(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-22
(45)【発行日】2022-12-01
(54)【発明の名称】画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーション
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20221124BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20221124BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B1/045 614
A61B1/045 618
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2021563362
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2020000061
(87)【国際公開番号】W WO2020215805
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】201910339987.2
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521464721
【氏名又は名称】天津御▲錦▼人工智能医▲療▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユフェン
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211674(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0186154(US,A1)
【文献】特開2016-064281(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012586(WO,A1)
【文献】特開2013-078460(JP,A)
【文献】特表2013-529493(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109146884(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109447987(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109598716(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108615037(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルゴリズムモジュール、タイミングモジュール、データ転送モジュール、表示装置、腸鏡装置及びコンピュータ本体を含み、前記腸鏡装置は、前記データ転送モジュールに接続されており、前記データ転送モジュールは、アルゴリズムモジュール及びタイミングモジュールを介して前記コンピュータ本体に接続されており、前記表示装置は、コンピュータ本体の結果表示に用いられており、
前記アルゴリズムモジュールは、結腸鏡検査ファジー検出アルゴリズム、整合性検査アルゴリズム、病変認識アルゴリズム、静止検出アルゴリズム及び壁衝突検出アルゴリズムを含み、
ファジー検出アルゴリズムは、OpenCVに組み込みの関数を利用して入力画像に対して階調化処理を行った後、Laplace演算子を用いて画像全体に対してグローバル分散の検出を行い、また画像全体に対してエッジ検出を行い、画像全体のグローバル分散を計算することによって、適切な閾値を決めファジーしているかどうかを判断でき、整合性検査アルゴリズムは、入力画像における4つのコーナーの一部領域に対して平均階調値を検出し、適切な閾値を選択して、四隅の明るさ及び暗さを判断し、連続して入力された所定数の画像の死角において、各コーナーの明るさ状況が全部含まれている場合は検査が完了しており、そうでない場合は検査が不完了しており、病変認識アルゴリズムはYOLOV3アルゴリズムを採用して、着信ビデオ画像における病変の位置をリアルタイムで検出することができ、静止検出アルゴリズムは、所定フレーム数で区切られた2枚の画像の階調ヒストグラムを計算し、そのマッチング度が所定の閾値に達すると、腸鏡レンズが該フレーム数に対応する時間内に静止状態にあると判断し、壁衝突検出アルゴリズムは、ディープラーニング方法を採用して、収集された腸壁に近すぎるピクチャーに対して訓練を行うことによって、検出モデルを取得し、前記タイミングモジュールは、総検査時間及び退鏡時間を計算する、ことを特徴とする画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマート医療技術分野に関し、特に、画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
結腸鏡は、腸疾患の診断と治療に広く使用されており、結腸直腸癌(Colorectal cancer、CRC)の初期スクリーニングまたはその後の検査でも、安全で正確、耐性に優れた重要な方法である。結腸鏡検査は、前癌病変の早期発見とCRC発生の予防にとって非常に重要であり、結腸鏡検査はCRCリスクを77%低減できることが研究で明らかになった。
【0003】
しかし、同時に多くの要素が結腸鏡検査の品質に影響を与える。該要素は、検査前(患者の基本的特徴、腸の準備など)、検査中(盲腸へのレンズ挿入率、退鏡時間、腺瘤検出率など)、検査後(出血率、穿孔率など)の3種類が結腸鏡検査品質の評価指標に影響を与えており、うち、結腸鏡の操作者に関する要素(即ち、検査過程中)は最も重要な構成部分である。
【0004】
したがって、結腸鏡検査過程における品質の向上に注意を払うことは、CRCの低減、特に中間期CRCの発症率を低減することに非常に重要である。しかし、結腸鏡検査医師のレベルが不均一であり、1日に複数の手術を行うことによる疲れは、医者の検査基準を低下させることになり、そのため、画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーションの開発が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記技術の欠点を克服し、画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を実現するために以下の技術案を採用する。画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーションは、アルゴリズムモジュール、タイミングモジュール、データ転送モジュール、表示装置、腸鏡装置及びコンピュータ本体を含み、前記腸鏡装置は、前記データ転送モジュールに接続されており、前記データ転送モジュールは、アルゴリズムモジュール及びタイミングモジュールを介して前記コンピュータ本体に接続されており、前記表示装置は、コンピュータ本体の結果表示に用いられる。
【0007】
前記アルゴリズムモジュールは、結腸鏡検査ファジー検出アルゴリズム、整合性検査アルゴリズム、病変認識アルゴリズム、静止検出アルゴリズム及び壁衝突検出アルゴリズムを含む。
【0008】
ここで、ファジー検出アルゴリズムは、OpenCVに組み込みの関数を利用して入力画像に対して階調化処理を行った後、Laplace演算子を用いて画像全体に対してグローバル分散の検出を行い、また、画像全体に対してエッジ検出を行い、画像全体のグローバル分散を計算することによって、適切な閾値を決めファジーしているかどうかを判断することができ、整合性検査アルゴリズムは、入力画像における4つのコーナーの一部領域に対して平均階調値を検出し、適切な閾値を選択し4つのコーナーの明るさ及び暗さを判断し、連続して入力された所定数の画像の死角において、各コーナーの明るさ状況が全部含まれている場合は検査が完了しており、そうでない場合は検査が不完了しており、病変認識アルゴリズムはYOLOV3アルゴリズムを採用して、着信ビデオ画像における病変の位置をリアルタイムで検出でき、静止検出アルゴリズムは、所定のフレーム数で区切られた2枚の画像の階調ヒストグラムを計算し、そのマッチング度が所定の閾値に達すると、腸鏡レンズが該フレーム数に対応する時間内に静止状態にあると判断し、壁衝突検出アルゴリズムは、ディープラーニング方法を採用して、収集された腸壁に近すぎるピクチャーに対して訓練を行うことによって、検出モデルを取得し、前記タイミングモジュールは、総検査時間及び退鏡時間を計算する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有益効果は以下のとおりである。本発明は、異なる画像認識アルゴリズムにより、医者の毎回の結腸鏡検査過程における異なる手法に対して評価することができ、検査過程で医者の操作が適切かどうかを判断し、それに応じた参照アドバイスを与え、よって、結腸鏡検査をより真面目に受け止め、患者に対して責任を負うように、医者を監督できるだけでなく、さらに、医者が検査過程で自分の能力を継続的に向上させることができる。これにより、医者の圧力を大幅に軽減し、医者は他のより創造性な任務に集中できるだけでなく、経済的及び社会的に巨大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明におけるアルゴリズムモジュールの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面及び好ましい実施例を参照して、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の画像認識に基づく結腸鏡検査品質評価ワークステーションは、アルゴリズムモジュール、タイミングモジュール、データ転送モジュール、表示装置、腸鏡装置、コンピュータ本体部分を含む。
【0012】
図2に示すように、前記アルゴリズムモジュールは、結腸鏡検査ファジー検出アルゴリズム、整合性検査アルゴリズム、病変認識アルゴリズム、静止検出アルゴリズム及び壁衝突検出アルゴリズムを含む。
【0013】
前記整合性検査アルゴリズムは、上記方法により、退鏡する時のレンズの回転数を統計する。視野が静止している場合は、本機能の判定は行われず、回転数が所定数に達すると、医者が腸管検査を完了したと判断する。前記ファジー検出アルゴリズムは、上記方法により、退鏡から終了までの時間内のファジーフレーム数を計算し、退鏡解像度=1-ファジーフレーム数/総フレーム数の式に基づいて、該検査の退鏡解像度を計算して、医者の操作を判断する。前記病変認識アルゴリズムは、検査過程において、病変を認識して位置をマークし、最終的に病変の総数を記録することに用いられる。前記静止検出アルゴリズムは、上記方法により、退鏡から終了までの時間内の静止時間を計算し、タイミングモジュールと連携して有効な退鏡時間を計算する。前記壁衝突検出アルゴリズムは、上記方法により、退鏡過程において、腸壁に近すぎる画像フレーム数を計算し、安全指数=1-赤味ファジーフレーム数/総フレーム数の式に基づいて、安全指数を計算する。
【0014】
前記タイミングモジュールは腸鏡装置に接続されており、医者がペダルを踏んで肛門に入り、盲腸の開口部に到達し、肛門から退出する時間ノードをマークすることによって、検査総時間、入鏡及び退鏡時間を計算する。上記のアルゴリズムを組み合わせて、有効的な退鏡時間(秒)=退鏡時間-(静止フレーム数+ファジーフレーム数)/フレームレートの式に基づいて、有効的な退鏡時間を計算する。
【0015】
本発明において、各アルゴリズムにより計算されるパラメータの意味は、以下の通りである。
総検査時間は、医者の熟練度を評価する採点指標であり、総退鏡時間は、退鏡速度を上げることによって医者の効率を現すことができ、退鏡解像度は、退鏡過程において、クリアビジョンフレームの割合が高いほど、検査がより有効的で、漏れがもっと少ないことを説明しており、有効的な退鏡時間は、有効的な退鏡運動時間であり、単位時間内に視野が変化し、かつ視野がクリアして認識できることを意味し、この機能は、医者の退鏡操作の有効度を評価することによって、無効な退鏡操作を低減することに用いられており、この項目は、医者が無意味に長時間停止することを防止するためにモニタリングされる。医者が認定を受けるには、この項目の時間が6分以上必要であり、安全指数は、医者が操作過程において、腸壁に触れる操作の割合を評価し、割合が高い場合、安全指数が底く、医者の操作によるリスク発生率が高いことを説明する。
【0016】
上記は、本発明の好ましい実施形態のみであり、当業者にとって、本発明の原理から逸脱しない限り、様々な改善及び修正を行うことができ、これらの改善及び修正は何れも本発明の保護範囲内に属すると見なされるべきである。