IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 生態環境部南京環境科学研究所の特許一覧

特許7182034カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法
<>
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図1
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図2
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図3
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図4
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図5
  • 特許-カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/08 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B09C1/08
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022134076
(22)【出願日】2022-08-25
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202210969620.0
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】応蓉蓉
(72)【発明者】
【氏名】張亜
(72)【発明者】
【氏名】夏氷
(72)【発明者】
【氏名】馮艶紅
(72)【発明者】
【氏名】芦園園
(72)【発明者】
【氏名】季文兵
(72)【発明者】
【氏名】胡哲偉
(72)【発明者】
【氏名】陳紅楓
(72)【発明者】
【氏名】張斌
(72)【発明者】
【氏名】趙彩衣
(72)【発明者】
【氏名】張暁雨
(72)【発明者】
【氏名】尹愛経
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7061244(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第103990644(CN,A)
【文献】特開2013-056305(JP,A)
【文献】特開2007-319747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が移動車両に接続可能な油圧制御装置(1)と、前記油圧制御装置(1)の他端に設
けられた取付フレーム(2)と、前記取付フレーム(2)に設けられた修復装置と、を含
み、
前記修復装置は、前記取付フレーム(2)の下方に固定的に設けられた土壌脱着アセンブ
リ(3)、前記土壌脱着アセンブリ(3)の前端に設けられた土壌破壊アセンブリ(4)
、および前記土壌脱着アセンブリ(3)の後端に設けられた連合修復アセンブリ(5)を
含み、
前記土壌脱着アセンブリ(3)は、前記取付フレーム(2)の下方に平行に設けられた2
つの円筒状の脱着チャンバー(30)、前記脱着チャンバー(30)の前端に設けられた
第1破砕アセンブリ(31)、および前記脱着チャンバー(31)に設けられて破砕土壌
に薬剤を噴出する脱着薬剤噴出アセンブリ(32)を含み、
前記連合修復アセンブリ(5)は2つの脱着チャンバー(30)間に垂直に設けられた中
央仕切り板(50)、それぞれ前記脱着チャンバー(30)の外側面に設けられた2つの
側面カードプレート(51)、前記側面カードプレート(51)と中央仕切り板(50)
に設けられた電解アセンブリ(52)、および前記中央仕切り板(50)の真下に水平に
設けられた錯化修復アセンブリ(53)を含み、
前記側面カードプレート(51)の前端が脱着チャンバー(30)に固定的に接続され、
後端が中央仕切り板(50)に近接し、前記側面カードプレート(51)の後端と中央仕
切り板(50)間に固定接続ラックが設けられ、
前記電解アセンブリ(52)は、前記中央仕切り板(50)の側面に均一かつ垂直に設け
られた複数組の第1取付溝(520)、側面カードプレート(51)に垂直に設けられた
複数組の第2取付溝(521)、前記第1取付溝(520)内に設けられたカソード電極
、および前記第2取付溝(521)内に設けられたアノード電極を含み、
前記移動車両に前記カソード電極、アノード電極に電気的に接続された電源(522)が
設けられ、
前記錯化修復アセンブリ(53)は、前記中央仕切り板(50)の下方に固定的に設けら
れた反応タンク(530)、前記反応タンク(530)の前端に設けられて錯化剤を噴出
可能な第2噴出器(531)、前記反応タンク(530)の後端に設けられた土壌排出口
(532)、および前記反応タンク(530)内に設けられた混合アセンブリを含み、
前記混合アセンブリは、反応タンク(530)内に設けられて前端が第2噴出器(531
)に近接し、後端が土壌排出口(532)に接続された回転軸(533)、前記回転軸(
533)の前半分に設けられた混合攪拌器、前記回転軸(533)の後半分に設けられた
らせん排出器、および回転軸(533)を駆動する動力モータを含む、
ことを特徴とするカドミウム汚染土壌を修復する装置。
【請求項2】
前記反応タンク(530)はV字形の溝であり、前記V字形の溝の土壌に接触する両側表
面が円弧面であり、
前記V字形の溝の上端に中央仕切り板(50)に接続された土壌バッフル(534)が設
けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
2つの前記側面カードプレート(51)と中央仕切り板(50)間に取り付けられた側面
土壌破壊装置(54)を含み、
前記側面土壌破壊装置(54)は、脱着チャンバー(30)に設けられた固定接続ラック
(540)、前記固定接続ラック(540)に設けられて側面カードプレート(51)に
平行である駆動回転軸(541)、前記駆動回転軸(541)に設けられて駆動回転軸(
541)の軸線方向に沿って均一に分布する複数の土壌破壊ターボファン(542)、お
よび前記固定接続ラック(540)に設けられて土壌破壊ターボファン(542)を駆動
するための回転モータ(543)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記脱着薬剤噴出アセンブリ(32)は、前記脱着チャンバー(30)の内壁に設けられ
て中心軸線が脱着チャンバー(30)の中心軸線に重なり合う噴出器取付リング(320
)、前記噴出器取付リング(320)に均一に設けられた第1噴出器(321)、および
脱着チャンバー(30)間に設けられて前記第1噴出器(321)と連通する第1動力ポ
ンプ(322)を含み、
前記第1動力ポンプ(322)は移動車両に設けられた薬剤貯液箱に接続される、ことを
特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1破砕アセンブリ(31)は、脱着チャンバー(30)の前端材料入口に設けられ
た回転リング(310)、および前記回転リング(310)内に設けられた回転ブレード
(311)を含み、
前記回転ブレード(311)は土壌を駆動して脱着チャンバー(30)内に追い込むこと
ができる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記土壌破壊アセンブリ(4)は、脱着チャンバー(30)間に水平に設けられたトラス
接続部材(40)、前記トラス接続部材(40)の中央に垂直に設けられた剛性支持板(
41)、および前記剛性支持板(41)の前端に設けられた土壌破壊コーン(42)を含
む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の装置を利用してカドミウム汚染土壌を修復する方法
であって、
S1、移動車両の接続
油圧制御装置(1)を移動車両に接続し、移動車両により修復装置を修復する土壌場所に
輸送し、油圧制御装置(1)によって修復装置を10~15cmの深さまで土壌に進入さ
せた後、移動車両によって修復装置を駆動して修復場所の土壌で前進させ、土壌破壊アセ
ンブリ(4)によって土壌を両側に分割し、土壌を脱着アセンブリ(3)内に進入させる
ステップと、
S2、カドミウムの脱着
土壌脱着アセンブリ(3)の第1破砕アセンブリ(31)によって土壌を破砕処理し、破
砕された土壌を脱着チャンバー(30)に進入させた後、脱着薬剤噴出アセンブリ(32
)から脱着チャンバー(30)内の土壌に脱着薬剤を注入し、
ここで、脱着薬剤は硝酸ナトリウム溶液、クエン酸中の1つであるステップと、
S3、土壌の連合修復
S3-1、連合修復アセンブリ(5)の電解アセンブリ(52)によってステップS2で
処理された土壌を電気的に修復し、
土壌が側面カードプレート(51)と中央仕切り板(50)間を通過するとき、電解電源
(522)が第1取付溝(520)内のカソード電極、第2取付溝(521)内のアノー
ド電極に通電し、カソード電極、アノード電極が電気的に接続された後、脱着された土壌
中の大量のカドミウムイオンが中央仕切り板(50)に向かって移動し、カドミウムイオ
ンの電気移動を完了し、
S3-2、錯化修復アセンブリ(53)によってカドミウムイオンを錯化処理し、
中央仕切り板(50)の下方の反応タンク(530)はカドミウムイオン含有土壌を収集
し、第2噴出器(531)は反応タンク(530)内の土壌に錯化剤を注入し、回転軸(
533)が回転し、混合攪拌器は土壌と錯化剤を攪拌・混合して、錯化剤により脱着され
たカドミウムイオンを錯化処理し、最後にらせん排出器によって錯化処理された土壌を排
出するステップと、を含み、
錯化剤はエチレンジアミン四酢酸溶液である、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カドミウム汚染土壌修復の技術分野に関し、具体的に、カドミウム汚染土壌を
修復する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属であるカドミウムによる土壌汚染は、危険性が高く、毒性が強く、安定しており、
除去が困難であり、原因としては、地下貯蔵タンクからの漏出、農薬や殺虫剤の過剰使用
、埋立地からの廃棄物浸出などが挙げられ、重金属であるカドミウム汚染の修復技術とし
て、既存技術では物理的修復、化学的ドレンチング、ファイトレメディエーションが主で
ある。
既存技術で提供される薬液ドレンチ装置は、土壌表面にしか修復剤を散布できないため、
土壌の固化や外気温が高いなどの問題により、土壌修復剤が土壌内部に入りにくく、修復
効果が悪く、さらに、既存技術で提供される修復装置は移動性がないため、広い室外農業
土壌の修復処理には不都合である、などの問題がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術では室外で大規模のカドミウム汚染土
壌を現場で修復することができず、従来技術で提供された修復装置は土壌の修復効果が悪
いということである。
【0004】
本発明の技術的解決手段は、カドミウム汚染土壌を修復する装置であり、一端が移動車両
に接続可能な油圧制御装置、前記油圧制御装置の他端に設けられた取付フレーム、前記取
付フレームに設けられた修復装置を含み、
前記修復装置は、前記取付フレームの下方に固定的に設けられた土壌脱着アセンブリ、前
記土壌脱着アセンブリの前端に設けられた土壌破壊アセンブリ、および前記土壌脱着アセ
ンブリの後端に設けられた連合修復アセンブリを含み、
前記土壌脱着アセンブリは、前記取付フレームの下方に平行に設けられた2つの円筒状の
脱着チャンバー、前記脱着チャンバーの前端に設けられた第1破砕アセンブリ、および前
記脱着チャンバーに設けられて破砕土壌に薬剤を噴出する脱着薬剤噴出アセンブリを含み

前記連合修復アセンブリは2つの脱着チャンバー間に垂直に設けられた中央仕切り板、そ
れぞれ前記脱着チャンバーの外側面に設けられた2つの側面カードプレート、前記側面カ
ードプレートと中央仕切り板に設けられた電解アセンブリ、および前記中央仕切り板の真
下に水平に設けられた錯化修復アセンブリを含み、
前記側面カードプレートの前端が脱着チャンバーに固定的に接続され、後端が中央仕切り
板に近接し、前記側面カードプレートの後端と中央仕切り板間に固定接続ラックが設けら
れ、
前記電解アセンブリは、前記中央仕切り板の側面に均一かつ垂直に設けられた複数組の第
1取付溝、側面カードプレート均一に且に垂直に設けられた複数組の第2取付溝、前記第
1取付溝内に設けられたカソード電極、および前記第2取付溝内に設けられたアノード電
極を含み、
前記移動車両に前記カソード電極、アノード電極に電気的に接続された電源が設けられ、
前記錯化修復アセンブリは、前記中央仕切り板の下方に固定的に設けられた反応タンク、
前記反応タンクの前端に設けられて錯化剤を噴出可能な第2噴出器、前記反応タンクの後
端に設けられた土壌排出口、および前記反応タンク内に設けられた混合アセンブリを含み

前記混合アセンブリは、反応タンク内に設けられて前端が第2噴出器に近接し、後端が土
壌排出口に接続された回転軸、前記回転軸の前半分に設けられた混合攪拌器、前記回転軸
の後半分に設けられたらせん排出器、および回転軸を駆動する動力モータを含む。
本発明の一側面として、前記反応タンクはV字形の溝であり、前記V字形の溝の土壌に接
触する両側表面が円弧面であり、
前記V字形の溝の上端に中央仕切り板に接続された土壌バッフルが設けられる。
説明すると、土壌バッフルを設けることで電気的に修復された土壌がV字形の溝内に進入
し、錯化反応を促進し、重金属カドミウムを処理する。
本発明の一側面として、2つの前記側面カードプレートと中央仕切り板間に取り付けられ
た側面土壌破壊装置を含み、
前記側面土壌破壊装置は、脱着チャンバーに設けられた固定接続ラック、前記固定接続ラ
ックに設けられて側面カードプレートに平行である駆動回転軸、前記駆動回転軸に設けら
れて駆動回転軸の軸線方向に沿って均一に分布する複数の土壌破壊ターボファン、および
前記固定接続ラックに設けられて土壌破壊ターボファンを駆動するための回転モータを含
む。
説明すると、側面土壌破壊装置の土壌破壊ターボファンの回転により、電気的に修復され
た土壌を中央仕切り板に追い込み、土壌をV字形の溝内に進入させて、V字形の溝内での
錯化反応を促進する。
本発明の一側面として、前記脱着薬剤噴出アセンブリは、前記脱着チャンバーの内壁に設
けられて中心軸線が脱着チャンバーの中心軸線に重なり合う噴出器取付リング、前記噴出
器取付リングに均一に設けられた第1噴出器、および脱着チャンバー間に設けられて前記
第1噴出器と連通する第1動力ポンプを含み、
前記第1動力ポンプは移動車両に設けられた薬剤貯液箱に接続される。
説明すると、脱着薬剤噴出アセンブリから土壌に脱着薬剤を注入することにより、脱着薬
剤が土壌に吸着したカドミウムとともにカドミウムイオンを形成し、カドミウムと土壌を
分離し、電気的な修復により形成された大量のカドミウムイオンを中央仕切り板のカソー
ド電極に移動させ、最終的に錯化薬剤によりカドミウムイオンを処理することができる。
本発明の一側面として、前記第1噴出器の脱着薬剤の噴出方向は土壌移動方向と一致し、
説明すると、第1噴出器から噴出した脱着薬剤と土壌移動方向が一致すると、土壌により
第1噴出器の詰まりを形成し、脱着薬剤の注入に不利になることを回避することができる

本発明の一側面として、前記第1破砕アセンブリは、脱着チャンバーの前端材料入口に設
けられた回転リング、および前記回転リング内に設けられた回転ブレードを含み、
前記回転ブレードは土壌を駆動して脱着チャンバー内に追い込むことができる。
説明すると、回転ブレードによって土壌を破砕分解するだけでなく、土壌を押し、土壌を
脱着チャンバー内に進入させて脱着を行うこともできる。
本発明の一側面として、前記土壌破壊アセンブリは、脱着チャンバー間に水平に設けられ
たトラス接続部材、前記トラス接続部材の中央に垂直に設けられた剛性支持板、および前
記剛性支持板の前端に設けられた土壌破壊コーンを含む。
説明すると、剛性支持板を設けることで、土壌破壊コーンとトラス接続部材の距離を増加
して、土壌の効果的な破壊を確保することができる。
本発明の一側面として、前記土壌破壊コーンは、剛性支持板に設けられた前端土壌破壊部
、前記前端土壌破壊部の下端に位置して土壌を両側へ分割するための鋤刃を含む。
説明すると、鋤刃を設けることで土壌破壊コーンで破壊された土壌を土壌破壊コーンの両
側へ分割し、鋤刃によって土壌を案内することで、鋤刃両側の脱着チャンバーに十分の土
壌を進入させることができる。
本発明は、カドミウム汚染土壌を修復する装置の修復方法をさらに提供し、この方法は以
下のステップを含み:
S1、移動車両の接続
油圧制御装置を移動車両に接続し、移動車両により修復装置を修復する土壌場所に輸送し
、油圧制御装置によって修復装置を10~15cmの深さまで土壌に進入させた後、移動
車両によって修復装置を駆動して修復場所の土壌で前進させ、土壌破壊アセンブリによっ
て土壌を両側に分割し、土壌を脱着アセンブリ内に進入させ、
S2、カドミウムの脱着
土壌脱着アセンブリの第1破砕アセンブリによって土壌を破砕処理し、破砕された土壌を
脱着チャンバーに進入させた後、脱着薬剤噴出アセンブリから脱着チャンバー内の土壌に
脱着薬剤を注入し、
ここで、脱着薬剤は硝酸ナトリウム溶液、クエン酸中の1つであり、
S3、土壌の連合修復
S3-1、連合修復アセンブリの電解アセンブリによってステップS2で処理された土壌
を電気的に修復し、
土壌が側面カードプレートと中央仕切り板間を通過するとき、電解電源が第1取付溝内の
カソード電極、第2取付溝内のアノード電極に通電し、カソード電極、アノード電極が電
気的に接続された後、脱着された土壌中の大量のカドミウムイオンが中央仕切り板に向か
って移動し、カドミウムイオンの電気移動を完了し、
S3-2、錯化修復アセンブリによってカドミウムイオンを錯化処理し、
中央仕切り板の下方の反応タンクはカドミウムイオン含有土壌を収集し、第2噴出器は反
応タンク内の土壌に錯化剤を注入し、回転軸が回転し、混合攪拌器は土壌と錯化剤を攪拌
・混合して、錯化剤により脱着されたカドミウムイオンを錯化処理し、最後にらせん排出
器によって錯化処理された土壌を排出し、
ここで、錯化剤はエチレンジアミン四酢酸溶液である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明はカドミウム汚染土壌を修復する装置を提供
し、油圧制御装置と移動車両を組み合わせて修復装置で大規模の農地土壌を現場でカドミ
ウム汚染を修復でき、従来技術の非現場修復方法よりも、本発明は、便利で効率的で、実
施が容易であるという利点を有する。
本発明は、土壌破壊アセンブリによって土壌を破砕および分割案内し、脱着チャンバー内
で土壌を脱着処理し、脱着薬剤で土壌に吸着したカドミウムを分離することで、カドミウ
ムの移動度を高め、側面カードプレートと中央仕切り板の傾斜設置により側面カードプレ
ートと中央仕切り板に設けられた電解アセンブリの電極距離を変化させ、土壌が側面カー
ドプレートと中央仕切り板を通過するとき、電解アセンブリの電極距離が徐々に小さくな
り、カドミウムイオン移動度が向上する。
本発明は、側面土壌破壊装置の土壌破壊ターボファンによって土壌を中央に回転させ、中
央分隔板の下方にV字形の溝を設けることで、中央仕切り板下方の土壌を収集し、脱着チ
ャンバーの脱着処理と電解アセンブリの電気的な修復により、V字形の溝内で大量のカド
ミウムイオンを収集でき、第2噴出器によって錯化剤を注入することでV字形の溝内のカ
ドミウムイオンを高効率的に錯化処理し、従来技術よりもカドミウム汚染土壌の処理品質
が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施例1全体の構造概略図である。
図2】本発明の実施例1の土壌脱着アセンブリの構造概略図である。
図3】本発明の実施例1の連合修復アセンブリの構造概略図である。
図4】本発明の実施例1の回転ブレードの構造概略図である。
図5】本発明の実施例3の側面土壌破壊装置の構造概略図である。
図6】本発明の実施例4の土壌破壊アセンブリの構造概略図である。
【0007】
[符号の説明]
1 油圧制御装置
2 取付フレーム
3 土壌脱着アセンブリ
30 脱着チャンバー
31 第1破砕アセンブリ
310 回転リング
311 回転ブレード
32 脱着薬剤噴出アセンブリ
320 噴出器取付リング
321 第1噴出器
322 第1動力ポンプ
4 土壌破壊アセンブリ
40 トラス接続部材
41 剛性支持板
42 土壌破壊コーン
420 前端土壌破壊部
421 鋤刃
5 連合修復アセンブリ
50 中央仕切り板
51 側面カードプレート
52 電解アセンブリ
53 錯化修復アセンブリ
54 側面土壌破壊装置
520 第1取付溝
521 第2取付溝
522 電解電源
530 反応タンク
531 第2噴出器
532 土壌排出口
533 回転軸
534 土壌バッフル
540 固定接続ラック
541 駆動回転軸
542 土壌破壊ターボファン
543 回転モータ
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例1
図1に示すカドミウム汚染土壌を修復する装置は、一端が移動車両に接続可能な油圧制御
装置1、油圧制御装置1の他端に設けられた取付フレーム2、取付フレーム2に設けられ
た修復装置を含み、
修復装置は、取付フレーム2の下方に固定的に設けられた土壌脱着アセンブリ3、土壌脱
着アセンブリ3の前端に設けられた土壌破壊アセンブリ4、および土壌脱着アセンブリ3
の後端に設けられた連合修復アセンブリ5を含み、
図2に示すように、土壌脱着アセンブリ3は、取付フレーム2の下方に平行に設けられた
2つの円筒状の脱着チャンバー30、脱着チャンバー30の前端に設けられた第1破砕ア
センブリ31、および脱着チャンバー31に設けられて破砕土壌に薬剤を噴出する脱着薬
剤噴出アセンブリ32を含み、
連合修復アセンブリ5は2つの脱着チャンバー30間に垂直に設けられた中央仕切り板5
0、それぞれ脱着チャンバー30の外側面に設けられた2つの側面カードプレート51、
側面カードプレート51と中央仕切り板50に設けられた電解アセンブリ52、および中
央仕切り板50の真下に水平に設けられた錯化修復アセンブリ53を含み、
側面カードプレート51の前端が脱着チャンバー30に固定的に接続され、後端が中央仕
切り板50に近接し、側面カードプレート51の後端と中央仕切り板50間に固定接続ラ
ックが設けられ、
図3に示すように、電解アセンブリ52は、中央仕切り板50の側面に均一かつ垂直に設
けられた複数組の第1取付溝520、側面カードプレート51均一に且に垂直に設けられ
た複数組の第2取付溝521、第1取付溝520内に設けられたカソード電極、および第
2取付溝521内に設けられたアノード電極を含み、
移動車両にカソード電極、アノード電極に電気的に接続された電源522が設けられ、
錯化修復アセンブリ53は、中央仕切り板50の下方に固定的に設けられた反応タンク5
30、反応タンク530の前端に設けられて錯化剤を噴出可能な第2噴出器531、反応
タンク530の後端に設けられた土壌排出口532、および反応タンク530内に設けら
れた混合アセンブリを含み、
混合アセンブリは、反応タンク530内に設けられて前端が第2噴出器531に近接し、
後端が土壌排出口532に接続された回転軸533、回転軸533の前半分に設けられた
混合攪拌器、回転軸533の後半分に設けられたらせん排出器、および回転軸533を駆
動する動力モータを含む。
脱着薬剤噴出アセンブリ32は、脱着チャンバー30の内壁に設けられて中心軸線が脱着
チャンバー30の中心軸線に重なり合う噴出器取付リング320、噴出器取付リング32
0に均一に設けられた第1噴出器321、および脱着チャンバー30間に設けられて第1
噴出器321と連通する第1動力ポンプ322を含み、
第1動力ポンプ322は移動車両に設けられた薬剤貯液箱に接続される。
第1噴出器321の脱着薬剤の噴出方向は土壌移動方向と一致している。
図4に示すように、第1破砕アセンブリ31は、脱着チャンバー30の前端材料入口に設
けられた回転リング310、および回転リング310内に設けられた回転ブレード311
を含み、
回転ブレード311は土壌を駆動して脱着チャンバー30内に追い込むことができる。
ここで、土壌破壊アセンブリ4、回転リング310、第1噴出器321、第1動力ポンプ
322、動力モータ、第2噴出器531、混合攪拌器、らせん排出器、電解電源522、
油圧制御装置1はいずれも従来技術の製品であり、かつ具体的な製品モデルは本分野の当
業者が必要に応じて選択すればよい。
【0009】
実施例2
実施例1とは以下の相違点があり、
図5に示すように、反応タンク530はV字形の溝であり、V字形の溝の土壌に接触する
両側表面が円弧面であり、
V字形の溝の上端に中央仕切り板50に接続された土壌バッフル534が設けられる。
2つの側面カードプレート51と中央仕切り板50間に取り付けられた側面土壌破壊装置
54を含み、
側面土壌破壊装置54は、脱着チャンバー30に設けられた固定接続ラック540、固定
接続ラック540に設けられて側面カードプレート51に平行である駆動回転軸541、
駆動回転軸541に設けられて駆動回転軸541の軸線方向に沿って均一に分布する複数
の土壌破壊ターボファン542、および固定接続ラック540に設けられて土壌破壊ター
ボファン542を駆動するための回転モータ543を含む。
ここで、回転モータ543、土壌破壊ターボファン542はいずれも従来技術の製品であ
り、かつ具体的な製品モデルは本分野の当業者が必要に応じて選択すればよい。
【0010】
実施例3
実施例2とは以下の相違点があり、
図6に示すように、土壌破壊アセンブリ4は、脱着チャンバー30間に水平に設けられた
トラス接続部材40、トラス接続部材40の中央に垂直に設けられた剛性支持板41、お
よび剛性支持板41の前端に設けられた土壌破壊コーン42を含む。
土壌破壊コーン42は、剛性支持板41に設けられた前端土壌破壊部420、前端土壌破
壊部420の下端に位置して土壌を両側へ分割するための鋤刃421を含む。
【0011】
実施例4
西北部のある地域では、面積230mのカドミウム汚染土壌区画を選択し、実施例3の
装置により該カドミウム汚染土壌区画を修復し、
具体的に以下のステップを含み:
S1、接続移動車両
S1、移動車両の接続
油圧制御装置1を移動車両に接続し、移動車両により修復装置を修復する土壌場所に輸送
し、油圧制御装置1によって修復装置を10cmの深さまで土壌に進入させた後、移動車
両によって修復装置を駆動して修復場所の土壌で前進させ、土壌破壊アセンブリ4によっ
て土壌を両側に分割し、土壌を脱着アセンブリ3内に進入させ、
S2、カドミウムの脱着
土壌脱着アセンブリ3の第1破砕アセンブリ31によって土壌を破砕処理し、破砕された
土壌を脱着チャンバー30に進入させた後、脱着薬剤噴出アセンブリ32から脱着チャン
バー30内の土壌に脱着薬剤を注入し、
ここで、脱着薬剤は0.5mol/Lの硝酸ナトリウム溶液であり、土壌への注入量が0
.3L/kgであり、
S3、土壌の連合修復
電解アセンブリ52はステップS2で処理された土壌を電気的に修復し、
具体的には、土壌が側面カードプレート51と中央仕切り板50間を通過するとき、電解
電源522が第1取付溝520内のカソード電極、第2取付溝521内のアノード電極に
通電し、カソード電極、アノード電極が電気的に接続された後、脱着された土壌中の大量
のカドミウムイオンが中央仕切り板50に向かって移動し、カドミウムイオンの電気移動
を完了し、
次に錯化修復アセンブリ53はカドミウムイオンを錯化処理し、
具体的には、中央仕切り板50の下方の反応タンク530はカドミウムイオン含有土壌を
収集し、第2噴出器531は反応タンク530内の土壌に錯化剤を注入し、回転軸533
が回転し、混合攪拌器は土壌と錯化剤を攪拌・混合して、錯化剤により脱着されたカドミ
ウムイオンを錯化処理し、最後にらせん排出器によって錯化処理された土壌を排出し、
錯化剤は具体的に0.3mol/Lのエチレンジアミン四酢酸溶液であり、土壌への注入
量が0.1L/kgである。
【0012】
実施例5
実施例4とは以下の相違点があり、
ステップS1では、修復装置が土壌に進入するときの深さが15cmである。
【0013】
実施例6
実施例4とは以下の相違点があり、
ステップS1では、修復装置が土壌に進入するときの深さが20cmである。
【0014】
実施例7
実施例4とは以下の相違点があり、
ステップS2では、脱着薬剤は0.5mol/Lのクエン酸溶液である。
修復効果の比較
実施例4~7のカドミウム汚染区画の修復結果を比較する同時に従来技術と比較し、(従
来技術は中国発明特許CN104226680Bで開示されたカドミウム汚染土壌修復装
置および方法)、修復結果が表1に示される。
表1 各実施例によりカドミウム汚染土壌を修復するときのカドミウム除去率
【0015】
【0016】
表1から分かるように、本発明の修復装置および修復方法によるカドミウム汚染土壌の修
復効果が従来技術よりもはるかに高く、かつ実施例5は最良の実施例であり、これは、実
施例5の修復深さが最適であるからであり、実験によると、土壌中のカドミウム汚染は主
に0~15cmの範囲に集中しており、これ以上修復深度を深くしても、修復効果はあま
り上がらず、むしろエネルギー消費量が増えてしまう。
【要約】      (修正有)
【課題】大規模のカドミウム汚染土壌を現場で修復可能であり、従来技術よりも土壌の修復品質を改善することができる、カドミウム汚染土壌を修復する装置および方法を提供する。
【解決手段】装置は、一端が移動車両に接続可能な油圧制御装置1、前記油圧制御装置1の他端に設けられた取付フレーム2、前記取付フレーム2に設けられた修復装置を含み、前記修復装置は、前記取付フレーム2下方に固定的に設けられた土壌脱着アセンブリ3、前記土壌脱着アセンブリ3前端に設けられた土壌破壊アセンブリ4、および前記土壌脱着アセンブリ4後端に設けられた連合修復アセンブリ5を含み、前記土壌脱着アセンブリ3は脱着チャンバー、第1破砕アセンブリ、脱着薬剤噴出アセンブリを含み、この方法は、S1、移動車両の接続、S2、カドミウムの脱着、S3、土壌の連合修復を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6