施例1と同様であるが、相違点は、実施例2の充電過程のステップ2)でk=0.8を用いることである。
【0118】
実施例3
実施例1と同様であるが、相違点は、実施例2の充電過程のステップ2)でk=0.5を用いることである。
【0119】
比較例2
比較例1と同様であるが、相違点は、200回充放電サイクルされたバッテリーを用いて充放電を行うことである。
【0120】
実施例4
本出願に係るバッテリーの充電方法を用いて前記バッテリーを充電する。なお、前記実施例4開示されているのは、200回サイクル充放電されたバッテリーを用いて第三の充電電流を取得し、該バッテリーに対して充放電を行うことであり、この過程における環境温度は、比較例2と同じであり、かつ一定に維持される。
【0121】
(1)前記荷電状態と前記第三の充電電流との対応関係を作成する。
【0122】
実施例1の(1)と同様であるが、相違点は、200回サイクル充放電されたバッテリーを用いて、前記荷電状態と前記第三の充電電流との対応関係を作成することである。
【0123】
(2)充電過程
【0124】
実施例1の充電過程と同様であるが、相違点は、200回サイクル充放電されたバッテリーを用いて充放電を行うことである。
【0125】
実施例5
実施例4と同様であるが、相違点は、実施例5の充電過程のステップ2)でk=0.5を用いることである。
【0126】
上記比較例1~2及び実施例1~5の充放電過程において、対応するパラメータ(容量保持率及び満充電時間)を取得し、各パラメータをそれぞれ表1に記録する。
【0127】
【0128】
表1から分かるように、本出願の技術的解決策に係る充電方法を用いて、バッテリーを充電するために必要な時間は、従来の方法で前記バッテリーを充電するために必要な時間より著しく短い。たとえば、従来の充電方法を用いる比較例2は、1回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの満充電に必要な時間が82分間であるが、本出願に係る充電方法を用いる実施例4は、1回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの満充電に必要な時間が40分間だけである。また、従来の充電方法を用いる比較例2は、500回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの満充電に必要な時間が98分間であるが、本出願に係る充電方法を用いる実施例4は、500回目の充放電サイクル中、前記バッテリーの満充電に必要な時間が36分間だけである。これからわかるように、充放電サイクル全過程において、本出願に係る充電方法を用いてバッテリーを完全充電状態まで充電するために必要な時間は、従来の方法を用いて前記バッテリーを完全充電状態まで充電するために必要な時間より著しく短い。
【0129】
図8に示すように、図8は、実施例1の充電方法(すなわち、最適化方法)及び前記比較例1の従来の方法(すなわち、背景技術に記載の定電流定電圧充電方法)により、新鮮なバッテリー及び充電対象バッテリー(すなわち、前記バッテリー)を充電するために必要な時間の比較図である。前記充電対象バッテリーは、新鮮なバッテリーに対して500回サイクル充放電行って得られるバッテリーである。図8から分かるように、左から右への初めての柱は、従来の方法を用いて新鮮なバッテリーを充電する過程において、定電流充電段階に必要な時間が0.48時間であり、定電圧充電段階に必要な時間が0.82時間であり、前記新鮮なバッテリーを満充電するために合計1.3時間充電する必要があることを表す。2番目の柱は、本出願に係る充電方法を用いて前記新鮮なバッテリーを充電すると、0.72時間だけで、前記新鮮なバッテリーを満充電することができることを表し、充電時間を大幅に縮めた。500回サイクル充放電されたバッテリーの場合、3番目の柱は、従来の方法を用いて前記充電対象バッテリーを充電する過程において、定電流充電段階に必要な時間が0.37時間であり、定電圧充電段階に必要な時間が1.13時間であり、前記バッテリーを満充電するために、合計1.5時間充電する必要があることを表す。4番目の柱は、本出願に係る充電方法を用いて前記充電対象バッテリーを充電すると、0.67時間だけで前記バッテリーを満充電することができることを表し、同様に充電時間を大幅に縮めた。本出願に係る充電方法を用いて前記充電対象バッテリーの充電に必要な充電時間は、前記新鮮なバッテリーの充電に必要な充電時間よりも短い。
【0130】
本出願の技術的解決策に係る充電方法を用いてバッテリーを充電するために必要な時間は、従来の方法で前記バッテリーを充電するために必要な時間より著しく短く、陽極にリチウムが析出しないことを確保するとともに、陰極材料と電解液の副反応を抑制した上で、バッテリーの充電時間を大幅に縮めることができ、急速充電の効果を実現する。図9に示すように、本出願の充電方法を用いることで、バッテリー容量の減衰を減少させ、バッテリーのサイクル寿命を延長させることができる。従来の方法を用いて前記バッテリーに対して充放電を行うとき、前記バッテリーの容量がサイクル回数の増加とともに大幅に減衰し、本出願に係る最適化方法を用いて前記バッテリーに対して充放電を行うとき、前記バッテリーの容量はサイクル回数の増加とともに少なく減衰する。図10を参照し、一実施形態では、前記充電システム10は、1つまたは複数のモジュールに分割されてもよく、前記1つまたは複数のモジュールが前記メモリ11に記憶され、少なくとも1つのプロセッサ(本実施例では、1つのプロセッサ12)により実行され、本出願を完了する。前記1つまたは複数のモジュールは、特定の機能を完了できる一連のコンピュータプログラム命令セグメントであってもよく、前記命令セグメントは、前記充電システム10の前記電子装置1での実行過程を説明するために用いられる。たとえば、前記充電システム10は、図10における第一の充電モジュール101及び第二の充電モジュール102に分割されてもよい。
【0131】
他の実施形態では、前記充電システム10は、1つまたは複数のモジュールに分割されてもよく、前記1つまたは複数のモジュールが前記プロセッサ12に記憶され、前記プロセッサ12により実行され、本出願を完了する。
【0132】
具体的には、前記第一の充電モジュール101は、n回目の充放電サイクル中、第一の充電電流で前記バッテリーを充電するために用いられ、前記第二の充電モジュール102は、n+m回目の充放電サイクル中、第二の充電電流で前記バッテリーを充電するために用いられ、mは1以上の所定の整数であり、I=k×I、0.5≦k≦1、Iは第三の充電電流である。
【0133】
本出願の充電システム10は、バッテリーの陰極と電解液の副反応を抑制するとともに、バッテリーの陽極にリチウムを析出しないことを確保する観点で、バッテリーを充電する第二の充電電流を決定し、前記第二の充電電流で前記バッテリーを充電する。バッテリーの急速充電を確保するとともに、バッテリーが急速充電されても、長いサイクル寿命を有することを確保することができる。具体的な内容については、上記バッテリーの充電方法の実施例を参照することができ、ここで詳述しない。
【0134】
本実施例では、前記メモリ11は、電子装置1の内部メモリ、すなわち、前記電子装置1に内蔵されるメモリであってもよい。他の実施例では、前記メモリ11は、電子装置1の外部メモリ、すなわち、前記電子装置1の外部に接続されるメモリであってもよい。
【0135】
いくつかの実施例では、前記メモリ11は、前記電子装置1にインストールされる充電システム10のプログラムコードなどのプロクラムコード及び様々なデータを記憶するために用いられ、電子装置1の実行過程において、プログラムまたはデータのアクセスを高速かつ自動的に行うことを実現する。たとえば、本実施例では、前記充電システム10は、上記の方法を用いて、前記バッテリーのn+m回目の充放電サイクル中の第二の充電電流を決定し、前記第二の充電電流に基づいて前記バッテリーを充電するために用いられる。
【0136】
いくつかの実施例では、前記メモリ11は、ランダムアクセスメモリを含んでもよいし、ハードディスク、メモリ、プラガブルハードディスク、スマートメディアカード(Smart Media(登録商標) Card、SMC)、セキュリティデジタル(Secure Digital、SD)カード、フラッシュカード(Flash Card)、少なくとも1つの磁気ディスクメモリデバイス、フラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、または他の揮発性固体状態記憶デバイスを含んでもよい。
【0137】
一実施形態では、前記プロセッサ12は、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)であってもよく、他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、専用集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、個別ドア又はトランジスタロジック装置、個別ハードウェアユニットなどであってもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサーであってもよいし、又は、前記プロセッサ12は、他の任意の一般的なプロセッサなどであってもよい。
【0138】
前記充電システム10におけるモジュールがソフトウェア機能ユニットの形態で実現され、独立した製品として販売または使用されると、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このような理解に基づき、本出願は、上記実施例の方法における全部又は一部のプロセスがコンピュータプログラムで関連するハードウェアに命令して実現されてもよく、前記コンピュータプログラムが不揮発性可読記憶媒体に記憶されてもよく、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより行われると、上記各方法実施例のステップを実現することができる。前記コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムコードを含み、前記コンピュータプログラムコードは、ソースコード形態、オブジェクトコード形態、実行可能ファイルまたはある中間形態などであってもよい。前記不揮発性可読記憶媒体は、前記コンピュータ可読命令コードを運ぶ任意のエンティティまたは装置、記録媒体、Uディスク、モバイルディスク、磁気ディスク、光ディスク、コンピュータメモリ、読み出し専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)などを含んでもよい。
【0139】
理解されるように、以上に説明されたモジューの分割は、単なる論理機能の分割であり、実際に実現するときに他の分割形態が可能である。また、本出願の各実施例における各機能モジュールが同じ処理ユニットに集積されてもよく、各モジュールが単独で物理的に存在してもよく、二つ又は二つ以上のモジュールが同じユニットに集積されてもよい。上記集積されたモジュールはハードウェアの形態で実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェア機能モジュールの形態で実現されてもよい。
【0140】
当業者にとって、本出願は上記例示的な実施例の詳細に限定されず、かつ本出願の精神又は基本的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で本出願を実現することができることは明らかである。したがって、どの点から見ても、本出願の上記実施例を例示的、かつ非限定的なものと見なすべきであり、本出願の範囲は上記説明によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものであり、したがって、特許請求の範囲の同等要件の意味及び範囲内にある全ての変化は本出願内に含まれることを意図する。
【符号の説明】
【0141】
1 電子装置
10 充電システム
11 メモリ
12 プロセッサ
13 バッテリー
101 第一の充電モジュール
102 第二の充電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10