(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-24
(45)【発行日】2022-12-02
(54)【発明の名称】部品圧着装置、シート設置ユニットおよびシート設置ユニットの取付け方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H05K13/04 B
(21)【出願番号】P 2018122585
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】亀田 明
(72)【発明者】
【氏名】足立 聡
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-340436(JP,A)
【文献】特開2002-289648(JP,A)
【文献】特開2002-334905(JP,A)
【文献】特開2007-115893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、
前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールと、
前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットとを有し、
前記シート設置ユニットは、
前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体を保持するベース部と、
前記シート供給体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部
と、
前記シートを冷却する冷却部と、を備え、
前記ベース部に連結された軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部と、を有し、
前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能な部品圧着装置。
【請求項2】
前記冷却部は前記シートに冷却空気を吹き付けて前記シートを冷却する請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項3】
前記シート設置ユニットは、前記ヘッド部が前記シート設置準備位置に位置した状態で前記ベース部が前記基台に取り付けられた後、前記ヘッド部が前記シート設置位置へ揺動されることで前記シートが前記基板支持部の上面側に設置される請求項1または2に記載の部品圧着装置。
【請求項4】
前記基板支持部に対して相対的に固定して設けられ、前記シート保持部に前記シートの送り動作を行わせるシート送り駆動部を有し、前記シート設置ユニットが前記基板支持部の前記一方の側の領域に取り付けられることで前記シート保持部が前記シート送り駆動部と連結可能となる請求項1~3のいずれかに記載の部品圧着装置。
【請求項5】
前記シート設置位置に位置した前記ヘッド部を前記基板支持部に対して相対的に固定するロック部を備えた請求項1~4のいずれかに記載の部品圧着装置。
【請求項6】
基台と、前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールとを備えた部品圧着装置の前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットであって、
前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体を保持するベース部と、
前記シート保持体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部
と、
前記シートを冷却する冷却部と、を備え、
前記ベース部に連結された軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部と、を有し、
前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能なシート設置ユニット。
【請求項7】
前記冷却部は前記シートに冷却空気を吹き付けて前記シートを冷却する請求項6に記載のシート設置ユニット。
【請求項8】
基台と、前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールと、前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットとを有し、前記シート設置ユニットは、前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体と、前記シート供給体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部と、
前記シートを冷却する冷却部と、を備え、前記シート設置ユニットは、前記基台に着脱自在に取り付けられるベース部と、前記ベース部に連結されて横方向に延びた軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部とを有し、前記シート保持部
と前記冷却部は前記ヘッド部に設けられ、前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能な部品圧着装置におけるシート設置ユニットの取付け方法であって、
前記ベース部を、前記ヘッド部が前記シート設置準備位置に位置した状態で前記基台に取り付ける第1工程と、
前記ヘッド部を前記シート設置位置へ揺動させることで前記シートを前記基板支持部の上面側に設置する第2工程とを含むシート設置ユニットの取付け方法。
【請求項9】
前記基板支持部に対して相対的に固定して設けられ、前記シート保持部に前記シートの送り動作を行わせるシート送り駆動部を有し、前記ヘッド部を前記シート設置位置へ揺動させることで前記シート保持部が前記シート送り駆動部と連結可能となる請求項
8に記載のシート設置ユニットの取付け方法。
【請求項10】
前記第2工程により前記シート設置位置に位置した前記ヘッド部をロック部により前記基板支持部に対して相対的に固定する第3工程を含む請求項8
または9に記載のシート設置ユニットの取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持部により支持した基板に部品を熱圧着する部品圧着装置、部品圧着装置に取り付けられるシート設置ユニットおよびシート設置ユニットの取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル等の基板に部品を圧着する部品圧着装置は、基板支持部により基板の端部を下方から支持したうえで、基板支持部の上方で熱圧着ツールを上下動作させることで、基板に部品を熱圧着する構成となっている。このような部品圧着装置では、厚さの異なる基板に部品を熱圧着する場合に、熱圧着ツール側の加熱温度に応じて熱圧着ツールを構成する部品の平行度の調整を行う必要がある。この平行度の調整は作業者にとって面倒な作業であるが、基板支持部の上面に(すなわち基板支持部と基板との間に)シートを設置することで、その作業を容易にできることが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板支持部の上面にシートを設置して部品の圧着を行うと、熱圧着ツールから伝達される熱によって基板の温度が過剰に高くなるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、熱圧着ツールから伝達される熱により基板の温度が過剰に高くなる事態を防止できる部品圧着装置、シート設置ユニットおよびシート設置ユニットの取付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品圧着装置は、基台と、前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールと、前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットとを有し、前記シート設置ユニットは、前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体を保持するベース部と、前記シート供給体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部と、前記シートを冷却する冷却部と、を備え、前記ベース部に連結された軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部と、を有し、前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能である。
【0007】
本発明のシート設置ユニットは、基台と、前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールとを備えた部品圧着装置の前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットであって、前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体を保持するベース部と、前記シート保持体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部と、前記シートを冷却する冷却部と、を備え、前記ベース部に連結された軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部と、を有し、前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能である。
【0008】
本発明のシート設置ユニットの取付け方法は、基台と、前記基台に設けられて基板の端部を下方から支持する基板支持部と、前記基板支持部の上方で上下動作することにより前記基板支持部に支持された前記基板に部品を熱圧着する熱圧着ツールと、前記基台に着脱自在に取り付けられるシート設置ユニットとを有し、前記シート設置ユニットは、前記基板支持部の一方の側の領域からシートを供給するシート供給体と、前記シート供給体から供給される前記シートを前記基板支持部の前記一方の側の反対側である他方の側で保持して前記シートを前記基板支持部の上面側に設置するシート保持部と、前記シートを冷却する冷却部と、を備え、前記シート設置ユニットは、前記基台に着脱自在に取り付けられるベース部と、前記ベース部に連結されて横方向に延びた軸部の軸線回りに揺動自在なヘッド部とを有し、前記シート保持部と前記冷却部は前記ヘッド部に設けられ、前記ヘッド部は、前記シート保持部が前記基板支持部の前記他方の側に位置して前記シート供給体から供給される前記シートが前記基板支持部の上面側に設置されるシート設置位置と、前記シート保持部が前記基板支持部の前記一方の側に位置するシート設置準備位置との間で揺動可能な部品圧着装置におけるシート設置ユニットの取付け方法であって、前記ベース部を、前記ヘッド部が前記シート設置準備位置に位置した状態で前記基台に取り付ける第1工程と、前記ヘッド部を前記シート設置位置へ揺動させることで前記シートを前記基板支持部の上面側に設置する第2工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱圧着ツールから伝達される熱により基板の温度が過剰に高くなる事態を防止できる部品圧着装置、シート設置ユニットおよびシート設置ユニットの取付け方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の側面図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の側面図
【
図5】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態における部品圧着装置が備えるシート設置ユニットの斜視図
【
図7】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の側面図
【
図8】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の側面図
【
図9】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の一部の斜視図
【
図10】本発明の一実施の形態における部品圧着装置が備えるバックアップステージの近傍の側面図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品圧着装置が備えるロック部の動作説明図
【
図12】本発明の一実施の形態における部品圧着装置が備えるシート送り駆動部を示す斜視図
【
図13】本発明の一実施の形態における部品圧着装置の基台にシート設置ユニットを取り付ける様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は本発明の一実施の形態における部品圧着装置1を示している。部品圧着装置1は、図示しない他の装置との間で部品実装ラインを構成しており、図示しないACF(Anisotropic Conductive Film)を介して部品BHが搭載された基板KBを上流工程側から搬入し、基板KBに部品BHを熱圧着して下流工程側に搬出する装置である。ここでは説明の便宜上、部品実装ラインにおける基板KBの流れ方向である作業者OPから見た部品圧着装置1の横方向(左右方向)をX軸方向とする。また、作業者OPから見た部品圧着装置1の前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸とする。更に、作業者OPから見た部品圧着装置1の手前側を前側とし、その反対側を後側と称する。
【0012】
図2および
図3において、基台11のY軸方向のほぼ中間部の位置にはバックアップステージベース12Bが設けられている。バックアップステージベース12BはX軸方向に延びており、バックアップステージベース12Bの上部には、X軸方向に延びた基板支持部としてのバックアップステージ12が左右に2つ並んで設けられている(
図3)。基台11の後側の領域には門型フレーム13が設けられており、バックアップステージ12の上方には門型フレーム13によって後側の端部が支持された天井部14が配置されている。
【0013】
図1、
図2および
図3において、天井部14には圧着シリンダ15が設けられている。圧着シリンダ15は左右の2つのバックアップステージ12に対応して左右に2つ設けられている。左側の圧着シリンダ15は左側のバックアップステージ12の上方に位置しており、右側の圧着シリンダ15は右側のバックアップステージ12の上方に位置している。
【0014】
左右の2つの圧着シリンダ15はそれぞれ、天井部14の下方にピストンロッド15Rを突出させている。左右の圧着シリンダ15それぞれのピストンロッド15Rの下端には熱圧着ツール16が取り付けられている。このため、左側の圧着シリンダ15がピストンロッド15Rを作動させると左側の熱圧着ツール16が左側のバックアップステージ12の上方で上下動作し、右側の圧着シリンダ15がピストンロッド15Rを作動させると、右側の熱圧着ツール16が右側のバックアップステージ12の上方で上下動作する。各熱圧着ツール16には加熱ヒータ(図示せず)が内蔵されている。加熱ヒータは、後述する部品BHの熱圧着時において、熱圧着ツール16を加熱する。
【0015】
図1において、部品圧着装置1は、基台11の前側の領域に基板設置部17を備えている。基板設置部17は、図示しない基板搬送部より搬送されてきた基板KB(部品BHが搭載された基板KB)を受け取って所定位置に設置する機構であり、基板KBをほぼ水平姿勢に保持する基板保持部17aと、基板保持部17aを移動させる保持部移動機構17bを備えている。基板保持部17aは左右のバックアップステージ12および熱圧着ツール16に対応して2枚の基板KBをX軸方向に並べて保持する。
【0016】
図1、
図2および
図3において、基台11には保護シート設置カセット18が着脱自在に設けられている。
図2に示すように、保護シート設置カセット18は、外郭を形成するケース18C内に、保護シート18Sを供給する供給リール18Rと、供給リール18Rが供給する保護シート18Sを引き出して後側へ送る保護シート送り部18Mを備えている。保護シート設置カセット18が基台11に取り付けられた状態では、供給リール18Rから引き出された保護シート18Sが左右のバックアップステージ12と熱圧着ツール16との間に位置する(
図2および
図4)。保護シート18Sが保護シート送り部18Mによって後側に送られると、保護シート18Sの熱圧着ツール16の下方に位置する部分が更新される。
【0017】
図3において、基台11上の左右のバックアップステージ12の前側の領域には複数のユニット取付け台19が設けられている。これら複数のユニット取付け台19には、シート設置ユニット20が取り付けられている(
図2および
図5)。シート設置ユニット20は、シートSHを供給するシート供給体STを左右に2つ備えており、これら2つのシート供給体STのそれぞれから供給されるシートSHを、左右のバックアップステージ12それぞれの上面側に設置する。
【0018】
図4、
図5および
図6において、シート設置ユニット20は、ベース部21、ヘッド部22、シート保持部23、冷却部24およびロック部25を備えている。ベース部21は、X軸方向に並んで配置された4つのベース板21a(左側の2つのベース板21aと右側の2つのベース板21a)を備えている。各ベース板21aはZ軸方向に延びた形状を有している。
【0019】
図5および
図6において、4つのベース板21aのうち左側の2つのベース板21aと右側の2つのベース板21aはそれぞれ、シート供給体STのX軸方向の寸法よりもやや大きい間隔でX軸方向に配置されている。4つのベース板21aは下端側に配置された下部ロッド21bと上端側に配置された揺動軸21cによって相互に連結されている。また、左側の2つのベース板21aと右側の2つのベース板21aはそれぞれ、X軸方向(左右方向)に延びた複数の連結部材21dによって連結されている。シート設置ユニット20は、下部ロッド21bが基台11上に設けられた複数のユニット取付け台19の上面に設けられた溝部19M(
図3)に上方から載置されることでユニット取付け台19に(すなわち基台11に)取り付けられる。
【0020】
図4および
図6において、4つのベース板21aそれぞれの下端側には、上方に開口した溝状の供給体保持部21Tが設けられている。シート供給体STはその中心をX軸方向に貫通して設けられた供給体回転軸SJを有している。左側のシート供給体STは左側の2つのベース板21aに設けられた一対の供給体保持部21Tに供給体回転軸SJが保持され、右側のシート供給体STは右側の2つのベース板21aに設けられた一対の供給体保持部21Tに供給体回転軸SJが保持される。
【0021】
図4、
図5および
図6において、ヘッド部22はベース部21の上部に設けられている。ヘッド部22は、X軸方向に並んで配置された4つの側板22a(左側の2つの側板22aと右側の2つの側板22a)を有している。左側2つの側板22aは左側の2つのベース板21aの内側(外側であってもよい)に設けられており、右側の2つの側板22aは右側の2つのベース板21aの内側(外側であってもよい)に設けられている。
【0022】
図6において、左側の2つの側板22aと右側の2つの側板22aはそれぞれ、X軸方向(左右方向)に延びた複数の連結ロッド22bによって連結されている。これら4つの側板22aはその基端部が揺動軸21cによってベース部21に連結されており、ヘッド部22の全体が横方向(X軸方向)に延びた軸部である揺動軸21cの軸線回りに揺動自在になっている。
【0023】
図4、
図5および
図6において、シート保持部23はヘッド部22に設けられている、シート保持部23は、保持ローラ31、ピンチローラ32および被駆動ギヤ33を備えている。保持ローラ31はバックアップステージ12の後側において4つの側板22aをX軸方向に貫通して延びており、X軸方向に延びた自身の軸線回りに回転自在である。4つの側板22aは保持ローラ31によって連結されているため、4つの側板22aは一体となって揺動軸21cの軸線回りに揺動自在である。
【0024】
図4および
図6において、ピンチローラ32は、左側の2つの側板22aの間と、右側の2つの側板22aの間のそれぞれに設けられている。各ピンチローラ32は、4つの側板22aに取り付けられた付勢手段32Fによって保持ローラ31に押し付けられている(
図4)。
【0025】
図4、
図5および
図6において、被駆動ギヤ33は、4つの側板22aをX軸方向に貫通する保持ローラ31の中間部、すなわち、4つの側板22aのうちの内側の2つの側板22aの間の部分に設けられている。被駆動ギヤ33は保持ローラ31に固定されている。従って被駆動ギヤ33は、保持ローラ31と一体に保持ローラ31の回転軸線回りに回転する。
【0026】
図4において、ベース部21に保持されたシート供給体STから供給されるシートSHは、バックアップステージ12の上方を通ってバックアップステージ12の後側に延び、シート保持部23によって(詳細には、保持ローラ31とピンチローラ32によって挟み込まれて)保持されている。すなわち、シート供給体STから供給されるシートSHは、バックアップステージ12の後側においてシート保持部23によって保持され、適度なテンションが与えられた状態でバックアップステージ12の上面側に設置されるようになっている。
【0027】
ヘッド部22は、「シート設置位置」から「シート設置準備位置」へ揺動させることができ(
図4→
図7→
図8)、また、「シート設置準備位置」から「シート設置位置」へ揺動させることができる(
図8→
図7→
図4)。ここで「シート設置位置」とは、シート設置ユニット20がユニット取付け台19に取り付けられた状態で、シート保持部23がバックアップステージ12の後側に位置してシート供給体STから供給されるシートSHがバックアップステージ12の上面側に設置される位置である(
図4および
図5)。また、「シート設置準備位置」とは、シート設置ユニット20がユニット取付け台19に取り付けられた状態で、シート保持部23がバックアップステージ12の前側に位置する位置である(
図8および
図9)。
【0028】
図4、
図7および
図8において、ヘッド部22を構成する各側板22aの揺動軸21cの近傍位置には、X軸方向に突出した突起22Tが設けられている。一方、ベース板21aの上端部には弧状のガイド溝21Gが設けられている。各側板22aの突起22Tはベース板21aのガイド溝21G内に位置しており、ヘッド部22が(すなわち側板22aが)揺動軸21cの軸線回りに揺動すると、これに応じて突起22Tがガイド溝21G内を移動する。ヘッド部22は、突起22Tがガイド溝21Gの一端側の縁部(上縁部)に当接した状態で「シート設置位置」に位置し(
図4)、突起22Tがガイド溝21Gの他端側の縁部(下縁部)に当接した状態で「シート設置準備位置」に位置する(
図8)。
【0029】
図4、
図5および
図6において、左側の2つの側板22aと右側の2つの側板22aの間のそれぞれにはパネル部材22Pが掛け渡されており、冷却部24はこれら左右のパネル部材22Pのそれぞれの下面(内面)側に取り付けられている。冷却部24はここでは吹出し口24Kから冷却空気Air(
図10)を吹き出す空気吹出し装置であり、吹出し口24Kから吹き出す冷却空気Airがバックアップステージ12の上部に当たり、これによりシートSH(特に、シートSHの、バックアップステージ12の上面側に設置される部分)が冷却されるようにパネル部材22Pに取り付けられている。なお、冷却部24が吹き出す冷却空気Airは常温の空気でもよいが、常温よりも低い温度の空気(冷気)であることが好ましい。
【0030】
図5および
図6において、ヘッド部22を構成する4つの側板22aのうち、内側の2枚の側板22aの間には、これら2枚の側板22aを連結するロック部取付け板22SがX軸方向に延びて設けられている。ロック部25はこのロック部取付け板22Sに取り付けられている。
【0031】
図11(a),(b)において、ロック部25は、つまみ部分41とつまみ部分41から延びた円筒部42を備えている。つまみ部分41はヘッド部22が「シート設置位置」に位置した状態でロック部取付け板22Sの前側に位置しており、円筒部42はロック部取付け板22Sを板厚方向に貫通して後側に延びている。円筒部42の後側の端部には雄螺子(図示せず)が形成されている。
【0032】
図3および
図9において、バックアップステージベース12Bの前側面には、前側に向けて開口したロック穴12Hが設けられている。ロック穴12Hの内壁にはロック部25の雄螺子と螺合する雌螺子(図示せず)が形成されている。基台11のユニット取付け台19に取り付けられたシート設置ユニット20のヘッド部22が「シート設置位置」に位置した状態では、ロック部25の円筒部42ロック穴12Hに前側から嵌入し(
図11(a))、円筒部42の雄螺子がロック穴12Hの雌螺子に螺合された状態で、ヘッド部22をバックアップステージベース12Bに固定(すなわちバックアップステージ12に対して相対的に固定)している。
【0033】
上記のようにしてヘッド部22がバックアップステージベース12Bに固定された状態では、ヘッド部22を「シート設置位置」から「シート設置準備位置」の側へ揺動させることはできず、シート設置ユニット20をユニット取付け台19からのシート設置ユニット20の取り外すこともできない。なお、ロック部25側の雄螺子がロック穴12H側の雌螺子に螺合された状態では、ロック部取付け板22Sの後面はバックアップステージベース12Bの前面に密着する。このためヘッド部22はバックアップステージベース12Bに対して安定した状態で固定される。
【0034】
作業者OPは、ヘッド部22を「シート設置位置」から「シート設置準備位置」に移動(揺動)させるときには、つまみ部分41を円筒部42の軸回りに回転させて円筒部42の雄螺子とロック穴12Hの雌螺子の螺合を解いたうえで、ヘッド部22を手前側に引き寄せればよい。
【0035】
図2、
図3、
図4および
図5において、バックアップステージベース12Bの後側にはシート送り駆動部50が設けられている。シート送り駆動部50は、
図12に示すように、バックアップステージベース12Bの後側の面に取り付けられたブラケット51に、シート送りモータ52、駆動ギヤ53およびアイドルギヤ54を備えた構成となっている。
【0036】
図12において、巻取りモータ52は駆動軸52JをX軸方向に向けており、駆動ギヤ53は巻取りモータ52の駆動軸52Jに取り付けられている。アイドルギヤ54は、ブラケット51からX軸方向に(すなわち巻取りモータ52の駆動軸52Jと平行に)延びた支持シャフト55に回転自在に取り付けられており、駆動ギヤ53と噛合している。このためシート送りモータ52を作動させて駆動ギヤ53をX軸回りに回転させると、アイドルギヤ54が駆動ギヤ53とは反対方向に回転する。
【0037】
ヘッド部22が有する被駆動ギヤ33は、シート設置ユニット20が基台11に取り付けられてヘッド部22が「シート設置位置」に位置した状態で、シート送り駆動部50が有するアイドルギヤ54と噛合している。この状態でシート送り駆動部50のシート送りモータ52が作動して駆動ギヤ53を回転させると、アイドルギヤ54を介して被駆動ギヤ33が回転駆動され、保持ローラ31が回転する。保持ローラ31が回転すると、保持ローラ31とピンチローラ32とによって挟み込まれたシートSHが後側に送られ、シート供給体STからシートSHが新たに引き出されることによって、シートSHのうち、バックアップステージ12の上方に位置する部分が更新される。
【0038】
シート送り駆動部50によって後側に送られたシートSHは自重で垂れ、バックアップステージ12の後側に設置されたシートガイド61を経てシュータ62(
図2)から部品圧着装置1の外部に排出される。保護シート設置カセット18から排出される保護シート18Sも、シートガイド61を経てシュータ62から部品圧着装置1の外部に排出される(
図2)。
【0039】
シート設置ユニット20を基台11に取り付ける手順(シート設置ユニットの取付け方法)では、作業者OPは、先ず、ヘッド部22を「シート設置準備位置」に位置させた状態で(
図8および
図9)、ベース部21を基台11上(詳細には、バックアップステージ12の前側の領域に設けられた複数のユニット取付け台19)に取り付ける(第1工程。
図13)。そして、ベース部21に保持させたシート供給体STからシートSHを引き出して、その引き出したシートSHの先端部を、保持ローラ31とピンチローラ32によって挟み込む作業(シート設置準備作業と称する)を行う。
【0040】
作業者OPは、上記のシート設置準備作業を行ったら、ヘッド部22を「シート設置準備位置」から「シート設置位置」に揺動させる(
図8→
図7→
図4)。これによりシート保持部23がバックアップステージ12の前側から後側へ弧状の軌道で移動し、シート供給体STから引き出されてシート保持部23に保持されたシートSHが、バックアップステージ12の上面側に設置される(第2工程。
図4および
図5)。
【0041】
また、ヘッド部22を「シート設置準備位置」から「シート設置位置」に揺動させると、ヘッド部22側の被駆動ギヤ33がシート送り駆動部50側のアイドルギヤ54と噛み合う。これによりシート保持部23がシート送り駆動部50に連結され、シート送り駆動部50によるシート保持部23の駆動が可能となる。
【0042】
作業者OPは、上記のようにしてヘッド部22を「シート設置位置」に位置させたらロック部25を操作し、円筒部42をロック穴12Hに嵌入させた後(
図11(a)中に示す矢印P)、円筒部42の軸回りに回転させて(
図11(b)中に示す矢印N)、円筒部42の雄螺子をロック穴12Hの雌螺子にねじ込む。これにより「シート設置位置」に位置したヘッド部22がバックアップステージベース12Bに固定(バックアップステージ12に対して相対的に固定)された状態となる(第3工程)。
【0043】
このように、本実施の形態では、ヘッド部22を「シート設置準備位置」に位置させてシート保持部23がバックアップステージ12の前側に位置した状態でシート設置準備作業を行うことができる。また、シート設置準備作業の後、ヘッド部22を揺動させるだけでバックアップステージ12の上面側へシートSHを設置できる。このため作業者OPはシートSHの設置作業を大変容易に行うことができる。
【0044】
上記手順によりシート設置ユニット20を基台11に設置したら、部品圧着装置1による部品圧着作業が実行可能となる。部品圧着装置1は、部品圧着作業を実行するときは、先ず、基板設置部17が、部品実装ラインの上流工程側より前述の図示しない基板搬送部により搬送されてきた2枚の基板KBを受け取って保持し、左右のバックアップステージ12の前側に位置させる。そして、2枚の基板KBを後側に移動させ、ACFを介して部品BHが搭載されている後側の端部を左右のバックアップステージ12の上面に位置させる。このとき基板KBは、シート設置ユニット20によってバックアップステージ12の上面側に設置されたシートSHを介してバックアップステージ12に支持される。
【0045】
2枚の基板KBが左右のバックアップステージ12に支持されたら、圧着シリンダ15が熱圧着ツール16を下降させる。これにより基板KBの端部に搭載されていた部品BHが基板KBに押し付けられる。このとき熱圧着ツール16は図示しない加熱ヒータによって加熱されており、部品BHを通じてACFを軟化させることで部品BHを基板KBに圧着する。
【0046】
熱圧着ツール16が部品BHを基板KBに押圧するとき、熱圧着ツール16は保護シート設置カセット18が供給する保護シート18Sを押し下げて部品BHに上方から当接する(
図4に一点鎖線で示す熱圧着ツール16参照)。このため熱圧着ツール16は基板KBや部品BHとは直接接触せず、熱圧着ツール16が部品BHの縁からはみ出たACFによって汚れることが防止される。
【0047】
熱圧着ツール16による部品BHの基板KBへの熱圧着の際、基板KBはシート設置ユニット20によってバックアップステージ12の上面側に設置されたシートSHを介してバックアップステージ12の上面に押し付けられる。これにより基板KBは熱圧着ツール16により加熱されるが、本実施の形態では、熱圧着ツール16による部品BHの熱圧着作業時には、冷却部24から冷却空気Airを吹き出させるようになっている。
【0048】
前述したように、シート設置ユニット20のヘッド部22が「シート設置位置」に位置された状態では、冷却部24が吹出し口24Kから吹き出す冷却空気Airはバックアップステージ12の上部に当たり、これによりシートSH(特に、シートSHの、バックアップステージ12の上面側に設置される部分)が冷却されるので、シートSHと接触した基板KBが適度に冷却される。このため熱圧着作業中に熱圧着ツール16から基板KBに熱が伝達されても基板KBの温度が過剰に高くなることはなく、基板KBの温度が過剰に高くなることによって生じ得る種々の弊害の発生を未然に防止することができる。
【0049】
部品BHが基板KBに圧着されたら圧着シリンダ15は熱圧着ツール16を上昇させる。熱圧着ツール16が上昇したら基板設置部17は2枚の基板KBをバックアップステージ12の前側に移動させ、基板搬送部に受け渡す。基板搬送部は基板設置部17より2枚の基板KBを受け取ったら、その2枚の基板KBを部品実装ラインの下流工程側に搬出する。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態における部品圧着装置1では、基台11に着脱自在に取り付けられてシート供給体STを保持するとともに、シート供給体STから供給されるシートSHをバックアップステージ12の上面側に設置するシート設置ユニット20に、シートSHに冷却空気Airを吹き付けてシートSHを冷却する冷却部24が備えられている。このため熱圧着ツール16による基板KBへの部品BHの熱圧着作業中に冷却部24によりシートSHを冷却することでシートSHを通じて基板KBを冷却することができ、基板KBの温度が過剰に高くなる事態を防止できる。
【0051】
また本実施の形態では、シート設置ユニット20は、基台11に着脱自在に取り付けられるベース部21と、21ベース部に連結されて横方向に延びた軸部(揺動軸21c)の軸線回りに揺動自在なヘッド部22を有しており、シート保持部23と冷却部24はヘッド部22に設けられた構成となっている。そして、ヘッド部22は、シート保持部23がバックアップステージ12の後側に位置してシート供給体STから供給されるシートSHがバックアップステージ12の上面側に設置される「シート設置位置」と、シート保持部23がバックアップステージ12の前側に位置する「シート設置準備位置」との間で揺動可能となっている。このため、ヘッド部22を「シート設置準備位置」に位置させた状態でシート設置ユニット20を基台11に取り付けた後、ヘッド部22を「シート設置位置」へ揺動させるだけで、シートSHをバックアップステージ12の上面側に設置することでき、シートSHの設置および冷却部24のバックアップステージ12に対する位置決めを極めて容易に行うことができる。
【0052】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、冷却部24はシートSHに空気を吹き付けてシートSHを冷却する構成であったが、シートSHを冷却できるものであれば他の構成であってもよい。また、上述の実施の形態では、シート設置ユニット20のヘッド部22が横方向に延びた軸部(揺動軸21c)の軸線回りに揺動する構成であったが、これはシート設置準備作業とその後のシートSHのバックアップステージ12の上面側への設置作業とを行い易かったからであり、必ずしもヘッド部22が揺動自在になっていなければならないわけではない。また、「シート設置位置」に位置したヘッド部22をバックアップステージ12に対して相対的に固定するロック部25の構成は上述したものに限られず、その他の構成を採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
熱圧着ツールから伝達される熱により基板の温度が過剰に高くなる事態を防止できる部品圧着装置、シート設置ユニットおよびシート設置ユニットの取付け方法を提供する。
【符号の説明】
【0054】
1 部品圧着装置
11 基台
12 バックアップステージ(基板支持部)
16 熱圧着ツール
20 シート設置ユニット
21 ベース部
21c 揺動軸(軸部)
22 ヘッド部
23 シート保持部
24 冷却部
25 ロック部
50 シート送り駆動部
ST シート供給体
SH シート
Air 冷却空気
KB 基板
BH 部品